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  • 特開-予備充電短絡検出 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157535
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】予備充電短絡検出
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20241030BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20241030BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H02H3/08 D
G01R19/165 L
H02J7/00 A
H02J7/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068352
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】63/461,789
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ガムブッザ
(72)【発明者】
【氏名】ギレルモ ザトッレ
(72)【発明者】
【氏名】ボリス ゴルボヴィック
(72)【発明者】
【氏名】セサール マルティネズ
【テーマコード(参考)】
2G035
5G004
5G503
【Fターム(参考)】
2G035AA15
2G035AB03
2G035AC02
2G035AC15
2G035AD03
2G035AD09
2G035AD23
2G035AD28
2G035AD65
5G004AA04
5G004BA03
5G004DA05
5G004DB04
5G004EA01
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB03
5G503CA01
5G503CC02
5G503FA06
5G503FA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】予備充電制御機能を含む、ソリッドステートバッテリ切断及び保護回路を提供する。
【解決手段】適応型予備充電制御回路108は、電気車両の電気バッテリ102及びDCリンクコンデンサ106の間に結合された高電圧スイッチ207を備え、ここで電気車両は電気バッテリによって電力を供給される。制御回路108は、パルス幅変調(PWM)信号を発して電流プロファイルを生成する、ここで1つ置きのパルスが予め定義された制限を超える、予備充電中に電流プロファイルを監視する、及び、2つの連続するパルスが予め定義された制限を超えた場合に、過電流故障が存在すると判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両の電気バッテリ及びDCリンクコンデンサの間に結合された高電圧スイッチ、ここで前記電気車両は前記電気バッテリによって電力を供給される;及び
制御回路であって:
パルス幅変調(PWM)信号を発して電流プロファイルを生成する、ここで1つ置きのパルスは予め定義された制限を超える;
予備充電中に前記電流プロファイルを監視する;及び
2つの連続するパルスが前記予め定義された制限を超えた場合に、過電流故障が存在すると判定する
ために動作可能である制御回路
を備える、ソリッドステートバッテリ切断及び保護システムにおける使用のための適応型予備充電制御回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記過電流故障が判定された場合に前記高電圧スイッチを開くように更に動作可能である、請求項1に記載の適応型予備充電制御回路。
【請求項3】
前記過電流故障を受けて、前記制御回路をリセットする手順を更に備える、請求項1又は2に記載の適応型予備充電制御回路。
【請求項4】
電気車両の電気バッテリ及びDCリンクコンデンサの間に結合された高電圧スイッチ、ここで前記電気車両は前記電気バッテリによって電力を供給される;及び
制御回路であって:
パルス幅変調(PWM)信号を発して電流プロファイルを生成する;
予備充電中に前記DCリンクコンデンサの電圧Voutの電圧増加分を測定する;及び
パルスを印加した後に前記電圧増加分が正でない場合に過電流故障が存在すると判定する
ために動作可能である制御回路
を備える、ソリッドステートバッテリ切断及び保護システムにおける使用のための適応型予備充電制御回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記過電流故障が判定された場合に前記高電圧スイッチを開くように更に動作可能である、請求項4に記載の適応型予備充電制御回路。
【請求項6】
前記過電流故障を受けて、前記制御回路をリセットする手順を更に備える、請求項4又は5に記載の適応型予備充電制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、予備充電制御機能を含む、ソリッドステートバッテリ切断及び保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
予備充電回路は、電源投入時に高い突入電流をもたらし得る容量性負荷を伴う高電圧DC応用において使用される。電力線電圧の予備充電は、突入電流を制限する予備モードである。予備充電回路は、従って、高アンペアの電流スパイクをブロックすることにより、システムコンポーネントへの損傷を防止する。
【0003】
大きな容量性負荷を有する高電圧システムは、最初の電源投入時に高電流に晒され得る。制限されない場合、当該電流は、コンタクタが溶着して閉じることを引き起こすことを含むがこれに限定されない、多大な応力又は損傷をシステムコンポーネントに引き起こし得る。
【0004】
電気車両応用において、バッテリ切断はコンタクタを用いて実装され、過電流保護は、特定の回路構成によって制御される同じコンタクタ及びヒューズ又はパイロヒューズなどの追加の保護素子の組み合わせで実装され、予備充電制御は追加の専用回路構成で実装される。
【0005】
電気車両応用において、大きな容量性負荷は電気モータにおけるDCリンクである。「DCリンクコンデンサ」は、実際には、電気車両内のサブユニットにおける幾つかの並列コンデンサの総体であり、1つは電気モータ用、もう1つは空調コンプレッサ用、もう1つはウィンドウイネーブリング用などである。
【0006】
DCリンクコンデンサの予備充電は、各車両始動時に行われる。バッテリ電圧は、バッテリ充電状態に応じて、各車両始動において異なり得る。従って、バッテリ電圧は、バッテリの動作範囲内の任意の値、例えば800Vバッテリシステムにおいては550V~800Vであり得る。予備充電回路は突入電流を制限し、下流のDCリンクコンデンサを低速で充電する。DCリンクコンデンサの電圧がバッテリのそれに近付くと、主スイッチを閉じることが可能になる。こうして、予備充電回路は、車両起動時に制御された様式で電流が流れることを可能にする。
【0007】
電気車両における予備充電回路は、大きな値の抵抗と直列で、かつ主スイッチと並列に配置された補助スイッチにより構築され、起動時に車両に流れ込む突入電流を制御する。主スイッチは開かれ、補助スイッチは閉じられており、そのため、DCリンクコンデンサは、抵抗によって判定された通りに、低速で充電される。DCリンクコンデンサが十分に充電されると(それにより、その電圧がバッテリのそれに近付くと)、主スイッチは完全に閉じられ、バッテリは、車両に安全に電力を供給することができる。
【0008】
しかしながら、パルス幅変調(pulse-width modulation:PWM)制御に基づく予備充電システムは、通常、高速予備充電機能のために公称電流を上回って動作する。このユースケースにおいて、実際の過電流故障状態を区別することは困難である。
【0009】
本改善は、これら及び他の考慮事項に関して有用であり得る。
【発明の概要】
【0010】
この概要は、以下の発明を実施するための形態において更に説明される概念の選択を簡略化した形態で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求される主題の重要又は不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する助けとなることを意図するものでもない。
【0011】
1つの手法において、ソリッドステートバッテリ切断及び保護システムにおける使用のための適応型予備充電制御回路は、電気車両の電気バッテリ及びDCリンクコンデンサの間に結合された高電圧スイッチ、ここで電気車両は電気バッテリによって電力を供給される、及び制御回路、を備え得る。本制御回路は、パルス幅変調(pulse width modulated:PWM)信号を発して電流プロファイルを生成するために動作可能であり得、ここで1つ置きのパルスは予め定義された制限を超える。本制御回路は更に、予備充電中に電流プロファイルを監視し、2つの連続するパルスが予め定義された制限を超えた場合に、過電流故障が存在すると判定し得る。
【0012】
別の手法において、ソリッドステートバッテリ切断及び保護システムにおける使用のための適応型予備充電制御回路は、電気車両の電気バッテリ及びDCリンクコンデンサの間に結合された高電圧スイッチ、ここで電気車両は電気バッテリによって電力を供給される、及び制御回路、を備え得る。本制御回路は、パルス幅変調(PWM)信号を発して電流プロファイルを生成し、予備充電中にDCリンクコンデンサの電圧Voutの電圧増加分を測定し、パルスを印加した後に電圧増加分が正でない場合に過電流故障が存在すると判定するために動作可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面は、その原理の実際的な用途のためにこれまでに考案された、開示される実施形態の例示的な手法を示す。
【0014】
図1】例示的な実施形態による、電気車両システムにおける使用のための適応型予備充電制御回路を示す図である。
【0015】
図2】例示的な実施形態による、図1の適応型予備充電制御回路によって使用されるパルス幅変調の動作原理を示す図である。
【0016】
図3】例示的な実施形態による、図1の適応型予備充電制御回路によって使用されるパルス幅変調の動作原理を示す図である。
【0017】
図面は必ずしも原寸に比例していない。図面は単なる表示であり、本開示の特定のパラメータを表現することは意図されていない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことが意図され、従って、範囲の限定とみなされない。図面において、同様の参照符号は同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本開示は、様々な手法が示される添付図面を参照して進められる。しかしながら、再使用可能なスナップイン継手は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載の手法に限定されるものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの手法は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本開示の範囲を十分に伝えるものであるように提供される。
【0019】
電気車両において予備充電能力を提供するための適応型予備充電制御回路が開示される。適応型予備充電制御回路は、電気車両に電力を供給する電気バッテリ及び電気車両の負荷の間に配設される。高電圧スイッチにパルス幅変調信号を発することにより、車両負荷のコンデンサを表すDCリンクコンデンサの電圧が変更され得る。DCリンクコンデンサの電圧が電気バッテリのそれに近づくと、高電圧スイッチがオンになり、電流が負荷に安全に届けられることを可能にする。適応型予備充電制御回路は、過電圧保護及び電流制限機能を備える。本明細書で更に説明される通り、本開示の実施形態は、定義された電流パターン(例えば、過電流閾値を上回る1つの電流パルス、過電流閾値を下回る1つの電流パルス)及び/又は出力電圧の測定値を用いて、高速PWMベース予備充電機能において過電流故障状態を確実に検出することができる。
【0020】
図1は、例示的な実施形態による、ソリッドステートバッテリ切断及び保護システム100において予備充電能力を提供するための適応型予備充電制御回路108の代表図である。ソリッドステートバッテリ切断及び保護システム100は、電気車両(EV)バッテリ102、負荷104、及びDCリンクコンデンサ106で構成され、適応型予備充電制御回路108はEVバッテリ102及び負荷104の間に配設されている。主として、負荷104は電気車両のEVモータであるが、負荷は、空調コンプレッサ、ウィンドウイネーブリングモータなどのような、電気車両内の他の動力付きコンポーネントをも含む。車両内の各サブユニットは入力容量を有し、個々のコンデンサ、及びサブユニットの数は不知である。個々のコンデンサの総体は、DCリンクコンデンサ106によって表されるDCリンク容量(CDC)である。
【0021】
適応型予備充電制御回路108は、高電圧双方向スイッチ回路116、又は略して高電圧スイッチ116、及び制御ブロック124を特徴とする、ソリッドステートバッテリ切断及び保護回路である。ソリッドステートバッテリ切断及び保護回路は、電流センサに結合されたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを使用して波形をサンプリングし、任意の過電流シナリオを検出する。ソリッドステートバッテリ切断及び保護回路は、従来の回路遮断器と比較して非常に高速な応答時間を有する。適応型予備充電制御回路108の高電圧スイッチ116は、オン(閉)又はオフ(開)になって、EVバッテリ102及び負荷104の間の電流の流れを制御する(可能にする、又は阻止する)。例示的な実施形態において、制御ブロック124は高電圧スイッチ116にPWM信号210を発し、その中のスイッチ202を、PWM信号のデューティサイクルに基づく比率でオン及びオフになるようにする。オン/オフ率又は時間当たりのスイッチング事象の数は、PWMスイッチング周波数によって定義される。デューティサイクルは、オン時間及びスイッチング周期の間の比率を定義する。
【0022】
EVバッテリ102の電圧Vbatt及びDCリンクコンデンサ106の電圧Voutが示されている。例示的な実施形態において、適応型予備充電制御回路108は、DCリンクコンデンサ106の電圧がEVバッテリ102の電圧に近付くまで、DCリンクコンデンサ106の低速充電を可能にするように設計されている。Vout及びVbattの間の予め定義された差であるVdiffに達すると、高電圧スイッチ116がオン(閉)になり、EVバッテリ102及び負荷104の間で電流が自由に流れることが可能になる。このようにして、EVバッテリ102は負荷に安全に電力を供給することができる。数学的に述べると、Vbatt-Vout≦Vdiffになった場合、電気車両がオフになるまでスイッチは閉じたままになる。
【0023】
制御ブロック124は、マイクロプロセッサ208及び3つのアナログ・デジタルコンバータ(analog-to-digital converter:ADC)204、206、及び214を特徴とする。他の実施形態において、制御ブロック214は、同等の集積回路であり得る。ADC204がバッテリ電圧Vbattを測定する一方で、ADC206は出力電圧Voutを測定する。計算が行われ得る前に、マイクロプロセッサ208には、バッテリ電圧Vbatt及び出力電圧Voutの測定値又はデジタル表現が提示される。ADC204が電圧を測定してデジタル値に変換する一方で、ADC206は電流を測定する。マイクロプロセッサ208は、次に、これらの結果を読取り、電圧差Vdiffを計算し得る。更に、マイクロプロセッサ208はPWMパターンを生成してスイッチ202をオン及びオフにする。制御ブロック124はまた、入力Vbattにおける電流測定118及び電圧測定128、並びに、出力Voutにおける電圧測定218を特徴とする。例示的な実施形態において、適応型予備充電制御回路108のロジック及びゲート駆動は、高電圧スイッチ116へのPWM信号210の発行を引き起こす。PWM信号210は高電圧スイッチ202がオン又はオフになることを可能にし、それにより、EVバッテリ102及びDCリンクコンデンサ106の間の電流の流れを可能にする、又は阻止する。適応型予備充電制御回路108は、こうして、PWM制御信号を用いて予備充電制御を実装し、パルス幅プロファイルを制御して電流を制御する。制御ブロック124のロジック及びゲート駆動122は制御インタフェース126に接続されており、これは有線又は無線接続であり得る。
【0024】
例示的な実施形態において、適応型予備充電制御回路108のPWM信号210は、定義された電流パターン(例えば、過電流閾値を上回る1つの電流パルス、過電流閾値を下回る1つの電流パルス)及び/又は出力電圧の測定を用いて、より確実な予備充電をサポートする。
【0025】
例示的な実施形態において、電流測定118によって使用されるセンサは、電流が閾値に達したときにロジック及びゲート駆動122にロジック信号が発せられるよう、予め定義された閾値を有するホール効果センサである。ホールセンサを用いることの代替として、幾つかの実施形態において、電流測定118はシャント抵抗を使用して過電流を感知し得る。代替的な実施形態において、事実上いかなる電流センサタイプも使用され得ることを理解されたい。例示的な実施形態において、適応型予備充電制御回路108は、電流制限機能をも含む。図1における電流センサは、電流測定118で構成され、円は測定されているワイヤを示す。流れる電流によって生成される磁束は、ホール効果を経て電圧に変換される。電圧は、過電流を示す閾値電圧を表すセンサ内の基準値(reference)と比較される。過電流が発生した場合、単一のロジック信号が生成されて、ロジック及びゲート駆動122に送信される。例示的な実施形態において、これはマイクロ秒の時間枠内で起こる。
【0026】
電流が特定の制限を(例えば、2回連続で)超えた場合、電流制限機能がトリガされ、適応型予備充電制御回路108はバッテリ及び負荷を切断する(そして、充電を停止する)。電流制限機能を伴わない場合、電流は際限なく上昇し、コンポーネント及びインターコネクトに応力又は損傷をもたらし得る。
【0027】
例示的な実施形態において、高電圧スイッチ116のスイッチ202は、絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(insulated gate bipolar junction transistor:IGBT)、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide semiconductor field-effect transistor:MOSFET)などの半導体、サイリスタ、シリコン制御整流素子(silicon-controlled rectifier:SCR)、交流用三極管(triode for alternating current:TRIAC)、又は任意の他の好適な高出力制御ソリッドステートデバイスなどのソリッドステートスイッチングデバイスである。スイッチ202は、EVバッテリ102を車両の高電圧車載システムに接続又は切断する。例示的な実施形態において、スイッチ202は、EVバッテリ102が車両(負荷104)に供給することを可能にし、かつ、充電器がバッテリに供給することを可能にするために双方向性である。例示的な実施形態において、スイッチ202は、制御ブロック124から入来するPWM信号210によって制御される。
【0028】
予備充電回路は、一般に、車両がオンになったときに下流の静電容量が突入電流に晒され得る、電気車両システムなどの高電圧システムの一部である。これらの予備充電回路は、通常、車両が始動する前にオンに切り替わり、DCリンクコンデンサが低速で充電される、大きな値の抵抗を有する。コンデンサが十分に充電されると、スイッチが完全に閉じられる。設定された予備充電閾値を有することによって、車両使用後のバッテリ放電が考慮されるものではない。更に、従来技術の予備充電回路は、適応型予備充電制御回路108で行われているように、充電を制御するためにパルス幅変調を利用しない。適応型予備充電制御回路108は、こうして、バッテリ放電を検出し、バッテリ充電の初期値及び最終値に基づき予備充電閾値を設定する一方で、併せて、1つ又は複数の定義された電流パターン(例えば、過電流閾値を上回る1つの電流パルス、過電流閾値を下回る1つの電流パルス)及び/又は出力電圧の測定を用いて、より確実に過電流故障状態を検出するための新規の方法を提供する。
【0029】
図2は、例示的な実施形態による、適応型予備充電制御回路108によって使用されるパルス幅変調の動作原理の代表図である。この実施形態において、PWMパターンは、過電流閾値を上回る1つの電流パルス、これに続く過電流閾値を下回る1つの電流パルスなどの特定の電流プロファイルを生成するように定義され得る。適応型予備充電制御回路108の場合、双方向スイッチ202をオンにした後に、充電電流301(Icharge)が蓄積される。図2においてパルス間隔302が示され、微量の電流304が各パルスで発せられている。DCリンクコンデンサ106は、最初はゼロボルトであるため、制御を伴わない充電電流は短絡電流と同様になり、破壊をもたらす可能性がある。短パルスを発することにより、電流は安全限界内に留まり、DCリンクコンデンサ106は名目上充電される。電流は、バッテリ電圧Vbatt及びDCリンク電圧VDC_SYS306(図1におけるVout)の間の電圧差Vdiffによって駆動されるため、DCリンク電圧の上昇は、次のパルスについての電流の低下をもたらす。各パルスに伴って、DCリンク電圧306は上昇する。示されている通り、充電電流301は、1秒置きにのみパルスが制限310を超えるように定義され得る。すなわち、第1のパルス304Aは制限310を下回り、第2のパルス304Bは制限310を上回り、第3のパルス304Cは制限310を下回り、第4のパルス310Dは制限310を上回り、かつ第5のパルス304Eも制限310を上回る。2つの連続するパルス(304D、304E)が制限310を上回るため、実際の過電流故障が検出される。
【0030】
幾つかの実施形態において、過電流保護回路はリセット可能である。すなわち、回路保護が作動したとき、本システムは、過電流状態が存続しているかどうか、又は、それが何らかの他の過渡効果のノイズによって引き起こされたかどうかを検証するために、一定時間後に再試行し得る。再接続時に、(DCリンク電圧がバッテリ電圧に近付くように)デバイスが予備充電モードにない場合であっても、過電流事象を検出するために、同様の方法(例えば、定義されたPWMパターンの使用)が使用され得る。
【0031】
図3は、別の例示的な実施形態による、適応型予備充電制御回路108によって使用されるパルス幅変調の動作原理の代表図である。この実施形態において、特定の電流プロファイルを生成するために、PWMパターンが再び定義される。この例において、過電流閾値は予備充電中に無効化され、VDC_SYS306における電圧増加分が測定される。パルスを印加した後に電圧増加分が正でない場合、これは、電流301についての実際の過電流故障を示す。
【0032】
上記の論述は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書で開示される1つの形態又は複数の形態に限定することは意図されていない。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で、1つ又は複数の態様、実施形態、又は構成において共にグループ化され得る。しかしながら、本開示の特定の態様、実施形態、又は構成の様々な特徴は、代替の態様、実施形態、又は構成において組み合わされ得ることを理解されたい。更に、以下の特許請求の範囲は、本明細書において、この参照によってこの発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、それ自体が本開示の別個の実施形態として独立している。
【0033】
本明細書で使用される場合、単数形で記載され、「a」又は「an」という単語で始まる要素又はステップは、そのような除外が明示的に記載されていない限り、複数の要素又はステップを除外しないものとして理解されるべきである。更に、本開示の「一実施形態」の参照は、記載された特徴をも組み込む追加的な実施形態の存在を除外するものと解釈されることは意図されていない。
【0034】
「含む」、「備える」、又は「有する」、及びそれらの変形を本明細書において使用することは、それらの後に列挙された項目及びその均等物並びに追加的な項目を包含することを意味している。従って、「含む」、「備える」、又は「有する」という用語及びそれらの変形は、オープンエンド表現であり、本明細書において交換可能に使用することができる。
【0035】
本開示は、本明細書で説明される特定の複数の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、本明細書で説明されたものに加えて、本開示の様々な他の実施形態及び修正形態は、上記の説明及び添付図面から当業者には明らかであろう。従って、そのような他の実施形態及び修正形態は、本開示の範囲内にあることが意図されている。更に、本開示は、特定の目的のために特定の環境における特定の実装形態の文脈において本明細書で説明されてきた。当業者は、有用性がそれに限定されないことを認識し、本開示は、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実装されてよい。従って、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書で説明されるような本開示の全容及び趣旨を考慮して解釈されるべきである。
図1
図2
図3
【外国語明細書】