(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157541
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】骨延長用の平板機構
(51)【国際特許分類】
A61B 17/66 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A61B17/66
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024070215
(22)【出願日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】18/306990
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510116244
【氏名又は名称】ニューベイシブ スペシャライズド オーソペディックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】エモン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ブエンビアヘ
(72)【発明者】
【氏名】カイラ ローソン
(72)【発明者】
【氏名】シェリー ヤン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL27
4C160LL29
4C160LL31
(57)【要約】
【課題】患者の骨成長を非侵襲的に誘導するように構成された、調整可能なインプラントを提供する。
【解決手段】調整可能なインプラントは、第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、第1の部分内に少なくとも部分的に配設され、第2の骨セグメントに結合するように構成された第2の部分と、を含む。調整可能なインプラントは、経皮的に作動され、第1の軸を中心として回転するように構成された歯車アセンブリの回転を駆動し、第2の軸に沿った、第2の部分の軸方向並進を駆動するように構成された駆動アセンブリを含む。したがって、駆動アセンブリの非侵襲的作動は、調整可能なインプラントを第2の軸に沿って延長させるか、又は後退させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能なインプラントであって、
第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、
前記第1の部分内に配設され、第1の軸を中心とした回転運動を駆動するように構成された駆動アセンブリと、
第2の骨セグメントに結合し、第2の軸に沿って前記第1の部分に対して軸方向に並進するように構成された第2の部分と、
前記第2の軸に沿って、前記第1の部分及び前記第2の部分内に少なくとも部分的に配設された親ねじと、を備え、
前記親ねじは前記駆動アセンブリに回転可能に結合されており、その結果、前記第1の軸を中心とした回転運動が、前記第2の軸を中心とした前記親ねじの回転運動を駆動し、それによって、前記第2の軸に沿って、前記第2の部分を前記第1の部分に対して軸方向に並進させる、調整可能なインプラント。
【請求項2】
前記第1の軸は前記第2の軸に直交する、請求項1に記載の調整可能なインプラント。
【請求項3】
前記第1の軸及び前記第2の軸は斜角を形成する、請求項1に記載の調整可能なインプラント。
【請求項4】
前記駆動アセンブリは、
前記第2の部分の近位並進に対応して第1の方向に、及び前記第2の部分の遠位並進に対応して第2の方向に前記第1の軸を中心として回転するように構成された駆動部と、
前記駆動部に回転可能に結合された駆動シャフトと、を備える、請求項1に記載の調整可能なインプラント。
【請求項5】
前記駆動部は、外部から印加された磁場によって回転するように構成された回転永久磁石を備える、請求項4に記載の調整可能なインプラント。
【請求項6】
前記駆動シャフトに回転可能に結合された歯車アセンブリを更に備え、前記歯車アセンブリは、前記親ねじに回転可能に係合して、前記第2の軸を中心とした前記親ねじの回転運動を駆動するように構成されている、請求項4に記載の調整可能なインプラント。
【請求項7】
前記歯車アセンブリはベベル出力歯車を備え、前記親ねじは、前記ベベル出力歯車に嵌合するように構成されたベベル歯車を備える、請求項6に記載の調整可能なインプラント。
【請求項8】
前記歯車アセンブリは、
前記延長装置の前記第1の部分に回転可能に固定された第1のリング歯車と、
前記第1のリング歯車内に配設され、前記駆動シャフトに回転可能に結合された第1の太陽歯車と、
前記駆動シャフトの遠位端に回転可能に結合された第2の太陽歯車と、
前記第1の軸を中心として配設された複数の複合遊星歯車であって、各複合遊星歯車は、前記第1の太陽歯車に係合するように構成された第1の歯車と、前記第2の太陽歯車に係合するように構成された第2の歯車と、を備える、複数の複合遊星歯車と、
前記複数の複合遊星歯車の前記第2の歯車を受容し、回転可能に係合するように構成された第2のリング歯車と、を更に備え、
前記ベベル出力歯車は、前記第2のリング歯車に回転可能に結合されており、その結果、前記第1の軸を中心とした前記第2のリング歯車の回転が、前記第1の軸を中心とした前記ベベル出力歯車の回転を引き起こし、前記第1の軸を中心とした前記ベベル出力歯車の回転が、前記第2の軸を中心とした前記親ねじの回転運動を駆動するように構成されている、請求項7に記載の調整可能なインプラント。
【請求項9】
前記第1のリング歯車は、内部に前記駆動部を受容するように構成された第1の空洞と、内部に前記複数の複合遊星歯車の前記第1の歯車を受容するように構成された第2の空洞と、内部に前記駆動シャフトを受容して、前記第1の空洞と前記第2の空洞との連通を可能にする寸法である開口部と、を備える、請求項8に記載の調整可能なインプラント。
【請求項10】
第3の骨セグメントに結合し、第3の軸に沿って前記第1の部分に対して軸方向に並進するように構成された第3の部分と、
前記第3の軸に沿って、前記第1の部分及び前記第3の部分内に少なくとも部分的に配設された第2の親ねじと、を更に備え、
前記第2の親ねじは、前記駆動アセンブリに回転可能に係合して、前記第3の軸を中心とした前記第2の親ねじの回転運動を駆動し、それによって前記第3の軸に沿って、前記第3の部分を前記第1の部分に対して軸方向に並進させるように構成されている、請求項1に記載の調整可能なインプラント。
【請求項11】
前記延長装置の前記第1の部分を前記第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の固定アンカーと、
前記延長装置の前記第2の部分を前記第2の骨セグメントに結合するように構成された第2の固定アンカーと、を更に備え、
前記第1の部分及び前記第2の部分の各々は、前記第1の固定アンカー及び前記第2の固定アンカーをそれぞれ内部に受容するように構成された受容開口部を備える、請求項1に記載の調整可能なインプラント。
【請求項12】
調整可能なインプラントであって、
第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、
前記第1の部分に配設された歯車アセンブリと、
前記歯車アセンブリに回転可能に係合し、第1の軸を中心として回転するように構成された駆動アセンブリであって、前記駆動アセンブリは、第2の軸を中心とした前記歯車アセンブリの回転運動を駆動するように構成されている、駆動アセンブリと、
前記第1の部分内に少なくとも部分的に配設され、第3の軸に沿って延在する親ねじと、
第2の骨セグメントに結合するように構成された第2の部分であって、前記親ねじは、少なくとも部分的に前記第2の部分内に配設される、第2の部分と、を備え、
前記親ねじは、前記駆動アセンブリに回転可能に結合されており、その結果、前記第1の軸を中心とした前記駆動アセンブリの回転運動は、前記第2の軸を中心とした前記歯車アセンブリの回転運動を駆動し、前記第3の軸を中心とした前記親ねじの回転運動を駆動し、それによって前記第3の軸に沿って、前記第2の部分を前記第1の部分に対して軸方向に並進させる、調整可能なインプラント。
【請求項13】
前記第3の軸は、前記第1の軸に平行であり、前記第2の軸に直交する、請求項12に記載の調整可能なインプラント。
【請求項14】
前記第1の軸及び前記第2の軸は第1の角度を形成し、前記第1の軸及び前記第3の軸は前記第1の角度とは異なる第2の角度を形成する、請求項12に記載の調整可能なインプラント。
【請求項15】
調整可能なインプラントであって、
第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、
前記第1の部分内に配設され、第1の軸を中心として回転するように構成された駆動アセンブリであって、前記駆動アセンブリは、前記第1の軸を中心として回転するように構成された駆動部と、前記駆動部に回転可能に結合された駆動シャフトと、を備える、駆動アセンブリと、
第2の骨セグメントに結合し、第2の軸に沿って前記第1の部分に対して軸方向に並進するように構成された第2の部分と、
前記第1の部分及び前記第2の部分内に少なくとも部分的に配設されたラチェットアセンブリと、を備え、
前記ラチェットアセンブリは、前記第1の軸を中心とした前記駆動アセンブリの回転に応答して、前記第2の軸に沿った、前記第1の部分に対する軸方向並進を作動させ、前記第2の軸に沿った、前記第1の部分に対する前記第2の部分の後退を阻止するように構成されている、調整可能なインプラント。
【請求項16】
前記駆動部は、外部から印加された磁場によって回転するように構成された回転永久磁石を備える、請求項15に記載の調整可能なインプラント。
【請求項17】
前記第1の部分及び前記第2の部分の各々は平板を備え、前記第1の軸は、前記第2の軸に直交する、請求項15に記載の調整可能なインプラント。
【請求項18】
前記第1の部分内に配設され、前記駆動アセンブリの前記回転に応答して回転するように構成された歯車アセンブリを更に備え、前記歯車アセンブリは、
前記駆動シャフトに回転可能に結合された入力歯車と、
前記入力歯車に回転可能に結合された出力歯車と、
前記出力歯車に回転可能に結合された偏心シャフトと、を備え、
前記偏心シャフトは、前記ラチェットアセンブリに係合して、前記駆動アセンブリの回転に応答して、前記第2の軸に沿った、前記第1の部分に対する前記第2の部分の軸方向並進を作動させるように構成されている、請求項15に記載の調整可能なインプラント。
【請求項19】
前記ラチェットアセンブリは、
前記第2の部分に結合された第1の端部と、前記偏心シャフトに回転可能に結合された第2の端部と、を有するラチェットアームであって、前記ラチェットアームは、前記駆動アセンブリの回転に応答して前記第1の部分内で前記偏心シャフトを中心として回転し、それによって前記第2の軸に沿って、前記第2の部分を前記第1の部分に対して軸方向に並進させるように構成されている、ラチェットアームと、
前記第2の部分に配設された複数のラチェット歯を有する直線ラックと、
前記第1の部分に結合された歯止めであって、前記歯止めは、前記複数のラチェット歯に係合して、前記第2の軸に沿った、前記第1の部分に対する前記第2の部分の後退を阻止するように構成されている、歯止めと、を備える、請求項18に記載の調整可能なインプラント。
【請求項20】
前記入力歯車はベベル入力歯車を備え、前記出力歯車は、前記ベベル入力歯車に嵌合するように構成されたベベル出力歯車を備える、請求項18に記載の調整可能なインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の主題は、調整可能なインプラント、延長及び圧縮システム、並びに関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮骨延長処置は、2つの骨セグメントを別々に延長させ、2つの骨セグメントの間に新しい骨組織を形成することを可能にする。仮骨延長処置は、例えば、骨(例えば、大腿骨、脛骨など)の長さを所定の速度(例えば、1日あたり1ミリメートル)で増大させ、それによって、新しい骨組織がセグメント間の間隙に形成されることを可能にするために有用であり得る。仮骨延長処置の技術分野において既知の装置、システム、及び方法の1つの制約は、埋め込み部位及び/又は実行され得る仮骨延長処置を制限する既知の装置のサイズ及び/又は形状である。本開示の実施形態は、これらの課題、並びに仮骨延長装置、システム、及び関連方法に概して伴う他の課題に対処することを目的とする。
【発明の概要】
【0003】
以下に述べる全ての態様、例、及び特徴は、任意の技術的に可能な方法で組み合わせることができる。
【0004】
本開示の一態様は、第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、第1の部分内に配設され、第1の軸を中心とした回転運動を駆動するように構成された駆動アセンブリと、第2の骨セグメントに結合し、第2の軸に沿って第1の部分に対して軸方向に並進するように構成された第2の部分と、第2の軸に沿って第1の部分及び第2の部分内に少なくとも部分的に配設された親ねじと、を含む、調整可能なインプラントを提供する。親ねじは駆動アセンブリに回転可能に結合されており、その結果、第1の軸を中心とした回転運動が、第2の軸を中心とした親ねじの回転運動を駆動し、それによって、第2の部分を第2の軸に沿って第1の部分に対して軸方向に並進させる。
【0005】
本開示の別の態様は、第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、第1の部分に配設された歯車アセンブリと、歯車アセンブリに回転可能に係合し、第1の軸を中心として回転するように構成された駆動アセンブリであって、駆動アセンブリは、第2の軸を中心とした歯車アセンブリの回転運動を駆動するように構成されている、駆動アセンブリと、第1の部分内に少なくとも部分的に配設され、第3の軸に沿って延在する親ねじと、第2の骨セグメントに結合するように構成された第2の部分と、を含む、調整可能なインプラントを提供する。親ねじは、第2の部分内に少なくとも部分的に配設され、駆動アセンブリに回転可能に結合されており、その結果、第1の軸を中心とした駆動アセンブリの回転運動は、第2の軸を中とした歯車アセンブリの回転運動を駆動し、第3の軸を中心とした親ねじの回転運動を駆動し、それによって、第2の部分を第3の軸に沿って第1の部分に対して軸方向に並進させる。
【0006】
本開示の別の態様は、第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、第1の部分内に配設され、第1の軸を中心として回転するように構成された駆動アセンブリと、を含む、調整可能なインプラントを提供する。駆動アセンブリは、第1の軸を中心として回転するように構成された駆動部と、駆動部に回転可能に結合された駆動シャフトと、を含む。調整可能なインプラントは、第2の骨セグメントに結合し、第2の軸に沿って第1の部分に対して軸方向に並進するように構成された第2の部分と、第1の部分及び第2の部分内に少なくとも部分的に配設されたラチェットアセンブリと、を更に含む。ラチェットアセンブリは、第1の軸を中心とした駆動アセンブリの回転に応答して、第2の軸に沿った、第1の部分に対する軸方向並進を作動させ、第2の軸に沿った、第1の部分に対する第2の部分の後退を阻止するように構成されている。
【0007】
この概要セクションに記載の態様を含む、本開示に記載の2つ以上の態様は、本明細書で具体的に記載されていない実装形態を形成するために組み合わされ得る。
【0008】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書で開示される主題のある特定の態様を示し、本明細書と一緒に、開示された実装形態と関連する原理のいくつかを説明するのに役立つ。
【
図1】本開示による、調整可能なインプラントの一実施形態の組立斜視図を示す。
【
図2】
図1の調整可能なインプラントの分解斜視図を示す。
【
図3】
図1の調整可能なインプラントの側断面図を示す。
【
図4】
図1の調整可能なインプラントの歯車アセンブリ及び親ねじを図示する。
【
図5】歯車アセンブリと結合された2つ以上の親ねじを含む、調整可能なインプラントの一実施形態を図示する。
【
図6】歯車アセンブリと結合された2つ以上の親ねじを含む、調整可能なインプラントの一実施形態を図示する。
【
図7】本開示による、ウォーム歯車を含む調整可能なインプラントの一実施形態の組立斜視図を示す。
【
図8】本開示による、ラチェットアセンブリ及び双方向板プレートを含む調整可能なインプラントの一実施形態の水平断面図を示す。
【
図9】
図8の調整可能なインプラントの断面斜視図を示す。
【
図10】
図8の調整可能なインプラントの分解断面斜視図を示す。
【
図11】本開示による、ラチェットアセンブリを含む調整可能なインプラントの一実施形態の水平断面図を示す。
【
図12】本開示の実施形態による、延長及び圧縮装置を非侵襲的に調整するための外部調整装置の内部構成要素を示す。
【
図13】本発明の実施形態による、大腿骨内及び脛骨内にそれぞれ埋め込まれた延長及び圧縮装置を調整するための構成の外部調整装置を示す。
【
図14】本発明の実施形態による、大腿骨内及び脛骨内にそれぞれ埋め込まれた延長及び圧縮装置を調整するための構成の外部調整装置を示す。
【0010】
主題の図面は、必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、主題の典型的な態様のみを示すことが意図されており、したがって、開示された主題の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、調整可能なインプラント、延長及び圧縮システム、並びに関連方法の様々な実施形態を説明する。このような実施形態は、例えば、患者の第1の骨セグメントに結合するように構成された第1の部分と、第2の骨セグメントに結合するように構成された第2の部分と、を有する調整可能なインプラントを含む。第2の部分は、第1の部分内に少なくとも部分的に配設され、軸に沿って第1の部分に対して軸方向に並進するように構成され得る。調整可能なインプラントの第1の部分及び第2の部分は、例えば固定アンカーを内部に受容して、調整可能なインプラントの第1の部分及び第2の部分をそれぞれ第1の骨セグメント及び第2の骨セグメントに結合するように構成された1つ以上の開口部を含み得る。調整可能なインプラントは、親ねじの回転運動を駆動して第2の部分を第1の部分に対して移動させ、それによって仮骨延長を行うために第1の骨セグメントと第2の骨セグメントとの間の距離を調整するように構成された駆動アセンブリを含み得る。調整可能なインプラントは、外部調整装置によって外部から制御されるように構成され得、したがって、このような実施形態では非侵襲的に調整可能であり得る。
【0012】
図1に示すように、調整可能なインプラント100は、第1の部分102と、第1の部分102内に少なくとも部分的に配設された第2の部分104と、を含む。例えば、第1の部分102はハウジングであり得、第2の部分104は、ハウジング内に少なくとも部分的に配設された可動ロッドであり得る。図示の第1の部分102及び第2の部分104は、患者の骨セグメントに係合する形状及び寸法の平板をそれぞれ含む。第1の部分102は、第1の位置(例えば、第1の骨セグメント)において骨に固定されるように構成されており、第2の部分104は、第2の位置(例えば、第2の骨セグメント)において骨に固定されるように構成されている。第1の部分102及び第2の部分104は、1つ以上の固定ねじを内部に受容するように構成された、1つ以上の固定開口部106をそれぞれ含み得る。固定ねじは、第1の部分102及び第2の部分104をそれぞれ第1の位置及び第2の位置において骨に結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の固定開口部106は、本明細書に記載のように、固定ねじの頭部のねじ山に螺合するための雌ねじ山を有する止めねじ穴を含む。第1の部分102及び第2の部分104の一方又は両方は、骨への髄外取り付け用に構成され得る。
【0013】
骨を成長させる、すなわち延長させるために、骨は、事前に分離され得るか、又はこの分離を作り出すように意図的に切断若しくは破壊されているか(例えば、骨切り術によって)であり、骨は、第1のセグメント及び第2のセグメントに分割される。切断は、調整可能なインプラント100を埋め込み、固定する前に行われてよく、又は調整可能なインプラント100の埋め込み後に行われてよい(例えば、可撓性Gigliソーを使用することによって)。本明細書に記載のように、インプラント100は、第2の部分104が、長手方向軸(A2)に沿って、第1の部分102に対する遠位又は近位への収縮(例えば、圧縮のため)及び延長(例えば、肢延長のため)の一方又は両方を行うことができるように構成されている。調整可能なインプラント100は、非侵襲的な遠隔制御によって第1の部分102に対する第2の部分104の制御された、正確な並進を可能にし、したがって、第1の部分102に結合された第1の骨セグメントに対する、第2の部分104に結合された第2の骨セグメントの制御された、正確な並進を可能にするように構成されている。
【0014】
肢延長のための治療期間にわたって、骨は定期的に延長され、新たな分離が生じ、そこに骨形成が生じ得る。「定期的に延長される」とは、定期的又は周期的に(ほぼ毎日又は数日ごとであり得る)肢延長が生じることを示すことを意味する。例示的な延長速度は、1日当たり1ミリメートルであるが、他の延長速度も用いられ得る。すなわち、典型的な延長レジメンは、調整可能なインプラント100の長さを、毎日約1ミリメートル増加させることを含み得る。これは、例えば、各回0.25mmの延長をもたらす、1日当たり4回の延長期間によって成し遂げられ得る。調整可能なインプラント100は、軸(A
1)を中心とした回転運動を駆動するように構成された駆動アセンブリ110を含み、第2の部分104が第1の部分102から入れ子式に延在することを可能にし、したがって、骨の第1のセグメント及び第2のセグメントを互いに離隔させる。
図1に示すように、回転軸A
1は軸A
2に直交し得る。本開示の代替の実施形態では、回転軸A
1及び軸A
2は、以下でより詳細に開示するように、斜角を形成する。
【0015】
図2を参照すると、調整可能なインプラント100は、第1の部分102内に少なくとも部分的に配設されるか、又は第1の部分102に結合された駆動アセンブリ110を含む。駆動アセンブリ110は、駆動部112の回転軸A
1を中心とした回転運動を駆動するように構成された駆動部112を含む。駆動部は、モータ又は外部駆動式の回転永久磁石など様々な形態のいずれかであり得る。図示の駆動アセンブリ110は、駆動部112から近位に延在し、かつ駆動部112に回転可能に結合された駆動シャフト114を更に含む。駆動部112及び駆動シャフト114は、1つ以上の軸受116など1つ以上の機械的ハードウェア構成要素によって、第1の部分102内に軸方向に固定され得る。図示の実施形態では、駆動部112は、外部から印加された磁場によって回転するように構成された回転永久磁石を含む。外部磁石414、416を含む外部調整装置400(
図12を参照)は、駆動部112の回転軸A
1を中心とした第1の方向又は第2の方向のいずれかへの駆動部112の回転を作動させるように構成され得る。
【0016】
第1の方向への回転は、調整可能なインプラント100の延長に対応し得、第2の方向への回転は、調整可能なインプラント100の後退に対応し得る。例えば、駆動部112は、第2の部分104の遠位並進(例えば、延長)に対応して、回転軸A1を中心として第1の方向に回転し、軸A2に沿った、第2の部分104の近位並進(例えば、圧縮処置におけるような後退)に対応して、第1の方向と反対の第2の方向に回転するように構成され得る。代替的に、調整可能なインプラントは、電気信号(例えば、外部装置によって提供されるような)に応答して回転するように構成されたモータを含み得る。モータは、埋め込み型バッテリ又は充電コンデンサなど電源に電気的に結合されて、駆動シャフト114の回転を駆動し得る。電源は、外部電源を使用して経皮的に充電するために構成され得る。
【0017】
図1~
図3で更に示すように、調整可能なインプラント100は、駆動アセンブリ110の駆動シャフト114に回転可能に結合された歯車アセンブリ120(
図2~
図3)を更に含む。歯車アセンブリ120は、以下により詳細に開示するように、互いに係合して軸A
1を中心とした駆動アセンブリ110からの回転運動を、軸A
2を中心とした親ねじ138の回転運動に伝達し、それにより、第2の部分104を軸A
2に沿って並進させるように構成された、複数の歯車(例えば、1つ以上の出力歯車、リング歯車、太陽歯車、複合遊星歯車など)を含み得る。歯車アセンブリ120は、例えば、軸A
1を中心として配設され、駆動シャフト114に回転可能に結合された複数の複合遊星歯車126を含み得、その結果、駆動部112の回転運動が、複数の複合遊星歯車126を軸A
1を中心として回転させる。
図2~
図3に示す実施形態では、歯車アセンブリ120は1段の遊星歯車を含むが、本開示の範囲内の様々な実施形態において任意の数の段が実装され得ることを理解されたい。歯車アセンブリ120内の1段以上の歯車の各段は、例えば、66:1の歯車減速比など歯車減速比を提供し得る。各複合遊星歯車126は、第1の歯車126Aから近位に延在する第2の歯車126Bに回転可能に結合され、その結果、太陽歯車124に結合された駆動シャフト114の回転運動が、軸A
1を中心として第1の歯車126Aを一群として回転させ、それによって、軸A
1を中心として第2の歯車126Bを一群として回転させる、第1の歯車126Aを含む。各複合遊星歯車の第1の歯車126Aは、第1のリング歯車122内に配設され、各複合遊星歯車126の第2の歯車126Bは、第2のリング歯車130内に配設される。
【0018】
図2及び
図3に更に示すように、歯車アセンブリ120の第1のリング歯車122は、第1の部分102に回転可能に固定される。第1のリング歯車122は、駆動部112を内部に受容するように構成された第1の空洞122Aと、軸A
1に沿って第1の空洞122Aの反対側にある第2の空洞122Bと、駆動シャフト114を内部に受容して第1の空洞122Aと第2の空洞122Bとの連通を可能にするように構成された開口部123と、を含む。第1のリング歯車122は、カバー118に係合して、駆動部112を第1の空洞122A内に保持するように構成されている。第2の空洞122Bは、内部に配設された各複合遊星歯車126の第1の歯車126Aに回転可能に係合するように構成された複数の歯車歯125を有する内面を含む。各複合遊星歯車126の第1の歯車126Aは、第2の空洞122B内の複数の歯車歯125に回転可能に係合し、駆動シャフト114に結合された第1の太陽歯車124に回転可能に係合するように構成され得、その結果、駆動シャフト114の回転が第1の太陽歯車124を回転させ、それによって、各複合遊星歯車126の第1の歯車126Aを第2の空洞122B内で第1の太陽歯車124を中心として周回させる。複数の複合遊星歯車126の第1の歯車126Aの回転運動は、それによって、第1の歯車126Aから近位に延在する第2の歯車126Bの軸A
1を中心とする回転運動を引き起こす。各複合遊星歯車126の第2の歯車126Bは、第2のリング歯車130内に受容され、第2のリング歯車130に回転可能に係合するように構成され得る。第2のリング歯車130は、内部に第2の歯車126Bを受容するように構成された空洞130Aを含む。空洞130Aは、内部に配設された各複合遊星歯車126の第2の歯車126Bに回転可能に係合するように構成された複数の歯車歯131を有する内面を含む。第2の歯車126Bは、駆動シャフト114の遠位端に回転可能に結合された第2の太陽歯車128を中心として周回し、第2の太陽歯車128に回転可能に係合する。第2の太陽歯車128は、第2の歯車126Bを支持するように構成されているが、歯車アセンブリ120の任意の歯車又は構成要素にトルクを提供しない(例えば、第2の太陽歯車128は、「空転歯車」である)。第2の歯車126Bの回転運動は、それによって、軸A
1を中心として第2のリング歯車130を回転させる。第2のリング歯車130は、ベベル出力歯車132(
図3~
図4)に回転可能に結合され、その結果、第2のリング歯車130の回転は、軸A
1を中心としてベベル出力歯車132を回転させる。したがって、駆動部112の回転は、駆動シャフト114を回転させ、次に第1の太陽歯車124を回転させ、次に複数の複合遊星歯車126を回転させ、次に第2のリング歯車130を回転させ、次にベベル出力歯車132を回転させる。
【0019】
図4に示すように、歯車アセンブリ120のベベル出力歯車132は、親ねじ138に回転可能に係合し、それによって、軸A
2を中心として親ねじ138を回転させ、次に軸A
2に沿って第2の部分104の並進を駆動するように更に構成されている。図示するように、親ねじ138は、歯車アセンブリ120に回転可能に係合するように構成されたベベル歯車140を有する第1の端部と、第2の部分104内に受容されるように構成された第2の端部との間に延在するシャフトを含む。親ねじ138は、第2の部分104内の空洞108の雌ねじ136に螺合するように構成されている、シャフトの半径方向外向きの表面に配設された雄ねじ部分142を更に含む。親ねじ138の回転は、親ねじ138の雄ねじ部分142に沿って第2の部分104を第1の部分102に対して並進させる。軸A
2を中心とした、第1の方向への親ねじ138の回転は、調整可能なインプラント100の延長に対応し得、第2の方向への回転は、調整可能なインプラント100の後退に対応し得る。歯車アセンブリ120の回転軸A
1は、例えば、親ねじ138の回転軸A
2に対して直交又は斜めであり得る角度を形成する。一例では、A
1とA
2との間の最小角度は、n度よりも大きく、nは、1度~90度の間の任意の整数(1度及び90度を含む)である。いくつかの実施形態では、親ねじ138は、親ねじ138が配設される第2の部分104の空洞108に隣接する内面に固定されるナットの内側で回転することによって、第1の部分102から第2の部分104を駆動するように構成されている。したがって、親ねじ138は、駆動アセンブリ110に間接的に機械的に結合され、その結果、駆動部112の回転は親ねじ138の回転をもたらす。したがって、駆動部112の回転は、駆動シャフト114を回転させ、次にA
1を中心として駆動アセンブリ110のベベル出力歯車132を回転させ、次に軸A
2を中心として親ねじ138を回転させ、第1の部分102に対する、次に第2の部分104の軸方向並進を駆動する。
【0020】
別の実施形態では、
図5及び
図6に示すように、調整可能なインプラント100は、歯車アセンブリに回転可能に結合された2つ以上の親ねじを含む。そのような実施形態では、2つ以上の親ねじの各々は、歯車アセンブリのベベル出力歯車に回転可能に係合するように構成されたベベル歯車を含む。歯車アセンブリに回転可能に係合する親ねじの数は、インプラントのサイズ及び形状、ベベル出力歯車の歯車の歯数、並びに/又は各親ねじのサイズ及び形状によって決定され得る。本開示は、図面に示す親ねじの数に限定されず、親ねじに対してある角度で配向される歯車アセンブリの回転に応答して軸方向に並進する、調整可能なインプラント内に配設された、任意の数の親ねじを包含する。ある実施形態では、2つ以上の親ねじは、別の部分(例えば、
図1~
図3に示す第1の部分102に類似するハウジング)に対して軸方向に並進するように構成されている、調整可能なインプラントの2つ以上の部分(例えば、延長及び圧縮ロッド)内に部分的に配設されてよい。したがって、駆動アセンブリの回転は、2つ以上の親ねじの各々の回転運動を駆動し、それによって、調整可能なインプラントの2つ以上の部分を、ハウジングに対して2つ以上の親ねじのそれぞれの回転軸に沿って軸方向に並進させる。いくつかの実施形態では、2つ以上の親ねじの各親ねじは、実質的に同一である。他の実施形態では、1つ以上の親ねじは、親ねじのうちの別の1つとは異なるサイズ及び/又は形状を有する。
【0021】
一実施形態では、例えば
図5に示すように、調整可能なインプラント100は、ベベル出力歯車132に嵌合し、同じ軸A
2を中心として回転し、それによって、軸A
2に沿って反対方向に2つの部分(図示せず)を軸方向に並進させるように構成された2つの親ねじ138A、138Bを含む。したがって、ベベル出力歯車132の回転は、親ねじ138A、138Bのベベル出力歯車140A、140Bの回転を駆動し、次に軸A
2に沿って調整可能なインプラント100のそれぞれの部分を、反対方向に雄ねじ142A、142Bを介して軸方向に並進させる。
【0022】
別の実施形態では、例えば
図6に示すように、調整可能なインプラントは、ベベル出力歯車132に嵌合し、それぞれ軸A
2、軸A
3、及び軸A
4を中心として回転するように構成されている、第1の親ねじ138A、第2の親ねじ138B、及び第3の親ねじ138Cを含む。各親ねじ138A、138B、138Cは、ベベル出力歯車132に嵌合するように構成された、それぞれのベベル歯車140A、140B、140Cを有する。したがって、ベベル出力歯車132の回転は、親ねじ138A、138B、138Cのベベル出力歯車140A、140B、140Cの回転を駆動し、次に調整可能なインプラント100のそれぞれの部分を、それぞれの軸A
2、A
3、A
4に沿って異なる方向に雄ねじ142A、142B、142Cを介して軸方向に並進させる。各軸A
2、A
3、A
4は、ベベル出力歯車132の回転軸A
1に直交し、他の親ねじ軸に対してある角度(例えば、斜角、直交角度など)を形成する(すなわち、θ
34及びθ
24)。
【0023】
図5及び
図6の例では、第1の部分102(例えば、駆動部112及び歯車アセンブリ120が保持される調整可能なインプラントの部分)は、(例えば、1つ以上の固定開口部106を有することによって)骨に直接固定されるように構成され得るか、又は(例えば、固定開口部106を有さないことによって)骨に直接接続され得ない。例示的な実装形態では、2つ以上の親ねじ138は、(例えば、固定開口部を有することによって)骨に固定されたそれぞれの構成要素を第1の部分に対して並進させる。
【0024】
図7を参照すると、歯車アセンブリ220に回転可能に係合するように構成されたウォーム歯車216を有する駆動アセンブリ210を含む調整可能なインプラント200の別の実施形態の斜視図が示されている。図示のように、調整可能なインプラント200は、第1の位置において患者の骨に固定されるように構成された第1の部分202と、第2の位置(例えば、第2の骨セグメント)において骨に固定されるように構成された、第1の部分202内に少なくとも部分的に配設された第2の部分104と、を含む。調整可能なインプラント200は、非侵襲的な遠隔制御によって第1の部分202に対する第2の部分204の制御された、正確な並進を可能にし、したがって、第1の部分202に結合された第1の骨セグメントに対する、第2の部分204に結合された第2の骨セグメントの制御された、正確な並進を可能にするように構成されている。
図1~
図3に示す実施形態とは対照的に、調整可能なインプラント200の駆動アセンブリ210は、軸A
5を中心とした駆動シャフト214の回転運動を駆動し、それによって、軸A
1を中心として歯車アセンブリ220を回転させるように構成された駆動部212(例えば、回転永久磁石)を含む。駆動シャフト214は、歯車アセンブリ220の入力歯車222に嵌合し、次に、軸A
1を中心として歯車アセンブリ220の複数の遊星歯車226を回転させ、それにより軸A
1を中心として歯車アセンブリ220の出力歯車232を回転させるように構成されたウォーム歯車216を含む。歯車アセンブリ220は、
図1~
図4に関して記載した歯車アセンブリ120と同様に、回転運動を駆動アセンブリ210から第1の部分202内に配設された親ねじ(図示せず)に伝達するように構成されており、その詳細は簡潔にするために本明細書では省略している。駆動アセンブリ210から親ねじに回転運動を伝達するように構成された他の歯車アセンブリ設計もまた、本発明の範囲内で企図されることに留意されたい。したがって、駆動部212の回転は、軸A
5を中心として駆動シャフト214を回転させ、次に軸A
5を中心としてウォーム歯車216を回転させ、次に軸A
1を中心として入力歯車222を回転させ、次に軸A
1を中心として複数の遊星歯車226を回転させ、次に軸A
1を中心として出力歯車232を回転させ、次に軸A
2を中心として親ねじを回転させ、次に軸A
2に沿って第2の部分204を第1の部分202に対して軸方向に並進させる。いくつかの実施形態では、駆動アセンブリ210の軸A
5は、歯車アセンブリ220の軸A
1に直交する。他の実施形態では、駆動アセンブリ210の軸A
5は、歯車アセンブリ220の軸A
1と斜角を形成する。
【0025】
図8~
図10に示すように、別の実施形態による調整可能なインプラント300は、第2の部分304及び第3の部分305を内部に受容するように構成された第1の部分302(例えば、ハウジング)を含む。部分302、304、305のうちの2つ以上は、それぞれの位置において患者の骨に係合する形状及び寸法の平板を含み得る。例えば、第1の部分302は、(必須ではないが)第1の位置(例えば、第1の骨セグメント)において骨に固定されるように構成され得る。第2の部分304は、第1の位置又は第2の位置(例えば、第1の骨セグメント又は第2の骨セグメント)において骨に固定されるように構成され得る。第3の部分305は、第2の位置又は第3の位置(例えば、第2の骨セグメント又は第3の骨セグメント)において骨に固定されるように構成され得る。各部分302、304、305は、各部分302、304、305を骨のそれぞれの位置に結合するように構成されている1つ以上の固定ねじを内部に受容するように構成された1つ以上の固定開口部306を更に含み得る。本明細書に記載のように、第2の部分304は、長手方向軸(A
6)に沿って第1の部分302に対して第1の方向に延長するように構成されており、第3の部分305は、長手方向軸A
6に沿って反対の第2の方向に第1の部分302に対して延長するように構成されている。調整可能なインプラント300は、非侵襲的遠隔制御によって、第1の部分302に対する第2の部分304及び第3の部分305の制御された、正確な並進を可能にし、したがって、長手方向軸A
6に沿った、第1の骨セグメントに対する第2の骨セグメント及び第3の骨セグメントの制御された、正確な並進を可能にするように構成されている。
【0026】
図9~
図10を参照すると、調整可能なインプラント300の追加の内部特徴が示されている。調整可能なインプラント300は、第1の部分302(
図8)内に少なくとも部分的に配設された駆動アセンブリ310を含む。駆動アセンブリ310は、駆動部312の回転軸A
8を中心とした回転運動を駆動するように構成された駆動部312、例えば、回転永久磁石又はモータなどを含む。駆動アセンブリ310は、駆動部312から近位に延在し、かつ駆動部312に回転可能に結合された駆動シャフト314を更に含む。駆動部312及び駆動シャフト314は、1つ以上の機械的ハードウェア構成要素によって、第1の部分302内に軸方向に固定され得る。駆動アセンブリ310は、駆動シャフト314に沿って配設された駆動部出力歯車316を更に含み得る。
図9~
図10に示すように、駆動部312は、外部から印加された磁場によって回転するように構成された回転永久磁石を含み得る。外部磁石414、416を含む外部調整装置400(
図12を参照)は、駆動部312の回転軸A
8を中心とした第1の方向又は第2の方向のいずれかへの駆動部312の回転を作動させるように構成され得る。第1の方向又は第2の方向のうちの少なくとも1つへの回転は、例えば、軸A
6に沿った、第1の部分302に対する第2の部分304及び第3の部分305の延長に対応し得る。代替的に、調整可能なインプラント300は、電気信号(例えば、外部装置によって提供されるような)に応答して回転するように構成されたモータを含み得る。モータは、例えば、バッテリ又は充電コンデンサなど電源に電気的に結合されて、駆動シャフトの回転を駆動し得る。電源は、外部電源を使用して経皮的に充電するために構成され得る。
【0027】
図9~
図10で更に示すように、調整可能なインプラント300は、駆動部出力歯車316を介して駆動アセンブリ310に回転可能に結合された歯車アセンブリ320を更に含む。歯車アセンブリ320は、互いに係合して、軸A
8を中心とした駆動部312からの回転運動を軸A
6に沿って配設されたラチェットアセンブリ330に伝達するように構成された複数の歯車(例えば、入力歯車、出力歯車など)を含む。これにより、ラチェットアセンブリ330は、本明細書に記載のように、第1の部分302に対する第2の部分304及び第3の部分305の軸方向並進を作動させる。歯車アセンブリ320は、例えば、駆動シャフト314に回転可能に結合された入力歯車322と、入力歯車322に回転可能に係合するように構成された出力歯車324と、出力歯車324に回転可能に係合するように構成された偏心シャフト326と、を含み得る。したがって、駆動部312の回転は、駆動シャフト314を回転させ、次に入力歯車322を回転させ、次に出力歯車324を回転させ、次に偏心シャフト326を回転させる。偏心シャフト326はラチェットアセンブリ330と結合され、その結果、偏心シャフト326の回転がラチェットアセンブリ330を作動させる。
【0028】
いくつかの実施形態では、
図8~
図10に示すように、ラチェットアセンブリ330は、第1のラチェットアーム332Aと、第2のラチェットアーム332Bと、を含み、その各々は、第1の部分302内に配設され、偏心シャフト326と回転可能に結合されている。第1のラチェットアーム332A及び第2のラチェットアーム332Bは、駆動アセンブリ310の回転に応答して、偏心シャフト326を中心として第1の部分302内で回転し、それによって、第2の部分304及び第3の部分305をそれぞれ、第1の部分302に対して軸A
6(
図8)に沿って軸方向に並進させるように構成されている。第1のラチェットアーム332Aは、第1のラチェット334Aに結合された第1の端部と、偏心シャフト326に回転可能に結合された第2の端部と、を含む。第2のラチェットアーム332Bは、第2のラチェット334Bに結合された第1の端部と、偏心シャフト326に回転可能に結合された第2の端部と、を含む。
図10に示すように、ラチェットアセンブリ330は、第2の部分304に配設された第1の直線ラック336Aと、第3の部分305に配設された第2の直線ラック336Bと、を更に含む。第1の直線ラック336A及び第2の直線ラック336Bの各々は、第1のラチェット334A及び第2のラチェット334Bにそれぞれ係合して、軸A
6に沿った軸方向並進を増分的に駆動するように構成された複数のラチェット歯337を有し得る。ラチェットアセンブリ330は、第1の直線ラック336Aに係合するように構成された第1の歯止め338Aと、第2の直線ラック336Bに係合するように構成された第2の歯止め338Bと、を更に含む。第1の歯止め338A及び第2の歯止め338Bは、軸A
6に沿った、第1の方向への第2の部分304及び第3の部分305のそれぞれの延長を可能にするが、第1の方向とは反対の第2の方向への第2の部分304及び第3の部分305のそれぞれの後退を阻止する寸法である。ラチェットアセンブリ330は、駆動アセンブリ310からの回転運動が不在の場合に、それぞれの直線ラック336A、336Bのラチェット歯337内にラチェット334A、334B及び/又は歯止め338A、338Bを位置付けるように構成されている機械的ハードウェア、例えば、ばね340などを更に含み得る。したがって、駆動部312の回転は、駆動シャフト314を回転させ、次に入力歯車322を回転させ、次に出力歯車324を回転させ、次に偏心シャフト326を回転させ、次にラチェットアセンブリ330に、軸A
6に沿った、第1の部分302に対する第2の部分304及び第3の部分305の軸方向並進を作動させる。
【0029】
図11に示すように、いくつかの実施形態では、調整可能なインプラント300は、第1の部分302に対する、第2の部分304の軸方向並進を作動させるように構成されたラチェットアセンブリ330を含む。
図8~
図10に示す実施形態とは対照的に、
図11の調整可能なインプラント300は、第3の部分305及び第3の部分305に係合するように構成されているラチェットアセンブリ330の関連構成要素を含まない。
【0030】
図12~
図14は、記載されるように、移動磁場を印加して、調整可能なインプラント100、200、300内の駆動部112、212、312を回転させることによって、調整可能なインプラント100、200、300の非侵襲的な調整を可能にするために構成された外部調整装置400を示す。外部調整装置400はまた、外部遠隔コントローラ又は外部遠隔制御装置とも称され得、調整可能なインプラント100、200、300の駆動アセンブリ110、210、310に関して同様に動作し得る。
図12は、外部調整装置400の内部構成要素を示し、明確な参照のために、アセンブリの残りの部分を除いて、(本明細書に開示される駆動部112、212、312及びインプラントシステム100、200、300を代表して)調整可能なインプラント100の駆動部112を示す。外部調整装置400の内部動作構成要素は、ある特定の実施形態では、米国特許出願公開第2012/0004494号(参照により本明細書に援用される)に記載されているものと同様であってもよい。歯車ボックス404を備えたモータ402は、モータ歯車406に対して出力する。モータ歯車406は、第1の磁石歯車410及び第2の磁石歯車412を同一の回転速度で回転させるために好適な歯数を有する、中心(空転)歯車408に係合し、回転させる。第1の磁石414及び第2の磁石416は、それぞれ、第1の磁石歯車410及び第2の磁石歯車412と連動して回転する。各磁石414、416は、それぞれの磁石カップ418(部分的に示されている)内に保持される。例示的な回転速度は、60RPM以下であり得る。この速度範囲は、体組織及び体液に誘導された電流密度の量を制限し、国際的なガイドライン又は基準を満たすように構成され得る。
図12に見られるように、第1の磁石414のS極422は、第2の磁石416のN極424と同じ方向に向いており、同様に、第1の磁石414は、第2の磁石416のS極428と同じ方向に向いているN極426を有する。これらの2つの磁石414、416が同期して一緒に回転すると、それらは、N極432及びS極434を有する放射状に分極した駆動部112に相補的かつ相加的な移動磁場を印加する。複数のN極(例えば、2つ)及び複数のS極(例えば、2つ)を有する磁石もまた、装置の各々において企図される。2つの磁石414、416が第1の回転方向442(例えば、反時計回り)に回転すると、磁気結合により、駆動部112が反対の第2の回転方向444(例えば、時計回り)に回転する。モータ402の回転方向及び磁石414、416の対応する回転方向は、ボタン446、448によって制御される。1つ以上の回路基板452は、磁石414、416の回転を感知すること、及び磁石414、416の回転を制御することの両方のための制御回路を含む。
【0031】
図13及び
図14は、大腿骨(
図13)又は脛骨(
図14)に配置された装置と共に使用するための外部調整装置400を示す。外部調整装置400は、外部調整装置400を運ぶか、又は固定するための、例えば、(
図13のように)上腿456又は(
図14のように)下腿457に対して安定させるための第1のハンドル454を有する。調整可能なハンドル458は、枢動点460、462で外部調整装置400に回転可能に取り付けられる。枢動点460、462は、ハウジング464に対して調整可能なハンドル458を所望の角度に調整し、向きをロックすることができるように、ばね仕掛けのブレーキ、ラチェット、又は締め付けねじなどの容易にロック可能/ロック解除可能な機構を有する。
図13において、調整可能なハンドル458は、ループ468の天頂部466がハウジング464に凭れるように設定される。この位置において、患者470は、調整手順(例えば、0.10mm~1.50mmの間で骨を移動すること)が行われている間、グリップ472、474の一方又は両方を握ることができる。手順は、骨延長装置のための延長手順又は骨の外部に取り付けられる延長プレートのための延長手順であってもよいことが企図される。
図14を見ると、調整可能なインプラント100が脛骨に埋め込まれるとき、調整可能なハンドル458は、外部調整装置400の磁石領域476が、駆動部112を含む調整可能なインプラント100の部分の上方に保持されるように、患者470が天頂部466を掴むことができる位置に変更され得る。いずれの場合も、患者470は、ディスプレイ482を含む制御パネル478をはっきり見ることができる。
図12における2つの方向ボタン446、448とは異なる構成において、制御パネル478は、スタートボタン484、ストップボタン486、及びモードボタン488を含む。外科医は、回路基板452上に含まれる制御回路を使用して、各特定の患者の特定の態様に関する重要な情報を記憶することができる。例えば、一部の患者では、インプラントを脛骨内に順行的に配置することができる。他の患者では、インプラントは、大腿骨の周りに順行的又は逆行的にのいずれかで配置され得る。これら3つの場合の各々において、骨を遠位から近位、又は近位から遠位のいずれかに移動させることが望ましい場合がある。外部調整装置400内の各特定の患者に特有のこの種の情報を記憶する能力を有することによって、外部調整装置400は、磁石414、416を自動的に正しい方向に回転させるように指示するように構成することができ、一方、患者は、外部調整装置400を所望の位置に配置し、スタートボタン484を押すだけでよい。1日当たりの最大許容骨輸送長及び1セッション当たりの最大許容骨輸送長の情報はまた、安全目的のために外科医によって入力及び記憶することができる。これらは、SDカード若しくはUSB装置を介して、又はワイヤレス入力によって追加することもできる。追加の特徴は、皮膚の上に配置される外部調整装置400の部分にあるカメラである。例えば、カメラは、第1の磁石414と第2の磁石416との間に配置され得る。埋め込まれた駆動部112を直接覆う皮膚は、消えないインクでマークされ得る。次いで、カメラからのライブ画像が、制御パネル478のディスプレイ482上に表示され、ユーザが、第1の磁石414及び第2の磁石416を、皮膚にマークされた領域の真上に配置することが可能になる。ディスプレイ482上で、十字線をライブ画像の上に重ねることができ、ユーザが十字線の間の皮膚上のマークを位置合わせし、したがって、外部調整装置400を最適に配置することが可能になる。
【0032】
他の外部調整装置が、本明細書に記載の延長装置の作動を引き起こすために使用され得る。このような外部調整装置としては、例えば、2009年11月20日に出願された米国特許第8,382,756号、2011年6月29日に出願された同第9,248,043号、2012年6月6日に出願された同第9,078,711号、2012年10月18日に出願された同第9,044,281号、2015年4月28日に出願された米国特許出願第14/698,665号、2015年11月4日に出願された同第14/932,904号、2016年12月12日に出願された同第16/004,099号、及び2020年2月7日に出願された国際出願PCT/US2020/017338号に記載されているものが挙げられ、これらは全て、あたかもその全体が記載されているかのように、参照により本明細書に援用される。
【0033】
本明細書に記載の例は、他の出願に記載の技法から利益を得ることができる。一例では、米国特許第10,405,891号(2017年9月8日に米国特許出願第15/699,711号として出願、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される)に記載のメンテナンス特徴部は、本明細書の例と共に使用するように適合させることができる。一例では、米国特許出願第17/806,552号(2022年6月13日に出願、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される)に記載の修正キーパー機構は、本明細書の例と共に使用するように適合させることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者に埋め込まれた延長装置のアクチュエータを手術後に非侵襲的に作動させることによる仮骨延長の方法を提供する。延長装置のアクチュエータを作動させることは、無傷の皮膚を通して経皮的に行われ得る。本方法は、延長装置を患者に埋め込むことと、1つ以上の固定アンカーを埋め込んで、延長装置を患者の骨セグメントに結合することと、を更に含み得る。本方法は、患者に1つ以上の切開部を形成して、その1つ以上の切開部を通して延長装置又は固定アンカーを埋め込むことを含み得る。本方法は、外部調整装置の1つ以上の外部磁石を回転させることによって、延長装置の1つ以上の内部磁石を回転させ、それによって、手術後に非侵襲的にアクチュエータを作動させることを更に含み得る。例えば、
図15に示すように、本開示の方法1500は、調整可能なインプラントを第1の骨セグメント及び第2の骨セグメントに埋め込むステップ1510と、第1の軸を中心として駆動アセンブリを作動させるステップ1520と、第2の軸に沿って第2の骨セグメントを第1の骨セグメントに対して延長させるステップ1530と、継続した骨成長を可能にするステップ1540と、を含み得る。
【0035】
上記の実装形態は、主に外部磁気駆動型の調整可能なインプラントシステムに関連しているが、他の駆動システムも使用することができる。例えば、磁石ベースの駆動に加えて、又はその代わりに、駆動要素のうちの1つ以上は、埋め込まれた電気モータの形態をとることができる。埋め込まれた電気モータは、外部電源(例えば、高周波リンクを介して、超音波エネルギー伝達技術を介して、誘導接続を介して、別の技術を介して、若しくはそれらの組み合わせを介して)又は埋め込まれた電源(例えば、外部電源によって充電され得るバッテリ又は充電コンデンサ)によって電力供給され得る。埋め込まれた電源は、インプラント内(例えば、そのハウジング内)にあってもよく、又はインプラントから分離され、ケーブルを介してインプラントに結合されてもよい。
【0036】
上記の明細書及び特許請求の範囲において、「~のうちの少なくとも1つ」又は「~のうちの1つ以上」などの語句は、要素又は特徴の連言的なリストが後に続く場合がある。「及び/又は」という用語は、2つ以上の要素又は特徴のリストに現れる場合がある。別段、使用される文脈と暗黙的又は明示的に矛盾しない限り、そのような語句は、列挙された要素若しくは特徴のいずれかを個別に、又は列挙された要素若しくは特徴のいずれかを他の列挙された要素若しくは特徴のいずれかと組み合わせて意味することが意図される。例えば、語句「A及びBのうちの少なくとも1つ」、「A及びBのうちの1つ以上」、並びに「A及び/又はB」は、各々、「Aのみ、Bのみ、又はAとBとの組み合わせ」を意味することが意図される。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストについても意図される。例えば、語句「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、並びに「A、B、及び/又はC」は、各々、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、又はAとBとCとの組み合わせ」を意味することが意図される。上記及び特許請求の範囲における「に基づく」という用語の使用は、列挙されていない特徴又は要素も許容されるように、「に少なくとも部分的に基づいて」を意味することが意図されている。
【0037】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」などの用語は、順序、量、又は重要性を示すものではなく、むしろある要素を別の要素から区別するために使用され、また、本明細書における「a」及び「an」という用語は、量の限定を示すものではなく、参照される項目のうちの少なくとも1つの存在を示す。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises(有する、備える))」及び/又は「含んでいる(comprising(有している、備えている))」は、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在若しくは追加を排除するものではない点が、更に理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「実質的に」とは、主に、ほとんどの場合、完全に特定されたもの、又は本開示と同じ技術的利点を提供する任意のわずかな逸脱を指す。更に、「例示的」として本明細書で説明される実施形態又は実装形態は、例えば、他の実施形態又は実装形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。むしろ、実施形態が「例示的な」実施形態であることを反映する又は示すことが意図されている。
【0038】
前述の説明で記載された実装形態は、本明細書で説明される主題と一致する全ての実装形態を表すわけではない。むしろ、それらは、説明された主題に関連する態様と一致するいくつかの例にすぎない。本明細書ではいくつかの変形例を詳細に説明してきたが、他の修正又は追加も可能である。特に、更なる特徴及び/又は変形例が、本明細書に記載されるものに加えて提供され得る。例えば、上記の実装形態は、開示された特徴の様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせ、並びに/又は本明細書で開示されたものに加えて、1つ若しくは複数の特徴の組み合わせ及び部分的な組み合わせを対象とすることができる。加えて、添付の図面に示され、及び/又は本明細書で説明される論理フローは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序又は連続した順序を必ずしも必要としない。以下の特許請求の範囲の範囲は、他の実装形態又は実施形態を含み得る。
【外国語明細書】