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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157554
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】画像センサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/69 20230101AFI20241030BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20241030BHJP
【FI】
H04N25/69
H04N25/76
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071503
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】63/461,752
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/628,425
(32)【優先日】2024-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エフライム・デイヴィッド・ハーウィッツ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・チェイピン・ガスリー
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX11
5C024CY27
5C024CY44
5C024GY31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像センサの制御及び/又は読み出しにおける障害を検出するための機能を有する撮像システムを提供する。
【解決手段】撮像システム300が備える画像センサは、複数の撮像画素、及び基準信号に結合された少なくとも1つの診断画素(網掛けされたボックスによって表される)を有する。診断画素の基準信号は、基準電圧Vrefに接続された電位分割器ネットワークRA~RCを使用して生成される。撮像システムは、1つ以上の撮像画素を選択し、各選択された撮像画素に対して撮像信号を読み出し、少なくとも1つの診断画素を選択し、各選択された診断画素に対して、選択された診断画素の基準信号を示す診断信号を読み出し、システム診断で使用するために診断信号を出力するように構成されている制御及び読み出し回路320を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像システムであって、前記システムが、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、前記撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
基準信号に結合された少なくとも1つの診断画素と、を備える、画像センサと、
制御及び読み出し回路であって、
前記撮像画素のうちの1つ以上を選択し、各選択された撮像画素に対して、前記選択された撮像画素上に蓄積された前記電荷を示す撮像信号を読み出し、
前記少なくとも1つの診断画素を選択し、各選択された診断画素に対して、前記選択された診断画素の前記基準信号を示す診断信号を読み出し、
システム診断で使用するために前記診断信号を出力するように構成されている、制御及び読み出し回路と、を備える、撮像システム。
【請求項2】
それぞれの基準信号に各々結合されている、第1の複数の診断画素を備え、
前記第1の複数の診断画素が、1つ以上の列の診断画素として配列され、
前記制御及び読み出し回路が、
前記画像センサの特定の行の前記撮像画素を選択して読み出し、
前記画像センサの前記特定の行にある前記1つ以上の診断画素を選択して読み出すように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記第1の複数の診断画素が、単一の列の診断画素として配列されている、請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記第1の複数の診断画素の各々に対する前記基準信号が異なる、請求項3に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記第1の複数の診断画素が、複数の列の診断画素として配列されている、請求項2に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記第1の複数の診断画素の各行に対して使用される基準信号の組み合わせが異なる、請求項5に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記制御及び読み出し回路が、前記特定の行の前記撮像画素及び前記少なくとも1つの診断画素の前記選択及び読み出しを制御するために、制御信号を出力するように構成されている行制御回路を備え、
行制御ユニットが、撮像画素の一方の端の列に隣接する、前記画像センサの一方の側に位置付けられ、
前記1つ以上の列の診断画素が、前記行制御ユニットの側に対して前記画像センサの反対側に位置付けられている、請求項2に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記制御及び読み出し回路が、前記特定の行の前記撮像画素及び前記1つ以上の診断画素を同時に選択して読み出すように構成されている、請求項2に記載の撮像システム。
【請求項9】
それぞれの基準信号に各々結合されている、第2の複数の診断画素を備え、
前記第2の複数の診断画素が、1つ以上の行の診断画素として配列され、
前記制御及び読み出し回路が、
1つの行の撮像画素を選択して、複数の読み出しラインを介してそれらの撮像信号を読み出し、
前記1つ以上の行の診断画素のうちの1つの行を選択して、前記複数の読み出しラインを介してそれらの診断信号を読み出すように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記第2の複数の診断画素が、単一の行の診断画素として配列されている、請求項9に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記第2の複数の診断画素の各々に対する前記基準信号が異なる、請求項10に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記第2の複数の診断画素が、複数の行の診断画素として配列されている、請求項9に記載の撮像システム。
【請求項13】
前記第2の複数の診断画素の各列に対して使用される基準信号の組み合わせが異なる、請求項12に記載の撮像システム。
【請求項14】
前記1つ以上の行の診断画素が、前記複数の読み出しラインが前記撮像信号及び診断信号を出力する側に対して、前記画像センサの反対側に位置付けられている、請求項9に記載の撮像システム。
【請求項15】
各選択された診断画素に対する前記診断信号と前記基準信号との比較に基づいて、前記画像センサ並びに/又は前記制御及び読み出し回路における障害を検出するように構成されている診断ユニットを、更に備える、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項16】
撮像システムであって、前記システムが、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、前記撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
各行の撮像画素に対して、読み出しのために前記行の撮像画素を選択するための行制御ラインと、を備える、画像センサと、
前記撮像画素の前記選択及び読み出しを制御するために、各行制御ラインに結合され、各行制御ラインに制御信号を出力するように構成されている行制御回路と、
各行制御ラインに結合され、前記撮像画素の選択及び読み出しの間、前記行制御ライン上の前記制御信号に基づいて生成される信号を出力するように構成されている、診断回路と、を備える、撮像システム。
【請求項17】
前記診断回路が、前記行制御回路の動作を複製するように構成されている、行制御回路の複製である、請求項16に記載の撮像システム。
【請求項18】
前記診断回路が、前記撮像画素の選択及び読み出しの間、前記診断回路によって出力された前記信号が、選択された前記行の画素を識別するように構成されている論理を備える、請求項16に記載の撮像システム。
【請求項19】
前記行制御回路が、各行制御ラインの一端に結合され、前記診断回路が、各行制御ラインの他端に結合されている、請求項16に記載の撮像システム。
【請求項20】
撮像システムであって、前記システムが、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、前記撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
第1の複数の診断撮像画素であって、前記診断撮像画素のうちのいくつかが、それらが前記診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積しないように陰にされており、前記診断撮像画素のうちのその他のものが、それらが前記診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように陰にされていない、第1の複数の診断撮像画素と、を備える、画像センサと、
制御及び読み出し回路であって、
前記撮像画素のうちの1つ以上を選択し、各選択された撮像画素に対して、前記選択された撮像画素上に蓄積された前記電荷を示す撮像信号を読み出し、
前記複数の診断撮像画素のうちの少なくとも1つを選択し、各選択された診断画素に対して、前記選択された診断画素上に蓄積された前記電荷を示す診断信号を読み出し、
システム診断で使用するために前記診断信号を出力するように構成されている、制御及び読み出し回路と、を備える、撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つ以上の診断画素を有する画像センサと、診断画素から診断信号を読み出すように配列された制御及び読み出し回路と、を備える画像センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサは、典型的には、行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素を備える。各画素は、画素に入射する光に依存して電荷を蓄積する。典型的には、その電荷は、読み出しラインを使用して画像センサから出力され、次いで、アナログデジタル変換器(ADC)を使用してデジタルに変換される。例えば、制御回路は、1つの次元において画像センサにまたがる制御ラインを使用して、読み出される画素を選択し得る(例えば、画素が行ごとに選択され得るように、各行に沿って走る1つ以上の制御ラインが存在し得る)。選択された画素上の電荷は、次いで、第2の次元において画像センサにまたがる読み出しラインを使用して出力され得る(例えば、選択された行の画素が読み出しラインを使用して同時に出力され得るように、各列に沿って走る少なくとも1つの読み出しラインが存在し得る)。それらの出力値は、次いで、1つ以上のADCによってデジタルに変換され得る。
【0003】
画像センサは、様々な異なる目的のために使用され、その多くに対して、安全上の理由から、画像センサの精度及び信頼性が重要である。例えば、自動運転又は半自動運転車両は、車両の周りの環境を把握し、車両がどのように安全に進行し得るかについて決定を下すために、タイムオブフライト(ToF)又はライダ(LIDAR)システムを使用し得る。ToF及びLIDARシステムは、通常、光景の深度マップ/フレームを生成するために使用される画像センサを有し、これを使用して、車両は、車両の周りの物体の3D位置を把握し得る。画像センサが正しく機能していない場合、深度マップ/フレームは、車両が危険な行動を起こす結果をもたらし得るエラー又は不正確さを含み得る。更なる例では、2D画像センサ(すなわち、ToFでもLIDARでもない画像センサ)は、画像センサの動作エラーが不安全な行動を引き起こす可能性があるセーフティクリティカルなシステムにおける物体認識のためなどの、安全が重要である目的のために使用され得る。
【0004】
画像センサ並びにその周辺の制御及び読み出し回路に伴って発生するかもしれない多くの様々な種類の障害が存在する。例えば、行が、誤った順序で選択され読み出される可能性があるが、このことは、画像のいくつかの行が、光景の1つの部分を撮像しているように見える可能性があるのに、実際には光景の別の部分を撮像しているために、撮像された光景を不正確に表現する画像をもたらし得る。別のエラーは、列が、誤った順序で読まれ得ることであり、このことは、画像のいくつかの列が、光景の1つの部分を撮像しているように見える可能性があるのに、実際には光景の別の部分を撮像しているために、撮像された光景を不正確に表現する画像をもたらし得る。別のエラーは、ラインの破断など、行選択制御ライン及び/又は電荷読み出しラインの障害であり得、このことは、これらの画素の内容が信頼できないように、適切に選択及び/又は読み出しがされていない画素を含む画像をもたらし得る。別のエラーは、画像内の不正確な、したがって信頼できない画素をもたらす1つ以上のADCの障害であり得る。撮像センサがセーフティクリティカルなシステムで使用される場合、撮像センサの出力を使用するシステムが、撮像センサの使用を停止する、又はセーフティクリティカルなシステムの電源をオフにする、又は障害が発生したことを伝達して調査及び修復がされ得るなどの適切な措置を講じることができるように、これらのような障害がいつ発生しているかを検出することが重要であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、撮像システムを提供する。本システムは、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
基準信号に結合された少なくとも1つの診断画素と、を備える、画像センサと、
制御及び読み出し回路であって、
撮像画素のうちの1つ以上を選択し、各選択された撮像画素に対して、選択された撮像画素上に蓄積された電荷を示す撮像信号を読み出し、
少なくとも1つの診断画素を選択し、各選択された診断画素に対して、選択された診断画素の基準信号を示す診断信号を読み出し、
システム診断で使用するために診断信号を出力するように構成されている、制御及び読み出し回路と、を備える。
【0006】
本開示の別の態様は、撮像システムを提供する。本システムは、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
各行の撮像画素に対して、読み出しのために行の撮像画素を選択するための行制御ラインと、を備える、画像センサと、
撮像画素の選択及び読み出しを制御するために、各行制御ラインに結合され、各行制御ラインに制御信号を出力するように構成されている行制御回路と、
各行制御ラインに結合され、撮像画素の選択及び読み出しの間、行制御ライン上の制御信号に基づいて生成される信号を出力するように構成されている、診断回路と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、撮像システムを提供する。本システムは、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
第1の複数の診断撮像画素であって、診断撮像画素のうちのいくつかが、それらが診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積しないように陰にされており、診断撮像画素のうちのその他のものが、それらが診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように陰にされていない、第1の複数の診断撮像画素と、を備える、画像センサと、
制御及び読み出し回路であって、
撮像画素のうちの1つ以上を選択し、各選択された撮像画素に対して、選択された撮像画素上に蓄積された電荷を示す撮像信号を読み出し、
複数の診断撮像画素のうちの少なくとも1つを選択し、各選択された診断画素に対して、選択された診断画素上に蓄積された電荷を示す診断信号を読み出し、
システム診断で使用するために診断信号を出力するように構成されている、制御及び読み出し回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の態様は、単なる例として、以下の図面を参照して説明される。
【0009】
図1】例示的な撮像画素の構造を示す。
図2】例示的な診断画素の構造を示す。
図3】本開示の一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図4図3の撮像システムの更なる詳細の例示的な概略図を示す。
図5】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図6】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図7】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図8】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図9】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図10】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図11】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図12図11のシステムの例示的な実装形態の更なる詳細を示す。
図13】本開示の更なる一態様による撮像システムの例示的な概略図を示す。
図14図11のシステムの例示的な実装形態の更なる詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
画像センサがセーフティクリティカルなシステムの一部として使用される場合、共通の要件は、行及び/又は列の読み出し順序が正しくないかどうか(例えば、画像が反転されているかどうか、行が交換されているかどうか、行が飛ばされているかどうか、行が繰り返されているかどうか、列が交換されているかどうか、列が飛ばされているかどうか、列が繰り返されているかどうかなど)が検出され得るように、画像読み出しの順序が知られていることである。それ自体が機能的に安全であることが証明されていない画像センサに対しては、読み出し順序は、安全システムを構築するために、システム内の別のデバイスによって証明可能である必要があり得る。これは、読み出し順序を検証するために使用される診断情報が、画像センサから読み出される画像データ内に埋め込まれるべきであることを意味する。
【0011】
いくつかのシステムは、いくつかの画像センサ画素内の値を所定の診断値でデジタルに置き換えることを試みることができ、その結果、それらの診断値が、それらが設定された同じ位置から、正確に読み出されているかどうかを検出することができる。しかしながら、それらのような解決策は、画像センサに診断値を加える回路及び制御信号が、正しくかつ正確に動作していることを想定しており、必ずしもそうであるとは限らない。
【0012】
したがって、本発明者らは、追加の診断回路(画像センサの特定の画素に診断値を加えるように構成されている回路など)に頼らずに、かつ画像センサの制御及び/又は読み出し回路における障害の検出を可能にする方法で、診断データが画像センサから読み出され得る技術を開発した。
【0013】
図1は、典型的な撮像画素構造の例を示す。画素は、画素に入射する光に依存して電荷が蓄積されるフォトダイオード(この例では、ピン留めフォトダイオードであるが、任意の好適な種類のフォトダイオードが使用され得る)を含む。電荷は、制御信号のリセット、選択、及びTXを使用して、画素から読み出しラインに読み出され得る。読み出しは、以下のプロセスを行うことによって実行され得る。
1.選択の信号を有効にして、FETの選択をオンにする。
2.リセット電圧が画素のフローティングディフュージョン(FD)に置かれ、読み出しラインに出力されるように、リセットの信号をパルスにする(例えば、オンにした後にオフにする)。
3.例えば、読み出しラインに結合されたADCを使用してリセット電圧をデジタルに変換し、そのデジタル値を格納することによって、出力リセット電圧をサンプリングする。
4.フォトダイオード電圧が画素のフローティングディフュージョン(FD)に置かれ、読み出しラインに出力されるように、TXの信号をパルスにする(例えば、オンにした後にオフにする)。
5.例えば、読み出しラインに結合されたADCを使用してフォトダイオード電圧をデジタルに変換し、そのデジタル値を格納することによって、出力フォトダイオード電圧をサンプリングする。
6.例えば、相関二重サンプリング(CDS)を実行することによって、サンプリングされたリセット電圧及びサンプリングされたフォトダイオード電圧を使用して、最終的な画素値を判定する。
【0014】
当業者によってよく理解されるように、2つのフォトダイオードを含む差動画素、又は4つのフォトダイオードを含むクワッド画素などの様々な他の画素構造及び処理された制御が可能であり、上記の構造及び処理は単なる1つの限定的でない例である。
【0015】
図2は、本開示の一態様による診断画素の例を示す。その構造は、フォトダイオードを含まず、代わりに所定の基準電圧への結合を含むことを除いて、図1と正確に同じであることが分かる。読み出しは、上記と同じ方法で実行され得る。結果として、制御及び読み出し回路の全てが正しくかつ確実に動作している場合、読み出し処理の終わりに到達した最終画素値が、(信号ノイズ及びリセット電圧変動などの要因を考慮した誤差範囲内で)所定の基準電圧に対応すべきであることを除いて、フォトダイオード画素に対するのと同じ構造及び処理が、診断画素に対して使用される。
【0016】
図3は、本開示の一態様による撮像システム300の例示的な概略図を示す。システム300は、N行及びM列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素(網掛けされていないボックスによって表される)を備える画像センサ310を含む。各撮像画素は、撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成され、各画素は、例えば、図1に示されるように(又は差動画素などの任意の他の既知の方法で)構成され得る。画像センサ310は、複数の診断画素(網掛けされたボックスによって表される)も含む。各診断画素は、図2に関連して先に説明したように、電荷を蓄積するように構成されているのではなく、それぞれが基準電圧に結合されていることを除いて、撮像画素の各々と同じ方法で構成され得る。この例において、複数の診断画素は、列、列_Dとして配列されている。
【0017】
撮像システム300は、1つ以上の撮像画素を選択し、各選択された撮像画素に対して、選択された撮像画素上に蓄積された電荷を示す撮像信号を読み出すように構成されている制御及び読み出し回路320も含む。それは、少なくとも1つの診断画素を選択し、選択された診断画素の基準電圧を示す診断信号を読み出すようにも構成されている。これらの目的のために、制御及び読み出し回路320は、行ごとに画素の選択及び読み出しを制御するように構成されている行制御回路330を備え得る。この目的のために、撮像システム300は、N個の行制御ライン335_Nを備え、それらの各々は、実際には、複数の制御信号を搬送するための複数のラインを含み得る。例えば、図1の配置では、画素の選択及び読み出し、すなわち、TX、リセット、及び選択を制御するために3つの制御信号が必要とされる。したがって、N個の行制御ライン335_Nの各々は、明確にするために単一のラインとして図3に示されているが、実際には、それらは、それぞれ、例えば、TX、リセット、及び選択の各々に対して1つずつの複数のラインを含み得る。見て分かるように、行制御ライン335_Nの各々は、その行にある撮像画素及び診断画素の全てによって共有される。結果として、行制御ユニット330は、特定の行の全ての撮像画素及び診断画素の選択及び読み出しを同時に制御するように構成されている。各選択された撮像画素に対して、撮像信号は、それらの共通の列読み出しライン342_Mを介して読み出される。例えば、列_1内の選択された撮像画素に対する撮像信号は、読み出しライン342_1を介して読み出され、列_2内の選択された撮像画素に対する撮像信号は、読み出しライン342_2を介して読み出され、列_M内の選択された撮像画素に対する撮像信号は、読み出しライン342_Mを介して読み出されるなどである。読み出された各撮像信号、例えば、各撮像電圧は、図1を参照して先に説明したように、それぞれの撮像画素上に蓄積された電荷を示す。
【0018】
図3から分かるように、行制御ライン335_Nの各々は、行制御ユニット330が撮像画素と正確に同じ方法で診断画素の選択及び読み出しを制御するように、N個の診断画素のそれぞれの1つにも結合される。各選択された診断画素に対して、撮像信号がライン342_1~342_Mを介して読み出されるのと同時に、診断信号が共通の列読み出しライン342_Dを介して読み出される。診断信号は、選択された診断画素に対する基準電圧を示すが、ノイズなどの結果として基準電圧と正確に同じではない場合がある。
【0019】
共通の列読み出しラインを介して読み出されたアナログ信号は、アナログデジタル変換器(ADC)340によってデジタルに変換され得る。この例では、読み出し信号の各々の変換が同時に行われ得るように、各読み出しラインに対して1つのADCが存在する。しかしながら、代替として、2つ以上の信号を各ADCに多重送信するために、1つ以上の多重化器も含む制御及び読み出し回路320を伴って、読み出しラインよりも少ないADC(潜在的には1つのADCのみ)が存在し得る。更なる代替手段では、読み出しラインよりも多くのADC、例えば、各読み出しラインに対して2つ以上のADCが存在し得る。撮像信号及び診断信号のデジタル表現348は、制御及び読み出し回路320から出力される。代替として、ADC340は省略される場合があり、読み出された撮像信号及び診断信号は、他の場所でのデジタル変換のために、又はアナログ領域における更なる処理/分析のために、アナログ信号として制御及び読み出し回路320から出力され得る。
【0020】
この例では、診断画素の各々に対する基準電圧は異なる。図3の例では、これは、(例えば、バンドギャップ電圧基準などの任意の好適な電圧基準発生器から)基準電圧Vrefを取得し、電位分割器ネットワークR~Rを使用して、N個の異なる基準355_Nを生成することによって達成される。しかしながら、それは、代替的に、例えば、N個の独立した基準電圧などを使用して、任意の他の好適な方法で達成し得る。
【0021】
電圧基準を各診断画素に対して異なるように設定することによって、各診断画素から読み出された診断信号が、一意の行IDとして使用され得る。例えば、制御及び読み出し回路320は、行ごとに画像センサ310を読み出し得る。信号が1つの行の画素から読み出されるとき、それは、全ての行の画素が読み出されるまで、移動し続けて、次の行からの信号を選択して読み出し得る。撮像信号の各行は、その行を一意に識別すべき診断信号を伴うことになる。結果として、行制御ユニット330が障害を有し、誤った順序で、例えば、数字の順序で処理するのではなく、行1、行3、行2の順序に選択する場合、このことは、診断信号によって識別される行が誤った順序にあるため、各行に対して読み出される診断信号を使用して検出され得る。対照的に、本開示の診断画素がない場合、画像センサから読み出されている画素データは、正しい順序で読み出されていると単純に想定されるであろう。
【0022】
診断信号を使用するために、1つの行の撮像信号がデジタル値348_1~348_Mとして出力されるとき、それに伴うデジタル値348_Dは、既知であり所定の電圧基準355_1~355_Nと比較され得る。診断信号が、許容可能な精度の範囲(例えば、基準電圧355_1~355_Nの+/-1%又は+/-2%などの範囲)内で、基準電圧のうちの1つと同一である場合、撮像信号348_1~348_Mは、その基準電圧に対応する行から来ていることが分かる。これは、例えば、信号ノイズ、デジタル変換の不正確さ、及び診断画素のリセットレベルの変わりやすさの結果としての、診断信号における固有の不正確さを考慮に入れている。電圧基準355_1~355_Nのレベルは、例えば、既知であり所定の電圧基準レベル及びそれに対応する行番号が、この診断プロセスの目的のために検索され得るように、対応する行番号とともにメモリに記憶され得る。診断プロセスは、撮像システムの一部である(又は撮像システムの外部にある)診断ユニットなどの任意の好適なプロセッサによって、又はその通常の画像処理機能に加えてこの診断機能を実行するように構成されている任意の他の種類の画像プロセッサによって、実行され得る。
【0023】
更に、診断画素は、撮像画素と同じ画素選択及び読み出し制御信号を使用するので、撮像システムの他の種類のエラー/障害が、診断信号を使用して識別され得る。例えば、選択の信号が特定の行に対して低い状態のままであること(例えば、それが誤った行IDを示す診断信号をもたらすため)、並びに/又は選択の信号が特定の行に対して高い状態のままであること(例えば、他の全ての行に対する診断信号が損なわれ、したがって誤った行IDを示すため)、並びに/又はリセット及び/若しくはTXの信号のいずれか1つに障害があること、並びに/又は制御信号動作の順序が誤っていること(例えば、リセット及びTXの信号が誤った順序でパルスにされていること)が判断され得る。
【0024】
更に、この例では、診断画素列、列_Dは、制御及び読み出しライン335_1~335_Nが行制御ユニット330から制御及び読み出し信号を受信する所に対して、画像センサ310の反対側に位置付けられていることが分かる。特に、制御及び読み出しライン335_1~335_Nは、画像センサ310を横切った行内に延び、信号が画像センサ310の一方の側から他方の側に伝搬する。診断画素列、列_Dは、それらの信号が出発する所に対して、画像センサ310の遠方側に位置付けられ、このことは、制御及び読み出しライン335_1~335_Nのいずれかに沿ってどこかに何らかの障害がある場合、それが診断画素に影響を及ぼし、したがって、読み出された診断信号に反映されるはずであることを意味する。
【0025】
図4は、制御及び読み出し回路330のいくつかの更なる例の詳細、具体的には、各行への選択の信号のタイミングに関係する回路を示す(明確にするために、更にリセット及びTXの信号に関する回路は示されていない)。これらの詳細は、単に、制御及び読み出し回路320の一部の例示的な動作実装形態を理解することの助けとなるために表され、どのようにその回路が一度に1つの行を連続的に選択するように構成され得るかについての例を示す。この例では、クロック信号を使用して、選択のパルスを1つの行から次の行にシフトするために、シフトレジスタが、一連のカスケードにされたフリップフロップ410_1~410_Nから構成される。当業者は、制御信号のタイミング及び動作が多くの異なる方法で達成され得、これが単なる1つの特定の説明的な例であることを容易に理解するであろう。
【0026】
発明者らは、図3及び4の診断画素の実装形態が、例えば、1000以上の行を有する大きい撮像アレイに対しては、実現することが困難であり得ることを認識している。特に、各行に対して、一意の基準信号が必要となるであろう。これは、隣接する基準信号間の差異が非常にわずかなものとなり得ることを意味し、それによって、例えば、高精度の電圧基準、高精度の電位分割器、非常に低い信号ノイズ、及びADCの非常に高い変換精度を必要とする、精度レベルに厳しい要求を課す。これは、多くの撮像システムでは、現実的には達成されない場合がある。更に、Vrefは、例えば1.2Vというように非常に小さくあり得、このことは、比較的小さい電圧範囲内で、多数の一意のレベルが使用される必要があり得ることを意味し、このことが、困難を更に悪化させる。
【0027】
図5は、本開示による撮像システム500の例示的な実装形態を示す。この例では、単一の列の診断画素を有するのではなく、複数の診断画素列が使用される(2つの列、3つの列、5つの列、6つの列などの任意の好適な数が代替的に存在し得るが、この例では4つの基準列、列_D1~列_D4)。各診断画素に対する基準電圧は、各行に対する基準電圧の組み合わせが異なるように設定され得る。例えば、2つの基準電圧レベルのみが利用可能である場合(すなわち、1Vなどの高い電圧及び0.2Vなどの低い電圧)、4つの列の診断画素というこの例では、診断画素の各行は、4ビットのデジタルワードを有効に表し得ることが分かる。したがって、16行は、2つの電圧基準のみを使用して一意に識別され得る。この数は、診断画素の列をより多く追加すること、及び/又は利用可能な電圧基準レベルの数を増加させることによって、増加させることができる。例えば、8つの異なる電圧レベルが利用可能である場合、各診断画素は、3ビットのIDデータ(例えば、それが最低電圧基準に設定されている場合は000、それが次の最低電圧基準に設定されている場合は001、それが最高電圧基準に設定されている場合は111など)を有効に生成し得る。したがって、図5に示されるように、4つの列の診断画素に対して、各行のIDは、4096行が一意に識別され得るように、12ビット(行内の各診断画素から3ビット)を含み得る。このことは、異なる基準電圧レベルに対して、異なる種類の診断画素の網掛けを使用することによって、図5に示される。
【0028】
異なる電圧基準レベルへの診断画素の結合は、明確にするために、図5には示されていない。しかしながら、それは、例えば、(例えば、バンドギャップ電圧基準からの)電圧基準及び電位分割器ネットワークを使用して異なる基準信号レベルを設定し、次いで、適切な基準信号に各診断画素を結合することによって、任意の好適な方法で達成され得るということが理解されるであろう。
【0029】
以下の表1は、各診断画素に対する基準信号がどのように設定され得るかの一例を示す。この例では、4つの基準レベルr0~r3が存在し、8ビットの行IDに対して、各診断画素が2ビットを寄与し得ることを意味する。
【0030】
【表1】
【0031】
本発明者らは、3つ以上の異なる電圧基準レベルが、各診断画素に対して使用可能である場合、診断画素の各々によって使用される基準におけるオフセット及び/又はゲインの変動が、読み出された診断信号を使用して実行される診断プロセスにおけるエラーの原因であり得ることを認識している。例えば、診断画素に基準レベルを加える回路におけるオフセット及び/又はゲインの結果として、画像センサ510の一端における行に対して、他端における行と比較して、(例えば)中レベルの基準電圧がわずかに異なるように、画像センサ510にわたって、基準設定回路にいくらかのオフセット及び/又はゲインの変動が存在し得る。これは、基準信号348_D1~348_D4から正しい行番号を識別する際に、いくつかのエラーをもたらし得る。
【0032】
これは、常に最小又は最大の基準レベルのいずれかに設定された診断画素の1つの列を有することによって解決され得る。診断画素のその列に対して、行は、最大及び最小の基準信号レベルの受信を交互にすることができる。残りの診断画素に対しては、それらの診断信号は、読み出される診断信号を、最大/最小の診断画素から読み出される診断信号に基づいて判定される閾値、及び隣接する診断画素から読み出される診断信号と、比較することによって、n個の異なる基準信号レベルのいずれかに分類され得、(次いで、その結果、最大及び最小基準レベルが見出される)。これは、一対の行に送信された基準信号におけるオフセット及び/又はゲインが、最大及び最小の基準信号に反映されるべきであり、これらの信号が、今度は、それらの行において残りの診断画素に設定された基準レベルを判定するために使用される閾値レベルに対する適切な調整をもたらすことを意味する。
【0033】
例えば、最大及び最小の基準レベル間の差は、「範囲」として定義され得る。例えば、診断画素に設定され得る9つの異なる基準レベルがある場合、隣接する各基準レベルの間に閾値を有するために、8つの閾値が判定される必要がある。読み出された診断信号は、次いで、各診断画素に設定される基準レベルを見出すために、閾値と比較され得る。各閾値nは、以下のように見出され得る。
閾値(n)=(2n+1)×範囲/(2×(基準レベルの数-1))+最小基準レベル
【0034】
9つの基準レベル、したがって8つの閾値があるという例を取ると、範囲は、16(すなわち、2×(9-1))で除算され得、閾値は、最小と最大との間の隔たりの1/16(すなわち、範囲の1/16+最小基準レベル)、最小と最大との間の隔たりの3/16、最小と最大との間の隔たりの5/16など、最小と最大との間の隔たりの15/16まで設定され得る。このようにして、閾値は9つの基準レベルを定義し、それは16/16(すなわち、最大基準レベル)までの0/16(すなわち、最小基準レベル)、2/16、4/16、6/16などである。
【0035】
したがって、9つの基準レベルを定義するために見出す必要がある8つの閾値がある場合、最小閾値n=0は、範囲/16+最小基準レベルから見出すことができる。次の最小閾値n=1は、3×範囲/16+最小基準レベルなどから見出すことができる。
【0036】
以下の表2は、各診断画素に対する基準レベルがどのように設定され得るかの例を示す。この例では、9つの異なる基準レベル、r0~r8がある。電圧基準範囲の最小はr0であり、最大はr8である(例えば、r7は、電位分割器ネットワークから得られることができ、ここで、ネットワーク全体にかかる電圧はr8-r0である)。診断画素列、列_D4は、診断画素が最大r8又は最小r0のいずれかの基準値に設定される列である。列_D4では、各行は最大及び最小の交互になる。
【0037】
【表2】
【0038】
表3は、制御及び読み出し回路320から出力され、診断画素の各行から読み出される診断信号を表す例示的なデジタル化された値348を示す。
【0039】
【表3】
【0040】
最初に行0及び1を見ると、800の範囲は、行0及び1の列_D4から読み出された最小信号値(すなわち、11)を、行0及び1の列_D4から読み出された最大信号値(すなわち、811)から減算することから、見出すことができる。したがって、この一対の行の範囲は、800である。この場合、最小比較閾値n=0は、800/16+11=61となる。見て分かるように、残りの診断画素、列_D1~列_D3に対する診断信号レベルは、全てその閾値を下回っており、したがって、全てが基準レベルr0にあるものとして分類され得る。n=1~6に対する他の閾値は、必要に応じて、同じ方法で見出され得る。
【0041】
ここで、行16及び17を見ると、799の範囲は、行16及び17の列_D4から読み出された最小信号値(すなわち、92)を、行16及び17の列_D4から読み出された最大信号値(すなわち、891)から減算することから、見出すことができる。したがって、この一対の行の範囲は、799である。この場合、最小比較閾値n=0は、799/16+92=141となる。次の最小比較閾値n=1は、(3×799)/16+92=241となる。残りの比較閾値は、同様の方法で見出され得る。
【0042】
行16及び17に対して、列_D1及び列_D3に対する診断信号レベルは、閾値n=0を下回っているので、それらは、基準レベルr0にあるものとして分類され得る。これらの信号レベルは、行1及び2に対して判定された閾値n=0を超えており、この例では、このことが、固定された所定の閾値が全ての行に対して使用された場合、行1及び2並びに/又は行16及び17における診断画素のうちの少なくともいくつかに対して、分類エラーが生じ得ることを実証していることに留意されたい。
【0043】
行16及び17の列_D2に対する診断信号レベルは、それらの行に対するn=0及びn=1の閾値の間にあるので、基準レベルr1にあるものとして分類され得る。したがって、行16は、r0、r1、r0、r0にあることが見出され得、これは、0000010000の行IDを与える。行17は、r0、r1、r0、r8にあることが見出され得、これは、0000010001の行IDを与える。
【0044】
最後に、行1022及び1023を見ると、799の範囲は、行1022及び1023の列_D4から読み出された最小信号値(すなわち、66)を、行1022及び1023の列_D4から読み出された最大信号値(すなわち、865)から減算することから、見出すことができる。したがって、この一対の行の範囲は799である。この場合、最小比較閾値n=0は、799/16+66=115となる。最高比較閾値n=6は、(13×799)/16+66=715となる。残りの比較閾値は、同様の方法で見出され得る。行1022及び1023に対して、列_D1~列_D3に対する診断信号レベルは、全て閾値n=6を超えているので、それらは基準レベルr7にあるものとして分類され得る。したがって、行1022は、r7、r7、r7、r0にあることが見出され得、これは、1111111110の行IDを与える。行1023は、r7、r7、r7、r8にあることが見出され得、これは、1111111111の行IDを与える。
【0045】
したがって、行の対に対して使用される関連する比較閾値は、それらの行に対する列_D4からの診断信号値を使用して判定することができることが分かる。行の対に対する列_D1~列_D3から読み出された診断信号の各々は、次いで、行のその対における各診断画素の基準レベルを判定し、したがって、行のその対の行IDを判定するために、閾値と比較され得る。図5は、一度に読み出される単一の行を示すが、いくつかの撮像システムは、同時に行の対を読み出すように構成され得る(例えば、行1及び2が同時に選択され、読み出される)。一度に単一の行が読み出される場合、一対の第1の行に対するデジタル診断信号348_D1~348_D4は、例えばメモリに記憶され、次いで、その一対の第2の行に対するデジタル診断信号348_D1~348_D4が読み出された後に、行IDの判定に使用するためにアクセスされ得る。このプロセスは、例えば、診断ユニットによって撮像システム内で実行され得るか、又は制御及び読み出し回路320のデジタル出力を受信するいくつかの他のプロセッサ/システムによって実行され得る。
【0046】
この例では、9つの基準レベルが存在するが、列D1~D3の画素は、基準レベル(r0~r7)のうちの8つに設定されるのみである。9つの基準レベルを使用することは、閾値レベルの設定を簡単にするので、列D1~D3に対しては、8つの基準レベルしか必要とされないにもかかわらず、9つの基準レベルがこの例で使用されている。これは、その場合、基準レベルが、8分割アルゴリズムを使用して設定され、それが2の累乗であるので、デジタル論理においてアルゴリズムをより実行しやすくするからである。代替として、列D1~D3のいずれかの画素は、最大及び最小基準レベル(この例では、r0~r8のいずれか)を含む基準レベルのいずれかに設定され得る。更に、この例では9つの基準レベルが使用されているが、診断画素列の数、各診断画素に対して基準信号に設定され得る精度、及び一意に識別される必要がある行の数を考慮して、例えば、6つ、又は7つ、又は8つ、又は10個などの任意の個数が使用され得る。
【0047】
図6は、診断ユニット610がデジタル値348_D1~348_D4を受信し、上記のように行IDを判定し、次いで、各行に対する撮像データ348_1~348_Mに伴う行IDを出力する、前者の場合の例を示す。加えて、診断ユニット610は、例えば、順序通りでない行ID、又は(例えば、高いままになっている制御信号によって引き起こされる)繰り返される行IDなどを検出することによって、任意選択的に、任意の他の好適な診断動作を実行し得る。この場合、診断ユニット610は、障害が発見されるときはいつでも障害データを出力するように、任意選択的に構成され得、これは、いくつかの場合には、障害が検出されたことを単に示し得、他の場合には、診断ユニット610が障害の性質を判定するように構成されていれば、その性質を示し得る。
【0048】
図7は、本開示の一態様による撮像システム700の更なる例示的な実装形態を示し、診断画素は、1つの列ではなく、1つの行、行_Dの画素として配列される。図3~6の例は、1つ以上の列として配列されている第1の複数の診断画素を表しているとみなされ得る。図7は、単一の行として配列されている第2の複数の診断画素を表しているとみなされ得る。
【0049】
撮像システム700の動作は、図3~5と非常に類似している。M個の診断画素の各々は、異なる基準355_1~355_Mに設定され、各基準は、電位分割器ネットワークを使用して一次基準Vrefから得られる。行制御ユニット730は、制御信号ライン335_Dを使用して、診断画素からの診断信号の選択及び読み出しを制御するように構成されている。診断信号の選択及び読み出しは、撮像画素から読み出される撮像信号と正確に同じ方法で実行され得る。この例では、各診断画素に設定される電圧基準は、行_Dを読み出し、読み出された診断信号を診断画素基準値355_1~355_Mと比較する(又は適切に設定された閾値と比較する)ことによって、各列が一意に識別され得るように、列IDとしての役目を務め得る。したがって、読み出しライン342_1~342_M及び/又はADC340において、列読み出し順序が誤っている原因となるある種のエラーが存在する場合、それは識別され得る。更に、読み出しライン342_1~342_Mのいずれか1つ以上が、特定の電圧のままになっているか、又は破断している場合、それは、列IDが誤っていることによっても識別されるはずである。これは、読み出しライン342_1~342_Mが、撮像信号及び診断信号を出力する側に対して、画像センサ710の反対側に、診断画素列が位置付けられている図7の例において、特に当てはまる。その場合、そのラインに沿ったどこかのエラーが、読み出された診断信号に影響を与えるはずであるからである。
【0050】
第2の複数の診断画素の更なる目的は、診断信号の読み出しが、撮像信号を読み出すために使用されるのと同じADCを使用することである。結果として、1つ以上のADCのいずれかにエラーがある場合、診断画素が選択され読み出されるときに、デジタル出力348_1~348_Mに発見される1つ以上の誤った列IDによって、それが識別されるはずである。
【0051】
図8は、第2の複数の診断画素が図6の実装形態に類似する更なる例示的な撮像システム800を示す。この例において、第2の複数の診断画素は、複数の行として配列される(この例では2つの行であるが、より多くの行、例えば、3つ、4つなどが使用され得る)。第2の複数の診断画素の各列に対して使用される基準信号の組み合わせは、図6を参照して説明したのとほぼ同じ方法で、異なる場合がある。したがって、高レベルの診断画素基準信号精度及び/又は低ノイズ及び/又は高精度のADCを必要とせずに、複数の診断画素行を読み出すことによって、多数の列(潜在的には数千)が一意に識別され得る。更に、各行の診断画素に対して読み出される複数の診断信号が異なるため、ADC340内の他のエラーも識別され得る。例えば、ADCのいずれかが動作しない場合、全ての診断画素行を読み出すことによって、それらは、それぞれ、診断画素読み出し中のある段階で、異なる基準電圧を変換することを強制されるため、これは検出され得る。これは、各列における基準電圧が、それらが全ては同じではないように、例えば、各列の診断画素における少なくとも1つの診断画素が、その列における少なくとも1つの他の診断画素の基準信号レベルとは異なる基準信号レベルに設定されるように、設定されることを必要とし得る。したがって、任意のADCが、それが変換する診断信号の各々に対して、同じ(同一又は+/-1%、+/-2%などの定義された許容範囲内で類似のいずれかの)デジタル値を出力する場合、ADCに障害があることが検出され得る。
【0052】
図9は、本開示の一態様による更なる例示的な撮像システム900を示す。この例は、第1の複数の診断画素及び第2の複数の診断画素の両方を含み、その結果、行ID及び列IDの両方が判定され得る。この例は、(図3及び4による)単一の列の診断画素及び(図7による)単一の行の診断画素を示す。代替として、それは、(図5による)複数の列の診断画素及び/又は(図8による)複数の行の診断画素を含み得る。
【0053】
図10は、診断画素の各々を基準信号に結合するのではなく、診断画素の各々が(例えば、図1に表される種類の)撮像画素であり、いくつかが選択的に陰にされている撮像システム300の例示的な実装形態を示す。この例では、診断画素は、診断に使用され、撮像可能な設計の画素であるため、「診断撮像画素」と称され得る。図10では、選択的に陰にされている診断画素は、濃い網掛けで表される。これらの診断撮像画素を強制的に暗くするか、又は暗くに非常に近づける陰の結果として、入射光は、画素上にいかなる電荷の蓄積(又はまさに無視できるほど少量の電荷の蓄積)も引き起こすはずがない。対照的に、図10の白い診断画素である陰にされていない診断撮像画素は、入射光に応答して電荷を蓄積するはずである。
【0054】
1列のみの診断撮像画素が存在する図10の例では、各行は一意に識別可能ではないが、いくつかの種類のエラーは、陰にされている及び陰にされていない診断撮像画素の交互のパターンによって検出され得る。例えば、画素が一度に1行ずつ読み出されている場合(例えば、行1、次いで行2、次いで行3など)、読み出された診断信号342_D、348_Dは、高い信号と低い信号との間で交互になるはずである。2つの連続した行が両方とも高い、又は両方とも低い診断信号を伴って読み出せる場合、それは、(例えば、行1の読み出しの後に、行2ではなく、行3が続く)行選択/読み出しエラーを示す。
【0055】
診断画素を陰にすることは、基準信号を使用するのではなく、図5から9の配置の各々でも使用され得る。例えば、各診断撮像画素は、複数の列及び/又は行の診断画素を含むことによって、(陰にされているか、又は陰にされていないかという)1ビットの情報を効果的に表すので、各行及び/又は列は、一意に識別され得る。これは、図5及び8と非常によく似ている。例えば、10列の診断撮像画素を有することによって、1000行の画素は、診断撮像画素を使用して、一意に識別され得、かつ/又は10行の診断撮像画素を有することによって、1000列の画素は、診断撮像画素を使用して、一意に識別され得る。
【0056】
画像センサ310が、陰にされている及び陰にされていない画素を、読み出された診断信号342_D、348_Dから区別するのに十分な光で光景を撮像している場合にのみ、診断撮像画素に対して影にすることを使用することが有効であり得る。しかしながら、工業的応用などのいくつかの応用に対して、光景の光のレベルは、この代替の実装形態が非常に効果的であり得るように、常に確実に高くなり得る。
【0057】
図11は、本開示の一態様による更なる例示的な撮像システム1100を示す。この例では、画像センサ1110は、いかなる診断画素も含まない。代わりに、撮像システム1100は、行選択プロセスにおける障害を検出するために、この例では行制御ユニットの複製1130である診断回路を備える。行制御ユニットの複製1130は、行制御ユニット330の複製であるように構成され、行制御ユニット330によって行制御ライン335_nに置かれる行選択制御信号を受信するように、それらのラインに結合される。行制御ユニットの複製1130は、(以下の図12から分かるように)行制御ユニット330と同じ入力信号のうちの少なくともいくつかを受信し得、行制御ユニット330と同じ方法で動作するように構成されている。行制御ユニットの複製1130は、行選択の制御が適切に実行されているかどうかを判断するために使用され得る値/信号1140を出力するように構成されている。
【0058】
図12は、行制御ユニット330及び行制御ユニットの複製1130の1つの例示的な実装形態の詳細を示す。行制御ユニット330は、図4に示されるものと同じであり、同じ方法で動作する。行制御ユニットの複製1130は、フリップフロップ410_1~410_Nと同じ種類の一連のカスケードにされたフリップフロップ1210_1~1210_Nを備える。フリップフロップ1210_1~1210_Nの各々のクロック入力は、行制御ライン335_n上の行選択の信号が、フリップフロップ1210_1~1210_Nをクロックする役目を務めるように、それぞれの行制御ライン335_1に結合されている。第1のフリップフロップ1210_1のデータ入力は、フリップフロップ410_1と同じ選択の信号に結合され、各フリップフロップ1210_1~1210_N-1のデータ出力は、次のフリップフロップ1210_2~1210_Nのデータ入力に結合されている。結果として、行制御ライン335_1上の信号が高くなると、フリップフロップ1210_1のデータ入力における選択の信号は、フリップフロップ1210_1のデータ出力にクロックされるはずである。したがって、行制御ユニット330及び行制御ライン335_1~335_Nが全て正しく動作している場合、選択の信号がフリップフロップ410_nを介してカスケードにすべきであるのと同様に、選択の信号も同様にフロップフロップ1210_nを介してカスケードにすべきであることが分かる。結果として、全てが正しく機能している場合、最後の行Nが選択されたとき(すなわち、クロック信号の数が最後の行Nの選択に対応する合計に達したとき)、値1140は高くなるはずである。そうでない場合、行制御ユニット330及び/又は制御ライン335_nのどこかに障害が存在し得ることを示す。任意選択的に、1つの値1140だけを出力するのではなく、各フリップフロップ1210_nのデータ出力は、カスケードを通る選択の信号の進行が観察され得るように、出力され得る。
【0059】
図12は、行制御ユニットの複製1130の1つの特定の例示的な実装形態を示すが、行制御ユニット330は、多くの異なる方法で実装され得、行制御ユニットの複製1130は、行制御ユニット330を複製するように、任意の好適な対応する方法で実装され得ると理解されるであろう。
【0060】
図13は、本開示の一態様による更なる例示的な撮像システム1300を示す。この例では、画像センサ1110は、図11~13と同じ種類であり、いかなる診断画素も含まない。システム1300は、システム1100と同様であるが、行制御ユニットの複製1130を有するのではなく、診断回路は、代わりに、診断論理回路1310である。診断論理回路1310は、行制御ユニット330及び/又は行制御ライン335_nに伴う障害、例えば、行制御の障害又は行読み出し順序の障害が、出力信号1320から検出可能であるような方法で、行制御ライン335_n上の信号を処理するように構成されている。診断論理回路1310は、検出されるべき障害の性質、及び画像センサ1110の配置(例えば、そのサイズ)、及び行制御ユニット330の動作に応じて、多くの異なる方法で構成され得る。
【0061】
図14は、診断論理回路1310の1つの例示的な実装形態を示す。簡略化するために、診断論理ユニット1310の機能性は、3つの行、行1~3のみに対して表されるが、同じ機能性が全てのN行に対して規模を拡大され得ることが容易に理解されるであろう。診断論理回路1310は、3つの行に対して、3つのIDユニット、ID1 1410_1、ID2 1410_2、及びID3 1410_3を備える。ID1 1410_1は、行1を一意に示す値、例えば、バイナリ値「01」を出力するように構成されている。ID2 1410_2は、行2を一意に示す値、例えば、バイナリ値「10」を出力するように構成されている。ID3 1410_3は、行3を一意に示す値、例えば、バイナリ値「11」を出力するように構成されている。各行がバイナリワードによって一意に識別され得るように、4つ以上の行がある場合、より長いバイナリワードが出力され得ることが理解されるであろう。ID1 1410_1、ID2 1410_2、及びID3 1410_3は、例えば、メモリ又は固定論理を使用して、任意の好適な方法で実装され得る。診断論理ユニットは、ANDゲートも含み、各ANDゲートは、それぞれのIDユニット及び行制御ライン335_nに結合される。結果として、行制御ラインが高くなると、対応するANDゲートからの出力は、対応するIDユニットによって出力される値になるはずである。
【0062】
より詳細には、各ANDゲートの出力は、以下のように表され得る:
行_識別子_ゲーティッド[n]=行_識別子[n]&行_選択[n]
式中:
行_識別子_ゲーティッド[n]は、ANDゲートnの出力である。
行_識別子[n]は、IDユニットnによって出力されるバイナリ値である。
行_選択[n]は、行制御ライン335_n上の信号である。
【0063】
したがって、行_選択[n]が0の場合、行_識別子_ゲーティッド[n]も0である。行_選択[n]が1の場合、行_識別子_ゲーティッド[n]は行_識別子[n]に設定される。
【0064】
ANDゲートの出力は、図14のORゲートの組み合わせによるXORdである。結果として、信号1320の値は、以下のように表され得る:
信号1320=行_識別子_ゲーティッド[1]∧行_識別子_ゲーティッド[2]∧行_識別子_ゲーティッド[3]
撮像システム1300が正しく動作し、一度に1つの画素行のみが選択される場合、行_識別子_ゲーティッドの信号のうちの1つは、選択された行の行_識別子の値に設定されるはずであり、他の全ての行_識別子_ゲーティッドの信号は、0であるはずである。0はXORゲートに何もしないので、選択された行の識別子は、変更されることなく信号1320に渡されるはずである。したがって、信号1320は、正しい画素行の選択が信号1320によって検証され得るように、現在選択されている画素行を示すはずである。結果として、誤った順序で画素行を選択する際の障害は、信号1320を使用して識別され得る。又、行制御ライン335における障害(例えば、破断)も、その行の行識別子の値に決して設定されない信号1320によって識別され得る。
【0065】
更に、信号1320は、2つの行が同時に選択される障害を識別するのに役立ち得る。なぜなら、これは、信号1320が予想される値と異なるように、それに設定される値を損なうはずであるからである。
【0066】
例えば、行[2]が選択されるべきであるが、誤って行[1]と行[2]の両方が同時に選択されている場合、
行_識別子_ゲーティッド[1]=2’b01&2’b11=2’b01
行_識別子_ゲーティッド[2]=2’b10&2’b11=2’b10
行_識別子_ゲーティッド[3]=2’b11&2’b00=2’b00
信号1320=2’b01∧2’b10∧2’b00=2’b11
【0067】
したがって、信号1320は、(2’b11が行[3]に対する行識別子の値であるため)行[3]が選択されることを示唆する。これは、選択されるべき行とは異なるので、撮像システム1300が誤って動作していることは明らかである。
【0068】
図14は、1つの特定の論理実装形態を示すが、出力信号1320が動作診断のために使用され得る(例えば、任意の所与の時点でどの行が選択され、任意の行選択障害が存在するかを判定する)ような方法で、行制御ライン335_n上の制御信号に基づいて、出力信号1320が生成されるように、種々の異なる論理構成が使用され得ると理解されるであろう。
【0069】
当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の上記の態様に対して、様々な変更又は修正がなされ得ることを容易に理解するであろう。
【0070】
上述した例の各々において、診断画素に対して使用される基準信号は、電位分割器ネットワークを使用して、一次電圧基準Vrefから得られる。1つの例示的な代替において、それらは、それぞれ、デジタルアナログ変換器(DAC)によって生成され得る。この代替案は、DACが掃引される各レベルで読み出されている基準信号で、ある範囲の電圧(例えば、DACの全変換範囲)を通してDACを掃引することによって、例えば、それらの線形性、ゲイン、フルスケール範囲などを検定する、システム内の全てのADCの粗いパラメトリック検定を考慮に入れることができる。各レベルで読み出される基準信号から、ADCの直線性、ゲイン、及び/又はフルスケール範囲が判定され得る。これらのような動作は、例えば、システム起動時に及び/又はシステム動作中に断続的に若しくは周期的に(例えば、単にDACを使用して新しい各フレームキャプチャに対して基準電圧レベルを変更することによって)実行され得る。更に、一意の行ID及び/又は列IDが変化するように、フレーム間で電圧基準を変更することが可能であり得る。これは、連続するフレームが同一であるように見えるが、画像信号レベルが固定されたままであることがその理由である場合にのみ、固定されたままのフレームの検出に役立つであろう。診断画素に対する基準レベルがフレーム間で変化し、ADCから出力される基準信号が同じに留まっている場合、それは、固定されたフレームを引き起こしている撮像装置システムの少なくとも一部に障害があることを示す。
【0071】
上記では、各診断画素に加えられる基準信号、及び各診断画素から読み出される診断信号は、典型的には電圧信号として説明されるが、他の画像センサの実装形態では、それらは、任意の他の好適な種類の信号であり得る。例えば、診断画素は、それぞれ、コンデンサを含むかもしれず、基準信号は、コンデンサを基準充電レベルに充電するために使用される電流信号であり得る。その場合、診断信号は、基準電荷レベルに依存し、したがって、基準電流信号に依存する電圧信号として読み出され得る。
【0072】
本開示の態様
本開示の限定的でない態様は、以下の番号付き条項に記載されている。
【0073】
条項1.撮像システムであって、システムが、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
基準信号に結合された少なくとも1つの診断画素と、を備える、画像センサと、
制御及び読み出し回路であって、
撮像画素のうちの1つ以上を選択し、各選択された撮像画素に対して、選択された撮像画素上に蓄積された電荷を示す撮像信号を読み出し、
少なくとも1つの診断画素を選択し、基準信号を示す診断信号を読み出し、
システム診断で使用するために診断信号を出力するように構成されている、制御及び読み出し回路と、を備える、撮像システム。
【0074】
条項2.それぞれの基準信号に各々結合されている、第1の複数の診断画素を備え、
第1の複数の診断画素が、1つ以上の列の診断画素として配列され、
制御及び読み出し回路が、
画像センサの特定の行の撮像画素を選択して読み出し、
画像センサの特定の行にある1つ以上の診断画素を選択して読み出すように構成されている、条項1に記載の撮像システム。
【0075】
条項3.第1の複数の診断画素が、単一の列の診断画素として配列されている、条項2に記載の撮像システム。
【0076】
条項4.第1の複数の診断画素の各々に対する基準信号が異なる、条項3に記載の撮像システム。
【0077】
条項5.第1の複数の診断画素が、複数の列の診断画素として配列されている、条項2に記載の撮像システム。
【0078】
条項6.第1の複数の診断画素の各行に対して使用される基準信号の組み合わせが異なる、条項5に記載の撮像システム。
【0079】
条項7.制御及び読み出し回路が、特定の行の撮像画素及び少なくとも1つの診断画素の選択及び読み出しを制御するために、制御信号を出力するように構成されている行制御回路を備え、
行制御ユニットが、撮像画素の一方の端の列に隣接する、画像センサの一方の側に位置付けられ、
1つ以上の列の診断画素が、行制御ユニットの側に対して画像センサの反対側に位置付けられている、条項2~6のいずれか一項に記載の撮像システム。
【0080】
条項8.制御及び読み出し回路が、特定の行の撮像画素及び1つ以上の診断画素を同時に選択して読み出すように構成されている、条項2~7のいずれか一項に記載の撮像システム。
【0081】
条項9.それぞれの基準信号に各々結合されている、第2の複数の診断画素を備え、
第2の複数の診断画素が、1つ以上の行の診断画素として配列され、
制御及び読み出し回路が、
1つの行の撮像画素を選択して、複数の読み出しラインを介してそれらの撮像信号を読み出し、
1つ以上の行の診断画素のうちの1つの行を選択して、複数の読み出しラインを介してそれらの診断信号を読み出すように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の撮像システム。
【0082】
条項10.第2の複数の診断画素が、単一の行の診断画素として配列されている、条項9に記載の撮像システム。
【0083】
条項11.第2の複数の診断画素の各々に対する基準信号が異なる、条項10に記載の撮像システム。
【0084】
条項12.第2の複数の診断画素が、複数の行の診断画素として配列されている、条項9に記載の撮像システム。
【0085】
条項13.第2の複数の診断画素の各列に対して使用される基準信号の組み合わせが異なる、条項12に記載の撮像システム。
【0086】
条項14.1つ以上の行の診断画素が、複数の読み出しラインが撮像信号及び診断信号を出力する側に対して、画像センサの反対側に位置付けられている、条項9~13のいずれか一項に記載の撮像システム。
【0087】
条項15.診断信号と基準信号との比較に基づいて、画像センサ並びに/又は制御及び読み出し回路における障害を検出するように構成されている診断ユニットを、更に備える、
条項1~14のいずれか一項に記載の撮像システム。
【0088】
条項16.撮像システムであって、システムが、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
各行の撮像画素に対して、読み出しのために行の撮像画素を選択するための行制御ラインと、を備える、画像センサと、
撮像画素の選択及び読み出しを制御するために、各行制御ラインに結合され、各行制御ラインに制御信号を出力するように構成されている行制御回路と、
各行制御ラインに結合され、撮像画素の選択及び読み出しの間、行制御ライン上の制御信号に基づいて生成される信号を出力するように構成されている、診断回路と、を備える、撮像システム。
【0089】
条項17.診断回路が、行制御回路の動作を複製するように構成されている、行制御回路の複製である、条項16に記載の撮像システム。
【0090】
条項18.診断回路が、撮像画素の選択及び読み出しの間、診断回路によって出力された信号が、選択された行の画素を識別するように構成されている論理を備える、条項16に記載の撮像システム。
【0091】
条項19.行制御回路が、各行制御ラインの一端に結合され、診断回路が、各行制御ラインの他端に結合されている、条項16~18のいずれか一項に記載の撮像システム。
【0092】
条項20.撮像システムであって、システムが、
画像センサであって、
行及び列のマトリックスに配列されている複数の撮像画素であって、各撮像画素が、撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように構成されている、複数の撮像画素と、
第1の複数の診断撮像画素であって、診断撮像画素のうちのいくつかが、それらが診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積しないように陰にされており、診断撮像画素のうちのその他のものが、それらが診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように陰にされていない、第1の複数の診断撮像画素と、を備える、画像センサと、
制御及び読み出し回路であって、
撮像画素のうちの1つ以上を選択し、各選択された撮像画素に対して、選択された撮像画素上に蓄積された電荷を示す撮像信号を読み出し、
複数の診断撮像画素のうちの少なくとも1つを選択し、各選択された診断画素に対して、選択された診断画素上に蓄積された電荷を示す診断信号を読み出し、
システム診断で使用するために診断信号を出力するように構成されている、制御及び読み出し回路と、を備える、撮像システム。
【0093】
条項21.第1の複数の診断撮像画素が、単一の列の診断撮像画素として配列され、陰にされている及び陰にされていない診断撮像画素が、単一の列に沿って交互になっている、条項20に記載の撮像システム。
【0094】
条項22.第1の複数の診断撮像画素が、複数の列の診断撮像画素として配列されている、条項20に記載の撮像システム。
【0095】
条項23.第1の複数の診断撮像画素の各行に対して使用される、陰にされている及び陰にされていない診断撮像画素の組み合わせが異なる、条項22に記載の撮像システム。
【0096】
条項24.第2の複数の診断撮像画素であって、診断撮像画素のうちのいくつかが、それらが診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積しないように陰にされており、診断撮像画素のうちのその他のものが、それらが診断撮像画素上に入射する光に依存して電荷を蓄積するように陰にされておらず、
第2の複数の診断撮像画素が、1つ以上の行の診断撮像画素として配列されている、第2の複数の診断撮像画素を更に備える、
条項21~23のいずれか一項に記載の撮像システム。
【0097】
条項25.第1の複数の診断撮像画素が、1つ以上の行の診断撮像画素として配列されている、条項20に記載の撮像システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】