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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157555
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】人工呼吸器
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20241030BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A61M16/00 380
G10K11/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071589
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10 2023 110 582.5
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517191714
【氏名又は名称】レーヴェンシュタイン メディカル テクノロジー エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】アンゲラ・ゲルラッハ
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061EE35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンパクトで製造が容易な、音を抑制する人工呼吸器を提供する。
【解決手段】入口(6)と出口と送風機(5)とを備えた人工呼吸器(1)に関し、人工呼吸器(1)は、入口(6)と出口との間に呼吸ガス経路を形成し、呼吸ガス経路は送風機(5)を通って導かれており、人工呼吸器(1)は、呼吸ガス経路を導くために、チャンバ(4)と、チャンバ(4)に開口する第1のチャネル(7)と、チャンバ(4)に開口する第2のチャネル(8)とを有し、第1のチャネル(7)の第1の音響インピーダンスと第2のチャネル(8)の第2の音響インピーダンスがチャンバ(4)の第3の音響インピーダンスとは異なり、それにより送風機(5)によって生成される音が減衰される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(6)と出口(3)と送風機(5)とを備えた人工呼吸器(1)であって、前記入口(6)と前記出口(3)との間に呼吸ガス経路が形成されて、前記呼吸ガス経路は前記送風機(5)を通って導かれており、前記呼吸ガス経路に沿ってチャンバ(4)と、前記チャンバ(4)に開口する第1のチャネル(7)と、前記チャンバ(4)に開口する第2のチャネル(8)とが配置されており、前記第1のチャネル(7)の第1の音響インピーダンスと前記第2のチャネル(8)の第2の音響インピーダンスが前記チャンバ(4)の第3の音響インピーダンスとは異なり、それにより前記送風機(5)によって生成される音が減衰される、人工呼吸器。
【請求項2】
前記送風機(5)は前記チャンバ(4)に配置されており、前記送風機(5)の送風機本体(18)は、前記チャンバ(4)に振動減衰式に取り付けられている、請求項1に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項3】
前記チャンバ(4)は、100cm~5000cm、好ましくは500cm~3000cm、特に好ましくは500~1200cmの容積を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項4】
前記入口(6)と前記チャンバ(4)との間の前記呼吸ガス経路は、少なくとも部分的に前記第1のチャネル(7)によって形成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項5】
前記出口(3)と前記チャンバ(4)との間の前記呼吸ガス経路は、少なくとも部分的に前記第2のチャネル(8)によって形成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項6】
前記第2のチャネル(8)と前記出口(3)との間の前記呼吸ガス経路は、前記送風機(5)を通って導かれる、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項7】
前記第2のチャネル(8)が追加チャンバ(9)に開口し、前記追加チャンバ(9)の第4の音響インピーダンスは、前記第2のチャネル(8)の前記第2の音響インピーダンスとは異なり、それにより前記送風機(5)によって生成される音が追加的に減衰され、前記追加チャンバ(9)は、10cm~200cm、好ましくは30cm~100cmの容積を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項8】
前記第1のチャネル(7)及び/又は前記第2のチャネル(8)は前記チャンバ(4)内に突出して延びる、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項9】
前記第1のチャネル(7)及び前記第2のチャネル(8)は前記チャンバ(4)内に突出して延び、前記第1のチャネル(7)及び前記第2のチャネル(8)は、前記チャンバ(4)内に異なる程度に突出して延び、異なる向きにされ、及び/又は異なる側壁から前記チャンバ(4)内に突出して延びる、請求項1~7のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項10】
前記第1のチャネル(7)及び前記第2のチャネル(8)は前記チャンバ(4)内に突出して延び、前記第1のチャネル(7)の第1の開口(13)と前記第2のチャネル(8)の第2の開口(14)は、前記人工呼吸器(1)の動作中に、前記送風機(5)の周りを少なくとも部分的に流れる呼吸ガス流が生じるように配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項11】
前記第1のチャネル(7)及び/又は前記第2のチャネル(8)は、前記チャンバ(4)の壁から前記チャンバ(4)の外側に延びる、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項12】
前記第1のチャネル(7)及び/又は前記第2のチャネル(8)は、湾曲した、又は波形の延在形状を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項13】
前記第1のチャネル(7)及び/又は前記第2のチャネル(8)は、前記第1のチャネル(7)若しくは前記第2のチャネル(8)の長手方向に対して直交する断面積を有し、前記断面積は、矩形、スロット形、三日月形、卵形、十字形、X形、星形、丸形又は角形の環状隙間、L字形、ダンベル形、U字形、V字形、T字形、楕円形、台形の群から選択された形状を少なくとも部分的に有する先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項14】
前記第1のチャネル(7)及び前記第2のチャネル(8)の前記断面積の形状は同一に、又は異なるように形成されている、請求項13に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項15】
前記第1のチャネル(7)及び/又は前記第2のチャネル(8)が容積を有し、前記容積は、1mm~50mm、好ましくは1mm~20mm、特に好ましくは3mm~7mmの深さと、5mm~100mm、好ましくは20mm~60mmの幅と、1mm~100mm、好ましくは20mm~60mmの長さとを有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【請求項16】
少なくとも1つのチャネルが断面積(A)と周長(P)とを有し、前記断面積と周囲長は、
式 R=P/A
に従って前記断面積(A)と前記周長(P)の二乗の比率(R)によって特徴付けられ、
前記比率(R)は、14を超える、好ましくは16以上、特に好ましくは20以上、更に好ましくは30以上の値をとる、先行する請求項のいずれか一項に記載の人工呼吸器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸器に関する。人工呼吸器は、呼吸が不十分であるか、又は停止している人に換気するための機械である。人工呼吸器は通常、入口と出口と送風機とを備える。送風機は、呼吸ガスを輸送するために用いられる。本開示の範囲内で、呼吸ガスとは、換気目的で人工呼吸器によって輸送されるガスと理解されるべきである。人工呼吸器は、入口と出口との間に呼吸ガス経路を形成し、この呼吸ガス経路に送風機を配置することができる。呼吸ガス経路は、例えば通路、チャネル、チャンバなどによって形成することができるが、例えば送風機などの人工呼吸器の機能コンポーネントを通って導くこともできる。
【背景技術】
【0002】
人工呼吸器では、音の抑制が重要な課題である。換気の際に必要な圧力は、高回転数で動作する送風機を必要とする。これらの送風機は、通常、最大60,000RPM又はそれを超える回転数を達成できる。ただし、相当に回転数が高い場合、送風機から大きな音放射が発生する。その結果、騒音レベルが比較的高くなり、これを低減する試みが行われる。従来技術によれば、動作騒音を低減するために、通常、遮音構造と組み合わせて発泡体が用いられる。
【0003】
例えば、欧州特許第1457222号明細書は、呼吸ガスの少なくとも一部を減衰ボックスに通過させる換気中の遮音方法を開示している。減衰ボックスは流路を有し、この流路の領域において、呼吸気は取外し可能な遮音材を通って導かれる。この場合、遮音材は発泡材又は不織布である。発泡材の使用によって高い材料費が必要となり、かつ人工呼吸器に追加のコンポーネントが組み込まれる。材料費、したがって人工呼吸器のコストが増加する。従来技術で提案される遮音材を使用することによって、人工呼吸器のサイズも大きくなるが、これは、輸送上の理由や使用時の所要スペースの点で不利であると考えられる。更に、特に追加の発泡材コンポーネントを用いることによる組立時の追加の手間によって、人工呼吸器の製造もより複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、異なる材料若しくはコンポーネントの使用に関してあまり複雑でなく、同時に人工呼吸器の動作騒音を十分に低減する人工呼吸器を提供するという課題に基づいている。本発明の別の課題は、コンパクトで製造が容易な、音を抑制する人工呼吸器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1に記載の人工呼吸器を提供することによって解決される。従属特許請求項には本開示による任意的な実施形態が記載され、これらの実施形態の特徴は、技術的に合理的な範囲内で任意に互いに組み合わせることができる。
【0006】
本発明によれば、入口と出口と送風機とを備え、入口と出口との間に呼吸ガス経路が形成されており、呼吸ガス経路は送風機を通って導かれている人工呼吸器が提供される。呼吸ガス経路に沿って、チャンバと、チャンバに開口する第1のチャネルと、チャンバに開口する第2のチャネルとが配置されている。その場合、第1のチャネルの第1の音響インピーダンスと第2のチャネルの第2の音響インピーダンスは、チャンバの第3の音響インピーダンスとは異なり、それにより送風機によって生成される音が減衰される。
【0007】
第1、第2、及び第3の音響インピーダンスは、それぞれ音響的な流れインピーダンスとして理解することができる。音響的な流れインピーダンスは、例えばパイプにおける音の伝播に対する抵抗である。音響インピーダンスが異なる領域間の移行部において反射が生じ、それによって音の減衰作用が生じる。観察されたように、チャンバと、チャンバに開口する第1のチャネルと、第2のチャネルとを備えた本開示による人工呼吸器の形式は、人工呼吸器から発せられる動作騒音の低減をもたらす。これは、チャンバの第3の音響インピーダンスが、第1のチャネルの第1の音響インピーダンスおよび第2のチャネルの第2の音響インピーダンスとは異なることによる。第1のチャネルの第1の音響インピーダンスは、第2のチャネルの第2の音響インピーダンスと一致してもよいが、必ずしも一致する必要はない。換言すれば、第1のチャネルとチャンバとの間、及び第2のチャネルとチャンバとの間には、インピーダンスの不整合が存在する。
【0008】
チャンバと第1のチャネル若しくは第2のチャネルとの間の音響インピーダンスの差異を達成するために、本開示に従ってチャンバと第1のチャネル若しくは第2のチャネルの寸法を異なるものにすることができる。本開示の一実施形態によれば、チャンバと第1のチャネル若しくは第2のチャネルは、異なる断面及び/又は異なる容積を有する。呼吸ガス経路が、第1のチャネル若しくは第2のチャネルからチャンバへの移行部で拡幅又は拡開される場合が有利である。特に、第1のチャネル若しくは第2のチャネルにおける呼吸ガス経路の断面をチャンバ内におけるよりも小さくすることができる。これに対して、本開示の別の実施形態によれば、第1のチャネル若しくは第2のチャネルにおける呼吸ガス経路の断面がチャンバ内におけるよりも大きいことが企図されている。
【0009】
特に、呼吸ガス経路、好ましくは第1のチャネル及び/又は第2のチャネル及び/又はチャンバ、更に好ましくは呼吸ガス経路に沿う人工呼吸器のコンポーネントは、発泡材を含まない、及び/又は不織布を含まないように設計することができる。
【0010】
人工呼吸器はハウジングを有することが好ましい。入口及び/又は出口は、ハウジングによって形成されることが好ましい。殊に、送風機はハウジング内に配置されている。呼吸ガス経路は、殊にハウジング内に延びる。このために、ハウジング内に、例えば複数のチャネル及び/又はチャンバを配置することができる。本開示によれば、ハウジング、人工呼吸器の外壁及び内壁、並びに人工呼吸器の他の構成要素は、様々な材料、例えば金属及び/又はプラスチックによって形成され得る。
【0011】
人工呼吸器の送風機は、気体媒体を輸送できる装置である。これは原則としてベンチレータ、換気扇(ファン)、又はその他の送風機であり得る。本開示の好ましい変形形態によれば、送風機はラジアル送風機、特に半開(セミオープン)羽根車を備えたラジアル送風機である。呼吸ガス経路は送風機を通って延びる。本開示によれば、呼吸ガスを入口の領域で取り込み、出口から吐出することができる。
【0012】
本開示の意味において、第1のチャネル若しくは第2のチャネルは、原則として、任意の形状及び/又は長さを有することができる通路と理解されるべきである。本開示によれば、この通路は、人工呼吸器のコンポーネントによって、例えば内壁、ハウジングの一部、ホースなどによって任意に形成することができる。第1のチャネルは、チャンバに向かう開口を有することが好ましく、これを以下では第1の開口と呼ぶ。第2のチャネルは、チャンバに向かう開口を有することが好ましく、これを以下では第2の開口と呼ぶ。本開示の可能な実施形態によれば、第1のチャネル若しくは第2のチャネルは、特に流れの方向に対して直交する断面のサイズに関して、呼吸ガス経路の、特に直接隣接するチャンバの部分とは異なることができる。その場合、第1のチャネル若しくは第2のチャネルと、隣接する呼吸ガス経路の部分、特にチャンバとの間の移行部において、呼吸ガス経路の断面及び/又は形状が突然若しくは急激に減少又は増加することが好ましい。
【0013】
特別な実施形態では、第1のチャネル若しくは第2のチャネルは、容積又はチャンバ内に最小の長さ若しくは3次元寸法を有することができ、特にほぼ細長く延在していない。このために、チャネルを特にスロットの形状で設計することができる。特に、チャネルをスロットの形状で形成することができ、その場合、これらのチャネルへの入口及びこれらのチャネルからの出口が、前にある若しくは後ろにある空間とチャンバとの間に一種のスロットのように形成される。特に、それぞれのチャネルの長さは、それぞれのチャネルを囲む壁の厚さに相当し得る。
【0014】
殊に、送風機はチャンバに配置されている。したがって、チャンバの容積が送風機を収容するために利用されるコンパクトな形状を達成することができる。この実施形態では、遮音性の向上が観察された。これについて、様々に説明することができる。まず、送風機がチャンバ内に配置されているという事実に基づいて、送風機は人工呼吸器の周囲環境から追加的に遮蔽されている。更に、送風機から発せられる音波が、上記の動作原理に従ってチャンバと第1のチャネルと第2のチャネルからなる構造によって減衰される。
【0015】
この実施形態の別の利点は、送風機の熱を内部だけでなく、対流によって外部に放出できることである。送風機は完全にチャンバ内に配置されることが好ましく、送風機のホースなどの供給ラインは送風機の一部とみなされるべきではない。本開示の可能な実施形態によれば、これらの供給ラインはチャンバの外側に配置することもでき、又は、例えば部分的にチャンバの壁に配置することもできる。送風機は、殊に、呼吸ガスが多方向から(mehrseitig)その周りに流れ、冷却を改善することができるようにチャンバに配置されている。本開示の有利な変形形態によれば、送風機はチャンバの壁に平らに取り付けられず、及び/又は送風機又は送風機の一部はチャンバの壁又は複数の壁の一部ではない。本開示によれば、送風機をチャンバの1つ又は複数の壁から離して配置することができる。送風機を、例えば1つ以上の保持要素によって、壁から離して保持又は支持することができる。チャンバ内の送風機は、呼吸ガスを取り込むか、又は呼吸ガスを吐出するための開口を有していないことが好ましい。
【0016】
送風機の送風機本体は、チャンバに取り付けられているか、又は吊設されていることが好ましい。送風機本体が振動減衰式でチャンバに取り付けられている場合が特に好ましい。殊に、送風機本体は、振動減衰材料を介してチャンバに取り付けられている。本発明によれば、振動減衰材料はエラストマであってもよい。振動減衰材料はシリコーンであることが好ましい。送風機本体は、3つの吊り点を介してチャンバに取り付けられていることが好ましい。その場合、本開示の一実施形態によれば、送風機本体の2つの吊り点をホルダに取り付けることができ、更に送風機本体の第3の吊り点を圧力管に取り付けることができる。ホルダと送風機本体との間、若しくは圧力管と送風機本体との間に振動減衰材料が配置されることが好ましい。送風機の振動減衰式の吊設若しくは取付けによって、送風機本体がそれほど激しく振動しなくなる。更に、送風機本体の振動は、減衰された状態でのみ人工呼吸器のハウジングに伝達される。このことは、人工呼吸器の騒音発生を更に低減する。
【0017】
チャンバは任意の断面形状を有することができる。本開示によれば、チャンバは矩形であってもよい。しかしながら、チャンバは角形である必要がなく、本発明の実施形態によれば、内側を丸形にすることもできる。本開示によれば、チャンバの細長い実施形態と短い実施形態の両方が考えられる。しかしながら、チャンバの容積が100cm~5000cm、好ましくは500cm~3000cm、特に好ましくは600~2000cm又は100~2000cmである場合が有利である。チャンバの容積が500~1200cmであることが特に有利であることが判明した。
【0018】
入口とチャンバとの間の呼吸ガス経路が少なくとも部分的に第1のチャネルによって形成されることが好ましい。したがって、第1のチャネルは入口とチャンバとの間に配置されている。それにより、呼吸ガスは入口から第1のチャネルを通ってチャンバに送られる。更に、出口とチャンバとの間の呼吸ガス経路を少なくとも部分的に第2のチャネルによって形成することができる。したがって、第2のチャネルは出口とチャンバとの間に配置されている。それにより、チャンバからの呼吸ガスは第2のチャネルを通って出口の方向に流れることができる。更に、本開示によれば、第2のチャネルと出口との間の呼吸ガス経路が送風機を通って導かれることを企図することができる。したがって、チャンバから出た呼吸ガスは、出口に到達する前に、まず送風機を通過する。したがって、送風機は呼吸ガス経路に沿って呼吸ガスを輸送することができる。しかし、代替的に、送風機が入口と第1のチャネルとの間の呼吸ガス経路に沿って配置されていることを企図することもできる。
【0019】
本開示の特定の実施形態によれば、第2のチャネルが追加チャンバに開口し、追加チャンバの第4の音響インピーダンスは、第2のチャネルの第2の音響インピーダンスとは異なり、それにより送風機によって生成される音が追加的に減衰される。追加チャンバは任意の形状を有することができる。追加チャンバの容積が10~200cmである場合が有利である。30~100cmの容積が特に有利であることがわかった。送風機の開口は、追加チャンバに直接又は第3のチャネルを介して接続されることが好ましい。送風機の開口が送風機の入口であることが好ましい。第3のチャネルは、例えばホース又は圧力管であり得る。本開示の変形形態によれば、ホース又は圧力管を部分的に音の減衰材料によって形成することができるか、又は音の減衰材料を介して送風機に接続することができる。
【0020】
チャンバと追加チャンバは、殊に互いに隣接している。このようにして、コンパクトな形式を達成することができる。本開示の変形形態によれば、チャンバは人工呼吸器の壁の一方の側に配置され、追加チャンバはこの壁の他方の側に配置されている。本開示によれば、第1のチャネルと第2のチャネルの両方がまさにこの壁を通過するようにすることができる。更に、第3のチャネルがこの壁を通って導かれてもよい。更に、送風機の送風機本体がまさにこの壁に取り付けられていることを企図することができる。壁は、チャンバの底板であることが好ましい。
【0021】
本開示の代替実施形態によれば、第2のチャネルは送風機の開口に直接接続されている。したがって、第2のチャネルの出口と送風機の開口との間に追加チャンバ又は他の空洞は存在しない。本開示によれば、第2のチャネルがチャンバから外へ導き出され、チャンバの外側に配置された送風機の開口に接続されることが可能である。代替的に、第2のチャネルは完全にチャンバ内に配置されており、チャンバ内に配置された送風機の開口に接続されることが可能である。したがって、第2のチャネルは壁を通ってチャンバから外へ導き出されない。
【0022】
一実施形態によれば、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルはチャンバ内に延びることができる。これは、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルがチャンバ内に突出することを意味する。本開示によれば、第1のチャネル及び第2のチャネルは、チャンバを画定する壁を通って導かれてもよい。本開示の別の実施形態によれば、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルは壁で終端し、それによりチャンバ内に全く突出しないようにすることができる。
【0023】
一実施形態によれば、第1のチャネルと第2のチャネルはチャンバ内に突出して延びることができ、第1のチャネルと第2のチャネルは、殊にチャンバ内に異なる程度に突出して延び、異なる向きにされ、及び/又は異なる側壁からチャンバ内に突出して延びる。本開示の有利な実施形態によれば、第1のチャネルと第2のチャネルは互いに平行に向けられている。代替的に、第1のチャネルと第2のチャネルは、互いに90°の角度をなすことができる。しかしながら、第1のチャネルと第2のチャネルは、他の任意の角度をなすこともできる。したがって、第1のチャネルと第2のチャネルの様々に異なる配置が考えられる。本開示によれば、第1のチャネルと第2のチャネルが異なる形状を有することも更に可能である。
【0024】
第1のチャネルと第2のチャネルの位置、形状及び寸法は、チャンバの寸法、チャンバの形状及び/又は送風機の位置に応じて選択することができる。これは、とりわけ送風機がチャンバ内に配置される実施形態において有利である。適切な配置を用いて、チャンバ内の流れの誘導の改善も達成することができ、それにより流れの騒音が低減される。特に、第1のチャネルと第2のチャネルとの間の呼吸ガスの流速が速くなりすぎないようにするべきである。これを防ぐために、第1のチャネルと第2のチャネルの開口を、好ましくは互いに直接向けるべきではなく、及び/又はチャネルはチャンバ内に異なる程度に延びるべきである。これは、特に、第1のチャネルと第2のチャネルが互いに比較的近くに配置されている場合に当てはまる。
【0025】
本開示によれば、第1のチャネルと第2のチャネルがチャンバ内に突出して延びることが更に可能であり、第1のチャネルの第1の開口と第2のチャネルの第2の開口は、人工呼吸器の動作中に、チャンバ内に配置された送風機の周りを少なくとも部分的に流れる呼吸ガス流が生じるように配置されている。したがって、送風機は周りを流れる呼吸ガス流によって冷却される。これを達成するために、第1のチャネルと第2のチャネルを、それに応じて寸法設定若しくは方向調整することができる。本開示のこの変形形態によれば、送風機本体は、好ましくは、第1のチャネルの第1の開口と第2のチャネルの第2の開口との間に配置されている。
【0026】
第1のチャネル及び/又は第2のチャネルは、好ましくは、チャンバの壁からチャンバの外側に延びる。したがって、第1のチャネル若しくは第2のチャネルはチャンバから外側に導き出される。しなしながら、この実施形態では、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルはチャンバ内に延びることもできる。したがって、例えばチャンバを比較的フラットに設計する必要がある場合に、コンパクトな形式が可能である。その場合、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルの一部をチャンバの外側に配置することができる。本開示によれば、チャンバの外側の第1のチャネルと第2のチャネルは、異なる長さを有すること、異なる寸法及び/又は異なる向きにすることができる。本開示の有利な実施形態によれば、チャンバの外側の第1のチャネルは人工呼吸器の入口を形成する。更に、本開示によれば、チャンバの外側の第2のチャネルが人工呼吸器の出口を形成することを企図することができる。
【0027】
一実施形態によれば、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルは、湾曲した、又は波形の延在形状を有することができる。湾曲した延在形状を有する第1のチャネル若しくは第2のチャネルは、好ましくは側方に湾曲しており、例えばバナナ形若しくは円弧形である。それによって、チャンバ内への第1のチャネル又は第2のチャネルの開口が、好ましくは横方向に向けられる。それにより、チャネルから出る呼吸ガス流がチャンバの壁に垂直に当たることを回避できる。これが回避されることは、流れのノイズを低減するために流体制御技術的に有利である。波形の延在形状は、第1のチャネル又は第2のチャネルの開口が相応の向きにされている場合、第1のチャネル若しくは第2のチャネルをチャンバ内の障害物の周りに導くことができる、という対応するさらなる利点を有する。
【0028】
一実施形態によれば、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルは、第1のチャネル若しくは第2のチャネルの長手方向に対して直交する、湾曲した形の断面積を有することができる。本開示によれば、断面積は、半月形であってもよいし、又はその他の方法で湾曲した輪郭を有していてもよい。このようにして、流体制御技術上の利点を達成することができる。例えば、流れのノイズを低減するために、チャンバに配置されている任意の構成要素の周りに呼吸ガス流を導くことができる。
【0029】
一実施形態によれば、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルは、矩形の断面を有する容積、特に実質的に立方体の容積を形成することができる。しかしながら、異なる形状も可能である。容積は、好ましくは1~50mm、好ましくは1~20mm、特に好ましくは3~7mmの深さと、5~100mm、好ましくは20~60mmの幅と、1~100mm、好ましくは20~60mmの長さとを有する。それによって、人工呼吸器の騒音放出が大幅に減少する。これは特に、チャンバ若しくは追加チャンバが上記で定義したような寸法である場合に当てはまる。容積の長さは、流れの方向における容積の広がりとして理解されるべきである。容積の幅及び深さは、流れの方向に対して垂直に向いた容積の断面積を形成する。
【0030】
本開示の別の実施形態によれば、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルは、チャンバへのチャネルの開口の方向に狭くなるか、又は広くなるように設計されている。殊に、開き角度は20°以下である。このようにして、流れのノイズの低減を達成するために、呼吸ガスの流れの過程を適合させることができる。更に、本開示のこの実施形態には製造技術上の利点がある。
【0031】
第1のチャネル及び/又は第2のチャネルが丸みを付けた内縁を有する場合が有利である。これには製造技術上の利点がある。しかし代替的に、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルが角形の内縁、特に壁片が互いに90°の角度に向けられた内縁を有することも可能である。本開示によれば、第1のチャネル及び/又は第2のチャネルにリブ、特に縦リブが配置されており、それによって流体制御技術上及び製造技術上の利点をもたらすことができる。
【0032】
実際の幾何学的形状を簡略化した図示では、チャネル又はスロットは、その深さと幅に基づいて決定可能な断面と周長を有する。例えば、チャネルの断面をアスペクト比の高い矩形又は卵形にすることができる。他の形状も考えられ、断面は全体的に湾曲した形状、角形の形状、又は他の不規則な形状を有することができる。第1のチャネルと第2のチャネルは、同一の断面形状、又は異なる断面形状を有することができる。断面形状は流れの方向に対して垂直に向いている。チャネルの断面形状は、少なくとも部分的に、矩形、スロット形、三日月形、卵形、十字形、X形、星形、丸形又は角形の環状隙間、L字形、ダンベル形、U字形、V字形、T字形、楕円形、台形、丸形の形状から選択することができる。第1のチャネルと第2のチャネルの断面形状は、同一であっても異なっていてもよい。好ましい実施形態では、チャネルは実質的に平滑な内面を有することができる。
【0033】
これらのチャネルの断面形状は、それぞれの音響要件を満たすように選択される必要がある。このため、チャネルが可能な限り小さい深さを有し、それでも特定の容積を保持できる場合が有利である。第2のチャネルに関しては、それが送風機の吸引管に隣接して配置されているか、若しくは送風機の吸引チャンバ、つまり追加チャンバに開口していることに留意すべきである。有利には可能な限り対称の流れが送風機に向かって来るべきである。この理由から、第2のチャネルの幾何学的形状は可能な限り対称に追加チャンバに移行する場合が有利である。したがって、第2流路の断面形状は、深さの小さい、可能な限り矩形若しくはスロット形であることが好ましい。
【0034】
第1のチャネルに関しては、流れの方向において第1のチャネルの下流に自由長があり、それにより第1のチャネルからの流れがチャンバに自由に流れ、壁に直接当たらないことがより重要である。第1のチャネルの幾何学的形状は、流れに関してそれほど重要ではなく、より可変に選択することができる。第1のチャネルの断面形状は、第2のチャネルと同様に、スロット形状とすることができる。好ましい実施形態では、第1のチャネルの断面形状もよりコンパクトな設計が達成できるように選択することができる。これは、より狭い幅の幾何学的形状によって達成することができる。第1のチャネルと第2のチャネルは、圧力差センサの一部ではないことを強調しておく。
【0035】
例えば、少なくとも2つのそのようなチャネルが呼吸ガス経路に配置され、これらの2つのチャネルを直列に、かつ中間チャンバ又は追加チャンバによって接続することができる。2つのチャネルは、実質的に同じ断面を有してもよく、又は断面が異なっていてもよい。
【0036】
断面積と対応する周長の相対的なサイズは、
面積Aと
周長Pの二乗
の比率R
によって特徴付けることができる。
R=P/A
少なくとも1つのチャネル又はスロットの場合、この比率Rは、殊に14を超える、好ましくは16以上、特に好ましくは20以上、特に好ましくは25以上、更に好ましくは30以上、例えば30、35、40、45又は50の値を有する。様々なR値の実験室での実験を次の表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
好ましい実施形態では、一方又は両方のチャネルとチャンバとの間の移行は突然であり、これは、明らかなジオメトリの不連続性があることを意味する。
いくつかの実施形態では、チャネルは、例えばより幅の広い端部を有する。これは、流量損失の低下という利点をもたらす。
取外し可能なフィルタコンポーネントを収容するためのフィルタチャンバは、チャネルのすぐ上流の呼吸ガス経路に配置することができる。
1つ又は複数のチャネルは、流れの方向に実質的に真っすぐに、又は湾曲して延びることができる。
一方又は両方のチャネルを、平行に延びる複数のサブチャネルに分割することができる。その場合、各チャネルの断面の周長は、サブチャネルの断面周長の合計として評価される。同様に、断面積はサブチャネルの断面積の合計として評価される。
【0039】
一実施形態では、少なくとも1つのチャネルは、断面積Aと周長Pとを有し、これらは、式R=P/A
に従って、面積Aと周長Pの二乗の比率Rによって特徴付けられ、この比率Rは、14を超える、好ましくは16以上、特に好ましくは20以上、更に好ましくは30以上の値をとる。
【0040】
本開示の有利な実施形態が図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本開示による人工呼吸器の第1実施形態の外観図を示す。
図2】本開示による人工呼吸器の第1の実施形態の断面図を示す。
図3】本開示による人工呼吸器の第1の実施形態の部分図を示す。
図4】本開示による人工呼吸器の第2の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器の第1のチャネルは湾曲した延在形状を有する。
図5】本開示による人工呼吸器の第3の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器の第1のチャネルと第2のチャネルは湾曲した形の断面積を有する。
図6】本開示による人工呼吸器の第4の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器の第1のチャネルと第2のチャネルは、これらの開口の方向に人工呼吸器のチャンバ内に拡張するように設計されている。
図7】本開示による人工呼吸器の第5の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器の第1のチャネルは、人工呼吸器のチャンバ内への開口部の方向に拡張するように設計されており、第1のチャネルは追加的に湾曲した形である。
図8】本開示による人工呼吸器の第6の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器の第1のチャネルと第2のチャネルは長手方向のリブを有する。
図9】本開示による人工呼吸器の第7の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器の第1のチャネルと第2のチャネルが、人工呼吸器のチャンバの壁からチャンバの外側に延びる。
図10】第1及び第2のチャネルの断面形状の様々な実施形態の概略図である。
図11】第1及び第2のチャネルの断面形状の様々な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明による人工呼吸器1の第1の実施形態の外観図を示す。人工呼吸器1はハウジング2を有する。人工呼吸器1は、呼吸ガスを出口3から吐出する。人工呼吸器1は、人工呼吸器1の下側に配置され、図1には見えない入口を更に有する。
【0043】
図2は、本開示による人工呼吸器1の第1の実施形態の断面図を示す。人工呼吸器1はチャンバ4を形成する。チャンバ4には、人工呼吸器1の送風機5が配置されている。送風機5はラジアル送風機である。
【0044】
人工呼吸器1は、呼吸ガスがそこを通って人工呼吸器1に入ることができる入口6を有する。入口6を通って人工呼吸器1に入る呼吸ガスは、人工呼吸器1内で以下の呼吸ガス経路をたどる。まず、呼吸ガスは人工呼吸器1の第1のチャネル7を通って流れる。続いて、呼吸ガスはチャンバ4に入る。呼吸ガスはチャンバ4を通って流れ、その後、第2のチャネル8に入る。呼吸ガスは、第2のチャネル8を通って追加チャンバ9に入る。呼吸ガスは、送風機5によって人工呼吸器1の連結管10を通して追加チャンバ9から吸引される。送風機5は呼吸ガスをさらに輸送し、それにより呼吸ガスは、最終的に図2に示されない人工呼吸器1の出口から出る。
【0045】
連結管10の端部11はシリコーンからなる。したがって、送風機5は、チャンバ4の底板12に振動減衰式に接続されている。
【0046】
第1のチャネル7の第1の音響インピーダンスと第2のチャネル8の第2の音響インピーダンスは、チャンバ4の第3の音響インピーダンスとは異なる。したがって、第1のチャネル7の第1の開口13からチャンバ4への移行部、及び第2のチャネル8の第2の開口14からチャンバ4への移行部で音の反射が生じる。したがって、送風機5によって生成される音が減衰される。これによって、人工呼吸器1の動作騒音が低減される。
【0047】
図3は、本開示による人工呼吸器1の第1の実施形態の部分図を示す。人工呼吸器1のこの部分図と以下のすべての部分図では、ハウジング上部分が示されず、それによりチャンバの内部をより良好に見ることができる。
【0048】
第1のチャネル7と第2のチャネル8は互いに直角に向けられている。この場合、第1のチャネル7と第2のチャネル8は、それらの開口部13と14の間に障害物がないように配置されている。これは流れのノイズの回避に役立つ。
【0049】
本実施形態では、人工呼吸器1に送風機5を追加的に固定するのに役立つ2つのホルダ15が底板12に取り付けられている。ホルダ15は端領域にシリコーンベアリング16を有し、シリコーンベアリングに送風機5の保持ピン17が着座する。保持ピン17は、送風機5の送風機本体18に接続されている。したがって、送風機5は、ホルダ15と連結管10の両方に振動減衰式に取り付けられている。これは追加的な音の減衰作用を有し、特に送風機本体5から人工呼吸器1のハウジング2への振動による音の伝達を低減する。
【0050】
図4は、本開示による人工呼吸器1の第2の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器1の第1のチャネル7は湾曲した延在形状を有する。湾曲した延在形状により、第1のチャネル7から出る呼吸ガス流は、(この図4には示されない)人工呼吸器1の上壁に垂直に当たらない。それにより流れのノイズが低減されるため、これは流体制御技術的に有利である。
【0051】
図5は、本開示による人工呼吸器1の第3の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器1の第1のチャネル7と第2のチャネル8は、湾曲した形の断面積を有する。第1のチャネル7と第2のチャネル8は、人工呼吸器1のチャンバ内に異なる程度に突出する。このようにして、流れのノイズを低減するために、チャンバにおける呼吸ガス流の良好な流れを達成することができる。
【0052】
図5に示される例示的な実施形態に基づいて、湾曲した形のチャネルの異なる湾曲形状を含む他の例示的な実施形態を企図することもできる。一例を挙げると、「S字形」の断面も、「S字撚り(S-Schlags)」という意味でチャネルの湾曲として考えられる。
【0053】
2つのチャネルのうちの1つが湾曲形状を有し、2つのチャネルのうちのもう1つが異なる湾曲形状を有することも可能である。
【0054】
図6は、本開示による人工呼吸器1の第4の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器1の第1のチャネル7と第2のチャネル8は、開口13、14の方向に人工呼吸器1のチャンバ内に拡張するように設計されている。これは、流れのノイズの低減を達成するために呼吸ガス流量を有利に適合させるのに役立つ。
【0055】
図7は、本開示による人工呼吸器1の第5の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器1の第1のチャネル7は、第1のチャネル7の第1の開口13の方向にチャンバ内に拡張するように設計されており、第1のチャネル7は追加的に湾曲した形である。したがって、第3の実施形態と第4の実施形態の利点を組み合わせて、流れのノイズの低減が達成される。
【0056】
図8は、本開示による人工呼吸器1の第6の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器1の第1のチャネル7と第2のチャネル8は縦リブ19を有する。これには、流体制御技術上及び製造技術上の利点がある。
【0057】
図8に示される例示的な実施形態に基づいて、図8ではなお縦リブ19として設計されているリブの異なる形状を含む別の例示的な実施形態を企図することもできる。一例を挙げると、横リブも考えられる。横リブであれ、縦リブであれ、又は横リブと縦リブの組み合わせであれ、異なる、若しくは組み合わせた形状のリブを設けることも可能である。一例を挙げると、リブを翼の形状(Tragflugel-Form)に設計することもできる。更に、対応するチャネルの細長い延在形状の一部にのみリブを設け、したがってチャネルの全長にわたってリブを形成しないことも可能である。
【0058】
図9は、本開示による人工呼吸器1の第7の実施形態の部分図を示し、人工呼吸器1の第1のチャネル7と第2のチャネル8は、人工呼吸器1のチャンバの壁からチャンバの外側に延び、壁は、チャンバの底板12である。したがって、第1のチャネル7と第2のチャネル8は、底板12から両側に突出する。これは、人工呼吸器1のチャンバのよりフラットな形式を可能にする。
【0059】
追加チャンバ9を備えた図2に示される例示的実施形態と、チャンバ(例えば図2によるチャンバ4)の外側に延びるチャネルを備えた図9に示される例示的実施形態とに基づいて、送風機を有するチャンバ(例えば図2のように送風機5を備えたチャンバ4)に開口する第1のチャネルを有するが、その場合、第2のチャネルが追加チャンバ(例えば、送風機の下に配置された追加チャンバ)にのみ配置されている別の例示的実施形態を企図することもできる。このような実施形態では、追加チャンバに他のチャネルを配置することもできる。更に、例えば、第1のチャネルがスロットの形状でのみ設計され、送風機を有するチャンバへの一種のスロット若しくは貫通部であることも考えられる。
【0060】
図10及び図11は、第1及び第2のチャネルの断面形状の様々な実施形態の概略図を示す。チャネルの長手方向に対して直交する断面が示されている。第1のチャネルと第2のチャネルは、同一の断面形状を有するか、又は互いに異なる断面形状を有することができる。
【0061】
図10に、第1及び第2のチャネルに適した断面の例示的な実施形態を示す。図10Aは、深さTと幅Bを有する矩形の断面形状を示す。深さTは、幅Bの何倍も小さくすることができ、それによりそれぞれのチャネルはスロット形に設計されている。チャネルを追加的に湾曲した形にすることができ(ここには図示せず、図5を参照)、それにより三日月形の断面形状になる。
【0062】
矩形の断面形状の他に、図10B図10Iに例示的に示されるように、他の断面形状も考えられる。図10B及び図10Cはダンベル形の断面形状を示す。ダンベル形の断面形状とは、チャネルの断面がスロット形であり、少なくとも一方の端、好ましくは両端に拡張部を有することと理解することができる。拡張部は角ばった形(図10Bを参照)又は丸形(図10Cを参照)に形成することができる。ダンベル形の断面形状の利点は、端の拡張部によって、拡張部のないスロットよりも流れのプロファイルがより均一になることである。これは、それぞれの端で流れの断面を大きくすることによって実現でき、この流れの断面は、速度を低下させる摩擦効果を両端で補償することができる。図10DはU字形の断面形状を示し、この断面形状は端の拡張部によって前述したのと同様の利点を有することができる。他の可能な断面形状は、V字形(図10E)、T字形(図10F)、ダブルT字形(図10G)、台形(図10H)、又は楕円形(図10I)であり得る。
【0063】
図11において、断面の例示的実施形態が示されており、この実施形態は、代替の例示的実施形態において、特に第1のチャネルに適しており、かつ有利であり得る。純粋な矩形のスロット形状(図11A)の他に、図11B図11Gに例示的に示されるような他の断面形状も考えられる。図11Bは十字形、図11CはX形、図11FはL字形、図11Gは星形の断面形状を示す。これらの断面形状では、全体として幅Bが小さくなることによって、設置スペースを最小限に抑えることができる。
【0064】
図11D及び図11Eにおいて、丸形若しくは角形の環状隙間が示されている。三角形又は多角形に形成された環状隙間も考えられる(図示せず)。これらの断面形状は、外側の円若しくは四角と内側の円若しくは四角との間を流れが流れることを特徴とする。技術的な観点から、このような形状は「展開スロット(aufgewickeltem Schlitz)」に相当し、これも同様に設置スペースの大幅な節約をもたらす。
【0065】
図11B図11Gに示される幾何学的形状はすべて、それぞれ対応するチャネルが、一定の断面積の図11Aによるスロット形状よりもコンパクトな構造を有することを特徴とする。チャネルの深さ、幅、及び長さによって形成される総容積は、すべての断面形状で同じであることが好ましい。
【0066】
チャネルの長さは、図10及び図11により示される可能な断面形状の影響を受けない。チャネルの長さは、1~100mm、好ましくは20~60mm、特に好ましくは40mmとすることができる。すべての断面形状において深さTが重要である。深さは、少なくともスロットに最も類似する形状の部分で同じでなければならず、すなわち1~20mm、好ましくは3~7mm、特に好ましくは5mmである。チャネルの深さと幅によって形成される断面積は、すべての断面形状で同じであることが好ましい。断面積は5~2000mm、好ましくは60~420mm、特に好ましくは200mmであり得る。
【符号の説明】
【0067】
1 人工呼吸器
2 ハウジング
3 出口
4 チャンバ
5 送風機
6 入口
7 第1のチャネル
8 第2のチャネル
9 追加チャンバ
10 連結管
11 端部
12 底板
13 第1の開口
14 第2の開口
15 ホルダ
16 シリコーンベアリング
17 保持ピン
18 送風機本体
19 縦リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】