(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157565
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】減揺装置を備える船舶
(51)【国際特許分類】
B63B 3/70 20060101AFI20241030BHJP
B63B 15/00 20060101ALI20241030BHJP
B63B 39/03 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B63B3/70
B63B15/00 D
B63B39/03 Z
B63B39/03 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119266
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2023071773の分割
【原出願日】2023-04-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年4月28日、NYKバルク・プロジェクト株式会社が、同社のウェブサイト(https://nbpc.co.jp/news/3017)にて、近藤 健介、藤原 啓介、 谷 正芳、金子 尊、白木 東、郭 鵬飛が発明した「減揺装置を備える船舶」を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】513327702
【氏名又は名称】NYKバルク・プロジェクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513203288
【氏名又は名称】MHI下関エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505134796
【氏名又は名称】株式会社IMC
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 啓介
(72)【発明者】
【氏名】谷 正芳
(72)【発明者】
【氏名】金子 尊
(72)【発明者】
【氏名】白木 東
(72)【発明者】
【氏名】郭 鵬飛
(57)【要約】
【課題】船体にタンク部を設けることができる減揺装置を備える船舶を提供すること。
【解決手段】船舶1は、船体2の暴露甲板上に立設され、左右一対のタンク部21L,21Rを暴露甲板よりも上方位置にて支持する複数の支持脚32~35と、暴露甲板の下方に設けられた船体構造50を補強する補強部材としての補強鋼材81a~81fと、を備え、複数の支持脚32~35は、補強鋼材81a~81fの上方または上方近傍位置に配設されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のタンク部間の液体の移動により船体の揺動を抑制する減揺装置を備える船舶であって、
船体の暴露甲板上に立設され、前記左右一対のタンク部を前記暴露甲板よりも上方位置にて支持する複数の支持脚と、
前記暴露甲板の下方に設けられた船体構造を補強する補強部材と、
を備え、
前記複数の支持脚は、前記補強部材の上方または上方近傍位置に配設されていることを特徴とする減揺装置を備える船舶。
【請求項2】
前記補強部材は、前記暴露甲板と前記船体構造を構成する部材とに架けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の減揺装置を備える船舶。
【請求項3】
前記複数の支持脚のうち少なくとも一部の隣接する支持脚同士がトラス構造で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の減揺装置を備える船舶。
【請求項4】
前記複数の支持脚の少なくとも一部は、横断面形状が矩形形状であることを特徴とする請求項1に記載の減揺装置を備える船舶。
【請求項5】
前記左右一対のタンク部の左右幅寸法は、前記船体の最大左右幅寸法以下であることを特徴とする請求項1に記載の減揺装置を備える船舶。
【請求項6】
前記左右一対のタンク部の左右幅寸法は、前記船体の最大左右幅寸法と同寸であることを特徴とする請求項5に記載の減揺装置を備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体の揺動を抑制する減揺装置を備える船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶の横揺れを抑制する装置として、船体に搭載された左右一対のタンク部間を液体が移動することによって生じるモーメントにより、外乱による船舶に作用する横揺れのモーメントを相殺して揺動を抑制するアンチローリングタンク(ART)とも呼ばれる減揺装置が知られている。
【0003】
この種の減揺装置を船舶に搭載する場合、アンチローリングタンクを暴露甲板よりも下方に配置すると、船舶本来の貨物容積を損ねるとともに、減揺装置の重心位置が船体の重心位置に近いので大きな減揺効果が望めない。そこで、例えば、船体の甲板上に設けられる船橋の下側に、アンチローリングタンクを船橋と一体構造で設けることで、貨物容積を大きく損ねることなく減揺効果の向上を図ったもの等がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のアンチローリングタンクは、基本的には船舶を新造する際に設けられるが、既設の船舶に減揺効果を高めるためアンチローリングタンクを後付けで設けることも望まれている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された減揺装置を備える船舶にあっては、当該船舶の新造時にアンチローリングタンクを一体化した船橋を新規製造するものであり、既設の船舶の船橋にこのようなアンチローリングタンクを後付けで設けることはできない。甲板上に立設された船橋等の構造物を利用してアンチローリングタンクを設ける場合、既設の船舶はその構造上、内部に液体が充填されて重量が大きいタンク部を支持するために必要な強度を本来有していないため、アンチローリングタンクを既設の船舶に後付けで設けることは困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、既設の船体にタンク部を後付けで設けることができる減揺装置を備える船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の減揺装置を備える船舶は、
左右一対のタンク部間の液体の移動により船体の揺動を抑制する減揺装置を備える船舶であって、
既設の船体の船尾部における暴露甲板上に立設され、前記左右一対のタンク部を前記暴露甲板よりも上方位置にて支持する複数の支持脚と、
前記暴露甲板の下方に設けられた船体構造を補強する補強部材と、
を備え、
前記複数の支持脚は、前記補強部材の上方または上方近傍位置に配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、甲板上の船橋等を利用することなく、重量があるタンク部を、船尾部の暴露甲板上における強度が高い部分で安定して支持することができる。また、暴露甲板上の艤装品等の設置スペースや作業スペースを損ねることなく、船尾部に左右一対のタンク部を後付けで設けることができる。
【0009】
前記補強部材は、前記暴露甲板と前記船体構造を構成する既設部材とに架けて設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、既設部材の支持強度を利用して、支持脚を安定して支持することができる。
【0010】
前記船体の船尾部は、後方に向けて漸次幅狭となる平面視略テーパ状に形成され、
前記複数の支持脚のうちの少なくとも一部は、前記船尾部の船側外板に沿って平面視略ハの字状に配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、液体の左右間の移動により生じる横荷重や捻りに対する支持強度が高まる。
【0011】
前記複数の支持脚のうち少なくとも一部の隣接する支持脚同士がトラス構造で連結されていることを特徴としている。
この特徴によれば、曲げモーメントにより支持脚が変形しにくくなり、支持強度が高まる。
【0012】
前記複数の支持脚の少なくとも一部は、横断面形状が矩形形状であることを特徴としている。
この特徴によれば、支持脚が変形しにくくなり、支持強度が高まる。
【0013】
前記左右一対のタンク部の左右幅寸法は、前記船体の最大左右幅寸法以下であることを特徴としている。
この特徴によれば、既設の船体の基本仕様を変更することがなく、接岸や係留ライン取りなどを行う際にタンク部が邪魔になることを防止できる。
【0014】
前記左右一対のタンク部の左右幅寸法は、前記船体の最大左右幅寸法と同寸であることを特徴としている。
この特徴によれば、既設の船体の基本仕様を変更することがなく、左右一対のタンク部の減揺効果を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例としての減揺装置を備える船舶を船尾側から見た状態を示す概略斜視図である。
【
図4】(a)は船舶を示す概略正面図、(b)は減揺装置を示す概略側面図である。
【
図5】(a)は船舶を示す概略背面図、(b)は減揺装置の内部構造を示す概略背面図である。
【
図6】船尾部におけるタンク本体の配置位置を示す概略平面図である。
【
図7】船尾部の左舷側における船体構造とタンク本体との位置関係を示す概略平面図である。
【
図8】(a)は
図7のA-A断面図、(b)は
図7のB-B断面図、(c)は
図7のC-C断面図である。
【
図9】(a)は
図7のD矢視図、(b)は(a)のE-E断面図である。
【
図11】(a)は
図7のG-G断面図、(b)は(a)のH-H断面図である。
【
図13】(a)は
図7のJ-J断面図、(b)は(a)のK-K断面図である。
【
図15】(a)は
図7のM-M断面図、(b)は(a)のN-N断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る減揺装置を備える船舶を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
本発明に係る実施例としての減揺装置を備える船舶につき、
図1~
図6を参照して説明する。尚、以下の説明において、船舶の船首側を船体の前方と称し、船舶の船尾側を船体の後方と称する。また、平面視において進行方向と直交する方向を幅方向または左右方向と称する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施例としての減揺装置を備える船舶1(以下、船舶1と略称する)は、メインカーゴとしてホットコイル等の鉄鋼製品、産業機械や、石炭、岩塩等のバルク貨物を積載可能な多目的貨物船であり、載貨重量が2万トンを超える外航船である。尚、船舶1は、上記貨物船に限らず、旅客船、フェリー、タンカー等であってもよく、減揺装置が適用される船種は任意である。
【0019】
図2~
図4に示すように、船体2における船首部2Fと船尾部2Bとの間に複数設けられた船倉3には、コンテナ等の複数の貨物Cが収納可能であるとともに、上甲板4U上における各倉口3aの近傍には荷役装置5が複数設けられている。船尾部2Bにおける船尾楼甲板4P上には、操舵室6aを備えた船橋6及びファンネル7が設けられているとともに、船橋6及びファンネル7よりも船尾側には、船体2の動揺(特に横揺れ)を抑制するための減揺装置20が、後述するように既設の船体2に後付けで設けられている。
【0020】
図3に示すように、船体2における船体中央の左右幅寸法L1(全幅L1)は、船体2の最大左右幅寸法(最大幅)とされている。船首部2Fは、左右幅寸法が船首に向けて漸次幅狭となる平面視略テーパ状に形成されている。また、船尾部2Bは、左右幅寸法が船尾に向けて漸次幅狭となる平面視略テーパ状に形成され、船尾部2Bの最後端(船尾外板8b)の左右幅寸法L2は、左右幅寸法L1よりも短寸である(L2<L1)。尚、本実施例では、船尾部2Bの左右幅寸法が船尾に向けて漸次幅狭となる平面視略テーパ状に形成されているが、船尾部2Bの左右幅寸法は船体2の最大左右幅寸法と同一であってもよい。
【0021】
減揺装置20は、
図5(a),(b)に示すように、船体2の左舷側と右舷側とにそれぞれ配置される左右一対のタンク部21L,21R及びタンク部21L,21Rの下部同士を連通する連通路部21Cから構成されるタンク本体21と、連通路部21Cに設けられ、開閉によってタンク本体21内に充填された液体W(減揺水)の揺動周期を調整するためのダンパー22と、タンク部21L,21Rの上部同士を連通してタンク部21L,21R内の空気を流通させるための複数本(実施例では3本)のエアダクト23(
図5(b)参照)と、各エアダクト23に設けられ、その開閉によって空気の流通を拘束してタンク本体21内の液体Wの作動または停止を切替るためのエアバルブ24と、ダンパー22やエアバルブ24等の駆動制御を行う制御装置(図示略)と、を備える。また、タンク部21L,21R内には、液体Wの挙動を抑制するための邪魔板25が設けられている。
【0022】
尚、タンク本体21内に充填される液体Wは、真水、海水あるいは他の液体でもよい。また、連通路部21Cをパイプ等で構成してもよく、この場合、ダンパー22を開閉可能なバルブ等に替えてもよい。尚、ダンパー22やバルブは必ずしも設けなくてもよい。
【0023】
減揺装置20は、波や風によって起こる船体2を左右に傾けようとする力(モーメント)に対して、船体2の傾斜によって左右一対のタンク部21L,21R内の液体Wが船体の横揺れ固有周期に対して90度の位相差をもって左右に移動する動きで、船体2を反対側に傾けようとする力(逆向きモーメント)を起こし、横揺れ振幅(角度)を低減させることを目的とした装置である。
【0024】
尚、減揺装置20は、少なくとも左右一対のタンク部間の液体Wの移動により船体2の揺動を抑制するものであれば、例えば、本実施例のように、連通路部21Cにダンパー22を設けること等により液体Wの揺動周期を調整可能とした可変周期型の減揺装置20でもよいし、船体傾斜により液体Wが自然揺動する固定周期型の減揺装置(図示略)でもよく、機能や構造等については種々に変更可能である。
【0025】
図5及び
図6に示すように、タンク本体21は、鋼材等により構成されるベース部31上に配設されており、ベース部31は、船尾楼甲板4Pの上面に複数立設された支持脚32~35の上部に支持されている。
【0026】
詳しくは、
図6に示すように、支持脚32は、船尾楼甲板4Pの上面における後縁部に沿って左右に立設され、支持脚33は、船尾楼甲板4Pの上面における左右縁後部に立設され、支持脚34は、船尾楼甲板4Pの上面における左右縁部の支持脚33より前方位置に立設され、支持脚35は、船尾楼甲板4Pの上面における左右縁部の支持脚34より前方位置に立設されている。すなわち支持脚32~35は、左右対称に配設されている。
【0027】
タンク本体21は、
図5に示すように、背面視で上向き開放した略コ字状に形成され、平面視で
図6の網点領域で示すように、タンク本体21の左右幅寸法L11は、船尾部2Bの最後端(船尾外板8b)の左右幅寸法L2を超えて大寸であるとともに、船体2の最大左右幅寸法L1と略同一とされている。よって、タンク本体21の左右のタンク部21L,21Rの左右側(
図6の左斜め下りの斜線領域)は、その後端から前端にわたり、船尾部2Bである船尾楼甲板4Pの左右の船側外板8aよりも外側方に張り出している。
【0028】
尚、タンク本体21は、必ずしも本実施例に限られず、船体2の中央部付近の左右の船側外板8aより外側方に張り出さず、船側外板8aよりも内側に配置してもよく、このようにすることで、接岸や係留ライン取りなどを行う際に、船尾部2Bの左右の船側外板8aより外側方に張り出したタンク部21L,21Rが、岸壁の構造物等の邪魔になることを防止しつつ、左右一対のタンク部21L,21Rの左右幅寸法L11を極力長くして減揺効果を増大させることができる。
【0029】
図4(b)に示すように、支持脚32の上部前面及びリブ材32aは、ベース部31及びタンク部21L,21Rの背面に溶接等により固着され、また支持脚35の上部背面及びリブ材35aは、ベース部31及びタンク部21L,21Rの前面に溶接等により固着されている。これにより、タンク部21L,21Rは、支持脚32,35により前後側から挟持された状態で支持されるため、タンク本体21の前後方向の揺れに対する支持強度が高まる。
【0030】
また、
図5(b)に示すように、左右一対の支持脚32,32は、背面視X字状に配設された2本の連結フレーム38によりトラス構造にて連結されているため、曲げモーメントにより左右の支持脚32が変形しにくくなり、タンク本体21の横揺れ(左右方向の揺れ)に対する支持強度が高まる。また、支持脚33,34は、左右のタンク部21L,21Rの直下において、上部がベース部31の下面に溶接等により固着されていることで、液体Wの増加により重量が増大する左右のタンク部21L,21Rが安定して支持される。
【0031】
また、
図6に示すように、左右各々の支持脚33,34,35は、船尾側に向けて左右各々の支持脚33,34,35同士が近づくように、船側外板8aに沿って平面視略ハの字状に配置されている。このように、3本の支持脚33,34,35が、液体Wの移動方向である左右方向に対し斜めに横切るように配置されることで、タンク本体21の横揺れ(左右方向の揺れ)に対する支持強度が高まるため、タンク本体21が安定して支持される。
【0032】
また、支持脚32~35は、船側外板8aに沿って互いに前後に間隔をあけて配置されていることで、船尾楼甲板4Pの上面におけるタンク本体21の下方の領域を有効に利用して各種作業ができるとともに、各支持脚32~35の間から係留ライン等を下ろしたり、後方や左右側方の視界を確保することができる。
【0033】
船体2の船尾部2Bは、
図2に示すように、プロペラや舵が下方に配置されることで、その上方の船体部分は浅く、操舵装置等が配置されるため、船尾楼甲板4Pの下方には船倉3を配設するスペースが元々存在しない。このため、減揺装置20のタンク本体21を船尾部2Bに設置しても積載貨数は減少することがない。一方で、仮に船尾部2B以外の場所に設置すると、その設置場所に船倉3を設けることができなくなる。また、タンク本体21は、左右に移動する液体Wの距離が長いほど減揺効果が大きいので、左右幅寸法L11は長寸とする方がよいが、船尾楼甲板4Pの上面に設置するとなると、艤装品等の装備状況によっては設置スペースを確保できない場合もある。
【0034】
これに対し本実施例の減揺装置20の場合、左右一対のタンク部21L,21Rを含むタンク本体21が、
図4(b),
図5及び
図6に示すように、船尾楼甲板4Pにおける船側外板8aの内側近傍に沿って立設された複数の支持脚32~35により、船橋6よりも後方の船尾部2Bに位置し、かつ、該船尾部2Bにおける船尾楼甲板4Pよりも上方位置にて支持されている。
【0035】
詳しくは、
図5に示すように、船尾楼甲板4Pからタンク本体21のベース部31までの上下寸法L20は所定寸法(例えば、L20=約2500mm以上など)であり、タンク本体21の下方には空間が形成されているため、船員等はタンク本体21の下方に形成される空間を通過して船尾まで往来し、各種作業を行うことができる。尚、船尾楼甲板4Pからタンク本体21のベース部31までの上下寸法L20は、少なくとも1800mmあれば、船員等が各種作業を行うスペースとして有効である。また、
図6に示すように、船尾部2Bである船尾楼甲板4Pの上面には、係船機41、ビット42、ハッチカバー43や電気設備(図示略)といった既設の艤装品が配設されるが、タンク本体21を船尾楼甲板4Pの上方位置に支持することで、これら艤装品と干渉することなく、船尾部2Bにタンク本体21を設けることができる。つまり、例えば、減揺装置を有しない既設の船舶1であっても、船尾部2Bに後付けでタンク本体21を設けることができる。
【0036】
また、
図2に示すように、タンク本体21は、船尾部2Bにおける船橋6よりも船尾側、つまり、船橋6より後方に離れた位置に配置されている。詳しくは、タンク本体21は、船橋6の後方に配置されたファンネル7のさらに後方に配置されており、船橋6の一部である航海船橋甲板4Nからタンク本体21までの離間寸法L24は、タンク本体21の前後寸法L23よりも長寸とされている(L24>L23)。また、
図4(a)及び
図5(a)に示すように、船尾楼甲板4Pの上面からタンク本体21の上部までの上下寸法L21は、船尾楼甲板4Pの上面から船橋6の操舵室6aがある航海船橋甲板4Nまでの上下寸法L22よりも短寸である(L21<L22)。
【0037】
操舵室6aや航海船橋甲板4Nからの後方の視界は、前方や左右側方の視界に比べると重要度は低く、また元来、既設のファンネル7により後方の視界の一部は遮られている。そして本実施例のタンク本体21は、船橋6の直近でなく、船橋6から後方に離れており、しかもファンネル7の後方において航海船橋甲板4Nより下方に隠れるように配置されていることで、船橋6の操舵室6aや航海船橋甲板4Nからの後方の視界に大きな影響を与えることはない。よって、タンク部21L,21Rを減揺効果の高い船尾楼甲板4P(暴露甲板)の上面よりも上方に設けることができる。
【0038】
また、
図5(a)に示すように、タンク部21L,21Rは、支持脚32~35により船尾楼甲板4Pよりも上方位置に支持されることで、船尾楼甲板4Pの下方に設置する場合に比べ、タンク本体21の重心位置gを船舶1の重心位置Gよりも高い位置に設定することができることで、船体2の重心位置Gからタンク本体21内の液体Wの重心位置gまでの距離を大きく取ることができるとともに、幅狭な船尾部2Bの左右の船側外板8aより外方の空間を利用して左右のタンク部21L,21Rの一部を配置することができ、これにより液体Wの左右方向への移動距離を大きく取ることができるため、減揺モーメントを大きくすることが可能となり、すなわち、減揺効果を最大限に高めることができる。このため、同じ減揺モーメント量を得るためのタンク本体21内の液体量(重量)が少なくて済むとともに、減揺装置20の設置により生じる貨物Cの載貨量(重量)の減少も抑制できる。
【0039】
次に、支持脚32~35と船尾楼甲板4Pの下方に設けられる船体構造50との関係について、
図7~
図13に基づいて説明する。尚、船尾部2Bの下方の船体構造50は略左右対称に構成されているため、
図7以降では、主に船尾部2Bにおける左舷側の船体構造50について説明し、右舷側の船体構造50の説明は省略する。
【0040】
図7及び
図8(a)~(c)に示すように、船尾部2Bにおける船尾楼甲板4Pの下方には、前後方向に延びる複数の縦梁51a~51fが、左右方向に向けて間隔をあけて複数配設されているとともに、これら縦梁51a~51fに跨るように左右方向に延びる複数の横梁61a~61oが、前後方向に向けて間隔をあけて配設されている。また、各縦梁51a~51fの後端側には、船尾の船尾外板8bに沿って上下方向に延びる複数の肋骨71a~71eが、左右方向に向けて間隔をあけて配設されているとともに、各横梁61a~61oの左端側には、船側外板8aに沿って上下方向に延びる複数の肋骨72a~72oが、前後方向に向けて間隔をあけて配設されている。
【0041】
平面視略格子状に組合わされた各縦梁51a~51f及び各横梁61a~61oの上部には、船尾楼甲板4Pが溶接等により固着されている。尚、各縦梁51a~51f及び各横梁61a~61oの下方にも縦梁51a~51f及び横梁61a~61oが設けられており、これらの上部には上甲板4Uが固着されている。
【0042】
また、横梁61a~61oのうち、横梁61a,61d,61h,61l,61oについては、他の横梁61b,61c,61e~61g,61i~61k,61m,61n(
図8(b)参照)よりも上下幅寸法が長寸で強度が高い鋼材が採用されている(
図8(c)参照)。また、肋骨72a~72oのうち、肋骨72a,72d,72h,72l,72oについては、他の肋骨72b,72c,72e~72g,72i~72k,72m,72n(
図8(b)参照)よりも左右幅寸法が長寸で強度が高い鋼材が採用されている(
図8(c)参照)。
【0043】
これら縦梁51a~51f、横梁61a~61o及び肋骨71a~71e,72a~72oは、船尾楼甲板4Pの下方に設けられる船体構造50を構成している。尚、船体構造50は一例であり、上記縦梁51a~51f、横梁61a~61o及び肋骨71a~71e,72a~72o以外の図示しない鋼材等を含んでいてもよい。
【0044】
支持脚32~35は、船尾楼甲板4Pの上面に立設されているが、その少なくとも一部が下方の船体構造50にて支持されるように配置されている。また、船体構造50における支持脚32~35の下方位置には、後述する補強部材が固定されて補強されている。以下、各支持脚32~35と船体構造50との位置関係について、
図9~
図16に基づいて説明する。
【0045】
まず、支持脚32と船体構造50との位置関係について、
図9及び
図10に基づいて説明すると、支持脚32は、
図9及び
図10に示すように、上下方向に延びる4枚の鋼板82a~82dを組付けることで四角筒状に形成されている。より詳しくは、支持脚32を構成する鋼板82a~82dは、平面断面視で左右方向に長寸の略長方形状に形成されている。支持脚32の下端には平面視略四角枠状の支持プレート83aが溶接等により固着されている。そして、支持プレート83aを船尾楼甲板4Pの上面に溶接等により固着することで、支持脚32が支持プレート83aを介して船尾楼甲板4Pの上面に立設されている。
【0046】
また、鋼板82b,82dの一部は、肋骨71bの直上に配置され、鋼板82dは、縦梁51aの直上に前後方向に沿うように配置され、鋼板82aは、横梁61aの直上に左右方向に沿うように配置されている。
【0047】
また、
図9(a),(b)及び
図10に示すように、鋼板82dの直下における縦梁51bよりも下方位置及び鋼板82cの直下に、上下方向に延びる補強鋼材81aが、縦梁51b及び肋骨71bに溶接等により固着されている。このように、支持脚32の前壁と右壁とが船体構造50の直上に配置されているとともに、船体構造50における鋼板82c,82dの下方が補強鋼材81aにより補強されていることで、支持脚32が安定して支持される。また支持脚32は、平面断面視で左右方向に長寸の略長方形状に形成されているため、船体2を左右に傾けようとする力(モーメント)に対する支持力が高い。
【0048】
次に、支持脚33と船体構造50との位置関係について、
図11及び
図12に基づいて説明すると、支持脚33は、
図11及び
図12に示すように、上下方向に延びる4枚の鋼板82e~82hを組付けることで四角筒状に形成されている。より詳しくは、支持脚33を構成する鋼板82e~82hは、平面断面視で略正方形状に形成されている。支持脚33の下端には平面視略四角枠状の支持プレート83bが溶接等により固着されている。そして、支持プレート83bを船尾楼甲板4Pの上面に溶接等により固着することで、支持脚33が支持プレート83bを介して船尾楼甲板4Pの上面に立設されている。
【0049】
また、鋼板82fの一部は肋骨72aの直上に配置され、鋼板82eは、横梁61bの直上に左右方向に沿うように配置されるとともに、鋼板82fは、横梁61aの直上に左右方向に沿うように配置されている。
【0050】
また、
図11(a),(b)及び
図12に示すように、鋼板82eの直下における横梁61bよりも下方位置と、鋼板82fの直下における横梁61aよりも下方位置とに、左右方向に延びる補強鋼材81bが、横梁61a,61b及び肋骨72a,72bに溶接等により固着されている。また、補強鋼材81bの下方に、背面視略三角形状の補強鋼材81cが、補強鋼材81bと肋骨72a,72bとに溶接等により固着されている。
【0051】
このように、支持脚33の前壁と後壁とが船体構造50の直上に配置されているとともに、船体構造50における鋼板82e,82fの下方が補強鋼材81b,81cにより補強されていることで、支持脚33が安定して支持される。また支持脚33は、平面断面視で略正方形状に形成されているため、船体2を前後及び左右に傾けようとする力(モーメント)に対して同等に支持することができる。
【0052】
次に、支持脚34と船体構造50との位置関係について、
図13及び
図14に基づいて説明すると、支持脚34は、
図13及び
図14に示すように、上下方向に延びる3枚の鋼板82i~82kを組付けることで外側方に開放された平面視略コ字状に形成されており、その下端には平面視略コ字状の支持プレート83cが溶接等により固着されている。そして、支持プレート83cを船尾楼甲板4Pの上面に溶接等により固着することで、支持脚34が支持プレート83cを介して船尾楼甲板4Pの上面に立設されている。
【0053】
また、鋼板82i,82jは、肋骨72f,72gの直上に配置されている。
図13(a),(b)及び
図14に示すように、鋼板82iの右側近傍における横梁61gよりも下方位置と、鋼板82jの右側近傍における横梁61fよりも下方位置とに、背面視略三角形状の補強鋼材81dが、横梁61f,61gと肋骨72f,72gとに溶接等により固着されている。
【0054】
このように、支持脚34の前壁と後壁とが船体構造50の直上に配置されているとともに、船体構造50における鋼板82i,82jの下方近傍位置が補強鋼材81dにより補強されていることで、支持脚34が安定して支持される。また鋼板82i,82jの外側端が、船側外板8aと上下方向に連なる位置まで延びていることで、支持脚34が船側外板8aによって安定して支持される。
【0055】
次に、支持脚35と船体構造50との位置関係について、
図15及び
図16に基づいて説明すると、支持脚35は、
図15及び
図16に示すように、上下方向に延びる3枚の鋼板82l~82nを組付けることで外側方に開放された平面視略コ字状に形成されており、その下端には平面視略コ字状の支持プレート83dが溶接等により固着されている。そして、支持プレート83dを船尾楼甲板4Pの上面に溶接等により固着することで、支持脚35が支持プレート83dを介して船尾楼甲板4Pの上面に立設されている。
【0056】
また、鋼板82l,82mの一部は、肋骨72k,72lの直上に配置され、鋼板82lは、横梁61lの直上に左右方向に沿うように配置されるとともに、鋼板82mは、横梁61kの直上に左右方向に沿うように配置されている。
【0057】
また、
図15(a),(b)及び
図16に示すように、鋼板82lの直下における横梁61lよりも下方位置と、鋼板82mの直下における横梁61kよりも下方位置とに、背面視略三角形状の補強鋼材81eが、横梁61l,61kと肋骨72k,72lとに溶接等により固着されている。さらに、鋼板82nの直下には、板状の補強鋼材81fが鋼板82nに沿うように配置され、前後の横梁61l,61kに溶接等により固着されている。
【0058】
このように、支持脚35の前壁と後壁とが船体構造50の直上に配置されているとともに、船体構造50における鋼板82l,82m,82nの下方が補強鋼材81e,81fにより補強されていることで、支持脚35が安定して支持される。また鋼板82l,82mの外側端が、船側外板8aと上下方向に連なる位置まで延びていることで、支持脚35が船側外板8aによって安定して支持される。
【0059】
[作用・効果]
以上説明したように、本発明の実施例としての減揺装置を備える船舶1は、左右一対のタンク部21L,21R間の液体Wの移動により船体2の揺動を抑制する減揺装置20を備え、左右一対のタンク部21L,21Rは、船橋6よりも後方の船尾部2Bに位置し、かつ、該船尾部2Bにおける暴露甲板である船尾楼甲板4Pよりも上方位置にて支持されている。これによれば、船尾楼甲板4P上の艤装品に干渉することなくタンク部を設けることができる。船橋6からの視界に大きな影響を与えることなく、タンク部21L,21Rを減揺効果の高い船尾楼甲板4Pよりも上方に設けることができる。
【0060】
また、船体2の船尾部2Bは、後方に向けて漸次幅狭となる平面視略テーパ状に形成され、左右一対のタンク部21L,21Rは、船尾部2Bの最後端の船尾外板8bよりも外側方に張り出している。これによれば、幅狭な船尾部2Bの左右の船側外板8aより外方の空間を利用して左右一対のタンク部21L,21Rを配設できるため、減揺効果をさらに高めることができる。
【0061】
また、左右一対のタンク部21L,21Rは、船尾楼甲板4P上に立設された複数の支持脚32~35にて支持されることで、タンク部21L,21Rの下方の空間を、船尾楼甲板4P上での作業領域や艤装品の配置スペースとして有効に利用することができる。
【0062】
また、左右一対のタンク部21L,21Rの左右幅寸法L11は、船体2の最大左右幅寸法L1以下であることで、船体2の基本仕様を変更することがなく、接岸や係留ライン取りなどを行う際にタンク部21L,21Rが邪魔になることを防止できる。
【0063】
また、左右一対のタンク部21L,21Rの左右幅寸法L11は、船体2の最大左右幅寸法L1と同寸であることで、船体2の基本仕様を変更することがなく、左右一対のタンク部21L,21Rの減揺効果を極大化することができる。
【0064】
また、左右一対のタンク部21L,21Rは、既設の船舶1の船尾部2Bに設置されていることで、既設の船舶1の船尾部2Bに既に設けられている係船機41やビット42等の艤装品と干渉することなく、左右一対のタンク部21L,21Rを後付けで設けることができる。
【0065】
また、本発明の実施例としての減揺装置を備える船舶1は、左右一対のタンク部21L,21R間の液体Wの移動により船体2の揺動を抑制する減揺装置20を備える船舶1は、既設の船体2の船尾部2Bにおける船尾楼甲板4P上に立設され、左右一対のタンク部21L,21Rを船尾楼甲板4Pよりも上方位置にて支持する複数の支持脚32~35と、船尾楼甲板4Pの下方に設けられた船体構造50を補強する補強部材としての補強鋼材81a~81fと、を備え、複数の支持脚32~35は、補強鋼材81a~81fの上方または上方近傍位置に配設されている。
【0066】
これによれば、船尾楼甲板4P上の船橋6等を利用することなく、重量があるタンク部21L,21Rを、船尾部2Bの船尾楼甲板4P上における強度が高い部分で安定して支持することができる。また、船尾楼甲板4P上の艤装品等の設置スペースや作業スペースを損ねることなく、船尾部2Bに左右一対のタンク部21L,21Rを後付けで設けることができる。
【0067】
また、補強鋼材81a~81fは、船尾楼甲板4Pと船体構造50を構成する既設部材としての縦梁51a~51f、横梁61a~61o及び肋骨71a~71e,72a~72oに架けて設けられている。これによれば、既設部材の支持強度を利用して、支持脚32~35を安定して支持することができる。
【0068】
また、船体2の船尾部2Bは、後方に向けて漸次幅狭となる平面視略テーパ状に形成され、複数の支持脚32~35のうちの少なくとも一部(例えば、支持脚33~35)は、船尾部2Bの左右の船側外板8aに沿って平面視略ハの字状に配置されている。これによれば、液体Wの左右間の移動により生じる横荷重や捻りに対する支持強度が高まる。
【0069】
また、複数の支持脚32~35のうち少なくとも一部の隣接する支持脚32,32同士がトラス構造で連結されていることで、曲げモーメントにより支持脚32が変形しにくくなり、支持強度が高まる。
【0070】
また、複数の支持脚32~35の少なくとも一部は、横断面形状が矩形形状であることで、支持脚32~35が変形しにくくなり、支持強度が高まる。
【0071】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0072】
例えば、前記実施例では、暴露甲板の一例として、船尾部2Bに設けられた船尾楼甲板4Pを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上甲板4Uなど、船尾楼甲板4P以外の甲板を適用してもよい。
【0073】
また、前記実施例では、タンク本体21の左右幅寸法L11は、船体2の最大左右幅寸法L1と略同一である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、タンク本体21の左右幅寸法L11は、船体2の最大左右幅寸法L1よりも短寸であってもよいし、長寸であってもよい。
【0074】
また、前記実施例では、左右のタンク部21L,21Rが、船尾部2Bの左右の船側外板8aよりも外側方に張り出している形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、船側外板8aよりも外側方に張り出さなくてもよい。つまり、左右のタンク部21L,21Rを有するタンク本体21の左右幅寸法L11は、船尾部2Bの最後端の左右幅寸法L2と略同一または短寸であってもよい。
【0075】
また、前記実施例では、左右のタンク部21L,21Rを有するタンク本体21は、複数の支持脚32~35により船尾楼甲板4Pよりも上方位置にて支持される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、支持脚の構造、形状、配置位置、配置数などは任意であり、種々に変更可能である。例えば、複数の支持脚33~35は、船尾部2Bの船側外板8aに沿って平面視略ハの字状に配置されていたが、船尾部2Bが後方に向けて漸次幅狭となる平面視略テーパ状に形成されているか否かによらず、平面視略ハの字状に配置されていてもよいし、平面視略ハの字状に配置されていなくてもよい。
【0076】
また、支持脚32を除く複数の支持脚33~35が平面視略ハの字状に配置されていたが、複数の支持脚32~35全てが平面視略ハの字状に配置されていてもよい。また、支持脚は必ずしも暴露甲板上に立設されていなくてもよく、例えば、船橋6やファンネル7の側壁などの構造物から略水平に突出されていてもよい。また、壁材等により構成されていてもよい。
【0077】
また、前記実施例では、複数の支持脚32~35のうち一部の隣接する支持脚32同士がトラス構造で連結されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、支持脚32以外の支持脚33~35のうち少なくとも一部の支持脚がトラス構造で連結されていてもよい。
【0078】
また、前記実施例では、既設の船舶1の船尾部2Bに左右のタンク部21L,21Rを有するタンク本体21を設置した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、新設の船舶1の船尾部2Bに左右のタンク部21L,21Rを有するタンク本体21を設置してもよい。
【0079】
また、前記実施例では、船体構造50を補強する補強部材として、補強鋼材81a~81fを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、補強部材の素材、形状、大きさ、配設位置等は任意であり、上記のものに限定されるものではない。
【0080】
また、前記実施例では、船体構造50を補強する補強部材としての補強鋼材81a~81fは、支持脚32~35の直下または下方近傍位置に配設されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、船体構造50において支持脚32~35のモーメントがかかる位置であればよく、例えば、支持脚32~35を構成する鋼板82a~82nにより囲まれた領域に補強部材を設けてもよい。
【0081】
また、前記実施例では、支持脚32~35は、複数の鋼板82a~82nにより平面視略四角筒状またはコ字形に構成された形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、平面視略H形または円形など、形状は任意である。また、このように複数の鋼板を溶着することで構成されたものではなく、形鋼等で構成されていてもよい。