(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015757
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】粉末組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240130BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240130BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240130BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240130BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240130BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240130BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240130BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240130BHJP
A23L 3/349 20060101ALN20240130BHJP
A23L 3/3508 20060101ALN20240130BHJP
A23B 4/12 20060101ALN20240130BHJP
A23B 4/20 20060101ALN20240130BHJP
C12J 1/00 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
A23L5/00 D
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/36
A61Q1/00
A61K9/14
A61K47/10
A61K47/12
A23L3/349 501
A23L3/3508
A23B4/12 A
A23B4/20 A
C12J1/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118043
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】516089979
【氏名又は名称】株式会社ウエノフードテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】西村 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】古川 陽二郎
【テーマコード(参考)】
4B021
4B035
4B128
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4B021LW03
4B021MC01
4B021MK18
4B021MK20
4B035LE01
4B035LG05
4B035LG06
4B035LP36
4B128BL18
4B128BL26
4B128BL27
4B128BL30
4C076AA29
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD41
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC271
4C083AC272
4C083CC01
4C083DD17
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 担持された親水性有機溶媒の割合が大きく、粉末としての流動性に優れ、親水性有機溶媒の揮散性が抑制された粉末組成物を提供する。
【解決手段】 粉末化基材に担持された親水性有機溶媒を含む粉末組成物であって、
粉末化基材が、BET式一点法による比表面積が5m2/g以上、且つ水銀圧入法による細孔容積が0.45mL/g以上のソルビトールを含み、
粉末組成物中の親水性有機溶媒の含浸率が1~50重量%である、粉末組成物を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末化基材に担持された親水性有機溶媒を含む粉末組成物であって、
粉末化基材が、BET式一点法による比表面積が5m2/g以上、且つ水銀圧入法による細孔容積が0.45mL/g以上のソルビトールを含み、
粉末組成物中の親水性有機溶媒の含浸率が1~50重量%である、粉末組成物。
【請求項2】
安息角が30~60°である、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項3】
親水性有機溶媒がエタノールまたは酢酸である、請求項1または2に記載の粉末組成物。
【請求項4】
親水性有機溶媒がエタノールであり、25℃、相対湿度50%の環境下に5分間静置した際に、下記計算式により算出されるエタノールの揮散率が1~25%である、請求項3に記載の粉末組成物。
粉末組成物の揮散率(%)=(A-B)/C×100
A:粉末組成物の重量(g)
B:5分間静置後の粉末組成物の重量(g)
C:粉末組成物中の親水性有機溶媒の重量(g)
【請求項5】
親水性有機溶媒が酢酸であり、25℃、相対湿度50%の環境下に5分間静置した際に、下記計算式により算出される酢酸の揮散率が1~10%である、請求項3に記載の粉末組成物。
粉末組成物の揮散率(%)=(A-B)/C×100
A:粉末組成物の重量(g)
B:5分間静置後の粉末組成物の重量(g)
C:粉末組成物中の親水性有機溶媒の重量(g)
【請求項6】
エタノールを含む粉末組成物と、酢酸を含む粉末組成物を含有する、請求項1または2に記載の粉末組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末化基材に担持された親水性有機溶媒を含む粉末組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エタノール、酢酸などの親水性有機溶媒は、飲食品、化粧品、芳香剤、医薬品、医薬部外品、日用品など、様々な製品に目的に応じて利用されている。
【0003】
このような親水性有機溶媒は、常温では液体状で、袋容器への保存や、粉末製剤に配合するには取り扱いが不便であるため、粉末化した親水性有機溶媒の利用が増加している。親水性有機溶媒の粉末化方法としては、粉末化基材に親水性有機溶媒を担持させることにより粉末化したものや粉末化基材を親水性有機溶媒に懸濁して乾燥させることによって粉末化したものが知られている。しかしながら、従来の粉末化基材に担持させる親水性有機溶媒の粉末化方法で粉末状の粉末組成物を調製した場合、親水性有機溶媒の割合が小さく、親水性有機溶媒が速やかに揮散してしまい粉末組成物を使用する際には親水性有機溶媒の割合がさらに小さくなる。また、乾燥工程を伴う粉末化方法においても加熱により揮散が促進されるため、同様に親水性有機溶媒の割合が小さいものであった。
【0004】
特許文献1には濃縮醸造酢を無水酢酸ナトリウムまたはデキストリンに吸着・混合して粉末化した粉末醸造酢が提案されている。しかしながら、無水酢酸ナトリウムまたはデキストリンを用いた粉末醸造酢は担持できる濃縮醸造酢の割合が小さく、濃縮醸造酢が揮散し易いものであった。又、得られた粉末醸造酢の流動性は十分とは言い難いものだった。
【0005】
特許文献2にはアルコールを含有する液体をアルケニルコハク酸エステル化澱粉と混合して粉末化したアルコール含有粉末が提案されている。しかしながら、乾燥工程において加熱操作が行われるため、アルコールの揮散が促進され、得られた粉末組成物中に担持されたアルコールの割合は小さいものであった。又、作業工程が煩雑であるなどの課題も有するものであった。
【0006】
特許文献3には酢酸を含有する液体をアルケニルコハク酸エステル化澱粉と混合し粉末化した酢酸を含有する粉末組成物が提案されているが、上記特許文献2と同様の課題を有するものであった。
【0007】
特許文献4には、アルコールをデキストリン等の粉末化基材と混合し得られる粉末酒が提案されている。しかしながら、得られた粉末酒の流動性は十分とは言い難く、担持されたアルコールが揮散し易いものであった。
【0008】
したがって、親水性有機溶媒を粉末化した粉末組成物において、粉末としての流動性に優れ、かつ親水性有機溶媒の揮散が抑制された粉末組成物が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006-087389号公報
【特許文献2】特開2009-247350号公報
【特許文献3】特開2010-4865号公報
【特許文献4】特開2016-123284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、担持された親水性有機溶媒の割合が大きく、粉末としての流動性に優れ、親水性有機溶媒の揮散性が抑制された粉末組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、親水性有機溶媒を、特定のソルビトールを含む粉末化基材に担持させることにより、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成させた。
【0012】
すなわち本発明は、粉末化基材に親水性有機溶媒を担持した粉末組成物であって、粉末化基材が、BET式一点法による比表面積が5m2/g以上、且つ水銀圧入法による細孔容積が0.45mL/g以上のソルビトールを含み、粉末組成物中の親水性有機溶媒の割合(以降含浸率という)が1~50重量%である、粉末組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の粉末組成物に採用可能な親水性有機溶媒は、常温で液体状である必要がある。常温で固体状または半固体状の物質は、粉末化基材に担持させることが困難であるため、採用できない。尚、本発明において常温とは、約25℃である。
【0014】
親水性有機溶媒としては、アルコール、直鎖状の飽和炭化水素鎖を持ったカルボン酸、アセトン、ピリジン、エチルアミン、ジエチルアミン、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミドや、アクリル酸などの不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい親水性有機溶媒としては、アルコール、直鎖状の飽和炭化水素鎖を持ったカルボン酸等が挙げられる。
【0015】
本発明に使用する親水性有機溶媒は、水を含有するものであってもよい。水を含有する親水性有機溶媒を用いる場合、水分含有量が15重量%以下であるものが好ましく、12重量%以下であるものがより好ましく、0.01~10重量%であるものがさらに好ましい。
【0016】
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が例示され、エタノール、プロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。
【0017】
直鎖状の飽和炭化水素鎖を持ったカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が例示され、酢酸、プロピオン酸が好ましく、酢酸がより好ましい。
【0018】
親水性有機溶媒は2種以上を混合したものであってもよく、またそれぞれ一種類の親水性有機溶媒を含む粉末組成物を二種類以上混合して用いてもよい。例えばエタノールと酢酸をそれぞれ別個に粉末化基材に担持させた粉末組成物を製造し、これらを混合あるいは併用することによって、エタノールおよび酢酸を同時に適用することが可能となる。
【0019】
本発明に用いる粉末化基材は、BET式一点法による比表面積が5m2/g以上、且つ水銀圧入法による細孔容積が0.45mL/g以上のソルビトール(本明細書において多孔質ソルビトールと称する)を含む。粉末化基材は多孔質ソルビトールのみからなるものが好ましい。
【0020】
本発明に用いる多孔質ソルビトールは平均粒子径が特定の範囲になるように調整したものであってよく、その際の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー(登録商標)3000、マルバーン社製)で測定して、1~600μmが好ましく、20~550μmがより好ましく、30~500μmがさらに好ましい。
【0021】
多孔質ソルビトールは、例えば、溶融したソルビトールとエタノールを混練し、次いで減圧乾燥することにより製造することができる。一つの好ましい態様において、本発明の多孔質ソルビトールの製造方法は、以下の工程:
a)溶融ソルビトールとエタノールを混練装置内に供給する工程、
b)混練装置内の溶融ソルビトールとエタノールとを50~78℃に保持しながら混練する工程、および
c)b)で得られた混練物を25~90℃、100~30000Paで減圧乾燥することによりエタノールを除去する工程
を含む。
【0022】
さらに、上記の製造方法をより具体的に説明する。まず、工程a)において、10~70重量部の溶融ソルビトールと30~90重量部のエタノールを混練装置内に供給する。混練装置内への供給量は、好ましくは15~68重量部の溶融ソルビトールと32~85重量部のエタノールであり、より好ましくは20~65重量部の溶融ソルビトールと35~80重量部のエタノールである。
【0023】
工程a)において使用するエタノールに含まれる水分量は、例えば10重量%以下である。エタノールに含まれる水分量は、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは0重量%(エタノールのみ)である。エタノールに含まれる水分量が少ない程、製造される多孔質ソルビトールの比表面積が向上する傾向がある。
【0024】
次いで、工程b)において、混練装置内の溶融ソルビトールとエタノールとを50~78℃に保持しながら混練する。混練装置内の温度を50~78℃に保持することにより、混練装置内の溶融ソルビトールが急速に固化することなく、かつエタノールの揮散を抑制しながら溶融ソルビトールとエタノールとを混練できる。混練装置内の温度は、好ましくは55~78℃であり、より好ましくは60~75℃である。
【0025】
工程c)において、工程b)で得られた混練物を25~90℃、100~30000Paで減圧乾燥することによりエタノールを除去し、多孔質ソルビトールを得る。減圧乾燥は、例えばエバポレーターなどの減圧乾燥機を用いて行う。工程c)において得られる多孔質ソルビトールを、ブレンダー等により粉砕または整粒し、粉末にすることができる。
【0026】
上述した多孔質ソルビトールの製造に用いる装置としては、KRCニーダー、横型ニーダー、竪型ニーダー等の混練機が挙げられ、品質の点でKRCニーダー、横型ニーダーが好ましく、製造効率とのバランスに優れる点でKRCニーダーがより好ましい。
【0027】
本発明に用い得る粉末化基材の比表面積は、5m2/g以上であり、好ましくは6~50m2/gであり、より好ましくは7~30m2/gである。
【0028】
本発明でいう比表面積は、例えばMONOSORB(ユアサアイオニクス株式会社製)またはこれと同等の比表面積測定装置において、BET式一点法で測定される値を意味する。例えば、比表面積は以下の測定条件で測定し得る。
[測定条件]
方法:BET式一点法
キャリアガス:窒素・ヘリウム混合ガス(N2:He=30:70)
測定ガス流量:15cc/分
脱気条件:60℃、20分間
【0029】
本発明に用い得る粉末化基材の細孔容積は0.45mL/g以上であり、好ましくは0.5~3mL/gであり、より好ましくは0.55~2.5mL/gである。
【0030】
本発明でいう細孔容積は、例えばPascal 240(Thermo Fisher Scientific社製)またはこれと同等の細孔容積測定装置において、水銀圧入法で測定される値を意味する。
【0031】
粉末化基材と親水性有機溶媒を混合することにより、親水性有機溶媒を粉末化基材に担持させることができる。例えば、所望の含浸率を達成する重量比で、粉末化基材に親水性有機溶媒を少量ずつ添加しながら混合することにより、親水性有機溶媒を粉末化基材に担持させる。
【0032】
本発明の粉末組成物は、親水性有機溶媒の粉末化基材に対する含浸率が1~50重量%であり、含浸率が5~48重量%であるものが好ましく、含浸率が10~45重量%であるものがより好ましく、含浸率が15~40重量%であるものがさらに好ましい。含浸率が1重量%未満の場合、粉末組成物中の粉末化基材であるソルビトールが相対的に多くなるため、添加対象物における味質や物性が変化する傾向があり、50重量%を超える場合、親水性有機溶媒が粉末組成物の表面に露出し、流動性が悪化する傾向がある。本発明でいう含浸率は、親水性有機溶媒と粉末化基材の全重量に対する親水性有機溶媒の重量の割合を意味する。
【0033】
本発明の粉末組成物の安息角は30~60°であるのが好ましく、35~58°であるのがより好ましく、40~55°であるのがさらに好ましい。安息角が30°未満の場合、飛散性が高くなる傾向があり、安息角が60°を超える場合、流動性が悪くなる傾向がある。
【0034】
本発明でいう安息角は、例えば円筒回転法安息角測定器(筒井理化学器械株式会社)またはこれと同等の測定器において、円筒回転法で測定される値を意味する。
【0035】
本発明の粉末組成物がエタノールを担持するものである場合、エタノールの揮散率が1~25%であるものが好ましく、2~24%であるものがより好ましく、3~23%であるものがさらに好ましい。揮散率が25%を超える場合、担持されたエタノールがすぐに揮散してしまいエタノールの保持量が低下してしまう傾向がある。揮散率が1%未満の場合、エタノールを揮散させることを目的とした用途への使用が困難となる。
【0036】
本発明の粉末組成物が酢酸を担持するものである場合、酢酸の揮散率が1~10%であるものが好ましく、1.5~9.5%であるものがより好ましく、2~9%であるものがさらに好ましい。揮散率が10%を超える場合、担持された酢酸がすぐに揮散してしまい酢酸の保持量が低下してしまう傾向がある。揮散率が1%未満の場合、酢酸を揮散させることを目的とした用途への使用が困難となる。
【0037】
尚、本発明において揮散率は、粉末組成物を25℃、相対湿度50%の環境下に5分間静置後、揮散した親水性有機溶媒の重量減少割合を意味する。
【0038】
本発明の粉末組成物は、親水性有機溶媒の目的に応じて、飲食品、化粧品、芳香剤、医薬品、医薬部外品、日用品等の様々な分野で利用することができる。
【0039】
本発明の粉末組成物を用いた一つの好ましい態様としては、アルコール透過性フイルムで構成された袋等にエタノールを含む粉末組成物を封入した、エタノール揮散剤が例示される。
【0040】
本発明の粉末組成物を用いた他の好ましい態様としては、エタノールを含む粉末組成物を用いた粉末酒が例示される。
【0041】
本発明の粉末組成物を用いた別の好ましい態様としては、エタノールまたは酢酸を含む粉末組成物を単独で、あるいはエタノールを含む粉末組成物と酢酸を含む粉末組成物を組み合わせて用いた調味料製剤、pH調整剤、日持ち向上剤、保存剤、防腐剤、洗浄除菌剤等が例示される。
【0042】
本発明の粉末組成物を用いたさらに別の好ましい態様としては、酢酸を含む粉末組成物を用いた粉末酢が例示される。
【実施例0043】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
試験例1(粉末化基材の調製)
下記に示す材料を表1に示す割合(重量%)および条件で溶融混練し、結晶化した混練物を表1に示す条件でロータリーエバポレーターにより減圧乾燥して粉末化基材1を得た。得られた粉末化基材は、下記に示すブレンダーで15,700rpm、30秒間粉砕した。粉砕後の粉末化基材1および6~10について、以下の条件で比表面積、細孔容積および平均粒子径を測定した。尚、粉末化基材2~5は、30分間溶融混練した際に混練物が結晶化しなかったため、比表面積、細孔容積および平均粒子径を測定することなく評価を終了した。
【0045】
<材料>
・ソルビトール1:粉末ソルビトール「ウエノ」20M(株式会社ウエノフードテクノ製、ソルビトール純度92%)
・ソルビトール2:パーテック(登録商標)SI 150(メルク社製、ソルビトール純度98.4%)
・マルチトール:粉末マルチトール「ウエノ」60M(株式会社ウエノフードテクノ製)
・キシリトール:1級キシリトール(試薬、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・マルトース:サンマルト(登録商標)ミドリ(株式会社林原製)
・デキストリン:マックス1000EX-C(松谷化学工業株式会社)
・アルファー化加工デンプン:エフスマッシュ(登録商標)(フタムラ化学株式会社製)
・エタノール:発酵エタノール(95度、第一アルコール株式会社製、エタノール92.3重量%)
・イオン交換水
<混練装置>
・KRC:KRCニーダー(S2型、株式会社栗本鐵工所製)
・横型:横型ニーダー(準KC-6型、サタケ株式会社製)
<ブレンダー>
・ブレンダー(16Speed Blender、Oster製)
【0046】
比表面積の測定
粉末化基材を測定セル(容積:1.7cm3)に1/2容量程度となるように入れ、BET型比表面積計(MONOSORB、ユアサアイオニクス株式会社製)により以下の条件で測定した。
[測定条件]
方法:BET式一点法
キャリアガス:窒素・ヘリウム混合ガス(N2:He=30:70)
測定ガス流量:15cc/分
脱気条件:60℃、20分間
【0047】
細孔容積の測定
細孔容積は水銀ポロシメーター(Pascal 240、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて測定した。
【0048】
平均粒子径の測定
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー(登録商標)3000、マルバーン社製)を用いて測定した。
【0049】
【0050】
実施例1~2および比較例1~10
エタノール粉末組成物の調製
樹脂袋に上記試験例で製造した粉末化基材60gを入れ、下記のエタノール20gを少量ずつ添加しながら振り混ぜ、含浸率25重量%の粉末組成物を調製した(実施例1および比較例1、3、5、7、9)。また、エタノールを40gに変更した以外は同様にして、含浸率40重量%の粉末組成物を調製した(実施例2および比較例2、4、6、8、10)。
<親水性有機溶媒>
・試薬特級エタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製 エタノール99.5重量% 水分含有量0.2重量%)
【0051】
安息角の測定
粉末組成物150mLをガラス円筒容器に入れ、円筒回転法安息角測定機(筒井理化学器械株式会社)にて安息角を測定した。結果を表2に示す。
【0052】
揮散率の測定
粉末組成物1gを内径41mmのガラスシャーレに入れた後25℃、相対湿度50%の環境下で蓋を開け、5分間静置した後、下記計算式により揮散率を算出した。結果を表2に示す。
粉末組成物の揮散率(%)=(A-B)/C×100
A:粉末組成物の重量(g)
B:5分間静置後の粉末組成物の重量(g)
C:粉末組成物中の親水性有機溶媒の重量(g)
【0053】
本発明の粉末組成物(実施例1および2)は、比較例1~10の粉末組成物に比べ、安息角が低く、揮散率が小さいことから、優れた流動性を有しつつ、より多くのエタノールを担持していることが確認された。
【0054】
実施例3~4および比較例11~20
酢酸粉末組成物の調製
エタノールを下記の酢酸に変更した以外は、上記実施例と同様にして粉末組成物を調製し、安息角、揮散率の測定を行った。結果を表3に示す。
<親水性有機溶媒>
・試薬特級酢酸(富士フイルム和光純薬株式会社製 酢酸99.7重量% 水分含有量0.25重量%)
【0055】
本発明の粉末組成物(実施例3および4)は、比較例11~20の粉末組成物に比べ、安息角が低く、揮散率が小さいことから、優れた流動性を有しつつ、より多くの酢酸を担持していることが確認された。
【0056】
【0057】
【0058】
実施例5
エタノール揮散剤の製造
表4に示す割合で各成分を配合し、エタノール揮散剤を製造した。該エタノール揮散剤は、本発明の粉末組成物を利用した製剤の一形態である。
<材料>
・バーミキュライト(旭工業株式会社製)
・活性炭(武田薬品工業株式会社製)
【0059】
【0060】
実施例6
食品保存料製剤の製造
表5に示す割合で各成分を配合し、食品保存料製剤を製造した。該食品保存料製剤は、本発明の粉末組成物を利用した製剤の一形態である。
<材料>
・しらこたん白:しらこたん白抽出物(株式会社ウエノフードテクノ製)
【0061】
【0062】
実施例7
調味酢の製造
表6に示す割合で各成分を配合し、調味酢を製造した。該調味酢は、本発明の粉末組成物を利用した製剤の一形態である。
<材料>
・デキストリン:マックス1000EX-C(松谷化学工業株式会社製)
・麦芽糖:サンマルト(登録商標)S(株式会社林原製)
・精製塩:特級精製食塩(日本食塩製造株式会社製)
【0063】