(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157580
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】衛生用薄葉紙収納製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D83/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071972
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】李 海月
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LB07
3E014MC06
(57)【要約】
【課題】上面に取出孔が形成された収納容器内にロール状に巻かれた衛生用薄葉紙が収納された衛生用薄葉紙収納製品において、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力を低減する。
【解決手段】上面に取出孔242を備える収納容器2と、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1と、を備え、衛生用薄葉紙1のロール部11は、上下方向に沿う軸を軸心111としてロール状に巻かれており、ロール部11の上端部から取出孔242までの距離が0.0mm以上、20.0mm以下である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に取出孔を備える収納容器と、
前記収納容器に収納された衛生用薄葉紙と、
を備え、
前記衛生用薄葉紙は、上下方向に沿う軸を軸心としてロール状に巻かれており、
前記衛生用薄葉紙のロール状に巻かれた部分の上端部から前記取出孔までの距離が0.0mm以上、20.0mm以下であることを特徴とする衛生用薄葉紙収納製品。
【請求項2】
前記衛生用薄葉紙のロール状に巻かれた部分の上端部から前記取出孔までの距離が0.0mm以上、5.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用薄葉紙が収納容器に収納された衛生用薄葉紙収納製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床、キッチン、トイレ等の家屋内の物品や、人体等を拭くための衛生用薄葉紙が収納容器に収納された衛生用薄葉紙収納製品として、上面に取出孔が形成された収納容器内に、ロール状に巻かれた衛生用薄葉紙が収納され、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出して使用するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような衛生用薄葉紙収納製品において、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際に強い力を要すると、衛生用薄葉紙収納製品を使用する使用者の負担となることから、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力を小さくすることが、使用者の利便性の向上のために好ましい。
【0005】
本発明の課題は、上面に取出孔が形成された収納容器内にロール状に巻かれた衛生用薄葉紙が収納された衛生用薄葉紙収納製品において、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、衛生用薄葉紙収納製品において、
上面に取出孔を備える収納容器と、
前記収納容器に収納された衛生用薄葉紙と、
を備え、
前記衛生用薄葉紙は、上下方向に沿う軸を軸心としてロール状に巻かれており、
前記衛生用薄葉紙のロール状に巻かれた部分の上端部から前記取出孔までの距離が0.0mm以上、20.0mm以下であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納製品において、
前記衛生用薄葉紙のロール状に巻かれた部分の上端部から前記取出孔までの距離が0.0mm以上、5.0mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上面に取出孔が形成された収納容器内にロール状に巻かれた衛生用薄葉紙が収納された衛生用薄葉紙収納製品において、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る衛生用薄葉紙収納製品を斜め上方から見た斜視図である。なお、開閉蓋を開放した状態を図示している。
【
図2】実施形態に係る衛生用薄葉紙収納製品に収納される衛生用薄葉紙の斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III部における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る衛生用薄葉紙収納製品について、
図1から
図3に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。なお、収納容器に衛生用薄葉紙が収納されたものを衛生用薄葉紙収納製品という。
【0011】
また、以下においては、
図1に示すように、X軸、Y軸及びZ軸並びに前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。すなわち、収納容器の取出孔が備えられた側を「上」、その反対側を「下」、蓋体と開閉蓋とが接続されている側を「後」、その反対側を「前」、後方向を向いた状態における右手側を「右」、後方向を向いた状態における左手側を「左」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
また、本明細書において、「~」を用いて記載する数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含むものとする。
【0012】
[1 実施形態の構成]
衛生用薄葉紙収納製品100は、
図3に示すように、衛生用薄葉紙1が収納容器2内に収納されたものである。
【0013】
[(1) 衛生用薄葉紙]
衛生用薄葉紙1は、
図2に示すように、例えば、ウェットティッシュ等の薬液が含浸されたシートがロール状に巻かれたものであり、
図3に示すように、収納容器2内に収納される。
なお、
図2に示すように、衛生用薄葉紙1のうち、ロール状に巻かれた部分をロール部11とし、ロール部11から引き出された部分を引き出し部12とする
【0014】
ロール部11は、長尺に形成されたシートが、Z軸方向に沿う軸心111に巻かれることで円筒状の形状とされたものである。
【0015】
ロール部11は、ロール状に巻かれた内側(軸心111に近い側)からシートを引き出すことができるように形成されている。
なお、軸心111は、単にシートが巻かれる際の中心(巻き始めの部分)を意味し、シート以外の材料で形成された軸が存在することを要するわけではない。
また、ロール部11を形成するシートには、長さ方向に一定間隔をおいてミシン目が形成されている。
【0016】
これによって、衛生用薄葉紙収納製品100を使用するユーザは、衛生用薄葉紙1のロール部11の内側から引き出したシートを、ミシン目に沿って切り離して使用することができる。
【0017】
[(2) 収納容器]
収納容器2は、内部に衛生用薄葉紙1が収納される容器であり、全体が円筒状の形状となるように形成されている。
【0018】
[a 容器本体]
容器本体21は、衛生用薄葉紙1を収納するための容器であり、
図1及び
図3に示すように、円筒形状の側面部211及び下方に位置する円形の底面部212を有し、上面が開放された有底円筒形状に形成され、上面の全面に開口部213が設けられている。また、側面の上端部の外面側には、
図3に示すように、周方向に沿って雄ネジ部2111が設けられている。
【0019】
容器本体21の材料としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、等を用いることができる。また、容器本体21の製造方法は特に限定されず、例えば、ブロー成型等の方法で製造すればよい。
容器本体21の形状は、上記のような円筒形状が好ましいが、円筒形状の衛生用薄葉紙1を収納できるものであればよく、これに限られない。例えば、平面視において五角形、六角形等となる角柱状に形成されていてもよい。
【0020】
[b 蓋体]
蓋体22は、
図3に示すように、容器本体21の上方に、開口部213を覆うようにして取り付けられる部材であり、
図1及び
図3に示すように、円筒形状の側面部221及び上方に位置する円形の天面部222を有し、下面が開放された有底円筒形状に形成され、下面の全面に開口部223が設けられている。また、側面部221の下端部の内面側には、
図3に示すように、周方向に沿って雌ネジ部2211が設けられている。
【0021】
蓋体22の材料としては、容器本体21と同様、例えば、PE、PP等を用いることができる。また、蓋体22の製造方法は特に限定されず、容器本体21と同様、例えば、ブロー成型等の方法で製造すればよい。
蓋体22の形状は、円筒形状には限られず、容器本体21の形状に応じて、平面視において容器本体21と同一の形状となるように形成すればよい。
【0022】
蓋体22の天面部222の中央部には、
図1及び
図3に示すように、下方へと凹状となる部分である凹部2221が形成され、凹部2221内には、
図3に示すように、蓋体22を貫通するようにして孔部2222が形成されると共に、
図1及び
図3に示すように、孔部2222を囲むようにして第1環状壁部2223が形成されている。
【0023】
孔部2222は、蓋体22の天面部222を貫通するように形成された平面視円形の開口部であり、取出部24を取り付けるために用いられる。
また、第1環状壁部2223は、円筒形状に上方へと突出するように形成され、孔部2222を囲むように配置されている。
【0024】
[c 開閉蓋]
開閉蓋23は、蓋体22に回動可能に取り付けられた部材であり、
図1及び
図3に示すように、開閉蓋本体231と、第2環状壁部232と、を備える。
開閉蓋23の材料としては、容器本体21及び蓋体22と同様、例えば、PE、PP等を用いることができる。また、開閉蓋23の製造方法は特に限定されず、容器本体21及び蓋体22同様、例えば、ブロー成型等の方法で製造すればよい。
【0025】
開閉蓋本体231は、
図1及び
図3に示すように、一端部が、蓋体22の天面部222の凹部2221の後端部付近のY軸方向中央部に回動可能に接続された扁平な板状の部材である。
【0026】
開閉蓋本体231は、平面視における形状が凹部2221の平面視における形状と前端部を除いて略同一となり、蓋体22に接続された後端部を支点として回動させてXY面と平行とした際に、凹部2221に嵌め込まれて固定されるように構成されている。
【0027】
第2環状壁部232は、
図1及び
図3に示すように、開閉蓋23の閉塞状態、すなわち、開閉蓋本体231をXY面と平行とした状態における開閉蓋本体231の下面側に備えられた、開閉蓋本体231から円筒形状に下方へと突出する部分である。
【0028】
第2環状壁部232は、開閉蓋23の閉塞状態において蓋体22の第1環状壁部2223と対向する位置に、その内径が第1環状壁部2223の外径と同一か、ごく僅かに大きくなるように形成されている。これによって、開閉蓋23の閉塞状態において、第1環状壁部2223が第2環状壁部232内に入り込んだ状態となることで、蓋体22の孔部2222に取り付けられた取出部24に形成された取出孔242の密閉性を高めることができる。
【0029】
[d 取出部]
取出部24は、
図1及び
図3に示すように、平面視において円形となる略円柱状に形成された部材であり、例えばTPE(熱可塑性エラストマー)等の弾性変形可能な材料を用いて形成されている。取出部24の製造方法は特に限定されず、例えば、射出成型等の方法で製造すればよい。
【0030】
取出部24は、
図1及び
図3に示すように、上面の中央部に平面視円形となるように下方に凹んだ部分である凹部241を備え、凹部241の中央部に、収納容器2内から衛生用薄葉紙1を引き出すための開口部である取出孔242が形成されている。
【0031】
取出孔242の形状は、
図1においては十字状の切り込みである場合について図示しているが、収納容器2内に収納された衛生用薄葉紙1を引き出すことが可能であればよく、このような形状には限られない。
【0032】
また、取出部24は、
図3に示すように、平面視において蓋体22に形成された孔部2222よりも僅かに大きくなるように形成されると共に、側面を周回するように形成された凹部である溝部243を備え、蓋体22の孔部2222の周囲の縁を溝部243に差し込むようにして、蓋体22に取り付けることができるように構成されている。
【0033】
[(3) 衛生用薄葉紙のロール部から取出孔までの距離について]
衛生用薄葉紙収納製品100は、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1のロール部11の上端部から取出孔242(取出孔242が形成された取出部24の下面)までの距離(
図3におけるd1)が、0.0mm以上、20.0mm以下となるように形成されている。また、同距離が、0.0mm以上、5.0mm以下であることがさらに好ましい。
【0034】
より具体的には、衛生用薄葉紙1のロール部11の高さ(
図3におけるd2)を100.0mm以上、200.0mm以下とし、収納容器2における容器本体21の底面部212の上面から取出部24の下面までの距離(
図3におけるd3)を100.0mm以上、220.0mm以下とすることで、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1のロール部11の上端部から取出孔242(取出孔242が形成された取出部24の下面)までの距離(
図3におけるd1)を、0.0mm以上、20.0mm以下とすることが好ましく、衛生用薄葉紙1のロール部11の高さ(
図3におけるd2)を100.0mm以上、200.0mm以下とし、収納容器2における容器本体21の底面部212の上面から取出部24の下面までの距離(
図3におけるd3)を100.0mm以上、205.0mm以下とすることで、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1のロール部11の上端部から取出孔242(取出孔242が形成された取出部24の下面)までの距離(
図3におけるd1)を、0.0mm以上、5.0mm以下とすることがさらに好ましい。
【0035】
なお、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1のロール部11の上端部から取出孔242(取出孔242が形成された取出部24の下面)までの距離(
図3におけるd1)を上記のような範囲とする方法としては、従来の収納容器よりも容器本体21の高さを低くしてもよいし、従来の収納容器よりも蓋体22の高さを低くしてもよいし、従来の収納容器よりも容器本体21及び蓋体22の両者の高さを低くしてもよい。
【0036】
[2 実施形態の効果]
本実施形態に係る衛生用薄葉紙収納製品100によれば、上面に取出孔242を備える収納容器2と、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1と、を備え、衛生用薄葉紙1のロール部11は、上下方向に沿う軸を軸心111としてロール状に巻かれており、ロール部11の上端部から取出孔242までの距離が、0.0mm以上、20.0mm以下である。
【0037】
従来の衛生用薄葉紙収納製品においては、収納容器に収納された衛生用薄葉紙のロール状に巻かれた部分の上端部から収納容器の上面に形成された取出孔までの距離が35.0mm以上あるのが通常であり、このような距離が長いことが、取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際の抵抗を増大させ、収納容器から衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力を増大させる要因となっていた。
【0038】
この点、本実施形態に係る衛生用薄葉紙収納製品100によれば、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1のロール部11の上端部から、収納容器2の上面に形成された取出孔242までの距離が従来よりも短いことで、取出孔242から衛生用薄葉紙1を引き出す際の抵抗を低減し、衛生用薄葉紙収納製品100の使用者が、収納容器2に形成された取出孔242から衛生用薄葉紙1を引き出す際に要する力を低減することができる。
【0039】
なお、取出孔242を大きくすることによっても、取出孔242から衛生用薄葉紙1を引き出す際の抵抗を低減することはできるが、この場合、取出孔242の密閉性等の面で問題が生じる可能性がある。これに対して、本実施形態によれば、上記のような弊害を生じることなく、収納容器2に形成された取出孔242から衛生用薄葉紙1を引き出す際に要する力を低減することができる。
【0040】
また、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1のロール部11の上端部から、収納容器2の上面に形成された取出孔242までの距離が従来よりも短いことで、収納容器2を小型化でき、収納容器2を形成するのに要する樹脂材料の量を低減できることから、製造コストの低減及び環境負荷の低減の点でも好ましい。
【0041】
また、ロール部11の上端部から取出孔242までの距離が、0.0mm以上、5.0mm以下である場合、さらに上記の効果を向上することができる。
【0042】
[3 変形例]
上記構成の説明においては、従来の収納容器よりも容器本体21及び/又は蓋体22の高さを低くすることで、収納容器2に収納された衛生用薄葉紙1のロール部11の上端部から取出孔242(取出孔242が形成された取出部24の下面)までの距離(
図3におけるd1)を上記の範囲とする場合について説明したが、これとは異なり、容器本体の底面部に上方へと突出する突出部を設け、このような突出部によって、収納容器に収納された衛生用薄葉紙を下方から支えるようにすることで、収納容器に収納された衛生用薄葉紙のロール部の上端部から取出孔までの距離を短くし、上記の範囲としてもよい。この場合、衛生用薄葉紙収納容器の外観を変えることなく、衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力を低減する効果を得ることができる。
【0043】
さらに、このような突出部が上方へと突出する長さを使用者が変動させることができるようにすることで、収納容器に収納された衛生用薄葉紙のロール部の上端部から取出孔までの距離を使用者が調整できるようにしてもよい。この際には、当該距離を0.0mm~20.00mmの範囲内でのみ、使用者が調整できるようにすることが好ましく、当該距離を0.0mm~5.00mmの範囲内でのみ、使用者が調整できるようにすることがさらに好ましい。
【実施例0044】
次に、本発明の実施例及び比較例について評価した結果を説明する。以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
[1 サンプル作製]
以下の実施例及び比較例の衛生用薄葉紙収納製品を作製した。
【0046】
[(1) 実施例1]
衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離(
図3におけるd1)が0.0mmとなるものである。
【0047】
[(2) 実施例2]
衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離(
図3におけるd1)が5.0mmとなるものである。
【0048】
[(3) 実施例3]
衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離(
図3におけるd1)が10.0mmとなるものである。
【0049】
[(4) 実施例4]
衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離(
図3におけるd1)が20.0mmとなるものである。
【0050】
[(5) 比較例1]
衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離(
図3におけるd1)が35.0mmとなるものである。
【0051】
なお、いずれも、収納容器及び衛生用薄葉紙としては以下のものを用いつつ、収納容器の底面部上に置く台座の高さを変えることで、衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離(
図3におけるd1)を調整した。
【0052】
すなわち、使用した収納容器は、高さ168.6mm、底面部の直径115.2mmの円筒状の形状の容器本体(材質:PE)と、高さ34.0mm、天面部の直径103.5mmの円筒状の形状の蓋体(材質:PE)と、を備え、これらが組み合わさることで全体の高さが177.0mmとなるものである。
また、蓋体の天面部の凹部の中央に形成された孔部に取出部(材質:TPE)が備えられ、取出部の中央部に十字状の取出孔が形成されている。十字状の取出孔は、長さ13.0mm、幅1.0mmの二本の切込みが十字状にクロスするようにして形成されている。
収納容器の容器本体の底面部から取出孔(取出部の下面)までの距離は167.5mmである。
【0053】
また、使用した衛生用薄葉紙は、原紙シートに薬液が含浸されたウェットシートがロール状に巻かれたものであり、使用開始前の状態において、ロール部が、平面視における直径が85.0mm、高さが130.0mmの円筒形状となるものである。
原紙シートとしては、杉綾模様のスパンレース不織布を使用した。
【0054】
[2 試験内容]
上記の実施例及び比較例に係る衛生用薄葉紙収納製品を用いて、取出孔からの衛生用薄葉紙の引き出し時に要する力(以下、「抵抗力」という。)を測定した。
具体的には、衛生用薄葉紙収納容器に収納された衛生用薄葉紙について、ロール状に巻かれた内側から引き出された部分(引き出し部)の端部が、取出孔から35mm上方へと突出する状態とした上で、当該端部をプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、型番:DS2-200N)で挟んで、試験の実施者が下から上に向かって手で引っ張る方法によって、取出孔からの衛生用薄葉紙の引き出しに要する力を測定した。
【0055】
なお、同一の試験を各実施例及び比較例について220回ずつ実施した上で、それぞれについて、抵抗力が、5.00~5.99N、6.00~6.99N、7.00~7.99N、8.00~8.99N、9.00~9.99N、10.00~10.99N、11.00~11.99N、12.00~12.99N、13.00~13.99N、14.00~14.99N、15.00~15.99N、16.00~16.99N又は17.00~17.99Nとなった割合(%、抵抗力が当該範囲となった回数/実施回数)を算出した。
【0056】
[3 試験結果]
試験の結果を表Iに示す。
【0057】
【0058】
[4 評価]
実施例1から4に係る試験結果と比較例1に係る試験結果とを比較すると、衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離が0.0mm~20.0mmの実施例1から4では、全てにおいて、抵抗力が10.00N未満となる割合が50.0%を超えているのに対し、衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離が35.0mmの比較例1では、抵抗力が10.00N未満となる割合が50.0%以下となる。したがって、衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離を0.0mm~20.0mmとすることで、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力を低減できることが分かる。
【0059】
さらに、実施例1から2に係る試験結果と実施例3から4に係る試験結果とを比較すると、衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離が0.0mm又は5.0mmの実施例1から2では、抵抗力が10.00N未満となる割合が60.0%を超えているのに対し、衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離が10.0mm又は20.0mmの実施例3から4では、抵抗力が10.00N未満となる割合が60.0%以下となる。したがって、衛生用薄葉紙のロール部の上端部から収納容器の取出孔までの距離を0.0mm~5.0mmとすることで、収納容器に形成された取出孔から衛生用薄葉紙を引き出す際に要する力をさらに低減できることが分かる。