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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157586
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20241031BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20241031BHJP
   H02B 1/28 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H05K5/06 D
H05K5/03 B
H02B1/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071985
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋一
【テーマコード(参考)】
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360AB33
4E360BA06
4E360BB02
4E360BB12
4E360BB23
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA05
4E360EA18
4E360EB02
4E360GA07
4E360GA22
4E360GA29
4E360GB94
4E360GC14
5G016CG24
(57)【要約】
【課題】扉を閉じる際にパッキンに対して斜め方向から力が掛けられても、パッキンがはがれにくいようにすること。
【解決手段】筐体本体11と、扉12と、筐体本体に対して回動軸を中心として扉を回動させることが可能なヒンジ部101と、扉を閉じた状態において筐体本体と扉の間に介在させることが可能なパッキン13と、を備えたキャビネットであって、パッキンは、扉を閉じた状態において、扉の回動軸に対して前後方向にずれた位置において筐体本体と扉の間に位置することになる防水片131と、防水片から前側若しくは後側に立ち上げられた立ち上げ片132と、を備え、防水片は、扉又は筐体本体の一方と密着する密着面1311と、扉を閉じた状態から開いた状態にすることで筐体本体又は扉に対して当接している状態から当接していない状態にすることが可能な当接面1312と、を備え、立ち上げ片が密着面から見て反当接面側に立ち上がる構成とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体本体と、筐体本体の前側に設けられた開口を塞ぐことが可能な扉と、筐体本体に対して回動軸を中心として扉を回動させることが可能なヒンジ部と、扉を閉じた状態において筐体本体と扉の間に介在させることが可能なパッキンと、を備えたキャビネットであって、
パッキンは、
扉を閉じた状態において、扉の回動軸に対して前後方向にずれた位置において筐体本体と扉の間に位置することになる防水片と、防水片から前側若しくは後側に立ち上げられた立ち上げ片と、を備え、
防水片は、扉又は筐体本体の一方と密着する密着面と、扉を閉じた状態から開いた状態にすることで筐体本体又は扉に対して当接している状態から当接していない状態にすることが可能な当接面と、を備え、
立ち上げ片が密着面から見て反当接面側に立ち上がるキャビネット。
【請求項2】
立ち上げ片を扉又は筐体本体の一方に固定した請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
扉又は筐体本体の少なくとも一方には、防水片の反立ち上げ辺側で防水辺と隣り合う位置規制部を備える請求項2に記載のキャビネット。
【請求項4】
扉は、扉を閉じることで筐体本体と防水片を挟むことが可能な押圧部と、押圧部から前方に延びる前方延設部と、を備え、
パッキンの密着面が押圧部と密着しており、立ち上げ片が前方延設部と対向し、少なくとも扉を閉じた状態においては立ち上げ片と前方延設部が接している請求項1から3の何れかに記載のキャビネット。
【請求項5】
筐体本体は、扉を閉じることで扉と防水片を挟むことが可能な被押圧部と、被押圧部から後方に延びる後方延設部と、を備え、
パッキンの密着面が被押圧部と密着しており、立ち上げ片が後方延設部と対向し、少なくとも扉を閉じた状態においては立ち上げ片と後方延設部が接している請求項1から3の何れかに記載のキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、電気機器を収納するキャビネットの筐体と扉の間にパッキンを設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-92510号公報
【0004】
ところで、図14に示されることから理解されるように、キャビネットCaに備えられた扉Doが筐体本体Bmに対して回動可能である場合、扉Doを閉める時に、パッキンPaに対して斜め方向に力が掛けられ、パッキンPaがはがれてしまう虞があった。回動軸とパッキンPaの前後位置を一致させるなどしてパッキンPaに対して左右方向に向けた力をかけないようにすることも考えられるが、回動軸を中心として扉を回動させることが可能なヒンジ部の筐体本体Bmからの飛び出し長さを抑制することや防水性などを考慮すると、パッキンPaが、扉Doの回動軸に対して前後方向にずれた位置となるようにするのが好ましいといえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、扉を閉じる際にパッキンに対して斜め方向から力が掛けられても、パッキンがはがれにくいようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、筐体本体と、筐体本体の前側に設けられた開口を塞ぐことが可能な扉と、筐体本体に対して回動軸を中心として扉を回動させることが可能なヒンジ部と、扉を閉じた状態において筐体本体と扉の間に介在させることが可能なパッキンと、を備えたキャビネットであって、パッキンは、扉を閉じた状態において、扉の回動軸に対して前後方向にずれた位置において筐体本体と扉の間に位置することになる防水片と、防水片から前側若しくは後側に立ち上げられた立ち上げ片と、を備え、防水片は、扉又は筐体本体の一方と密着する密着面と、扉を閉じた状態から開いた状態にすることで筐体本体又は扉に対して当接している状態から当接していない状態にすることが可能な当接面と、を備え、立ち上げ片が密着面から見て反当接面側に立ち上がるキャビネットとする。
【0007】
また、立ち上げ片を扉又は筐体本体の一方に固定した構成とすることが好ましい。
【0008】
また、扉又は筐体本体の少なくとも一方には、防水片の反立ち上げ辺側で防水辺と隣り合う位置規制部を備える構成とすることが好ましい。
【0009】
また、扉は、扉を閉じることで筐体本体と防水片を挟むことが可能な押圧部と、押圧部から前方に延びる前方延設部と、を備え、パッキンの密着面が押圧部と密着しており、立ち上げ片が前方延設部と対向し、少なくとも扉を閉じた状態においては立ち上げ片と前方延設部が接している構成とすることが好ましい。
【0010】
また、筐体本体は、扉を閉じることで扉と防水片を挟むことが可能な被押圧部と、被押圧部から後方に延びる後方延設部と、を備え、パッキンの密着面が被押圧部と密着しており、立ち上げ片が後方延設部と対向し、少なくとも扉を閉じた状態においては立ち上げ片と後方延設部が接している構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、扉を閉じる際にパッキンに対して斜め方向から力が掛けられても、パッキンがはがれにくいようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態におけるキャビネットの斜視図である。ただし、扉は閉じた状態である。
図2図1とは異なる方向から見た実施形態におけるキャビネットの斜視図である。ただし、扉は開いた状態である。
図3】扉を開いた実施形態のキャビネットのヒンジ部周りについて水平方向に切った断面が見えるようにした斜視図である。
図4】パッキンの立ち上げ片を前方延設部と離すように配置した例における、パッキンと被押圧部が当接した瞬間の状態と、扉が完全に閉まった状態の違いを示すイメージ図である。ただし、(a)はパッキンと被押圧部が当接した瞬間の状態を表しており、(b)は扉が完全に閉まった状態を表している。
図5】パッキンの立ち上げ片を前方延設部と接するように配置した例を示すイメージ図である。
図6】パッキンの立ち上げ片を後方延設部と接するように配置した例における、パッキンと押圧部が当接した瞬間の状態と、扉が完全に閉まった状態の違いを示すイメージ図である。ただし、(a)がパッキンと押圧部が当接した瞬間の状態を表しており、(b)が扉が完全に閉まった状態を表している。
図7】キャビネットの隣に存在する孔部をプレートで塞ぐ例を示す図である。
図8】キャビネットの隣に存在する孔部をプレートで塞いだ例を示す図である。
図9】プレートを取り付けるために用いたねじを隠すように被覆部材を取り付けた例を示す図である。
図10】ねじを用いて固定したプレートの一部と、被覆部材の斜視図である。
図11】実施形態の被覆部材の斜視図である。ただし、背面側から見ている。
図12図9における被覆部材周りのXII-XII断面図である。
図13図12に示す状態から引掛け部材を用いて被覆部材を取り外した例を示した図である。
図14】従来例ではパッキンが剥がれることを示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図4に示されていることから理解されるように、本実施形態のキャビネット10は、筐体本体11と、筐体本体11の前側に設けられた開口111を塞ぐことが可能な扉12と、筐体本体11に対して回動軸102を中心として扉12を回動させることが可能なヒンジ部101と、扉12を閉じた状態において筐体本体11と扉12の間に介在させることが可能なパッキン13と、を備えたキャビネット10であって、パッキン13は、扉12を閉じた状態において、扉12の回動軸102に対して前後方向にずれた位置において筐体本体11と扉12の間に位置することになる防水片131と、防水片131から前側若しくは後側に立ち上げられた立ち上げ片132と、を備え、防水片131は、扉12又は筐体本体11の一方と密着する密着面1311と、扉12を閉じた状態から開いた状態にすることで筐体本体11又は扉12に対して当接している状態から当接していない状態にすることが可能な当接面1312と、を備え、立ち上げ片132が密着面1311から見て反当接面側(当接面1312が位置している側と反対側)に立ち上がる。このため、扉12を閉じる際にパッキン13に対して斜め方向から力が掛けられても、パッキン13がはがれにくいようにすることが可能となる。
【0014】
ここで実施形態のキャビネット10について説明をする。図1及び図2に示すことから理解されるように、キャビネット10は開口111を備えた筐体本体11と、筐体本体11の開口111を覆うことが可能な扉12を備えている。この扉12はヒンジ部101を利用して回動軸102を中心にして回動可能である。また、実施形態のキャビネット10は、電気機器を収納するためのものであり、扉12を閉じた状態において筐体本体11と扉12の間に介在することになるパッキン13を備えている。このパッキン13は防水性や防塵性を高めるために設けられるものであり、弾性変形可能な素材を用いて構成されている。
【0015】
実施形態のパッキン13は平板状の防水片131と、その防水片131から立ち上がる立ち上げ片132を備えた構成となっている。図3に示す例のパッキン13は、平板状の防水片131と平板状の立ち上げ片132が角度をなして接続しているような形状である。より詳しくは、パッキン13は長手方向に対して垂直方向に切った断面がL字状となる構成である。パッキン13は、このような形態に限る必要はないが、このような形態とすれば、パッキン13の構造が複雑になることを抑制することができる。
【0016】
実施形態のパッキン13は防水片131の一面に扉12又は筐体本体11の一方と密着する密着面1311を備えている。また、防水片131のうち、密着面1311と反対側の面が、扉12を閉じた状態から開いた状態にすることで筐体本体11又は扉12に対して当接している状態から当接していない状態にすることが可能な当接面1312となる。当接面1312は扉12を開いた状態で視認できる。
【0017】
防水片131は、扉12が閉められることにより、扉12と筐体本体11により前後方向から力が掛けられる部分であり、通常、扉12を閉めた状態における扉12に設けられた押圧部121と筐体本体11に設けられた被押圧部112の距離よりも、扉12を開いた状態における防水片131の厚み方向の長さの方が長い。一方、立ち上げ片132は扉12を閉めていても筐体本体11と扉12により前後方向から力が掛けられることはない。このため、立ち上げ片132の厚みや形状の自由度は高い。
【0018】
ところで、実施形態では筐体本体11は背面と側面と天面と底面を備えている直方体状であるが、側面の右隣に回動軸102が位置している。より詳しくは筐体本体11の前端より後方側の右隣に回動軸102が位置している。扉12を反対方向に開くものとするのであれば、側面の左隣に回動軸102が位置し、左右方向に掛かる力が逆となるが、細かな説明については省略する。
【0019】
いずれにせよ。扉12の回動軸102が筐体本体11の前端から後方にずれているため、筐体本体11と扉12により挟み込まれるパッキン13よりも後方に回動軸102が位置していることになる。このため、扉12を回動させてパッキン13を筐体本体11と扉12で押さえつけようとすると、パッキン13に対しては前後方向の他に左右方向にも力が掛かることになる。
【0020】
扉12の回動軸102が筐体本体11の前端から前方にずれるなどして、回動軸102が筐体本体11と扉12により挟み込まれるパッキン13よりも前方に位置している場合にも、パッキン13に対しては前後方向の他に左右方向にも力が掛かることになる。なお、扉12の回動軸102は筐体本体11の前端から後方にずれる位置とするのが好ましい。このように構成すると、扉12の回動軸102が筐体本体11の前端から前方にずれる位置に構成する場合と比較して、キャビネット10の前側の構成を簡素にすることができるため、圧迫感を抑制することができる。
【0021】
また、扉12の回動軸102が筐体本体11の前端から後方にずれる位置となる場合、図4に示すことから理解されるように、ヒンジ部101の少なくとも一部が筐体本体11と前後方向にオーバーラップする構成とするのが好ましい。左右方向におけるヒンジ部101の筐体本体11からの飛び出し長さを抑制することができる。
【0022】
また、図4に示すことから理解されるように、扉12の一部が筐体本体11の一部と左右方向にオーバーラップする構成とするのが好ましい。このような構成とすれば、防水性などを向上させることができる。
【0023】
扉12の回動軸102が筐体本体11の前端から前方若しくは後方にずれる位置となる場合、防水片131に対して斜めに力が掛かることになるが、立ち上げ片132が密着面1311から見て反当接面側に立ち上がるように構成することで、この力に起因してパッキン13が剥がれることを抑制することができる。
【0024】
ところで、図3に示すパッキン13は扉12側に取り付けている。パッキン13の防水片131が板状の押圧部121と接している状態であり、パッキン13の立ち上げ片132は押圧部121から前方に延びる板状の前方延設部122と対向している。立ち上げ片132は前方延設部122と常時接していてもよいし、そうでなくてもよい。
【0025】
図4に示す例では、立ち上げ片132は、扉12の開閉に関わらず前方延設部122と接していない。この場合でも、立ち上げ片132が密着面1311から見て反当接面側に立ち上がっているため、被押圧部112が防水片131に掛ける力のうち、左右方向への力に対して抗するように機能することが可能となる。
【0026】
立ち上げ片132は、扉12が完全に開いている状態においては前方延設部122と接していないが、扉12を閉じた状態においては前方延設部122と接するようにしてもよい。この場合、立ち上げ片132と前方延設部122が接することによる、パッキン13のずれの抑制も期待できる。
【0027】
また、図5に示す例のように、立ち上げ片132は、扉12の開閉に関わらず前方延設部122と接しているようにしてもよい。この場合、立ち上げ片132と前方延設部122は固定してもよいし、固定しない状態で接しているようにしてもよい。
【0028】
これらの記載から理解されるように、扉12に、扉12を閉じることで筐体本体11と防水片131を挟むことが可能な押圧部121と、押圧部121から前方に延びる前方延設部122と、を備える場合、パッキン13の密着面1311が押圧部121と密着しており、立ち上げ片132が前方延設部122と対向し、少なくとも扉12を閉じた状態においては立ち上げ片132と前方延設部122が接している構成とするのが好ましい。
【0029】
パッキン13は扉12ではなく筐体本体11に取り付けるようにしてもよい。図6に示す例では、筐体本体11に設けた平板状の被押圧部112に防水片131を取り付けている。また、立ち上げ片132は正面視において回動軸102と隣接する側に位置している。図4に示す例のように、パッキン13を扉12に取り付ける場合は、立ち上げ片132は正面視において回動軸102と離れている側に位置しているのに対して、パッキン13を筐体本体11に取り付ける場合には、立ち上げ片132を正面視において回動軸102と隣接する側に位置させるのは、パッキン13にかけられる力の方向が左右逆転するからである。
【0030】
パッキン13を筐体本体11に取り付ける場合、扉12を閉じることで扉12と防水片131を挟むことが可能な被押圧部112から後方に延びる後方延設部113に、立ち上げ片132を固定することが好ましい。この理由は、パッキン13を扉12に取り付ける場合に前方延設部122に固定することが好ましいことと同じである。
【0031】
これらの記載から理解されるように、立ち上げ片132を扉12又は筐体本体11の一方に固定した構成とするのが好ましい。立ち上げ片132を常に扉12若しくは筐体本体11に対して固定できるため、より確実に防水片131の剥がれを抑制することができる。
【0032】
なお、筐体本体11に、扉12を閉じることで扉12と防水片131を挟むことが可能な被押圧部112と、被押圧部112から後方に延びる後方延設部113と、を備える場合、パッキン13を後方延設部113に固定するか否かに関わらず、パッキン13の密着面1311が被押圧部112と密着しており、立ち上げ片132が後方延設部113と対向し、少なくとも扉12を閉じた状態においては立ち上げ片132と後方延設部113が接している構成とするのが好ましい。
【0033】
実施形態においては、防水片131の左右方向への移動を抑制するために、防水片131の隣に位置規制部103を設けている。この位置規制部103は、扉12を閉じることで防水片131に掛けられる力によってパッキン13が左右方向にずれることを抑制している。このため、防水片131の端部のうち、立ち上げ片132が設けられている側と反対側に隣接するように位置規制部103が設けられている。この記載から理解されるように、扉12又は筐体本体11の少なくとも一方には、防水片131の反立ち上げ辺側で防水辺と隣り合う位置規制部103を備えるようにするのが好ましい。
【0034】
図4図5に示す例では、位置規制部103はパッキン13の防水片131が固定された扉12側に設けられている。防水片131が扉12側に固定されていても、防水片131が固定されていない側、つまりは筐体本体11に位置規制部103を設けるようにしてもよい。同様のことが言えるので、図6に示す例では位置規制部103はパッキン13の防水片131が固定された筐体本体11側に設けられているが、防水片131が筐体本体11側に固定されていても、扉12に位置規制部103を設けるようにしてもよい。
【0035】
ところで、キャビネット10は壁面9に取り付けられることがある。例えば、キャビネット10を分電盤や配電盤として用いるものとし、壁面9に取り付けることなどが考えられる。壁面9にキャビネット10を取り付ける場合、例えば、壁面9に設けられた配線用の孔部91を通じて壁面9の裏側からキャビネット10の筐体本体11の内部に収納される電気機器へ配線することがなされている。
【0036】
この際、壁面9に設けられる孔部91が、正面視において、筐体本体11からはみ出すほどの大きさにされることがある(図7参照)。また、もともとは壁面9に設けられていた孔部91を隠す大きさの筐体本体を使用していても、筐体本体の交換時に小さな筐体本体11が採用されると、正面視において、孔部91が筐体本体11からはみ出すほどの大きさとなることがある。
【0037】
このような場合、正面視において筐体本体11に隣接してプレート81を壁面9に取り付けることで対応することが考えられる(図8参照)。このようにする場合、壁面9に対するプレート81の取り付けは、ねじ82を用いて行うことが考えられる。この場合、ねじ82が見えていると、外観の統一性などが損なわれる場合があるため、取り付けられたねじ82を覆うように被覆部材83を取り付けることが好ましい(図9及び図10参照)。
【0038】
実施形態においては、被覆部材83に備えられた係合部83aがプレート81に備えられた被係合部81aに係合することで被覆部材83がプレート81に取り付けられる。実施形態の係合部83aは、被覆部材83に設けられた被覆部83bから突出するように構成されている。また、係合部83aは、側面に爪部83abが設けられている(図11参照)。
【0039】
また、被覆部材83は、プレート81に取り付けた状態において、プレート81と被覆部材83の間に凹み部Ahが設けられる構成としている(図12参照)。この凹み部Ahは、引掛け部材Htや手を入れ込んで被覆部材83を取り外すことを容易とするために設けられている(図13参照)。
【0040】
また、実施形態の係合部83aは、一部の端部が取り付け方向に対して傾斜するように構成されている。ここでは、この部分を傾斜端部83aaと呼ぶことにする。図11に示す例では、係合部83aの上部に設けられた傾斜端部83aaが取り付け方向に対して傾斜するように構成されている。傾斜端部83aaは、被覆部材83の一部が支点となるように被覆部材83を回転させることで、被覆部材83をプレート81から取り外すことができるようにするものであり、このような取り外し方をした場合に、被覆部材83がプレート81から容易に取り外すことを可能とする(図12及び図13参照)。
【0041】
また、被覆部材83の取り外しがしにくい状態が生じることも想定し、実施形態の被覆部材83の被覆部83bには溝部83baが設けられている(図11参照)。この溝部83baは被覆部83bの一部に破壊しやすい部分を作るために設けられたものである。この溝部83baと対応する部分にマイナスドライバーなどを押し当てることで、被覆部83bを破壊することができる。
【0042】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、平板状の防水片と平板状の立ち上げ片は90度の角度をなして接続しているような形状である必要はない。平板状の防水片と平板状の立ち上げ片が80度や110度の角度をなして接続しているような形状とすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 キャビネット
101 ヒンジ部
102 回動軸
11 筐体本体
111 開口
12 扉
13 パッキン
131 防止片
1311 密着面
1312 当接面
132 立ち上げ片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14