(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157598
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】改質リサイクルカーボンブラックの製造方法及び改質リサイクルカーボンブラック
(51)【国際特許分類】
C09C 1/48 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
C09C1/48
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072019
(22)【出願日】2023-04-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】000219576
【氏名又は名称】東海カーボン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐山 大志
(72)【発明者】
【氏名】榊原 晟矢
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 研吾
(72)【発明者】
【氏名】日恵野 敦
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037BB07
4J037BB14
4J037BB18
4J037BB20
(57)【要約】
【課題】原料リサイクルカーボンブラックの表面に付着しているゴム残分を効果的に除去することができ且つ連続的に行うことができる改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を提供すること。
【解決手段】燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及び原料リサイクルカーボンブラックを連続的に供給して、該主バーナー用燃料の燃焼を行い、連続的に、該主バーナーで火炎を発生させつつ、該原料リサイクルカーボンブラックを、該火炎に導入し、該火炎を通過させる主バーナー改質工程を有し、下記式(1):主バーナー総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C))×100(1)で表される主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とすること、を特徴とする改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及びゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを連続的に供給して、該主バーナー用燃料の燃焼を行い、連続的に、該主バーナーで火炎を発生させつつ、該ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを、該火炎に導入し、該火炎を通過させる主バーナー改質工程を有し、
下記式(1):
主バーナー総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C))×100 (1)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とすること、
を特徴とする改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【請求項2】
前記主バーナー改質工程が、下記式(2):
主バーナー火炎燃焼率(%)=(A/C)×100 (2)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とする主バーナー改質工程(1)であること、
を特徴とする請求項1記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【請求項3】
前記主バーナー改質工程が、下記式(2):
主バーナー火炎燃焼率(%)=(A/C)×100 (2)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー火炎燃焼率を100.0%未満とする主バーナー改質工程(2)であること、
を特徴とする請求項1記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【請求項4】
前記主バーナーより後段に、補助バーナー用燃料を燃焼させて火炎を発生させる補助バーナーを設け、連続的に、該補助バーナーで火炎を発生させつつ、前記主バーナー改質工程(1)または(2)を行った後のリサイクルカーボンブラックを、該補助バーナーで発生させている火炎に導入し、該火炎を通過させる補助バーナー改質工程を有し、
該補助バーナー改質工程が、下記式(3):
補助バーナー火炎燃焼率(%)=(D/E)×100 (3)
(式中、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される補助バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とし、且つ、下記式(4):
全バーナー総カーボン燃焼率(%)=((A+D)/(B+C+E))×100 (4)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助バーナー改質工程(1)であること、
を特徴とする請求項2又は3記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【請求項5】
前記主バーナーより後段に、補助バーナー用燃料を燃焼させて火炎を発生させる補助バーナーを設け、連続的に、該補助バーナーで火炎を発生させつつ、前記主バーナー改質工程(1)または(2)を行った後のリサイクルカーボンブラックを、該補助バーナーで発生させている火炎に導入し、該火炎を通過させる補助バーナー改質工程を有し、
該補助バーナー改質工程が、下記式(3):
補助バーナー火炎燃焼率(%)=(D/E)×100 (3)
(式中、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される補助バーナー火炎燃焼率を100.0%未満とし、且つ、下記式(4):
全バーナー総カーボン燃焼率(%)=((A+D)/(B+C+E))×100 (4)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助バーナー改質工程(2)であること、
を特徴とする請求項2又は3記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【請求項6】
前記主バーナーより後段に、燃料ノズルを設け、該燃料ノズルから補助燃料を前記主バーナーで発生させている火炎又はその近傍に導入することにより、該補助燃料を熱分解させる補助燃料熱分解工程を有し、
下記式(5):
全反応総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C+F))×100 (5)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Fは燃料ノズルより供給されている補助燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全反応総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助燃料熱分解工程であること、
を特徴とする請求項2又は3記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【請求項7】
前記主バーナー改質工程を行う前に、前記ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを粉砕及び/又は分級する粒度調整工程を有することを特徴とする請求項1記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか1項記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を行い得られる改質リサイクルカーボンブラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面状態が改質されたリサイクルカーボンブラック、その製造方法、及びそれが用いられているゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球環境への負荷低減のため、カーボンニュートラルやサステナブルといった取り組みが盛んになされている。そして、カーボンブラック業界においても、サステナブル活動の一環として、廃タイヤを熱分解して得られるリサイクルカーボンブラックの利用が検討されている。
【0003】
廃タイヤ等の熱分解によるリサイクルカーボンブラックの製造方法としては、例えば、特許文献1には、窒素ガスを循環させ、約500℃で廃タイヤを熱分解する内容が開示されており、特許文献2には廃ゴムを2段階の熱分解工程で処理し、得られた物質を粉砕する内容が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5813985号公報
【特許文献2】WO2013/095145A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、廃タイヤ等のゴム製品を熱分解することにより得られるリサイクルカーボンブラックの表面には、ゴム炭化物を主成分とするゴム残分が付着しており、このゴム残分が、ゴム組成物に混合したときに、リサイクルカーボンブラックのゴム成分との吸着を阻害する。
【0006】
そのため、リサイクルカーボンブラックには、ゴム成分との結合が弱いために、ゴム製品の補強性が低いという問題があった。
【0007】
そのため、ゴム製品の補強性が高いリサイクルカーボンブラックが求められている。更には、工業的な観点からは、ゴム製品の補強性が高いリサイクルカーボンブラックを、バッチ式ではなく、連続的に製造する方法が必要である。
【0008】
従って、本発明の目的は、リサイクルカーボンブラックの表面に付着しているゴム残分を効果的に除去することができ且つ連続的に行うことができる改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及び炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを連続的に供給して、該主バーナー用燃料の燃焼を行うことにより、連続的に、該主バーナーで火炎を発生させつつ、該ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを、該火炎に導入し、該火炎を通過させると、リサイクルカーボンブラックの表面に付着しているゴム残分が、高温の火炎により速やかに酸化分解されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及びゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを連続的に供給して、該主バーナー用燃料の燃焼を行い、連続的に、該主バーナーで火炎を発生させつつ、該ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを、該火炎に導入し、該火炎を通過させる主バーナー改質工程を有し、
下記式(1):
主バーナー総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C))×100 (1)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とすること、
を特徴とする改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
(2)前記主バーナー改質工程が、下記式(2):
主バーナー火炎燃焼率(%)=(A/C)×100 (2)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とする主バーナー改質工程(1)であること、
ことを特徴とする(1)の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
(3)前記主バーナー改質工程が、下記式(2):
主バーナー火炎燃焼率(%)=(A/C)×100 (2)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー火炎燃焼率を100.0%未満とする主バーナー改質工程(2)であること、
を特徴とする(1)の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
(4)前記主バーナーより後段に、補助バーナー用燃料を燃焼させて火炎を発生させる補助バーナーを設け、連続的に、該補助バーナーで火炎を発生させつつ、前記主バーナー改質工程(1)または(2)を行った後のリサイクルカーボンブラックを、該補助バーナーで発生させている火炎に導入し、該火炎を通過させる補助バーナー改質工程を有し、
該補助バーナー改質工程が、下記式(3):
補助バーナー火炎燃焼率(%)=(D/E)×100 (3)
(式中、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される補助バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とし、且つ、下記式(4):
全バーナー総カーボン燃焼率(%)=((A+D)/(B+C+E))×100 (4)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助バーナー改質工程(1)であること、
を特徴とする(2)又は(3)の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
(5)前記主バーナーより後段に、補助バーナー用燃料を燃焼させて火炎を発生させる補助バーナーを設け、連続的に、該補助バーナーで火炎を発生させつつ、前記主バーナー改質工程(1)または(2)を行った後のリサイクルカーボンブラックを、該補助バーナーで発生させている火炎に導入し、該火炎を通過させる補助バーナー改質工程を有し、
該補助バーナー改質工程が、下記式(3):
補助バーナー火炎燃焼率(%)=(D/E)×100 (3)
(式中、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される補助バーナー火炎燃焼率を100.0%未満とし、且つ、下記式(4):
全バーナー総カーボン燃焼率(%)=((A+D)/(B+C+E))×100 (4)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助バーナー改質工程(2)であること、
を特徴とする(2)又は(3)の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
(6)前記主バーナーより後段に、燃料ノズルを設け、燃料ノズルから補助燃料を前記主バーナーで発生させている火炎又はその近傍に導入することにより、該補助燃料を熱分解させる補助燃料熱分解工程を有し、
下記式(5):
全反応総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C+F))×100 (5)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Fは燃料ノズルより供給されている補助燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全反応総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助燃料熱分解工程であること、
を特徴とする(2)又は(3)の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
(7)前記主バーナー改質工程を行う前に、前記ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを粉砕及び/又は分級する粒度調整工程を有することを特徴とする請求項1記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
(8)(1)~(7)いずれかの改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を行い得られる改質リサイクルカーボンブラック。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リサイクルカーボンブラックの表面に付着しているゴム残分を効果的に除去することができ且つ連続的に行うことができる改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を実施するための形態例の改質リサイクルカーボンブラックの製造装置である。
【
図2】主バーナー改質工程の形態例を示す模式図である。
【
図3】主バーナー改質工程及び補助バーナー改質工程の形態例を示す模式図である。
【
図4】主バーナーの形態例の構造を示す模式的な端面図である。
【
図5】主バーナーの他の形態例の構造を示す模式的な端面図である。
【
図6】本発明に係る改質リサイクルカーボンブラックの形態例のラマンスペクトルである。
【
図7】改質前のリサイクルカーボンブラックの形態例のラマンスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の本発明の詳細な説明は実施形態の例示のひとつであり、本発明は本実施形態に何ら限定して解釈されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を実施例するための形態例の改質リサイクルカーボンブラックの製造装置の模式図である。
図1中、改質リサイクルカーボンブラックの製造装置1は、主バーナー3、補助バーナー4及び冷却水の供給管5が設置されているバーナー改質部2と、バグフィルターが内部に設置されている捕集部7と、を有する。バーナー改質部2と捕集部7は、連結管6で連結されている。主バーナー3は、バーナー改質部2の上側に設置されており、主バーナー3には、主バーナー用燃料11の供給管、酸素含有ガス12の供給管及び原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガス13の供給管が接続されている。また、補助バーナー4には、補助バーナー用燃料14及び酸素含有ガス15の供給管が接続されている。
【0015】
図2に示すように、バーナー改質部2では、主バーナー3で、燃料を燃焼させて火炎21を発生させておき、主バーナー3に火炎21を発生させた状態で、連続的に、主バーナー3に、火炎21に対して、燃料の供給側から、主バーナー用燃料11、酸素含有ガス12及び原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガス13を供給することにより、連続的に、主バーナー3で火炎21を発生させつつ、原料リサイクルカーボンブラックを、主バーナー3で発生させている火炎21に燃料の供給側から導入し、火炎21を通過させる。そして、原料リサイクルカーボンブラックが、主バーナー3で発生させている火炎21を通過するときに、リサイクルカーボンブラックの表面が改質される。
図2には、原料リサイクルカーボンブラックの移動方向22を示すが、リサイクルカーボンブラックは、主バーナー3で発生させている火炎21に対して、燃料の供給側から、火炎21の先端側に移動する。
【0016】
図3に示すように、バーナー改質部2では、主バーナー3を用いる改質に加えて、補助バーナー4による改質を行うことができる。
図2と同様に、リサイクルカーボンブラックを、主バーナー3で発生させている火炎21に導入し、火炎21を通過させた後、補助バーナー4で、燃料を燃焼させて火炎23を発生させておき、補助バーナー4に火炎23を発生させた状態で、主バーナー3で発生させた火炎21を通過したリサイクルカーボンブラックを、補助バーナー4で発生させている火炎23に導入し、火炎23を通過させる。そして、主バーナー3で発生させている火炎21を通過したリサイクルカーボンブラックが、補助バーナー4で発生させている火炎23を通過するときに、リサイクルカーボンブラックの表面が更に改質される。
図3には、リサイクルカーボンブラックの移動方向22を示すが、リサイクルカーボンブラックは、主バーナー3で発生させている火炎21を通過した後、補助バーナー4で発生させている火炎23に導入され、火炎23を通過する。
【0017】
なお、バーナー改質部2においては、主バーナー3を用いるリサイクルカーボンブラックの改質を必ず行い、また、必要に応じて、補助バーナー4を用いるリサイクルカーボンブラックの改質を行う。
【0018】
原料リサイクルカーボンブラックを、バーナー改質部2で、主バーナー3で発生させている火炎を通過させた後、あるいは、主バーナー3で発生させている火炎及び補助バーナー4で発生させている火炎を通過させた後、バーナー改質部2の下方に設置されている冷却水の供給管5から、バーナー改質部2内に冷却水を供給して、リサイクルカーボンブラックに、冷却水16を接触させて、冷却する。
【0019】
次いで、冷却されたリサイクルカーボンブラックと、燃焼ガス、分解ガス及び水蒸気等のガスを、連結管6を経て、捕集部7に導入し、捕集部7に設置されているバグフィルターで、ガス17と、改質リサイクルカーボンブラック18に分離し、改質リサイクルカーボンブラック18を得る。
【0020】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法は、燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及びゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを連続的に供給して、該主バーナー用燃料の燃焼を行い、連続的に、該主バーナーで火炎を発生させつつ、該ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを、該火炎に導入し、該火炎を通過させる主バーナー改質工程を有し、
下記式(1):
主バーナー総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C))×100 (1)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とすること、
を特徴とする。
【0021】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法に係る主バーナー改質工程は、燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及び炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを連続的に供給することにより、炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックの表面の改質を行う工程である。
【0022】
主バーナー改質工程において、改質の原料である炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラック(以下、原料リサイクルカーボンブラックとも記載する。)は、廃タイヤ等のゴム製品を熱分解することにより得られたカーボンブラックであり、表面にゴム炭化物を主成分とするゴム残分が付着しているカーボンブラックである。改質の原料である原料リサイクルカーボンブラックとしては、例えば、Enrestec社製PB365、Bolder Industries社製BolderBlack、Delta Energy社製DE-Black、ECOLOMONDO社製MondoBlack等が挙げられる。このような原料リサイクルカーボンブラックは如何なる製造方法で製造されたものでもよく、特に制限されないが、例えば、特許文献2に記載されている方法が挙げられる。
【0023】
原料リサイクルカーボンブラックは、レーザーラマン分光法により、励起波長532nmで測定することで得られるラマンスペクトルにおいて、1350±10cm-1の範囲にピークトップを有するピーク(Dバンド)のピーク強度を100としたとき、1580±20cm-1の範囲にピークトップを有するピーク(Gバンド)のピーク強度(以下、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度とも記載する。)は、112以上200以下、好ましくは112以上190以下であるカーボンブラックである。Dバンド強度を100としたときのGバンド強度については、後述する。
【0024】
原料リサイクルカーボンブラックは、廃タイヤ等のゴム製品を熱分解して得られるリサイクルカーボンブラックを改質して得られたものなので、原料リサイクルカーボンブラックの灰分含有量は、例えば3.0%以上50.0%以下、好ましくは5.0%以上35.0%以下である。
【0025】
なお、本発明において、灰分含有量は、JIS K 6218-2に規定された方法により測定される値を意味する。
【0026】
主バーナー改質工程に係る主バーナー用燃料は、主バーナーで発生させている火炎に接触したときに、酸素含有ガス中の酸素によって燃焼し、火炎を発生させるものであれば、特に制限されないが、例えば、メタン、エタン、プロパン、天然ガス、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガス、水素、アンモニア、これらの混合ガス、ゴムやプラスチックの熱分解で発生するガス等、また、液体燃料としてナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、クレオソート油、タール油などの石炭系炭化水素、FCC残渣油、エチレンヘビーエンドオイルなどの石油系重質油、アセチレン系不飽和炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素などの炭化水素、菜種油、大豆油等の植物油、ゴムやプラスチックの熱分解で発生するオイル等が挙げられ、火炎の温度がより高くなる点で、メタン、エタン、プロパン、天然ガス、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガスが好ましい。
【0027】
主バーナー改質工程に係る酸素含有ガスは、酸素ガス、酸素を含有するガス、空気等が挙げられ、経済性の観点で空気が好ましい。
【0028】
そして、主バーナー改質工程では、主バーナー用燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、火炎に対して燃料の供給側から、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及び炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを連続的に供給することにより、主バーナー用燃料の燃焼を行い、連続的に、主バーナーで火炎を発生させつつ、原料リサイクルカーボンブラックを、主バーナーで発生させている火炎に導入し、火炎を通過させる。
【0029】
主バーナー改質工程では、搬送ガスを用いて原料リサイクルカーボンブラックを主バーナーに供給する。搬送ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスであってもよいし、酸素ガス、酸素を含有するガス、空気等の酸素含有ガスであってもよい。搬送ガスとしては、原料リサイクルカーボンブラックが酸化され易くなる点で、酸素含有ガスが好ましい。
【0030】
主バーナー改質工程では、搬送ガスに搬送される原料リサイクルカーボンブラックと、酸化性ガスと、主バーナー用燃料と、を別々の経路で、主バーナーに供給することができる。また、主バーナー改質工程では、先に、原料リサイクルカーボンブラックと酸化性ガスとを混合し、得られる混合流と、主バーナー用燃料と、を、主バーナーに供給することができる。
【0031】
主バーナー改質工程では、原料リサイクルカーボンブラック及び酸素含有ガスを、火炎に導入するときに、原料リサイクルカーボンブラック及び酸素含有ガスの混合流として、火炎に導入することにより、火炎への導入時に、原料リサイクルカーボンブラックの近傍に、酸素含有ガスを存在させることができるので、原料リサイクルカーボンブラックと燃料ガスとの接触よりも、原料リサイクルカーボンブラックと酸素含有ガスとの接触を優先させることができるので、原料リサイクルカーボンブラックの酸化を起こり易くすることができる。
【0032】
主バーナー改質工程では、(i)火炎に対し、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料を導入するときに、原料リサイクルカーボンブラックの移動方向に対し垂直な面で見たときに、中心に原料リサイクルカーボンブラックを存在させ、原料リサイクルカーボンブラックを囲むように酸素含有ガスを存在させ、酸素含有ガスを囲むように主バーナー用燃料を存在させて、火炎に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料と、を導入することができ、また、(ii)火炎に対し、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料を導入するときに、原料リサイクルカーボンブラックの移動方向に対し垂直な面で見たときに、中心に主バーナー用燃料を存在させ、主バーナー用燃料を囲むように酸素含有ガスを存在させ、酸素含有ガスを囲むように原料リサイクルカーボンブラックを存在させて、火炎に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料と、を導入することができ、(iii)火炎に対し、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料を導入するときに、原料リサイクルカーボンブラックの移動方向に対し垂直な面で見たときに、中心に原料リサイクルカーボンブラックを存在させ、原料リサイクルカーボンブラックを囲むように主バーナー用燃料を存在させ、主バーナー用燃料を囲むように酸素含有ガスを存在させて、火炎に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料と、を導入することができる。そして、これらのうち、(i)及び(ii)が、火炎への導入時に、原料リサイクルカーボンブラックの近傍に、酸素含有ガスを存在させることができるので、原料リサイクルカーボンブラックと燃料ガスとの接触よりも、原料リサイクルカーボンブラックと酸素含有ガスとの接触を優先させることができるので、原料リサイクルカーボンブラックの酸化を起こり易くすることができる点で好ましい。
【0033】
主バーナー改質工程では、主バーナーで発生させている火炎の温度は、高温なので、原料リサイクルカーボンブラックが、主バーナーで発生させている火炎を通過するときに、原料リサイクルカーボンブラックの表面に付着しているゴム炭化物を主成分とするゴム残分が、速やかに酸化分解され、除去される。また、主バーナー改質工程では、原料リサイクルカーボンブラックが、主バーナーに、主バーナー用燃料及び酸素含有ガスと共に供給され、主バーナーで発生させている火炎を通過する間だけ、高温に晒されるので、高温に晒される時間が短い。そのため、原料リサイクルカーボンブラックの表面が選択的に酸化される。
【0034】
一方、原料リサイクルカーボンブラックを、酸化性ガスと共に、加熱炉に供給して、加熱炉内で、原料リサイクルカーボンブラックの酸化処理を行う場合、原料リサイクルカーボンブラックが晒される温度が、火炎の温度ほど高くならず、また、原料リサイクルカーボンブラックが加熱されている時間が長くなる。そして、原料リサイクルカーボンブラックが晒される温度が低いと、酸化分解され易い部分から酸化が進行し、その時間が長いと、酸化が原料リサイクルカーボンブラック粒子の内部に進行して、原料リサイクルカーボンブラックに細孔が形成される。
【0035】
主バーナー改質工程では、下記式(1):
主バーナー総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C))×100 (1)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とする。なお、Aは、主バーナーに供給されている酸素の単位時間当たりの酸素量であり、また、Bは、主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックの灰分を除いた成分をすべて炭素と見なして、炭素分を算出し、該炭素分を完全燃焼させるために必要な理論酸素量の単位時間当たりの量であり、また、Cは、主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量の単位時間当たりの量である。
【0036】
主バーナー改質工程において、主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満に制御することは、主バーナーに供給されている主バーナー用燃料及び原料リサイクルカーボンブラックが完全燃焼しないようにすることを意味する。主バーナーに供給されている主バーナー用燃料及び原料リサイクルカーボンブラックが完全燃焼したのでは、リサイクルカーボンブラックが酸化消失してしまい、改質リサイクルカーボンブラックが得られない。よって、主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満にすることにより、原料リサイクルカーボンブラックの表面の酸化分解による改質を行うことができる。主バーナー総カーボン燃焼率は、得られる改質粒子の回収量と、取り除く必要のあるゴム炭化物量のバランスの観点から、好ましくは10.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは15.0%以上80.0%以下である。
【0037】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法において、主バーナー改質工程としては、下記式(2):
主バーナー火炎燃焼率(%)=(A/C)×100 (2)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とする主バーナー改質工程(1)が挙げられる。
【0038】
主バーナー改質工程(1)において、主バーナー火炎燃焼率を100.0%以上に制御することは、主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させることを意味する。主バーナー改質工程(1)において、主バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とすることにより、原料リサイクルカーボンブラックの表面が酸化され易くなるので、原料リサイクルカーボンブラックに付着している残留ゴム分の酸化除去性を高くすることができる。主バーナー火炎燃焼率は、火炎の温度と、取り除く必要のあるゴム炭化物量のバランスの観点から、好ましくは105.0%以上500.0%以下であり、より好ましくは110.0%以上400.0%以下である。なお、主バーナー改質工程(1)は、主バーナー改質工程の一形態なので、主バーナー総カーボン燃焼率は、100.0%未満、好ましくは15.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは20.0%以上80.0%以下である。
【0039】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法において、主バーナー改質工程としては、下記式(2):
主バーナー火炎燃焼率(%)=(A/C)×100 (2)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー火炎燃焼率を100.0%未満とする主バーナー改質工程(2)が挙げられる。
【0040】
主バーナー改質工程(2)において、主バーナー火炎燃焼率を100.0%未満に制御することは、主バーナーに供給されている主バーナー用燃料が完全燃焼しないようにすることを意味する。そして、主バーナーに供給されている主バーナー用燃料が完全燃焼させない条件で、主バーナー用燃料が加熱されることにより、主バーナー用燃料が熱分解して、炭化物が生成するので、主バーナーで発生させている火炎を通過するときに表面改質されたリサイクルカーボンブラックに、生成した炭化物を付着させて、改質リサイクルカーボンブラックの比表面積を調節することができる。主バーナー火炎燃焼率は、ゴムの補強性を向上させるための比表面積の適正値の観点から、好ましくは20.0%以上99.0%以下であり、より好ましくは30.0%以上95.0%以下である。なお、主バーナー改質工程(2)は、主バーナー改質工程の一形態なので、主バーナー総カーボン燃焼率は、100.0%未満、好ましくは15.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは20.0%以上80.0%以下である。
【0041】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法では、主バーナーより後段に、補助バーナー用燃料を燃焼させて火炎を発生させる補助バーナーを設け、連続的に、補助バーナーで火炎を発生させつつ、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラックを、補助バーナーで発生させている火炎に導入し、火炎を通過させる補助バーナー改質工程を有することができる。本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法では、必要に応じて、補助バーナー改質工程を行う。
【0042】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法に係る補助バーナー改質工程は、主バーナーで発生させている火炎より後段に、補助バーナー用燃料を燃焼させて火炎を発生させ、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラックを、連続的に供給することにより、補助バーナーで発生させた火炎に導入し、火炎を通過させ、リサイクルカーボンブラックの表面の改質を行う工程である。
【0043】
補助バーナー改質工程において改質されるのは、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラック、すなわち、主バーナーで発生させている火炎を通過したリサイクルカーボンブラック又は主バーナーで発生させている火炎の先端近傍を通過しているリサイクルカーボンブラックである。
【0044】
補助バーナー改質工程では、補助バーナーに連続的に、補助バーナー用燃料及び酸素含有ガスを供給して、連続的に、火炎を発生させる。補助バーナーで発生させる火炎の位置は、主バーナーで発生させている火炎の先端、主バーナーで発生させている火炎内且つ火炎の先端近傍、主バーナーで発生させている火炎外且つ火炎の先端近傍であり、好ましくは主バーナーで発生させている火炎外且つ火炎の先端近傍である。
【0045】
補助バーナー改質工程に係る補助バーナー用燃料は、補助バーナーで発生させている火炎に接触したときに、酸素含有ガス中の酸素によって燃焼し、火炎を発生させるものであれば、特に制限されないが、例えば、メタン、エタン、プロパン、天然ガス、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガス、水素、アンモニア、これらの混合ガス、ゴムやプラスチックの熱分解で発生するガス等、また、液体燃料としてナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、クレオソート油、タール油などの石炭系炭化水素、FCC残渣油、エチレンヘビーエンドオイルなどの石油系重質油、アセチレン系不飽和炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素などの炭化水素、菜種油、大豆油等の植物油、ゴムやプラスチックの熱分解で発生するオイル等が挙げられ、火炎の温度がより高くなる点で、メタン、エタン、プロパン、天然ガス、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガスが好ましい。
【0046】
補助バーナー改質工程に係る酸素含有ガスは、酸素ガス、酸素を含有するガス、空気等が挙げられ、経済性の観点で空気が好ましい。
【0047】
そして、補助バーナー改質工程では、補助バーナー用燃料を燃焼させて、補助バーナーで火炎を発生させ、連続的に、補助バーナーで火炎を発生させつつ、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラックを、補助バーナーで発生させている火炎に導入し、火炎を通過させる。
【0048】
補助バーナー改質工程としては、下記式(3):
補助バーナー火炎燃焼率(%)=(D/E)×100 (3)
(式中、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される補助バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とし、且つ、下記式(4):
全バーナー総カーボン燃焼率(%)=((A+D)/(B+C+E))×100 (4)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助バーナー改質工程(1)が挙げられる。なお、Dは、補助バーナーに供給されている酸素の単位時間当たりの酸素量であり、また、Eは、補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量の単位時間当たりの量である。
【0049】
補助バーナー改質工程(1)において、全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満に制御することは、補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料及びリサイクルカーボンブラックが完全燃焼しないようにすることを意味する。補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料及びリサイクルカーボンブラックが完全燃焼したのでは、リサイクルカーボンブラックが酸化消失してしまい、改質リサイクルカーボンブラックが得られない。全バーナー総カーボン燃焼率は、得られる改質粒子の回収量と、取り除く必要のあるゴム炭化物量のバランスの観点から、好ましくは15.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは20.0%以上80.0%以下である。
【0050】
補助バーナー改質工程(1)において、補助バーナー火炎燃焼率を100.0%以上に制御することは、補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させることを意味する。補助バーナー改質工程(1)において、補助バーナー火炎燃焼率を100.0%以上とすることにより、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラックの表面が酸化され易くなるので、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラックに付着している残留ゴム分の酸化除去性を高くすることができる。つまり、補助バーナー改質工程(1)は、主バーナー改質工程(1)を行っても除去しきれなかった残留ゴム分の酸化除去性を高めることができる。補助バーナー火炎燃焼率は、火炎の温度と、取り除く必要のあるゴム炭化物量のバランスの観点から、好ましくは105.0%以上600.0%以下であり、より好ましくは110.0%以上500.0%以下である。なお、補助バーナー改質工程(1)は、補助バーナー改質工程の一形態なので、全バーナー総カーボン燃焼率は、100.0%未満、好ましくは15.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは20.0%以上80.0%以下である。
【0051】
補助バーナー改質工程としては、下記式(3):
補助バーナー火炎燃焼率(%)=(D/E)×100 (3)
(式中、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される補助バーナー火炎燃焼率を100.0%未満とし、且つ、下記式(4):
全バーナー総カーボン燃焼率(%)=((A+D)/(B+C+E))×100 (4)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Dは補助バーナーに供給されている酸素量を指し、Eは補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助バーナー改質工程(2)が挙げられる。
【0052】
補助バーナー改質工程(2)において、全バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満に制御することは、補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料及びリサイクルカーボンブラックが完全燃焼しないようにすることを意味する。補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料及びリサイクルカーボンブラックが完全燃焼したのでは、リサイクルカーボンブラックが酸化消失してしまい、改質リサイクルカーボンブラックが得られない。全バーナー総カーボン燃焼率は、得られる改質粒子の回収量と、取り除く必要のあるゴム炭化物量のバランスの観点から、好ましくは15.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは20.0%以上80.0%以下である。
【0053】
補助バーナー改質工程(2)において、補助バーナー火炎燃焼率を100.0%未満に制御することは、補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料が完全燃焼しないようにすることを意味する。そして、補助バーナーに供給されている補助バーナー用燃料が完全燃焼させない条件で、補助バーナー用燃料が加熱されることにより、補助バーナー用燃料が熱分解して、炭化物が生成するので、補助バーナーで発生させている火炎を通過するときに、表面改質されたリサイクルカーボンブラックに、生成した炭化物を付着させて、改質リサイクルカーボンブラックの比表面積を調節することができる。補助バーナー火炎燃焼率は、ゴムの補強性を向上させるための比表面積の適正値の観点から、好ましくは2.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは5.0%以上80.0%以下である。なお、補助バーナー改質工程(2)は、補助バーナー改質工程の一形態なので、全バーナー総カーボン燃焼率は、100.0%未満、好ましくは15.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは20.0%以上80.0%以下である。
【0054】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法では、主バーナーより後段に、燃料ノズルを設け、補助燃料を、主バーナーで発生させている火炎又はその近傍に導入することにより、補助燃料を熱分解させる補助燃料熱分解工程を有することができる。本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法では、必要に応じて、補助燃料熱分解工程を行う。
【0055】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法のうち、補助燃料熱分解工程を有する形態を実施するための装置としては、例えば、
図1に示す改質リサイクルカーボンブラックの製造装置1において、補助バーナーを設けず、且つ、主バーナーで発生させている火炎又はその近傍に、補助燃料を導入するための燃料ノズルを設けたものが挙げられる。
【0056】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法に係る補助燃料熱分解工程は、主バーナーで発生させている火炎又はその近傍に、補助燃料を導入して、補助燃料を熱分解させて、炭化物を発生させ、発生させた炭化物により、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラックの表面の改質を行う工程である。補助燃料の供給位置は、主バーナーで発生させている火炎の先端、主バーナーで発生させている火炎内且つ火炎の先端近傍、主バーナーで発生させている火炎外且つ火炎の先端近傍である。
【0057】
補助燃料熱分解工程において改質されるのは、主バーナー改質工程を行った後のリサイクルカーボンブラック、すなわち、主バーナーで発生させている火炎を通過したリサイクルカーボンブラック又は主バーナーで発生させている火炎を通過しているリサイクルカーボンブラックである。
【0058】
補助燃料熱分解工程では、主バーナーより後段に設けられている燃料ノズルから補助燃料を導入する。このとき、燃料ノズルに補助燃料を供給して、燃料ノズルから主バーナーで発生させている火炎又はその近傍に、補助燃料を導入する際には、燃料ノズルに供給する補助燃料には、酸素含有ガスを混合させない。補助燃料熱分解工程に係る補助燃料は、主バーナーの火炎による熱で熱分解するものであれば、特に制限されないが、例えば、メタン、エタン、プロパン、天然ガス、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガス、これらの混合ガス、ゴムやプラスチックの熱分解で発生するガス等、また、液体燃料としてナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、クレオソート油、タール油などの石炭系炭化水素、FCC残渣油、エチレンヘビーエンドオイルなどの石油系重質油、アセチレン系不飽和炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素などの炭化水素、菜種油、大豆油等の植物油、ゴムやプラスチックの熱分解で発生するオイル等が挙げられ、リサイクルカーボンブラックを均一に改質するという点で、メタン、エタン、プロパン、天然ガス、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガスが好ましい。
【0059】
補助燃料熱分解工程では、下記式(5):
全反応総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C+F))×100 (5)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Fは燃料ノズルより供給されている補助燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全反応総カーボン燃焼率を100.0%未満とする。
なお、Fは、燃料ノズルより供給されている補助燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量の単位時間当たりの量である。
【0060】
補助燃料熱分解工程において、全反応総カーボン燃焼率を100.0%未満に制御することは、主バーナーに供給されている主バーナー用燃料、リサイクルカーボンブラック及び補助燃料が完全燃焼しないようにすることを意味する。主バーナーに供給されている主バーナー用燃料、リサイクルカーボンブラック及び補助燃料が完全燃焼したのでは、リサイクルカーボンブラックが酸化消失してしまい、改質リサイクルカーボンブラックが得られない。そして、補助ノズルから供給される補助燃料を完全燃焼させない条件で、補助燃料が加熱されることにより、補助燃料が熱分解して、炭化物が生成するので、表面改質されたリサイクルカーボンブラックに、生成した炭化物を付着させて、改質リサイクルカーボンブラックの比表面積を調節することができる。全反応総カーボン燃焼率は、得られる改質粒子の回収量と、取り除く必要のあるゴム炭化物量のバランスの観点から、好ましくは15.0%以上90.0%以下であり、より好ましくは20.0%以上80.0%以下である。
【0061】
主バーナー改質工程において、原料リサイクルカーボンブラック、酸素含有ガス、主バーナー用燃料の供給量は、所定の主バーナー総カーボン燃焼率となるように、適宜選択される。
主バーナー改質工程(1)では、所定の主バーナー総カーボン燃焼率及び主バーナー火炎燃焼率となるように、適宜選択され、例えば、酸素含有ガスとして空気供給量を100.0Nm3/時間とした場合、主バーナー用燃料としての都市ガス(組成:メタン88%、エタン6%、プロパン5%、ブタン1%)の供給量は1.8Nm3/時間以上8.7Nm3/時間以下、好ましくは2.3Nm3/時間以上8.3Nm3/時間以下であり、原料リサイクルカーボンブラックの供給量は3kg/時間以上80kg/時間以下、好ましくは5kg/時間以上60kg/時間以下である。
主バーナー改質工程(2)では、所定の主バーナー総カーボン燃焼率及び主バーナー火炎燃焼率となるように、適宜選択され、例えば、酸素含有ガスとして空気供給量を100.0Nm3/時間とした場合、主バーナー用燃料としての都市ガスの供給量は9.2Nm3/時間以上45.0Nm3/時間以下、好ましくは9.6Nm3/時間以上30Nm3/時間以下であり、原料リサイクルカーボンブラックの供給量は2kg/時間以上75kg/時間以下、好ましくは3kg/時間以上55kg/時間以下である。
【0062】
補助バーナー改質工程において、酸素含有ガス、補助バーナー用燃料の供給量は、所定の全バーナー総カーボン燃焼率及び補助バーナー火炎燃焼率となるように、適宜選択される。
補助バーナー改質工程(1)では、所定の全バーナー総カーボン燃焼率及び補助バーナー火炎燃焼率となるように、適宜選択され、例えば、主バーナー用酸素含有ガスとして空気供給量を100.0Nm3/時間とした場合、補助バーナー用酸素含有ガスとしての空気の供給量は5.0Nm3/時間以上100.0Nm3/時間以下、好ましくは10.0Nm3/時間以上90.0Nm3/時間以下であり、補助バーナー用燃料として都市ガスの供給量は0.2Nm3/時間以上8.7Nm3/時間以下、好ましくは0.5Nm3/時間以上7.5Nm3/時間以下である。
補助バーナー改質工程(2)では、所定の全バーナー総カーボン燃焼率及び補助バーナー火炎燃焼率となるように、適宜選択され、例えば、主バーナー用酸素含有ガスとして空気供給量を100.0Nm3/時間とした場合、補助バーナー用酸素含有ガスとしての空気の供給量は2Nm3/時間以上50.0Nm3/時間以下、好ましくは5.0Nm3/時間以上40.0Nm3/時間以下であり、補助バーナー用燃料として都市ガスの供給量は0.5Nm3/時間以上50.0Nm3/時間以下、好ましくは1.0Nm3/時間以上30.0Nm3/時間以下である。
補助燃料熱分解工程では、所定の全反応総カーボン燃焼率となるように、適宜選択され、例えば、主バーナー用酸素含有ガスとして空気供給量を100.0Nm3/時間とした場合、補助燃料として都市ガスの供給量は0.5Nm3/時間以上50.0Nm3/時間以下、好ましくは1.0Nm3/時間以上30.0Nm3/時間以下である。
【0063】
補助バーナー改質工程を行わなかった場合又は補助燃料熱分解工程を行わなかった場合は、主バーナー改質工程を行った後、つまり、主バーナーで発生させている火炎を通過することにより得られる改質リサイクルカーボンブラックを、水、窒素ガス、熱交換器等の金属壁等に接触させて冷却する。また、補助バーナー改質工程を行った場合は、主バーナー改質工程及び補助バーナー改質工程を行った後、つまり、主バーナーで発生させている火炎及び補助バーナーで発生させている火炎を通過することにより得られる改質リサイクルカーボンブラックを、水、窒素ガス、熱交換器等の金属壁等に接触させて冷却する。また、補助燃料熱分解工程を行った場合は、主バーナー改質工程及び補助燃料熱分解工程を行った後、つまり、主バーナーで発生させている火炎を通過し、補助燃料熱分解工程が行われることにより得られる改質リサイクルカーボンブラックを、水、窒素ガス、熱交換器等の金属壁等に接触させて冷却する。このとき、火炎を通過した後の改質リサイクルカーボンブラックは高温であるため、水を接触させた場合は、水は水蒸気となる。
【0064】
改質リサイクルカーボンブラックを冷却した後は、冷却された改質リサイクルカーボンブラックと、燃焼ガス、分解ガス及び水蒸気等のガスとを、バグフィルター、サイクロン等の固体と気体の分離装置を用いて分離し、改質リサイクルカーボンブラックを得る。
【0065】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法は、主バーナー改質工程を行う前に、原料リサイクルカーボンブラックを粉砕及び/又は分級する粒度調整工程を有することができる。主バーナー改質工程を行う前に、粒度調整工程を行うことにより、主バーナー改質工程に供給される原料リサイクルカーボンブラックの粒径のバラツキが小さくなるので、主バーナー改質工程での原料リサイクルカーボンブラックの表面改質のバラツキを少なくすることができる。
【0066】
粒度調整工程で用いる粉砕装置は、特に制限されず、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、カッターミル、ロールクラッシャー、スタンプミル、リングミル等が挙げられる。また、粒度調整工程で用いる分級装置は、特に制限されず、分級工程は、分級ロータなどを備えて遠心力分級を実現する機械式の分級機や、高速気流の供給により生じさせた旋回流(自由渦ないし半自由渦)による遠心力分級を実現する分級機、屈曲する高速空気流により加速した粒子の慣性力とコアンダ効果を利用した分級機等が挙げられる。
【0067】
主バーナーは、主バーナー用燃料を燃焼させて、火炎を発生させることができ、且つ、燃料の供給側から、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及び原料リサイクルカーボンブラックを連続的に供給して、主バーナー用燃料の燃焼を行い、連続的に、主バーナーで火炎を発生させつつ、原料リサイクルカーボンブラックを、火炎に導入し、火炎を通過させることができるものであれば、特に制限されない。
【0068】
例えば、主バーナーとしては、
図4に示す形態例の主バーナーが挙げられる。
図4は、主バーナーの形態例の模式的な端面図である。
図4中、主バーナー30aは、バーナーの中心部に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路33を有し、火炎の発生側に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの噴出口37が形成されている。また、主バーナー30aは、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路33を囲むように、酸素含有ガスの供給経路32を有し、火炎の発生側に、酸素含有ガスの噴出口36が形成されている。また、主バーナー30aは、酸素含有ガスの供給経路32を囲むように、主バーナー用燃料の供給経路31を有し、火炎の発生側に、主バーナー用燃料の噴出口35が形成されている。原料リサイクルカーボンブラックの移動方向に対し垂直な面で見たときに、中心部に、円形の原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路が形成され、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路を囲むように、円筒形状の酸素含有ガスの供給形成が形成され、酸素含有ガスの供給経路を囲むように、円筒形状の主バーナー用燃料の供給形成が形成されている。
図4の形態例では、主バーナーの火炎側の端部に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路、酸素含有ガスの供給経路及び主バーナー用燃料の供給経路が開口している。
【0069】
そして、主バーナー30aの燃料の供給側から、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料と、を供給することにより、火炎に、中心に原料リサイクルカーボンブラックを存在させ、原料リサイクルカーボンブラックを囲むように酸素含有ガスを存在させ、酸素含有ガスを囲むように主バーナー用燃料を存在させて、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料と、を導入することができる。主バーナー30aを用いることにより、火炎に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスと、酸素含有ガスと、主バーナー用燃料を導入するときに、原料リサイクルカーボンブラックの近傍に、酸素含有ガスを存在させることができるので、原料リサイクルカーボンブラックと燃料ガスとの接触よりも、原料リサイクルカーボンブラックと酸素含有ガスとの接触を優先させることができるので、原料リサイクルカーボンブラックの酸化を起こり易くすることができる。
【0070】
また、主バーナーとしては、
図5に示す形態例の主バーナーが挙げられる。
図5は、主バーナーの形態例の模式的な端面図である。
図5中、主バーナー30bは、バーナーの中心部に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路33を有し、火炎の発生側に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの噴出口37が形成されている。また、主バーナー30bは、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路33を囲むように、酸素含有ガスの供給経路32を有し、火炎の発生側に、酸素含有ガスの噴出口36が形成されている。また、主バーナー30bは、酸素含有ガスの供給経路32を囲むように、主バーナー用燃料の供給経路31を有し、火炎の発生側に、主バーナー用燃料の噴出口35が形成されている。そして、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの噴出口37、酸素含有ガスの噴出口36及び主バーナー用燃料の噴出口35は、混合室38に開口し、混合室38から混合流が、火炎に向けて噴出される。
図5の形態例では、主バーナーの火炎側の端部に、原料リサイクルカーボンブラック及び搬送ガスの供給経路、酸素含有ガスの供給経路及び主バーナー用燃料の供給経路は、主バーナーの火炎側の端部より手前に形成されている混合室に開口しており、混合室が主バーナーの火炎側の端部に開口している。
【0071】
また、主バーナーの構造としては、特許第3001561号公報、特許第5367471号公報、特許第3312228号公報、特許第4769276号公報、特開2021-50897号公報、特開2010-156025号公報、特許6580710号公報等に記載されているバーナーの構造が挙げられる。
【0072】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法では、主バーナー改質工程を行うことにより、又は主バーナー改質工程及び補助バーナー改質工程を行うことにより、改質リサイクルカーボンブラックのDバンド強度を100としたときのGバンド強度及び窒素吸着比表面積N2SAが、以下に示す範囲の改質リサイクルカーボンブラックを得ることができる。そして、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度及び窒素吸着比表面積N2SAが以下に示す範囲の改質リサイクルカーボンブラックは、ゴム成分との結合が強く、且つ、凝集性が高くなり過ぎていないので、ゴム製品の補強性が高くなる。よって、本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法は、ゴム製品の補強性を高くすることができる改質リサイクルカーボンブラックを、連続的に製造することができる。
【0073】
本発明の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法を行い得られる改質リサイクルカーボンブラックは、廃タイヤ等のゴム製品を熱分解して得られるリサイクルカーボンブラックの表面が改質されたものである。より具体的には、本発明の改質リサイクルカーボンブラックは、廃タイヤ等のゴム製品を熱分解して得られるリサイクルカーボンブラックの表面に付着していたゴム炭化物を主成分とするゴム残分の全部又は一部が除去されたものである。
【0074】
表面にゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックは、レーザーラマン分光法により、励起波長532nmで測定することで得られるラマンスペクトルにおいて、1350±10cm-1の範囲にピークトップを有するピークのピーク強度を100としたとき、1580±20cm-1の範囲にピークトップを有するピークのピーク強度が112以上である。
【0075】
そのような表面にゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックに対して、改質リサイクルカーボンブラックは、表面に付着しているゴム炭化物を主成分とするゴム残分が除去されているので、レーザーラマン分光法により、励起波長532nmで測定することで得られるラマンスペクトルにおいて、1350±10cm-1の範囲にピークトップを有するピーク(Dバンド)のピーク強度を100としたとき、1580±20cm-1の範囲にピークトップを有するピーク(Gバンド)のピーク強度が84以上111以下である。リサイクルカーボンブラックのDバンド強度を100としたときのGバンド強度が、上記範囲にあることにより、リサイクルカーボンブラックの表面に付着しているゴム残分が無いか又は非常に少なく、リサイクルカーボンブラックのゴム成分との結合が高くなるため、ゴム製品の補強性が高くなる。Dバンド強度を100としたときのGバンド強度は、ゴムとの適切な反応を行い補強性を向上させる観点から、好ましくは85以上110以下であり、より好ましくは90以上105以下である。一方、リサイクルカーボンブラックのDバンド強度を100としたときのGバンド強度が、上記範囲を超えていると、リサイクルカーボンブラックの表面に付着しているゴム残分が多く、リサイクルカーボンブラックのゴム成分との結合が低くなり、また、上記範囲未満だと、カーボンブラック表面のグラファイト構造の欠陥が多く、表面活性が高すぎる状態となり、ゴム中でのカーボンブラック同士の凝集が促進され、ゴムの補強性が低下する。
【0076】
本発明において、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度、Dバンド強度は、以下の(1)の測定条件で測定した後、(2)のデータ処理を施して得られるラマンスペクトルから算出される値を意味する。
(1)レーザーラマン分光装置として株式会社堀場製作所製 HR-800を用い、測定対象となるカーボンブラック試料を数粒スライドグラス上に載置し、スパチュラで数回こすり表面を平らにした状態のものを、以下の測定条件で測定する。
YAGレーザー(励起波長):532nm
刻線数 :600gr/mm
フィルター :D0.6
対物レンズ倍率 :100倍
露光時間 :150秒
積算回数 :2回
(2)得られたスペクトルの測定波長(Raman Shift)2100cm
-1における信号強度を0とし、スペクトルを構成するデータ点のうち、隣接する39点毎に平均値を求め、次いでスムージング処理して上記各平均値を結ぶスペクトル曲線を得る。次いで、各サンプル毎の比較を容易にするために、測定波長1350±10cm
-1の範囲に観察されるピークトップ強度を100とする。このとき得られるスペクトル例を
図6に示す。
【0077】
図6に示すように、改質リサイクルカーボンブラックは、レーザーラマン分光法により、励起波長532nmで測定することで得られるラマンスペクトルにおいて、1350±10cm
-1の範囲にピークトップを有するピーク(Dバンド)と、1580±20cm
-1の範囲にピークトップを有するピーク(Gバンド)が検出される。
【0078】
そして、Dバンドのピーク強度の値とGバンドのピーク強度の値から、Dバンドのピーク強度を100としたときのGバンドのピーク強度を計算する。本発明者等の検討によれば、リサイクルカーボンブラックのゴム炭化物の付着量が多いほど、Gバンドの強度が大きくなるので、Dバンドのピーク強度と比較したときのGバンドのピーク強度の大きさによって、リサイクルカーボンブラックからのゴム炭化物の除去状態を把握できることがわかった。
【0079】
図6は、改質リサイクルカーボンブラックの形態例のラマンスペクトルであり、Dバンドのピーク強度を100としたとき、Gバンドのピーク強度は、93であり、84以上111以下の範囲にある。一方、
図7は、改質する前のリサイクルカーボンブラックの形態例のラマンスペクトルであり、Dバンドのピーク強度を100としたとき、Gバンドのピーク強度は、113であり、84以上111以下の範囲を超えている。これらは、
図7に示す改質する前のリサイクルカーボンブラックでは、表面にゴム炭化物が付着しており、
図6に示す改質リサイクルカーボンブラックでは、それが改質されることにより、表面に付着していたゴム炭化物が除去されていることがわかる。
【0080】
改質リサイクルカーボンブラックの窒素吸着比表面積N2SAは、15m2/g以上350m2/g以下である。リサイクルカーボンブラックの窒素吸着比表面積N2SAが、上記範囲にあることにより、リサイクルカーボンブラックの凝集力が低く抑えられるので、ゴム製品の補強性が高くなる。リサイクルカーボンブラックの窒素吸着比表面積N2SAは、ゴムとの接触させる面積を最適化し、ゴムの補強性を向上させる観点からは、好ましくは20m2/g以上300m2/g以下であり、より好ましくは30m2/g以上250m2/g以下である。一方、リサイクルカーボンブラックの窒素吸着比表面積N2SAが、上記範囲未満だと、ゴムと接触する表面が少なく、補強効果が十分に発現されずにゴムの補強性が低下することとなり、また、上記範囲を超えると、リサイクルカーボンブラックの凝集力が高くなり過ぎるので、ゴム製品の補強性が低くなる。
【0081】
なお、本発明において、窒素吸着比表面積N2SAは、JIS K6217-2 2001「ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験方法」に規定される方法に準拠して、窒素吸着量により測定される値を意味する。
【0082】
改質リサイクルカーボンブラックのDBP(Dibutylphthalate)吸収量は、ゴムへの補強性を向上させる観点で、60cm3/100g以上200cm3/100g以下であるものが好ましく、70cm3/100g以上195cm3/100g以下であるものがより好ましく、80cm3/100g以上190cm3/100g以下であるものがさらに好ましい。一方、DBP吸収量が上記範囲未満であると、ゴム組成物に配合した際にカーボンブラックの分散性が悪化して得られるゴムの補強性が低下し易くなり、また、上記範囲を超えるとゴム組成物に配合した際に得られるゴムの加工性が低下する場合がある。
【0083】
なお、本発明において、DBP吸収量は、JIS K6217-4「ゴム用カーボンブラック-基本特性-第4部、DBP吸収量の求め方」に規定された方法により測定される値を意味する。
【0084】
改質リサイクルカーボンブラックは、廃タイヤ等のゴム製品を熱分解して得られるリサイクルカーボンブラックを改質して得られたものなので、改質リサイクルカーボンブラックの灰分含有量は、3.0%以上50.0%以下より好ましくは5.0%以上35.0%以下である。
【0085】
なお、本発明において、灰分含有量は、JIS K 6218-2に規定された方法により測定される値を意味する。
【実施例0086】
本発明を以下の実施例を用いて説明する。
【0087】
(実施例1)
図1に示す改質リサイクルカーボンブラックの製造装置1を用いた。先ず、主バーナー用燃料として都市ガス(組成:メタン88%、エタン6%、プロパン5%、ブタン1%)を16.0Nm
3/時間で、酸素含有ガスとして空気を215.0Nm
3/時間で、主バーナーに供給して、火炎を発生させた。続いて、都市ガス及び空気の供給を続け、火炎の発生を続けた状態で、10.0Nm
3/時間の搬送空気を用いて、原料リサイクルカーボンブラックを15kg/時間で、主バーナーに供給し、火炎を通過させ、主バーナー改質工程を行った。原料リサイクルカーボンは事前にカッターミキサーで粉砕処理を実施した。火炎を通過した改質リサイクルカーボンブラックを、冷却水で冷却し、バグフィルターで、ガスを分離して、改質リサイクルカーボンブラックを得た。このとき、主バーナー総カーボン燃焼率は79.0%であった。また、主バーナー火炎燃焼率は128.0%であった。
次いで、得られた改質リサイクルカーボンブラックの窒素吸着比表面積N
2SA、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度を測定した。その結果、窒素吸着比表面積N
2SAは202m
2/g、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度は93であった。
なお、実施例1では、補助バーナー改質工程を行っていない。
【0088】
・原料リサイクルカーボンブラック
廃タイヤの熱分解により得られたリサイクルカーボンブラック
Enrestec社製PB365、
灰分含有量:18.6%、
Dバンド強度を100としたときのGバンド強度:113
N2SA:76m2/g
【0089】
(実施例2)
都市ガスを26.0Nm3/時間、酸素含有ガスとして空気を205.0Nm3/時間、原料リサイクルカーボンブラックを33kg/時間に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で改質処理を行った。このとき、主バーナー総カーボン燃焼率は39.0%であった。また、主バーナー火炎燃焼率は72.0%であった。その結果、窒素吸着比表面積N2SAは62m2/g、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度は99であった。
【0090】
(実施例3)
実施例2の条件に加え、補助バーナーから補助燃料として都市ガス3.0Nm3/時間、補助バーナー用酸素含有ガスとして空気85.0Nm3/時間を供給して、火炎を発生させ、補助バーナーの火炎による追加処理を行った。このとき、主バーナー総カーボン燃焼率は39.0%であった。また、主バーナー火炎燃焼率は72.0%であった。加えて、補助バーナー火炎燃焼率は258.0%、全バーナー総カーボン燃焼率は52.0%であった。その結果、窒素吸着比表面積N2SAは162m2/g、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度は94であった。
つまり、実施例3では、主バーナー改質工程と補助バーナー改質工程を行った。
【0091】
(実施例4)
実施例1の条件に加え、補助バーナーから補助燃料として都市ガス12.0Nm3/時間、補助バーナー用酸素含有ガスとして空気30.0Nm3/時間を供給して、火炎を発生させ、補助バーナーの火炎による追加処理を行った。このとき、主バーナー総カーボン燃焼率は79.0%であった。また、主バーナー火炎燃焼率は128.0%であった。加えて、補助バーナー火炎燃焼率は23.0%、全バーナー総カーボン燃焼率は61.0%であった。その結果、窒素吸着比表面積N2SAは113m2/g、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度は97であった。
つまり、実施例4では、主バーナー改質工程と補助バーナー改質工程を行った。
【0092】
(実施例5)
図1に示す改質リサイクルカーボンブラックの製造装置1の補助バーナー4を、燃料ノズルに代えた装置を用いた。先ず、主バーナー用燃料として都市ガス(組成:メタン88%、エタン6%、プロパン5%、ブタン1%)を16.0Nm
3/時間で、酸素含有ガスとして空気を215.0Nm
3/時間で、主バーナーに供給して、火炎を発生させた。続いて、都市ガス及び空気の供給を続け、火炎の発生を続けた状態で、10.0Nm
3/時間の搬送空気を用いて、原料リサイクルカーボンブラックを15kg/時間で、主バーナーに供給し、火炎を通過させ、主バーナー改質工程を行い、燃料ノズルから燃料として都市ガス12.0Nm
3/時間を供給して、補助燃料熱分解工程を行った。このとき、主バーナー総カーボン燃焼率は79.0%であった。また、主バーナー火炎燃焼率は128.0%であった。加えて、全反応総カーボン燃焼率は54.0%であった。その結果、窒素吸着比表面積N
2SAは90m
2/g、Dバンド強度を100としたときのGバンド強度は96であった。
つまり、実施例5では、主バーナー改質工程と補助燃料熱分解工程を行った。
本発明によれば、ゴム成分との結合が強く、ゴム製品の補強性が高いリサイクルカーボンブラックを、連続的に製造することができるので、廃タイヤ等のゴム製品を熱分解して得られるリサイクルカーボンブラックを用いて、未使用のカーボンブラックと同等の性能を有するゴム製品を、工業的に有利に製造することができる。
燃料を燃焼させて火炎を発生させている主バーナーに、主バーナー用燃料、酸素含有ガス及びゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを連続的に供給して、該主バーナー用燃料の燃焼を行い、連続的に、該主バーナーで火炎を発生させつつ、該ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを、該火炎に導入し、該火炎を通過させる主バーナー改質工程を有し、
下記式(1):
主バーナー総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C))×100 (1)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される主バーナー総カーボン燃焼率を100.0%未満とすること、
を特徴とする改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
前記主バーナーより後段に、燃料ノズルを設け、該燃料ノズルから補助燃料を前記主バーナーで発生させている火炎又はその近傍に導入することにより、該補助燃料を熱分解させる補助燃料熱分解工程を有し、
下記式(5):
全反応総カーボン燃焼率(%)=(A/(B+C+F))×100 (5)
(式中、Aは主バーナーに供給されている酸素量を指し、Bは主バーナーに供給されているゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Cは主バーナーに供給されている主バーナー用燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指し、Fは燃料ノズルより供給されている補助燃料を完全燃焼させるために必要な理論酸素量を指す。)
で表される全反応総カーボン燃焼率を100.0%未満とする補助燃料熱分解工程であること、
を特徴とする請求項2又は3記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。
前記主バーナー改質工程を行う前に、前記ゴム炭化物が付着しているリサイクルカーボンブラックを粉砕及び/又は分級する粒度調整工程を有することを特徴とする請求項1記載の改質リサイクルカーボンブラックの製造方法。