IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用撮影システム 図1
  • 特開-車両用撮影システム 図2
  • 特開-車両用撮影システム 図3
  • 特開-車両用撮影システム 図4
  • 特開-車両用撮影システム 図5
  • 特開-車両用撮影システム 図6
  • 特開-車両用撮影システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157601
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用撮影システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20241031BHJP
   B60R 25/25 20130101ALI20241031BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
B60R25/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072024
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀川 一樹
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BC19
3D020BD03
(57)【要約】
【課題】車両への配置の自由度を向上できる車両用撮影システムを提供する。
【解決手段】本実施形態における車両用撮影システムは、車体2のBピラー5に配置され水平方向において所要の撮影範囲を有するカメラ11と、閉じた際にカメラ11を覆い開いた際にカメラ11を露出するよう車体2に対して開閉するドア3であって、カメラ11をドア3の外側に露出させ、ドア3の外側の撮影対象物をカメラ11に撮影させる撮影孔20を有するドア3と、を備える。撮影システムは、更に撮影孔20の内周面21にカメラ11の撮影範囲内に配置される一対のミラー30であって、一対のミラー30に写る撮影対象物を一対のミラー30越しにカメラ11に撮影させる一対のミラー30と、を備えていてもよい。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に配置され水平方向において所要の撮影範囲を有するカメラと、
閉じた際に前記カメラを覆い開いた際に前記カメラを露出するよう前記車体に対して開閉する開閉部であって、前記カメラを前記開閉部の外側に露出させ、前記開閉部の外側の撮影対象物を前記カメラに撮影させる撮影孔を有する開閉部と、を備える車両用撮影システム。
【請求項2】
前記撮影孔の内周面に前記カメラの撮影範囲内に配置される一対のミラーであって、前記一対のミラーに写る前記撮影対象物を前記一対のミラー越しに前記カメラに撮影させる一対のミラーを更に備える、請求項1記載の車両用撮影システム。
【請求項3】
前記カメラは、Bピラーに配置され、
前記開閉部は、ドアである、請求項1記載の車両用撮影システム。
【請求項4】
前記撮影孔を覆うスモーク部材を更に備える、請求項1記載の車両用撮影システム。
【請求項5】
前記開閉部の内側に配置され、前記開閉部及び各前記一対のミラーの境界において前記開閉部内外を気密にするパッキンを更に備える、請求項1記載の車両用撮影システム。
【請求項6】
前記カメラにより撮影された前記撮影対象物を認証する認証部を更に備える、請求項1記載の車両用撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に配置されるカメラで撮影された画像を用いた顔認証を、車両のドアエントリーに用いることが行われている。顔認証用の画像は、例えばドアやBピラー等に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-039231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の態様の多様化に伴い、Bピラーを有していない車両や、Bピラーがドアに隠れる車両等がある。このような態様の車両は、Bピラーにカメラを配置することができないため、カメラをドアに配置することが代替的に考えられる。しかしながら、カメラをドアに配置すると、例えばドアの開閉状態に応じて撮影範囲が限られてしまい、撮影された画像の多用途への適用が困難となる。
【0005】
本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、車両への配置の自由度を向上できる車両用撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両用撮影システムは、上述した課題を解決するために、車体に配置され水平方向において所要の撮影範囲を有するカメラと、閉じた際に前記カメラを覆い開いた際に前記カメラを露出するよう前記車体に対して開閉する開閉部であって、前記カメラを前記開閉部の外側に露出させ、前記開閉部の外側の撮影対象物を前記カメラに撮影させる撮影孔を有する開閉部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の車両用撮影システムにおいては、車両への配置の自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における車両用撮影システムが搭載された車両のドアが閉じた状態の右側面図。
図2図1の車両のドアが開いた状態の右側面図。
図3図1のIII-III線に沿う断面図。
図4】車両用撮影システムの機能ブロック図。
図5】車両の上方から見た撮影範囲を示す説明図。
図6】車両の前方から見た撮影範囲を示す説明図。
図7図3に対応する車両用撮影システムの変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の車両用撮影システム10の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の車両用撮影システムは、車体に対して開閉するドア等の開閉部を有する自動車や、農業機械、建設機械等の車両に搭載され得る。本実施形態においては、車両用撮影システムが搭載される車両が自動車であり、開閉部がフロントドア(以下単に「ドア」という。)である例を用いて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態における車両用撮影システム10が搭載された車両1のドア3が閉じた状態の右側面図である。
【0011】
図2は、図1の車両1のドア3が開いた状態の右側面図である。
【0012】
図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。
【0013】
図4は、車両用撮影システム10の機能ブロック図である。
【0014】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」は、図1から3及び図5から7における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。
【0015】
車両用撮影システム10は、車体2と、車体2に対して開閉するドア3(開閉部)と、を有する車両1に搭載される。ドア3は、外表面の装飾的観点から、Bピラー5に重なる領域にガーニッシュ4を有する。
【0016】
車両用撮影システム10は、カメラ11と、撮影孔20を有するドア3と、一対のミラー30と、スモーク部材40と、認証部50と、を主に有する。
【0017】
カメラ11は、車体2の例えば運転席側のBピラー5に配置され、右ハンドル車の場合は車体2の右方が撮影範囲となるように配置される。カメラ11は、認証に必要な画像を撮影するために要求される、水平方向及び上下方向において所要の撮影範囲(画角)を有する。
【0018】
ドア3は、閉じた際にBピラー5を覆うように車体2に対して開閉する。ドア3は、閉じた際にカメラ11を覆い、開いた際にカメラ11を露出するよう車体2に対して開閉する。ドア3は、カメラ11を覆う領域であって、ガーニッシュ4が配置される領域に、左右方向に貫通し、Bピラー5に配置されるカメラ11をドア3の外側に露出させる撮影孔20を有する。撮影孔20は、ドア3の外側に存在する撮影対象物をカメラ11に撮影させるために設けられる。撮影孔20は、略左右方向に沿う軸方向を有し、例えばカメラ11の画角に応じた四角柱状に形成される。
【0019】
一対のミラー30は、撮影孔20の4つの内周面21のうち、上下方向に沿い前方及び後方に位置する面であって、カメラ11の撮影範囲内(水平方向の撮影範囲内)に配置される。すなわち、一対のミラー30は、ミラー30に写る撮影対象物を、ミラー越しにカメラ11に撮影させるように配置される。一方のミラー31は、撮影孔20の前方の内周面21に、後方を写すように配置される。他方のミラー32は、撮影孔20の後方の内周面21に、前方を写すように配置される。
【0020】
スモーク部材40は、スモーク色(透過性の黒色)の板状部材である。スモーク部材40は、カメラ11の撮影を妨げず、外側から内部のミラー30やカメラ11が視認されることを抑制する目的で、撮影孔20を塞ぐようにドア3に配置される。スモーク部材40は、ガーニッシュ4の一部に嵌め込まれるようにガーニッシュ4と面一に配置されることで、撮影孔20が形成されていることを認識させず、外観を損なわない。
【0021】
一対のミラー30及びスモーク部材40は、ドア3に対して接着等で固定されるため、これらの境界からドア3内外の気密性が損なわれる虞がある。このため、ドア3の内側には、ドア3及び各一対のミラー30の境界においてドア3内外を気密にするパッキン60が設けられてもよい。
【0022】
認証部50は、カメラ11と接続されており、カメラ11で撮影された画像を取得する。認証部50は、画像処理部51と、認証処理部52と、を有する。
【0023】
画像処理部51は、カメラ11から取得した画像に対して、認証処理に必要な所要の画像処理を実行する。画像処理部51は、例えば、ミラー30越しに撮影された画像の反転処理を行う。画像処理部51は、カメラ11から取得した画像及び画像処理を実行した画像を、認証処理部52に供給する。このとき、カメラ11が直接撮影した撮影対象物は、画像処理部51から得られる画像の画素領域のうち左右方向中央領域に写り、ミラー30越しに間接的に撮影した撮影対象物は、左右方向端部側の領域に写ることになる。画像処理部51は、撮影対象物が存在する画素領域内の位置に応じて、反転処理を行うか否かを判定することができる。
【0024】
認証処理部52は、画像処理部51より取得した画像を用い、公知の顔認証アルゴリズムに基づいて顔認証を実行する。認証処理部52から得られる認証結果は、例えば車両1を統括的に制御する車両ECUに供給され、ドアエントリーや、搭乗者の判別に用いられる。
【0025】
次に、本実施形態における車両用撮影システム10の作用について説明する。
【0026】
図5は、車両1の上方から見た撮影範囲Rhを示す説明図である。
図6は、車両1の前方から見た撮影範囲Rvを示す説明図である。
図5は主に水平方向の撮影範囲Rhを示し、図6は主に上下方向の撮影範囲Rvを示す。
【0027】
カメラ11は、ドア3が開いた状態においては完全に露出するが、ドア3が閉じた状態ではドア3に覆われる。ここで、ドア3には撮影孔20が配置されていることから、カメラ11はドア3の外側に対して露出し、ドア3の外側に存在する撮影対象物としての搭乗者8を、撮影孔20越しに撮影できる。
【0028】
しかしながら、撮影孔20により撮影範囲、特に水平方向の撮影範囲は図3の範囲R1に制限されることになる。これに対して、本実施形態における車両用撮影システム10は、一対のミラー30を有し、ミラー30に写る撮影対象物を間接的に撮影する。これにより、直接的にカメラ11の撮影範囲R1に入らない、範囲R2、R3に存在する搭乗者8まで撮影範囲を拡張することができる。例えば図5に示すように、車両1の前方から前後方向に対して浅い角度で近付いてくる搭乗者8も撮影対象物とすることができる。
【0029】
このような本実施形態における車両用撮影システム10は、Bピラー5に対するドア3の配置関係によらずに車両1に搭載することができるため、車両への配置の自由度を向上できる。
【0030】
また、開閉するドア3ではなく、車体2側のBピラー5に固定できることから、常に定位置で撮影することができる。例えばドア3にカメラ11を設けた場合には、開閉状態に応じてカメラ11の位置が異なるため、定位置での撮影ができず、撮影された画像を認証等に用いることに不具合がある。また、セキュリティの観点等から車両1の状況を定点で監視する用途にも用い難い。これに対して、本実施形態における車両用撮影システム10は、認証システムのみならず、定点における監視を行うドライブレコーダーとしての用途にも優れており、多様な用途で利用できる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0032】
例えば、ミラー30、スモーク部材40及びパッキン60は省略してもよい。
【0033】
変形例としての図7に示すように、ドア3にガーニッシュ4が配置されていない場合にはドア3の外表面上にスモーク部材40を取り付けてもよい。
【0034】
カメラ11が配置される位置は、Bピラー5に限らず、撮影孔20の形成が可能であり開閉部により覆われる位置であれば、どこでもよい。例えば、カメラ11は、車体2としてのテールゲートに設けられ、開閉部としてのバックドアに撮影孔20が配置されていてもよい。
【0035】
認証部50は、車両用撮影システム10の必須の構成ではなく、車両ECUや他の処理部が有していてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
2 車体
3 ドア(開閉部)
4 ガーニッシュ
5 Bピラー(車体)
8 搭乗者
10 車両用撮影システム
11 カメラ
20 撮影孔
21 内周面
30、31、32 ミラー
40 スモーク部材
50 認証部
51 画像処理部
52 認証処理部
60 パッキン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7