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特開2024-157611地盤補修工事の検査方法及び検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157611
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】地盤補修工事の検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 5/14 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G01V5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072050
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(74)【代理人】
【識別番号】100234305
【弁理士】
【氏名又は名称】合瀬 恵
(72)【発明者】
【氏名】宮寺 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】須賀 昌隆
(72)【発明者】
【氏名】藤牧 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 修治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 宰
(72)【発明者】
【氏名】中居 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】竹葉 紀子
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB19
2G105CC03
2G105EE02
2G105LL02
2G105LL03
2G105LL04
2G105LL05
2G105LL06
(57)【要約】
【課題】ミュオン検出器により、地中の性状及びその変化を高精度で解析する。
【解決手段】地盤補修工事の地中3の性状を解析する検査方法において、補修工事を行う
区域の地下に設置されたミュオン検出器1を用い、前記地盤補修工事による地盤状態の時
間変化に伴う宇宙線ミュオン11の飛来方向分布飛来量の変化を測定し、補修状況や地中
の性状及びその変化を解析することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤補修工事の地中の性状を解析する検査方法において、
補修工事を行う区域の地下に設置されたミュオン検出器を用い、
前記地盤補修工事による地盤状態の時間変化に伴う宇宙線ミュオンの飛来方向分布と飛
来量の変化を測定し、補修状況や地中の性状及びその変化を解析することを特徴とする地
盤補修工事の検査方法。
【請求項2】
前記ミュオン検出器は場所をずらして複数台設置され、各々の前記ミュオン検出器が宇
宙線ミュオンの飛来方向分布を測定し、3次元的な地中の性状及びその変化を解析するこ
とを特徴とする請求項1記載の地盤補修工事の検査方法。
【請求項3】
前記ミュオン検出器は複数の場所に移動してそれぞれの場所で宇宙線ミュオンの飛来方
向分布を測定し、3次元的な地中の性状及びその変化を解析することを特徴とする請求項
1記載の地盤補修工事の検査方法。
【請求項4】
前記ミュオン検出器は、シールド工法で掘削した地下トンネル内に設置されることを特徴
とする請求項1記載の地盤補修工事の検査方法。
【請求項5】
前記地中の性状は、補修工事のセメント系固化剤の形状、密度又は位置、地中の空洞の
有無又は位置、地下水流の有無又は位置、地中構造物の位置、種類又は密度、あるいは地
中物質の位置、種類又は密度の何れかであることを特徴とする請求項1から請求項4のい
ずれか1項記載の地盤補修工事の検査方法。
【請求項6】
前記解析は、地盤補修工事前と地盤補修工事中、又は地盤補修工事後の宇宙線ミュオン
の飛来方向分布及び地盤補修工事期間における宇宙線ミュオンの飛来の時間変化を測定し
、その測定結果から地盤補修工事によって生じた地中の性状及びその変化を解析すること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の地盤補修工事の検査方法。
【請求項7】
前記解析は地盤補修工事前および地盤補修工事後に継続的もしくは複数回に渡って宇宙
線ミュオンの飛来方向分布の測定を行うことで、地下水位の変化を監視することを特徴と
する請求項1から請求項4のいずれか1項記載の地盤補修工事の検査方法。
【請求項8】
前記解析は近傍観測井における地下水位の観測結果を用いて較正を行い、観測井以外の
場所の地下水位を求めることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の地
盤補修工事の検査方法。
【請求項9】
前記解析は、前記ミュオン検出器の視野角内の地上や地中を移動する重量物が移動する
情報を用い、前記重量物による宇宙線ミュオンの飛来方向分布および飛来量の変化を除外
又は較正し、前記地中の性状及びその変化の較正を行うことを特徴とする請求項1から請
求項4のいずれか1項記載の地盤補修工事の検査方法。
【請求項10】
前記地盤補修工事は、高圧噴射撹拌工法、又は薬液注入工法、あるいは機械撹拌工法で
あることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の地盤補修工事の検査方
法。
【請求項11】
地盤補修工事の地中の性状を解析する検査装置において、
補修工事を行う区域の地下に設置されたミュオン検出器と、
このミュオン検出器によって計測された宇宙線ミュオンの飛来方向分布及び補修工事に
よる地盤の時間変化に伴う宇宙線ミュオンの飛来方向分布と飛来量の変化を測定し補修状
況や地中の性状及びその変化を解析する解析装置と、
を有することを特徴とする地盤補修工事の検査装置。
【請求項12】
前記ミュオン検出器を前記補修工事を行う区域の地下に複数設置し、
前記解析装置は、複数設置した前記ミュオン検出器の視差角を利用して、前記地中を3
次元的に解析することを特徴とする請求項11記載の地盤補修工事の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、宇宙線ミュオンを用いた地盤補修工事の検査方法及び検査装置に
関する。
【背景技術】
【0002】
地下建設工事において見られるトラブル事例は低平地にできた大都市に多く、均等係数
の小さい細砂や大礫などの地盤で発生している。近年でもシールド工事に起因すると思わ
れる地中空洞が発見される事象が発生しており、こうしたトラブル後に行う緩んだ地盤の
補修工事として、地上から高圧噴射撹拌工法、薬液注入工法、機械撹拌工法等が知られて
おり、例えば高圧噴射撹拌工法では地下の砂層に空気とセメント系固化材を高圧で噴射し
ながら土と混合攪拌し、円筒形の補修体を造成する。
【0003】
補修体の造成状況や、補修体による地下水の遮断に起因した水位変化などのモニタリン
グ方法として、地上から調査する方法として地中レーダー、比抵抗トモグラフィ、弾性波
トモグラフィ等が知られているが、地中レーダーは地中での電磁波の散乱および吸収によ
り事実上5m以深の探知には不向きである。また、比抵抗トモグラフィと弾性波トモグラ
フィは多数のボーリング孔を掘削する必要があるため現実的ではない。
【0004】
一方、物質内部をイメージングする技術として、宇宙線ミュオン等の荷電粒子を使用し
た透視技術が知られている。宇宙線ミュオン(以下、「ミュオン」ともいう、)は、X線
や他の放射線と比べ透過力が強く、物質中を徐々にエネルギーを失いながら透過する。そ
のため、宇宙線ミュオンの飛来方向分布及び飛来量の時間変化から測定対象の性状を推定
することができる。
【0005】
宇宙に起因して発生するミュオン等の荷電粒子は、非常に高いエネルギーを持ち、透過
力が高いため、例えば、火山やピラミッドといった大型構造物等のイメージング手法とし
て用いられている。
【0006】
また、坑道の中にミュオン検出器を設置し、土被り厚によるミュオンのフラックス変化
を測定し、地中の性状を検出する手段や、地中に設置したミュオン検出器でミュオンの角
度分布を測定することにより、地中のトモグラフィ解析を行う手法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-271059号公報
【特許文献2】特開2002-106291号公報
【特許文献3】特開2011-202356号公報
【特許文献4】国際公開第2011/058911号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の検査手法は、いずれも地中物質の密度分布等の情報を既知として与える
ことで解析的に地中の情報を再構築しており、広い範囲にわたって観測を行うには長期に
わたる観測が必要であり、地盤補修工事の検査に適用された例はない。
【0009】
本発明の実施形態は、上記課題を解決するためになされたもので、地盤補修工事による
空洞の補修や、地中密度、地下水位等の性状及びその変化を高精度で解析する地盤補修工
事の検査方法および検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本実施形態に係る地盤補修工事の検査方法は、地盤補修工
事の地中の性状を解析する検査方法において、補修工事を行う区域の地下に設置されたミ
ュオン検出器を用い、前記地盤補修工事による地盤状態の時間変化に伴う宇宙線ミュオン
の飛来方向分布と飛来量の変化を測定し、補修状況や地中の性状及びその変化を解析する
ことを特徴とする。
【0011】
また、上記実施形態に係る地盤補修工事の検査装置は、地盤補修工事の地中の性状を解
析する検査装置において、補修工事を行う区域の地下に設置されたミュオン検出器と、こ
のミュオン検出器によって計測された宇宙線ミュオンの飛来方向分布及び補修工事による
地盤状態の時間変化に伴う宇宙線ミュオンの飛来方向分布と飛来量の変化を測定し補修状
況や地中の性状及びその変化を解析する解析装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本実施形態に係る地盤補修工事の検査方法及び検査装置によれば、ミュオン検出器から
なる検査装置を用いたことで、地中の性状及びその変化を高精度で解析することができる
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る地盤補修工事の検査装置の構成図。
図2】第1の実施形態に係る地盤補修工事の検査方法の説明図。
図3】ミュオン軌跡検出器を示す斜視図。
図4図3のIII矢視図。
図5】第2の実施形態に係る地盤補修工事の検査装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る地盤補修工事の検査方法及び検査装置の実施形態について、図面を
参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る地盤補修工事の検査方法及び検査装置について、図1及び図2
参照して説明する。ここで、図1は第1の実施形態に係る地盤補修工事の検査装置の模式
的な構成図であり、図2は地下工事の検査方法の説明図である。
【0016】
本第1の実施形態に係る地盤補修工事の検査装置9は、図1に示すように、ビルや家屋
等の地上構造物5の下方の地中3に緩んだ地盤2があり、掘削されたトンネル4に設置さ
れたミュオン検出器1と解析装置7とから構成されている。
【0017】
ミュオン検出器1は、荷電粒子を粒子単位で測定できるものであればよく、ドリフチュ
ーブ検出器のほか、比例計数管やマルチワイヤ方式、GEM検出器(ガス電子増幅器:ガ
ス検出器)、シンチレーション検出器、写真乾板またはイメージングプレートなどからな
り検出面を少なくとも2層以上有する検出器が適用可能である。検出方式や検出器の外形
は問わない。また、1つの検出器で直交する2方向位置を特定できる方式のものも適用可
能である。
【0018】
以下、ドリフトチューブ検出器の例を用いてミュオン検出器1の動作と構成を説明する
。ミュオン検出器1は、図3および図4に示すようにミュオン検出器1内を宇宙線ミュオ
ン11が通過することにより発生した電子が移動するドリフト時間に基づいて、ミュオン
検出器1内での通過位置を検出するドリフトチューブ検出器14が用いられる。このミュ
オン検出器1としてのドリフトチューブ検出器14は、筒体としての円筒管15内の中心
位置に、高電圧が印加される芯線16が張設されると共に、円筒管15内に希ガスを主成
分とする電離ガスが封入されている。宇宙線ミュオン11がドリフトチューブ検出器14
内を通過すると、電離ガスが電離されてイオンと電子に分離される。
【0019】
分離した電子が移動して芯線16に到達したとき、ドリフトチューブ検出器14から検
出信号が出力されて、ドリフトチューブ検出器14における宇宙線ミュオン11の通過が
検出される。電離ガスの電離により電子が発生する時刻と電子が芯線16に到達する時間
(検出信号の発生時刻)とから、電子が発生してから芯線16に移動するまでの移動時間
(ドリフト時間)が判明する。このドリフト時間に基づいて芯線16までの電子の移動距
離(ドリフト半径)を求めることで、ドリフトチューブ検出器内での宇宙線ミュオン11
の通過位置が検出可能になる。
【0020】
宇宙線ミュオン11を検出して検出信号を出力するミュオン検出器1は、図3及び図4
に示すように、複数本がX方向に配列された層が4層以上(例えば6層)設けられて、宇
宙線ミュオン11のX方向位置を検出するX方向算出部20Xを構成すると共に、複数本
がX方向に直交するY方向に配置された層が4層以上(例えば6層)設けられて、宇宙線
ミュオン11のY方向位置を検出するY方向算出部20Yを構成する。ここで、X方向算
出部20Xのミュオン検出器1の層とY方向算出部20Yのミュオン検出器1の層とは、
例えば2層毎に交互に配置されている。
【0021】
X方向算出部20Xは、上述の例えば6層の複数本のミュオン検出器1のほか、各ミュ
オン検出器1にそれぞれが接続された複数個の信号処理回路12と、複数個の信号処理回
路12にそれぞれが接続された複数の時刻算出手段13と、を有して構成される。同様に
、Y方向算出部20Yは、例えば6層の複数本のミュオン検出器1のほか、各ミュオン検
出器1にそれぞれが接続された複数個の信号処理回路12と、複数個の信号処理回路12
にそれぞれが接続された複数の時刻算出手段13と、を有して構成される。
【0022】
上述のX方向算出部20X及びY方向算出部20Yをそれぞれ構成するミュオン検出器
1、信号処理回路12及び時刻算出手段13は、フレーム17に支持されてミュオンの軌
跡を検出するモジュール構造体21を構成する。このモジュール構造体21において、フ
レーム17の周囲はカバー18に覆われる。このカバー18には、カバー18内で発生し
た熱を放熱する放熱手段としての放熱窓19が形成されている。なお、上述のモジュール
構造体21のミュオン検出器1、信号処理回路12及び時刻算出手段13は、X方向及び
Y方向に直交するZ方向付近から入射する宇宙線ミュオン11を検出対象とする。
【0023】
フレーム17は、ミュオン検出器1、信号処理回路12及び時刻算出手段13を固定し
て支持するためのものであり、材質及び形状などは問わない。但し、フレーム17は、荷
重による撓みや温度変化による歪などによってもミュオン検出器1の据付時の設置精度を
確保し得る程度の剛性などの特性を有する必要がある。
【0024】
このミュオン検出器1によって、宇宙線ミュオンの物質中の透過率から物質中の透過距
離を評価することができる。
【0025】
このミュオン検出器1は図2に示すように改良体6の直下に置いても、直下外で改良体
6を視野角内に収める場所に置いてもよい。このミュオン検出器1は上部方向から飛来す
るミュオンを、視野角の範囲で予め設定した時間計測する。
【0026】
なお、図1及び図2の例では、1台のミュオン検出器1が配置されているが、測定時間
を短縮するために2台以上に増やしてもよい。
【0027】
また、解析装置7はミュオン検出器1の近傍に配置してもよいが、トンネル4の外部に
配置してもよい。
【0028】
このように構成された地盤補修工事の検査装置9において、地盤補修工事により改良体
6が図2に示すように造成された場合を想定する。この場合の地盤補修工事は、高圧噴射
撹拌工法、又は薬液注入工法、あるいは機械撹拌工法である。地盤補修工事前に計測した
宇宙線ミュオン11の飛来方向分布と、地盤補修工事中、又は地盤補修工事後において測
定した宇宙線ミュオン11の飛来方向分布の差分および地盤補修工事期間における宇宙線
ミュオン11の飛来量の変化を解析することで、改良体6の形状及び密度による補修状況
や、地下水位等の地中の性状およびその変化を解析装置7によって解析することができる
【0029】
計測時間については、連続的に計測してもよいが、工事工程上の要所もしくは定期検査
のように必要な時に計測してもよい。また、工事前、工事中、工事後の宇宙線ミュオン1
1の飛来方向分布及び飛来量の時間変化を計測解析して、空洞の発生等の地中3の性状及
びその変化を測定することも可能である。
【0030】
また、地盤補修工事の検査装置9の検査対象は補修工事のセメント系固化剤の形状、密
度又は位置や、改良体6の形状や密度に限定されず、周囲より地中3の密度が高い/又は
低い箇所についても対象としてもよいし、さらに、地下水脈や湧き水の有無又は位置、地
中構造物の位置、種類又は密度、あるいは地中物質の位置、種類又は密度、地中の空洞の
有無又は位置、地下水流の有無又は位置も対象としてもよい。また、地下水位等の地中の
性状における地下水位の測定については、近傍観測井における地下水位の観測結果を用い
て較正を行い、観測井以外の場所の地下水位を求めることができる。
【0031】
また、ミュオン検出器1は、視野角内の地上や地中3を移動する車両等の重量物による
宇宙線ミュオン11の飛来方向分布および飛来量の変化を除外又は較正し、地中3の性状
及びその変化を高精度で解析することも可能である。
【0032】
以上説明したように、本第1の実施形態の地下工事の検査方法及び検査装置によれば、
ビルや家屋等の地上構造物5、地中3の下水管等の地中構造物、地中3に存在する空洞、
地下水脈等の宇宙線ミュオン11の測定値に影響を与える構造物があっても、地盤補修工
事前後の宇宙線ミュオン11の測定値の差分を見ることでこれらの影響を排除しながら緩
んだ地盤の補修効果や、地盤補修工事で造成した改良体6や地下水位の変化等を検知する
ことが可能となり、その後の工事工程等において適切な工事を実施することができる。
【0033】
また、地上や地中3を移動する車両等の重量物による宇宙線ミュオン11の測定値の変
化を除外又は較正することで、地中3の性状及びその変化を高精度で解析することも可能
である。
【0034】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る地盤補修工事の検査方法及び検査装置について、図5を参照して
説明する。なお、上記第1の実施形態と同様又は類似の構成については、同一の符号を付
し重複説明を省略する。
【0035】
本第2の実施形態では、地盤補修工事の検査装置30は、図5に示すように、トンネル
4の内部にミュオン検出器1aとミュオン検出器1bを離して2台設置している。このミ
ュオン検出器1a及びミュオン検出器1bは、改良体の直下に置いても、直下外で改良体
を視野角内に収める場所に置いてもよい。また、ミュオン検出器を1台で運用し、地盤状
態の時間変化の影響を受けない範囲で、それぞれの位置での宇宙線ミュオン11を測定し
てもよい。
【0036】
作用効果は上記第1の実施形態と同様であるが、複数台のミュオン検出器1の視差を利
用して、地中を3次元的に解析できる。これにより、地中3の性状及びその変化を広範囲
かつ高精度で解析することができる。
【0037】
なお、トンネル4の内部に配置するミュオン検出器1a、1bの台数及び測定位置は限
定されず、適宜増減可能であり、適宜位置を決められた場所に変更することもできる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したもので
あり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な
形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き
換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲
や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれ
るものである。
【符号の説明】
【0039】
1、1a~1b…ミュオン検出器、2…緩んだ地盤、3…地中、4…トンネル、5…地上
構造物、6…改良体、7…解析装置、9,10,30…地盤補修工事の検査装置、11…
宇宙線ミュオン、12…信号処理回路、13…時刻算出手段、14…ドリフトチューブ検
出器、15…円筒管、16…芯線、17…フレーム、18…カバー、19…放熱窓、20
X…X方向算出部、20Y…Y方向算出部、21…モジュール構造体。
図1
図2
図3
図4
図5