(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157613
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エレベーターシステム及びエレベーター制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B66B1/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072052
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】岡田 高広
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502JA06
3F502JA15
3F502JA19
3F502JA20
3F502KA19
3F502MA16
3F502MA46
3F502MA48
(57)【要約】
【課題】利用者ごとに個別のセキュリティがかかったエレベーターの操作が乗りかご内で適切に行えるようにする。
【解決手段】乗りかご内の表示パネルで行先階の登録が可能な操作盤を備えたエレベーターシステムであり、乗り場に設置されたセキュリティ装置での利用者認識によりセキュリティ解除信号を得て、そのセキュリティ解除信号に基づいて、自動登録した行先階又は登録許可した行先階を表示パネルに表示させる。このとき、セキュリティ処理を行わない共有階を行先階として登録するためのデフォルト画面の切り替えボタンを表示パネルに同時に表示させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内の表示パネルで行先階の登録が可能な操作盤を備えたエレベーターシステムにおいて、
前記操作盤は、
前記表示パネルの操作を検出する入力判定部と、
前記入力判定部で検出した操作に基づいた情報をエレベーター制御装置に送信する入力情報送信部と、を備え、
前記エレベーター制御装置は、
乗り場に設置されたセキュリティ装置からエレベーター利用者のセキュリティ解除階を示すセキュリティ解除信号を受信する解除階処理部と、
前記解除階処理部が受信したセキュリティ解除信号に基づいて、行先階の自動登録及び行先階の登録許可を行う自動登録/登録許可処理部と、を備え、
前記操作盤の表示処理部は、前記自動登録/登録許可処理部での処理で自動登録した行先階又は登録許可した行先階を前記表示パネルに表示させると共に、セキュリティ処理を行わない共有階を行先階として登録するためのデフォルト画面の切り替えボタンを前記表示パネルに表示させる
エレベーターシステム。
【請求項2】
さらに、前記操作盤の表示処理部は、前記共有階の一部の階を行先階として登録するためのボタンを前記表示パネルに表示させる
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記登録許可した行先階の個数が所定数を超えるとき、前記操作盤の表示処理部は、行先階を登録するためのテンキーを前記表示パネルに表示させる
請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記操作盤の表示処理部は、自動登録した行先階又は登録許可した行先階を前記表示パネルに表示させてから所定時間が経過したとき、前記表示パネルに前記デフォルト画面を表示させる
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記セキュリティ装置は、乗り場に設置されたカードリーダを備え、
前記カードリーダで読み取った情報に基づいて、セキュリティ解除階を判断する
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
前記セキュリティ装置は、乗り場に設置されたカメラを備え、
前記カメラが撮影した画像から顔認証した結果に基づいて、セキュリティ解除階を判断する
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
前記自動登録/登録許可処理部は、かご内セキュリティ装置からセキュリティ解除信号を受信している間は、動作しないことを特徴とする
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項8】
乗りかご内の表示パネルを備えた操作盤で行先階を登録操作し、前記操作盤での登録操作に基づいて、エレベーター制御装置が行先階の登録を行うエレベーター制御方法において、
前記操作盤は、
前記表示パネルの操作を検出する入力判定処理と、
前記入力判定処理で検出した操作に基づいた情報を前記エレベーター制御装置に送信する入力情報送信処理と、
前記エレベーター制御装置から受信した登録階を、前記表示パネルの登録階表示エリアに表示させる表示処理と、を行い、
前記エレベーター制御装置は、
セキュリティ装置からエレベーター利用者のセキュリティ解除階を示すセキュリティ解除信号を受信する解除階処理と、
前記解除階処理により受信したセキュリティ解除信号に基づいて、行先階の自動登録及び行先階の登録許可を行う自動登録/登録許可処理と、を行い、
前記表示処理として、前記自動登録/登録許可処理で自動登録した行先階又は登録許可した行先階を前記表示パネルに表示させると共に、セキュリティ処理を行わない共有階を行先階として登録するためのデフォルト画面の切り替えボタンを前記表示パネルに表示させるようにした
エレベーター制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターシステム及びエレベーター制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターの乗りかご内には、操作盤として、停止できる階に対応した停止階登録ボタンが配置され、乗りかごに乗り込んだ利用者は、目的階の停止階登録ボタンを押す操作を行っている。例えば、10階が目的階のとき、利用者は、停止できる階床に対応して多数配置された停止階登録ボタンの中から、10階の停止階登録ボタンを押す操作を行う。
10階の停止階登録ボタンが押されることで、押された10階の停止階登録ボタンの表示色が目立つ色に変化し、10階が停止階として登録されたことが判る。
【0003】
このような従来の停止階登録ボタンを高度化したものとして、表示機能付きのタッチパネルを乗りかご内に操作盤として配置することが提案されている。また、近年の感染症対策として、タッチパネルを非接触型のパネルとすることが提案されている。非接触型のパネルは、表示パネルに表示されたボタンに、利用者が指を近づけることで、操作されるものである。
【0004】
特許文献1には、エレベーターの行先階登録装置として、利用者のIDカードから読み取った利用者情報に基づいて、乗り場の操作盤が行先階候補を表示する技術が記載されている。また、特許文献1に記載の技術は、利用者情報に基づいた行先階候補が1つのとき、乗り場操作盤で行先階を自動登録するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/037534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたように、乗り場の操作盤で行先階を登録することができれば、利用者は乗りかご内で行先階の登録操作が不要になり、利用者の利便性が向上する。
しかしながら、乗り場に行先階登録装置を設置するようにした場合、乗り場操作盤が大型化してしまい、どのようなビルでも設置できるとは限らない。特に、利用者のIDカードなどによる認証装置と利用階を登録する乗り場操作盤の両方を設置するのは、通常はビルのエントランス階などの限られた階であり、全ての階の乗り場に適用するのは現実的でない。
【0007】
さらに、利用者が乗り場操作盤で行先階の登録操作をせずに、乗りかごに乗り込んだ場合、乗りかご内の目的階の停止階登録ボタンを使った通常時と同様の行先階(目的階)の登録操作が必要になり、利用者のIDカードなどを用いた利用者認証による行先階登録処理が有効に機能しない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑み、利用者の行先階登録操作が乗りかご内で適切に行えるエレベーターシステム及びエレベーター制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、乗りかご内の表示パネルで行先階の登録が可能な操作盤を備えたエレベーターシステムに適用される。
ここで、操作盤は、表示パネルの操作を検出する入力判定部と、入力判定部で検出した操作に基づいた情報をエレベーター制御装置に送信する入力情報送信部と、を備える。
また、エレベーター制御装置は、乗り場に設置されたセキュリティ装置からエレベーター利用者のセキュリティ解除階を示すセキュリティ解除信号を受信する解除階処理部と、解除階処理部が受信したセキュリティ解除信号に基づいて、行先階の自動登録及び行先階の登録許可を行う自動登録/登録許可処理部と、を備える。
そして、操作盤の表示処理部は、自動登録/登録許可処理部での処理で自動登録した行先階又は登録許可した行先階を表示パネルに表示させると共に、セキュリティ処理を行わない共有階を行先階として登録するためのデフォルト画面の切り替えボタンを表示パネルに表示させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エレベーター利用者が乗り場で行った認証処理に基づいて、乗りかご内の表示パネルで適切な行先階の表示が行われると共に、セキュリティ処理を行わない共有階を行先階として登録するためのデフォルト画面への切り替えが簡単にできるようになる。したがって、利用者の操作性や視認性を向上させた表示が可能になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態例によるエレベーターシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施の形態例によるエレベーターシステムの行先階登録装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施の形態例によるエレベーターシステムのセキュリティ装置の例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施の形態例による乗りかご内の表示パネル配置例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施の形態例による表示パネルの表示とその変化例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施の形態例による乗り場でのセキュリティ連動処理の例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施の形態例による乗りかご内でのセキュリティ連動処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の他の実施の形態例による表示パネルの表示とその変化例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)によるエレベーターシステムを、添付図面を参照して説明する。
【0013】
[エレベーターシステムの構成]
図1は、本例のエレベーターシステムの構成を示す。
本例のエレベーターシステムは、
図1に示すように、エレベーター制御装置10と、行先階登録装置20と、セキュリティ装置30とを有する。行先階登録装置20は乗りかごに設置される。また、
図1に示すエレベーター制御装置10の構成は、行先階と登録階の設定に関する構成のみを示し、乗りかごの走行制御などの他の構成は省略している。
【0014】
また、本例のエレベーターシステムは、特定の階がセキュリティ階として設定されており、セキュティ階は、許可された利用者(及びその利用者と同行した利用者)だけが該当する階の乗り降りが可能になっている。本例の場合、セキュリティ階は共有階以外の全ての階(複数の階)であり、それぞれの階ごとに個別に乗り降りが許可された利用者が設定されている。例えば、エントランス階、ロビー階、駐車場階などは、共有階として設定してされており、それ以外のテナントなどが入居する全ての階は、セキュティ階になっている。各セキュティ階は、それぞれの階のテナントの従業員が、その階での乗り降りが許可されたエレベーター利用者として登録されている。
【0015】
ここで、テナントが1つの階にだけ入居している場合には、そのテナントの従業員は、そのテナントが入居したセキュティ階と共有階だけの乗り降りが許可されたエレベーター利用者として登録される。一方、テナントによっては、1つのビル内の複数の階に入居している場合があり、そのようなテナントの従業員は、その複数のセキュティ階と共有階とでの乗り降りが許可されたエレベーター利用者として登録される。
また、ビル管理者などの特別な権限を有する利用者は、全てのセキュティ階の乗り降りが許可されたエレベーター利用者として登録される。
セキュティ階の乗り降りが登録されていないエレベーター利用者は、共有階のみ乗りかごへの乗り降りをすることができる。
【0016】
エレベーター制御装置10は、各階の乗場におけるかご呼ボタンの操作や、乗りかご内での行先階の登録操作に基づいて、巻き上げ機による乗りかごの走行(昇降)を制御する。但し、本例においては、後述するように、かご呼びや行先階の登録は自動で行われる場合もある。
【0017】
行先階登録装置20は、乗りかご内に配置され、乗りかごに設置された操作盤に配置された表示パネル41(
図4参照)における表示を制御する。また、行先階登録装置20は、表示パネル41にタッチした指などによる入力を検出してエレベーター制御装置10に指示を送る。
入力操作の検出は、入力検出センサ42により行われる。入力検出センサ42は、表示パネル41の表面に指などがタッチしたことを検出するが、表示パネル41の表面に指などの接近を検出する非接触操作を行うようにしてもよい。
【0018】
なお、本例における行先階は、エレベーターの乗りかごに乗車した利用者が降りる目的階であり、登録階は、その行先階としてエレベーター制御装置10に登録された階である。つまり、利用者は、乗りかご内の操作盤で目的階を入力して、目的階を設定する操作を行うことで、目的階がエレベーター制御装置10に登録階として登録される。すると、表示パネル41が登録階を表示し、乗りかごは登録階に停止する。但し、乗りかごは、乗場でのかご呼びなどで登録階以外に停止する場合もあり、また登録階は自動で設定される場合もある。
【0019】
行先階登録装置20の構成について説明すると、行先階登録装置20は、入力処理部21、入力判定部22、入力情報送信部23、行先階操作表示処理部24、行先階表示エリア更新部25、登録階表示処理部26、及び登録階表示エリア更新部27を備える。
【0020】
入力処理部21は、入力検出センサ42による表示パネル41のタッチ検出の情報を入力処理する。
入力判定部22は、入力処理部21で入力処理した検出状態の情報を取得して、表示パネル41のどの表示箇所(操作ボタンの表示箇所など)に指などがタッチしたかを判定する入力判定処理を行う。
入力情報送信部23は、入力判定部22で判定した入力操作に関する情報をエレベーター制御装置10に送信する入力情報送信処理を行う。
【0021】
行先階操作表示処理部24は、エレベーター制御装置10で設定した行先階の情報を受信し、行先階を階床順に表示させる行先階表示処理を行う。
行先階表示エリア更新部25は、表示パネル41の行先階表示エリア41aの表示を、行先階操作表示処理部24における処理に基づいて更新する。ここで、行先階表示エリアは、エレベーター制御装置の指示に行い更新可能とすることで、ビル毎のアレンジ設計を容易とする。
【0022】
登録階表示処理部26は、エレベーター制御装置10で設定した登録階の情報を受信し、登録階を階床順に表示させる登録階表示処理を行う。
登録階表示エリア更新部27は、表示パネル41の登録階表示エリア41bの表示を、登録階表示処理部26における処理に基づいて更新する。ここで、表示装置の構成によっては表示パネル41への表示ではなく、別表示装置、例えばかご内液晶装置表示や物理ボタン点灯などとしてもよい。
【0023】
エレベーター制御装置10は、乗り場解除階処理部11、行先階解除階処理部12、乗り場呼び自動登録/登録許可処理部13、行先呼び自動登録/登録許可処理部14、表示情報送信部15、及び行先階登録/キャンセル処理部16を備える。
乗り場解除階処理部11は、セキュリティ装置30の乗り場解除階送信部31から特定の階(セキュティ階)のセキュティ解除を示すセキュティ解除信号を受信する。このセキュティ解除信号には、行先階登録を行うためのセキュティ解除と、乗り場呼びのためのセキュティ解除が含まれる。
【0024】
乗り場解除階処理部11は、セキュティ解除信号を受信したとき、セキュティ解除信号で示されたセキュティ解除階の情報を、行先階解除階処理部12及び乗り場呼び自動登録/登録許可処理部13に供給する。
行先階解除階処理部12は、セキュティ解除階として指定された階をセキュティ解除する処理を行う。ここで、かご操作盤やエレベーター監視盤、遠隔制御装置などに、セキュリティ有効/無効スイッチがある場合は、スイッチを優先する。
【0025】
乗り場呼び自動登録/登録許可処理部13は、セキュティ解除階での乗り場呼びが必要な場合に、乗り場呼びの自動登録又は乗り場呼びの登録許可を行う。例えば、乗り階とセキュリティ解除階が一致した場合に、乗り場呼びの自動登録又は乗り場呼びの登録許可を行う。行先階解除階処理部12は、乗り場呼び自動登録/登録許可処理部13にて乗り場階の呼び登録が行われた際に、該当する階をセキュティ解除する処理を行う。
行先階解除階処理部12にてセキュティ解除した階(行先階及び呼び登録階)の情報は、行先呼び自動登録/登録許可処理部14に供給される。
【0026】
行先呼び自動登録/登録許可処理部14は、セキュティ解除した階の情報に基づいて、行先階及び呼び登録階の自動登録又は登録許可処理を行う。
行先呼び自動登録/登録許可処理部14における処理により、行先階及び呼び登録階の自動登録又は登録許可が行われると、その行先階及び呼び登録階の自動登録又は登録許可の情報が表示情報送信部15を介して、行先階登録装置20の行先階操作表示処理部24及び登録階表示処理部26に供給される。
【0027】
表示情報送信部15は、行先階操作表示部41aに用意された6個の各ボタン101,104、111、121に対して、エレベーターのサービス状況と、セキュリティ解除階の受信情報に応じて表示内容を指示する。例えば、セキュリティ解除階を既に受信済み、又は受信中の乗り階にエレベーターがサービスした場合、乗り階にエレベーターがサービスした時点で、セキュリティ解除階を各ボタンの表示内容として送信する。ここで、乗り階にエレベーターがサービスした時点を、乗り場呼び階とエレベーターかご位置が一致し、且つ戸開き開始した時点とすれば、利用者がかご内に乗車した時点では、かご内操作パネルに登録した階が表示されており、スムーズな利用シーンを提供できる。更に、かご内設置カメラで乗り場からの利用者乗車検出時に表示を切り替えることで、利用者が乗車しなかった場合の無駄登録を防止できる。
【0028】
また、かご内に別の利用者がいて、かご内カードリーダやかご内顔認証装置などのかご内セキュリティ装置を利用中の場合、かご内操作パネル前の利用者の操作を優先して、乗り場セキュリティ装置に対する処理、行先呼び自動登録/登録許可処理部14の動作を一時保留とすることで、乗り場とかご内の両方のセキュリティ装置を併用した場合でも、スムーズな利用シーンを提供できる。例えば、かご内利用者がかご内操作パネルを操作中に、乗り場からの登録を優先すると、かご内操作パネルの表示内容が突然変更されてしまい、かご内利用者は操作を中断せざるを得ない。よって、かご内セキュリティ装置の操作含む、かご内操作パネルが操作中の場合は、乗り場からの登録処理を一時保留とすることが望ましい。
【0029】
行先階登録/キャンセル処理部16は、行先階登録装置20の入力情報送信部23からの情報を受信して、乗りかごでの行先階の登録や取消の操作を判定する。判定した操作結果に基づいて登録又はキャンセルした階の情報は、表示情報送信部15が送信する情報に反映される。
【0030】
[行先階登録装置のハードウェア構成例]
図2は、行先階登録装置20をコンピュータで構成した場合のハードウェア構成例を示す。
コンピュータ装置で構成された行先階登録装置20は、バスにそれぞれ接続された、CPU(Central Processing Unit)20a、主記憶部20b、不揮発性ストレージ20c、ネットワークインタフェース20d、入力部20e、及び出力部20fを備える。
【0031】
CPU20aは、行先階登録装置20が行う機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを主記憶部20b又は不揮発性ストレージ20cから読み出して実行する演算処理部である。
CPU20aが主記憶部20b又は不揮発性ストレージ20cからプログラムコードを読み出して、主記憶部20bのワークエリアで演算処理を実行することで、主記憶部20bに様々な処理機能部が構成される。すなわち、主記憶部20bには、
図1に示す行先階操作表示処理部24や登録階表示処理部26などの各処理部が構成される。
【0032】
不揮発性ストレージ20cには、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどの大容量情報記憶媒体が用いられる。不揮発性ストレージ20cには、行先階登録装置20が持つ機能を実現するソフトウェアと、そのプログラムの実行で得られたデータ、並びに表示画面設定に必要なデータが記憶される。
【0033】
ネットワークインタフェース20dには、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられ、エレベーター制御装置10などの他の装置とのデータの送受信が行われる。
入力部20eは、入力検出センサ42の検出情報などの入力処理を行う。
出力部20fは、表示パネル41の行先階表示エリア41a及び登録階表示エリア41bに表示データを供給する。
【0034】
なお、行先階登録装置20を
図2に示すコンピュータで構成するのは一例であり、コンピュータ以外のその他の演算処理装置で構成してもよい。例えば、行先階登録装置20が行う機能の一部または全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアによって実現してもよい。
また、エレベーター制御装置10も、行先階登録装置20と同様のハードウェア構成のコンピュータ、あるいはその他の演算処理装置で構成される。
【0035】
[セキュリティ装置の例]
図3は、各階の乗り場60に設置されたセキュリティ装置30の構成例を示す。
すなわち、エレベーターの各階の乗り場60には、カードリーダ32又はカメラ33が接続されたセキュリティ装置30が設置されている。
図3には、乗り場60に停止した乗りかご50が示されている。乗りかご50内には、操作盤40やカードリーダ43が設置されている。なお、乗りかご50内にカードリーダ43を設置するか否かは任意であり、カードリーダ43を設置しない構成としてもよい。
【0036】
乗り場60に設置されるカードリーダ32は、エレベーター利用者が所持したIDカードから個別番号を読み取り、読み取った個別番号をセキュリティ装置30に供給する。このIDカードから読み取った個別番号は、エレベーター利用者ごとに登録された識別番号であり、識別番号ごとに利用が可能なセキュリティ解除階の情報が不図示のデータベースに登録されている。セキュリティ解除階は、1つの階だけが登録されている場合と、複数の階が登録されている場合とがある。
【0037】
カメラ33は、各階の乗り場60の利用者の顔を撮影し、撮影画像の顔認証処理を行って、利用者を特定する。そして、セキュリティ装置30は、カードリーダ32から個別番号を読み取った場合と同様に、顔認証した利用者に対して登録された個別番号をセキュリティ装置30に供給する。
セキュリティ装置30は、供給された個別番号に登録されたセキュリティ解除階の情報をデータベースから読み出し、読み出したセキュリティ解除階の情報を、乗り場解除階送信部31(
図1参照)からエレベーター制御装置10に送信する。
【0038】
[乗りかご内の表示パネルの配置例]
図4は、本例のエレベーターシステムが備える乗りかご50内に、表示パネル41を設置した例を示す。
図4は、乗りかご50のドア51の近傍を、乗りかご50の内部から見た図である。ドア51の左側及び右側には、ドア脇側板52及び53が配置される。ここで、ドア51の右側のドア脇側板53には、操作盤40が配置されている。
【0039】
操作盤40には、表示パネル41が配置されている。表示パネル41には、タッチセンサなどで構成された入力検出センサ42(
図1参照)が組み込まれている。
また、操作盤40の表示パネル41の下側には、カードリーダ43が配置されている。このカードリーダ43は、利用者が所持したカードを読み取って、セキュリティが設定された階床を行先階として登録する場合に利用される。但し、
図3に示す乗り場60側のカードリーダ32又はカメラ33で乗りかご50に乗車する前に認証を済ませている場合には、乗りかご50内のカードリーダ43でのカードの読み取りは不要である。
【0040】
表示パネル41は、液晶表示パネルや有機EL(organic electro-luminescence)パネルで構成され、ドア脇側板53の横幅に収まるサイズで縦長に配置されている。表示パネル41は、後述する表示例で説明するように文字や数字、各種図形を表示することが可能である。ここで、表示する内容は、携帯端末やパソコンなど遠隔から随時変更可能であり、入居テナントが変更となった場合にも容易に対応できる。
なお、入力検出センサ42としてタッチセンサを使用するのは一例であり、例えば表示パネル41の表面への指などの接近を検出する非接触センサを使用してもよい。
【0041】
また、
図4の例では、操作盤40として表示パネル41を設置した例を示しているが、例えばドア開やドア閉を指示するボタンや非常通報ボタンなどを表示パネル41の近傍に配置してもよい。あるいは、ドア開やドア閉を指示するボタンや非常通報ボタンを表示パネル41に表示するようにしてもよい。
【0042】
なお、ドア51の右側のドア脇側板53に操作盤40や表示パネル41を配置するのは一例であり、ドア51の左側のドア脇側板52に操作盤40や表示パネル41を配置してもよい。この場合、左右のいずれか一方のドア脇側板52又は53に、操作盤40や表示パネル41を配置してもよいし、左右の双方のドア脇側板52、53に、操作盤40や表示パネル41を配置するようにしてもよい。
また、操作盤40には、操作音や案内音声などを出力する不図示のスピーカが配置されている。
【0043】
[表示パネルの表示形態]
次に、表示パネル41の表示形態について、
図5を参照して説明する。
表示パネル41は、既に
図1で説明したように、行先階表示エリア41aと登録階表示エリア41bとを有する。
図5の表示M11,M12,M13,M14に示すように、行先階表示エリア41aは表示パネル41の右側の領域に配置され、登録階表示エリア41bは表示パネル41の左側の領域に配置される。登録階表示エリア41bは、縦1列(又は2列)で登録階の数値を表示可能な比較的幅が狭い領域になっており、残りの領域が全て行先階表示エリア41aになる。
なお、行先階表示エリア41aと登録階表示エリア41bのサイズは可変にしてもよい。
【0044】
本例の場合、行先階の入力操作を行う表示モードには、共有階選択モードと、解除階選択モードと、テンキー入力モードとが用意されている。なお、3つの表示モードを選択する処理については後述する。ここで、共有階選択モードと解除階選択モードは、同一画面構成であり、エレベーター制御装置10からの指示にて表示ボタンの内容を変更する構成とすることで、行先階登録装置側の処理負荷を低減することができ、従来システムにおいても安価に実現可能である。
【0045】
図5の左上に示す表示M11は、共有階選択モードにおける表示例である。この共有階選択モードでは、行先階表示エリア41aの中の共有階の階床を示す行先階の候補のボタンを直接表示して、そのボタンの操作で直接、行先階を設定することができる。ここでの共有階は、セキュリティ解除が必要とされない階である。
この共有階選択モードの表示M11は、乗り場のセキュリティ装置30で利用者の認証が行われない場合に表示される。並びに、表示M11は、乗り場のセキュリティ装置30で認証されたエレベーター利用者に登録されたセキュリティ解除階が「0階」の場合にも表示される。セキュリティ解除階が「0」とは、該当するエレベーター利用者に登録されたセキュリティ解除階が、現在の利用者が乗り込むセキュリティ解除階一つだけで、それ以外にセキュリティ解除階がない場合をいう。また、共有階もセキュリティ解除階として送信されているようなセキュリティ仕様においては、共有階を除いた階床カウント数となる。
【0046】
共有階選択モードでの表示M11では、行先階表示エリア41aには、ビルの共有階を示す行先階ボタン101と、画面切替ボタン102と、入力案内103とが表示される。
図5の左上に示す表示M11では、行先階ボタン101として、セキュリティ階ではない共有階(主要階)である、1階(エントランス階)、2階(ロビー階)、地下1階(第4駐車場)、地下2階(第3駐車場)、地下3階(第2駐車場)、及び地下4階(第1駐車場)のボタンのみが表示される。ここで、登録階表示は本操作パネル上であってもよいし、表示領域の都合上別表示装置であってもよい。
【0047】
これらの行先階ボタン101に利用者がタッチ操作した場合には、確定操作などを行うことなく直接、操作されたボタンに表示された階床が登録階として確定される。
行先階ボタン101にタッチ操作が行われると、タッチしている間、そのタッチ操作が検出された行先階のボタンが輝度の高い表示形態になり、タッチ操作を受け付けていることが示される。そして、このタッチ操作で登録階として確定すると、登録階表示エリア41bに該当する登録階の階床が表示される。
【0048】
画面切替ボタン102には、「一般階のご利用/To all floors」と日本語及び英語で表示されており、この画面切替ボタン102の入力操作により、テンキーなどのボタンを表示した階床入力モードの表示M14(
図5の右下)に切り替わる。
入力案内103には、「行き先階を入力してください」と日本語で操作を促す表示が行われると共に、「please select a destination floor.」と英語でも同様の表示が行われる。この入力案内103には、全てのモードで同じ表示が行われる。
【0049】
登録階表示エリア41bには、
図5の右上の表示M12に示すように、行先階として登録された階である登録階112が表示される。表示M12では、1つの登録階「35」だけが示されているが、登録階が複数ある場合には、登録階表示エリア41bに、登録階が縦に並べて一列に表示される。
図5の表示M12以外の表示M11,M13,M14の例で、登録階表示エリア41bに何も表示されていないのは、登録階がない状態、つまり行先階として登録された階がない状態を示す。
【0050】
登録階表示エリア41bに複数の登録階を表示する際には、実際のビルの階床の配列に基づいて、数値が小さい階床の登録階が下から順に昇順で表示される。登録階を並べた表示は、実際のビルの階床の配列に基づいているので、地下階については、下に行くほど階床の数値が大きくなる。登録階が多数あり、登録階表示エリア41bに一度に表示できない場合には、複数画面を切り替える処理や、表示した登録階をスクロールさせる処理などにより対処が可能である。
【0051】
乗りかごが各階に停止することで、登録階が少なくなったときには、登録階表示エリア41bには、残りの登録階が下から詰めて表示される。
但し、下側から詰めて表示を行うのは一例であり、例えばほぼ中央にまとめて登録階を表示したり、あるいは、上から詰めて登録階を表示したりしてもよい。
登録階表示エリア41bにおける表示は、共有階選択モード、解除階選択モード、及びテンキー入力モードのいずれの場合でも同じ形態で行われる。
【0052】
図5の右上の表示M12、並びに
図5の右の中央の表示M13は、解除階選択モードでの表示例である。
図5の右上の表示M12は、乗り場60のセキュリティ装置30で検出されたエレベーター利用者に登録されたセキュリティ解除階が1つの場合に表示される例である。
このセキュリティ解除階が1つの場合の解除階選択モードの表示M12は、該当するエレベーター利用者のセキュリティ解除階が「35階」のみであり、その1つのセキュリティ解除階「35階」が、登録階として自動登録された例を示す。
【0053】
したがって、行先階表示エリア41aには、「35階」の行先階ボタン111が表示され、しかも、その「35階」の行先階ボタン111は、既に選択済み(タッチ済み)に相当する点灯した形態(輝度が高い表示形態)で表示される。但し、選択済みに相当する輝度が高い表示形態は、この表示を開始してから所定時間経過後に、通常の消灯した状態に戻してもよい。
また、登録階として自動登録されるため、登録階表示エリア41bに、登録階「35」を示す登録階表示112が行われる。ここで、利用者に対するアクション表示である103は、行先階が既に登録済みのため、「行先階を選択してください」ではなく、別の表示内容、例えば「共有階へは主要階ボタンを選択してください」でも良い。
【0054】
また、解除階選択モードの表示M12では、行先階表示エリア41aの下側に、画面切替ボタン102,104が表示される。
画面切替ボタン102は、「一般階のご利用/To all floors」と日本語及び英語で表示され、この画面切替ボタン102の入力操作でテンキーなどのボタンを表示した階床入力モードの表示M14に切り替わる。
画面切替ボタン104は、主要階(共有階)ボタンを表示させるものであり、「主要階のご利用/To main floors」と日本語及び英語で表示され、このボタンの入力操作で主要階のボタンを表示した共有階選択モードの表示M11に切り替わる。
ここで、画面切替ボタン104は、エレベーター制御装置10から送信される情報であり、行先階登録装置20がローカルで処理する画面切替ボタン102とは異なる。そこで、画面切替ボタン104については、利用者の操作レスポンス向上を目的に、画面切り替わり時に優先してエレベーター制御装置10から行先階登録装置20へ情報送信することが好ましい。
【0055】
図5の右の中段の表示M13は、解除階選択モードでの別の表示形態であり、乗り場60のセキュリティ装置30で検出されたエレベーター利用者に登録されたセキュリティ解除階が複数ある場合に表示される例である。ここでの複数は、「2」以上で「5」以下である。「5」以下に制限したのは、行先階表示エリア41aに配置できるボタンの数に対応した数以下とするためである。ここで、例えば、利用頻度の高い、ロビー階1階を、ロビー階からの乗車以外では常に表示するのであれば、ロビー階以外からの乗車であれば制限個数上限を「4」にしてもよい。また、時間帯に応じて利用頻度の高い、例えば昼食時であれば食堂階を、表示してもよい。
【0056】
このセキュリティ解除階が複数ある場合の解除階選択モードの表示M12では、該当するエレベーター利用者のセキュリティ解除階が「20階」「21階」「22階」「23階」であり、表示M12は、この「20階」「21階」「22階」「23階」の行先階ボタン121を表示している。このようにセキュリティ解除階が複数ある場合には、自動登録が行われず、利用者が4個の行先階ボタン121のいずれかのタッチで、行先階の登録が行われる。タッチ時には、該当するボタンが点灯を示す表示形態になり、登録階表示エリア41bに登録階が表示される。ここで、画面切替ボタン102、104を操作パネルの端末側にてローカルなボタン選択検出・画面切替処理とすることで、操作・表示レスポンスの向上を図れ、更なる操作性の向上が図れる。すなわち、操作パネルの端末側に対して、主要階ボタン104を、ローカルボタン102と同様の処理であることを操作パネルの端末側に知らせることにより、操作レスポンスの向上が図れる。
また、この表示M13の場合にも、行先階表示エリア41aの下側に、画面切替ボタン102,104が表示される。
【0057】
図5の右下の表示M14は、テンキー入力モードでの表示例である。
テンキー入力モードでは行先階表示エリア41aがテンキー表示になり、利用者はこのテンキー入力モードにより、数値で階床を入力することができる。このテンキー入力モードの表示M14は、乗り場60のセキュリティ装置30で検出されたエレベーター利用者に登録されたセキュリティ解除階が所定数(ここでは「6」)を超えた場合と、他のモードで画面切替ボタン102の入力操作によりテンキー入力モードに切り替えられた場合に行われる。ここで、テンキー入力モードに切り替えられた場合には、行先階操作表示部41aに用意された6個の各ボタン101,104、111、121は、セキュリティ解除階ではなく、共有階の表示データに事前に切り替えておくことで、主要階ボタン104押下時に即座に共有階の表示を行える。更に、共有階の表示データに事前に切り替えを、再度カードをかざす、例えばセキュリティ装置からの受信信号が変化するまで保持することにより、セキュリティ解除信号を受信中であっても共有階を表示することができる。
【0058】
すなわち、テンキー入力モードでは、行先階表示エリア41aに、0,1,2,3,・・・,9の10個の数字ボタンと、地下を示す「B」のボタンからなる階床入力ボタン131と、登録ボタン132と、入力済階床表示箇所133と、取消ボタン134と、入力案内103と、画面切替ボタン104とが表示される。
【0059】
図5の表示M14では、入力済階床表示箇所133には何も表示されていないが、階床入力ボタン131のタッチがあると、タッチされた数字が表示される。
入力済階床表示箇所133には、階床入力ボタン131のタッで入力された数値や「B」が表示される。「B」のボタンに続いて数値のボタンが押された際には、「B1」のように地下階を示す表示が行われる。
【0060】
なお、2桁の数値の入力操作や、「B」に続いた数値の入力操作が行われた場合であっても、例えば、ビルに存在しない階などのエレベーターが停止しない階が入力されたとき、あるいはセキュリティ解除されていないセキュリティ階が入力されたときには、該当する操作が無効となって、入力された階床は、入力済階床表示箇所133に表示されない。
【0061】
登録ボタン132は、入力済階床表示箇所133に表示された階床を、登録階として確定させるボタンである。登録階として確定することで、入力済階床表示箇所133の表示が消え、登録階表示エリア41bに、確定した登録階が表示される。
取消ボタン134は、入力済階床表示箇所133に表示された階床を取り消す操作を行うためのボタンである。この取消ボタン134は、常時表示してもよいが、階床入力ボタン131の操作で入力済階床表示箇所133に階床の入力がある場合にだけ表示してもよい。
入力案内103と画面切替ボタン104は、他のモードでの表示と同じである。
【0062】
[セキュリティ装置に連動して行われる登録階の処理]
図6は、乗り場60に設置されたセキュリティ装置30での利用者認証に連動して行われる、乗りかご内の表示パネル41の表示と、乗り階(乗車階)でのかご呼びの処理を示すフローチャートである。
【0063】
まず、乗りかご内の表示パネル41は、デフォルト画面として、
図5に示す共有階選択モードの表示M11を行う。セキュリティ装置30での利用者認証が行われない状況では、この共有階選択モードでの表示M11が継続して行われる(ステップS11)。
このデフォルト画面(共有階選択モードでの表示)を行った状態で、エレベーター制御装置10は、いずれかの階の乗り場60に設置されたセキュリティ装置30から利用者認証によるセキュリティ解除信号を受信したか否かを判断する(ステップS12)。
【0064】
ステップS12で、利用者認証によるセキュリティ解除信号を受信した場合(ステップS12のYES)、エレベーター制御装置10は、セキュリティ解除信号で示されるセキュリティ解除階が、主要階(共有階)以外の階であるか否かを判断する(ステップS13)。
ステップS13で、主要階以外の階である場合(ステップS13のYES)、エレベーター制御装置10は、セキュリティ装置30で利用者認証した乗り場60の階(乗り階)がセキュリティ解除階に含まれるか否かを判断する(ステップS14)。
【0065】
ステップS14で、乗り階がセキュリティ解除階に含まれる場合(ステップS14のYES)、エレベーター制御装置10は、このときの乗り階の乗り場でのかご呼びの設定が、自動登録か否かを判断する(ステップS15)。
ステップS15で、乗り階の乗り場でのかご呼びの設定が自動登録である場合(ステップS15のYES)、エレベーター制御装置10は、このときの乗り階の乗り場60でのかご呼びを自動登録する(ステップS16)。ここで、かご呼びボタン、すなわち乗り場設置ボタンを点灯させ利用者への自動登録認識を向上させても良いし、セキュリティ面を重視し消灯としても良い。
また、ステップS15で、乗り階の乗り場でのかご呼びの設定が自動登録でない場合(ステップS15のNO)、エレベーター制御装置10は、このときの乗り階の乗り場60でのかご呼びの登録を許可する(ステップS17)。このかご呼びの登録許可で、該当する階の乗り場60のかご呼びボタン(不図示)の操作があると、かご呼びが登録される。ここで、かご呼びボタン、すなわち乗り場設置ボタンを点滅させ、登録を促しても良い。
【0066】
また、ステップS12でセキュリティ解除信号を受信しない場合(ステップS12のNO)と、ステップS13で主要階以外である場合(ステップS13のNO)と、ステップS14で乗り階がセキュリティ解除階に含まれない場合(ステップS14のNO)には、表示パネル41がステップS11でのデフォルト画面表示(共有階選択モードでの表示)を継続して行う。
【0067】
図7は、ステップS16での自動登録、又はステップS17でのかご呼び登録許可後の登録があった後に、乗りかごが乗り階に到着してからの処理を示すフローチャートである。
まず、かご呼びがあった階(セキュリティ解除階)に乗りかごが到着し、戸開きを開始して、エレベーター利用者が乗りかごへの乗込みを開始する(ステップS21)。
ここで、エレベーター制御装置10は、セキュリティ装置30から供給された乗り階及び主要階(共有階)以外のセキュリティ解除階の数が、「0」又は第1の所定数以下か否かを判断する(ステップS22)。ここでの第1の所定数は「1」とする。
【0068】
ステップS22で、乗り階及び主要階(共有階)以外のセキュリティ解除階の数が「0」の場合、つまり乗り階以外のセキュリティ解除階がない場合(ステップS22の「0」)の場合、エレベーター制御装置10は、乗りかご内の表示パネル41の表示として、共有階選択モードでの主要階のボタンの表示M11とする(ステップS31)。例えば、入居階が1階床の場合、昼食時や退勤時には、入居階から外部に面したロビー階や駐車場階などの共有階に移動するため、共有階を表示することで利便性が良い。
【0069】
また、ステップS22で、乗り階及び主要階(共有階)以外のセキュリティ解除階の数が「0」でなく、第1の所定数(ここでは「1」)以下である場合(ステップS22の「第1の所定数以下」)の場合、エレベーター制御装置10の行先呼び自動登録/登録許可処理部14は、その第1の所定数のセキュリティ解除階を、行先の登録階に自動登録する(ステップS23)。このときの乗りかご内の表示パネル41の表示は、表示情報送信部15からの表示情報に基づいて、自動登録ありの解除階選択モードでの表示(例えば
図5の右上の表示M12)とする。ここで、乗り場から自動登録された場合であっても、かご内で再度カードをかざし、別の階、例えば他の入居階や共有階を登録した場合は、自動登録された階を自動キャンセルすることが、無駄停止を抑制することでき好ましい。
【0070】
また、ステップS22で、乗り階及び主要階(共有階)以外のセキュリティ解除階の数が第1の所定数である「1」以下でない場合(ステップS22のNO)の場合、エレベーター制御装置10は、乗り階及び主要階(共有階)以外のセキュリティ解除階の数が第2の所定数以下か否かを判断する(ステップS24)。ここでの第2の所定数は「5」とする。
【0071】
ステップS24で、乗り階及び主要階(共有階)以外のセキュリティ解除階の数が第2の所定数「5」以下であるとき(ステップS24のYES)、エレベーター制御装置10は、表示情報送信部15からの表示情報により、乗りかご内の表示パネル41の行先階表示エリア41aに主要階以外のセキュリティ解除階のボタンを表示させる(ステップS25)。このときの表示パネル41の表示は、例えば
図5の右の中段の表示M13のような解除階選択モードでの表示とする。
【0072】
さらに、ステップS24で、乗り階及び主要階(共有階)以外のセキュリティ解除階の数が第2の所定数「5」以下でないとき(ステップS24のNO)、エレベーター制御装置10は、表示情報送信部15からの表示情報により、乗りかご内の表示パネル41の行先階表示エリア41aにテンキーモードでの入力画面を表示させる(ステップS26)。このときの表示パネル41の行先階表示エリア41aに表示は、例えば
図5の右下の表示M14のようなテンキーモードでの表示とする。
【0073】
そして、ステップS23における主要階以外の解除階の自動登録ありの解除階選択モードの表示と、ステップS25における自動登録なしの解除階選択モードでの表示と、ステップS26でのテンキーモードでの表示の際には、エレベーター制御装置10は、それぞれの表示画面に、主要階表示に切り替えるための切り替えボタン104を表示させる(ステップS27)。
【0074】
すなわち、
図5に示すように、自動登録ありの解除階選択モードでの表示M12を行う際に、行先階表示エリア41aに切り替えボタン104を表示させる。同様に、エレベーター制御装置10は、自動登録なしの解除階選択モードでの表示M13を行う際に、行先階表示エリア41aに切り替えボタン104を表示させ、テンキーモードでの表示M14を行う際に、行先階表示エリア41aに切り替えボタン104を表示させる。
【0075】
そして、エレベーター制御装置10は、行先階登録装置20からの入力情報で、主要階表示の切り替えボタン104の押下(タッチ操作)があるか否かを判断する(ステップS28)。
ステップS28で切り替えボタン104の押下がある場合(ステップS28のYES)、エレベーター制御装置10は、行先階表示エリア41aの表示を、共有階選択モードでの主要階のボタンの表示M11に自動復帰させる(ステップS27)。すなわち、かご内での利用時はデフォルト画面が主要階であったが、乗り場からの利用時はデフォルト画面がセキュリティ解除階となるため、主要階ボタン104を設けることでフレキシブルな移動階床登録が実現でき、利用者に寄り添った操作提供を行える。仮に主要階ボタン104を設けない場合、後述するように所定時間経過後に共有階画面への表示切替となり、利用者の利便性は低下する。
【0076】
また、ステップS28で切り替えボタン104の押下がない場合(ステップS28のNO)、エレベーター制御装置10は、それぞれのモードでの表示を開始してから所定時間経過後に、エレベーター制御装置10は、行先階表示エリア41aの表示を、共有階選択モードでの主要階のボタンの表示M11とする(ステップS30)。また、かご内カメラなどで利用者の乗り場からの乗車検出後、数秒以内とすることで、更なるスムーズな利用シーンの提供を図れる。
ここでの所定時間は、例えば10秒程度の時間として、乗りかごに乗車した利用者が各モードでの操作を行うのに十分な時間とする。あるいは、所定時間は、最後に利用者の入力操作を検出してからの経過時間としてもよい。
【0077】
以上説明したように、本例のエレベーターシステムによると、乗り場60で認証した利用者に登録されたセキュリティ解除階に基づいて、乗りかご内の表示パネルで適切な行先階の表示が行われると共に、セキュリティ処理を行わない共有階を行先階として登録するためのデフォルト画面(共有階画面)への切り替えを簡単に行うことができる。したがって、利用者の操作性や視認性を向上させた表示が可能になる。
【0078】
この場合、登録許可した行先階の個数が所定数(
図5の例では5)を超えるとき、乗りかご内の表示パネル40の行先階表示エリア41aは、行先階を登録するためのテンキーモードでの表示M14とすることで、登録許可した行先階の入力と共有階の入力のいずれも簡単に行うことができる。テンキーモードへの移行時に、共有階情報を端末側へ送信することで、端末側は事前に共有階ボタン表示の情報101を受信でき、主要階ボタン104押下時も即座に共有階ボタン表示を行える。また、所定数の情報も階床別に設定可能とすることで、乗り階別に利用者に寄り添う表示提供が行える。
【0079】
また、乗りかご内の表示パネル40の行先階表示エリア41aは、自動登録した行先階又は登録許可した行先階を表示した状態から所定時間が経過したとき、デフォルト画面としての共有階表示を行うことで、共有階の入力ができる状態に自動復帰するので、共有階の登録が切り替え操作を行う必要がない。
【0080】
また、セキュリティ装置は、乗り場に設置されたカードリーダで読み取った情報又はカメラで顔認証した結果に基づいて、セキュリティ解除階を判断することで、乗り場での認証処理を適切に行えるようになる。但し、かご内利用者がかご内セキュリティ装置含むかご内操作パネル利用中であれば、乗り場からの自動登録は行うが表示はかご内利用者操作を優先することで、乗り場・かご内セキュリティ併用時の利便性向上を図れる。
【0081】
[変形例]
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、各図に示した表示例についても、好適な例を示したものであり、これらの例に限定されるものではない。
例えば、上述した実施の形態例では、デフォルト画面では主要階のボタンを表示するようにしたが、テンキー表示が行われる画面をデフォルト画面にしてもよい。このいずれをデフォルト画面にするいかは、乗りかごの停止階や時間帯などで変化させてもよい。
更に、テンキー表示画面の所定時間表示が継続した場合には端末側処理異常とみなしデフォルト画面へ表示切替を行ってもよいし、セキュリティ解除階画面表示が所定時間表示が継続した場合にはセキュリティ装置異常とみなしデフォルト画面へ表示切替を行ってもよい。ここで、表示切替を行わずエラー番号の表示や遠隔発報などを行ってもよい。
【0082】
また、自動登録ありの解除階選択モードでの表示M12や、自動登録なしの解除階選択モードでの表示M13を行う際に、セキュリティ解除が不要な主要階の一部の階のボタンを同時に表示させてもよい。
すなわち、
図8に示すように、表示パネル40は、自動登録ありの解除階選択モードでの表示M12として、自動登録された行先階ボタン111の他に、1階(エントランス階)ボタン112を表示する。
また
図8に示すように、表示パネル40は、自動登録なしの解除階選択モードでの表示M13として、セキュリティ解除された階床の行先階ボタン121の他に、1階(エントランス階)ボタン122を表示する。
図8のその他の表示は、
図5で説明した表示と同じである。
【0083】
この
図8に示す表示を行うことで、表示された主要階(エントランス階)については、切り替えボタン104を押下することなく、直ちに登録でき、操作性がより向上する。
なお、エントランス階を配置するのは一例であり、例えばエントランス階の他に、ロビー階などの利用頻度が高い階のボタンを同時に表示するようにしてもよい。
また、エントランス階などの主要階のボタンを同時する処理を、時間帯などに基づいて行うようにしてもよい。例えば、夕方などのエントランス階を登録階とすることが多く発生する時間帯のみ、
図8に示す表示を行い、それ以外の時間帯は
図5に示す表示としてもよい。
【0084】
また、上述した実施の形態例では、タッチパネルで構成された表示パネルでのタッチ検出で利用者の操作を受け付けるようにしたが、表示パネルに接近した指などの検出による非接触操作で、利用者の操作を受け付けるようにしてもよい。あるいは、表示パネルでのタッチ検出と、表示パネルに接近した指などの検出による非接触検出との双方を行うようにしてもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態例では、乗り場に設置されたセキュリティ装置30での認証処理に基づいて処理を行うようにした。これに対して、例えば乗りかご内に設置したカードリーダ43(
図4)で利用者認証を行った場合にも、同様の処理を行うようにしてもよい。
【0086】
また、
図1や
図2に示す構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、
図6及び
図7に示すフローチャートに示す処理の流れについても一例であり、処理結果が同じであれば、一部の処理順序の変更や、複数の処理の同時実行を行うようにしてもよい。
【0087】
また、本実施の形態例で説明したエレベーター制御装置10や行先階登録装置20をコンピュータなどの情報処理装置で構成した場合に、各処理機能を実現するプログラムについては、コンピュータ装置内の不揮発性ストレージやメモリに用意する他に、外部のメモリ、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置いて、転送してもよい。
【符号の説明】
【0088】
10…エレベーター制御装置、11…乗り場解除階処理部、12…行先階解除階処理部、13…乗り場呼び自動登録/登録許可処理部、14…行先呼び自動登録/登録許可処理部、15…表示情報送信部、16…行先階登録/キャンセル処理部、20…行先階登録装置、20a…CPU、20b…主記憶部、20c…不揮発性ストレージ、20d…ネットワークインタフェース、20e…入力部、20f…出力部、21…入力処理部、22…入力判定部、23…入力情報送信部、24…行先階操作表示処理部、25…行先階表示エリア更新部、26…登録階表示処理部、27…登録階表示エリア更新部、30…セキュリティ装置、31…乗り場解除階送信部、32…カードリーダ、33…カメラ、40…操作盤、41…表示パネル、41a…行先階表示エリア、41b…登録階表示エリア、42…入力検出センサ、43…カードリーダ、51…ドア、52,53…ドア脇側板、60…乗り場、101…行先階ボタン、102…画面切替ボタン、103…入力案内、104…画面切替ボタン、111…行先階ボタン、112…登録階表示、121…行先階ボタン、131…階床入力ボタン、132…登録ボタン、133…入力済階床表示箇所、134…取消ボタン