(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157614
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】窓ロック装置
(51)【国際特許分類】
E05C 1/04 20060101AFI20241031BHJP
E05B 65/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E05C1/04 G
E05C1/04 B
E05B65/08 Y
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072053
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】505255909
【氏名又は名称】サンユウテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110179
【弁理士】
【氏名又は名称】光田 敦
(72)【発明者】
【氏名】岩川 光治
(57)【要約】
【課題】既設の引き違い窓や片引き窓に、容易に強度をもって取り付けることができ、構成が簡単で安価であり、簡単な操作で確実な施錠が可能な窓ロック装置を実現する。
【解決手段】窓ロック装置6は、掛け金具7と、掛け金具7が係脱可能な受け金具8とを備え、掛け金具7は、ケース16と、ケース16に装着された操作係止体17と、操作係止体17を受け金具8側に付勢するバネ18とを備え、操作係止体17の係止杆36、操作杆37及びガイド杆35は、それぞれケース16の内側ガイド孔27、外側上部ガイド孔29及び外側下部ガイド孔30に摺動可能に支持されており、掛け金具7は、引き違い窓1の内障子2の縦枠11の側面14の上端部に固定され、帯状の受け金具8は、係止杆36が係脱可能な係合孔9、10を有し、外障子3の上枠12の内面19沿って固定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掛け金具と、掛け金具が係脱可能な受け金具とを備えた、窓を施錠する窓ロック装置であって、
掛け金具は、ケースと、ケースに装着された操作係止体と、操作係止体を受け金具側に向けて付勢するバネと、を備えており、
ケースの内壁には内側ガイド孔が形成されており、ケースの外壁には上部の位置及び下部の位置に、それぞれ外側上部ガイド孔及び外側下部ガイド孔が形成されており、
操作係止体は、係止杆、ガイド杆、操作杆及び結合杆を一体で有し、係止杆及びガイド杆は、それぞれ上部ガイド孔及び下部ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、
結合杆は、係止杆、ガイド杆及び操作杆を結合するものであり、
操作杆は、内側ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、内側ガイド孔からケース外に延び出た端部には、操作部が設けられており、
受け金具は、帯状に形成され、その少なくとも一端側には係止杆の外端部が係脱可能な係合孔が形成されており、
掛け金具は、引き違い窓の内障子の縦枠の上端部に取り付けられ、受け金具は、引き違い窓の外障子の上枠に取り付けられる構成であることを特徴とする窓ロック装置。
【請求項2】
ケースの外壁は、内壁より横幅が長く形成されており、外壁における内壁より横幅が長く形成されている部分を、内障子の縦枠の外面に当接して固定可能な構成であることを特徴とする請求項1に記載の窓ロック装置。
【請求項3】
ケースに補強板が固定されており、該補強板は、内壁に沿って設けられるとともに、内障子の縦枠の内面に当接して固定可能な構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窓ロック装置。
【請求項4】
掛け金具と、掛け金具が係脱可能な受け金具とを備えた、窓を施錠する窓ロック装置であって、
掛け金具は、ケースと、ケースに装着された操作係止体と、操作係止体を受け金具側に向けて付勢するバネと、を備えており、
ケースの内壁には内側ガイド孔が形成されており、ケースの外壁には上部の位置及び下部の位置に、それぞれ外側上部ガイド孔及び外側下部ガイド孔が形成されており、
操作係止体は、係止杆、ガイド杆、操作杆及び結合杆を一体で有し、係止杆及びガイド杆は、それぞれ上部ガイド孔及び下部ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、
結合杆は、係止杆、ガイド杆及び操作杆を結合するものであり、
操作杆は、内側ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、内側ガイド孔からケース外に延び出た端部には、操作部が設けられており、
受け金具は、帯状に形成され、その少なくとも一端側には係止杆の外端部が係脱可能な係合孔が形成されており、
掛け金具は、片引き窓における建物の開口枠を構成する縦枠の上端部に取り付けられ、受け金具は、片引き窓の片引き障子の上枠に取り付けられる構成であることを特徴とする窓ロック装置。
【請求項5】
ケースの外壁は、内壁より横幅が長く形成されており、外壁における内壁より横幅が長く形成されている部分を、片引き窓における建物の開口枠を構成する縦枠の外面に当接して固定可能な構成であることを特徴とする請求項4に記載の窓ロック装置。
【請求項6】
ケースに補強板が固定されており、該補強板は、内壁に沿って設けられるとともに、片引き窓における建物の開口枠を構成する縦枠の内面に当接して固定可能な構成であることを特徴とする請求項4又は5に記載の窓ロック装置。
【請求項7】
ケースは、板金材を板金プレス加工して形成された本体と蓋から成り、本体に蓋を組み付けて一体として成る構成であることを特徴とする請求項1、2、4及び5のいずれかに記載の窓ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児が勝手に窓の引き違い窓を開いて、窓から乗り出して転落する事故を防止するための幼児転落防止用の窓ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、幼児がマンションのロックを外して窓の引き違い窓を勝手に開いて、窓から乗り出して転落する痛ましい事故が発生している。
【0003】
従来、窓をロックする手段として、引き違い窓の窓枠内面に付設した受け金具に、三日月形の回転掛け金具を係合する構成のクレセント錠は周知である。
【0004】
クレセント錠において、受金具を帯状とし、長手方向に間隔をおいて2か所に被係止爪を設けた構成とし、この受金具を外側窓サッシの縦枠部に取り付け、窓側ガラスの内側に沿って外側窓サッシの縦サッシ枠部から延在されるように設けた構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
幼児が引き違い窓を勝手に開けないように引き違い窓をロックする手段として、従来周知であるクレセント錠がある程度有効である。
【0007】
しかしながら、幼児は大人が考えている以上、創造力が豊かであり、いろいろと工夫する能力を備えているものであり、室内にある椅子等を利用し、クレセント錠に手を掛けて操作し、開錠することも想定する必要がある。
【0008】
そのために、引き違い窓にクレセント錠を取り付けても、さらに引き違い窓をロックする装置が必要である。そのために、補助的なクレセント錠をさらに設けてもよいが、同じ構成では、意味がない。
【0009】
幼児が引き違い窓を勝手に開けないように、後付けで補助的にするロック装置としては、少なくとも、次の要件が必要である。
(1)幼児が椅子などを利用しても、ロック装置の手に届かない位置に、簡単かつ強度をもって、取り付け可能な構成である。
(2)補助的に取り付けられるロック装置として、構造が簡単で、容易に製作でき、低価格で提供、取得できる。
(3)既存の引き違い戸に、誰でも、容易に後付けで簡単に折り付け可能な構成である。
(4)幼児を除く利用者が簡単に操作でき、自動的にロックすることが可能な構成である。
【0010】
ところで、前記特許文献1に示す従来のクレセント錠は、受金具を帯状とし、長手方向に間隔をおいて2か所に被係止爪を設ける構成とすることで、引き戸を開いて維持する開き具合の調整できるが、基本的には、従来のクレセント錠の改良に過ぎない。
【0011】
帯状の受金具を、外側窓サッシのガラスの内側に沿うように、外側窓サッシの縦サッシ枠部から延在されるように設けた構成であるために、次のような点で、課題は残る。
(1)帯状の受金具を外側窓サッシのガラス自体の内側に取り付けたので、室内側から見て、見栄えが悪い。
(2)帯状の受金具を外側窓サッシのガラスの内側に設けると、その取り付けが低い位置となるので、幼児が椅子などを利用して手を掛けて解除する可能性がある。
(3)受金具を外側窓サッシの縦サッシ枠部に固定した構成であると、受金具自体及びその取り付けの強度の点からも必ずしも好ましくない。
【0012】
本発明は、上記従来の問題を解決し、マンション等の建物の窓において、幼児の手に届かない位置に、後付けで簡単に装着可能な簡単な構造で、安価に製造し提供可能な窓ロック装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するために、掛け金具と、掛け金具が係脱可能な受け金具とを備えた、窓を施錠する窓ロック装置であって、掛け金具は、ケースと、ケースに装着された操作係止体と、操作係止体を受け金具側に向けて付勢するバネと、を備えており、ケースの内壁には内側ガイド孔が形成されており、ケースの外壁には上部の位置及び下部の位置に、それぞれ外側上部ガイド孔及び外側下部ガイド孔が形成されており、操作係止体は、係止杆、ガイド杆、操作杆及び結合杆を一体で有し、係止杆及びガイド杆は、それぞれ上部ガイド孔及び下部ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、結合杆は、係止杆、ガイド杆及び操作杆を結合するものであり、操作杆は、内側ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、内側ガイド孔からケース外に延び出た端部には、操作部が設けられており、受け金具は、帯状に形成され、その少なくとも一端側には係止杆の外端部が係脱可能な係合孔が形成されており、掛け金具は、引き違い窓の内障子の縦枠の上端部に取り付けられ、受け金具は、引き違い窓の外障子の上枠に取り付けられる構成であることを特徴とする窓ロック装置を提供する。
【0014】
ケースの外壁は、内壁より横幅が長く形成されており、外壁における内壁より横幅が長く形成されている部分を、内障子の縦枠の外面に当接して固定可能な構成としてもよい。
【0015】
ケースに補強板が固定されており、該補強板は、内壁に沿って設けられるとともに、内障子の縦枠の内面に当接して固定可能な構成としてもよい。
【0016】
本発明は上記課題を解決するために、掛け金具と、掛け金具が係脱可能な受け金具とを備えた、窓を施錠する窓ロック装置であって、掛け金具は、ケースと、ケースに装着された操作係止体と、操作係止体を受け金具側に向けて付勢するバネと、を備えており、ケースの内壁には内側ガイド孔が形成されており、ケースの外壁には上部の位置及び下部の位置に、それぞれ外側上部ガイド孔及び外側下部ガイド孔が形成されており、操作係止体は、係止杆、ガイド杆、操作杆及び結合杆を一体で有し、係止杆及びガイド杆は、それぞれ上部ガイド孔及び下部ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、結合杆は、係止杆、ガイド杆及び操作杆を結合するものであり、操作杆は、内側ガイド孔に挿通されてケースに摺動可能に支持されており、内側ガイド孔からケース外に延び出た端部には、操作部が設けられており、受け金具は、帯状に形成され、その少なくとも一端側には係止杆の外端部が係脱可能な係合孔が形成されており、掛け金具は、片引き窓における建物の開口枠を構成する縦枠の上端部に取り付けられ、受け金具は、片引き窓の片引き障子の上枠に取り付けられる構成であることを特徴とする窓ロック装置を提供する。
【0017】
ケースの外壁は、内壁より横幅が長く形成されており、外壁における内壁より横幅が長く形成されている部分を、片引き窓における建物の開口枠を構成する縦枠の外面に当接して固定可能な構成としてもよい。
【0018】
ケースに補強板が固定されており、該補強板は、内壁に沿って設けられるとともに、片引き窓における建物の開口枠を構成する縦枠の内面に当接して固定可能な構成としてもよい。
【0019】
ケースは、板金材を板金プレス加工して形成された本体と蓋から成り、本体に蓋を組み付けて一体として成る構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る窓ロック装置によれば、次のような効果が生じる。
(1)幼児が椅子などを利用しても、窓の手に届かない位置に取り付けられる構成である。
(2)補助的に取り付けられる窓ロック装置として、構造が簡単で、部品点数が少なく、容易に製作でき、低価格で提供、取得できる。
(3)既存の窓や戸に、誰でも、後付けで、簡単に、強固に装着可能な構成である。
(4)幼児を除く利用者が簡単に操作でき、自動的にロックすることが可能な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は、本発明に係る窓ロック装置の実施例1の構成を説明する斜視図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図2】上記実施例1の側面透視図であり(a)は施錠状態を示し、(b)は解錠状態を示す。
【
図3】(a)、(b)は、それぞれ上記実施例1の係止操作装置における掛け金具のケースと操作係止体を示す斜視図であり、(c)は本発明に係る窓ロック装置の実施例1の変形例を示す斜視図である。
【
図4】上記実施例1の係止操作装置における掛け金具のケースと操作係止体の製作工程の一例を説明する図であり、(a)、(b)は、それぞれケースの本体のブランク(展開図で示す部材)及び斜視図を示し、(c)、(d)は、それぞれケースの蓋のブランク及び斜視図を示し、(e)は操作係止体の側面図である。
【
図5】本発明に係る窓ロック装置の実施例1の別の利用態様として、片引き窓に適用した構成を説明する図であり、(a)、(b)は、それぞれ片引き窓を閉じた状態と開いた状態を示す室内側から見た正面図であり、(c)、(d)は、それぞれ窓ロック装置を片引き窓に取り付けた状態を、要部を拡大して示す正面図及び垂直断面図である。
【
図6】本発明に係る窓ロック装置の実施例2を説明する製作工程のブランク等を示す図であり、(a)、(b)は、それぞれ掛け金具のケースの本体及び蓋のブランクを示す図であり、(c)、(d)は操作杆の正面図と側面図を示す図である。
【
図7】上記実施例2を説明する図であり、(a)、(b)はそれぞれ掛け金具のケースの蓋及び本体の斜視図を説明する図であり、(c)は操作係止杆の斜視図である。
【
図8】上記実施例2を説明する図であり、(a)、(b)はそれぞれ掛け金具の構成を、斜め外側及び斜め内側から目視した斜視図であり、(c)は実施例2の変形例を説明する図である。
【
図9】上記実施例2の作用を説明する図であり、(a)は錠止状態を示し、(b)は解錠状態を示す側面透視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る引き違い窓のロック装置を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて図面を参照して、以下に説明する。
【実施例0023】
明細書、図面及び特許請求の範囲に記載の本発明では、建物の窓の室内側から見て、外側を外側又は外面側と言い、建物の窓の内側を内側又は内面側と言い、左右側(例えば、引き違い窓の引き違い障子を開閉する方向)、を左右方向、横方向、側方又は側面側と言う。
【0024】
(実施例1)
本発明では、障子は、引き違い窓、片引き窓、引き違い戸、片引き戸等において、水平に移動して開閉可能な、ガラス製、樹脂製又は木製等の窓体や戸を言う。引き違い窓1は、
図1に示すように、右側にある内障子2と左側にある外障子3を備えている。
【0025】
本実施例1は、本発明に係る窓ロック装置を、主に引き違い窓(「引き違い戸」も含むものとする)1に適用する構成で説明する。また、追って本発明に係る窓ロック装置の別の利用例として、片引き窓(「片引き戸」も含むものとする)に適用する構成を説明する。
【0026】
図1~
図4は、本発明に係る窓ロック装置6を引き違い窓1に適用した実施例1を説明する図である。図中、右側にある内障子2(内側の障子)と、左側にある外障子3(外側の障子)は、相対的に引き違い可能な構成となっており、相対的に引き違いすることで開閉可能である。
【0027】
窓ロック装置6は、このような内障子2と外障子3を備え、引き違いすることによって開閉される引き違い窓1に取り付けられて、解錠及び施錠に供せられる。
【0028】
窓ロック装置6は、
図1及び
図2に示すように、掛け金具7と受け金具8を含む。掛け金具7は、内障子2の引き違い側の縦枠11の側面14の上端部に固定される。
【0029】
受け金具8は、帯材から成り、外障子3の上枠12の内面19に、上枠12に沿って長手方向に引き違い側から他方側に延びるように、固定されている。受け金具8の引き違い側の端部13は、引き違い窓1を閉じた状態で、室内側から正面視で、内障子2の引き違い側の縦枠11の側面14の位置と略同じとする(
図1参照)。
【0030】
掛け金具7は、
図1、
図2、
図3(a)、(c)に示すように、ケース16(
図1、
図3(c)では二点鎖線で示す。)と、操作係止体17と、バネ18とを備えている。
【0031】
ケース16は、厚さが1~2mm程度の鋼板等のような板金材を、板金プレス加工して形成するか、或いは樹脂材を成形して形成してもよい。本実施例1では、ケース16は、板金材を、板金プレス加工して形成する構成で説明する。
【0032】
ケース16は、
図1、
図2、
図3(a)、(c)に示すように、矩形の箱から成り、内壁21、外壁22、左側壁23、右側壁24、頂壁25及び底壁26を備えている(
図3(a)参照)。内壁21と外壁22には、それぞれガイド孔が形成されている。
【0033】
具体的には、ケース16の外壁22の上下に、それぞれ外側上部ガイド孔29と外側下部ガイド孔30が形成されており、ケース16の内壁21の上下略中間の位置に、内側ガイド孔27が形成されている。
【0034】
操作係止体17は、鋼材等の金属材又は樹脂材から製作する。操作係止体17は、
図3(b)に示すように、上方の係止杆36と、下方のガイド杆35と、中間位置の操作杆37と、結合杆38とを一体で備えている。結合杆38は、係止杆36、操作杆37及びガイド杆35を一体に結合するように、垂直方向に形成されている。
【0035】
係止杆36は、全体的に-字形(水平直線形)に形成されている。操作杆37は、その内端側が下方に向けて折り曲げられ鉤形の操作部39が形成されており、全体的に略┐字形に形成されている。
【0036】
操作係止体17は、ケース16に次のように装着されている。即ち、
図1及び
図2に示すように、操作係止体17の大部分は、ケース16内に収められている。そして、操作杆37において、結合杆38とケース16の内壁21の間の外周に、バネ18(圧縮コイルバネ)が巻装されている。
【0037】
これによって、おり、係止杆36及びガイド杆35の外端側が、外側上部ガイド孔29及び外側下部ガイド孔30から外壁22の外方に向けて突出するように、常時、操作係止体17が外側に向けて付勢されている(
図1、
図2(a)参照)。
【0038】
なお、付勢手段としては、本実施例1にとどまらず、操作係止体17を外側に付勢するバネであれば、他の構成としてもよい。例えば、図示はしないが、操作係止体17とケース16の外壁22の間に、引っ張りバネを装着した構成としてもよい。
【0039】
掛け金具7は、内障子2の縦枠11の側面14の上端部に固定されるが、この固定は、ケース16の右側壁24を、縦枠11の側面14に接着剤又はネジ止め等によって行われる。或いは、後記する製作工程において、
図4(b)に示すようなケース16の本体が製作された段階で、その右側壁24を、ケース16の内側から縦枠11の側面14にネジ止め等してもよい。
【0040】
操作杆37は、
図1及び
図2に示すように、ケース16の内側ガイド孔27に挿通され、内外方向に水平に摺動可能なように支持されている。そして、ガイド杆35は、その外端部側が、ケース16の外側下部ガイド孔30から、常時、少なくとも僅かでも突出するように、装着されている。
【0041】
操作杆37の内端側には、前記したとおり、鉤状の操作部39が形成されている。この操作部39は、解錠時及び施錠時において、常時、ケース16の内壁21から内側(室内側)に突出するように形成されている。
【0042】
なお、操作部は、変形例として
図3(c)に示すように、直線形の操作杆37の内側端部に、円盤状で摘み形の操作部40を固定した構成としてもよい。これは、直線形の操作杆37を内側ガイド孔27に挿通してから、その外端に摘み形の操作部40を固定(例えば、螺着)して形成すればよい。
【0043】
受け金具8は、アルミ等の金属材又はプラスチック材から形成され薄板状の帯材から成り、
図1、
図3(c)に示すように、外障子3の上枠12の内面19に固定される。受け金具8は、その厚さは、引き違い窓1を開閉、即ち、外障子3を内障子2に対して開いてもつっかからない(接触しない)ように、外障子3の上枠12と内障子2の上枠15の隙間より小さい寸法に形成されている。具体的には、受け金具8の厚さは、2~3mm程度とする。
【0044】
受け金具8は、
図1、
図3(c)に示すように、少なくともその引き違い側の端部13に、係止杆36の外端が係入可能な係合孔9が形成されている。さらに、受け金具8の長手方向に間隔をおいて、1又は2以上の係合孔(
図1(a)の係合孔10参照)が形成されている構成としてもよい。
【0045】
製作工程:
本発明に係る窓ロック装置6の掛け金具7の製作は、金属性の矩形のケース16及び操作係止体17の製作工程と、ケース16に操作係止体17を装着する工程が含まれるが、ケース16の組立の途中に操作係止体17を装着する必要がある。
【0046】
ケース16の製作は、板金用のプレス機械を利用し、ケース16の本体45と蓋46を、それぞれ厚さ1~2mm程度の鋼板を板金プレス加工してから、その後両者を一体となるように、組み付ける。
【0047】
ケース16については、本体45と蓋46について、いろいろな構成があり、それに応じてケース16の製作工程は変わるが、その一例を、以下、
図4を参照して説明する
【0048】
ケース16の本体45は、板金用のプレス機械で、鋼板等の板金材を、
図4(a)に展開図で示すように、外壁22、左右の側壁23、24、頂壁25及び底壁26を備えた本体45用のブランク(展開図と同じ形状の仕掛かり中の板金材)50となるように、外形抜き加工する。
【0049】
また、ブランク50において、外壁22には、その上下に間隔をあけて外側上部ガイド孔29と外側下部ガイド孔30を打抜き加工で形成する。
【0050】
このように板金プレス加工して形成した本体45用のブランク50を、プレス機械で折り曲げ加工をしてから、左右の側壁23、24の上縁部51及び下縁部52を、それぞれ頂壁25の側縁部53及び底壁26の側縁部54にろうづけ等で接合し、それぞれ
図3(b)に示すようなケース16の本体45を作成する。
【0051】
なお、左右の側壁23、24の上縁部51及び下縁部52を、それぞれ頂壁25の縁部53及び底壁26の縁部54に接合する別の方法として、図示はしないが、ブランク50において、左右の側壁23、24の上縁部51及び下縁部52に、それぞれ固定しろ(固定代)を形成しておくとよい。
【0052】
このような固定しろを折り曲げ加工をしてから、小さなネジや鋲で、左右の側壁23、24の上縁部51及び下縁部52を、それぞれ頂壁25の縁部53及び底壁26の縁部54に固定してもよい。あるいは、固定しろに凹部又は凸部を形成し、これを頂壁25及び底壁26に形成した凸部又は凹部に弾力的に係合して固定してもよい。
【0053】
ケース16の蓋46も、本体45と同様に、
図3(c)に展開図で示すような蓋46用のブランク57を形成し、折り曲げ加工してから、左右の側壁の上縁部及び下縁部を、それぞれ頂壁の縁部及び底壁の縁部にろうづけ等で接合し、それぞれ
図3(d)に示すようなケース16の蓋46を作成する。
【0054】
蓋46用のブランク57の内壁21には、内側ガイド孔27を打抜き加工で形成する。また、蓋46は、ケース16の開口側から被せるように、ケース16の開口より若干大き目に形成する。
【0055】
蓋46の左右の側壁、頂壁、底壁等に凹部又は凸部を形成し、本体45の左右の側壁、頂壁、底壁等に凸部又は凹部を形成しておけば、本体45に蓋46を弾力的に嵌合することで固定が簡単にできる。
【0056】
操作係止体17は、鋼製の断面6×6mm程度の角棒材を溶接及び折り曲げ加工をして、平面視で
図4(d)に示すように、ガイド杆35、係止杆36、操作杆37及び結合杆38を備えた構成のものを製作する。金属材を鋳造して製作してもよい。或いは、樹脂材から成形してもよい。
【0057】
掛け7の組立に際しては、まず、バネ18を操作杆37にその内側(操作部39)から装着し、操作杆37を操作部39から、蓋46の内壁21の内側ガイド孔27に挿通する。操作杆37を操作部39から内側ガイド孔27に挿通しにくい場合は、操作杆37を内側ガイド孔27に挿通してから、折り曲げて鍵形の操作部39を形成するか、
図3(c)に示すような摘み形の操作部40を後から取り付けてもよい。
【0058】
そして、ガイド杆35及び係止杆36の外端側を、それぞれ外側上部ガイド孔29及び外側下部ガイド孔30に挿通しながら、ケース16の本体45の開口に蓋46を被せ、ロウ付け、ねじ止め、鋲止め又は凹凸係合等の手段で、互いに固定する。
【0059】
なお、実施例1において、本体と蓋のブランクについて、
図4に示す形状とは別の構成も考えられる。例えば、図示はしないが、掛け金具7のケースの外壁を、内壁より横幅が長くなるような形状に本体と蓋のブランクを外形抜き加工で形成する。そのようなブランクの本体と蓋を組み付けて形成したケースは、ケースの外壁が内障子2の縦枠11の外面側まで延び該外面に当接して固定可能な構成となる。
【0060】
このような構成とすると、外壁における内壁より横幅が長く形成されている部分を、内障子2の縦枠11の外面に当接し固定可能な構成となるので、掛け金具7をより強固に縦枠11を固定することが可能となる。このような構成は、実施例2において、
図6(a)、
図7(b)、
図8等においても説明する。
【0061】
また、実施例1では図示はしないが、オプションとして、ケース16の左側壁23と内壁22に当接する平面視でL字形の補強板を、左側壁23に固定し、さらに内障子の縦枠11の内面に固定すれば、ケース16自体を補強できる。
【0062】
しかも、補強板を内障子の縦枠11へ当接し固定することで、掛け金具7の縦枠11への固定強度を高めることができる。このような補強板の構成については、実施例2において、
図8(c)でも説明する。
【0063】
作用:
本発明に係る窓ロック装置6の作用について、以下説明する。窓ロック装置6は、その使用に際しては、
図1に示すように、掛け金具7は、引き違い窓1において、右側壁24を、内障子2の引き違い側の縦枠11の側面14の上端部に、固定して取り付けられる。
【0064】
掛け金具7の引き違い側の縦枠11の側面14の上端部への固定は、接着剤、両面テープ等を利用して行えばよい、或いは、ケース16の本体45(
図4(b)参照)に蓋46を装着する前に、ケース16の本体45の右側壁23からネジ、鋲等の固定手段で固定してもよい。
【0065】
受け金具8は、外障子3の上枠12の内面19に、上枠12に沿って引き違い側から他方側に水平に延びるように固定される。この固定は、掛け金具7の固定と同様に、接着剤、両面テープ等を利用して行えばよい。或いは、ネジ、鋲等の固定手段で固定してもよい。
【0066】
掛け金具7のケース16に装着された操作係止体17において、係止杆36及びガイド杆35は、それぞれ外側上部ガイド孔29及び外側下部ガイド孔30に挿通され、内外方向に摺動可能である。同様に、操作杆37は、その内側ガイド孔27に挿通され、内外方向に摺動可能である。
【0067】
要するに、操作係止体17は、操作杆37の操作に伴い一体でケース16に対して摺動可能であり、常時は、外側に向けて付勢されている。即ち、係止杆36及びガイド杆35は、それぞれ外側上部ガイド孔29及び外側下部ガイド孔30から外側に向けて突出するように、バネ18によって付勢されている。
【0068】
係止杆36はバネ18によって外側に付勢されているので、引き違い窓1が閉じている状態では、係止杆36はその外側端部が、
図1、
図2(a)に示すように、受け金具8の係合孔9に係入されており、引き違い窓1は窓ロック装置6で施錠され、外障子3及び内障子2は開くことができない。
【0069】
引き違い窓1を開ける際には、利用者は、操作部39に指を掛けて内側に引いて、
図2(b)に示すように、係止杆36の外側端部を、受け金具8の係合孔9から抜きながら、外障子3を
図1の右方向に移動すれば内障子2に対して外障子3を開くことができる。
【0070】
図示はしないが、係止杆36の外側端部を、係合孔9から長手方向に離れた別の係合孔10に係入させれば、外障子3を内障子2に対して、所定の間隔で開いた状態に維持することができる。
【0071】
そして、引き違い窓1を閉じる場合は、外障子3を閉じれば、係止杆36はバネ18によって外側に付勢されているので、係止杆36の外側端部が、受け金具8の係合孔9に係入され、自動的に施錠される。
【0072】
なお、引き違い窓1が、係合孔10に係止杆36が係入して途中開きの状態で維持されている場合は、操作部39に指を掛けて内側に引き、
図2(b)に示すように、係止杆36の外側端部を、受け金具8の係合孔9から引き抜いてから外障子3を閉じれば、係止杆36の外側端部は、受け金具8の係合孔9に自動的に係入され、施錠される。
【0073】
引き違い窓1を開く際に、受け金具8は、内障子2の縦枠11の面より隙間を介して外側に位置するので、内障子2の縦枠11及び上枠15等に接触したり、ひっかかったりすることはない。
【0074】
窓ロック装置6の掛け金具7は、内障子2の縦枠11の側面14の上端部に取り付けられているので、幼児は、仮に椅子など利用しても、手が届かない。従って、幼児が、椅子など利用して窓ロック装置6を解錠して、引き違い窓1を開けることはできず、窓から転落するような事故は防止できる。
【0075】
また、窓ロック装置6は、その掛け金具7の係止杆36は、バネ18によって常時外側に付勢されているので、引き違い窓1を閉じると、その外側端部が、受け金具8の係合孔9に係入され、自動的に施錠される構成であり、従来のクレセント錠のように、施錠のかけ忘れを防止することができるので、幼児の転落防止に加えて、不審者の侵入防止手段としても役立つ。
【0076】
本発明に係る窓ロック装置6は、その特徴として、構造が簡単で、部品点数が少なく、上記製作の工程で説明したとおり、少ない製作工程で容易に製作できるので、低価格で提供、取得できる。
【0077】
また、窓ロック装置6の掛け金具7は、内障子2の縦枠11の側面14の上端部に、接着剤、両面テープ等で取り付けることができ、受け金具8は、外障子3の上枠12の内面19に、接着剤、両面テープ等で取り付けることができるので、専門業者に頼ることなく、一般の利用者であっても、窓ロック装置6を、引き違い窓1へ簡単に取り付けることができる。
【0078】
操作係止体17は、係止杆36及び内側ガイド杆35が、それぞれ外側上部ガイド孔29及び外側下部ガイド孔35によってガイドされ、操作杆37が内側ガイド孔27でガイドされ、内外方向に水平に摺動可能に支持されているので、つっかかり等なく、スムースで簡単に操作ができる。
【0079】
以上のとおり、本発明に係る窓ロック装置6は、幼児の手の届かない高い箇所に取り付けられることで、幼児の解錠を防止でき、幼児を除く利用者は簡単に、取付、操作でき、また、引き違い窓1を閉じた際に自動的に施錠され、鍵のかけ忘れをなくし、防犯においても顕著な効果が生じる。
【0080】
別の利用例:
図5は、本発明に係る窓ロック装置6の別の利用例を説明する図である。この利用例は、本発明に係る窓ロック装置6を、片引き窓61に適用する構成である。
【0081】
片引き窓61は、建物の壁60に形成された開口枠62に対して、片引き障子63を左右に引いてスライドすることで開閉可能な窓である。なお、片引き窓としては、図示しないが、建物の開口枠62に嵌め込まれて固定された内障子(又は外障子)に対して、外障子(又は内障子)を左右に引いてスライドすることで開閉可能な窓もある。
【0082】
片引き窓61に適用する窓ロック装置6は、その構成及び作用は、
図1~
図4に示す窓ロック装置6と全く同じ構成である。但し、窓ロック装置6の掛け金具7を取り付ける対象が異なるだけである。
【0083】
即ち、窓ロック装置6を片引き窓61に適用する場合は、掛け金具7は、
図5(a)~(d)に示すように、建物側の開口枠62を構成する縦枠66の側面67の上端部に取り付ける。受け金具8は、片引き障子63の上枠64の側面に取り付ける構成とすればよい。
【0084】
片引き窓61に適用した窓ロック装置6の作用は、前記した実施例1の窓ロック装置6の作用と同じであり、片引き窓61の片引き障子63の閉鎖時には、
図5(a)、(c)、(d)に示すように、係止杆36の外側端部が受け金具8の係合孔9に係入して施錠される。
【0085】
そして、片引き窓61の片引き障子63を開く時には、
図5(b)に示すように、操作杆37を引いて、係止杆36の外側端部を、受け金具8の係合孔9から抜いて解錠すればよい。
【0086】
(実施例2)
本発明に係る窓ロック装置の実施例2を、
図6~
図9を参照して、以下説明する。実施例2の窓ロック装置81(
図9(a)参照)は、基本的にはその構成、作用等は、実施例1の窓ロック装置6と同じである。
【0087】
実施例2の窓ロック装置81を、引き違い窓1に適用する場合は、掛け金具83及び受け金具82は、実施例1(
図1参照)と同様に、それぞれ引き違い窓の内障子3の縦枠100の側面101及び外障子の上枠12の内面に取り付けられる(
図9参照)。
【0088】
また、実施例2における窓ロック装置81を片引き窓61に適用する構成では、実施例1の別の利用例(
図5参照)と同様に、受け金具82及び掛け金具83は、図示はしないが、それぞれ片引き窓61の片引き障子63の上枠64の内面及び片引き窓61における建物の開口枠62を構成する縦枠66の側面67の上端部に取り付けられる。
【0089】
受け金具82(
図9参照)は、実施例1の受け金具8と同じ構成であるが、
図8、
図9に示す掛け金具83は、外観と細部の構成は実施例1の掛け金具7と異なる。しかし、基本的な構成、機能は同じである。以下、実施例2の窓ロック装置81について、実施例1の窓ロック装置6と異なる構成を中心に説明する。
【0090】
実施例2の窓ロック装置81について、実施例1の窓ロック装置6と異なる構成は、その掛け金具83の製作工程を説明すると、より明確となるので、製作工程を通して、
図6~
図8を参照して、掛け金具83の構成を明確となるように説明する。
【0091】
掛け金具83のケース86の本体87(
図7(b)参照)の製作に際しては、まず、鋼板から板金プレス加工によって、
図6(a)に示すように、内壁88、外壁89、側壁90、頂壁91及び底壁92を備えたケース86の本体用のブランク93を形成する。
【0092】
内壁88には、内側ガイド孔用溝孔94を形成し、外壁89には外側上部ガイド孔用溝孔95及び外側下部ガイド孔用溝孔96を形成する。
【0093】
ここで、実施例2の掛け金具83のケース86(
図8(a)参照)の本体87の特徴は、本体87における外壁89の横幅(側方への幅)は、
図6(a)のブランク93に示すように、内壁88の横幅より大きく形成されている構成である。
【0094】
このように構成すると、掛け金具83を内障子(ここでは図示はしないが、実施例1の
図1(a)に示す内障子2と同じ。)の縦枠100の側面101に固定する場合、
図8(a)、(b)に示すように、本体87の外壁89は、内壁88より横幅が長く形成されている部分の内面を、縦枠100の外面102に沿って当接して固定することができるので、掛け金具83の縦枠100への固定強度を向上することができる。
【0095】
掛け金具83のケース86の蓋106の製作に際しては、まず、鋼板から板金プレス加工によって、
図6(b)に示すように、内壁108、外壁109及び側壁110を備えたブランク111を形成する。
【0096】
内壁108には、ガイド孔用溝孔112を形成し、外壁109には、本体87(ブランク93)の外側上部ガイド孔用溝孔95及び外側下部ガイド孔用溝孔96の位置に対応して、それぞれ外側上部ガイド孔113及び外側下部ガイド孔114を形成する。
【0097】
操作係止体120は、
図6(c)、(d)、
図7(c)に示すように、鋼板から形成した結合杆(細長板)121の上下にそれぞれ係止杆122とガイド杆123を挿通して固定し、さらに係止杆122の長手方向の略中間に、操作杆124をその外端部を固定して水平に取り付けて形成する。
【0098】
そして、ケース86の本体用のブランク93及び蓋用のブランク111を、それぞれプレス機械で折り曲げ加工し、
図7(b)、(a)に示すような、本体87及び蓋106を形成する。
【0099】
そして、操作係止体120の係止杆122及びガイド杆123を、それぞれ蓋106の内側から外側上部ガイド孔113及び外側下部ガイド孔114に挿通する。さらに、操作杆124の内側にバネ126(圧縮コイルバネ)を巻装し、内壁108のガイド孔用溝孔112を通して、操作係止体120を蓋106に装着する。
【0100】
操作杆124の内端部には、
図7(c)に示すように、摘み形の操作部125が螺着して取り付けられる。
図7(b)に示すように形成したケース86の本体87に、操作杆124を装着した蓋106を、本体87の開口側から嵌合して組み付ける。
【0101】
この際、操作係止体120の係止杆122及びガイド杆123は、それぞれ外側上部ガイド孔113及び外側下部ガイド孔114を通して、蓋106から外側に突き出ている。しかし、本体87の外側上部ガイド孔用溝孔95及び外側下部ガイド孔用溝孔96を通すことで、組み付けの邪魔とならない。
【0102】
同様に、操作杆124は、ガイド孔用溝112から内側に突き出ているが、本体87の内側ガイド用溝孔94を通すことで、組み付けの邪魔とならない。このようにして、ケース86の本体87に蓋106を組み付けて、両者をビスで互いに固定することにより、
図8(a)、(b)に示すような、掛け金具83が形成される。
【0103】
実施例2の窓ロック装置81は、実施例1と同様に、掛け金具83及び受け金具82がそれぞれ内障子及び外障子(ここでは図示はしないが、実施例1の
図1(a)に示す内障子2及び外障子3と同じ。)に固定されて使用される。
【0104】
受け金具82については、実施例1と同様に外障子3の上枠12(
図9参照)の内面に固定されるので、ここでは、特に説明はしない。実施例2の掛け金具83については、内障子の縦枠100へ固定する構成は、実施例1にない特徴を有するので、以下説明する。
【0105】
掛け金具83は、実施例1と同様に、蓋106の側壁110(ケース86の右側壁に相当する)を内障子の縦枠100(
図8中、二点鎖線で示す枠)の側面101に、図示はしないが、両面テープ、接着剤、ビス等の手段で固定する。
【0106】
実施例2では、本体87の外壁89は、内壁88より、
図6(a)、
図8に示すように、側方に大きな幅で作成されているので、外壁89における内壁88より横幅が長い部分を、内障子の縦枠100の外面102に両面テープ、接着剤等を介して固定することが可能である(
図8(a)、(b)参照)。
【0107】
この結果、掛け金具83を内障子の縦枠100の側面101に固定する場合、縦枠100の外面102にも本体87の外壁89の一部を固定することができるので、掛け金具83の縦枠100への固定強度を向上することができる。
【0108】
なお、
図8(c)は、実施例2の変形例を示す図であり、掛け金具83に、オプション用の補強板130を付設した構成を示す。この補強板130は、本体87の側壁90に当接する側面部131と、本体87の内壁88に沿う(あくまでも沿うのであって必ずしも当接しなくてもよい)内面部132とから平面視でL字形に形成されている。側面部131には、上下にそれぞれ長孔133が水平に形成されている。
【0109】
補強板130は、
図8(c)に示すように、縦枠100の側面101の内外方向の幅に応じて、縦枠100の内面103に当接するように調整し、調整後、ネジ134を長孔133を通し、本体87の側壁90(ケース86に左側壁に相当する)にネジ134で固定して取り付ける。
【0110】
補強板130を使用すれば、掛け金具83のケース86を内障子の縦枠100の側面101に固定する場合、さらに補強板130を、その内面部132を、内障子の縦枠100の内面103に、両面テープ、接着剤等を介して固定することが可能である。
【0111】
このように補強板130によって、掛け金具83のケース86自体が補強されるとともに、掛け金具83を内障子の縦枠100に固定する場合、さらに補強板130を内障子の縦枠100の内面103へ当接して固定することができる。
【0112】
その結果、本体87の外壁89(ケース86の外壁に相当)、蓋106の側壁110(ケース86の右側壁に相当)及び補強板130によって、内障子の縦枠100を三方から囲うように固定することができ、掛け金具83の内障子の縦枠100への固定強度を格段と向上することが可能となる。
【0113】
作用:
以上の構成から成る実施例2の窓ロック装置81の作用について、
図8、
図9を参照して説明する。実施例2の窓ロック装置81の作用は、実施例1と同じである。
【0114】
即ち、窓ロック装置81で引き違い窓1を閉じて施錠している状態は、
図9(a)に示すように、バネ126によって係止操作体120は外側に付勢されており、係止杆122は受け金具82の係合孔84に係入している。
【0115】
引き違い窓1を開く時には、
図9(b)に示すように、操作部125を内側に引いて、係止杆122を受け金具82の係合孔84から引き抜き解錠して、外障子3を開けばよい。窓ロック装置81を窓の頂端部に取り付ければ、幼児を除く利用者は、簡単に施錠及び解錠のための操作ができ、自動的にロックすることが可能な構成である。
【0116】
実施例2の窓ロック装置81は、実施例1と同じように、幼児が椅子などを利用しても、窓の手に届かない位置に取り付けられる構成であるために、勝手に窓を開けることができないので、窓からの転落防止が可能となる。
【0117】
また、既存の窓や戸に、補助的に取り付けられる窓ロック装置として、誰でも、後付けで簡単に取り付けることが可能な構成である。また、部品点数が少なく、容易に製作でき、低価格で提供、取得できる。
【0118】
ケース86の蓋106を内障子の縦枠100に固定するだけでなく、本体87の外壁89も縦枠100に固定することのできる構成であるので、掛け金具83を内障子の縦枠100への固定強度を格段と向上することが可能となる。
【0119】
さらに、掛け金具83を内障子の縦枠100に固定する場合、
図8(c)に示す変形例のように、オプションとして補強板130を取り付ければ、ケース86自体を補強することが可能となる。
【0120】
さらに、補強板130を取り付ければ、本体87の外壁89及び蓋106の側壁110とともに、内障子の縦枠100を、三方から囲うように固定することができるので、掛け金具83の内障子の縦枠100への固定強度をより一層、向上することができる。
【0121】
なお、実施例2における窓ロック装置81を片引き窓61(
図5参照)に適用する構成では、図示はしないが、実施例1の別の利用例と同様に、掛け金具83は、片引き窓61における建物の開口枠62を構成する縦枠66の側面の上端部に取り付けられ、受け金具82は、片引き障子63の上枠64の内面に取り付けられる。
【0122】
その場合でも、実施例2の窓ロック装置81は、ケース86の本体87の外壁89は、内壁88より横幅が長く形成されているので、外壁89における内壁88より横幅が長く形成されている部分を、建物の開口枠62を構成する縦枠66の外面に当接して固定可能となり、掛け金具83の縦枠66への固定強度を向上することができる。
【0123】
オプションとして補強板130を取り付ければ、ケース86自体を補強するとともに、掛け金具83の建物の開口枠62を構成する縦枠66への固定強度を向上することができる。
【0124】
以上、本発明に係る窓ロック装置を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内で、いろいろな実施例があることは言うまでもない。
本発明に係る窓ロック装置は、幼児の手の届かない箇所に取り付けることができ、操作が簡単で施錠効果が大きいので、マンション等の引き違い窓、引き違い戸、片引き窓、片引き戸、テラス窓、テラス戸等に適用でき、それらのロック装置としてきわめて有用である。