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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157616
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241031BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALN20241031BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
G09F9/00 324
G02F1/1333
G02F1/1335
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072057
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原賀 孝治
【テーマコード(参考)】
2H189
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA53
2H189AA64
2H189AA70
2H189AA71
2H189LA02
2H189LA18
2H189MA08
2H291FA56X
2H291FA62X
2H291FD13
2H291FD32
2H291GA02
2H291MA03
5G435AA01
5G435BB12
5G435FF06
5G435GG01
(57)【要約】
【課題】高い表示の自由度を有する表示装置を提供する。
【解決手段】本実施形態における表示装置1は、前方に位置する視認者に視認させる画像を表示する表示面15を有する表示ユニット10と、表示面15の前方に表示面15の一部と重畳して配置され、表示面15の画像の一部を表示面15の前方に浮かんだ浮遊画像として表示するマイクロレンズアレイ25と、を備える。マイクロレンズアレイ25が配置される前端22aと、浮遊画像となる画像の一部を画像の他部と区画し、表示ユニット10に対して固定される後端22bと、を有する後筒状部材22を更に備えていてもよい。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に位置する視認者に視認させる画像を表示する表示面を有する表示ユニットと、
前記表示面の前方に前記表示面の一部と重畳して配置され、前記表示面の画像の一部を前記表示面の前方に浮かんだ浮遊画像として表示するマイクロレンズアレイと、を備える表示装置。
【請求項2】
前記マイクロレンズアレイが配置される前端と、前記浮遊画像となる前記画像の一部を前記画像の他部と区画し前記表示ユニットに対して固定される後端と、を有する後筒状部材を更に備える、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記画像の一部を透過させ、前記後筒状部材の前記後端で前記表示ユニットに対して前記後筒状部材を支持する透過部材を更に備える、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記後筒状部材の前記前端と接続される後端と、前端と、を有し、前記後筒状部材と同軸上に配置され前記マイクロレンズアレイの前方の空間を区画する前筒状部材と、を備える請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記前筒状部材の前記前端を覆うスモーク部材を更に備える、請求項4記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両等に搭載される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイの前方にマイクロアレイレンズを配置することにより、立体像の実像を視認させる技術が知られている。また、このような技術を車両に搭載された表示装置に適用することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-038238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転に必要な情報を表示する車両用の表示装置においては、情報の種類に応じては安全性の観点から高い視認性が要求される。このため、表示装置にマイクロレンズアレイを用いる場合には、その適用については十分な検討が必要であり、また要求に応じて好適な表示態様が適宜選択可能であることが求められる。
【0005】
本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、高い表示の自由度を有する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、上述した課題を解決するために、前方に位置する視認者に視認させる画像を表示する表示面を有する表示ユニットと、前記表示面の前方に前記表示面の一部と重畳して配置され、前記表示面の画像の一部を前記表示面の前方に浮かんだ浮遊画像として表示するマイクロレンズアレイと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の表示装置においては、高い表示の自由度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の表示装置の一実施形態を示す外観斜視図。
図2図1のII-II線に沿う断面図。
図3】表示装置の部分断面図。
図4】第一変形例としての表示装置の説明図。
図5】第二変形例としての表示装置の説明図。
図6】第三変形例としての表示装置の説明図。
図7】第四変形例としての表示装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の表示装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の表示装置は、例えば自動車や二輪車や、船舶、農業機械、建設機械等の車両に搭載され得る。
【0010】
図1は、本開示の表示装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
図3は、表示装置1の部分断面図である。
【0011】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、図1から8における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」及び「L」に従う。尚、表示装置1がユーザに視認される側を「前」とする。
【0012】
表示装置1は、表示ユニット10の表示面15が運転者等の視認者に視認されるように、例えば車両のインストルメントパネルに配置される。表示装置1は、表示ユニット10と、マイクロレンズユニット20と、を主に有する。
【0013】
表示ユニット10は、液晶表示素子と、光源基板と、を有する。液晶表示素子は、例えば一対のガラス基板間に液晶分子を封入して形成されるTFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示パネルである。光源基板は、例えば液晶表示素子を照明するLED(Light Emitting Diode)を搭載する基板であり、液晶表示素子のバックライトである。光源基板は、液晶表示素子の後方に配置される。また、表示ユニット10は、LEDの光を液晶表示素子の全面に行き渡らせるための導光板、導光板の後方に設けられた反射板、及び導光板の前方に設けられた拡散板等の所要の部材を有する。
【0014】
表示ユニット10は、外縁においてベゼル11により支持されている。ベゼル11は、金属製の枠体(フレーム)であり、液晶表示素子や光源基板を一体として収容する。ベゼル11は、表示ユニット10の前面においては、画像を表示する表示面15を露出させて覆う。
【0015】
マイクロレンズユニット20は、例えば表示ユニット10の右方の領域に表示ユニット10の表示面15の前方に重畳して配置される。マイクロレンズユニット20は、表示面15の一部の画像が浮かんだ浮遊画像を表示するために配置される。
【0016】
マイクロレンズユニット20は、透過部材21と、後筒状部材22と、マイクロレンズアレイ25(以下単に「MLA25」という。)と、前筒状部材23と、バイザー26と、スモーク部材27と、を有する。
【0017】
透過部材21は、透明な樹脂部材(例えばPMMA樹脂)からなり、表示面15の画像を透過させる板状部材である。透過部材21は、マイクロレンズユニット20を表示ユニット10上に支持する。具体的には、破損等を考慮して、液晶表示素子上にマイクロレンズユニット20を直接固定することができないため、透過部材21はベゼル11上に渡されて固定され、液晶表示素子に対して間隙を有して配置される。
【0018】
後筒状部材22(以下単に「後筒22」という。)は、前後方向に沿う軸方向を有し、前端22a及び後端22bが開口となる筒状部材である。後筒22は例えば遮光性を有する樹脂からなる。後筒22は、MLA25の焦点距離等に応じて長さが、MLA25の大きさに応じて開口の径が適宜設定される。後端22bは、浮遊画像となる表示面15の画像の一部を、画像の他部と区画するよう、作用する。また、後端22bは、透過部材21に接着や溶着等で固定されることにより、間接的に表示面15に対して固定される。
【0019】
MLA25は、表示面15に表示された画像の一部を、表示面15の前方に浮かんだ浮遊画像として表示するために配置される。MLA25は、二次元状に配列された複数のマイクロレンズを有する。マイクロレンズは、表示ユニット10の複数の表示画素ごとに設けられる。MLA25は、後筒22の前端22aの開口に対応する円形状の前後面25aと、厚さを形成する側面25bと、を有する。MLA25は、後筒22の前端22a側の開口に対して、側面25bが接着等で固定されることにより、後筒22の前端22a側に支持される。これにより、MLA25は、表示面15からマイクロレンズの焦点距離だけ前方に離れた位置に配置される。各マイクロレンズは、表示ユニット10に表示された画像に基づいて表示画素からの光を前方の所定の像面に投影する。
【0020】
前筒状部材23(以下単に「前筒23」という。)は、前後方向に沿う軸方向を有し、前端23a及び後端23bが開口となる筒状部材である。前筒23は、後筒22同様、例えば遮光性を有する樹脂からなる。前筒23は、後端23bにおいて後筒22の前端23aと接着やフック等の掛かり合いにより接続されることにより、後筒22と同軸上に配置される。これにより、前筒23は、後筒22の前端22aに配置されるMLA25の前方の空間を区画する。また、前筒23及び後筒22は、MLA25を挟み込むように支持するよう構成される。
【0021】
バイザー26は、後筒22及び前筒23の径方向外側に配置される、筒状部材である。バイザー26は、視認者に視認させる表示面15を区画するために設けられる。
【0022】
スモーク部材27は、スモーク色(透過性の黒色)を有する板状部材である。スモーク部材27は、前筒23の前端23aの開口に対応する外形を有し、前筒23の前端23aの開口を覆うように配置される。スモーク部材27は、前筒23の内表面23c及びMLA25が前方から視認されないように遮蔽することで、見栄えを向上させる。
【0023】
次に、本実施形態における表示装置1の作用について説明する。
【0024】
表示装置1は、表示面15の左領域においては、表示ユニット10が表示する画像を直接視認させる。一方、表示装置1は、表示面15の右方の領域においては、マイクロレンズユニット20が配置されていることから、表示ユニット10が表示する画像をMLA25(及びスモーク部材27)を介して視認させる浮遊画像と、スモーク部材27を介して表示面15上で視認させる画像と、を例えば関連付けながら視認させる。
【0025】
一例として、表示装置1は、例えば表示面15の左方の領域においては、エンジンの回転速度計を示す画像を表示し、そのまま表示面15上で視認させる。表示装置1は、右方の領域のうち、後筒22の後端22bで区画される領域においては、MLA25を介して前方の空間に形成される像面でその領域に表示される画像を浮遊画像として視認させる。また、表示装置1は、右方の領域の内、後筒22の外側においてバイザー26の後端26bで更に区画されるリング状の領域においては、車両の走行速度計を示す画像を表示して表示面15上で直接視認させる。右方領域においては、バイザー26で囲われた領域内で、浮遊画像と、表示面15上の画像とのコントラストで、視覚的な演出を行うことができる。このような浮遊画像は、例えば法令上表示が規定されている表示以外に適用することが考えられ、例えば運転に必須ではない付加的な情報をキャラクター等により伝達させる場合等、エンターテインメント的要素を備える画像として用いられることが考えられる。
【0026】
このとき、表示装置1は、表示面15に表示される画像の全体ではなく、右領域における一部の画像のみが浮遊画像として表示されることになる。これにより、表示装置1は、視認性を備える表示領域と、視覚的に演出が可能な表示領域とを形成することができ、表示内容に応じて多様な表示を実現できることから、高い表示の自由度を有することができる。
【0027】
また、表示装置1は、表示面15に表示される画像の一部を浮遊画像とすることによる画像の他部との分離に、後筒22を用いる。これにより、表示装置1は、浮遊画像と、それ以外の表示面15上で直接視認させる画像との分離を容易に行うことができ、視認性を損なうことがない。また、表示装置1は、後筒22により浮遊画像としての一部の画像と直接視認させる他部の画像とを明確に区画することにより、他部の画像が意図せずMLA25に写り込み浮遊画像の視認性を低下させることを抑制できる。
【0028】
また、MLA25の側面25bが視認者に視認されることにより、特に外光が側面25bに反射した場合において、側面25bが視認され、浮遊画像の視認性を低下させてしまう虞がある。本実施形態においては、MLA25を後筒22で保持した上、前筒23でMLA25を覆う。これにより、側面25bが前方から遮蔽されて視認される虞を低減できることから、MLA25を用いることによる視認性の低下を抑制できる。
【0029】
また、前筒23は、MLA25の前方を区画することから、MLA25に対する外光の入射を抑制できる。このため、表示装置1は、MLA25において外光が反射した結果浮遊画像と重なり浮遊画像が白くボケたように視認させてしまう、いわゆるウォッシュアウトの発生を低減でき、浮遊画像の視認性を向上できる。また、前筒23の前方をスモーク部材27で覆うことによりMLA25に対する外光の入射を更に抑制でき、前筒23自体の内表面23cが視認されてしまうことを抑制できることから、表示装置1は視認性を更に向上できる。
【0030】
また、表示面15の一部の画像のみを浮遊画像とする場合には、表示面15から所定距離前方の空間にMLA25を支持することが必要となる。また、液晶表示素子の破損等を引き起こす虞があることから、表示面15には直接マイクロレンズユニット20を固定することは困難である。これに対して、表示装置1は、ベゼル11上に渡した透過部材21によりマイクロレンズユニット20を表示面15上に支持することで、後筒22を介して間接的にMLA25を表示面15上に支持できる。また、表示装置1は、透過部材21を有することにより画像の視認性を損ねることなく、バイザー26等の他の部材も同様に表示面15上に支持できる。
【0031】
ゆえに、本実施形態における表示装置1は、高い表示の自由度を有することができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0033】
例えば、表示装置1においては、視覚的演出を目的としてマイクロレンズユニット20にバイザー26を有する例を説明したが、バイザー26は省略してもよい。
【0034】
透過部材21を表示ユニット10のベゼル11上で支持する例を説明したが、表示ユニット10が更にケース部材の内部に支持される構造である場合においては、そのケース上で透過部材21を支持してもよい。
【0035】
表示装置1は、視認性の向上の目的からスモーク部材27を有する例を説明したが、例えば防塵等の観点から前筒23の前端23a内を覆うことを目的とするのであれば、透明色の部材を配置してもよいし、防塵等が不要であれば前端23aを覆う部材を省略してもよい。
【0036】
例えば図4の表示装置100のように、マイクロレンズユニット20における前筒23は省略されてもよい。また、この場合、MLA25をMLA25の外縁側にスモーク部材27を配置するように、二色成形等で一体に形成し、後筒22の前端22aでスモーク部材27が固定されるように配置してもよい。MLA25及びスモーク部材27を別部材として配置する場合に比べて、部品点数が削減される。
【0037】
本開示の表示装置は、浮遊画像の態様のバリエーションの観点から、図5から7に示すような表示装置200、300、400のように構成してもよい。尚、図5から7においては、説明の便宜上、浮遊画像が表示される領域が点状のハッチングで表されている。
【0038】
図5に示すように、表示装置200の左方の領域に更にバイザー126を設け、バイザー26、126の外側を表示面15を遮蔽する遮光性の遮蔽部材(見返し)130で覆うことにより、二つの表示領域を有するいわゆる二眼式の表示装置200としてもよい。この場合、表示装置200は、左方の第一の領域201内では表示面15の画像を直接視認させ、右方の第二の領域202内では、マイクロレンズユニット20により中心側で浮遊画像を、外側で表示面15の画像を直接視認させるように構成することで、視覚的効果を演出できる。
【0039】
また、図6に示すように、表示装置300は、後筒22、バイザー126及び遮蔽部材130により、表示面15に3つの領域を形成してもよい。この場合、第一の領域301及び第二の領域302内では表示面15の画像を直接視認させ、第三の領域303内ではマイクロレンズユニット20により浮遊画像を表示する。表示装置300は、表示装置300の外縁において遮蔽部材130を前方に立ち上がらせることにより、後筒22の一部を遮蔽部材130が兼用してもよい。
【0040】
また、図7に示すように、表示装置400は、図5の表示装置1のマイクロレンズユニット20に、図4に示すマイクロレンズユニット20を適用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、100、200、300、400 表示装置
10 表示ユニット
11 ベゼル
15 表示面
20 マイクロレンズユニット
21 透過部材
22 後筒状部材(後筒)
22a 前端
22b 後端
23 前筒状部材(前筒)
23a 前端
23b 後端
23c 内表面
25 マイクロレンズアレイ(MLA)
25a 前後面
25b 側面
26、126 バイザー
26b 後端
27 スモーク部材
130 遮蔽部材
201、301 第一の領域
202、302 第二の領域
303 第三の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7