(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157620
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】外壁パネル接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/90 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
E04B2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072061
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000115337
【氏名又は名称】ヨシコン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598046538
【氏名又は名称】株式会社タック
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】白井 真彦
(72)【発明者】
【氏名】小濱 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 立志
(72)【発明者】
【氏名】鴨居 巧
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002PA04
2E002PA08
2E002RA02
2E002RB02
2E002SA01
2E002TA02
2E002TA03
2E002XA03
(57)【要約】
【課題】施工効率を向上できる外壁パネル接合構造を提供する。
【解決手段】この外壁パネル接合構造は、外壁パネル20を支持するファスナー1に垂下状に固定されたナット状部材14内の雌螺子部14aに上から螺合されて外壁パネル20の重量を建物躯体である梁3上で受けるとともに外壁パネル20の高さ位置の調整が可能である高さ調整ボルトB1と、梁3上に固定されており、ファスナー1の水平位置調整によるナット状部材14の水平移動を許容する開口部41aを上面板部41に有する土台部4と、ナット状部材14が挿通される部材挿通孔61を有し、土台部4の上面板部41上に配置されており、土台部4の上面板部41に固定されることで、ファスナー1の水平位置調整後の位置を固定する位置固定プレート6と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネルを支持するファスナーに垂下状に固定されたナット状部材内の雌螺子部に上から螺合されて上記外壁パネルの重量を建物躯体上で受けるとともに上記外壁パネルの高さ位置の調整が可能である高さ調整ボルトと、
上記建物躯体の上方に上面板部を位置させて当該建物躯体に固定されており、上記上面板部に、上記ファスナーの水平位置調整による上記ナット状部材の水平移動を許容する開口部を有する土台部と、
上記土台部の上記上面板部上に配置され、上記ナット状部材が挿通される部材挿通孔を有し、上記上面板部に固定されることで、上記ファスナーの水平位置調整後の位置を固定する位置固定プレートと、
を備えることを特徴とする外壁パネル接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外壁パネル接合構造において、上記外壁パネルの上方に位置して上記ファスナーに装着される上側外壁パネルの出入りを調整する出入り調整ボルトが当該ファスナーに螺合されており、上記高さ調整ボルトと上記出入り調整ボルトの径が同じであることを特徴とする外壁パネル接合構造。
【請求項3】
請求項1に記載の外壁パネル接合構造において、上記外壁パネルの上方に配置される上側外壁パネルを上記ファスナーに取り付ける取付用ボルトを備えており、上記高さ調整ボルトと上記取付用ボルトの径が同じであることを特徴とする外壁パネル接合構造。
【請求項4】
請求項1に記載の外壁パネル接合構造において、上記位置固定プレートは、上記土台部の上記上面板部に、高力ボルトによって接合されることを特徴とする外壁パネル接合構造。
【請求項5】
請求項4に記載の外壁パネル接合構造において、上記土台部の上記上面板部には、上記高力ボルトの頭部側が通る頭部側通し孔部と、上記頭部側通し孔部に通された上記高力ボルトの移動を可能とするために当該高力ボルトのボルト軸部に対応する幅の移動用孔部とが形成されていることを特徴とする外壁パネル接合構造。
【請求項6】
請求項5に記載の外壁パネル接合構造において、上記位置固定プレートには、上記高力ボルトのボルト軸部の上部側を通す位置調整孔部が形成されていることを特徴とする外壁パネル接合構造。
【請求項7】
請求項6に記載の外壁パネル接合構造において、上記移動用孔部は、上記頭部側通し孔部から、上記建物躯体である梁の延設方向に延ばされており、上記位置調整孔部は、上記延設方向に直交する方向に長く形成されていることを特徴とする外壁パネル接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物における外壁パネルを構造躯体に接合する外壁パネル接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ファスナー本体の引抜き耐力を向上させることができるカーテンウォール吊下げ用ファスナーを有する外壁パネル接合構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような外壁パネル接合構造は、高さ調整ボルト(自重受けボルト)や出入調整ボルトなどを備えているが、これらボルトは、鉛直方向、外壁パネル面内方向および外壁パネル面外方向の荷重に対して、耐力上必要とされる径が異なる。このため、これらボルトをインパクトレンチ等で回す際のソケットの交換が必要になり、施工効率が低下する欠点がある。
【0005】
また、外壁パネルを固定する施工において、多くの溶接作業が必要になると、施工効率の低下を招来する。
【0006】
この発明は、施工効率を向上できる外壁パネル接合構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の外壁パネル接合構造は、上記の課題を解決するために、外壁パネルを支持するファスナーに垂下状に固定されたナット状部材内の雌螺子部に上から螺合されて上記外壁パネルの重量を建物躯体上で受けるとともに上記外壁パネルの高さ位置の調整が可能である高さ調整ボルトと、
上記建物躯体の上方に上面板部を位置させて当該建物躯体に固定されており、上記上面板部に、上記ファスナーの水平位置調整による上記ナット状部材の水平移動を許容する開口部を有する土台部と、
上記土台部の上記上面板部上に配置され、上記ナット状部材が挿通される部材挿通孔を有し、上記上面板部に固定されることで、上記ファスナーの水平位置調整後の位置を固定する位置固定プレートと、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構造であれば、上記ナット状部材は、当該ナット状部材に螺合される上記高さ調整ボルトの外周に位置しており、このナット状部材が、上記位置固定プレートの上記部材挿通孔に挿通されることで、上記高さ調整ボルトの径よりも大径のボルトが上記位置固定プレートに装着されたのと同等の耐力が確保される。よって、上記高さ調整ボルトの径を、他の小径のボルトに一致させることが可能となり、インパクトレンチ等でこれらボルトを回す際のソケット交換を不要にして、施工効率を向上させることができる。
【0009】
上記外壁パネルの上方に位置して上記ファスナーに装着される上側外壁パネルの出入りを調整する出入り調整ボルトが当該ファスナーに螺合されており、上記高さ調整ボルトと上記出入り調整ボルトの径が同じとされてもよい。
【0010】
上記外壁パネルの上方に配置される上側外壁パネルを上記ファスナーに取り付ける取付用ボルトを備えており、上記高さ調整ボルトと上記取付用ボルトの径が同じとされてもよい。
【0011】
上記位置固定プレートは、上記土台部の上記上面板部に、高力ボルトによって接合されてもよい。これによれば、上記土台部の上記上面板部に上記位置固定プレートを溶接により固定する作業を省略できる。このように、施工時に外壁パネルを固定する際の溶接作業を減らせることができると、溶接に起因する施工効率の低下を回避することができる。
【0012】
上記土台部の上記上面板部には、上記高力ボルトの頭部側が通る頭部側通し孔部と、上記頭部側通し孔部に通された上記高力ボルトの移動を可能とするために当該高力ボルトのボルト軸部に対応する幅の移動用孔部とが形成されていてもよい。これによれば、上記高力ボルトを上記土台部の上記上面板部の下側から入れる場合に必要となる当該上面板部の高さ位置上昇を回避することができる。このように上記土台部の高さ位置上昇を回避できると、この土台部の上方にスラブコンクリートを位置させることができ、このスラブコンクリート上で壁下地材(軽量鉄骨)を外壁パネルに近づけて配置できるので、室内面積を広くすることができる。
【0013】
上記位置固定プレートには、上記高力ボルトのボルト軸部の上部側を通す位置調整孔部が形成されていてもよい。これによれば、上記位置固定プレートの位置調整が行える。
【0014】
上記移動用孔部は、上記頭部側通し孔部から、上記建物躯体である梁の延設方向に延ばされており、上記位置調整孔部は、上記延設方向に直交する方向に長く形成されていてもよい。これによれば、上記移動用孔部および上記位置調整孔部を、上記土台部に形成されている開口部に干渉しない配置とすることが容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明であれば、高さ調整ボルトの径を他の小径のボルトに一致させることが可能になり、インパクトレンチ等で各ボルトを回す際のソケット交換を不要にして、施工効率を向上させることができる等の諸効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の外壁パネル接合構造を示しており、側面視において一部を断面(
図3(A)のA-A矢視断面)とした説明図である。
【
図2】同図(A)は、実施形態の外壁パネル接合構造を示した平面視による説明図であり、同図(B)は、実施形態の外壁パネル接合構造を示した正面視による説明図(ファスナー部分は破線で示している)である。
【
図3】実施形態の外壁パネル接合構造に用いる土台を示した図であり、同図(A)は平面図、同図(B)は、同図(A)のB-B矢視断面図、同図(C)は、同図(A)のC-C矢視断面図である。
【
図4】実施形態の外壁パネル接合構造に用いる位置固定プレートを示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。実施形態の外壁パネル接合構造は、
図1、
図2(A)および
図2(B)に示すように、ファスナー1を備える。このファスナー1は、山形鋼からなる支持部材11を備える。支持部材11における山形鋼による縦片部は、外壁パネル20の裏面側にボルト2aにより固定されており、上記山形鋼による横片部は、建物の梁3となるH形鋼の上フランジ31の上方に位置して当該上フランジ31と対面する。
【0018】
また、ファスナー1は、支持部材11の上記横片部の外壁パネル20寄りの位置に、当該支持部材11の上面部に溶接固定された縦板部12を有する。この縦板部12は、その広幅面側を外壁パネル20の裏面およびこの外壁パネル20上の上側外壁パネル21の裏面に対面させている。縦板部12の略中間高さ位置には、出入り調整ボルトB2が螺合されており、縦板部12の上部位置には、上側外壁パネル21を縦板部12にロッキング可能に取り付けるための取付用ボルトB3が螺合されている。また、支持部材11と縦板部12は、2枚の補強リブ板13によって相互に溶接されている。
【0019】
支持部材11には、上記横片部の外壁パネル20から離れた側において、縦方向にボルトを通すための挿通孔11aが形成されており、この挿通孔11aが位置する箇所の下面において、ナット状部材14として外形が六角形の高ナットが垂下状に溶接固定されている。ナット状部材14には雌螺子部14aが形成されており、この雌螺子部14aに挿通孔11aを通して上から入れられた高さ調整ボルトB1が螺合され、高さ調整ボルトB1の先端部が梁3の上フランジ31の上面に接触する。この高さ調整ボルトB1によって、外壁パネル20の重量が梁3上で受け止められるとともに、当該高さ調整ボルトB1の回転操作によって、当該外壁パネル20,21の高さ位置を調整することができる。
【0020】
この実施形態では、高さ調整ボルトB1、出入り調整ボルトB2、および取付用ボルトB3のサイズは同じである。
【0021】
梁3の上フランジ31の上面には、鋼製の土台部4が設けられている。この土台部4は、
図3(A)、
図3(B)および
図3(C)に示すように、上面板部41と、上面板部41の下面の両側位置に溶接固定された側面脚部43とからなり、側面脚部43の下縁が上フランジ31に溶接固定される。
【0022】
土台部4の上面板部41は、梁3の延設方向に平行な辺および直交する辺を有する略四角形の開口部41aを有しており、この開口部41a内に高さ調整ボルトB1およびナット状部材14を位置させている。開口部41aは、ファスナー1の水平位置が調整される際の高さ調整ボルトB1およびナット状部材14の水平移動を許容する大きさを有する。
【0023】
土台部4の上面板部41は、高力ボルト5の頭部側である四角形の座金51が通る四角形の頭部側通し孔部41bと、この頭部側通し孔部41bから梁3の延設方向と同方向に延ばされた移動用孔部41cを有する。この移動用孔部41cは、頭部側通し孔部41bに通された高力ボルト5の移動を可能とするために、当該高力ボルト5のボルト軸部よりも幾分広い幅を有する。
【0024】
土台部4の上面板部41上には、四角形の鋼板からなる位置固定プレート6が配置される。この位置固定プレート6は、
図4にも示すように、ナット状部材14が挿通される部材挿通孔61と、高力ボルト5のボルト軸部の上部側が通る位置調整孔部62とを有する。位置調整孔部62は、梁3の延設方向に直交する方向(外壁パネル20,21の出入り方向)に長く形成されている。
【0025】
ここで、ナット状部材14は、部材挿通孔61内で位置固定プレート6の板厚部分と接触する領域を超える長さ(垂下長)を有するようにしている。すなわち、高さ調整ボルトB1に加わる水平荷重は、部材挿通孔61内で位置固定プレート6の板厚部分と接触する領域において伝達され、当該領域において高さ調整ボルトB1の径が、ナット状部材14の肉厚分、実質的に増大される。なお、高さ調整ボルトB1により、ナット状部材14と位置固定プレート6の高さ方向の相対位置が変位しても、常に、ナット状部材14を、部材挿通孔61内で位置固定プレート6の板厚部分と接触させるようにしている。また、このような高さ調整ボルトB1による高さ調整において、ナット状部材14の下端が梁3の上フランジ31に当たらないようにする。すなわち、ナット状部材14の長さは、高さ調整ボルトB1による外壁パネルの高さ位置調整に際して梁3の上フランジ31上に当該ナット状部材14の下端が当たらない長さ(例えば、設計上の位置で上フランジ31から15mm程度離間する長さ)に抑えられる。
【0026】
上記ファスナー1を用いた外壁パネル20,21の取り付けでは、例えば、土台部4を、外壁パネル20,21の取り付けに先立って梁3の上フランジ31上の規定位置に溶接固定してから、クレーン等で吊り上げた外壁パネル20を梁3に係止させる作業を行う。この作業のなかで、吊り上げた外壁パネル20を梁3側に寄せた際に、対象となる階のスラブコンクリート上において、作業者が、例えば、ファスナー1のナット状部材14に、位置固定プレート6の部材挿通孔61を下側から通し、この通し状態で、ナット状部材14の下端側を、開口部41aに入れて、高さ調整ボルトB1の下端を梁3の上フランジ31に当てることで、外壁パネル20を梁3に仮固定する。また、高力ボルト5については、土台部4における上面板部41の頭部側通し孔部41bから、その頭部側を下側にして入れて、移動用孔部41cに沿って移動させておく。そして、このように移動させた高力ボルト5の上端部を、位置固定プレート6が土台部4上に置かれる際に、この位置固定プレート6の位置調整孔部62に通す。
【0027】
上記段階では、位置固定プレート6は土台部4には固定されておらず、外壁パネル20の位置調整によって位置固定プレート6の位置を変位させることができる。この位置固定プレート6の位置変位および高力ボルト5の移動は、移動用孔部41cおよび位置調整孔部62が有ることで可能になる。
【0028】
例えば、外壁パネル20(ファスナー1)の水平位置調整の後、位置固定プレート6を土台部4に固定する。この固定は、高力ボルト5の上端側に、別の矩形の座金52とバネ座金53を外嵌し、ナット54を螺合させ、レンチによる締め付けにより行う。この例では、高力ボルト5は、シャーボルトであり、図示しないシャーレンチによる回転によって一定のトルクがかかると端部分が切れて外れるようになっている。土台部4の上面板部41と位置固定プレート6は、高力ボルト5の締め付けによる板同士の摩擦で接合される。以上の作業においては、上向き作業での溶接やボルト取付は無いので、作業は比較的容易となる。
【0029】
高さ調整ボルトB1を、所定サイズのソケットが装着されたインパクトレンチを用いて回すことで、外壁パネル20の高さ位置を調整することができる。また、上側外壁パネル21を取り付ける作業において、出入り調整ボルトB2を、上記所定サイズのソケットが装着されたインパクトレンチを用いて回し、さらに、取付用ボルトB3も、上記所定サイズのソケットが装着されたインパクトレンチを用いて回す。
【0030】
以上のように、ナット状部材14は、当該ナット状部材14が螺合される高さ調整ボルトB1の外周に位置しており、このナット状部材14が、位置固定プレート6の部材挿通孔61に係合されることで、位置固定プレート6に高さ調整ボルトB1の径よりも大径のボルトが螺合されたのと同等の耐力が確保されることになる。よって、高さ調整ボルトB1の径を、他の小径のボルトに一致させることが可能となり、インパクトレンチ等でこれらボルトを回す際のソケット交換を不要にして、施工効率を向上させることができる。
【0031】
この実施形態では、上側外壁パネル21の出入りを調整する出入り調整ボルトB2を備えており、高さ調整ボルトB1と出入り調整ボルトB2の径が同じとされている。また、上側外壁パネル21をファスナー1に取り付ける取付用ボルトB3と高さ調整ボルトB1の径も同じとされている。
【0032】
土台部4の上面板部41に配置した位置固定プレート6が高力ボルト5によって接合されると、施工時に外壁パネル20等を固定する際の溶接作業の頻度を低減できるので、施工効率の低下を回避することができる。
【0033】
なお、高力ボルト5を、土台部4の上面板部41の下側から入れて、移動用孔部41cに通すような作業とすることもできる。しかしながら、このためには、上面板部41の高さ位置を高くする必要が生じる。ただし、このように上面板部41の高さ位置が高くなると、上面板部41の上方をスラブコンクリートで覆うことができないので、壁下地材(軽量鉄骨)を上記スラブコンクリート上に位置させることができず、外壁パネルから離れて位置させることになり、室内面積が狭くなる。
【0034】
この実施形態であれば、土台部4の上面板部41は、頭部側通し孔部41bおよび移動用孔部41cを有するので、上面板部41の高さ位置を高くしなくても高力ボルト5を装着することができる。よって、スラブコンクリートを土台部4の上方に位置させて、このスラブコンクリート上で上記壁下地材を外壁パネル20に近づけて配置できるので、室内面積を広くすることができる。
【0035】
また、移動用孔部41cは、頭部側通し孔部41bから、梁3の延設方向に延ばされており、位置調整孔部62は、上記延設方向に直交する方向に長く形成されているので、移動用孔部41cおよび位置調整孔部62を、開口部41aに干渉しない配置とすることが容易になる。
【0036】
また、上記の実施形態では、ナット状部材14として高ナットを示したが、これに限らない。ナット状部材14は、丸棒鋼や角棒鋼に対して、その軸方向に雌螺子を切った部材、鋼製パイプ内に接着剤等を注入し、固化した接着剤等に雌螺子を切った部材等でもよい。また、このようなナット状部材14の外径(太さ)をどれくらいとするかは、高さ調整ボルトB1とナット状部材14のトータルでの強度計算から求めることができる。
【0037】
また、上記の実施形態では、支持部材11における山形鋼による縦片部が外壁パネル20の裏面側にボルト2aにより固定されたが、これに限らない。例えば、ボルト2aの代わりに各種インサートを外壁パネルに埋め込んでおく。その一方、支持部材11を、外壁パネル20の裏面に埋め込まずに、上記の各種インサートを活用して外壁パネル20の裏面にボルト留めすることもできる。
【0038】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 :ファスナー
2a :ボルト
3 :梁
4 :土台部
5 :高力ボルト
6 :位置固定プレート
11 :支持部材
11a :挿通孔
12 :縦板部
13 :補強リブ板
14 :ナット状部材
14a :雌螺子部
20 :外壁パネル
21 :上側外壁パネル
31 :上フランジ
41 :上面板部
41a :開口部
41b :頭部側通し孔部
41c :移動用孔部
43 :側面脚部
51 :座金
52 :座金
53 :バネ座金
54 :ナット
61 :部材挿通孔
62 :位置調整孔部
B1 :高さ調整ボルト
B2 :出入り調整ボルト
B3 :取付用ボルト