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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157625
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/103 20210101AFI20241031BHJP
   H01M 50/54 20210101ALI20241031BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20241031BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20241031BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20241031BHJP
   H01M 50/595 20210101ALI20241031BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/54
H01M50/46
H01M50/466
H01M50/586
H01M50/595
H01M50/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072071
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】大道寺 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】大岡 愛佳
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011AA17
5H011CC06
5H011CC12
5H011KK01
5H021AA06
5H021CC18
5H043AA02
5H043BA11
5H043CA04
5H043CA13
5H043DA02
5H043EA07
5H043EA35
5H043GA27
(57)【要約】
【課題】蓋材の角部の封止性の向上と、蓋材の位置ずれの抑制と、の双方を実現する。
【解決手段】電池セル10は、電池要素100と、電池要素100の端面を覆う前方蓋材210と、電池要素100及び前方蓋材210に巻き付けられた外装フィルム300と、を備えている。前方蓋材210は、外装フィルム300によって覆われた少なくとも1つの角部と、少なくとも一部分が当該角部から突出した前方突出部214と、を有している。前方突出部214及び電池要素100の端面は、電池要素100の端面に垂直な方向に並んでいる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池要素と、
前記電池要素の端面を覆う蓋材と、
前記電池要素及び前記蓋材に巻き付けられた外装フィルムと、
を備え、
前記蓋材が、前記外装フィルムによって覆われた少なくとも1つの角部と、少なくとも一部分が前記角部から突出した突出部と、を有し、
前記突出部と、前記電池要素の前記端面と、が前記電池要素の前記端面に垂直な方向に並んでいる、電池セル。
【請求項2】
前記突出部と、前記電池要素の前記端面と、が互いに押圧している、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記突出部が前記少なくとも1つの角部に位置している、請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記突出部が前記蓋材の互いに対向する一対の辺に沿って延在している、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記突出部が前記蓋材の全辺に沿って延在している、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記電池要素から引き出された複数の集電体をさらに備え、
前記複数の集電体が前記一対の辺に対して略平行な方向に互いに重なっている、請求項4に記載の電池セル。
【請求項7】
前記蓋材における前記突出部が位置する部分の面積が、前記蓋材の全面積の0.50%以上75%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記蓋材における前記突出部が位置する部分の厚さが、前記蓋材における前記突出部が位置しない部分の厚さの1.2倍以上4.0倍以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記電池要素から引き出された複数の集電体をさらに備え、
前記複数の集電体が、前記電池要素の前記端面と、前記蓋材における前記突出部が位置しない部分と、の間に存在する隙間に収容されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記電池要素から引き出された複数の集電体と、
前記複数の集電体に電気的に接続されたタブと、
をさらに備え、
前記複数の集電体の長さが、前記タブに近づくほど短くなっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記電池要素が正極、負極及びセパレータを有し、
前記セパレータの一部分が、前記正極及び前記突出部の間と、前記負極及び前記突出部の間と、の少なくとも一方に位置している、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記セパレータの前記一部分が、前記正極又は前記負極の端部を覆う折り返し部を有する、請求項11に記載の電池セル。
【請求項13】
少なくとも一部分が前記突出部及び前記電池要素の前記端面の間に位置する絶縁材をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項14】
前記突出部が、前記電池要素の前記端面が位置する側に位置する所定面を有し、
前記所定面の少なくとも一部分が湾曲している、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項15】
前記突出部が、前記電池要素の前記端面が位置する側に位置する所定面と、前記所定面から延在する側面と、を有し、
前記所定面及び前記側面の交差部が、丸みを帯びており、又は前記所定面に対して斜めになっている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電池セルが開発されている。電池セルは、正極、負極及びセパレータを含む電池要素を有している。電池要素は、外装材によって封止されている。
【0003】
特許文献1には、電池セルの一例について記載されている。この電池セルは、電池要素の両端部を覆うカバーと、電池要素及びカバーに巻き付けられた外装材と、を備えている。カバーは、電池要素の端面に対向する平板と、平板から突出した側板と、を有している。
【0004】
特許文献2には、電池セルの一例について記載されている。この電池セルは、電池要素が収容される筐体と、電池要素の端部を覆うカバーと、を備えている。カバーは、電池要素に向けて突出した凸部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-108623号公報
【特許文献2】中国実用新案第206742372号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献2に記載されているように、筐体に電池要素を収容するのでなく、例えば特許文献1に記載されているように、電池要素及び蓋材に外装フィルムが巻き付けられることがある。しかしながら、電池要素及び蓋材に外装フィルムが単に巻き付けられている場合、外装フィルムが蓋材の角部に沿って折れ曲がる。よって、蓋材の角部の封止性を向上させることが難しいことがある。加えて、電池要素及び蓋材に外装フィルムが単に巻き付けられている場合、蓋材の位置ずれを抑制することが難しいことがある。例えば、電池セルが搭載された自動車の振動等の要因によって蓋材が衝撃を受けることで、蓋材の位置がずれることがある。或いは、電池セルの製造の際の真空引きによって蓋材が電池要素に向けて引き付けられることで、蓋材の位置がずれることがある。
【0007】
本発明の目的の一例は、蓋材の角部の封止性の向上と、蓋材の位置ずれの抑制と、の双方を実現することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池要素と、
前記電池要素の端面を覆う蓋材と、
前記電池要素及び前記蓋材に巻き付けられた外装フィルムと、
を備え、
前記蓋材が、前記外装フィルムによって覆われた少なくとも1つの角部と、少なくとも一部分が前記角部から突出した突出部と、を有し、
前記突出部と、前記電池要素の前記端面と、が前記電池要素の前記端面に垂直な方向に並んでいる、電池セル。
[2]
前記突出部と、前記電池要素の前記端面と、が互いに押圧している、[1]に記載の電池セル。
[3]
前記突出部が前記少なくとも1つの角部に位置している、[1]に記載の電池セル。
[4]
前記突出部が前記蓋材の互いに対向する一対の辺に沿って延在している、[1]に記載の電池セル。
[5]
前記突出部が前記蓋材の全辺に沿って延在している、[1]に記載の電池セル。
[6]
前記電池要素から引き出された複数の集電体をさらに備え、
前記複数の集電体が前記一対の辺に対して略平行な方向に互いに重なっている、[4]に記載の電池セル。
[7]
前記蓋材における前記突出部が位置する部分の面積が、前記蓋材の全面積の0.50%以上75%以下である、[1]~[6]のいずれか一に記載の電池セル。
[8]
前記蓋材における前記突出部が位置する部分の厚さが、前記蓋材における前記突出部が位置しない部分の厚さの1.2倍以上4.0倍以下である、[1]~[6]のいずれか一に記載の電池セル。
[9]
前記電池要素から引き出された複数の集電体をさらに備え、
前記複数の集電体が、前記電池要素の前記端面と、前記蓋材における前記突出部が位置しない部分と、の間に存在する隙間に収容されている、[1]~[5]のいずれか一に記載の電池セル。
[10]
前記電池要素から引き出された複数の集電体と、
前記複数の集電体に電気的に接続されたタブと、
をさらに備え、
前記複数の集電体の長さが、前記タブに近づくほど短くなっている、[1]~[5]のいずれか一に記載の電池セル。
[11]
前記電池要素が正極、負極及びセパレータを有し、
前記セパレータの一部分が、前記正極及び前記突出部の間と、前記負極及び前記突出部の間と、の少なくとも一方に位置している、[1]~[6]のいずれか一に記載の電池セル。
[12]
前記セパレータの前記一部分が、前記正極又は前記負極の端部を覆う折り返し部を有する、[11]に記載の電池セル。
[13]
少なくとも一部分が前記突出部及び前記電池要素の前記端面の間に位置する絶縁材をさらに備える、[1]~[6]のいずれか一に記載の電池セル。
[14]
前記突出部が、前記電池要素の前記端面が位置する側に位置する所定面を有し、
前記所定面の少なくとも一部分が湾曲している、[1]~[6]のいずれか一に記載の電池セル。
[15]
前記突出部が、前記電池要素の前記端面が位置する側に位置する所定面と、前記所定面から延在する側面と、を有し、
前記所定面及び前記側面の交差部が、丸みを帯びており、又は前記所定面に対して斜めになっている、[1]~[6]のいずれか一に記載の電池セル。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、蓋材の角部の封止性の向上と、蓋材の位置ずれの抑制と、の双方を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る電池セルの前方斜視図である。
図2】実施形態に係る電池セルの一部分の前方拡大斜視図である。
図3】実施形態に係る前方蓋材の後方斜視図である。
図4】外装フィルムが取り除かれた状態における実施形態に係る電池セルの上面模式図である。
図5】前方蓋材の前方突出部の後端面及び電池要素の前端面の間の領域の一例の拡大上面図である。
図6図5の第1の変形例を示す図である。
図7図5の第2の変形例を示す図である。
図8】変形例1に係る前方蓋材の後方斜視図である。
図9】変形例2に係る前方蓋材の後方斜視図である。
図10】変形例3に係る前方蓋材の後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電池セル10の前方斜視図である。図2は、実施形態に係る電池セル10の一部分の前方拡大斜視図である。図3は、実施形態に係る前方蓋材210の後方斜視図である。図4は、外装フィルム300が取り除かれた状態における実施形態に係る電池セル10の上面模式図である。図5は、前方蓋材210の前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面の間の領域の一例の拡大上面図である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が付されている。X方向は、電池セル10の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池セル10の左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池セル10の上下方向を示している。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、電池セル10のX方向、Y方向、Z方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。X方向、Y方向又はZ方向を示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。
【0014】
図1図5を参照して、電池セル10について説明する。
【0015】
電池セル10は、複数の電池要素100、複数の正極集電体103、複数の負極集電体105、正極タブ110、負極タブ120、前方蓋材210、後方蓋材220及び外装フィルム300を備えている。外装フィルム300は、巻付部分302及び引出部分304を有している。
【0016】
実施形態では、図4に示すように、複数の電池要素100がY方向に積層されている。各電池要素100は、略直方体形状となっている。電池要素100の長手方向は、X方向に対して略平行となっている。電池要素100の短手方向は、Z方向に対して略平行となっている。電池要素100の厚み方向は、Y方向に対して略平行となっている。ただし、電池要素100の形状は、この例に限定されない。電池セル10に含まれる電池要素100の数は1つのみであってもよい。以下、特に断りがない限り、実施形態では、電池セル10が複数の電池要素100を備えるものとして説明する。
【0017】
図5に示すように、電池要素100は、少なくとも1つの正極102、少なくとも1つの負極104及び少なくともセパレータ106を有している。図5に示す例では、複数の正極102及び複数の負極104がY方向に交互に積層されている。セパレータ106の少なくとも一部分は、Y方向に隣り合う正極102及び負極104の間に位置している。具体的には、図5に示す例では、複数枚のシート状のセパレータ106の各々がY方向に隣り合う正極102及び負極104の間に位置している。ただし、Z方向から見て、1枚のシート状のセパレータ106が正極102の上端部及び負極104の下端部で交互に折り返され、又は正極102の下端部及び負極104の上端部で交互に折り返されていてもよい。或いは、正極102、負極104及びセパレータ106は、セパレータ106が正極102及び負極104の間に配置されるように巻回されていてもよい。一例において、正極102及び負極104の一方の両面がセパレータ106によって覆われた状態で正極102、負極104及びセパレータ106は巻回されている。他の例において、正極102、セパレータ106及び負極104をこの順に含む単位積層体を複数含む積層体が巻回されていてもよい。ただし、正極102、負極104及びセパレータ106の巻回構造は、これらの例に限定されない。
【0018】
実施形態において、電池セル10は、電解液を含む電池セルである。しかしながら、電池セル10は、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータ106に相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、電池セル10は電解液を含む電池セルであるとして説明する。
【0019】
図4に示すように、正極タブ110は、複数の電池要素100の前方に配置されている。正極タブ110は、前方蓋材210をX方向に貫通している。正極タブ110の前端部は、前方蓋材210の前面から前方に向けて突出している。正極タブ110の後端部は、複数の正極集電体103を介して複数の正極102に電気的に接続されている。図4に示す例において、正極タブ110は、前方蓋材210の右端側に位置している。ただし、正極タブ110は、前方蓋材210のY方向の略中央部に位置していてもよい。
【0020】
複数の正極集電体103は、複数の正極102から前方蓋材210に向けて引き出されている。複数の正極集電体103は、Y方向に互いに重なっている。複数の正極集電体103の各々の前端部は、正極タブ110の後端部において互いに束ねられている。複数の正極集電体103の各々の前端部及び正極タブ110の後端部は、互いに電気的に接続されている。
【0021】
図4に示す例において、複数の正極集電体103の長さは、正極タブ110に近づくほど短くなっている。よって、複数の正極集電体103の長さが同一である場合と比較して、正極タブ110の近傍に位置する正極集電体103の余長を短くしやすくすることができる。したがって、複数の正極集電体103の長さが同一である場合と比較して、正極タブ110の近傍に位置する正極集電体103が電池要素100に向けて押し込まれにくくすることができる。よって、複数の正極集電体103の長さが同一である場合と比較して、正極タブ110の近傍に位置する正極集電体103が他の正極集電体103に短絡しにくくすることもできる。
【0022】
図4に示すように、負極タブ120は、複数の電池要素100の後方に配置されている。負極タブ120は、後方蓋材220をX方向に貫通している。負極タブ120の後端部は、後方蓋材220の後面から後方に向けて突出している。負極タブ120の前端部は、複数の負極集電体105を介して複数の負極104に電気的に接続されている。図4に示す例において、負極タブ120は、後方蓋材220の右端側に位置している。ただし、負極タブ120は、後方蓋材220のY方向の略中央部に位置していてもよい。
【0023】
複数の負極集電体105は、複数の負極104から後方蓋材220に向けて引き出されている。複数の負極集電体105は、Y方向に互いに重なっている。複数の負極集電体105の各々の前端部は、負極タブ120の前端部において互いに束ねられている。複数の負極集電体105の各々の前端部及び負極タブ120の前端部は、互いに電気的に接続されている。
【0024】
図4に示す例において、複数の負極集電体105の長さは、負極タブ120に近づくほど短くなっている。したがって、上述した説明と同様の理由にしたがって、複数の負極集電体105の長さが同一である場合と比較して、負極タブ120の近傍に位置する負極集電体105が電池要素100に向けて押し込まれにくくすることができる。
【0025】
前方蓋材210は、電池要素100の前端面を覆っている。前方から見て、前方蓋材210は、Z方向に対して略平行な一対の長辺及びY方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状を有している。ただし、前方蓋材210の形状は、この例に限定されない。
【0026】
後方蓋材220は、電池要素100の後端面を覆っている。後方から見て、後方蓋材220は、Z方向に対して略平行な一対の長辺及びY方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状を有している。ただし、後方蓋材220の形状は、この例に限定されない。
【0027】
図1及び図2に示すように、巻付部分302は、前方及び後方の双方に向けて開口した略筒形状となっている。巻付部分302の前方の開口の内部には、前方蓋材210が配置されている。巻付部分302の後方の開口の内部には、後方蓋材220が配置されている。巻付部分302は、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周りに1周巻き付けられている。よって、前方蓋材210、後方蓋材220及び巻付部分302は、電池要素100、複数の正極集電体103及び複数の負極集電体105を収容する収容空間を形成している。収容空間には、電池要素100、複数の正極集電体103及び複数の負極集電体105とともに、不図示の電解液が収容されている。なお、巻付部分302の電池要素100の巻き付きの態様は、上述した例に限定されない。
【0028】
後述する4つの前方突出部214の外周面を含めて前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、4つの前方突出部214の外周面を含めて前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、の間に前方封止部510が形成されている。
【0029】
後述する4つの後方突出部224の外周面を含めて後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、4つの後方突出部224の外周面を含めて後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、の間に後方封止部520が形成されている。
【0030】
図1及び図2に示すように、前方から見て、引出部分304は、巻付部分302の電池要素100の左上側の角から引き出されている。具体的には、図2に示すように、引出部分304は、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを含んでいる。第1引出部分304aは、巻付部分302のX方向の周りの周方向の両端の一方から引き出されている。第2引出部分304bは、巻付部分302のX方向の周りの周方向の両端の他方から引き出されている。第1引出部分304a及び第2引出部分304bは、例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、前方から見て、第1引出部分304a及び第2引出部分304bの間に側方封止部530が形成されている。引出部分304は、電池要素100の上面に沿って折り曲げられている。ただし、引出部分304は、折り曲げられていなくてもよい。引出部分304の折り曲げの形状は、実施形態に係る形状に限定されない。
【0031】
図3及び図4を参照して、前方蓋材210について説明する。
【0032】
図3に示すように、前方蓋材210は、前方基材部212及び4つの前方突出部214を有している。前方基材部212は、金属部212a及び樹脂部212bを含んでいる。
【0033】
前方基材部212は、X方向に略垂直な略板形状となっている。前方基材部212は、Z方向に対して略平行な一対の長辺及びY方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状を有している。よって、X方向から見て、前方基材部212は、巻付部分302によって覆われた4つの角部を有している。実施形態において、前方基材部212の各角部は、略直角形状となっている。ただし、前方基材部212の各角部は、丸みを帯びていてもよい。前方基材部212の各角部では、Z方向に対して略平行な長辺と、Y方向に対して略平行な短辺と、が互いに交わっている。
【0034】
金属部212aは、Z方向に対して略平行な一対の長辺及びY方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状を有している。金属部212aは、導電性を有している。よって、金属部212aは、電池要素100の端子としても動作可能になっている。金属部212aは、樹脂部212bよりも、水分を透過させにくい。よって、前方基材部212の全体が樹脂部212bによって構成されている場合と比較して、前方蓋材210の水分の遮断性を向上させることができる。ただし、前方基材部212の全体が樹脂部212bによって構成されていてもよい。
【0035】
樹脂部212bは、金属部212aをX方向の周りに囲んでいる。具体的には、樹脂部212bは、金属部212aの全辺に沿って延在している。樹脂部212bは、金属部212aよりも、巻付部分302に熱融着によって接合しやすい。よって、前方基材部212の全体が金属部212aによって構成されている場合と比較して、前方封止部510を形成しやすくすることができる。ただし、前方基材部212の全体が金属部212aによって構成されていてもよい。
【0036】
4つの前方突出部214は、前方基材部212の4つの角部から後方に向けて突出している。各前方突出部214は、樹脂によって形成されている。各前方突出部214及び樹脂部212bは一体となっている。図3に示す例において、各前方突出部214は、略四角柱形状を有している。ただし、各前方突出部214の形状は、この例に限定されない。実施形態では、前方蓋材210が4つの前方突出部214を有しない場合と比較して、前方蓋材210の4つの角部における前方蓋材210の外周面及び巻付部分302の内周面の接触面積を大きくすることができる。よって、実施形態では、巻付部分302が前方蓋材210の角部に沿って折れ曲がっていても、前方蓋材210が4つの前方突出部214を有しない場合と比較して、前方蓋材210の角部の封止性を向上させることができる。
【0037】
図4に示すように、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面は、X方向に対して略平行に並んでいる。すなわち、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面は、電池要素100の前端面に垂直な方向に並んでいる。具体的には、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面は、X方向に対して略平行に互いに押圧している。よって、X方向から見て、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面がX方向に垂直な方向に互いにずれている場合と比較して、前方蓋材210のX方向の位置ずれを抑制することができる。例えば、電池セル10が搭載された自動車の振動等の要因によって前方蓋材210が衝撃を受けても、前方蓋材210のX方向の位置ずれを抑制することができる。この場合、前方蓋材210のX方向の位置ずれによる正極集電体103の電池要素100への押し込みを抑制することができる。よって、正極集電体103の電池要素100への押し込みによる電池要素100の短絡を抑制することができる。加えて、電池セル10の製造の際の真空引きによって前方蓋材210が電池要素100に向けて引き付けられても、前方蓋材210のX方向の位置ずれを抑制することができる。
【0038】
図4に示すように、各電池要素100の前端面と、前方基材部212の後面と、の間には、複数の正極集電体103が収容される隙間が存在している。この隙間のX方向の寸法は、前方基材部212の後面に対する前方突出部214の後端面の後方へのずれの大きさによって調整可能である。したがって、前方蓋材210が各前方突出部214を有しない場合と比較して、複数の正極集電体103が収容される隙間のX方向の寸法を容易に調整することができる。
【0039】
実施形態では、図3に示すように、4つの前方突出部214は、前方蓋材210の4つの角部に部分的に位置している。言い換えると、4つの角部を除いて、前方突出部214は、前方突出部214の各辺に位置していない。よって、前方蓋材210における4つの前方突出部214が位置しない部分のX方向の厚さTは、前方蓋材210における4つの前方突出部214が位置する部分のX方向の厚さT1より薄くなっている。したがって、前方突出部214が前方蓋材210の全辺に沿って延在している場合と比較して、前方蓋材210の軽量化することができる。加えて、Y方向又はZ方向に隣り合う2つの前方突出部214の間の隙間は、電解液を収容するための空間としても機能することができる。
【0040】
実施形態において、前方突出部214は、前方蓋材210の角部を除いて、前方蓋材210の一対の長辺に位置していない。したがって、前方突出部214が前方蓋材210の一対の長辺に沿って延在している場合と比較して、前方突出部214がY方向の両端側に位置する正極集電体103を電池要素100に向けて押し込むことを抑制することができる。
【0041】
前方蓋材210における4つの前方突出部214が位置する部分のX方向に垂直な面積の合計S1は、前方蓋材210のX方向に垂直な全面積Sの例えば0.50%以上75%以下である。比S1/Sが上述の範囲にある場合、比S1/Sが上述の範囲の下限未満である場合と比較して、前方蓋材210の各角部における前方蓋材210の外周面及び巻付部分302の内周面の接触面積を確保しやすくすることができる。比S1/Sが上述の範囲にある場合、比S1/Sが上述の範囲の上限より大きい場合と比較して、各電池要素100の前端面と前方基材部212の後面との間に存在する隙間のX方向に垂直な面積を確保しやすくすることができる。
【0042】
前方蓋材210における各前方突出部214が位置する部分のX方向の厚さT1は、前方蓋材210における前方突出部214が位置しない部分のX方向の厚さTの例えば1.2倍以上4.0倍以下である。比T1/Tが上述の範囲にある場合、比T1/Tが上述の範囲の下限未満である場合と比較して、各電池要素100の前端面と前方基材部212の後面との間に存在する隙間のX方向の寸法を確保しやすくすることができ、電池セル10の内部の空間利用率を向上させることができる。比T1/Tが上述の範囲内にある場合、比T1/Tが上述の範囲の上限より大きい場合と比較して、電池セル10のX方向の寸法を低減することができる。
【0043】
実施形態において、各前方突出部214の後端面は、X方向に略垂直な平坦面となっている。ただし、各前方突出部214の後端面の少なくとも一部分は湾曲していてもよい。例えば、各前方突出部214の後端面は、リップル形状となっていてもよい。各前方突出部214の後端面の湾曲形状に応じて、各前方突出部214の後端面が電池要素100の前端面に与える圧力を調整することができる。
【0044】
図4に示すように、後方蓋材220は、前方蓋材210と同様にして、後方基材部222及び4つの後方突出部224を有している。後方蓋材220の構造は、前方蓋材210の構造について説明した構造と同様にすることができる。
【0045】
次に、図5を参照して、前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面の間の領域の一例について説明する。
【0046】
図5に示す例において、各セパレータ106の前端部は、左方に向けて折れ曲がっている。よって、各セパレータ106の前端部は、各正極102の前端部又は各負極104の前端部を前方から少なくとも部分的に覆っている。したがって、各セパレータ106の前端部が、正極102の前端部及び前方突出部214の後端面の間と、負極104の前端部及び前方突出部214の後端面の間と、の双方に位置している。よって、各正極102の前端部及び各負極104の前端部がセパレータ106によって覆われずに前方に向けて露出している場合と比較して、前方突出部214の後端面の押圧による正極102及び負極104の短絡を抑制しやすくすることができる。図5に示す例では、各セパレータ106の前端部の余長部の長さ、すなわち、各セパレータ106における正極102の前端部より前方に位置する部分の長さ及び各セパレータ106における負極104の前方に位置する部分の長さは、各正極102の前端部及び各負極104の前端部を前方から少なくとも部分的に確実に覆うことが可能な長さとなっている。
【0047】
図6は、図5の第1の変形例を示す図である。
【0048】
図6に示す例では、電池要素100の前端面と、前方突出部214の後端面と、の間に絶縁材250が位置している。絶縁材250は、例えば、絶縁テープである。したがって、絶縁材250が設けられていない場合と比較して、前方突出部214の後端面の押圧による正極102及び負極104の短絡を抑制しやすくすることができる。
【0049】
図7は、図5の第2の変形例を示す図である。
【0050】
図7に示す例では、Z方向から見て、セパレータ106が、各正極102の後端部及び各負極104の前端部で交互に折り返されている。図5を用いて説明したように、複数の正極集電体103は、電池要素100から前方に向けて引き出されており、複数の負極集電体105は、電池要素100から後方に向けて引き出されている。したがって、セパレータ106の前方側の折返し部及び後方側の折返し部がそれぞれ各負極104の前端部及び各正極102の後端部を覆っていても、複数の正極集電体103及び複数の負極集電体105をそれぞれ電池要素100から前方及び後方に向けて引き出すことができる。
【0051】
図7に示すように、セパレータ106の前方側の折り返し部は、各負極104の前端部を覆っている。したがって、電池要素100の前端面及び前方突出部214の後端面の間において、セパレータ106の前方側の折り返し部は、負極104の前端部及び前方突出部214の後端面の間の間に位置している。よって、各負極104の前端部がセパレータ106によって覆われずに前方に向けて露出している場合と比較して、前方突出部214の後端面の押圧による正極102及び負極104の短絡を抑制しやすくすることができる。図7に示す例と同様にして、セパレータ106の後方側の折り返し部は、各正極102の後端部を覆っている。よって、各正極102の後端部がセパレータ106によって覆われずに後方に向けて露出している場合と比較して、後方突出部224の前端面の押圧による正極102及び負極104の短絡を抑制しやすくすることができる。
【0052】
次に、実施形態に係る電池セル10の製造方法の一例について説明する。この例において、実施形態に係る電池セル10は、以下のようにして製造されている。
【0053】
まず、電池要素100を製造する。電池要素100は、少なくとも1つの正極102、少なくとも1つの負極104及び少なくとも1つのセパレータ106を有している。電池要素100からは複数の正極集電体103及び複数の負極集電体105が引き出されている。
【0054】
次いで、正極タブ110及び前方蓋材210を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120及び後方蓋材220を互いに接合させる。次いで、正極タブ110及び複数の正極集電体103を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120及び複数の負極集電体105を互いに接合させる。ただし、正極タブ110及び複数の正極集電体103を互いに接合させた後、正極タブ110及び前方蓋材210を互いに接合させてもよい。同様にして、負極タブ120及び複数の負極集電体105を互いに接合させた後、負極タブ120及び後方蓋材220を互いに接合させてもよい。
【0055】
次いで、外装フィルム300を電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周りに1周巻き付ける。よって、巻付部分302が形成される。また、外装フィルム300の余長を引出部分304として引き出す。
【0056】
次いで、4つの前方突出部214の外周面を含めて前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面と、の間に前方封止部510が形成される。次いで、4つの後方突出部224の外周面を含めて後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面と、の間に後方封止部520が形成される。この状態において、前方蓋材210、後方蓋材220及び巻付部分302は、電池要素100、複数の正極集電体103及び複数の負極集電体105を収容する収容空間を形成している。
【0057】
次いで、第1引出部分304a及び第2引出部分304bの間の隙間を介して収容空間に電解液を注入する。次いで、第1引出部分304a及び第2引出部分304bの間の隙間を介して収容空間を真空引きする。次いで、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを熱融着によって接合して側方封止部530を形成する。よって、収容空間が真空封止される。実施形態においては、真空引きによって前方蓋材210が電池要素100に向けて引き付けられても、前方蓋材210のX方向の位置ずれを各前方突出部214によって抑制することができる。後方蓋材220についても同様である。
【0058】
収容空間の真空封止の方法は、上述した例に限定されない。他の例においては、まず、第1引出部分304a及び第2引出部分304bを熱融着によって接合して側方封止部530を形成する。次いで、前方蓋材210及び後方蓋材220の少なくとも一方に設けられた注液孔を介して収容空間に電解液を注入する。次いで、当該注液孔を介して収容空間を真空引きする。次いで、当該注液孔を所定の蓋材によって塞ぐ。
【0059】
次いで、側方封止部530を電池要素100の上面に沿って折り曲げる。
【0060】
このようにして、電池セル10が製造される。
【0061】
図8は、変形例1に係る前方蓋材210Aの後方斜視図である。変形例1に係る前方蓋材210Aは、以下の点を除いて、実施形態に係る前方蓋材210と同様である。
【0062】
変形例1に係る前方蓋材210Aは、前方基材部212及び2つの前方突出部214Aを有している。2つの前方突出部214Aは、前方基材部212のY方向に対して略平行な一対の短辺に沿って延在している。よって、2つの前方突出部214Aは、Z方向に互いに対向している。前方基材部212の角部を除いて、前方基材部212のZ方向に対して略平行な一対の長辺には前方突出部214Aが位置していない。よって、前方蓋材210Aにおける2つの前方突出部214Aが位置しない部分のX方向の厚さは、前方蓋材210Aにおける2つの前方突出部214Aが位置する部分のX方向の厚さより薄くなっている。
【0063】
変形例1においては、実施形態よりも、前方突出部214Aの後端面及び電池要素100の前端面の接触面積を大きくすることができる。したがって、変形例1においては、実施形態よりも、電池要素100の前端面が前方突出部214Aから受ける圧力を緩和することができる。
【0064】
変形例1においても、実施形態と同様にして、前方突出部214Aは、前方蓋材210Aの角部を除いて、前方蓋材210Aの一対の長辺に位置していない。変形例1においても、実施形態と同様にして、複数の正極集電体103は、Y方向に互いに重なっている。したがって、前方突出部214Aが前方蓋材210Aの一対の長辺に沿って延在している場合と比較して、前方突出部214AがY方向の両端側に位置する正極集電体103を電池要素100に向けて押し込むことを抑制することができる。
【0065】
図9は、変形例2に係る前方蓋材210Bの後方斜視図である。変形例2に係る前方蓋材210Bは、以下の点を除いて、実施形態に係る前方蓋材210と同様である。
【0066】
変形例2に係る前方蓋材210Bは、前方基材部212及び前方突出部214Bを有している。前方突出部214Bは、前方蓋材210Bの一対の長辺及び一対の短辺を含む全辺に沿って延在している。よって、変形例2においては、実施形態及び変形例1よりも、前方突出部214Bの後端面及び電池要素100の前端面の接触面積を大きくすることができる。したがって、変形例2においては、実施形態及び変形例1よりも、電池要素100の前端面が前方突出部214Bから受ける圧力を緩和することができる。
【0067】
図10は、変形例3に係る前方蓋材210Cの後方斜視図である。変形例3に係る前方蓋材210Cは、以下の点を除いて、実施形態に係る前方蓋材210と同様である。
【0068】
変形例3に係る前方蓋材210Cは、前方基材部212及び4つの前方突出部214Cを有している。各前方突出部214Cは、面取りされた略四角柱形状となっている。具体的には、各前方突出部214Cは、X方向に対して略垂直な後端面と、当該後端面の周縁から前方に向けて延在してX方向に対して略平行な4つの側面と、を有している。各前方突出部214Cの後端面及び各側面の交差部の角部と、各前方突出部214Cの互いに交差する側面の間の交差部の角部と、は面取りされている。よって、図10に示す例において、各前方突出部214Cの後端面及び各側面の交差部と、各前方突出部214Cの互いに交差する側面の間の交差部と、は丸みを帯びている。したがって、各前方突出部214Cの後端面及び各側面の間の交差部が直角である場合と比較して、各前方突出部214の後端面が電池要素100の前端面に与える圧力を緩和することができる。前方突出部214Cの上述した角部を丸ませるための方法は、面取りに限定されない。各前方突出部214Cの互いに交差する側面の間の交差部は、直角であってもよい。
【0069】
前方蓋材210Cの上述した角部の形状は、図10に示す例に限定されない。例えば、各前方突出部214Cの後端面及び各側面の交差部は、45°面取りによって、各前方突出部214Cの後端面に対して斜めになっていてもよい。各前方突出部214Cの後端面に対する当該交差部の角度は、45°であってもよいし、又は45°と異なっていてもよい。各前方突出部214Cの後端面及び各側面の交差部が各前方突出部214Cの後端面に対して斜めである場合、各前方突出部214Cの後端面及び各側面の間の交差部が直角である場合と比較して、各前方突出部214の後端面が電池要素100の前端面に与える圧力を緩和することができる。各前方突出部214Cの互いに交差する側面の間の交差部も、各前方突出部214Cの互いに交差する側面の双方に対して斜めになっていてもよい。各前方突出部214Cのこれらの角部の形成方法は、45°面取りに限定されない。
【0070】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0071】
例えば、実施形態では、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面は、互いに接触して、X方向に対して略平行に互いに直接押圧している。しかしながら、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面は、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面の間に絶縁体等のスペーサが配置された状態で、X方向に対して略平行に互いに押圧していてもよい。
【0072】
各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面は、間隙を介してX方向に対して略平行に互いに対向していてもよい。すなわち、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面は、互いに接触していなくてもよい。各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面が間隙を介してX方向に対して略平行に互いに対向していても、前方蓋材210のX方向の位置ずれを、各前方突出部214の後端面及び電池要素100の前端面の間の間隙のX方向の長さに制限することができる。よって、X方向から見て前方突出部214が電池要素100の前端面の外側にずれて位置している場合と比較して、前方蓋材210のX方向の位置ずれによる正極集電体103の電池要素100への押し込みを抑制することができる。
【0073】
例えば、実施形態では、正極タブ110及び負極タブ120が電池要素100のX方向の互いに反対側に配置されている。しかしながら、正極タブ110及び負極タブ120の双方が電池要素100のX方向の前側及び後側の一方のみに配置されていてもよい。この場合、電池要素100の前端部及び後端部は、例えば、2つの蓋材によって覆われている。或いは、電池要素100の正極タブ110及び負極タブ120が引き出された側のみが蓋材によって覆われていてもよい。この例において、電池要素100の蓋材の反対側では、外装フィルム300が封止されて電池要素100に沿って折りたたまれていてもよい。
【0074】
本明細書において、「略」、「約」、「実質的に」等の近似の用語は、ある要素の状態を修飾する場合、当該状態によって意図した目的が達成されることが当業者にとって理解される範囲を意味している。例えば、「略平行」とは、文脈に応じて、完全な平行だけでなく、完全な平行から-10°以上+10°以下、-5.0°以上+5.0°以下等の所定角度ずれた状態を意味することがある。「略垂直」とは、文脈に応じて、完全な垂直だけでなく、完全な垂直から-10°以上+10°以下、-5.0°以上+5.0°以下等の所定角度ずれた状態を意味することがある。「略直角」とは、文脈に応じて、完全な直角だけでなく、完全な直角から-5.0°以上+5.0°以下、-2.5°以上+2.5°以下等の所定角度ずれた状態を意味することがある。
【符号の説明】
【0075】
10 電池セル、100 電池要素、102 正極、103 正極集電体、104 負極、105 負極集電体、106 セパレータ、110 正極タブ、120 負極タブ、210,210A,210B,210C 前方蓋材、212 前方基材部、212a 金属部、212b 樹脂部、214,214A,214B,214C 前方突出部、220 後方蓋材、222 後方基材部、224 後方突出部、250 絶縁材、300 外装フィルム、302 巻付部分、304 引出部分、304a 第1引出部分、304b 第2引出部分、510 前方封止部、520 後方封止部、530 側方封止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10