2024-157626 冷却システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024157626

(43)【公開日】2024-11-08

(54)【発明の名称】冷却システム

(51)【国際特許分類】

   B60K 11/06 20060101AFI20241031BHJP

   B60K 1/04 20190101ALI20241031BHJP

【ＦＩ】

B60K11/06

B60K1/04 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】1

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023072074

(22)【出願日】2023-04-26

(71)【出願人】

【識別番号】000003207

【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000110

【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】佐藤 彰洋

【テーマコード（参考）】

3D038

3D235

【Ｆターム（参考）】

3D038AA05

3D038AA09

3D038AB01

3D235AA01

3D235BB45

3D235CC13

(57)【要約】

【課題】冷却システムの冷却性能を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】冷却システムは、ブロワと、コンバータを収容するコンバータケースと、
コンバータケースの一外面を覆うように配置され、ブロワに接続された上流端と外部に開放された下流端との間で、ブロワからの冷却風を一外面に沿って案内する金属ダクトと、を備えている。金属ダクトは、上流端から下流端まで延びる上側プレートと、上流端からコンバータケースまでの区間で上側プレートに対向する下側プレートとを有している。上側プレートの側縁と下側プレートの側縁とは、互いに重なり合うとともに、金属ダクトの延在方向に沿って連続的にかしめ固定されている。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

冷却システムであって、
ブロワと、
コンバータを収容するコンバータケースと、
前記コンバータケースの一外面を覆うように配置され、前記ブロワに接続された上流端と外部に開放された下流端との間で、前記ブロワからの冷却風を前記一外面に沿って案内する金属ダクトと、
を備え、
前記金属ダクトは、前記上流端から前記下流端まで延びる上側プレートと、前記上流端から前記コンバータケースまでの区間で前記上側プレートに対向する下側プレートとを有し、
前記上側プレートの側縁と前記下側プレートの側縁とは、互いに重なり合うとともに、前記金属ダクトの延在方向に沿って連続的にかしめ固定されている、
冷却システム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本明細書が開示する技術は、冷却システムに関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１に、ブロワと、コンバータを収容するコンバータケースと、コンバータケースの一外面を覆うように配置され、ブロワに接続された上流端と外部に開放された下流端との間で、ブロワからの冷却風を一外面に沿って案内する金属ダクトと、を備える冷却システムが開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２１－５９２１５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

冷却システムにおいて、金属ダクトが、上流端から下流端まで延びる上側プレートと、上流端からコンバータケースまでの区間で上側プレートに対向する下側プレートと、を有する構成が考えられる。このような構成の場合、上側プレートの側縁と下側プレートの側縁とが互いに重なり合うとともに、それらの一部がスポット溶接によって接合される。スポット溶接によって接合されている部分には隙間は生じない。しかしながら、スポット溶接が施されていない箇所には、微小な隙間が生じ得る。この場合、ダクトを流れる冷却風が当該隙間から漏れ出てしまい、冷却システムの冷却性能が低下し得る。

【0005】

本明細書では、冷却システムの冷却性能を向上させることができる技術を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本技術の第１の態様では、冷却システムは、ブロワと、コンバータを収容するコンバータケースと、前記コンバータケースの一外面を覆うように配置され、前記ブロワに接続された上流端と外部に開放された下流端との間で、前記ブロワからの冷却風を前記一外面に沿って案内する金属ダクトと、を備えている。前記金属ダクトは、前記上流端から前記下流端まで延びる上側プレートと、前記上流端から前記コンバータケースまでの区間で前記上側プレートに対向する下側プレートとを有している。前記上側プレートの側縁と前記下側プレートの側縁とは、互いに重なり合うとともに、前記金属ダクトの延在方向に沿って連続的にかしめ固定されている。

【0007】

上記の構成によると、上側プレートの側縁と前記下側プレートの側縁とは、互いに重なり合うとともに、金属ダクトの延在方向に沿って連続的にかしめ固定されている。かしめ固定が施されている部分には隙間は生じない。このため、上側プレートの側縁と前記下側プレートの側縁との間から冷却風が漏れ出ることを抑制することができる。従って、冷却システムの冷却性能を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】冷却システムの斜視図。

【図2】ダクトの上面図。

【図3】図２のIII-III線に沿った断面模式図。

【発明を実施するための形態】

【0009】

（実施例）
図１に示すように、冷却システム２は、吸気ダクト１０と、ブロワ１２と、排気ダクト１４と、ＤＣ－ＤＣコンバータ（図示省略）を収容するコンバータケース１６と、を備えている。冷却システム２は、電池で駆動モータを回転させる電気自動車、燃料電池で発電した電力で駆動モータを回転させる燃料電池車、駆動モータと内燃機関の両者を備えているハイブリッド自動車等の電動車に搭載される。以下では、理解しやすくするために、排気ダクト１４の延在方向を「前後方向」とし、それを基準に「左右方向」及び「上下方向」を図１に示すように定義する。なお、ここで定義する各方向は、冷却システム２の製造時や使用時における姿勢を限定するものではない。

【0010】

吸気ダクト１０の上流端は外部に開放されており、吸気ダクト１０の下流端はブロワ１２に接続されている。ブロワ１２は、吸気ダクト１０を介して冷却風を吸引し、冷却風を排気ダクト１４に送り出す。

【0011】

排気ダクト１４は、金属ダクトである。排気ダクト１４は、前後方向に延びている。排気ダクト１４の上流端（即ち後端）はブロワ１２に接続されており、排気ダクト１４の下流端（即ち前端）は外部に開放されている。排気ダクト１４は、コンバータケース１６の上面を覆うように配置されている。排気ダクト１４は、上流端と下流端との間で、ブロワ１２からの冷却風をコンバータケース１６の上面に沿って案内する。

【0012】

図２に示すように、排気ダクト１４は、上流端から下流端まで延びる上側プレート２０と、下側プレート２２（図３参照）と、を有している。上側プレート２０の上流端（即ち後端）は、排気ダクト１４に接続されている。上側プレート２０の下流端（即ち前端）の前後方向の位置は、コンバータケース１６の前端と略一致する。上側プレート２０は、上壁３０と、右壁３２と、左壁３４と、上側プレート２０の左右両側に設けられている側縁３６と、を備えている。図３に示すように、右側の側縁３６は、右壁３２の下端から右方に延びており、左側の側縁３６は、左壁３４の下端から左方に延びている。図２に示すように、側縁３６は、第１区間Ｓ１を延びる第１側縁３６ａと、第２区間Ｓ２を延びる第２側縁３６ｂと、を有している。第１区間Ｓ１は、上側プレート２０の上流端からコンバータケース１６の後端までの区間である。第２区間Ｓ２は、コンバータケース１６の後端から前端までの区間である。

【0013】

図３の下側プレート２２は、第１区間Ｓ１で上側プレート２０に対向している。下側プレート２２は、底壁４０と、右壁４２と、左壁４４と、下側プレート２２の左右両側に設けられている側縁４６と、を備えている。右側の側縁４６は、右壁４２の上端から右方に延びており、左側の側縁４６は、左壁４４の上端から左方に延びている。上側プレート２０の第１側縁３６ａと下側プレート２２の側縁４６とは互いに重なり合う形状を有している。なお、上側プレート２０及び下側プレート２２は、板金を曲げ加工することによって形成される。

【0014】

図２に示すように、上側プレート２０の第１側縁３６ａには、上側プレート２０の第１側縁３６ａに対して下側プレート２２の側縁４６がスポット溶接される複数個の溶接部５０が形成されている。即ち、上側プレート２０と下側プレート２２とは、溶接によって接合されている。上側プレート２０と下側プレート２２とが接合されることによって、第１区間Ｓ１における排気流路が形成される。

【0015】

図３に示すように、上側プレート２０の側縁３６（詳細には第１側縁３６ａ）と下側プレート２２の側縁４６とは、排気ダクト１４の延在方向（即ち前後方向）に沿って連続的にかしめ固定されている。図２では、上側プレート２０の側縁３６と下側プレート２２の側縁４６とがかしめ固定されている部分（以下では、「かしめ部３８」と記載する）を２点鎖線で示している。かしめ部３８は、溶接部５０よりも外側に形成されている。かしめ部３８における上側プレート２０の側縁３６と下側プレート２２の側縁４６とは圧着されている。

【0016】

第２区間Ｓ２において、上側プレート２０はコンバータケース１６の上面に固定される。上側プレート２０とコンバータケース１６の上面によって、第２区間Ｓ２における排気流路が形成される。ブロワ１２から排気ダクト１４に流入する冷却風は、矢印Ｆに沿って流れる。冷却風は、第１区間Ｓ１における排気流路、第２区間Ｓ２における排気流路を順番に通過する。即ち、排気ダクト１４は、ブロワ１２に接続された上流端と外部に開放された下流端との間で、ブロワ１２からの冷却風をコンバータケース１６の上面に沿って案内する。

【0017】

図１に示すように、コンバータケース１６の上面には、前後方向に延びる複数個の放熱フィン６０が設けられている。複数個の放熱フィン６０は左右方向に並んで配置されている。複数個の放熱フィン６０は、上側プレート２０の内側に配置されている。第２区間Ｓ２（図２参照）において、ブロワ１２からの冷却風はコンバータケース１６の上面に沿って流れる。コンバータケース１６の上面に沿って流れる冷却風が放熱フィン６０に接触することによって、コンバータケース１６に収容されるコンバータが冷却される。

【0018】

（本実施例の効果）
上述のように、冷却システム２は、ブロワ１２と、コンバータを収容するコンバータケース１６と、コンバータケース１６の上面（「一外面」の一例）を覆うように配置され、ブロワ１２に接続された上流端と外部に開放された下流端との間で、ブロワ１２からの冷却風をコンバータケース１６の上面に沿って案内する排気ダクト１４（「金属ダクト」の一例）と、を備えている。排気ダクト１４は、上流端から下流端まで延びる上側プレート２０と、上流端からコンバータケース１６までの第１区間Ｓ１で上側プレート２０に対向する下側プレート２２とを有している。上側プレート２０の側縁３６（詳細には第１側縁３６ａ）と下側プレート２２の側縁４６とは、互いに重なり合うとともに、排気ダクト１４の延在方向に沿って連続的にかしめ固定されている。

【0019】

上記の構成によると、上側プレート２０の側縁３６（詳細には第１側縁３６ａ）と下側プレート２２の側縁４６とは、互いに重なり合うとともに、排気ダクト１４の延在方向に沿って連続的にかしめ固定されている。図３に示されるように、かしめ固定が施されている部分には隙間は生じない。このため、上側プレート２０の側縁３６と下側プレート２２の側縁４６との間から冷却風が漏れ出ることを抑制することができる。従って、冷却システム２の冷却性能を向上させることができる。また、排気ダクト１４が金属ダクトであるので、排気ダクト１４が樹脂ダクトである構成と比較して、排気ダクト１４の耐熱性を向上させることができる。

【符号の説明】

【0020】

２：冷却システム、１０：吸気ダクト、１２：ブロワ、１４：排気ダクト、１６：コンバータケース、２０：上側プレート、２２：下側プレート、３０：上壁、３２：右壁、３４：左壁、３６：側縁、３６ａ：第１側縁、３６ｂ：第２側縁、３８：かしめ部、４０：底壁、４２：右壁、４４：左壁、４６：側縁、５０：溶接部、６０：放熱フィン、Ｆ：矢印、Ｓ１：第１区間、Ｓ２：第２区間

【図1】

【図2】

【図3】