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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157630
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】短絡防止具
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/04 20060101AFI20241031BHJP
   G01R 1/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01R11/04 B
G01R1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072081
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 朗
(57)【要約】
【課題】スマートメータの計量部の直下に通信ユニットを仮固定しておくことができる短絡防止具を提供する。
【解決手段】スマートメータ50の端子台51を覆うようにして取り付けられる本体部2と、この本体部2において、端子台51の各端子52を個別に裸出させる切欠き状のスリット3と、本体部2の上縁2a又は上縁2a寄りに設けられ、通信ユニット58を保持する載置部4を備えていることを特徴とする短絡防止具1Aによる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートメータの端子台を覆うようにして取り付けられる本体部と、
前記本体部において、前記端子台の各端子を個別に裸出させる切欠き状のスリットと、
前記本体部の上縁又は上縁寄りに設けられ、通信ユニットを保持する載置部を備えていることを特徴とする短絡防止具。
【請求項2】
前記載置部は、
前記本体部から分離可能であり、
連結構造を介して前記本体部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の短絡防止具。
【請求項3】
前記載置部の裏面側に設けられる補強用リブを備えていることを特徴とする請求項1に記載の短絡防止具。
【請求項4】
前記載置部の載置面は、滑り止め材からなる又は別体の滑り止め材を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の短絡防止具。
【請求項5】
個々の前記スリットに設けられ、前記スリットを開閉する開閉蓋を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の短絡防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台の端子に工具等が接触して短絡することを防止する短絡防止具に関する。
【0002】
近年、電気事業法等の改正により、電力、ガス等の小売業への参入が自由化されることになった。そのため、電力、ガス等の供給を受ける際、単一の供給事業者による多様な供給契約メニュー(料金メニュー等)や、複数の供給事業者による計量等に対応するため、電力、ガス、水道を含む供給物の供給を受ける需要家宅に設置される、供給物の使用量を計量する計量メータでは、供給事業者と通信可能なスマートメータが普及している。
【0003】
まず、スマートメータの概要について図11及び図12を参照しながら説明する。
図11はスマートメータのイメージ図である。
スマートメータ50は主に、表示部56を備えた計量部55と、この計量部55の鉛直下方側に配される端子台51と、計量部55の直下に配されケーブル53により計量部55に接続される通信ユニット58からなる。
さらに、上述のスマートメータ50では、端子台51を介して計量部55に間接的に電線54が接続される。
なお、図11では、端子台51の正面51a側に通信ユニット58を移動した状態を示しているが、通信ユニット58は通常、その背面側に設けられる掛止用突起60(後段の図12を参照)を計量部55の直下の奥側に設けられる通信ユニット掛止部57に差し込むことで、計量部55の直下の最奥に配置される(後段の図3を参照)。
【0004】
さらに、需要家宅においてスマートメータ50を新たに設置したり、故障等によりスマートメータ50を交換したりする場合は、端子台51の端子52に螺着される端子ネジ52aを締めたり緩めたりする操作を行う必要がある。
このとき、端子ネジ52aの操作時に、その操作に使用しているドライバ等の手工具や操作中の端子ネジ52aが、意図せず操作対象でない他の端子52や他の端子52に設けられる他の端子ネジ52aに触れるなどして、短絡事故が起こるおそれがあった。
このような事情に対処するため、本件の出願人は過去に本発明と関連する先願として特許文献1、2に示す「短絡防止具」を発明し出願している。
【0005】
そして、上述のような特許文献1、2に開示される短絡防止具の使用に際し、スマートメータ50の端子台51上に通信ユニット58があると短絡防止具を取設することができないため、計量部55の直下から通信ユニット58を移動させてから端子ネジ52aの操作を行う必要があった。
ところが、スマートメータ50の計量部55と通信ユニット58をつなぐケーブルは必要最小限度の長さしか有しておらず、しかも端子台51における端子ネジ52aの操作時も、計量部55と通信ユニット58をケーブル53によりつないでおく必要がある。
このため、スマートメータ50に対する作業手順では、計量部55に粘着テープ61(後段の図12を参照)等を用いてケーブル53が接続された通信ユニット58を仮止めしておくことが推奨されていた。
【0006】
図12はスマートメータの計量部の直下にケーブルが接続された通信ユニットを粘着テープにより仮止めした状態を示すイメージ図である。なお、図11に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図12に示すように、ケーブル53が接続された通信ユニット58を計量部55に粘着テープ61を用いて通信ユニット58を仮止めする場合は、下記のような不具合生じていた。
より具体的には、十分な長さの粘着テープ61を準備できない場合は、通信ユニット58を計量部55にしっかりと仮固定しておくことができない、あるいは粘着テープ61の貼設時や剥離時に、粘着テープ61が付着したケーブル53が意図せずケーブル接続部から引き抜かれてしまい、作業中にスマートメータ50と供給事業者との間の通信が途絶してしまう等の不具合が生じていた。
【0007】
このような課題に対処するために、スマートメータの計量部に通信ユニットを直接仮固定しておくための構造(特許文献3、4を参照)や、スマートメータの計量部に間接的に通信ユニットを仮固定しておくための治具に関する先願が知られている(特許文献5~10を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-206720号公報
【特許文献2】特許第5840817号公報
【特許文献3】特開2018-112418号公報
【特許文献4】特開2017-142112号公報
【特許文献5】特開2018-132403号公報
【特許文献6】特開2017-146142号公報
【特許文献7】特開2018-31641号公報
【特許文献8】特開2018-59764号公報
【特許文献9】特開2019-128217号公報
【特許文献10】特開2022-141385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献3、4に開示される発明によれば、通信ユニットを保持しておくための専用の治具を用いることなく計量部に通信ユニットを仮固定しておくことができるものの、計量部を収容するハウジングを成型する際に用いる金型を変更する必要がある。そして、金型の設計変更には多大なコストを要することから、実現性が乏しいという別の課題を有していた。
【0010】
上述の特許文献5~10に開示される発明によれば、計量部を収容するハウジングの成型時に用いる金型を変更する必要はないものの、スマートメータを設置又は交換する作業員は、作業用の工具類とは別に、計量部に通信ユニットを仮固定しておくための専用の治具を別途準備して携行する必要があり煩雑であった。
また、このような専用の治具の作製にもある程度のコストがかかる。このため、費用対効果の観点から先の図12に示すような粘着テープ61を使用せざるを得ないという実情があった。
【0011】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、スマートメータの計量部を収容するハウジングに通信ユニットを仮固定しておくための構造物等を設けることなく、かつ通信ユニットを計量部に仮固定するための専用の治具を用いことなく、スマートメータの計量部に通信ユニットを保持(仮固定)しておくことができ、しかもドライバ等の手工具を用いてスマートメータの端子台の端子ネジを操作する際に短絡事故が起こるのを防ぐことができる短絡防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための第1の発明である短絡防止具は、スマートメータの端子台を覆うようにして取り付けられる本体部と、この本体部において、端子台の各端子を個別に裸出させる切欠き状のスリットと、上記本体部の上縁又は上縁寄りに設けられ、通信ユニットを保持する載置部を備えていることを特徴とする。
上記構成の第1の発明においてスリットを備える本体部は、端子台の端子に設けられる端子ネジを、手工具を用いて締め付けたり緩めたりする際に、意図せず他の端子等の間で短絡が起こるのを防ぐという作用を有する。
また、載置部は、手工具を用いて端子台に設けられる端子ネジを操作する際に、スマートメータの計量部の直下に通信ユニットを保持(仮固定)するという作用を有する。
つまり、第1の発明では、短絡防止具を通信ユニットの保持具としても使用することができる。
【0013】
第2の発明は、上述の第1の発明であって、載置部は、本体部から分離可能であり、かつ連結構造を介して本体部に設けられることを特徴とする。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第2の発明において連結構造は、本体部と別体の載置部を、本体部の上縁又は上縁寄りに着脱可能に固定するという作用を有する。
【0014】
第3の発明は、上述の第1の発明であって、載置部の裏面側に設けられる補強用リブを備えていることを特徴とする。
上記構成の第3の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用を有する。また、上述の第3の発明において補強用リブは、載置部上に通信ユニットが載置された際に、通信ユニットの荷重により載置部が変形するのを防ぐという作用を有する。
【0015】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であって、載置部の載置面は、滑り止め材からなる又は別体の滑り止め材を備えていることを特徴とする。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。また、上述の第4の発明において、載置部の載置面が滑り止め材からなる又は別体の滑り止め材を備えていることで、載置面上に通信ユニットを載置した際に、載置面から通信ユニットが意図せず落下するのを防ぐという作用を有する。
【0016】
第5の発明は、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であって、個々のスリットに設けられ、スリットを開閉する開閉蓋を備えていることを特徴とする。
上記構成の第5の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。また、上述の第5の発明において、開閉蓋は必要に応じて本体部に形成されるスリットを閉じるという作用を有する。
この場合、端子台の任意の端子に設けられる端子ネジを、例えばドライバ等の手工具を用いて締め付けたり緩めたりする際に、端子ネジの操作を行わない他の端子に対向して形成されるスリットを、開閉蓋により閉じておくことができる。
この場合、任意の端子に設けられる端子ネジの操作中に、金属製の手工具等を介して間接的に他の端子又は他の端子ネジが操作中の端子ネジに接触して短絡事故が起こるのを一層確実に防ぐという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
上述のような第1の発明によれば、ドライバ等の手工具を用いてスマートメータの端子に設けられる端子ネジを操作する際に、短絡事故が起こるリスクを大幅に低減することができる。
加えて、第1の発明によれば、ドライバ等の手工具を用いた端子ネジの操作時に、粘着テープや専用の治具を用いることなく、しかも計量部を収容するハウジングの外側に通信ユニットを仮固定するための何らかの構造を設けることなく、通信ユニットをスマートメータの計量部の直下に保持しておくことができる。
よって、第1の発明によれば、多機能で利便性が高い短絡防止具を提供することができる。
【0018】
第2の発明は、上述の第1の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第2の発明によれば、不使用時に本体部から載置部を分離しておくことができるので、本体部に一体に載置部が設けられる場合に比べて、第2の発明を構成する個々のパーツの立体形状をシンプルにできる。
よって、第2の発明によれば、本発明に係る短絡防止具の収納性及び可搬性を一層向上させることができる。
【0019】
第3の発明は、上述の第1の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第3の発明によれば、載置部の厚みを相対的に薄くした場合に、通信ユニットの荷重により載置部が変形するのを防ぐことができる。
この場合、載置部で通信ユニットを保持している最中に、載置部が通信ユニットの荷重により変形して通信ユニットが落下するのを防ぐことができる。
加えて、第3の発明を成型体とする場合に、材料であるゴムや合成樹脂の使用量を少なくできる。この結果、第3の発明を廉価に提供できる。
【0020】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明によれば、載置部に載置された通信ユニットが、載置部から意図せず落下してしまうのを防ぐことができる。
よって、第4の発明によれば、より高性能な短絡防止具を提供することができる。
【0021】
第5の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第5の発明によれば、ドライバ等の手工具を用いた端子ネジの操作時に、短絡事故が起こるリスクを一層低減することができる。
よって、第5の発明によれば、より高性能な短絡防止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る短絡防止具の斜視図である。
図2】本実施形態に係る短絡防止具をスマートメータの端子台に取設した状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る短絡防止具の取設する前のスマートメータの様子を示すイメージ図である。
図4】本実施形態に係る短絡防止具をスマートメータの端子台に取設する様子を示すイメージ図である。
図5】本実施形態に係る短絡防止具をスマートメータの端子台に取設した状態を示すイメージ図である。
図6】本実施形態に係る短絡防止具の使用状態を示す斜視図である。
図7】本実施形態の変形例1に係る短絡防止具の一部を切り欠いて示す斜視図である。
図8】本実施形態の変形例2に係る短絡防止具の斜視図である。
図9A】本実施形態の変形例3に係る短絡防止具の斜視図である。
図9B】本実施形態の変形例3に係る短絡防止具において本体部から載置部を分離した状態を示す斜視図である。
図10】本実施形態の変形例4に係る短絡防止具の斜視図である。
図11】スマートメータのイメージ図である。
図12】スマートメータの計量部にケーブルが接続された通信ユニットを粘着テープにより仮止めした状態を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る短絡防止具について図1乃至図10を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
[1;本発明の基本構成について]
はじめに、図1及び図2を参照しながら本発明の実施形態(以下、単に「本実施形態」という)に係る短絡防止具の基本構成について説明する。
図1は本実施形態に係る短絡防止具の斜視図であり、図2は本実施形態に係る短絡防止具をスマートメータの端子台に取設した状態を示す斜視図である。
なお、本実施形態に係る短絡防止具の取設対象であるスマートメータの構造は、本明細書の冒頭部分で図11及び図12を示しながら説明したスマートメータ50と同じである。このため、先の図11及び図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、図2では通信ユニット58の記載を省略している。
本実施形態に係る短絡防止具1Aは、図1及び図2に示すように、スマートメータ50の端子台51を覆うようにして取り付けられる本体部2と、この本体部2において、端子台51の各端子台51を個別に裸出させる切欠き状のスリット3と、本体部2の上縁2a又は上縁2a寄りに設けられ、通信ユニット58(先の図11を参照)を保持するための例えば平板状の載置部4を備えている。
【0025】
より詳細には、本実施形態に係る短絡防止具1Aの本体部2は、例えば図1及び図2に示すように、スマートメータ50の端子台51の正面51a被覆しながら配される基部5と、この基部5の左右それぞれの側縁に突設されて端子台51の側面51bを挟持する挟持部6を備えている。
さらに、本実施形態に係る本体部2における一対の挟持部6、6は、図1に示すように、基部5に接続されていない側の挟持部6、6の端部が互いに近寄るように配設されている。
加えて、本実施形態に係る本体部2は、例えばゴムや、シリコンあるいは適度な可撓性を有する合成樹脂の成型体である。
このため、本実施形態に係る短絡防止具1Aは、本体部2の挟持部6、6を作業者が自らの手指で押し広げることで、スマートメータ50の端子台51に容易に着脱させることができる。
【0026】
また、本実施形態に係る短絡防止具1Aの本体部2は、その上縁2a側に必要に応じて切欠き11を備えている。
なお、この切欠き11は、端子台51の正面51a側に配される図示しない突起と基部5が干渉するのを避けるために形成される。このため、端子台51が上述のような突起等を有しない場合は、切欠き11を形成する必要はない。
【0027】
[2;本発明の使用方法について]
次に、図3乃至図6を参照しながら本実施形態に係る短絡防止具1Aの使用方法について説明する。
図3は本実施形態に係る短絡防止具の取設する前のスマートメータの様子を示すイメージ図である。また、図4は本実施形態に係る短絡防止具をスマートメータの端子台に取設する様子を示すイメージ図である。さらに、図5は本実施形態に係る短絡防止具をスマートメータの端子台に取設した状態を示すイメージ図である。そして、図6は本実施形態に係る短絡防止具の使用状態を示す斜視図である。なお、先の図11及び図12、並びに図1及び図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る短絡防止具1Aは、端子台51の端子52に設けられる端子ネジ52aを安全に操作するために用いられる防具である。
よって、このような本実施形態に係る短絡防止具1Aを用いて、端子台51の端子52に設けられる端子ネジ52aを操作する場合は、まず、スマートメータ50の計量部55の直下に保持される通信ユニット58(図3を参照)を、通信ユニット掛止部57から取り外して端子台51から離隔する(図4を参照)。ただし、この時、スマートメータ50の計量部55と通信ユニット58をつなぐケーブル53は外さないでおく。
【0028】
そして、スマートメータ50において通信ユニット58が離隔された後の端子台51の正面51a上に本実施形態に係る短絡防止具1Aを取設する(図4及び図5を参照)。
このとき、本実施形態に係る短絡防止具1Aの本体部2における個々のスリット3の形成位置と、端子台51における端子52の位置を符合させる。
この後、図6に示すように、本実施形態に係る短絡防止具1Aの載置部4上に、ケーブル53を介してスマートメータ50の計量部55に接続される通信ユニット58を載置すればよい。
この操作により、スマートメータ50の端子台51の正面51a上に通信ユニット58が存在せず、しかも端子台51の正面51aの必要箇所が絶縁体からなる本体部2(基部5)により被覆されるので、端子52に螺着される端子ネジ52aを、ドライバ等の手工具を用いて安全に操作することができる。
【0029】
[3;本発明の基本構成による作用・効果について]
本実施形態に係る短絡防止具1Aによれば、スマートメータ50の計量部55の直下に、先の図12に示すような粘着テープ61や、計量部55に通信ユニット58を仮固定しておくための専用の治具(上述の特許文献5~10に開示される発明を参照)を用いることなしにケーブル53が接続された通信ユニット58を保持(仮固定)しておくことができる。
さらに、図6に示すように、スマートメータ50の通信ユニット58を本実施形態に係る短絡防止具1Aの載置部4により保持する場合は、この通信ユニット58を仮固定しておくための何らかの構造(例えば掛止構造等)を、計量部55を収容するハウジングに予め設けておく必要がない。つまり、本実施形態に係る短絡防止具1Aの取設対象であるスマートメータ50は、先の特許文献3、4に開示されるような構成を備えている必要がない。
【0030】
加えて、本実施形態に係る短絡防止具1Aを用いる場合は、図6に示す状態で、スマートメータ50の端子52に螺着される端子ネジ52aを、例えばドライバ等の手工具を用いて緩めて電線54を取り外したり、あるいは締め付けて電線54を端子台51に固定したりすればよい。
この時、端子台51に絶縁材(ゴム、シリコン、あるいは他の可撓性を有する合成樹脂等)からなる本体部2が取設されていることで、端子52同士の間が短冊状の基部5により被覆された状態になる。
これにより、端子台51の任意の端子52に螺着される端子ネジ52aを、例えばドライバ等の手工具を用いて操作する際に、この端子ネジ52aに、隣接する他の端子52又はこの他の端子52に螺着される他の端子ネジ52aが、金属製の手工具を介するなどして意図せず触れてしまうリスクを大幅に低減することができる。
よって、本実施形態に係る短絡防止具1Aによれば、スマートメータ50の端子台51(の端子52)に設けられる端子ネジ52aを、例えばドライバ等の手工具を用いて操作する際に短絡事故が起こるリスクを大幅に低減することができる。
つまり、本実施形態に係る短絡防止具1Aによれば、需要家宅に設置され、需要家に供給される電力を計量するスマートメータ50への、電力の供給停止、再接続、解約、及び再使用契約等の施工を行う際の安全性を高めることができる。
【0031】
[4;本発明の基本構成の変形例等について]
続いて、図7乃至図10を参照しながら本発明の基本構成の変形例について説明する。
なお、先の[1]に示す本発明の基本構成は、下記<4-1>~<4-5>に示す構成を単独で備えていてもよいし、必要に応じて複数種類組み合わせて備えてもよい。
【0032】
<4-1;開閉蓋について>
図7は本実施形態の変形例1に係る短絡防止具の一部を切り欠いて示す斜視図である。なお、先の図1乃至図6、並びに図11及び図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図7に示すように、変形例1に係る短絡防止具1Bにおける個々のスリット3は、このスリット3を開閉する開閉蓋7を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、変形例1に係る短絡防止具1Bをスマートメータ50の端子台51に取設して使用する際に、ドライバ等の手工具により端子ネジ52aの操作を行わない端子52を裸出させるスリット3を開閉蓋7により閉じておくことができる。
この場合、端子台51の任意の端子52に設けられる端子ネジ52aの操作中に、操作を行わない他の端子52の端子ネジ52aやドライバ等の手工具等が意図せず触れてしまって短絡事故が起こるのを一層確実に防止できる。
【0033】
なお、図7では開閉蓋7が紙面上下方向にスライドする場合を例に挙げて説明しているが、スリット3の上縁にヒンジ等を設けるなどして開閉蓋を回動可能に構成してもよい(図示せず、任意選択構成要素)。なお、この場合は、スリット3上の基部5に回動された開閉蓋を一時固定しておくための固定構造(例えば掛止構造等)を設けておくとよい。
また、上述の開閉蓋7や図示しない回動する開閉蓋の材質は、本体部2(基部5及び挟持部6)を構成する材質と同様の絶縁材(例えばゴム、シリコンあるいは合成樹脂等)を用いればよい。
【0034】
<4-2;補強用リブについて>
図8は本実施形態の変形例2に係る短絡防止具の斜視図である。なお、先の図1乃至図7、並びに図11及び図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図8に示すように、変形例2に係る短絡防止具1Cは、例えば本体部2に載置部4が一体に設けられる場合に、載置部4はその裏面側に単数又は複数の補強用リブ8を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、載置部4の厚みが相対的に薄い場合でも、載置部4上に載置された通信ユニット58の荷重により載置部4が意図せず変形してしまうのを防ぐことができる。
この結果、変形例2に係る短絡防止具1Cにより通信ユニット58を保持(仮固定)している最中に、載置部4が変形して通信ユニット58が意図せず落下してしまうのを防ぐことができる。
したがって、変形例2に係る短絡防止具1Cによれば、スマートメータ50の端子台51に対する操作時の安全性を一層高めることができる。
また、変形例2に係る短絡防止具1Cによれば、十分な耐荷重性を有する載置部4を備えた短絡防止具を成型して作製する際に、材料であるゴムや合成樹脂の使用量を少なくできる。この結果、変形例2に係る短絡防止具1Cを廉価に提供できる。
【0035】
なお、後段において図9A及び図9Bを参照しながら説明するが、本実施形態に係る短絡防止具における本体部2と載置部4を分離可能に構成する場合も、載置部4の裏面側に補強用リブ8を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、補強用リブ8は載置部4にのみ形成されてもよいし、本体部2にのみ形成されてもよい。
いずれの場合も、図8に示す変形例2に係る短絡防止具1Cと同様の作用・効果が期待できる。
【0036】
<4-3;分割構造について>
図9Aは本実施形態の変形例3に係る短絡防止具の斜視図である。また、図9Bは本実施形態の変形例3に係る短絡防止具において本体部から載置部を分離した状態を示す斜視図である。なお、先の図1乃至図8、並びに図11及び図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図9A及び図9Bに示すように、変形例3に係る短絡防止具1Dは、本体部20から載置部40を分離可能に構成するとともに、連結構造9を介して載置部40を本体部20に連結してもよい(任意選択構成要素)。
より詳細には、図9A及び図9Bに示すように、載置部40を例えば平板状の支持板41と、その縁部又は縁部の近傍で、かつ支持板41の平面方向に対して直角に取設される例えば平板状の挿入部42により構成するとともに、本体部20の上縁20a寄りにこの挿入部42を挿設するためのソケット10を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
なお、変形例3に係る短絡防止具1Dにおいて、載置部40における挿入部42と、本体部20におけるソケット10を組み合わせたものが連結構造9である。
【0037】
上述のような変形例3に係る短絡防止具1Dによれば、不使用時に本体部20から載置部40を分離しておくことができる。この場合、短絡防止具1Dを構成する個々のパーツの立体形状をシンプルにできる。
この結果、変形例3に係る短絡防止具1Dの成型を容易にでき、しかもその収納性及び可搬性を向上させることができる。
【0038】
また、変形例3に係る短絡防止具1Dでは、例えば本体部20をゴムやシリコン等の適度な可撓性を有する絶縁材により構成する一方で、載置部40を比較的硬質な、つまり可撓性に乏しい合成樹脂等の絶縁材により構成してもよい。
この場合は、変形例3に係る短絡防止具1Dの立体形状をシンプルにできるだけでなく、載置部40上に通信ユニット58を載置した際の意図しない撓みや変形による通信ユニット58の落下を防ぐことができる。
【0039】
また、変形例3に係る短絡防止具1Dにおける連結構造9は、図9A、9Bに示す形態に限定される必要はなく、例えば本体部20と載置部40を面ファスナ等の接合手段(図示せず)を用いて着脱可能に連結してもよい。
あるいは、本体部20に設けられるソケット10に代えて挟持構造(図示せず)を備えることで、本体部20に載置部40を着脱可能に連結してもよい。
つまり、本体部20に載置部40を着脱可能に連結して固定できる構造であり、かつその表面が少なくとも絶縁性を有する材質から構成されていれば、連結構造9の形態はどのようなものであってもよい。
【0040】
さらに、変形例3に係る短絡防止具1Dでは、支持板41の平面に対する挿入部42のなす角度θは、必ずしも直角である必要はなく、直角(90°)より大きくかつ110°以下に設定されていればよい(任意選択構成要素)。
そして、上記角度θが特に90°<θ≦110°の範囲内に設定されている場合は、支持板41上に通信ユニット58を載置した際に、本体部20と相対する側の支持板41の縁部から通信ユニット58が滑り落ちるのを好適に防ぐことができる。
より詳細には、先の図3に示す通信ユニット58のように、計量部55の直下に配した際に鉛直上下方向の厚みが異なる(鉛直上方側の厚みが大きい)通信ユニット58を載置部40で支持する場合に、載置部40から通信ユニット58が落下するのを好適に防ぐことができる。
この場合、スマートメータ50の端子台51の端子ネジ52aの操作を行う際に、変形例3に係る短絡防止具1Dから通信ユニット58が落下して壊れたり、あるいは通信ユニット58の落下によりケーブル53が抜けて、スマートメータ50と供給事業者との間の通信が途絶したりするのを回避することができる。
【0041】
<4-4;挟持部の変形例について>
図10は本実施形態の変形例4に係る短絡防止具の斜視図である。なお、先の図1乃至図9B、並びに図11及び図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の図1に示す短絡防止具1Aでは、基部5に接続されていない側の挟持部6、6の端部が互いに近寄るように配設されている場合、すなわち基部5に対する挟持部6の取設角度θ図1を参照)が90°を下回る場合を例に挙げて説明しているが、この取設角度θは90°(直角)に設定されてもよい。
より具体的には、例えば図10に示すように、変形例4に係る短絡防止具1Eは、基部5に対する挟持部6の取設角度θが90°(直角)に設定されるとともに、基部5に接続されていない側の挟持部6、6の端部は、短絡防止具1Eをスマートメータ50に取設した際に端子台51の側面51bに向かって突出する突起12を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
上述のような変形例4に係る短絡防止具1Eを用いる場合も、先の図1等に示す短絡防止具1A等と同様に、スマートメータ50の端子台51を覆うように本体部2を取設することができる。
【0042】
<4-5;載置部の滑り止め機構について>
上述の本実施形態に係る短絡防止具1A等における載置部4の載置面(上面)や、変形例3に係る短絡防止具1Dにおける載置部40の載置面(上面)は、ゴムやシリコン等からなる滑り止め材を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
あるいは、上述の載置部4や載置部40自体を、ゴムやシリコン等の滑り止め効果を有する材質により構成してもよい(任意選択構成要素)。
いずれの場合も、本実施形態に係る短絡防止具1A~1Eにより通信ユニット58を計量部55の直下に保持(仮固定)する際に、載置部4や載置部40から通信ユニット58が落下するのを防止できる。
この結果、スマートメータ50の端子台51に対する作業時に、通信ユニット58が意図せず落下して破損したり、通信ユニット58の落下に伴なってケーブル53が外れて作業中に供給事業者とスマートメータ50の間の通信が途絶したりするのを好適に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように本発明は、スマートメータの計量部を収容するハウジングに通信ユニットを仮固定しておくための構造物等を設けることなく、かつ通信ユニットを計量部に仮固定するための専用の治具を用いことなく、スマートメータの計量部に通信ユニットを保持(仮固定)しておくことができ、しかもドライバ等の手工具を用いてスマートメータの端子台の端子ネジを操作する際に短絡事故が起こるのを好適に防ぐことができる短絡防止具であり、電力供給設備に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1A~1E…短絡防止具 2…本体部 2a…上縁 20…本体部 20a…上縁 3…スリット 4…載置部 40…載置部 41…支持板 42…挿入部 5…基部 6…挟持部 7…開閉蓋 8…補強用リブ 9…連結構造 10…ソケット 11…切欠き 12…突起 50…スマートメータ 51…端子台 51a…正面 51b…側面 52…端子 52a…端子ネジ 53…ケーブル 53a…ケーブル接続端子 54…電線 55…計量部 56…表示部 57…通信ユニット掛止部 58…通信ユニット 60…掛止用突起 61…粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12