(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157638
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】熱電併給装置
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20241031BHJP
H10N 10/17 20230101ALI20241031BHJP
【FI】
H02N11/00 A
H10N10/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072097
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 国男
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正佳
(72)【発明者】
【氏名】木村 豪
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発電量を多くできる熱電併給装置を提供する。
【解決手段】熱電併給装置10aは、外部から熱を吸収する蒸発部221と蒸発部221において吸収した熱を外部に放出する凝縮部222とを備えるヒートパイプ22と、厚さ方向の両面に温度差が存在すると発電するように構成され一方の面がヒートパイプ22の凝縮部222の外周面の一部を覆うように配置される熱電変換モジュール30aと、内部に水を貯留可能に構成されヒートパイプ22の凝縮部222の外周面のうちの熱電変換モジュール30aが装着されない部分の少なくとも一部に直接に接触しており凝縮部222が発する熱を内部に貯留された水に伝達するように構成される挿入部411aが設けられるタンク本体41とを備える。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から熱を吸収する蒸発部と前記蒸発部において吸収した熱を外部に放出する凝縮部とを備えるヒートパイプと、
厚さ方向の両面に温度差が存在すると発電するように構成され、一方の面が前記ヒートパイプの前記凝縮部の外周面の一部を覆うように配置される熱電変換モジュールと、
内部に水を貯留又は流通可能に構成され、内部の水に前記凝縮部が放出する熱を伝達することができるように前記ヒートパイプが取り付けられた貯水部と、
を備える、熱電併給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱電併給装置であって、
前記貯水部は、前記ヒートパイプの前記凝縮部の外周面のうちの前記熱電変換モジュールが接触しない部分の少なくとも一部に直接に接触しており前記凝縮部が発する熱を内部に貯留された水に伝達するように構成される受熱部を備える、熱電併給装置。
【請求項3】
請求項1またはは2に記載の熱電併給装置であって、
前記ヒートパイプの前記凝縮部の前記一部と前記熱電変換モジュールとの間に介在するように配置されており、前記ヒートパイプの前記凝縮部の前記一部に直接に接触する面と、前記熱電変換モジュールの前記一方の面に直接に接触する面と、を備える伝熱部材を備える、
熱電併給装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の熱電併給装置であって、
前記熱電変換モジュールの前記一方の面とは反対側の面に接触するように配置されており、前記熱電変換モジュールを冷却する冷却部材を備える、
熱電併給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電併給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される熱電併給装置は、ヒートパイプ式の真空集熱器により高温熱源からの輻射熱を不凍液に蓄熱し、蓄熱した不凍液を熱電変換部の高温側に循環させるとともに、冷水を熱電変換部の低温側に供給する。これにより熱電変換部での発電を行いつつ、熱電変換部の高温側から低温側に通過した熱と冷水との熱交換を行って湯を作り出すように構成される。このような熱電併給装置によれば、発電および湯の供給が可能になる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示される構成では、熱電変換部の高温側に供給された熱のうち発電に供しない熱が冷水と熱交換することにより冷水が加熱されるため、熱交換器の効率が低くなる。すなわち、給湯性能が低下する。また、不凍液と水(湯)との温度差により発電する構成であるので、熱電変換部の高温側と低温側との温度差を大きくできないため、発電量を大きくできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、給湯性能の低下を防止または抑制しつつ、発電量の増加を図ることができる熱電併給装置を提供することである。
【0006】
(課題を解決するための手段)
前記目的を達成するため、本発明に係る熱電併給装置は、
外部から熱を吸収する蒸発部と前記蒸発部において吸収した熱を外部に放出する凝縮部とを備えるヒートパイプと、
厚さ方向の両面に温度差が存在すると発電するように構成され、一方の面が前記ヒートパイプの前記凝縮部の外周面の一部を覆うように配置される熱電変換モジュールと、
内部に水を貯留可能に構成され、
前記ヒートパイプの前記凝縮部の外周面のうちの前記熱電変換モジュールが接触しない部分の少なくとも一部に直接に接触しており前記凝縮部が発する熱を内部に貯留された水に伝達するように構成される受熱部が設けられる貯水部と、
を備える。
【0007】
本発明によれば、ヒートパイプの凝縮部には熱電変換モジュールが装着されない部分が設けられるとともに、当該部分は貯水部の受熱部に直接に接触している。このため、ヒートパイプの凝縮部の当該部分から放出される熱は、熱電変換モジュールを経ずに貯水部の内部に貯留される(または貯水部の内部を流通する)水に伝達される。したがって、給湯性能の低下を防止または抑制できる(もしくは給湯性能の向上を図ることができる)。また、ヒートパイプの凝縮部の一部には熱電変換モジュールが装着される。このため、熱電変換モジュールはヒートパイプの凝縮部から放出される熱により発電する。このような構成によれば、貯水部に貯留される水(湯)の熱により発電する構成に比較して、発電量を増加させることができる。このように、本発明によれば、給湯性能の低下を防止または抑制しつつ、発電量の増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、第一実施形態に係る熱電併給装置の要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、第一実施形態に係る熱電併給装置の要部の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、第一実施形態に係る熱電併給装置における集熱器の取り付け構造を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、第一実施形態に係る熱電併給装置における集熱器の取り付け構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第二実施形態に係る熱電併給装置の要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、第二実施形態に係る熱電併給装置の集熱器の取り付け構造を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、第二実施形態に係る熱電併給装置の集熱器の取り付け構造を示す図である。
【
図5】
図5は、第三実施形態に係る熱電併給装置の要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第三実施形態に係る熱電併給装置の集熱器の取り付け構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
図1Aは、第一実施形態に係る熱電併給装置10aの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
図1Bは、第一実施形態に係る熱電併給装置10aの要部の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図2Aおよび
図2Bは、第一実施形態に係る熱電併給装置10aにおける集熱器21の取り付け構造を示す図である。これらの図に示すように、第一実施形態に係る熱電併給装置10aは、複数の集熱器21と、複数の熱電変換モジュール30aと、1基の貯湯タンク40とを備える。
【0010】
集熱器21には、真空管ヒートパイプ式の集熱器(ヒートパイプ真空管と称されることもある)が適用される。集熱器21は、ヒートパイプ22と断熱容器23とを備える(
図2B参照)。ヒートパイプ22は、内部に作動液が封入された長尺の筒状の部材であり、長尺方向の一方の端部側に蒸発部221が設けられ、他方の端部側に凝縮部222が設けられる。ヒートパイプ22は、蒸発部221における作動液の気化と凝縮部222における作動液の液化とのサイクルにより、蒸発部221が外部から受けた熱を凝縮部222に移動させ、凝縮部222から外部に熱を放出するように構成される。断熱容器23は、一端側が閉塞し他端側が開口する有底の筒状の構成を備える部材である。断熱容器23は、外管とこの外管の内部に収容された内管とを備える二重管構造を有する。外管と内管との間の空間は略真空に保たれる。内管には図略の選択吸収膜が設けられる。選択吸収膜は、所定の波長域の電磁波の吸収率が高く、他の所定の波長域の電磁波の吸収率が低い(具体的には、可視~近赤外域で高い吸収率を持ち、赤外域で低い放射率を有する)膜である。このほか、断熱容器23の内部には、選択吸収膜が発する熱をヒートパイプ22に伝達するための伝熱フィン24が収容される。また、断熱容器23の開口部には、例えばシリコンなどにより形成されたプラグ25が装着される。そして、ヒートパイプ22は、蒸発部221が断熱容器23の内部に収容され、凝縮部222が断熱容器23の開口側の端部から断熱容器23の外部に突出するように配置される。
【0011】
熱電変換モジュール30aは、シート状の機器である。そして、熱電変換モジュール30aは、厚さ方向の両面に温度差が与えられると発電するように構成される。例えば、熱電変換モジュール30aは、シート状の基材と、基材の表面に並べて設けられる複数の熱電素子とを備える。熱電素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる素子であり、例えばペルチェ素子が適用される。熱電変換モジュール30aは、複数の熱電素子が発電した電力を外部に出力できるように、図略の電気配線に接続される。
【0012】
熱電変換モジュール30aは、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の外周面の一部に面接触する状態で装着できるように(貼り付けられるように、ということもできる)、ヒートパイプ22の凝縮部222の外周面の形状に応じた形状を備える。例えば、ヒートパイプ22の凝縮部222が所定の半径を有する円筒状の形状を備える場合には、熱電変換モジュール30aの形状には、ヒートパイプ22の凝縮部222を挿通可能な円筒状の形状、または、所定の半径を有する円弧状の形状が適用される。
図2Aおよび
図2Bにおいては、熱電変換モジュール30aが円筒状の形状を備える例を示すが、熱電変換モジュール30aが断面略円弧状の形状を備えてもよい。熱電変換モジュール30が断面略円弧状の形状を備える場合には、複数の熱電変換モジュール30aは、例えばヒートパイプ22の凝縮部222の円周方向に並ぶように装着される。
【0013】
また、
図2Bに示すように、熱電変換モジュール30aは、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222に装着された状態で、ヒートパイプ22の凝縮部222の軸線方向の一部の外周面を覆い、残りの部分を覆わないように構成される。具体的には、前記のように熱電変換モジュール30aが略円筒状を備える場合には、熱電変換モジュール30aの軸線に平行な方向の寸法は、ヒートパイプ22の凝縮部222の軸線方向寸法よりも小さい寸法に設定される。同様に、熱電変換モジュール30aが断面略円弧状の形状を備える場合には、熱電変換モジュール30aの円弧の曲率の中心線方向の寸法は、ヒートパイプ22の凝縮部222の軸線方向寸法よりも小さい寸法に設定される。
【0014】
なお、第一実施形態では、ヒートパイプ22の凝縮部222のうちの熱電変換モジュール30aが装着される部分を被着部223と記し、凝縮部222のうちの熱電変換モジュール30aが装着されない部分を露出部224と記すことがある。被着部223は、凝縮部222のうちの軸線方向に関して蒸発部221に近い側の部分(軸線方向の一部)である。また、露出部224は、凝縮部222のうちの軸線方向に関して蒸発部221から遠い側の部分(軸線方向の一部)である。なお、被着部223と露出部224の寸法の比は特に限定されない。
【0015】
貯湯タンク40は、タンク本体41と、保温材42と、タンクカバー43とを備える。タンク本体41は、本発明の貯水部の例である。タンク本体41は、内部に水(湯)を貯留可能に構成される箱状または筒状の部材であり、例えばステンレス鋼板などにより形成される。タンク本体41には、複数の(具体的には、集熱器21と同数の)挿入部411aが設けられる。挿入部411aは、本発明の受熱部の例である。第一実施形態では、1つの挿入部411aは、1つの集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222、および当該1つの集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222に装着された1つまたは複数の熱電変換モジュール30aを挿入可能に構成される。
【0016】
具体的には、挿入部411aは、タンク本体41の外側が開口し内側が閉塞する有底の筒状(または一方が開口する箱状ということもできる)の部分であり、タンク本体41の内部に向かって突出するように構成される(
図2Aおよび
図2B参照)。より具体的には、挿入部411aは、第一の部分412aと第二の部分413aとを備える。第一の部分412aは、熱電変換モジュール30aを挿入可能に構成される部分である。第二の部分413aは、ヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224を挿入可能に構成される部分である。前記のとおり、ヒートパイプ22の凝縮部222が略円筒状の形状を備え、熱電変換モジュール30aが略円筒状の形状または断面略円弧状の形状を備える場合、挿入部411aの第一の部分412aと第二の部分413aとは互いに異径の断面略円形の有底の筒状の構成が適用される。
【0017】
タンク本体41には、受水経路44および出水経路45が接続される。受水経路44は、外部の水供給源から水の供給を受けるための経路(管材)であり、例えば上水道に接続される。出水経路45は貯湯タンク40の水(湯)を外部に供給するための経路(管材)であり、熱電併給装置10aが使用される設備(例えば家屋)の屋内配管に接続される。
【0018】
保温材42は、タンク本体41を覆う部材である。保温材42は、発泡樹脂などのタンク本体41よりも熱伝達率の低い材料により形成される。タンクカバー43は、タンク本体41および保温材42を覆う殻状の部材である。
【0019】
図2Bに示すように、熱電変換モジュール30aおよび集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222は、タンク本体41に設けられる挿入部411aに挿入される。この状態では、熱電変換モジュール30aの内周面はヒートパイプ22の凝縮部222の被着部223の外周面に面接触し、熱電変換モジュール30aの外周面は、挿入部411aの第一の部分412aの内周面に面接触する。また、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224の外周面は、挿入部411aの第二の部分413aの内周面に直接に面接触する。なお、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の被着部223の外周面は、熱電変換モジュール30aの内周面に直接に面接触し、挿入部411aの内周面に直接に面接触しない。このように、ヒートパイプ22の凝縮部222は、タンク本体41の挿入部411aの内周面に直接に接触する部分である露出部224と、熱電変換モジュール30aに直接に接触する部分である被着部223とを備える。そして、第一実施形態では、軸線方向に関し露出部224は蒸発部221から遠い側に設けられ、装着部223は蒸発部221に近い側に設けられる。
【0020】
集熱器21が外部から輻射熱(たとえば太陽光による輻射熱)を受けると、輻射熱によって選択吸収膜が加熱される。選択吸収膜が発する熱は伝熱フィン24を通じてヒートパイプ22の蒸発部221に伝達される。ヒートパイプ22の蒸発部221における作動液の気化とヒートパイプ22の凝縮部222による作動液の液化とのサイクルにより、蒸発部221が受けた熱は凝縮部222に移動する。そして、凝縮部222が発する熱のうちの一部は、凝縮部222の被着部223から熱電変換モジュール30aおよびタンク本体41の挿入部411aを通じてタンク本体41の内部に貯留される水に伝達される。この際、熱電変換モジュール30aにおいて発電される。また、凝縮部222が発する残りの熱は、凝縮部222の露出部224から直接的に(すなわち熱電変換モジュール30aを経ずに)タンク本体41の挿入部411aに伝達され、さらにタンク本体41の内部に貯留される水に伝達される。そして、タンク本体41の内部に貯留される水が加熱されて湯が作り出される。
【0021】
第一実施形態に係る熱電併給装置10aによれば、ヒートパイプ22の凝縮部222の一部である露出部224には熱電変換モジュール30aが装着されていないため(熱電変換モジュール30aに覆われていないため、と言こともできる)、ヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224から放出される熱は、熱電変換モジュール30aを経ることなく(換言すると、発電に用いられることなく)、タンク本体41の内部の水(湯)に伝達される。このため、ヒートパイプ22の凝縮部222の全体に熱電変換モジュール30aが装着される構成と比較すると、ヒートパイプ22の凝縮部222からタンク本体41の内部に貯留される水(湯)までの熱の伝達経路に介在する物体が少ない部分を形成できる。したがってヒートパイプ22の凝縮部222の全体に熱電変換モジュール30aが装着される構成と比較して、湯を作り出すための熱量を大きくできる(換言すると、給湯性能の向上を図ることができる)。
【0022】
また、第一実施形態によれば、ヒートパイプ22の凝縮部222の温度は200℃以上に達することがある一方で、タンク本体41の内部に貯留される水(湯)の温度は100℃超にならないため、熱電変換モジュール30aの表裏の温度差を大きくできる。例えば、特開2019-198165号公報に開示されるような、不凍液と水(湯)との温度差により発電する構成に比較して、熱電変換モジュール30aの表裏の温度差を大きくできる。したがって、第一実施形態によれば、前記文献に開示される構成に比較して、給湯性能の低下を防止または抑制しつつ、発電量の増加を図ることができる。または、前記文献に開示される構成に比較して、給湯性能の向上を図りつつ、発電量の増加を図ることができる。
【0023】
なお、第一実施形態では、集熱器21および熱電変換モジュール30aが貯湯タンク40のタンク本体41に取り付けられる構成を示したが、集熱器21および熱電変換モジュール30aは給湯経路に取り付けられてもよい。要は、集熱器21は、水を加熱できるように、水(湯)を貯留できる部材、水(湯)が通過する部材、水(湯)が通過可能でかつ一時的に貯留できる部材のいずれかに取付けられればよい。
【0024】
また、前記実施形態では、挿入部411aが第一の部分412aと第二の部分413aとを備える構成を示したが、第二の部分413aを備えない構成であってもよい。そして、この場合、挿入部411aの底部に貫通孔が設けられ(換言すると、挿入部411aが、軸線方向の両端が開口する筒状の構成を備え)、この貫通孔を通じてヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224が、タンク本体41の内部に突出する構成が適用される。すなわち、ヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224が、タンク本体41の内部に貯留される水に直接に接触する構成であってもよい。
【0025】
また、集熱器21の数は特に限定されない。また、第一実施形態では、ヒートパイプ22の凝縮部222が円柱状(円筒状)の形状を備え、熱電変換モジュール30aが略円筒状の形状を備える構成を示したが、このような構成に限定されない。例えばヒートパイプ22の凝縮部222が断面多角形の筒状の形状を備えていてもよい。そして、熱電変換モジュール30aは、ヒートパイプ22の凝縮部222の形状に応じた形状、より具体的には、厚さ方向の一方の面を凝縮部222に面接触させることができる形状を備えればよい。また、ヒートパイプ22の凝縮部222と熱電変換モジュール30aとの間、もしくは、熱電変換モジュール30aとタンク本体41の挿入部411aの内周面との間の熱伝達の効率を上げるため、もしくは、熱電モジュール30aの固定の為、熱伝達率が高いグリスや接着性を有する高熱伝導シートなどが充填されてもよい。
【0026】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態に係る熱電併給装置10bについて説明する。
図3は、第二実施形態に係る熱電併給装置10bの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
図4Aおよび
図4Bは、第二実施形態に係る熱電併給装置10bの集熱器21の取り付け構造を示す図である。
【0027】
これらの図に示すように、第二実施形態に係る熱電併給装置10bは、複数の集熱器21と、複数の伝熱部材50と、複数の熱電変換モジュール30bと、1基の貯湯タンク40とを備える。貯湯タンク40の挿入部411bの形状および寸法は、第一実施形態と相違する。また、熱電変換モジュール30bは、略平板状の形状を備える。それ以外は、第一実施形態と共通の構成が適用できる。
【0028】
伝熱部材50は、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222と熱電変換モジュール30bとの間に介在するように配置される部材である。そして、伝熱部材50は、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222から熱電変換モジュール30bに熱を伝達するように構成される。
図4Aおよび
図4Bに示すように、伝熱部材50には、挿通孔501および装着面502が設けられる。挿通孔501は、ヒートパイプ22の凝縮部222を挿通可能に構成される貫通孔である。装着面502は、熱電変換モジュール30bを面接触するように装着可能に構成される面である。伝熱部材50の材料は特に限定されるものではないが、熱伝達率が高い材料であることが好ましい。例えば、伝熱部材50の材料としては、銅などの熱伝達率が高い金属材料が好適である。
【0029】
伝熱部材50の形状は特に限定されないが、ここでは略直方体である例を示す。この場合、挿通孔501は、伝熱部材50の6つの外周面(平面)のうちの互いに反対側に位置する2つの面を連通するように設けられる。また、伝熱部材50の6つの外周面のうち、挿通孔501の開口が設けられない4つの外周面(平面)が装着面502である。伝熱部材50は、ヒートパイプ22の凝縮部222が挿通孔501に挿通された状態で、ヒートパイプ22の凝縮部222の軸線方向の一部を覆い、前記一部以外の部分を覆わない(露出させる)ように構成される。具体的には、伝熱部材50の挿通孔501の中心線に平行な方向の寸法は、ヒートパイプ22の凝縮部222の軸線方向寸法よりも小さい。なお、第二実施形態では、ヒートパイプ22の凝縮部222のうちの伝熱部材50が装着される部分(伝熱部材50に覆われる部分)を被着部223と記し、伝熱部材50が装着されない部分を露出部224と記すことがある。
【0030】
タンク本体41の挿入部411bは、伝熱部材50およびヒートパイプ22の凝縮部222を、タンク本体41の外側から挿通可能に構成される。タンク本体41の挿入部411bは、第一の部分412bと第二の部分413bとを含む。第一の部分412bは、熱電変換モジュール30bが装着された伝熱部材50を挿入可能で、かつ、挿入された状態で熱電変換モジュール30bの表面(具体的には、熱電変換モジュール30bの厚さ方向の両面のうちの伝熱部材50に接触する側とは反対側の面)に面接触可能に構成される。第二の部分413bは、ヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224を挿入可能で、かつ、挿入された露出部224に面接触するように構成される。このため、伝熱部材50が略直方体状の形状を備え、ヒートパイプ22の凝縮部222が略円筒状の形状を備える場合には、挿入部411bは、タンク本体41の外周側から見て、断面略四辺形の凹部(第一の部分412b)と、この凹部の底面に設けられる断面略円形の凹部(第二の部分413b)とを含む。
【0031】
熱電変換モジュール30bが装着された伝熱部材50は、タンク本体41に設けられる挿入部411bの第一の部分412bに収容される。この状態で、熱電変換モジュール30bの厚さ方向の一方の面であって伝熱部材50に接する面とは反対側の面は、挿入部411bの第一の部分412bの内周面に面接触する。集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の被着部223は伝熱部材50の挿通孔501の内部に収容される。そして、凝縮部222の被着部223の外周面は、伝熱部材50の挿通孔501の内周面に面接触する。また、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224は伝熱部材50の挿通孔501から突出している(伝熱部材50に覆われない)。そして、ヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224は、挿入部411bの第二の部分413の内周面に面接触している。
【0032】
このように、凝縮部222の一部(被着部223)には伝熱部材50が装着される。換言すると、凝縮部222と熱電変換モジュール30bと間に伝熱部材50が介在する。このような構成であると、凝縮部222の被着部223から伝熱部材50を介して熱電変換モジュール30bに熱が伝達され、さらに熱電変換モジュール30bおよびタンク本体41の挿入部411bを通じてタンク本体41の内部に貯留される水に伝達される。この際、熱電変換モジュール30bにおいて発電される。また、ヒートパイプ22の凝縮部222の他の一部(露出部224)には伝熱部材50が装着されておらず(伝熱部材50に覆われておらず)、タンク本体41の挿入部411bの第二の部分413bの内周面に直接的に面接触している。このため、凝縮部222の露出部224から放出された熱は、熱電変換モジュール30bを経ずに、直接的に挿入部411bを通じてタンク本体41の内部に貯留される水に伝達される。そして、タンク本体41の内部に貯留される水が加熱されて湯が作り出される。
【0033】
第二実施形態に係る熱電併給装置10bによれば、第一実施形態に係る熱電併給装置10aと同様の効果を奏することができる。さらに、第二実施形態によれば、ヒートパイプ22の凝縮部222の外周面の形状と異なる形状を備える熱電変換モジュール30bを適用できる。なお、「内周面の形状を『ヒートパイプ22の凝縮部222の外周面の形状と略同じ形状』に成形できない(変形させることができない)熱電変換モジュール30bを適用できる」ということもできる。したがって、適用できる熱電変換モジュール30bの制限が少なくなる。また、第二実施形態によれば、熱電変換モジュール30bに熱を伝達できる面積が大きくなるから、1つのヒートパイプ22から伝達される熱により発電する熱電変換モジュール30bの面積を大きくできる。したがって、発電量を増加させることができる。
【0034】
<第三実施形態>
次に、第三実施形態に係る熱電併給装置10cについて説明する。
図5は、第三実施形態に係る熱電併給装置10cの要部の構成を示す分解斜視図である。
図6は、第三実施形態に係る熱電併給装置における集熱器21の取り付け構造を示す図である。なお、第一実施形態または第二実施形態と共通の構成には、第一実施形態または第二実施形態と同じ符号を付し、説明を省略することがある。
【0035】
第三実施形態に係る熱電併給装置10cは、複数の集熱器21と、複数の伝熱部材50と、複数の熱電変換モジュール30cと、所定の数の冷却部材60と、1基の貯湯タンク40とを備える。貯湯タンク40の挿入部411cの形状および寸法は、第一実施形態および第二実施形態と相違する。また、熱電変換モジュール30cは、第二実施形態と同様に略平板状の形状を備える。それ以外は、第一実施形態と共通の構成が適用できる。
【0036】
伝熱部材50は、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222から熱電変換モジュール30cに熱を伝達するように構成される部材である。伝熱部材50の構成は、第二実施形態と略同じ構成が適用できる。ただし、第二実施形態では、6面のうちの4面が装着面502であるのに対し、第三実施形態では、6面のうちの互いに反対側に位置する2面が装着面502である。具体的には、直列に並ぶ複数の集熱器21の配列方向に平行な方向に延伸する面が装着面502である
【0037】
冷却部材60は、伝熱部材50に装着された熱電変換モジュール30cを冷却できるように構成される。伝熱部材50の内部には、水(冷媒)が流通可能な経路(空洞)である冷媒経路601が設けられる。さらに、冷却部材60は、伝熱部材50に装着された熱電変換モジュール30cに面接触できるように構成される冷却面602を備える。
図5では、伝熱部材50が長尺の棒状の形状を備える例を示す。この場合、伝熱部材50の少なくとも1つの側面が略平面に形成される。そして、この1つの側面が冷却面602である。
【0038】
タンク本体41の挿入部411cは、熱電変換モジュール30cが装着された伝熱部材50、所定の数の冷却部材60、およびヒートパイプ22の凝縮部222を、タンク本体41の外側から挿通可能に構成される。具体的には、挿入部411cは、1つの第一の部分412cと複数の第二の部分413cとを備える。第一の部分412cは、複数の集熱器21の配列方向に平行な方向に延伸する長尺の溝状の形状を備える部分である。ここでは、第一の部分412cの長尺方向に直角な平面での断面形状が略四辺形である例を示す。第二の部分413cは、第一の部分412cの底面に設けられる部分であり、ヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224を挿入可能に構成される(ヒートパイプ22の凝縮部222と略同じ形状に形成される)。そして、複数の第二の部分413cは、第一の部分412cの長尺方向に直列に並ぶように設けられる。
【0039】
熱電変換モジュール30cが装着された伝熱部材50は、タンク本体41の挿入部411cに直列に並べられた状態で収容される(
図5参照)。さらに、2つの冷却部材60のそれぞれが、直列に配列される複数の伝熱部材50と挿入部411cの第一の部分412cの内周面との間に収容される。この状態で、冷却部材60の冷却面602は、複数の伝熱部材50のそれぞれの装着面502に装着された熱電変換モジュール30cに面接触する。
【0040】
ヒートパイプ22の凝縮部222の被着部223は、伝熱部材50の挿通孔501の内部に収容される。そして、ヒートパイプ22の凝縮部222の被着部223の外周面は、伝熱部材50の挿通孔501の内周面に面接触する。また、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224は伝熱部材50の挿通孔501から突出している。そして、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224の外周面は、挿入部411cの第二の部分413cの内周面に面接触している。このように、集熱器21のヒートパイプ22の凝縮部222の軸線方向の一部である被着部223に伝熱部材50が装着され、残りの一部である露出部224には伝熱部材50は装着されない。
【0041】
冷却部材60に設けられる冷媒経路601の一方の端部は、水供給源に接続され、他方の端部はタンク本体41の内部に連通する。このため、水供給源から供給された水は、冷却部材60の冷媒経路601を流れ、その間に熱電変換モジュール30cを冷却する(熱電変換モジュール30cから熱を奪う)。そして、冷却部材60の冷媒経路601を流れた水は、その後、タンク本体41の内部に流入する。なお、2つの冷却部材60の冷媒経路601の一方の端部どうしが互いに接続される構成であってもよい。この場合、1つの冷却部材60の冷媒経路601の他方の端部が水供給源に接続され、もう1つの冷却部材60の冷媒経路の他方の端部がタンク本体41の内部に連通するようにタンク本体41に接続される、という構成が適用できる。要は、外部の水供給源から供給された水が、所定の数の冷却部材60を通過した後、タンク本体41の内部に流入するように構成されればよい。
【0042】
また、冷却部材60の冷媒経路601に、水以外の冷媒が流通する構成であってもよい。この場合、例えば、冷却部材60の両端部は冷媒供給源に接続され、冷媒供給源と冷却部材60とを冷媒が循環するように構成されてもよい。
【0043】
第三実施形態では、ヒートパイプ22の凝縮部222の被着部223には伝熱部材50が装着されている。このため、凝縮部222の被着部223が発する熱は、伝熱部材50を介して熱電変換モジュール30cに伝達され、さらに熱電変換モジュール30cおよび冷却部材60を通じて冷却部材60の冷媒経路601を流通する水(冷媒)に伝達される。この際、熱電変換モジュール30cにおいて発電される。また、ヒートパイプ22の凝縮部222の露出部224には伝熱部材50が装着されておらず(伝熱部材50に覆われておらず)、タンク本体41の挿入部411cの内周面に接触している。このため、凝縮部222の露出部224から放出された熱は、直接的に挿入部411cを通じてタンク本体41の内部に貯留される水に伝達される。そして、タンク本体41の内部に貯留される水が加熱されて湯が作り出される。
【0044】
第三実施形態に係る熱電併給装置10cによれば、第二実施形態に係る熱電併給装置10bと同様の効果を奏することができる。さらに、第三実施形態によれば、第一実施形態および第二実施形態に比較して、熱電変換モジュール30cの表裏の温度さを大きくできるから、熱電変換モジュール30cによる発電量を増加させることができる。
【0045】
なお、前記説明では、熱電併給装置10cが集熱器21と同数の伝熱部材50を備え、1つの集熱器21に1つの伝熱部材50が装着される構成を示したが、このような構成に限定されない。例えば、熱電併給装置10cが集熱器21よりも少ない数(単数も含む)伝熱部材50を備える構成であってもよい。この場合、1つまたは複数の伝熱部材50は長尺棒状の形状を備えるとともに、複数の挿通孔501が設けられる。
【0046】
また、前記説明では、熱電併給装置10cが2つの冷却部材60を備える構成を示したが、冷却部材60の数は限定されない。例えば、熱電併給装置10cが、略U字状の1つの伝熱部材50を備える構成であってもよい。この場合、1つの冷却部材60の互いに対向する面が冷却面602である。そして、複数の伝熱部材50が当該1つの冷却部材60に挟まれ、かつ、伝熱部材50に装着される熱電変換モジュール30cの表面に冷却部材60の冷却面602が接触するように配置される。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。
【0048】
例えば、集熱器21の数は特に限定されない。また、前記実施形態では、集熱器21が貯湯タンク40に取付けられる構成を示したが、集熱器21が取り付けられる部材は貯湯タンク40に限定されない。集熱器21は、外部の水供給源から供給される水の経路または水と熱交換する熱媒体経路に取付けられてもよい。要は、外部から供給される水または熱媒体を加熱できる部材に取付けられる構成であればよい。
【0049】
また、前記各実施形態において、「ヒートパイプの凝縮部がタンク本体の挿入部の内周面に直接に接触する」とは、「ヒートパイプの凝縮部とタンク本体の挿入部の内周面との間に他の部材が介在しない」ことをいう。ただし、ヒートパイプの凝縮部とタンク本体の挿入部との間の熱伝達の効率を上げるため、ヒートパイプの凝縮部の外周面とタンク本体の挿入部の内周面との間に、熱伝達率が高いグリスなどが充填されてもよい。このような構成であっても、「ヒートパイプの凝縮部がタンク本体の挿入部の内周面に直接に接触する」という構成に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10a,10b,10c…熱電併給装置、22…ヒートパイプ、30a,30b,30c…熱電変換モジュール、40…貯湯タンク、41…タンク本体、411a,411b,411c…挿入部、50…伝熱部材、60…冷却部材、221…ヒートパイプの蒸発部、222…ヒートパイプの凝縮部、223…ヒートパイプの凝縮部の被着部、224…ヒートパイプの凝縮部の露出部