(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157641
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20241031BHJP
B65D 77/06 20060101ALI20241031BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D77/06 H
B65D77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072101
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】山崎 祥吾
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PA03
3E014PB03
3E014PC06
3E014PC18
3E014PD30
3E014PF10
3E067AA04
3E067AB81
3E067BA03B
3E067BA03C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067EA32
(57)【要約】
【課題】収容する内容物の量を確保しつつ比較的スペースの狭い場所にも好適に置くことが可能であって、使い勝手にも優れる容器を提案する。
【解決手段】容器1は、上側開口2bと下側開口2cとを有する外周壁2aを備える外容器2と、下側開口2cから外界に対して露出する底壁3aと外周壁2aの内周面に接触するシール部3dを有する内周壁3cとを備え下降位置LPと上昇位置UPとの間で軸線Oに沿って移動可能な内容器3と、底壁3a、内周壁3c、及び外周壁2aで区画され、内容物を収容可能な収容空間Sとを備え、収容空間Sに収容された内容物が減った際に下側開口2cから底壁3aを押圧すると、下降位置LPから上昇位置UPに向けて内容器3が移動して内容物を上側開口2bに向けて持ち上げ可能である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側開口と下側開口とを有する外周壁を備える外容器と、
前記下側開口から外界に対して露出する底壁と、該底壁につながるとともに前記外周壁の内周面に接触するシール部を有する内周壁とを備え、下降位置と上昇位置との間で該外周壁の軸線に沿って移動可能な内容器と、
前記底壁、前記内周壁、及び前記外周壁で区画され、内容物を収容可能な収容空間と、を備え、
前記収容空間に収容された前記内容物が減った際に前記下側開口から前記底壁を押圧すると、前記下降位置から前記上昇位置に向けて前記内容器が移動して該内容物を前記上側開口に向けて持ち上げ可能な容器。
【請求項2】
前記内容器は、内容器側係合部を有し、
前記外容器は、前記上昇位置で前記内容器側係合部に係合する上側係合部を有する請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記外容器は、前記下降位置で前記内容器側係合部に係合する下側係合部を有する請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記内容器は、前記外容器に対して前記軸線を周回する向きに移動可能であって、
前記内周壁は、前記外周壁に向けて突出する突起部を有し、
前記外周壁は、前記突起部が収まる溝部を有し、
前記溝部は、前記下降位置において前記突起部が収まり前記軸線を周回する向きに延びる周溝部分を有し、
前記周溝部分は、前記突起部の上方への移動が阻止される周溝開始地点から該突起部の上方への移動を許容する周溝終了地点まで延在している請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記溝部は、前記軸線に沿って延在し前記上昇位置において前記突起部が収まる縦溝部分を有する請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記溝部は、前記下降位置と前記上昇位置の間に位置する中間位置において前記突起部が収まり前記軸線を周回する向きに延びる中間周溝部分を有し、
前記中間周溝部分は、前記突起部の上方への移動が阻止される中間周溝開始地点から該突起部の上方への移動を許容する中間周溝終了地点まで延在している請求項4に記載の容器。
【請求項7】
前記底壁は、該底壁の下面から突出した又は下面を凹ませた指掛け部を有する請求項4に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドクリーム等の比較的粘度の高い内容物を収容するものとして、所謂、ジャー容器と称される容器が使用されている(例えば特許文献1参照)。この種の容器は、内容物を指等で拭い取って使用されることを想定した形状になっている。すなわち、開口面積が大きい広口状であって外形は大きくなっていて、また容器の底まで指先が届くように高さは低くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの種の容器を洗面台等の比較的スペースの狭い場所に置く場合は、他のものを置くスペースがなくなってしまうため不便である。またこの種の容器は、洗面台等からはみ出して置かれる可能性もあるため、誤って落下させるおそれがある。なお、このような比較的スペースの狭い場所にも置けるように容器の外形を小さくすると、収容される内容物の量が減ることになる。また、容器の外形を小さくしつつ内容物の量を確保するために高さを高くすると、容器の底まで指先が届かなくなって使い勝手が損なわれることになる。
【0005】
このような点に鑑み、本発明は、収容する内容物の量を確保しつつ比較的スペースの狭い場所にも好適に置くことが可能であって、使い勝手にも優れる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上側開口と下側開口とを有する外周壁を備える外容器と、
前記下側開口から外界に対して露出する底壁と、該底壁につながるとともに前記外周壁の内周面に接触するシール部を有する内周壁とを備え、下降位置と上昇位置との間で該外周壁の軸線に沿って移動可能な内容器と、
前記底壁、前記内周壁、及び前記外周壁で区画され、内容物を収容可能な収容空間と、を備え、
前記収容空間に収容された前記内容物が減った際に前記下側開口から前記底壁を押圧すると、前記下降位置から前記上昇位置に向けて前記内容器が移動して該内容物を前記上側開口に向けて持ち上げ可能な容器である。
【0007】
前記内容器は、内容器側係合部を有し、
前記外容器は、前記上昇位置で前記内容器側係合部に係合する上側係合部を有することが好ましい。
【0008】
前記外容器は、前記下降位置で前記内容器側係合部に係合する下側係合部を有することが好ましい。
【0009】
前記内容器は、前記外容器に対して前記軸線を周回する向きに移動可能であって、
前記内周壁は、前記外周壁に向けて突出する突起部を有し、
前記外周壁は、前記突起部が収まる溝部を有し、
前記溝部は、前記下降位置において前記突起部が収まり前記軸線を周回する向きに延びる周溝部分を有し、
前記周溝部分は、前記突起部の上方への移動が阻止される周溝開始地点から該突起部の上方への移動を許容する周溝終了地点まで延在していることが好ましい。
【0010】
前記溝部は、前記軸線に沿って延在し前記上昇位置において前記突起部が収まる縦溝部分を有することが好ましい。
【0011】
前記溝部は、前記下降位置と前記上昇位置の間に位置する中間位置において前記突起部が収まり前記軸線を周回する向きに延びる中間周溝部分を有し、
前記中間周溝部分は、前記突起部の上方への移動が阻止される中間周溝開始地点から該突起部の上方への移動を許容する中間周溝終了地点まで延在していることが好ましい。
【0012】
前記底壁は、該底壁の下面から突出した又は下面を凹ませた指掛け部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の容器によれば、内容器の底壁と内周壁、及び外容器の外周壁の内側に内容物を収容可能であるため、外容器の外形を小さくした場合でも、その高さを高くすることによって十分な量の内容物を収容することができる。また高さの高い外容器を使用するにあたり、収容空間に収容した内容物が少なくなった場合でも、内容器を下降位置から上昇位置に向けて移動させることによって内容物を持ち上げることが可能であって、内容物を指等で最後まで拭いとることができるため、使い勝手に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本発明に係る容器の一実施形態に関し、内容器が下降位置にある状態での半断面図(
図1BにおけるB-Bに沿う半断面図)である。
【
図2】突起部と溝部との関係を、
図1Aに示した矢印Aに沿う視点で示した展開図である。
【
図3A】
図1Aに示した容器に関し、蓋体を取り外して内容器が上昇位置にある状態での半断面図(
図3BにおけるC-Cに沿う半断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る容器の一実施形態について説明する。なお本明細書等における上下方向とは、図示した軸線O(
図1Aに示した外容器2の中心軸線)に沿う方向である。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
【0016】
図1Aに示した容器1は、外容器2、内容器3、蓋体4、パッキン5で構成されている。後述するように内容器3は、外容器2に対して軸線Oに沿って上下動させることが可能であり、また外容器2に対して軸線Oを周回する向きに回転させることが可能である。ここで、
図1Aに示すように内容器3が下方に移動した状態での位置を下降位置と称し、
図3Aに示すように内容器3が上方に移動した状態での位置を上昇位置と称する。なお下降位置は、
図2に示すように、後述する突起部3eが符合LPに移動した状態での位置であり、上昇位置は、突起部3eが符合UPに移動した状態での位置である。また、内容器3が下降位置と上昇位置の間に移動した位置(突起部3eが符合MPに移動した状態での位置)を中間位置と称する。以下の説明においては、下降位置、上昇位置、中間位置を、下降位置LP、上昇位置UP、中間位置MPと称する。
【0017】
外容器2は、本実施形態では円筒状をなしていて軸線Oを中心軸線とする外周壁2aを備えている。ここで、外周壁2aにおける上部の開口を上側開口2bと称し、下部の開口を下側開口2cと称する。外周壁2aの高さは、外周壁2aの外径よりも小さくなっていて(外周壁2aの高さは、外周壁2aの外径に対して概ね1.5倍)、外容器2は縦長状である。
図1Aに示すように、外周壁2aの上部外周面は中間部外周面及び下部外周面よりも径方向内側に位置している。また外周壁2aの上部外周面には、雄ねじ部2dが設けられている。
【0018】
外周壁2aの上部内周面には、上方に向かうにつれて縮径する傾斜部2eが設けられている。そして外周壁2aの下部内周面には、溝部2fが設けられている。溝部2fは、本実施形態では
図1Bに示すように軸線Oを中心として対向するように一対設けられている。なお、溝部2fに関する詳細な説明は後述する。
【0019】
内容器3は、本実施形態では軸線Oを中心とする円板状の底壁3aを備えている。底壁3aは、
図1A、
図1Bに示すように、底壁3aの下面から下方に向けて突出して径方向に沿って延在する突起(指掛け部3b)を備えている。本実施形態の指掛け部3bは、軸線Oを中心として対向するように一対設けられている。
図1Aに示すように底壁3aは、下側開口2cから外界に対して露出していて、底壁3aと指掛け部3bは、下側開口2cを通して指等で触ることができる。なお指掛け部3bは、底壁3aの下面を凹ませて凹状になるものでもよい。
【0020】
底壁3aの外縁部には、軸線Oに沿って延在する円筒状の内周壁3cが設けられている。内周壁3cの上部外周面には、
図1Aの部分拡大図に示すように、径方向外側に向けて突出するとともに内周壁3cの全周に亘って延在する環状凸部が設けられている。この環状凸部は、外周壁2aの内周面に対して密に接触するものである。以下、この環状凸部をシール部3dと称する。ここで、底壁3a、内周壁3c、及び外周壁2aで区画される空間を収容空間Sと称する。収容空間Sには、例えばハンドクリーム等の内容物を収容することができる。
【0021】
また内容器3は、内周壁3cの下部における外周面から径方向外側に向って突出する突起部3eを備えている。本実施形態の突起部3eは、
図2に示すように径方向外側からの視点で矩形状である。また突起部3eの外周面には、
図1Aの部分拡大図に示すように、径方向外側に突出する爪状の内容器側係合部3fが設けられている。
【0022】
ここで、上述した外周壁2aの溝部2fについて詳細に説明する。本実施形態の溝部2fは、
図1Aに示した矢印Aに沿う視点での展開図において、
図2に示した形状になるものである。具体的には、軸線Oを周回する向きに延びる周溝部分2gと、周溝部分2gから上方に向けて延在する縦溝部分(第一縦溝部分2h)と、第一縦溝部分2hから軸線Oを周回する向きに延びる中間周溝部分2jと、中間周溝部分2jから上方に向けて延在する縦溝部分(第二縦溝部分2k)で構成されている。周溝部分2gと中間周溝部分2jの上下方向の隙間の長さは突起部3eの上下方向の長さに適合していて(周溝部分2gと中間周溝部分2jの上下方向の隙間の長さは、突起部3eが移動できる程度に突起部3eの上下方向長さよりも若干大きくなっている)、第一縦溝部分2hと第二縦溝部分2kの左右方向の隙間の長さは、突起部3eの左右方向の長さに適合している(第一縦溝部分2hと第二縦溝部分2kの左右方向の隙間の長さは、突起部3eが移動できる程度に突起部3eの左右方向長さよりも若干大きくなっている)。また内容器3が下降位置LPに位置する状態において、突起部3eは周溝部分2gに収まっている。そして内容器3が中間位置MPに位置する状態において、突起部3eは中間周溝部分2jに収まっている。また内容器3が上昇位置UPに位置する状態において、突起部3eは第二縦溝部分2kの上端位置にある。
【0023】
ここで、
図2における周溝部分2gの左端地点を周溝開始地点P1と称し、周溝部分2gの右端地点(第一縦溝部分2hの下端地点でもある)を周溝終了地点P2と称し、中間周溝部分2jの右端地点(第一縦溝部分2hの上端地点でもある)を中間周溝開始地点P3と称し、中間周溝部分2jの左端地点(第二縦溝部分2kの下端地点でもある)を中間周溝終了地点P4と称し、第二縦溝部分2kの上端地点を縦溝終了地点P5と称する。突起部3eは、周溝開始地点P1においては上方への移動が規制されていて、周溝終了地点P2においては上方への移動が許容されている。また突起部3eは、中間周溝開始地点P3においては上方への移動が規制されていて、中間周溝終了地点P4においては上方への移動が許容されている。そして縦溝終了地点P5において突起部3eは、上方への移動が規制されている。
【0024】
また溝部2fの内周面には、内容器側係合部3fに係合する係合部が設けられている。この係合部として本実施形態では、
図2に示すように周溝部分2gの内周面における周溝開始地点P1から周溝終了地点P2に至る部分に下側係合部2mを備えている。本実施形態の下側係合部2mは、
図1Aの部分拡大図に示すように、爪状になる内容器側係合部3fが嵌まり込むように凹状に形作られている。また上記の係合部として本実施形態では、
図2に示すように、中間周溝部分2jの内周面における中間周溝開始地点P3から中間周溝終了地点P4に至る部分に中間係合部2nを備えていて、また第二縦溝部分2kにおける縦溝終了地点P5に上側係合部2pを備えている。中間係合部2nと上側係合部2pは、下側係合部2mと同様に爪状になる内容器側係合部3fが嵌まり込むように凹状に形作られている。
【0025】
蓋体4は、円板状の天壁4aと、天壁4aの外縁部から下方に向けて延在する蓋体周壁4bと、蓋体周壁4bの内周面に設けられた雌ねじ部4cとを備えている。
【0026】
パッキン5は、弾性を有する素材で形成されている。本実施形態のパッキン5は、円板状に形作られていて、蓋体4の内側に取り付けられている。
【0027】
このような構成になる容器1によれば、雄ねじ部2dと雌ねじ部4cを螺合させることによって蓋体4を外容器2に装着することができる。この状態においてパッキン5は、外周壁2aの上面と天壁4aの下面との間で挟持されるため、収容空間Sを密閉することができる。すなわち、収容空間Sに収容された内容物と外気との直接的な接触を避けることができるため、外気と触れることによる内容物の乾燥や品質劣化を抑制することができる。また、容器1を上下逆さまにした場合における内容物の漏れ出しを防止することができる。
【0028】
そして収容空間Sに収容された内容物を取り出すにあたっては、雄ねじ部2dと雌ねじ部4cとの螺合が解除される向きに蓋体4を回転する。これにより蓋体4を外容器2から取り外すことができるため、上側開口2bが開放される。その後は上側開口2bから指等を差し入れて内容物を拭いとることができる。
【0029】
なお、
図1A、
図1Bに示すように内容器3が下降位置LPに位置している状態において、内容器側係合部3fは下側係合部2mに係合している。すなわち内容器側係合部3fと下側係合部2mが係合して両者の間に抵抗が働くため、内容器3が外容器2に対して不用意に回転することを防止することができる。また、この状態において内容器側係合部3fは、
図2に示すように周溝開始地点P1に位置していて、上方への移動が規制されている。すなわち内容器3が下降位置LPに位置している状態において、内容器3が不用意に上昇することを防止することができる。
【0030】
収容空間Sの内容物が少なくなってきた場合(一例として、内容物によって隠れていた内容器3が上側開口2bから視認できる状態になった場合)には、下側開口2cから指を差し込み、指掛け部3bを利用して軸線Oを周回する向きに(
図2に示した周溝開始地点P1から周溝終了地点P2に向かう向きに)内容器3を回転させる。上述したように、内容器側係合部3fと下側係合部2mは係合しているため、両者の間に抵抗が生じるが、本実施形態の容器1は、指掛け部3bに指をかけて内容器3に力を付与することができるため、内容器3を無理なく回転させることができる。これにより突起部3eは、周溝開始地点P1から周溝終了地点P2へ移動する。
【0031】
周溝終了地点P2には、周溝部分2gにつながる第一縦溝部分2hが設けられていて、突起部3eは上昇できる状態にある。従って、下側開口2cを通して底壁3aを上方に向けて押圧することによって内容器3を上昇させることができる。これにより突起部3eは、第一縦溝部分2hを移動して中間周溝開始地点P3に至るため、内容器側係合部3fを中間係合部2nに係合させることができる。また突起部3eが中間周溝開始地点P3に至った状態において、突起部3eは上方への移動が阻止されているため、底壁3aを指等で強く押し上げた場合でも内容器3が中間位置MPを超えて上昇することがない。このように、内容器3が下降位置LPから中間位置MPに移動することによって、収容空間Sの内容物は上側開口2bに向けて持ち上げられるため、収容空間Sの内容物を取り出すにあたって指等を上側開口2bに深く差し入れる必要がない。またこの状態で内容器側係合部3fは、中間係合部2nに係合しているため、内容器3が不用意に下方に移動してしまう不具合を防止することができる。
【0032】
内容器3が中間位置MPに位置した状態でも収容空間Sの内容物を取り出すことが難しくなってきた場合には、内容器3を上昇位置UPに位置させる操作を行う。この場合には、下側開口2cから指を差し込み、指掛け部3bを利用して軸線Oを周回する向きに(
図2に示した中間周溝開始地点P3から中間周溝終了地点P4に向かう向きに)内容器3を回転させる。これにより突起部3eは、中間周溝開始地点P3から中間周溝終了地点P4へ移動する。中間周溝終了地点P4には、中間周溝部分2jにつながる第二縦溝部分2kが設けられていて、突起部3eは上昇できる状態にある。すなわち、下側開口2cを通して底壁3aを上方に向けて押圧することによって、中間位置MPの内容器3を上昇させることができる。これにより突起部3eは、第二縦溝部分2kを移動して縦溝終了地点P5に至るため、内容器側係合部3fが上側係合部2pに係合して内容器3を上昇位置UPに位置させることができる。
【0033】
このように、内容器3が中間位置MPから上昇位置UPに移動することによって、収容空間Sの内容物は上側開口2bに向けて更に持ち上げられるため、中間位置MPでは取り出しにくかった内容物も容易に取り出すことができる。またこの状態で内容器側係合部3fは、上側係合部2pに係合しているため、内容器3が不用意に下方に移動してしまう不具合を防止することができる。更に第二縦溝部分2kの左右方向の隙間の長さは、上述したように突起部3eの左右方向の長さに適合しているため、上昇位置UPに移動した内容器3は、軸線Oを周回する向きに殆ど回転することがない。すなわち、少なくなった内容物を取り出すにあたって内周壁3cの内側を周回するように指を動かしても、内容器3は外容器2に対して殆ど回転しないため、意図した通りに内容物を拭いとることができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0035】
例えば、上述した容器1は、内容器3を中間位置MPにも位置させることができるが、中間位置MPで停止する機能は省いてもよい。また中間位置MPを複数設ける(下降位置LPから上昇位置UPの間の複数箇所で内容器3が停止する)ように構成してもよい。また容器1は、周溝部分2gや中間周溝部分2jを設けることによって、内容器3を上昇させる際にまず内容器3を回転させるように構成したが、周溝部分2gや中間周溝部分2jを省略したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1:容器
2:外容器
2a:外周壁
2b:上側開口
2c:下側開口
2d:雄ねじ部
2e:傾斜部
2f:溝部
2g:周溝部分
2h:第一縦溝部分
2j:中間周溝部分
2k:第二縦溝部分(縦溝部分)
2m:下側係合部
2n:中間係合部
2p:上側係合部
3:内容器
3a:底壁
3b:指掛け部
3c:内周壁
3d:シール部
3e:突起部
3f:内容器側係合部
4:蓋体
4a:天壁
4b:蓋体周壁
4c:雌ねじ部
5:パッキン
LP:下降位置
MP:中間位置
UP:上昇位置
O:軸線
P1:周溝開始地点
P2:周溝終了地点
P3:中間周溝開始地点
P4:中間周溝終了地点
P5:縦溝終了地点
S:収容空間