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  • 特開-積層プローブ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157645
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】積層プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20241031BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20241031BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 A
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072107
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】591242209
【氏名又は名称】アルファクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石塚 靜
(72)【発明者】
【氏名】石塚 陽介
【テーマコード(参考)】
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G011AA13
2G011AA21
2G011AB01
2G011AB06
2G011AC14
2G011AF07
4M106AA02
4M106AB10
4M106AD22
4M106BA01
4M106DD04
4M106DD30
4M106DJ02
(57)【要約】
【課題】 現状の高出力化されているレーザダイオードチップ等の電子部品の特性を精巧に、安定して検査するためのプローブの存在がないという点である。
【解決手段】 複数枚の薄金属板を、その厚さ方向に適宜間隔を隔てて連続積層し、前記薄金属板の一縁にバネ性を保有した探触部を形成してある積層プローブにおいて、前記した探触部は薄金属板の一縁に、その一縁の中程までの奥行きをもって形成された対象に圧力を加えるバネ性を与えるための切り欠き部によって成形された片状のものとし、その先端外方に探触ポイントが一体に成形されているとともに、その探触ポイントの横振れ防止用の支持バネ部が前記切り欠き部を架して設けられていることとする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の薄金属板を、その厚さ方向に適宜間隔を隔てて連続積層し、前記薄金属板の一縁にバネ性を保有した探触部を形成してある積層プローブにおいて、前記した探触部は薄金属板の一縁に、その一縁の中程までの奥行きをもって形成された対象に圧力を加えるバネ性を与えるための切り欠き部によって成形された片状のものとし、その先端外方に探触ポイントが一体に成形されているとともに、その探触ポイントの横振れ防止用の支持バネ部が前記切り欠き部を架して設けられていることを特徴とする積層プローブ。
【請求項2】
前記薄金属板の板厚は0.05~1mmとしてあることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【請求項3】
前記した切り欠き部の基端は、U字状またはV字状とされていることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【請求項4】
前記した支持バネ部は蛇行状、ジグザグ状、あるいは両端部に屈曲部を有するステップ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【請求項5】
前記した探触ポイントは切り欠き部によって形成された片状の探触部の先端で、前記片状の探触部より外方に突出した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【請求項6】
前記片状とした探触部の基端寄りの外辺に凹所を形成してあることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【請求項7】
前記薄金属板の間にはスペーサとしての仕切板が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【請求項8】
前記スペーサとしての仕切板は各薄金属板による独立した動作を可能とし、かつ、プローブとしてのバネ性を損なうことのないサイズとしてあることを特徴とする請求項7に記載の積層プローブ。
【請求項9】
前記支持バネ部の基端の切り欠き部内方側に凹み部を形成してあることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【請求項10】
全体が絶縁材で形成されたホルダーにセット固定されていることを特徴とする請求項1に記載の積層プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は積層プローブ、特にレーザダイオードをはじめとする電子部品の特性を検査するために使用する積層プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した電子部品の特性を検査するためのプローブとして、スプリングプローブ方式、プローブ針方式、ブロック型プローブ方式等の存在が知られている。しかしながら、現在レーザダイオードチップは高出力化によって、電極が狭く細長く構成されているので、上記した従来のプローブ方式では十分な対応ができ得ない状況となっている。
【0003】
前記したプローブ方式のうち、スプリングプローブ方式は最小でも0.5mmの幅を必要とし、かつ、流すことのできる許容電流は0.5アンペア以下となり、コイルスプリングを介在させると、そのコイルスプリングは熱を受けると特性が変化してしまうことになり、現在の高出力のレーザダイオードチップに対処するのは困難である。
【0004】
また、プローブ針方式の場合は、針の先端幅が20μと細いため、流すことのできる電流も1アンペア以下に制限されてしまう。
【0005】
ブロック型プローブ方式は、電流は30アンペア以上流すことができるが、対象物であるレーザダイオードチップを1kg以上の圧力で測定ステージ(測定チャック)に押し付ける必要があり、この圧力は掛けることはできても片当りが生じやすく、安定した測定ができずその測定の精緻性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
出願人は、本願発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似していると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、現状の高出力化されているレーザダイオードチップ等の電子部品の特性を精巧に、安定して検査するためのプローブの存在がないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る積層プローブは、複数枚の薄金属板を、その厚さ方向に適宜間隔を隔てて連続積層し、前記薄金属板の一縁にバネ性を保有した探触部を形成してある積層プローブにおいて、前記した探触部は薄金属板の一縁に、その一縁の中程までの奥行きをもって形成された対象に圧力を加えるバネ性を与えるための切り欠き部によって成形された片状のものとし、その先端外方に探触ポイントが一体に成形されているとともに、その探触ポイントの横振れ防止用の支持バネ部が前記切り欠き部を架して設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る積層プローブは、前記薄金属板の板厚は0.05~1mmとしてあることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係る積層プローブは、前記した切り欠き部の基端は、U字状またはV字状とされていることを特徴としている。
【0011】
そして、本発明に係る積層プローブは、前記した支持バネ部は蛇行状、ジグザグ状、あるいは両端部に屈曲部を有するステップ状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る積層プローブは、前記した探触ポイントは切り欠き部によって形成された片状の探触部の先端で、前記片状の探触部より外方に突出した位置に設けられていることを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明に係る積層プローブは、前記片状とした探触部の基端寄りの外辺に凹所を形成してあることを特徴としている。
【0014】
そして、本発明に係る積層プローブは、前記薄金属板の間にはスペーサとしての仕切板が介在されていることを特徴とし、前記スペーサとしての仕切板は各薄金属板による独立した動作を可能とし、かつ、プローブとしてのバネ性を損なうことのないサイズとしてあることを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係る積層プローブは、前記支持バネ部の基端の切り欠き部内方側に凹み部を形成してあることを特徴としている。
【0016】
さらに、本発明に係る積層プローブは、全体が絶縁材で形成されたホルダーにセット固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る積層プローブは、上記のように構成されている。そのため、切り欠き部の基端によるバネ性は、探触部強いてはその先端部分にある探触ポイントで大きな圧力を対象物にかけることができ、支持バネ部は探触部の左右振れを防止することができる。また、各薄金属板間にスペーサとして絶縁材を用いると各探触部は独立した多電極のユニットとすることができるものとなり、スペーサとして導電材を用いても各探触部は独立した動作が行え、全ての探触ポイントは対象に安定してコンタクトすることが可能となる。また、スカラー量であるミーゼス応力の計測も容易で製品寿命もその計測値を応用すること、即ち、降伏点を予め知ることによって長く保持させることができる。加えて、その有する特性がケルビン検査も容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願発明を実施した積層プローブの側面図である。
図2】同じく正面図である。
図3】使用状態を示す斜視図である。
図4】第二の実施例を示す側面図である。
図5】第三の実施例を示す側面図である。
図6】第四の実施例を示す側面図である。
図7】第五の実施例を示す側面図である。
図8】第六の実施例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例0020】
次に、図面を参照して好ましい実施例を説明する。この実施例では対象となるレーザダイオードチップがセットされる測定チャックが横置きとなるため、積層プローブの探触部は上下方向に動くことを想定しているが、想定チャックの設置方向で、この上下方向の動作は左右方向(横方向)あるいは斜め方向となることも当然に含有されることとなる。
【0021】
図中1は本発明を実施した積層プローブを示している。この積層プローブ1は導電性及びバネ性を有する略長方形をした薄金属板をその厚さ方向に適宜間隔を隔てて複数枚連続積層して、後述するバネ性を保有した探触部を除いた部分で、ビス2や接着剤、半田をはじめとする適宜手段によって一体的に固定されている。尚、前記した薄金属板の厚さは目的に応じて0.05mm~1mmのものとなっている。
【0022】
また、前記した各薄金属板の間隔には目的に応じて絶縁材あるいは導電性のスペーサ3、3‥が介在されている。このスペーサ3、3を絶縁材とすると、各薄金属板は独立した電極4、4aを有することとなり、導電性のものとすると、各薄金属板は同一の電極4、4‥を有することとなる。加えて各薄金属板による独立した動作が可能となっている。
【0023】
前記各薄金属板の長手方向の下方側には、その長手方向に沿って薄金属板の長手方向の中程までの奥行きをもった切り欠き部5が形成されており、この切り欠き部5によって、薄金属板の下縁には片状とした探触部6が形成されている。この探触部6の先端は薄金属板の幅より外方に突出し、下方に向けて屈曲されたものとされ、その先端が探触ポイント7とされている。
【0024】
前記した切り欠き部5の基端5aは本実施例にあってはU字状に形成され、探触部6、強いては探触ポイント7を上下動させるバネ機構となっている。この切り欠き部5の基端5aの形状はU字状に代えてV字状とすることもできる。
【0025】
また、前記探触部6の先端寄り上部には、切り欠き部5を架して(横断して)、支持バネ部8が一体に形成されている。この支持バネ部8は蛇行状に形成され、上下方向に圧縮されるが、左右方向の動きには抗して、探触部6、強いては探触ポイント7の横振れや捩れを防止する。尚、この支持バネ部8の形状は蛇行状のものに代えてジグザグ状としたり、斜状(スロープ状)あるいは後述するステップ状に構成することができる。
【0026】
さらに、この支持バネ部8の上部側で切り欠き部5の内方側には、その上下方向のバネ性を補助するための凹み部9が形成されている。
【0027】
積層ホルダー1は上記のように構成され、使用に際しては、絶縁体によるホルダー10に組み付けられ、検査装置11の下面にセットされる。前記した探触ポイント7、7‥は測定チャック上に載置される、例えばパワーレーザダイオードチップLDに対して上方から当接される。このレーザダイオードチップLDは流す電流(30アンペア以上)によって発熱が大きくなるため、より大きな圧力(1kg以上)で測定チャックにレーザダイオードチップLDを押し当て発熱を放熱させてやる必要があり、切り欠き部5は十分にその圧力を与えることができ、支持バネ部8もこれを補助するが、圧力による変形の応力は支持バネ部8の湾曲部分に集中する。積層ホルダー1を構成する薄金属板の枚数は対象となるレーザダイオードチップのサイズによって選択決定されその間隔や厚さも必要に応じて決定される。
【実施例0028】
次に、図4を参照して本発明の第二の実施例を説明する。尚、実施例1と同一部分については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。以下第三~第六の実施例についても同様である。図中1aは第二の実施例に係る積層プローブを示しており、この第二の実施例の場合は、探触部6におけるバネ性を一層高めるために、探触部6の下辺で、切り欠き部5の基端5a寄りの部分、さらには、その基端5aの下方位置に台形をした凹所12が形成されているもので、これにより、切り欠き部5の基端5aによる探触部6、強いては探触ポイント7の上下動をさせるバネ力を増加することができる。尚、この凹所12は台形に限らず、弧状としたり、波状とすることも目的に応じて可能である。
【実施例0029】
次に、図5を参照して本発明の第三の実施例を説明する。図中1bは第三の実施例に係る積層プローブを示しており、この第三の実施例にあっては支持バネ部8aが探触部6の先端寄りの上部から切り欠き部5を斜状に架して構成されたスロープ形とされ、その支持バネ部8aの下端及び上端に屈曲部B1、B2が形成されたステップ状に形成されているもので、前記した屈曲部B1、B2が応力を受け、探触部6、強いては探触ポイント7を上下動させるものとなっている。
【実施例0030】
次に、図6を参照して本発明の第四の実施例を説明する。図中1cは第四の実施例に係る積層プローブを示しており、この第四の実施例の場合は第三の実施例を比して、支持バネ部8bの幅(上下方向の厚さ)を大きく構成してあり、より応力への対応を強めたものとなっている。
【実施例0031】
次に、図7を参照して本発明の第五の実施例を説明する。図中1dは第五の実施例に係る積層プローブを示しており、この第五の実施例に係る積層プローブ1dは前記した第三の実施例を応用変形させたもので、第二の実施理で示している凹所12を設けて、探触部6、探触ポイント7により一層のバネ力を加えることができるものとしている。
【実施例0032】
次に、図8を参照して本発明の第六の実施例を説明する。図中1eは第六の実施例に係る積層プローブを示しており、この第六の実施例に係る積層プローブ1eは前記した第四の実施例を応用変形させたもので、第二の実施例で示している凹所12を設けて、探触部6、探触ポイント7により一層のバネ力を加えることのできるものとしている。
【0033】
本実施例に係る積層プローブは上述のように構成されている。そのために、本発明に係る積層プローブは、検査対象のサイズや特性に応じて、枚数や各薄金属板の厚さ、相互の間隔等が適宜に選択調整することができることとなり、有するバネ性によって、検査対象の表面に存在する少々の凹凸は吸収して正確なコンタクトが行える。検査対象に探触ポイントを大きな圧力で押し当てることができ、発熱を放熱することもできる。各薄金属板による探触ポイントは積層されていても全てが独立して動作できるため、常に安定したコンタクトが行える。各薄金属板はリン青銅を使用することが想定され、加工はエッチングによりなされることを想定しているが、場合によっては型成形とすることも可能であり、素材も他の金属とすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1,1a,1b,1c,1d,1e 積層プローブ
2 ビス
3 スペーサ
4,4a 電極
5 切り欠き部
5a 基端
6 探触部
7 探触ポイント
8,8a,8b 支持バネ部
9 凹み部
10 ホルダー
11 検査装置
12 凹所
LD レーザダイオードチップ
B1,B2 屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8