(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157646
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 17/08 20060101AFI20241031BHJP
B65G 17/34 20060101ALI20241031BHJP
B65G 17/38 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65G17/08
B65G17/34
B65G17/38 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072110
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】506179929
【氏名又は名称】ツバキ山久チエイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 敦
(72)【発明者】
【氏名】小林 親一
(72)【発明者】
【氏名】鵜沼 晋作
【テーマコード(参考)】
3F034
【Fターム(参考)】
3F034AA00
3F034CA05
3F034CB01
(57)【要約】
【課題】フレーム機構が左右方向に湾曲可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】ワークを搬送するための少なくとも左右方向に自在に屈曲可能な無端状の搬送チェーン2と、搬送チェーン2を走行可能に支持するフレーム機構3と、を備える。フレーム機構3は、互いに隣接するフレーム構成部材21を左右方向に旋回可能に連結して構成されている。フレーム構成部材21の最小旋回半径は、搬送チェーン2の最小旋回半径以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するための少なくとも左右方向に自在に屈曲可能な無端状の搬送部材と、
前記搬送部材を走行可能に支持するフレーム機構と、を備え、
前記フレーム機構は、互いに隣接するフレーム構成部材を前記左右方向に旋回可能に連結して構成されている搬送装置。
【請求項2】
前記搬送部材は、互いに隣接するチェーン構成部材を前記左右方向に湾曲可能に連結して構成された搬送チェーンであって、
前記フレーム機構の最小旋回半径は、前記搬送部材の最小旋回半径以上である
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記フレーム構成部材の各々において、前記搬送部材の走行方向に平行な側面が当接するガイド面は、前記走行方向に湾曲する曲面である
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド面の曲面は、前記フレーム機構が最大に湾曲したときにおける、前記搬送部材の内周側の前記側面の曲線に合わせた形状を有している
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
互いに隣接する前記フレーム構成部材は、リンク軸によって、旋回可能に連結されている
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記フレーム構成部材の各々は、本体部と、前記本体部の両側面に配置されるカバーと、を備え、
互いに隣接する前記フレーム構成部材の中で一方の前記フレーム構成部材の前記本体部における一方の側面と他方の前記フレーム構成部材の前記本体部における他方の側面との間は、隙間を備え、
前記一方の側面に配置される前記カバーと前記他方の側面に配置される前記カバーとは、前記隙間の部分において、重なり合っている
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自在に屈曲可能な搬送部材を走行可能に支持するフレーム機構を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送部材としての搬送ライン用の搬送チェーンには、特許文献1に示すように、三次元搬送ライン用搬送チェーンがある。この種の搬送チェーンは、上下方向の他に左右方向に自在に屈曲可能な構成を有している。このような搬送チェーンを使用する搬送装置は、搬送チェーンを走行可能に支持するフレーム機構を備えている。フレーム機構は、所定のレイアウトに合わせて、ストレートフレーム機構と、カーブフレーム機構とを組み合わせて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レイアウトが決まると、そのレイアウトに合わせて、ストレートフレーム機構は、レイアウトのストレート部分の長さに合わせて製作される。カーブフレーム機構は、搬送チェーンの最小旋回半径より大きい半径で湾曲するように、レイアウトのカーブ部分の長さに合わせて製作される。このようにフレーム機構は、設置場所のレイアウトに合わせた専用フレーム機構となる。したがって、レイアウト変更をする場合は、多くを流用するにしても、改めて、ストレートフレーム機構及びカーブフレーム機構の中の少なくとも1つのフレーム機構を作製し直す必要が生じる。そのため、従来のフレーム機構は、汎用性に乏しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための搬送装置は、ワークを搬送するための少なくとも左右方向に自在に屈曲可能な無端状の搬送部材と、搬送部材を走行可能に支持するフレーム機構と、を備え、前記フレーム機構は、互いに隣接するフレーム構成部材を左右方向に旋回可能に連結して構成されている。上記構成によれば、フレーム機構が左右方向に旋回可能であることで、レイアウト変更等が容易となり、汎用性が高くなる。
【0006】
上記搬送装置において、前記搬送部材は、互いに隣接するチェーン構成部材を前記左右方向に旋回可能に連結して構成された搬送チェーンであって、前記フレーム機構の最小旋回半径は、前記搬送部材の最小旋回半径以上であることが好ましい。上記構成によれば、左右方向に自在に屈曲可能な搬送チェーンも、左右方向に旋回するフレーム機構によって円滑に走行することができる。
【0007】
上記搬送装置において、前記フレーム構成部材の各々において、前記搬送部材の走行方向に平行な側面が当接するガイド面は、前記走行方向に湾曲する曲面であることが好ましい。上記構成によれば、カーブ部分であっても、搬送部材の走行を確実にガイドできる。
【0008】
上記搬送装置において、前記ガイド面の曲面は、前記フレーム機構が最大に湾曲したときにおける、前記搬送部材の内周側の前記側面の曲線に合わせた形状を有している構成が好ましい。上記構成によれば、カーブ部分において、搬送部材の内周側の側面をガイド面で確実にガイドできる。
【0009】
上記搬送装置において、互いに隣接する前記フレーム構成部材は、リンク軸によって、旋回可能に連結されている構成とすることが好ましい。上記構成によれば、リンク軸によって互いに隣接する前記フレーム構成部材を左右方向に旋回可能に連結できる。
【0010】
上記搬送装置において、前記フレーム構成部材の各々は、本体部と、前記本体部の両側面に配置されるカバーと、を備え、互いに隣接する前記フレーム構成部材の中で一方の前記フレーム構成部材の前記本体部における一方の側面と他方の前記フレーム構成部材の前記本体部における他方の側面との間は、隙間を備え、前記一方の側面に配置される前記カバーと前記他方の側面に配置される前記カバーとは、前記隙間の部分において、重なり合っていることが好ましい。上記構成によれば、左右方向に旋回可能に連結されている本体部の間に構成される隙間を、本体部に配置されるカバーで隠すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フレーム機構が左右方向に旋回可能であることで、汎用性の高い搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態で説明する搬送装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態におけるフレーム機構の端部に配置される端部フレーム構成部材の斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態におけるフレーム機構の中間に配置される中間フレーム構成部材の斜視図である。
【
図5】
図5は、端部フレーム構成部材と中間フレーム構成部材の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、フレーム構成部材を連結する第1連結部と第2連結部とリンク軸を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、互いに隣接するフレーム構成部材が直線状に並んだ状態を示す平面図である。
【
図8】
図8は、互いに隣接するフレーム構成部材が湾曲した状態を示す平面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態におけるフレーム構成部材を構成する本体部の斜視図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態におけるフレーム構成部材の本体部の斜視図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態におけるフレーム構成部材の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態におけるフレーム構成部材が第1連結部と第2連結部とで連結された状態を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第5実施形態で説明する搬送装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、第5実施形態におけるフレーム構成部材の斜視図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態におけるフレーム構成部材の正面図である。
【
図16】
図16は、第6実施形態で説明する搬送装置の斜視図である。
【
図17】
図17は、第5実施形態におけるフレーム構成部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された搬送装置について図面を参照して説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、搬送装置1は、搬送チェーンと2と、搬送チェーン2を走行可能に支持するフレーム機構3と、を備えている。搬送チェーン2は、複数のチェーン構成部材11を連結して構成されている。
【0014】
図2に示すように、互いに隣り合うチェーン構成部材11は、互いに上下方向に自在に屈曲可能であるとともに、互いに左右方向に自在に屈曲可能となるように連結された三次元搬送ライン用搬送チェーンである。搬送チェーン2は、無端状で帯形状のチェーンで構成されている。搬送チェーンは、スプロケットに掛け渡されている。または、アイドラホイールに掛け渡されている。搬送チェーン2は、フレーム機構3の上側の走行路が搬送側であり、フレーム機構3の下側の走行路が戻り側である。互いに連結されるチェーン構成部材11は、搬送物としてのワークが載置されるトッププレート部12と、フレーム機構のガイド部24が係合するガイド凹部13とを備える。ガイド凹部13の奥面は、ガイド部24のガイド面が当接する搬送チェーン2の側面11aである。
【0015】
フレーム機構3は、左右方向に湾曲可能なフレキシブルフレーム機構である。フレーム機構3は、複数のフレーム構成部材21を連結して構成されている。互いに隣接するフレーム構成部材21は、左右方向に湾曲可能となるように連結されている。フレーム機構3の各端部は、更に他のフレーム機構3の端部と連結してもよいし、ストレートフレーム機構の端部又はカーブフレーム機構の端部に連結するようにしてもよい。フレーム機構3は、左右方向に湾曲可能であることから、搬送ラインの微調整やレイアウト変更を容易に行うことができる。更に、フレーム機構3は、搬送チェーン2が走行停止している状態だけでなく、走行中においても、湾曲することができる。例えば、フレーム機構3は、搬送ラインを、S字形状に湾曲させることもできるし、C字形状に湾曲させることもできる。更に、フレーム機構3は、カーブの程度にあわせて、ストレートから最小旋回半径までの範囲で旋回半径を可変することができる。
【0016】
フレーム機構3は、複数のフレーム構成部材21を左右方向に旋回可能に連結して構成されている。フレーム機構3の最小旋回半径R1は、搬送チェーン2の最小旋回半径R2以上である。すなわち、搬送チェーン2の方がフレーム機構3よりも急峻に湾曲可能である。これにより、搬送チェーン2は、湾曲部分においても、湾曲したフレーム機構3に支持された状態で円滑に走行可能となる。これとは逆に、フレーム機構3の方が搬送チェーン2よりも急峻に湾曲する場合は、搬送チェーンがフレーム機構3の湾曲に合わせて走行できない場合が生じてしまう。
【0017】
なお、ここでのフレーム機構3の最小旋回半径R1は、搬送チェーン2の走行方向と直交する幅方向の中央を走行方向に延びる中央線4aでの半径を示す。また、搬送チェーン2の最小旋回半径R2は、搬送チェーン2の走行方向と直交する幅方向の中央を走行方向に延びる中央線4bでの半径を示す。
【0018】
フレーム機構3は、一列に並ぶフレーム構成部材21の両側に配置されるガイド機構5を備えている。ガイド機構5は、線状形状を有したガイド部材6と、フレーム構成部材21の側面に取り付けられた支持部材7と、を備えている。ガイド部材6は、支持部材7によって端部が支持されている。支持部材7は、一列に並んだフレーム構成部材21において、1つおきに配置される。また、図示しないが、フレーム構成部材21の側面には、レーム構成部材21一連に連結されたフレームを支持するための脚部が取り付けられる。
【0019】
〔第1実施形態〕
〔フレーム構成部材〕
図3は、第1実施形態におけるフレーム機構3において、端部に配置される端部フレーム構成部材21aである。
図4は、端部フレーム構成部材21aの間に配置される中間フレーム構成部材21bである。
図5は、端部フレーム構成部材21aと中間フレーム構成部材21bの分解斜視図である。
図3に示す端部フレーム構成部材21aは、
図5中左端に位置する端部フレーム構成部材21aLである。
図5中右端に位置する端部フレーム構成部材21aRである。端部フレーム構成部材21aL,21aRをまとめて、端部フレーム構成部材21aともいう。端部フレーム構成部材21aも中間フレーム構成部材21bも、共通部品として、本体部22を備えている。
【0020】
図6に示すように、本体部22は、一対の側板23と、一対の側板23の上下端に配置されるガイド部24と、一対の側板23の間に配置される第1連結部25及び第2連結部26と、を備えている。本体部22は、一体成型された樹脂部品である。
【0021】
一対の側板23の各々は、矩形板である。各側板23は、連結される搬送チェーン2の走行方向が横辺であって、上下方向が縦辺である。各側板の外面において、上下方向の中ほどに3つの孔が並んで配置されている。具体的に、中央には、大孔27aが配置され、大孔27aの両側に小孔27bが配置されている。大孔27aは、支持部材7等の部材を取り付けるための取付孔である。小孔27bは、カバー34を固定するための固定孔である。
【0022】
各側板23の上下端に配置されるガイド部24は、他方の側板23の方向に突出している。ガイド部24の内側に臨む先端面は、搬送チェーン2の側面11aが当接するガイド面24aである。ガイド面24aは、搬送チェーン2の走行方向に湾曲する曲面で構成されている。すなわち、フレーム機構3を最大に湾曲したときにあって、カーブの内周側旋回半径Rinは、外周側旋回半径Routよりも小さくなる(
図8参照)。ガイド面24aは、内周側旋回半径Rinの曲面で構成されている。したがって、フレーム機構3を最大に湾曲させたとき、搬送チェーン2のガイド凹部13に位置する内周側の側面11aの曲面が内周側のガイド面24aの曲面と同じとなり、しっかりと当接する。これにより、ガイド面24aは、搬送チェーン2の走行を確実にガイドできる。
【0023】
図6に示すように、一対の側板23の間において、走行方向における一方の端部には、第1連結部25が構成されている。他方の端部には、第2連結部26が構成されている。第1連結部25は、上連結片25aと、下連結片25bと、を備えている。上連結片25a及び下連結片25bは、互いに平行に離間している。上連結片25a及び下連結片25bは、中心軸線を一致させた連結孔25cを備えている。上連結片25a及び下連結片25bの各々において、連結孔25cの両側であって基端側には、旋回角度を規定するための係合段部25dを備えている。
【0024】
第2連結部26は、中間連結片26aを備えている。中間連結片26aも、上連結片25a及び下連結片25bの間に挿入された際に、上連結片25a及び下連結片25bの連結孔25cと中心軸線を一致させる連結孔26bを備えている。中間連結片26aにおいて、連結孔26bの両側は、係合段部25dに係合可能な旋回規制部26cを備えている。旋回規制部26cは、連結孔26bの半周を基端側において囲むように上下方向に突出している。旋回規制部26cは、その端部が係合段部25dに係合する。
【0025】
上連結片25aと下連結片25bの間に中間連結片26aが挿入された状態において、重なり合った3つの連結孔25c,26bには、リンク軸28が挿入される。そして、リンク軸28は、抜け止めリング、抜け止めピン等の抜け止め部材を使用して連結孔25c,26bから抜け止めされる。
【0026】
互いに隣接するフレーム構成部材21は、旋回規制部26cが係合段部25dに係合するまで左右方向に旋回可能である。一例として、一方のフレーム構成部材21の中央線4aに対して他方のフレーム構成部材21の中央線4aが0°のときは、真っ直ぐ並んだ状態である(
図7参照)。そして、例えば、一方のフレーム構成部材21の中央線4aに対して他方のフレーム構成部材21の中央線4aが例えば10°(設定角度)となるまで旋回可能である(
図8参照)。
【0027】
各側板23には、上下方向の中央の位置において、走行方向に延びる抜き孔29を備えている(
図3及び
図4参照)。抜き孔29には、連結プレート31又は固定プレート32が選択的に挿入される。
図3に示すように、端部フレーム構成部材21aは、相手方のフレームと接続するための連結プレート31が挿入される。連結プレート31は、細長い矩形板部材である。連結プレート31は、長手方向において、一方の側に偏って、大固定孔31aと、大固定孔31aの両側に位置する小固定孔31bと、を備えている(
図5参照)。大固定孔31a及び小固定孔31bは、一例としてねじ孔である。大固定孔31a及び小固定孔31bは、連結プレート31が抜き孔29に挿入されたとき、大孔27a及び小孔27bと重なる。連結プレート31は、長手方向において、他方の側に偏って、連結孔31cを備えている。連結プレート31において、連結孔31cが設けられた部分は、抜き孔29に挿入されたときに、側板23の縁から突出する部分である。そして、突出した部分は、連結相手となるフレーム機構の端部に接続される。
【0028】
図4に示すように、中間フレーム構成部材21bは、固定プレート32が抜き孔29に挿入される。固定プレート32は、連結プレート31よりも短いく矩形板部材であって、大固定孔32aと、大固定孔32aの両側に位置する小固定孔32bと、を備えている(
図5参照)。固定プレート32は、抜き孔29に挿入されたとき、抜き孔29に納まる。大固定孔32a及び小固定孔32bは、一例としてねじ孔である。大固定孔32a及び小固定孔32bは、抜き孔に挿入されたとき、大孔27a及び小孔27bと重なる。
【0029】
図6に示すように、一対の側板23の外側は、カバー34が配置される。中間フレーム構成部材21bにおける本体部22に使用されるカバー34は、矩形板である。カバー34は、平板部34aと、折曲部34bと、を備えている。カバー34は、1枚の金属板等の矩形板を折曲して平板部34aと折曲部34bとを構成している。カバー34は、上下方向が上下にガイド部24を備えた側板23と同じ高さである。走行方向における幅は、平板部34aが概ねガイド部の長さに対応している。折曲部34bは、ガイド部24からはみ出し、はみ出した部分において、内側に曲がって構成されている。したがって、互いに隣接する中間フレーム構成部材21bにおいて、一方の中間フレーム構成部材21bのカバー34の折曲部34bは、他方の中間フレーム構成部材21bのカバー34の平板部34aの縁部において、内側に潜り込む(
図7及び
図8参照)。互いに隣接する中間フレーム構成部材21bにおいて、一方の中間フレーム構成部材21bの側板23の端部と他方の中間フレーム構成部材21bの側板23の端部との間に隙間37が生じる。その隙間37は、カバー34の折曲部34bで隠すことができる。また、カバー34には、大孔27a及び小孔27bと対応して大貫通孔35aと小貫通孔35bと、を備えている。
【0030】
一方の端部フレーム構成部材21aLにおいて、カバー34は、中間フレーム構成部材21bのものと同じである(
図5参照)。他方の端部フレーム構成部材21aRにおいて、カバー34は、平板部34aだけで構成される(
図5参照)。端部フレーム構成部材21aRのカバー34は、一つ前の中間フレーム構成部材21bにおけるカバー34の折曲部34bが内側に潜り込む。このカバー34は、折曲部34bを省略することで、接続相手のフレームとの連結を可能とする。
【0031】
〔組立〕
図5に示すように、端部フレーム構成部材21aの組立は、抜き孔29に連結プレート31を挿入し、次いで、一対の側板23にカバー34を配置する。次いで、小ネジ等で構成された小固定部材36bが重なった小貫通孔35b,小孔27b、小固定孔32bに締め付けられる。また、大ネジ等で構成された大固定部材36aが、重なった大貫通孔35a、大孔27a、大固定孔32aに締め付けられる。
【0032】
また、中間フレーム構成部材21bの組立は、抜き孔29に固定プレート32を挿入し、同じように、小固定部材36bを重なった小貫通孔35b,小孔27b、小固定孔32bに締め付ける。また、大固定部材36aが重なった大貫通孔35a,大孔27a,大固定孔32aに締め付けられる。
【0033】
図6に示すように、中間フレーム構成部材21b同士の連結は、第1連結部25を構成する上連結片25aと下連結片25bとの間に、第2連結部26を構成する中間連結片26aを挿入する。そして、重なった連結孔25c,26bにリンク軸28を挿入ことで、2つの中間フレーム構成部材21bを連結する。一方の中間フレーム構成部材21bにおけるカバー34の折曲部34bは、他方の中間フレーム構成部材21bにおけるカバー34の平板部34aの内側に潜り込む。端部フレーム構成部材21aと中間フレーム構成部材21bとも、第1連結部25と第2連結部26を重ねてリンク軸28によって連結する。
【0034】
〔動作〕
図7に示すように、互いに隣り合うフレーム構成部材21が直線状に並んだ状態は、各フレーム構成部材21における中央線4aが直線状に並んだ状態である。一方のフレーム構成部材21の中央線4aに対する他方のフレーム構成部材21の中央線4aの旋回角度は、0°である。
【0035】
図8に示すように、一方のフレーム構成部材21は、旋回規制部26cが係合段部25dに係合するまで旋回可能である。すなわち、一方のフレーム構成部材21は、他方のフレーム構成部材21に対して、旋回規制部26cの一端部が係合段部25dの一端部に係合するまで旋回可能である。また、一方のフレーム構成部材21は、他方のフレーム構成部材21に対して、旋回規制部26cの他端部が係合段部25dの他端部に係合するまで旋回可能である。一方の中間フレーム構成部材21bの中央線4aに対する他方の中間フレーム構成部材21bの中央線4aの旋回角度は、例えば10°である。また、一方の端部フレーム構成部材21aの中央線4aに対する他方の中間フレーム構成部材21bの中央線4aの旋回角度は、例えば5°である。
【0036】
〔第1実施形態の効果〕
以上のような第1実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1-1)互いに隣接するフレーム構成部材21が旋回可能であることから、レイアウトの変更を容易に行うことができる。すなわち、従来のようにストレートフレーム機構やカーブフレーム機構を事前に用意することが不要となる。
【0037】
(1-2)フレーム構成部材21が連結された部分では、互いに隣接するフレーム構成部材21を旋回させることで、ストレート部分を構成することもできるし、カーブ部分を構成することもできる。
【0038】
(1-3)左右方向に旋回可能なフレーム機構3において、最小旋回半径R1は、搬送チェーン2の最小旋回半径R2以上である。すなわち、搬送チェーン2の方がフレーム機構3よりも急峻に湾曲可能である。これにより、搬送チェーン2は、フレーム機構3を円滑に走行することができる。
【0039】
(1-4)レイアウトは、見積金額を算出する際に、フレーム構成部材21の数によって算出することができる。したがって、レイアウトの見積が容易となる。
(1-5)フレーム機構3において、その長さは、フレーム構成部材21の追加、削除で容易に調整することができる。したがって、レイアウトの長さ変更を容易に行うことができる。
【0040】
(1-6)既設のフレーム機構に対しても、フレーム機構3は容易に連結することができる。したがって、レイアウト変更に対しても容易に対応することができる。
(1-7)ガイド面24aは、内周側旋回半径Rinの曲面で構成されている。フレーム機構3を最大に湾曲させたとき、搬送チェーン2のガイド凹部13に位置する内周側側面11aが内周側のガイド面24aにしっかりと当接する。したがって、ガイド面24aは、搬送チェーン2の走行を確実にガイドできる。
【0041】
(1-8)互いに隣り合うフレーム構成部材21において、一対の側板23の間は、隙間37が構成されている。したがって、隣り合うフレーム構成部材21の側板23の端部同士が突き当たって、旋回が制限されてしまうことを防ぐことができる。旋回の範囲は、係合段部25dと旋回規制部26cが干渉するまでの範囲とすることができる。そして、一方のフレーム構成部材21のカバー34は、他方のフレーム構成部材21のカバー34の下側において重なっている。したがって、フレーム機構3は、隙間37を隠すことができる。
【0042】
(1-9)各フレーム構成部材21は、大孔27a,大固定孔31a,32a、大貫通孔35aを通じて、ガイド機構5の構成部材や脚部を取り付けることができる。
〔第2実施形態〕
〔フレーム構成部材〕
図9は、フレーム構成部材21を構成する本体部22の変形例である。第2実施形態での本体部41は、一対の側板23の構成が異なる。本体部41は、本体部22と同様に、一体成型された樹脂部品である。
【0043】
本体部41において、一対の側板42は、カバー34が配置される外側面において、上下方向に延びる谷部43を備えている。具体的に、走行方向の中央位置において、谷部43は、上側のガイド部24の位置から下側のガイド部24の位置に亘って設けられている。また、一対の側板42は、上下方向の中央位置において分断部44によって分断されている。この分断部44は、カバー34の大貫通孔35a及び小貫通孔35bが並ぶ位置である。また、分断部44は、抜き孔29と連通している。抜き孔29に連結プレート31が挿入されたとき、大固定孔31aが臨むとともに、小固定孔31bが臨む。また、抜き孔29に固定プレート32が挿入されたとき、大固定孔32aが臨むとともに、小固定孔32bが臨む。側板42における分断部44は、側板23と異なり、大孔27a及び小孔27bの代わりである。
【0044】
〔第2実施形態の効果〕
以上のような第2実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(2-1)本体部41は、金型成形時、成形金型を、上金型と下金型とで構成することができる。すなわち、成形金型は、分断部44の位置を上金型と下金型の分割ラインとする。そして、上金型は、上側のガイド部24を含む上半体を成形する。下金型は、下側のガイド部24を含む下半体を成形する。これにより、本体部41は、より簡素な成形金型によって成形できる。
【0045】
(2-2)本体部41は、本体部22のような大孔27a及び小孔27bを不要とし、その代わりに、分断部44を備えている。したがって、本体部41は、構成を簡素化することができる。
【0046】
〔第3実施形態〕
〔フレーム構成部材〕
第3実施形態においても、本体部は、樹脂部品である。第3実施形態では、ガイド部24が他の部分と異なる樹脂で構成されている。ガイド部24は、搬送チェーン2をガイドする部分であり、かつ、搬送チェーン2の側面11aが当接する部分である。このため、
図10に示すように、ガイド部24は、摺動性に優れた樹脂材料、UHMW(超高分子量ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、ナイロン等が用いられる。これに対して、ガイド部24以外の部分は、摺動性を優先するよりも強度の高い樹脂材料、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタール等が用いられる。すなわち、ガイド部24は、他の部分とは別部品である。これにより、本体部は、耐久性を向上することができる。
【0047】
〔第4実施形態〕
〔フレーム構成部材〕
第4実施形態におけるフレーム構成部材は、樹脂成形品ではなく、ステンレス等の金属材料で構成されている。
【0048】
図11に示すように、端部に配置されるフレーム構成部材21が端部フレーム構成部材21aである。また、端部フレーム構成部材21aの間に配置されるフレーム構成部材21が中間フレーム構成部材21bである。
【0049】
端部フレーム構成部材21aは、本体部51と、上ガイド部52と、下ガイド部53と、を備えている。更に、端部フレーム構成部材21aは、カバー54と、中間板55と、裏板56と、を備えている。
【0050】
本体部51は、基部61と、第1連結部62と、連結プレート部63と、を備えている。本体部51は、長手方向の一方に上板から第1連結部62が延び、反対側に側板から連結プレート部63が延びている。
【0051】
第1連結部62は、基部61を構成する上板から延びる延長板に構成されている。第1連結部62は、真円の支持孔62aと、支持孔62aより延長板の先端側に位置する複数の位置決め孔62bと、を備えている。支持孔62aは、延長板の基端側に設けられている。支持孔62aは、隣接するフレーム構成部材21が旋回する際の旋回支点となる。また、位置決め孔62bは、延長板の先端側に設けられている。位置決め孔62bは、一方のフレーム構成部材21に対する他方のフレーム構成部材21の旋回角度を位置決めするための貫通孔であり、複数設けられている。
【0052】
なお、
図11中、左端の端部フレーム構成部材21aにおいて、本体部51は、第1連結部62を備えているが、右端の端部フレーム構成部材21aにおいて、本体部51は、後述の第2連結部73を備えている。
【0053】
連結プレート部63は、基部61の側板から延びている。そして、連結プレート部63は、連結孔63aを備えている。連結孔63aは、連結相手となるフレームの端部に接続される。基部61の側板は、カバー54、中間板55及び裏板56を固定するための固定孔61aを備えている。
【0054】
基部61の各側面の外側には、カバー54、中間板55及び裏板56が配置されている。カバー54は、最も外側に配置される矩形形状の平板である。カバー54は、中央に大貫通孔54aを備えるとともに、その横に小貫通孔54bを備えている。
【0055】
中間板55は、カバー54と裏板56との間に配置される。中間板55は、固定板部55aと、折曲部55bと、を備え、全体がT字形状を有している。固定板部55aは、大貫通孔54aに対応する大孔55cと、小貫通孔54bに対応した小孔55dと、を備えている。折曲部55bは、上ガイド部52及び下ガイド部53からはみ出し、はみ出した部分において、内側に曲がっている。したがって、互いに隣接する中間フレーム構成部材21bにおいて、一方の中間フレーム構成部材21bのカバー54の折曲部55bは、他方の中間フレーム構成部材21bのカバー54の内側に潜り込む。裏板56は、固定板部55aとほぼ同じ大きさの矩形平板である。
【0056】
裏板56は、大貫通孔54a及び大孔55cに対応する大孔56aと、小貫通孔54b及び小孔55dに対応した小孔56bと、を備えている。基部61の各側面には、固定孔61aを備えている。本体部51は、外側からカバー54,中間板55,裏板56の順で重ね合わされる。その後、大固定部材64aが、重なった大貫通孔54a,大孔55c,56a、固定孔61aに締め付けられる。同様に、小固定部材64bが、重なった小貫通孔54b,小孔55d,56b、固定孔61aに締め付けられる。
【0057】
上ガイド部52及び下ガイド部53は、搬送チェーン2の方向に突出している。上ガイド部52及び下ガイド部53の先端面は、搬送チェーン2の側面11aが当接するガイド面52a,53aである。ガイド面52a,53aは、搬送チェーン2の走行方向に湾曲する曲面で構成されている。ガイド面52a,53aは、第1実施形態で説明したガイド面24aと同じである。カバー54は、上ガイド部52及び下ガイド部53を取り付けるための通し孔65を備えている。上ガイド部52及び下ガイド部53は、通し孔65に対応したねじ孔等の取付孔65aを備えている。上ガイド部52及び下ガイド部53は、ねじなどの固定部材65bが取付孔65aに締め付けられることによって固定される。
【0058】
中間フレーム構成部材21bも、端部フレーム構成部材21aと同様に、本体部70を備えている。本体部70は、端部フレーム構成部材21aの本体部51と構成が異なる。本体部70は、基部71と、第1連結部62と、第2連結部73と、を備えている。本体部51は、長手方向の一方に上板から第1連結部62が延び、反対側から第2連結部73が延びている。第1連結部62は、本体部51が備える第1連結部62と同じ構成である。第2連結部73は、第1連結部62の相手方である。第2連結部73は、基部71を構成する上板から延びる延長板に構成されている。第2連結部73は、延長板の基端側に位置する真円の支持孔73aと、支持孔73aより延長板の先端側に位置する長孔73bと、を備えている。長孔73bは、その長軸を旋回方向としている。
【0059】
基部71の各側面の外側には、カバー54及び中間板55が配置されている。基部71では、基部61と異なり、裏板56は省略されている。基部71で使用するカバー54及び中間板55は、基部61に使用するカバー54及び中間板55と同じ構成である。
【0060】
〔連結〕
図12に示すように、第1連結部62と第2連結部73とは、重ねられる。そして、支持孔62a,73aは重ねられ、軸部材74で連結される。軸部材74は、抜け止め部材、カシメ等によって抜け止めされる。そして、第1連結部62のいずれかの位置決め孔62bと長孔73bが重ねることで、旋回角度が調整される。その後、ネジなどの調整部材75により締め付けられる。
【0061】
第4実施形態では、互いに隣接するフレーム構成部材21において、一方のフレーム構成部材21に対する他方のフレーム構成部材21の旋回角度は、調整部材75を位置決め孔62bと長孔73bに締め付けることによって決められる。したがって、第4実施形態では、搬送チェーン2が走行している状態で旋回角度を変更することはできない。旋回角度を変更するときは、調整部材75を外してから、一方のフレーム構成部材21に対して他方のフレーム構成部材21を旋回させることになる。
【0062】
なお、以上の例では、旋回角度を固定するために、調整部材75を位置決め孔62bと長孔73bに締め付けるようにしているが、この作業を省略するようにしてもよい。これにより、フレーム構成部材21は、例えば搬送チェーン2の走行の有無にかかわらず、旋回角度を変更することも可能となる。
【0063】
〔第4実施形態の効果〕
以上のような第4実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(4-1)フレーム構成部材21は、本体部51,70がステンレス等の金属材料で構成されている。したがって、第4実施形態のフレーム機構3は、第1実施形態等よりも強度を高めることができる。
【0064】
(4-2)フレーム構成部材21同士は、本体部51,70の第1連結部62及び第2連結部73を通じて旋回可能に連結される。第1連結部62及び第2連結部73は、金属製なので、摩耗紛等を発生しにくくできる。
【0065】
(4-3)搬送チェーン2は、樹脂成型品であるチェーン構成部材11の連結体である。上ガイド部52及び下ガイド部53は、耐摩耗性に優れる樹脂成型品とすることで、金属製の場合より搬送チェーン2を摩耗しにくくできる。
【0066】
なお、第4実施形態において、基部61の各側面は、カバー54、中間板55及び裏板56が配置されていなくてもよい。例えば、中間板55、裏板56の何れか又は両方を省略する構成としてもよい。
【0067】
〔第5実施形態〕
図13及び
図14に示すように、第5実施形態の搬送装置81は、搬送チェーン82の構成が第1実施形態の搬送チェーン2と異なる。これに伴い、搬送装置81のフレーム構成部材91は、フレーム構成部材21の構成とも異なっている。
【0068】
搬送チェーン82も、複数のチェーン構成部材83を連結して構成されている。搬送チェーン82も、互いに上下方向に自在に屈曲可能であるとともに、互いに左右方向に自在に屈曲可能となるように連結された無端状で帯形状の三次元搬送ライン用搬送チェーンである。搬送チェーン82は、スプロケットに掛け渡されている。または、アイドラホイールに掛け渡されている。搬送チェーン82は、フレーム機構90の上側の走行路が搬送側であり、フレーム機構90の下側の走行路が戻り側である。各チェーン構成部材83は、トッププレート部84と、リンク突部85と、リンク凹部86と、を備えている。リンク突部85は、トッププレート部84の裏面に対して突出している。リンク突部85は、リンク軸88が挿通されるリンク孔84aを備えている。リンク孔84aは、挿入されたリンク軸88が互いに隣接するチェーン構成部材83が左右方向にも自在に屈曲できる大きさに構成されている。リンク凹部86は、リンク突部85が間に入り込む一対のリンク片86aを備えている。リンク片86aも、トッププレート部84の裏面に対して突出している。リンク片86aは、先端に、リンク軸88の先端を支持する支持孔86bを備えている。
【0069】
図15に示すように、一対のリンク片86aの外向きの外面は、トッププレート部84の裏面に近い基端位置よりも離れた先端位置の方が幅広となる傾斜面87で構成されている。すなわち、搬送側となる上側において、傾斜面87は、上側の搬送側となる走行路において、上側より下側は幅広である。また、傾斜面87は、下側の戻り側となる走行路において、傾斜面87は、下側より上側は幅広である。
【0070】
フレーム機構90は、第1実施形態で示すガイド部24の構成が異なる。ガイド部92は、一対のリンク片86aの外側に位置し、傾斜面87と対向する。ガイド部92の傾斜面87と対向するガイド面92aも、傾斜面87と同じ傾きを備えている。
【0071】
すなわち、フレーム機構90における上側の搬送側となる走行路において、一対のガイド面92aは、上側より下側が幅広である。したがって、搬送側となる走行路において、搬送チェーン82は、浮き上がろうとしても、傾斜面87がガイド面92aに当接することで、フレーム機構90からの浮き上がりが抑えられる。
【0072】
下側の戻り側となる走行路において、一対のガイド面92aは、下側より上側が幅広である。したがって、戻り側となる走行路において、搬送チェーン82は、下側に落ちようとしても、傾斜面87がガイド面92aに当接することで、フレーム機構90からの落下が抑えられる。
【0073】
フレーム機構90において、下側のガイド部92は、脱落防止片93が配置されている脱落防止片93は、下側のガイド部92だけに配置されている。そして、脱落防止片93は、トッププレート部84の縁部を下側から覆う。これにより、下側の戻り側となる搬送チェーン82は、下側への弛みが抑制される。
【0074】
なお、各フレーム構成部材91において、本体部やカバーは、第1実施形態における本体部22及びカバー34とほぼ同じ構成を有しているため、詳細は省略する。また、互いに隣接するフレーム構成部材91も、リンク軸28によって旋回可能に連結されている。
【0075】
〔第5実施形態の効果〕
以上のような第5実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(5-1)搬送チェーン82及びフレーム機構90を備えた搬送装置81にあっても、互いに隣接するフレーム構成部材91を一方のフレーム構成部材91に対して他方のフレーム構成部材91を旋回可能とすることで、レイアウトの変更を容易に行うことができる。
【0076】
(5-2)フレーム構成部材91が連結された部分では、互いに隣接するフレーム構成部材91を旋回させることで、直線部を構成することもできるし、カーブ部を構成することもできる。
【0077】
(5-3)フレーム機構90において、その長さは、フレーム構成部材91の追加、削除で容易に調整することができる。したがって、レイアウトの長さ変更を容易に行うことができる。
【0078】
(5-4)既設のフレーム機構に対しても、フレーム機構90は容易に連結することができる。したがって、レイアウト変更に対しても容易に対応することができる。
なお、左右に位置する脱落防止片93は、繋がっていてもよい。すなわち、
図15中左側に位置する脱落防止片93の先端と右側に位置する脱落防止片93の先端は繋がっていてもよい。これにより、戻り側の搬送チェーン82の走行路は、脱落防止片93に塞がれた状態となる。また、脱落防止片93は、戻り側の搬送チェーン82におけるトッププレート部84の縁部と重なるのではなく、中央部分と重なるように位置していてもよい。
【0079】
〔第6実施形態〕
図16及び
図17に示すように、第6実施形態の搬送装置101は、搬送部材に、搬送チェーンではなくロープ形状の丸ベルトで構成された搬送ベルト102を用いている。搬送ベルト102は、可撓性を有する無端のベルトである。すなわち、搬送ベルト102は、互いに上下方向に自在に屈曲可能であるとともに、互いに左右方向に自在に屈曲可能である三次元搬送ライン用搬送ベルトである。また、搬送ベルト102は、走行時、搬送物が滑らないように高摩擦である。これに伴い、搬送装置101のフレーム構成部材21は、フレーム構成部材21の構成も異なっている。
【0080】
フレーム機構110を構成するフレーム構成部材111は、本体部112に搬送ベルト102をガイドするサポートローラ113を備えている。具体的に、本体部112は、上側の搬送側となる走行路において、搬送ベルト102を挟み込むように、一対備えている。各サポートローラ113は、本体部112が備える軸に回転可能に支持されている。上側の搬送側となる走行路において、サポートローラ113は、ローラカバー114によって覆われている。サポートローラ113を覆うローラカバー114は、本体部112に側面に取り付けられたカバー34に取り付けられる。
【0081】
本体部112は、下側の戻り側となる走行路において、搬送ベルト102を挟み込むように、一対備えている。各サポートローラ113は、本体部112が備える軸に回転可能に支持されている。各サポートローラ113は、本体部112が備える軸に回転可能に支持されている。
【0082】
なお、各フレーム構成部材111において、本体部や側面に取り付けられるカバー34は、第1実施形態における本体部22及びカバー34とほぼ同じ構成を有しているため、詳細は省略する。また、互いに隣接するフレーム構成部材21も、リンク軸28によって旋回可能に連結されている。
【0083】
〔第6実施形態の効果〕
以上のような第6実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(6-1)搬送ベルト102及びフレーム機構110を備えた搬送装置101も、互いに隣接するフレーム構成部材111の一方のフレーム構成部材111に対して他方のフレーム構成部材111が旋回可能である。したがって、搬送装置101も、レイアウトの変更を容易に行うことができる。
【0084】
(6-2)フレーム構成部材111が連結された部分では、互いに隣接するフレーム構成部材111を旋回させることで、直線部を構成することもできるし、カーブ部を構成することもできる。
【0085】
(6-3)フレーム機構110において、その長さは、フレーム構成部材111の追加、削除で容易に調整することができる。したがって、レイアウトの長さ変更を容易に行うことができる。
【0086】
(6-4)既設のフレーム機構に対しても、フレーム機構110は容易に連結することができる。したがって、レイアウト変更に対しても容易に対応することができる。
なお、以上説明した第1実施形態~第6実施形態は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0087】
・カバー34は、例えば第1実施形態における互いに隣接するフレーム構成部材21の側板23間に構成される隙間37を隠すような構成でなくてもよい。すなわち、互いに隣接するフレーム構成部材21のカバー34は、重なっていなくてもよい。勿論、第2実施形態~第6実施形態においても、互いに隣接するフレーム構成部材のカバー34は、重なっていなくてもよい。
【0088】
・カバー34は、省略してもよい。
・ガイド面24aの曲面形状は、フレーム機構3が最大に湾曲したときにおける、搬送チェーン2の内周側の側面11aの曲線に合わせた曲面形状を有していなくてもよい。この場合、側面11aとガイド面24aは、線接触ではなく点接触する。
【0089】
・ガイド面24aは、曲面形状を有していなくてもよい。
・フレーム機構3の最小旋回半径R1は、搬送チェーン2の最小旋回半径R2より小さくてもよい。
【0090】
・搬送部材としては、少なくとも左右方向に自在に屈曲可能であればよく、上下方向に旋回可能でなくてもよい。
・チェーン構成部材11は樹脂製に限定されず、金属製でもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…搬送装置
2…搬送チェーン
3…フレーム機構
5…ガイド機構
6…ガイド部材
7…支持部材
11…チェーン構成部材
11a…側面
12…トッププレート部
13…ガイド凹部
21a…端部フレーム構成部材
21b…中間フレーム構成部材
22…本体部
23…側板
24…ガイド部
24a…ガイド面
25…第1連結部
25d…係合段部
26…第2連結部
26c…旋回規制部
28…リンク軸
29…抜き孔
31…連結プレート
32…固定プレート
34…カバー
34a…平板部
34b…折曲部
37…隙間