(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157650
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ブラシ体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A46B 3/06 20060101AFI20241031BHJP
A46D 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A46B3/06
A46D1/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072120
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】596024426
【氏名又は名称】槌屋ティスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】大原 康之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 旭
(72)【発明者】
【氏名】野澤 優美子
(72)【発明者】
【氏名】張 明哲
(72)【発明者】
【氏名】市川 由希
(72)【発明者】
【氏名】小松 丈紘
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA24
3B202AB03
3B202AB19
3B202BA05
3B202EA01
3B202ED08
3B202EE01
3B202EG03
(57)【要約】
【課題】ブラシ糸の抜けを抑制することができるとともに、被清掃体へダメージを与えることなく高い埃除去効果を得ることができるブラシ体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数本のブラシ糸が互いに隣接するように並列に配置されたうえ、各ブラシ糸の基端部が相互に接合されて得られた帯状ブラシ材を用いることによって形成されるブラシ体であって、帯状ブラシ材は、複数本のブラシ糸が基端部から先端部へ向かって延びる高さ方向、複数本のブラシ糸の並び方向、高さ方向及び並び方向にそれぞれ交差する厚み方向を有し、並び方向において所定の長さに裁断された帯状ブラシ材が裁断端部が折り返し部の内側になるように厚み方向に巻き重ねて積層され、さらに重なった基端部が接合されて形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のブラシ糸が互いに隣接するように並列に配置されたうえ、各ブラシ糸の基端部が相互に接合されて得られた帯状ブラシ材を用いることによって形成されるブラシ体であって、
前記帯状ブラシ材は、前記複数本のブラシ糸が基端部から先端部へ向かって延びる高さ方向、前記複数本のブラシ糸の並び方向、前記高さ方向及び前記並び方向にそれぞれ交差する厚み方向を有し、
前記並び方向において所定の長さに裁断された前記帯状ブラシ材が裁断端部が巻き重ねの内側になるように前記厚み方向に巻き重ねて積層され、さらに重なった前記基端部が接合されて形成される、
ことを特徴とするブラシ体。
【請求項2】
前記ブラシ糸は、隣接する一対が互いの基端で繋がることにより一体化され、前記基端部において熱融着糸が前記ブラシ糸に絡むように編み込まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載のブラシ体。
【請求項3】
前記ブラシ糸は、単糸繊度6デニール以上、毛羽の高さが30mm以上である、
ことを特徴とする請求項2に記載のブラシ体。
【請求項4】
前記ブラシ糸は、前記ブラシ糸を形成する繊維の比抵抗が105Ω・cm以下である、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブラシ体。
【請求項5】
複数本のブラシ糸を互いに隣接するように並列に配置したうえ、各ブラシ糸の基端部を相互に接合して帯状ブラシ材を形成した後、前記複数本のブラシ糸が基端部から先端部へ向かって延びる高さ方向と、前記複数本のブラシ糸の並び方向とにそれぞれ交差する方向を前記帯状ブラシ材の厚み方向とし、前記帯状ブラシ材を前記並び方向において所定の長さに裁断し、裁断された前記帯状ブラシ材が裁断端部が巻き重ねの内側になるように前記厚み方向に巻き重ねて積層し、さらに重なった前記基端部を相互に接合する、
ことを特徴とするブラシ体の製造方法。
【請求項6】
重なった前記基端部の全体を加熱及び加圧して前記基端部を相互に接合するとともに前記裁断端部を融着させる、
ことを特徴とする請求項5に記載のブラシ体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数本のブラシ糸が互いに隣接するように並列に配置されたうえ、各ブラシ糸の基端部が相互に接合されて得られた帯状ブラシ材を用いることによって形成されるブラシ体であって、複数本のブラシ糸が基端部から先端部へ向かってそれぞれ延びる方向と、複数本のブラシ糸の並び方向との2つの方向にそれぞれ交差する方向を、帯状ブラシ材における厚み方向として、帯状ブラシ材が厚み方向に複数積層され、さらに隣接する帯状ブラシ材同士が接合されて形成されるブラシ体が知られている(特許文献1)。
【0003】
ワークを洗浄または研磨する工業用ブラシにおいて、並べられたブラシ毛に対して直角方向に合成樹脂製線材により織込みまたは編込まれた所定の幅からなる少なくとも一つの連結部を備えたブラシ毛集合体と、ブラシ毛集合体から所望の形状にしたブラシからなる工業用ブラシも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-296496号公報
【特許文献2】特開2008-113942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ブラシ糸の抜けを抑制することができるとともに、被清掃体へダメージを与えることなく高い埃除去効果を得ることができるブラシ体及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のブラシ体は、
複数本のブラシ糸が互いに隣接するように並列に配置されたうえ、各ブラシ糸の基端部が相互に接合されて得られた帯状ブラシ材を用いることによって形成されるブラシ体であって、
前記帯状ブラシ材は、前記複数本のブラシ糸が基端部から先端部へ向かって延びる高さ方向、前記複数本のブラシ糸の並び方向、前記高さ方向及び前記並び方向にそれぞれ交差する厚み方向を有し、
前記並び方向において所定の長さに裁断された前記帯状ブラシ材が裁断端部が巻き重ねの内側になるように前記厚み方向に巻き重ねて積層され、さらに重なった前記基端部が接合されて形成される、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシ体において、
前記ブラシ糸は、隣接する一対が互いの基端で繋がることにより一体化され、前記基端部において熱融着糸が前記ブラシ糸に絡むように編み込まれている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のブラシ体において、
前記ブラシ糸は、単糸繊度6デニール以上、毛羽の高さが30mm以上である、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブラシ体において、
前記ブラシ糸は、前記ブラシ糸を形成する繊維の比抵抗が105Ω・cm以下である、
ことを特徴とする。
【0010】
前記課題を解決するために、請求項5に記載のブラシ体の製造方法は、
複数本のブラシ糸を互いに隣接するように並列に配置したうえ、各ブラシ糸の基端部を相互に接合して帯状ブラシ材を形成した後、前記複数本のブラシ糸が基端部から先端部へ向かって延びる高さ方向と、前記複数本のブラシ糸の並び方向とにそれぞれ交差する方向を前記帯状ブラシ材の厚み方向とし、前記帯状ブラシ材を前記並び方向において所定の長さに裁断し、裁断された前記帯状ブラシ材が裁断端部が巻き重ねの内側になるように前記厚み方向に巻き重ねて積層し、さらに重なった前記基端部を相互に接合する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のブラシ体の製造方法において、
重なった前記基端部の全体を加熱及び加圧して前記基端部を相互に接合するとともに前記裁断端部を融着させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、帯状ブラシ材の裁断端部におけるブラシ糸の抜けを抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、巻き重ねて積層された基端部の固定強度を高めることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、凹凸を有する被清掃体であっても高い埃除去効果を得ることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、被清掃体表面が除電されることで埃と被清掃体表面間の静電吸着力が低減され高い埃除去効果を得ることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、ブラシ糸の抜けを抑制することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、帯状ブラシ材の裁断端部におけるブラシ糸の抜けを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係るブラシ体を概念的に示す斜視図である。
【
図2】(a)はブラシ体の正面図、(b)は(a)におけるA-A線に沿った断面模式図、(c)は(a)におけるB-B線に沿った断面模式図である。
【
図3】帯状ブラシ材を形成する状態を概念的に示す平面模式図である。
【
図4】(a)は帯状ブラシ材を示す平面図、(b)は側面図である。
【
図6】巻き重ねて積層した帯状ブラシ材を中間部分でプレスカットしてブラシ体を得る過程を説明する図である。
【
図7】(a)は比較例のブラシ体の構成を示す正面図、(b)は比較例のブラシ体の構成を示す側面図である。
【
図8】変形例に係る帯状ブラシ材を形成する状態を概念的に示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0020】
(1)ブラシ体の構成
図1は本実施形態に係るブラシ体10を概念的に示す斜視図、
図2(a)はブラシ体10の正面図、(b)は
図2(a)におけるA-A線に沿った断面模式図、(c)は
図2(a)におけるB-B線に沿った断面模式図である。
以下本実施形態に係るブラシ体10の構成と機能について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(1.1)ブラシ体の全体構成
ブラシ体10は、
図1に模式的に示すように、基部11と、基部11上に起毛する毛羽部12とからなり、毛羽部12が被清掃体に付着した埃を除去することができる。特に、凹凸を有する被清掃体であっても毛羽部12が充分に接触して被清掃体表面が除電されることで、埃と被清掃体表面間の静電吸着力が低減され高い埃除去効果を得ることができる。
【0022】
このようなブラシ体10は、
図2(a)に示すように、複数本のブラシ糸22が互いに隣接するように並列に配置され、各ブラシ糸22の基端部22aが相互に接合されて得られた帯状ブラシ材20を所定の長さに裁断し、
図2(b)に断面模式図で示すように、裁断端部20aが巻き重ねの内側になるように厚み方向に巻き重ねて積層して、さらに、
図2(c)に示すように、重なった基端部22aが接合されて形成されている。
【0023】
帯状ブラシ材20は、ブラシ体10の長手方向に並設された複数本のブラシ糸22と、これらブラシ糸22と交差する方向に延びる保持糸23A、23Bとを有し、ブラシ体10の基部11は、ブラシ糸22の基端部22aが重なった状態で接合されて構成されている。
【0024】
ブラシ体10の毛羽部12は、ブラシ糸22の中間部から先端部によって構成される毛先部22bの集合体によって構成されている。なお、本実施形態のブラシ糸22において、基端部22aと毛先部22bとは、保持糸23A、23Bのうち、最も上方に配置された保持糸23Bを境界として区分けしている。
【0025】
(1.2)帯状ブラシ材
図3は帯状ブラシ材20を形成する状態を概念的に示す平面模式図、
図4(a)は帯状ブラシ材を示す平面図、(b)は側面図である。
帯状ブラシ材20を形成する場合は、
図3に示すように、まずブラシ糸22が波状に屈曲され、その両側の屈曲部分がそれぞれ2本の保持糸23A、23Bによって順次編み上げられる。すなわち、隣接する一対のブラシ糸22は、長尺のブラシ糸を二つ折りし、U字状に屈曲させて形成され、複数本のブラシ糸22が互いに隣接するように並列に配置されたうえ、各ブラシ糸22の基端部22aが保持糸23A、23Bによって相互に接合されることにより形成されている。尚、保持糸23A、23Bは、それぞれ2本、またはそれ以上使用してもよい。
【0026】
保持糸23Bは、低融点ナイロン製の熱融着糸からなり、帯状ブラシ材20を編み上げた後に熱プレス等によりヒートセット加圧されることで溶融して各ブラシ糸22の基端部22aを溶着させる。
そして、保持糸23A、23Bによって綴じられた各ブラシ糸22は、
図4に示すように、中間部分(
図4において2点鎖線で示す)で切断して毛先部22bが開繊される。尚、本実施形態においては、後述するように、厚み方向に巻き重ねて積層して重なった基端部22aを接合してブラシ体10とした後、中間部分(
図6(a)において2点鎖線で示す)で切断することで、毛先部22bが開繊されている。
【0027】
「変形例」
図8には変形例に係る帯状ブラシ20Aを形成する状態を概念的に示す平面模式図である。
帯状ブラシ20Aは、
図8に示すように、各ブラシ糸22の基端部22aを接合する保持糸23A、23Bのうち、熱融着糸からなる保持糸23Bを保持糸23Aに沿う方向のみならず、ブラシ糸22に沿うように編み込んでもよい(
図8において破線で示す)。これにより、熱プレス等によりヒートセット加圧した際に、基端部22aにおける融着面積が増加して、更に毛抜けを抑制することが可能となる。
【0028】
ここで、帯状ブラシ材20において、ブラシ糸22が基端部22aから毛先部22b(先端部)へ向かってそれぞれ延びる方向を高さ方向H、各ブラシ糸22の並び方向を並び方向L、高さ方向Hと並び方向Lにそれぞれ交差する方向を厚み方向Tとする。
本実施形態では、並び方向Lにおいて所定の長さに裁断された帯状ブラシ材20が裁断端部20aが巻き重ねの内側になるように厚み方向Tに巻き重ねて積層され、さらに重なった基端部22aが保持糸23Bが再溶融して硬化することで強固に接合されてブラシ体10が形成されている(
図2(b) 参照)。
【0029】
帯状ブラシ材20を構成するブラシ糸22は、単糸繊度6~50デニールであるマルチフィラメント糸や導電性を有する導電糸が用いられている。単糸繊度が6デニール未満では、ブラシ糸22として強度が不足し、単糸繊度が50デニールを超える場合は、ブラシ糸22のコシが強くなり、被清掃体を傷付ける虞がある。
【0030】
導電性を示す導電糸としては、その表面に銅を被覆した導電性のアクリル系及びナイロン系繊維(日本蚕毛染色(株)製の商品名サンダーロン)、炭素を練り込んで複合紡糸された導電性のポリエステル繊維((株)クラレ製の商品名クラカーボ)や導電性のナイロン繊維(KBセーレン(株)の商品名ベルトロン)、ステンレス繊維(日本精線(株)製の商品名ナスロン)、炭素繊維(帝人(株)製の商品名テナックス)などが適宜選択可能で、比抵抗が105~10-1(Ω・cm)の導電性を有する導電糸として使用される。比抵抗が105~10-1(Ω・cm)の導電糸とすることで、被清掃体表面が除電されて埃と被清掃体表面間の静電吸着力が低減され高い埃除去効果を得ることができる。
本実施形態においては、ブラシ糸22として235T/15のナイロン系のサンダーロンフィラメント糸を使用している。
【0031】
ブラシ糸22の毛羽の高さ(毛長)は、ブラシ体10の用途に応じて適宜設定される。
本実施形態においては、毛羽の高さは30mm以上である。毛羽の高さを30mm以上とすることで、凹凸を有する被清掃体であってもブラシ糸22が充分に接触して高い埃除去効果を得ることができる。
【0032】
(2)ブラシ体10の製造方法
図5はブラシ体10の製造過程を示す図、
図6は巻き重ねて積層した帯状ブラシ材20を中間部分でプレスカットしてブラシ体10を得る過程を説明する図、
図7(a)は比較例のブラシ体100の構成を示す正面図、(b)は比較例のブラシ体100の構成を示す側面図である。
ブラシ体10は、まず帯状ブラシ材20を形成し、その形成された帯状ブラシ材20を厚み方向Tに巻き重ねて積層し、重なった帯状ブラシ材20の基端部22aを接合することによって形成される。
【0033】
帯状ブラシ材20を形成する場合は、
図3に示すように、まずブラシ糸22が波状に屈曲され、その両側の屈曲部分がそれぞれ2本の保持糸23A、23Bによって順次編み上げられる。
そして、ブラシ糸22及び保持糸23A、23Bは、編み上げた後に熱プレス等によりヒートセット加圧されることで熱融着糸からなる保持糸23Bが溶融してブラシ糸22内に浸透して固化することにより、互いに強く溶着される。従って、保持糸23Bに使用される糸には、ヒートセット加圧による溶融可能なものが用いられている。一方、ブラシ糸22には、溶融した保持糸23Bと好適に接着し得る材料からなる糸を使用することが好ましい。本実施形態のブラシ糸22には、ナイロン系繊維からなる導電性の糸が使用されており、保持糸23Bには、低融点ナイロン製の熱融着繊維を合糸したナイロン繊維の糸が使用されている。
【0034】
次に、上記のようにして形成された帯状ブラシ材20は、並び方向Lにおいて所定の長さに裁断される。ここで、所定の長さは、帯状ブラシ材20を厚み方向に巻き重ねて積層して形成するブラシ体10の長さ及び厚みに応じて決定される。例えば、
図5(a)に示すように、ブラシ体10が、長さとして長さL1、厚みとしてN層(
図5においては6層)からなる場合、所定の長さはN*L1+α(αはL1よりも小さい)となる。
【0035】
図5(a)に示すように、所定の長さに裁断された帯状ブラシ材20をブラシ体10の長さ(L1)となる芯材Gに対して巻き付けて積層する。巻き付けた後、芯材Gを取り外すことにより、厚み方向に巻き重ねて積層した帯状ブラシ材20が得られる。
【0036】
次に、
図5(b)、(c)に示すように、芯材Gを取り外した帯状ブラシ材20の基端部22aを熱プレスPでヒートセット加圧する。ヒートセット加圧は、一例として、100℃~120℃に加熱した鉄製のブロック体を200~400kgfの圧力で30~40秒押し当てることで実施される。保持糸23Bがヒートセット加圧により再溶融して、重なった帯状ブラシ材20の基端部22aが互いに強く溶着される。
【0037】
そして、
図6(a)に示すように、厚み方向に巻き重ねて積層し、基端部22aが接合された帯状ブラシ材20を高さ方向において中間部分でプレスカットすることで、
図6(b)に示すように、ブラシ体10が2セット得られる。
【0038】
ブラシ体10は、所定の長さに裁断された帯状ブラシ材20を裁断端部20aが巻き重ねの内側になるように厚み方向に巻き重ねて積層して、さらに重なった基端部22aが接合されて形成されている。これにより、予め長さL1に裁断された帯状ブラシ200を厚み方向に複数積層して隣接する帯状ブラシ200同士を基端部220aで接合して形成した
図7に示す比較例のブラシ体100に比べて、帯状ブラシ材20の裁断端部20aにおけるブラシ糸22の抜けを抑制することができる。
【0039】
(3)ブラシ体の作用効果
・ブラシ体10は、複数本のブラシ糸22が互いに隣接するように並列に配置され、各ブラシ糸22の基端部22aが相互に接合されて得られた帯状ブラシ材20を所定の長さに裁断し、裁断端部20aが巻き重ねの内側になるように厚み方向に巻き重ねて積層して、重なった基端部22aがヒートセット加圧されることで保持糸23Bがブラシ糸22と溶融接合されて形成されている。これにより、予め所定の長さに裁断された帯状ブラシを厚み方向に複数積層して隣接する帯状ブラシ同士を基端部で接合して形成した場合に比べて、帯状ブラシ材20の裁断端部20aにおけるブラシ糸22の抜けを抑制することができる。
・帯状ブラシ材20を構成するブラシ糸22は、単糸繊度6~50デニールで、比抵抗が105~10-1(Ω・cm)の導電性を有する導電糸が用いられている。これにより、被清掃体表面が除電されて埃と被清掃体表面間の静電吸着力が低減され高い埃除去効果を得ることができる。
・ブラシ糸22の毛羽の高さ(毛長)は30mm以上である。毛羽の高さを30mm以上とすることで、凹凸を有する被清掃体であってもブラシ糸22が充分に接触して高い埃除去効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
10・・・ブラシ体
11・・・基端部、12・・・毛羽部
20・・・帯状ブラシ材
22・・・ブラシ糸、23A、23B・・・保持糸