(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157657
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気コネクタ及び電気コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/40 20060101AFI20241031BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R13/40 B
H01R43/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072131
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】鴇田 潤一
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
【Fターム(参考)】
5E051BA04
5E051BB02
5E051BB05
5E087FF13
5E087GG16
5E087RR04
5E087RR29
5E087RR47
(57)【要約】
【課題】ターミナルが相手側導電部と接続する際のターミナルの変形を防止すると共に、簡易な構成の金型によってハウジングを成型することができることによりコストを低減すること。
【解決手段】電気コネクタ1は、導電性を有するターミナル2と、第1の係合部23と係合してターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向への移動を規制する第1の規制部32と、第2の係合部24と係合することにより第2の挿入孔33に挿入される相手側導電部11と接続する第1の接続部21の脱落方向と直交する浮上がり方向への移動を規制する第2の規制部34と、を備える絶縁性のハウジング3と、を有し、第1の規制部32は、ハウジング3を前方向側から見た際に視認可能であり、第2の規制部34は、ハウジング3を後方向側から見た際に第1の挿入孔31を介して視認可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続される電気コネクタであって、
相手側コネクタの相手側導電部と接続する第1の接続部と、前記電線と接続する第2の接続部と、第1の係合部と、第2の係合部と、を備える導電性を有するターミナルと、
前記ターミナルが挿入される第1の挿入孔と、前記第1の係合部と係合して前記ターミナルの前記第1の挿入孔からの脱落方向への移動を規制する第1の規制部と、前記第1の接続部を外部に露出すると共に前記相手側導電部が挿入可能な第2の挿入孔と、前記第2の係合部と係合することにより前記第2の挿入孔に挿入される前記相手側導電部と接続する前記第1の接続部の前記脱落方向と直交する浮上がり方向への移動を規制する第2の規制部と、を備える絶縁性のハウジングと、
を有し、
前記第1の規制部は、
前記ハウジングを前記脱落方向と反対方向側から見た際に視認可能であり、
前記第2の規制部は、
前記ハウジングを前記脱落方向側から見た際に前記第1の挿入孔を介して視認可能である、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、
前記第1の挿入孔よりも前記浮上り方向側に前記脱落方向に沿って平坦な平坦壁部と、前記平坦壁部と前記第1の挿入孔との間に設けられると共に前記第1の規制部を前記反対方向側から視認可能にする孔部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第2の係合部は、
前記ターミナルの左右側方の端部より折り曲げられていると共に折り曲げ方向の先端部が前記ターミナルの中心軸側に更に折り曲げられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ターミナルは、
前記第1の係合部と前記第1の接続部とを前記脱落方向において同じ位置に備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項5】
相手側コネクタの相手側導電部と接続する第1の接続部と、電線と接続する第2の接続部と、第1の係合部と、第2の係合部と、を備える導電性を有するターミナルと、
前記ターミナルが挿入される第1の挿入孔と、前記第1の係合部と係合して前記ターミナルの前記第1の挿入孔からの脱落方向への移動を規制する第1の規制部と、前記第1の接続部を外部に露出すると共に前記相手側導電部が挿入可能な第2の挿入孔と、前記第2の係合部と係合することにより前記第2の挿入孔に挿入される前記相手側導電部と接続する前記第1の接続部の前記脱落方向と直交する浮上がり方向への移動を規制する第2の規制部と、を備える絶縁性のハウジングと、
を有する電気コネクタの製造方法であって、
第1の金型と第2の金型とによって形成されたキャビティ内に溶融させた樹脂を充填して冷却した後に、前記第1の金型を前記脱落方向にスライドさせると共に前記第2の金型を前記脱落方向と反対方向にスライドさせることにより、前記ハウジングを前記反対方向側から見た際に前記第1の規制部が視認可能であると共に、前記ハウジングを前記脱落方向側から見た際に前記第1の挿入孔を介して前記第2の規制部が視認可能な前記ハウジングを形成する、
ことを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【請求項6】
前記キャビティ内に溶融させた樹脂を充填して冷却した後に、前記第1の金型を前記脱落方向にスライドさせると共に前記第2の金型を前記反対方向にスライドさせることにより、前記第1の挿入孔よりも前記浮上り方向側に前記脱落方向に沿って平坦な平坦壁部と、前記平坦壁部と前記第1の挿入孔との間に設けられると共に前記第1の規制部を前記反対方向側から視認可能にする孔部と、を備える前記ハウジングを形成する、
ことを特徴とする請求項5記載の電気コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が接続される電気コネクタ及びこの電気コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、
図30に示すように、電線が接続される電気コネクタ900に関し、ハウジング1000のランス1002によりコンタクト2000をハウジング1000から抜けないようにしている。また、特許文献1は、コンタクト2000の対向する接触部の間に相手コネクタ3000の相手コンタクト3001が挿入されて接触部に接触することにより、コンタクト2000と相手コンタクト3001とを電気的に接続する。
【0003】
しかしながら、このようなコネクタでは、コンタクトと相手コンタクトとが接触する際に、コンタクトの接触部がコンタクトに対する相手コンタクトの挿入方向に押圧されて、コンタクトが浮き上がって変形する可能性がある。
【0004】
これに対して、コンタクトに対する相手コンタクトの挿入方向へのコンタクトの移動をハウジングにより規制して、コンタクトの浮き上がりを防止することが考えられる。例えば、特許文献1の電気コネクタ900において、コンタクト2000と相手コンタクト3001とが接触する際において、コンタクト2000の接触部がコンタクト2000に対する相手コンタクト3001の挿入方向(
図30において上方向)に押圧された場合に、ハウジング1000の受け部1003によりコンタクト2000の浮き上がりを規制することが考えられる。このような構成により、コンタクトの浮き上がりを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のコンタクトの浮き上がりによる変形を防止する上記の構成においては、ハウジングの構成が複雑になって、ハウジングを形成するための金型の構造が複雑になるという課題を有する。例えば、特許文献1においては、ハウジング1000の受け部1003とランス1002との間に隙間1004を設ける必要があるため、
図30において左右方向に移動する機構に加えて、
図30において上下方向に移動する機構を有する金型によってハウジング1000を形成する必要があり、簡易な構成の金型によってハウジングを形成することは困難である。
【0007】
本発明の目的は、ターミナルが相手側導電部と接続する際のターミナルの変形を防止することができると共に、簡易な構成の金型によってハウジングを形成することができることによりコストを低減することができる電気コネクタ及び電気コネクタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気コネクタは、電線が接続される電気コネクタであって、相手側コネクタの相手側導電部と接続する第1の接続部と、前記電線と接続する第2の接続部と、第1の係合部と、第2の係合部と、を備える導電性を有するターミナルと、前記ターミナルが挿入される第1の挿入孔と、前記第1の係合部と係合して前記ターミナルの前記第1の挿入孔からの脱落方向への移動を規制する第1の規制部と、前記第1の接続部を外部に露出すると共に前記相手側導電部が挿入可能な第2の挿入孔と、前記第2の係合部と係合することにより前記第2の挿入孔に挿入される前記相手側導電部と接続する前記第1の接続部の前記脱落方向と直交する浮上がり方向への移動を規制する第2の規制部と、を備える絶縁性のハウジングと、を有し、前記第1の規制部は、前記ハウジングを前記脱落方向と反対方向側から見た際に視認可能であり、前記第2の規制部は、前記ハウジングを前記脱落方向側から見た際に前記第1の挿入孔を介して視認可能である。
【0009】
また、本発明に係る電気コネクタの製造方法は、相手側コネクタの相手側導電部と接続する第1の接続部と、電線と接続する第2の接続部と、第1の係合部と、第2の係合部と、を備える導電性を有するターミナルと、前記ターミナルが挿入される第1の挿入孔と、前記第1の係合部と係合して前記ターミナルの前記第1の挿入孔からの脱落方向への移動を規制する第1の規制部と、前記第1の接続部を外部に露出すると共に前記相手側導電部が挿入可能な第2の挿入孔と、前記第2の係合部と係合することにより前記第2の挿入孔に挿入される前記相手側導電部と接続する前記第1の接続部の前記脱落方向と直交する浮上がり方向への移動を規制する第2の規制部と、を備える絶縁性のハウジングと、を有する電気コネクタの製造方法であって、第1の金型と第2の金型とによって形成されたキャビティ内に溶融させた樹脂を充填して冷却した後に、前記第1の金型を前記脱落方向にスライドさせると共に前記第2の金型を前記脱落方向と反対方向にスライドさせることにより、前記ハウジングを前記脱落方向と反対方向側から見た際に前記第1の規制部が視認可能であると共に、前記ハウジングを前記脱落方向側から見た際に前記第1の挿入孔を介して前記第2の規制部が視認可能な前記ハウジングを形成する。
【0010】
相手側導電部が第2の挿入孔より挿入されて第1の接続部に接続する際に、第1の接続部が相手側導電部によって浮上がり方向に押圧されると共に、第2の規制部に係合している第2の係合部がターミナルの浮上がり方向への移動を規制する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ターミナルが相手側導電部と接続する際のターミナルの変形を防止することができると共に、簡易な構成の金型によってハウジングを成型することができることによりコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの上方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの平面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのターミナルの斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのターミナルの背面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのターミナルの平面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのハウジングの平面図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのハウジングの正面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのハウジングの背面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタと嵌合する相手側コネクタの斜視図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのハウジングと第2の金型との関係を示す正面図である。
【
図15】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタのハウジングと第1の金型との関係を示す背面図である。
【
図16】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタと相手側コネクタとが嵌合した状態の斜視図である。
【
図17】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタと相手側コネクタとが嵌合した状態の平面図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタの斜視図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタの平面図である。
【
図22】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタのハウジングの斜視図である。
【
図23】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタのハウジングの正面図である。
【
図24】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタのハウジングの背面図である。
【
図26】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタのハウジングと第2の金型との関係を示す正面図である。
【
図27】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタのハウジングと第1の金型との関係を示す背面図である。
【
図28】本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタのターミナルの斜視図である。
【
図29】本発明の第4の実施形態に係る電気コネクタのターミナルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後方向、x軸の正方向を左方向、x軸の負方向を右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、
図1から
図13を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0015】
電気コネクタ1には、電線100が接続されている。電気コネクタ1は、相手側コネクタ10と着脱自在に嵌合する。電気コネクタ1は、導電性を有する金属板を加工して形成されているターミナル2と、絶縁性を有する樹脂等の材料によって形成されているハウジング3と、を有している。
【0016】
ターミナル2は、基部20と、第1の接続部21と、第2の接続部22と、第1の係合部23と、第2の係合部24と、を備えている。
【0017】
基部20は、第1の接続部21、第2の接続部22、第1の係合部23及び第2の係合部24を接続している。
【0018】
第1の接続部21は、基部20の左右に一対設けられている。第1の接続部21は、基部20の左右側方の端部である左端部及び右端部の各々より下方に折り曲げられていると共に下方に向かって互いに近接する方向に折り曲げられている。第1の接続部21は、相手側コネクタ10の相手側導電部11に当接する接点部211を備えている。左右の接点部211は、間隔Bを有して対向している(
図6参照)。第1の接続部21は、接点部211により相手側導電部11を挟持して相手側導電部11に圧接することにより相手側導電部11と接続する。
【0019】
第2の接続部22は、第1の接続部21よりも後方において基部20の左右に一対設けられており、第1の圧着部221と、第2の圧着部222と、第3の圧着部223と、を備えている。
【0020】
第1の圧着部221は、基部20の後端部において基部20の左端部及び右端部の各々より下方に折り曲げられており、電線100に圧着されて電線100に固定及び接続されている。
【0021】
第2の圧着部222は、第1の圧着部221と第3の圧着部223との間において基部20の左端部及び右端部の各々より下方に折り曲げられており、電線100に圧着されて電線100に固定及び接続されている。
【0022】
第3の圧着部223は、第2の圧着部222と第1の接続部21との間において基部20の左端部及び右端部の各々より下方に折り曲げられており、電線100の図示しない導電部に対して圧着されて固定及び接続されている。
【0023】
第1の係合部23は、基部20の一部を切り欠いて上方に折り曲げられており、前後方向において第1の接続部21と同じ位置に設けられている。第1の係合部23は、ハウジング3の第1の規制部32と係合している。
【0024】
第2の係合部24は、基部20の前端部において基部20の左端部及び右端部の各々より下方に折り曲げられていると共に折り曲げ方向の先端部がターミナル2の中心軸側である内方に更に折り曲げられて間隔Aを有して対向しており、ハウジング3の第2の規制部34と係合している。ここで、ターミナル2の中心軸は、ターミナル2の前後方向と平行な軸である。
【0025】
ハウジング3は、第1の挿入孔31と、第1の規制部32と、第2の挿入孔33と、第2の規制部34と、連通孔35と、を備えている。
【0026】
第1の挿入孔31は、ハウジング3の後端部から前方に延設されている。第1の挿入孔31には、ターミナル2が挿入されている。第1の挿入孔31は、ハウジング3を後方側から見た際に第2の規制部34の全てを視認可能にしている。
【0027】
第1の規制部32は、第1の挿入孔31に挿入されたターミナル2の第1の係合部23と係合することにより、ターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向である後方向への移動を規制している。第1の規制部32は、ハウジング3の上壁部3aの前端部より連通孔35に突出しており、
図10に示すように、ハウジング3を前方向側から見た際に連通孔35を介して視認可能になっている。
【0028】
第2の挿入孔33は、ハウジング3の下壁部3bにおいて板厚方向である上下方向に貫通する貫通孔であると共に、ハウジング3の前壁部3cにおいて板厚方向である前後方向に貫通する貫通孔である。第2の挿入孔33は、ターミナル2の第1の接続部21を外部に露出させていると共に、相手側コネクタ10の相手側導電部11が下方より挿入可能になっている。
【0029】
第2の規制部34は、第1の挿入孔31において第2の挿入孔33の左右の前壁部3cより後方に突出していると共に、下壁部3bに対して間隔を設けて対向している。第2の規制部34は、
図11に示すように、ハウジング3を後方向側から見た際に第1の挿入孔31を介して視認可能になっている。第2の規制部34は、ターミナル2の第2の係合部24と係合することにより、第2の挿入孔33に挿入される相手側導電部11と接続するターミナル2の第1の接続部21の脱落方向と直交する浮上がり方向である上方向への移動を規制する。
【0030】
連通孔35は、ハウジング3の上壁部3aにおいて第1の挿入孔31を外部に連通している。連通孔35は、ハウジング3を前方側から見た際に第1の規制部32の全てを視認可能にしている。
【0031】
上記の構成を有する電気コネクタ1において、第2の係合部24の左右の先端部の間隔A(
図6参照)は、第2の挿入孔33の左右方向の隙間C(
図10参照)よりも大きい(A>C)。これより、第2の係合部24は、下方向側及び前方向側から見て第2の挿入孔33を介して視認できない。また、第2の挿入孔33の左右方向の間隔Cは、左右の接点部211の間隔Bよりも大きい(C>B)。これにより、接点部211は、下向及び前方から見て第2の挿入孔33を介して視認可能である。更に、第2の係合部24の左右の先端部の間隔Aは、左右の接点部211の間隔Bよりも大きい(A>B)。
【0032】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、
図9から
図12、
図14及び
図15を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0033】
なお、
図14では、第2の金型61の一部(斜線によって示す部分)のみを記載していると共に、
図15では、第1の金型60の一部(斜線によって示す部分)のみを記載している。
【0034】
まず、金属板を打ち抜いた後に折り曲げ加工することによりターミナル2を形成する。
【0035】
次に、ターミナル2の第2の接続部22を電線100に圧着することによりターミナル2と電線100とを接続及び固定する。
【0036】
また、第1の金型60と第2の金型61とによって形成されたキャビティ内に溶融した樹脂を充填した後に冷却することにより、ハウジング3を形成する。
【0037】
次に、ハウジング3の第1の挿入孔31に対してターミナル2を第2の係合部24を先頭にして挿入する。この際に、ターミナル2の第1の係合部23は、第1の挿入孔31の内壁によって押圧されることにより弾性変形する。
【0038】
次に、ターミナル2の第1の係合部23がハウジング3の第1の規制部32を通過することにより、弾性変形していた第1の係合部23が自身の弾性復帰力によって復帰して第1の規制部32に係合する。これにより、ターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向である後方向への移動を規制することができる。
【0039】
また、ターミナル2の第2の係合部24がハウジング3の第2の規制部34に係合する。
【0040】
これにより、電気コネクタ1が完成する。
【0041】
上記の製造方法により製造された電気コネクタ1において、第2の係合部24の左右の先端部を互いに対向するように内方に折り曲げることにより、電気コネクタ1を小型化することができる。特に、電気コネクタ1を多極化する場合において、ターミナル2同士の間隔を狭くすることができるため、小型化することができる。
【0042】
続いて、ハウジング3の製造方法について、更に詳細に説明する。
【0043】
第1の金型60と第2の金型61とを用意して、第1の金型60と第2の金型61との間のキャビティ内に溶融させた樹脂を充填した後に、充填した樹脂を冷却する。この状態において、第1の規制部32の背面32a、前壁部3cの内壁面3d及び第2の規制部34の後方面34aは、第1の金型60の前端面に当接している。また、連通孔35を形成している内壁面のうちの最も後方の壁面35a、第1の規制部32及び第2の挿入孔33を形成している内壁面のうちの最も後方の壁面33aは、第2の金型61の後端面に当接している。
【0044】
次に、第1の金型60を後方向にスライドさせると共に第2の金型61を前方向にスライドさせて、成型したハウジング3を取り出す。この際に、ハウジング3には前方向側と後方向側との両方から見て視認できない箇所が無いため、上下方向にスライドさせる機構を金型に設けることなくハウジング3を形成することができる。
【0045】
このようにして形成されたハウジング3において、ターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向と反対方向側である前方向側から見た際に連通孔35を介して第1の規制部32が視認可能になっていると共に、ターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向側である後方向側から見た際に第1の挿入孔31を介して第2の規制部34が視認可能になっている。
【0046】
<電気コネクタの動作>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の動作につき、
図1から
図13を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0047】
電気コネクタ1の第2の挿入孔33に対して、相手側コネクタ10の相手側導電部11を下方より挿入する。
【0048】
これにより、第1の接続部21の左右の接点部211の間隔Bが第2の挿入孔33の左右方向の隙間Cよりも小さいことにより、接点部211は下方から見て第2の挿入孔33を介して視認可能であるため、相手側導電部11と接点部211とが当接して、左右の第1の接続部21が相手側導電部11によって互いに離れる左右外方に押圧されて弾性変形することにより、第1の接続部21と相手側導電部11とが所定の接触圧によって接続する。
【0049】
この際に、第2の係合部24が下方向側及び前方向側から見て第2の挿入孔33を介して視認できないため、相手側導電部11を第2の係合部24と干渉することなく第2の挿入孔33に挿入させることができる。また、第2の係合部24の左右の先端部の間隔Aを左右の接点部211の間隔Bよりも大きくすることにより、相手側導電部11を第2の係合部24と干渉することなく第1の接続部21と接続させることができる。
【0050】
また、第1の接続部21が相手側導電部11によってターミナル2が浮き上がる方向である上方向に押圧される。この際に、第2の係合部24は、第2の規制部34に係合しているため、ターミナル2の上方向への移動を規制する。第2の係合部24をターミナル2の前端部に設けることにより、ターミナル2が相手側導電部11によって上方向に押圧された場合であっても、ハウジング3におけるターミナル2の姿勢を安定させることができる。
【0051】
このように、本実施形態によれば、相手側コネクタ10の相手側導電部11と接続する第1の接続部21と、電線100の導電部と接続する第2の接続部22と、第1の係合部23と、第2の係合部24と、を備える導電性を有するターミナル2と、ターミナル2が挿入される第1の挿入孔31と、第1の係合部23と係合してターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向への移動を規制する第1の規制部32と、第1の接続部21を外部に露出すると共に相手側導電部11が挿入可能な第2の挿入孔33と、第2の係合部24と係合することにより第2の挿入孔33に挿入される相手側導電部11と接続する第1の接続部21の脱落方向と直交する浮上がり方向への移動を規制する第2の規制部34と、を備える絶縁性のハウジング3と、を有し、第1の規制部32は、ハウジング3を脱落方向から見た際に視認可能であり、第2の規制部34は、ハウジング3を脱落方向と反対方向から見た際に第1の挿入孔31を介して視認可能であることにより、ターミナル2が相手側導電部11と接続する際のターミナル2の変形を防止することができると共に、簡易な構成の第1の金型60及び第2の金型61によってハウジング3を成型することができることによりコストを低減することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、第1の係合部23と第1の接続部21とを前後方向において同じ位置に設けることにより、ターミナル2の前後方向の長さを短くすることができ、電気コネクタ1を小型化することができる。
【0053】
なお、本実施形態は、電気コネクタ1に2つの電線100を接続したが、これに限らず、1つ又は3つ以上の電線100を接続する電気コネクタにも適用することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ4の構成につき、
図19から
図25を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0055】
なお、
図19から
図25において
図1から
図13と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
電気コネクタ4には、電線100が接続されている。電気コネクタ4は、相手側コネクタ10と着脱自在に嵌合する。電気コネクタ4は、導電性を有する金属板を加工して形成されているターミナル2と、絶縁性を有する樹脂等の材料によって形成されているハウジング5と、を有している。
【0057】
第1の係合部23は、ハウジング5の第1の規制部32と係合している。
【0058】
第2の係合部24は、ハウジング5の第2の規制部34と係合している。
【0059】
ハウジング5は、第1の挿入孔31と、第1の規制部32と、第2の挿入孔33と、第2の規制部34と、孔部55と、平坦壁部56と、を備えている。
【0060】
第1の挿入孔31は、ハウジング5の後端部から前方に延設されている。第1の挿入孔31は、ハウジング5を後方側から見た際に第2の規制部34の全てを視認可能にしている。
【0061】
第1の規制部32は、孔部55に突出しており、
図21に示すように、ハウジング5を前方向側から見た際に孔部55を介して視認可能になっている。
【0062】
第2の規制部34は、
図22に示すように、ハウジング5を後方向側から見た際に第1の挿入孔31を介して視認可能になっている。
【0063】
孔部55は、平坦壁部56と第1の挿入孔31との間に設けられており、第1の挿入孔31に連通している。孔部55は、ハウジング5を前方側から見た際に第1の規制部32の全てを視認可能にしている。
【0064】
平坦壁部56は、第1の挿入孔31及び孔部55よりも上方向側に設けられていると共に、前後方向に沿って平坦になっている。
【0065】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ4の製造方法につき、
図19から
図27を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0066】
なお、
図26では、第2の金型63の一部(斜線によって示す部分)のみを記載していると共に、
図17では、第1の金型62の一部(斜線によって示す部分)のみを記載している。
【0067】
まず、金属板を打ち抜いた後に折り曲げ加工することによりターミナル2を形成する。
【0068】
次に、ターミナル2の第2の接続部22を電線100に圧着することによりターミナル2と電線100とを接続及び固定する。
【0069】
また、第1の金型62と第2の金型63とによって形成されたキャビティ内に溶融した樹脂を充填した後に冷却することにより、ハウジング5を形成する。
【0070】
次に、ハウジング5の第1の挿入孔31に対してターミナル2を第2の係合部24を先頭にして挿入する。この際に、ターミナル2の第1の係合部23は、第1の挿入孔31の内壁によって押圧されることにより弾性変形する。
【0071】
次に、ターミナル2の第1の係合部23がハウジング5の第1の規制部32を通過することにより、弾性変形していた第1の係合部23が自身の弾性復帰力によって復帰して第1の規制部32に係合する。これにより、ターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向である後方向への移動を規制することができる。
【0072】
また、ターミナル2の第2の係合部24がハウジング5の第2の規制部34に係合する。
【0073】
これにより、電気コネクタ4が完成する。
【0074】
上記の製造方法により製造された電気コネクタ4において、第2の係合部24の左右の先端部を互いに対向するように内方に折り曲げることにより、電気コネクタ4を小型化することができる。特に、電気コネクタ4を多極化する場合において、ターミナル2同士の間隔を狭くすることができるため、小型化することができる。
【0075】
続いて、ハウジング5の製造方法について、更に詳細に説明する。
【0076】
第1の金型62と第2の金型63とを用意して、第1の金型62と第2の金型63との間のキャビティ内に溶融させた樹脂を充填した後に、充填した樹脂を冷却する。この状態において、第1の規制部32の背面32a、前壁部5cの内壁面5d及び第2の規制部34の後方面34aは、第1の金型62の前端面に当接している。また、孔部55を形成している内壁面のうちの最も後方の壁面55a、第1の規制部32及び第2の挿入孔33を形成している内壁面のうちの最も後方の壁面33aは、第2の金型63の後端面に当接している。
【0077】
次に、第1の金型62を後方向にスライドさせると共に第2の金型63を前方向にスライドさせて、成型したハウジング5を取り出す。この際に、ハウジング5には前方向側と後方向側との両方から見て視認できない箇所が無いため、上下方向にスライドさせる機構を金型に設けることなくハウジング5を形成することができる。
【0078】
このようにして形成されたハウジング5において、ターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向と反対方向側である前方向側から見た際に孔部55を介して第1の規制部32が視認可能になっていると共に、ターミナル2の第1の挿入孔31からの脱落方向側である後方向側から見た際に第1の挿入孔31を介して第2の規制部34が視認可能になっている。
【0079】
また、上記の製造方法により製造された電気コネクタ4の平坦壁部56を、図示しない実装機の吸着ノズルによって吸着して電気コネクタ4を図示しない基板に実装する。平坦壁部56を設けることにより、電気コネクタ4を基板に自動で実装することができる。
【0080】
因みに、特許文献1の構成(
図30の構成)においては、隙間1004を形成するために上下方向にスライドする機構を金型に設ける必要があるため、平坦壁部56を設けることはできない。
【0081】
なお、電気コネクタ4の動作は上記の電気コネクタ1の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。
【0082】
このように、本実施形態によれば、ハウジング5が、第1の挿入孔31よりも上方向側に前後方向に沿って平坦な平坦壁部56と、平坦壁部56と第1の挿入孔31との間に設けられると共に第1の規制部32を前方向側から視認可能にする孔部55と、を備えることにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、簡易な構成の第1の金型62及び第2の金型63によって平坦壁部56を備えるハウジング5を成型することができることによりコストを低減することができる。
【0083】
なお、本実施形態は、電気コネクタ4に2つの電線100を接続したが、これに限らず、1つ又は3つ以上の電線100を接続する電気コネクタにも適用することができる。
【0084】
(第3の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタの構成につき、
図28を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0085】
なお、
図28において
図5から
図8と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。また、本実施形態に係る電気コネクタのハウジング7は第2の規制部34に代えて第2の規制部134を設ける以外はハウジング3と同一構成であるので、その記載及び説明を省略する。
【0086】
ターミナル6は、基部20と、第1の接続部21と、第2の接続部22と、第1の係合部23と、第2の係合部124と、を備えている。
【0087】
基部20は、第1の接続部21、第2の接続部22、第1の係合部23及び第2の係合部124を接続している。
【0088】
第2の係合部124は、基部20の前端部において基部20の左端部及び右端部の各々より下方に折り曲げられていると共に先端がターミナル6の中心軸側と反対側である外方に折り曲げられており、ハウジング7の第2の規制部134と係合している。第2の係合部124は、第2の規制部134と係合することにより、ターミナル6の上方向への移動を規制している。
【0089】
なお、本実施形態に係る電気コネクタの製造方法及び動作は上記の第1の実施形態と同一であるので、その説明を省略する。
【0090】
本実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同一の効果を奏する。
【0091】
なお、本実施形態は、電気コネクタに2つの電線100を接続したが、これに限らず、1つ又は3つ以上の電線100を接続する電気コネクタにも適用することができる。
【0092】
(第4の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第4の実施形態に係る電気コネクタの構成につき、
図29を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0093】
なお、
図29において
図5から
図8と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。また、本実施形態に係る電気コネクタのハウジング9は第2の規制部34に代えて第2の規制部234を設ける以外はハウジング3と同一構成であるので、その記載及び説明を省略する。
【0094】
ターミナル8は、基部20と、第1の接続部21と、第2の接続部22と、第1の係合部23と、第2の係合部224と、を備えている。
【0095】
基部20は、第1の接続部21、第2の接続部22、第1の係合部23及び第2の係合部224を接続している。
【0096】
第2の係合部224は、基部20の前端部において基部20の左端部及び右端部の各々より下方に折り曲げられていると共に先端が前方に延設されて左側面視においてL字状であり、ハウジング9の第2の規制部234と係合している。第2の係合部224は、第2の規制部134と係合することにより、ターミナル8の上方向への移動を規制している。
【0097】
なお、本実施形態に係る電気コネクタの製造方法及び動作は上記の第1の実施形態と同一であるので、その説明を省略する。
【0098】
本実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同一の効果を奏する。
【0099】
なお、本実施形態は、電気コネクタに2つの電線100を接続したが、これに限らず、1つ又は3つ以上の電線100を接続する電気コネクタにも適用することができる。
【0100】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、電線が接続される電気コネクタ及びこの電気コネクタの製造方法に好適である。
【符号の説明】
【0102】
1 電気コネクタ
2 ターミナル
3 ハウジング
4 電気コネクタ
5 ハウジング
5c 前壁部
5d 内壁面
6 ターミナル
7 ハウジング
8 ターミナル
9 ハウジング
20 基部
21 第1の接続部
22 第2の接続部
23 第1の係合部
24 第2の係合部
31 第1の挿入孔
32 第1の規制部
32a 背面
33 第2の挿入孔
33a 壁面
34 第2の規制部
34a 後方面
35 連通孔
35a 壁面
55 孔部
55a 壁面
56 平坦壁部
60 第1の金型
61 第2の金型
62 第1の金型
63 第2の金型
100 電線
124 第2の係合部
134 第2の規制部
211 接点部
221 第1の圧着部
222 第2の圧着部
223 第3の圧着部
224 第2の係合部
234 第2の規制部