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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157660
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01R13/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072136
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】長坂 尚一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴希
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA08
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC02
5E021FC29
(57)【要約】
【課題】コネクタ本体から延びる電線を覆うカバーの強度を維持しつつ軽量化を図ることができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、オスハウジング3と、オスハウジング3に嵌合するメスハウジング4と、オスハウジング3とメスハウジング4との嵌合体であるコネクタ本体2に取り付けられ、コネクタ本体2から延びる電線5の少なくとも一部を覆うカバー6とを備える。カバー6は、電線5の延在方向と交差する方向に間隔をあけて配置される一対の側壁部31,31を有する。側壁部31には、側壁部31を厚さ方向に貫通する肉抜き部38が形成され、肉抜き部38には、肉抜き部38の周縁部38aに掛け渡される梁部39が交差するように一対に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに嵌合する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合体に取り付けられ、前記嵌合体から延びる電線の少なくとも一部を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、前記電線の延在方向と交差する方向に間隔をあけて配置される一対の側壁部を有し、
前記側壁部には、前記側壁部を厚さ方向に貫通する貫通部が形成され、
前記貫通部には、前記貫通部の周縁部に掛け渡される梁部が交差するように一対に形成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記貫通部は、前記側壁部の厚さ方向視において四角形状に形成され、
一対の前記梁部はそれぞれ、前記貫通部の対角同士を繋ぐように配置されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記カバーの一対の前記側壁部に形成された前記貫通部を少なくとも覆う筐体を備え、
前記嵌合体における前記筐体の一側から外部に露出する部分には、前記筐体の内部への前記嵌合体の移動を規制するためのフランジ部が形成され、
前記カバーにおける前記筐体の他側から露出する部分には、前記嵌合体及び前記カバーの抜け止めのための保持部材が係合される保持溝部が形成されている、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、第1ハウジングと、第1ハウジングに嵌合する第2ハウジングと、第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合体(コネクタ本体)に取り付けられて嵌合体から延びる電線を所定の配索向きに案内するカバーとを備えるものがある。特許文献1のコネクタでは、カバーは、配索向きが第1の向きであるときには第1ハウジングが有する第1係止部に係合し、且つ、配索向きが第2の向きであるときには第2ハウジングが有する第2係止部に係合する、双方の係止部に係止可能な被係止部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-170666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のようなコネクタでは、コネクタ全体の軽量化を目的として、カバーの壁部に肉抜き部(貫通部)を設けたような場合には、カバーの強度が著しく低下して、コネクタ全体の外形及び構成に影響が出る可能性がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、コネクタ本体から延びる電線を覆うカバーの強度を維持しつつ軽量化を図ることができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るコネクタは、第1ハウジングと、第1ハウジングに嵌合する第2ハウジングと、第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合体に取り付けられ、嵌合体から延びる電線の少なくとも一部を覆うカバーと、を備え、カバーは、電線の延在方向と交差する方向に間隔をあけて配置される一対の側壁部を有し、側壁部には、側壁部を厚さ方向に貫通する貫通部が形成され、貫通部には、貫通部の周縁部に掛け渡される梁部が交差するように一対に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コネクタ本体から延びる電線を覆うカバーの強度を維持しつつ軽量化を図ることができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るコネクタの一例を示す分解斜視図である。
図2】メスハウジングの背面図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4】カバーの斜視図である。
図5】カバーの側面図である。
図6】コネクタ本体及びカバーを筐体に取り付けた状態を示す平断面図である。
図7】コネクタ本体及びカバーを筐体に取り付ける手順を示す側断面図である。
図8】コネクタ本体及びカバーを筐体に取り付ける手順を示す側面図である。
図9】コネクタ本体及びカバーを筐体に取り付ける手順を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、コネクタ1は、第1ハウジング(オスハウジング3)と、オスハウジング3に嵌合する第2ハウジング(メスハウジング4)とを備える。また、コネクタ1は、オスハウジング3及びメスハウジング4が嵌合して得られる嵌合体であるコネクタ本体2に取り付けられ、コネクタ本体2から延びる電線5(図7参照)の少なくとも一部を覆うカバー6を備える。さらに、コネクタ1は、コネクタ本体2(メスハウジング4)とカバー6との結合部分、及びカバー6の少なくとも一部を覆う筐体7を備える。
【0011】
図1において、矢印Xは「前後方向」を示し、矢印Yは「左右方向」を示し、矢印Zは「上下方向」を示す。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。「前後方向」は、オスハウジング3とメスハウジング4との嵌合方向と一致している。オスハウジング3及びメスハウジング4のそれぞれについて、相手側のハウジングが嵌合する嵌合方向正面側が「前側」とされ、その反対の嵌合方向背面側が「後側」とされる。カバー6の「前側」及び「後側」は、メスハウジング4の「前側」及び「後側」と一致している。
【0012】
オスハウジング3は、例えば、合成樹脂等の絶縁性材料から構成される。このオスハウジング3は、端子収容部11と、端子収容部11の前側に位置する嵌合部12とを一体に備える。
【0013】
端子収容部11は、略円筒状に形成され、この端子収容部11の内部には、前後方向に貫通する端子収容室(図示省略)が上下左右に配列されている。これらの端子収容室にはそれぞれ、オス端子8が収容されている。このオス端子8の後端部には、オス端子側電線(図示省略)が接続される。
【0014】
端子収容部11の外周には、所定の形状を有して径方向外側に突出し、筐体7への組付時の挿入方向の規制位置となるフランジ部13が形成されている。フランジ部13には、前後方向に貫通するボルト孔14が形成されている。オスハウジング3は、一般的には、ボルト孔14に挿通されるボルトを用いてフランジ部13を、車両に搭載される部品のハウジングに締結することで、当該ハウジングに固定される。
【0015】
嵌合部12は、円筒状の円筒外周面12aを有して略円筒状に形成されている。この嵌合部12には、メスハウジング4と係止するための係止部15が形成されている。また、嵌合部12の内部には、略直方体状の嵌合孔12bが形成されている。嵌合孔12bは、複数の端子収容室と前後方向に連通しており、複数の端子収容室に収容される複数のオス端子8の先端部は、嵌合孔12bの内部空間内に位置している。
【0016】
嵌合孔12bの上縁面には、上方に窪み且つ前後方向に延びる溝部17が形成され、嵌合孔12bの下縁面には、下方に窪み且つ前後方向に延びる溝部18が形成されている。
【0017】
メスハウジング4は、例えば、合成樹脂等の絶縁性材料から構成される。このメスハウジング4は、図1から図3に示すように、略直方体状の本体部21を有する。本体部21の形状は、オスハウジング3の嵌合孔12bの形状に対応している。
【0018】
本体部21の内部には、前後方向に貫通する複数の端子収容室22が、オスハウジング3の複数の端子収容室に対応して、上下左右に配列されている。これらの端子収容室22にはそれぞれ、メス端子(図示省略)が収容される。このメス端子の後端部には、メス端子側電線(電線5)が接続されている。
【0019】
本体部21の左右方向両側面の後端部にはそれぞれ、左右方向外側に突出し且つ上下方向に延びるカバーフランジ23が形成されている。左右一対のカバーフランジ23,23は、左右対称に形成されている。これらのカバーフランジ23にはそれぞれ、カバー6を組み付けるためのカバー係止孔24が形成されている。
【0020】
本体部21の上面には、溝部17に対応して、左右方向中央位置において上方に突出し且つ前後方向に延びて、オスハウジング3と係止するためのロック部25が形成されている。
【0021】
メスハウジング4(本体部21)を、ロック部25が溝部17に進入するように、オスハウジング3の嵌合孔12bに、嵌合完了位置まで挿入する。メスハウジング4が嵌合完了位置まで達すると、メスハウジング4のロック部25がオスハウジング3の係止部15と係合することにより、メスハウジング4が嵌合完了位置に維持される。これにより、オスハウジング3とメスハウジング4との嵌合が完了し、オスハウジング3及びメスハウジング4の嵌合体であるコネクタ本体2が形成される。
【0022】
カバー6は、例えば、合成樹脂等の絶縁性材料から構成される。このカバー6は、図4及び図5に示すように、電線5の延在方向と交差する方向(本実施形態では、左右方向)に間隔をあけて配置される一対の側壁部31,31を有している。これら一対の側壁部31,31の外側面にはそれぞれ、径方向外側に凸となる円弧状曲面31aが形成されており、カバー6は、外形としては、略円筒状に形成されている。その一方、一対の側壁部31,31の内側面にはそれぞれ、互いに平行な平坦面31bが形成されている。
【0023】
左右一対の側壁部31,31の前端部同士は、前側連結部32で連結されており、また、一対の側壁部31,31の前端部にはそれぞれ、メスハウジング4と係止するためのカバーロック溝33及びカバーロック部34が形成されている。
【0024】
左右一対の側壁部31,31の後端部同士は、後側連結部35で連結されている。また、一対の側壁部31,31の後端部にはそれぞれ、オスハウジング3とメスハウジング4とを嵌合させたコネクタ本体2が筐体7から脱落することを抑制するキーププレート9を組み付けるためのキーププレート溝部36が形成されている。さらに、後側連結部35には、一対の側壁部31,31の間の位置において後側連結部35から突出する突出部37が形成されており、後側連結部35及び突出部37には、電線5を保持させることができる。
【0025】
また、一対の側壁部31,31における前側連結部32と後側連結部35との間の部分にはそれぞれ、側壁部31を厚さ方向に貫通する貫通部(肉抜き部38)が形成されている。この肉抜き部38には、肉抜き部38の周縁部38aに掛け渡される梁部39が交差するように一対に形成されている。本実施形態では、肉抜き部38は、側壁部31の厚さ方向視(側面視)において四角形状に形成され、一対の梁部39,39はそれぞれ、肉抜き部38の対角同士を繋ぐように配置されている。一対の梁部39,39の形成により、複数(本実施形態では、4つ)の区画貫通部(区画肉抜き部38b)が側壁部31に形成されている(図5参照)。
【0026】
肉抜き部38は、側壁部31の厚さ方向視において、四角形状以外の形状(例えば、円形状)に形成されてもよく、また、一対の梁部39,39同士が、互いに対して直交するように配置されてもよい。また、本実施形態では、一対の梁部39,39が側壁部31と一体に形成されているが、一対の梁部39,39と側壁部31とが別体に構成されていてもよい。
【0027】
カバー6を、一対のカバーフランジ23,23がそれぞれカバーロック溝33に進入するように、メスハウジング4(本体部21)に対して組付完了位置までスライドさせる。カバー6が組付完了位置まで達すると、カバー6のカバーロック部34がメスハウジング4のカバー係止孔24と係合することにより、カバー6が組付完了位置に維持される。これにより、オスハウジング3及びメスハウジング4の嵌合体であるコネクタ本体2へのカバー6の組み付けが完了する。
【0028】
図6に示すように、筐体7は、筒状に形成されており、この筐体7の内部には、前後方向に貫通する挿通孔部41が形成されている。筐体7の前後方向の一端面には、環状溝部42が形成され、この環状溝部42には、筐体7の内部への水等の浸入又は筐体7の内部からのオイル漏れ等を抑制するためのシール部材(ガスケット43)が組み付けられている。
【0029】
図7から図9を用いて、コネクタ本体2及びカバー6を筐体7に取り付ける手順の一例を説明する。
【0030】
図7に示すように、オスハウジング3とメスハウジング4とを嵌合させた後に、嵌合させたコネクタ本体2、及びカバー6を筐体7の挿通孔部41に挿入する。図8に示すように、オスハウジング3のフランジ部13を筐体7の前後方向の一端面に装着したガスケット43に当接させ、且つ、カバー6のキーププレート溝部36を筐体7の前後方向の他端面から露出させた状態とする。そして、この状態で、キーププレート溝部36にキーププレート9を差し込んで取り付けることにより、コネクタ本体2及びカバー6を筐体7に取り付ける作業が完了する(図9参照)。
【0031】
次に、コネクタ1の効果について説明する。
【0032】
このように、本実施形態の態様に係るコネクタ1は、第1ハウジング(オスハウジング3)と、第1ハウジングに嵌合する第2ハウジング(メスハウジング4)とを備える。コネクタ1は、第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合体(コネクタ本体2)に取り付けられ、嵌合体から延びる電線5の少なくとも一部を覆うカバー6を備える。カバー6は、電線5の延在方向と交差する方向に間隔をあけて配置される一対の側壁部31,31を有する。側壁部31には、側壁部31を厚さ方向に貫通する貫通部(肉抜き部38)が形成され、貫通部には、貫通部の周縁部38aに掛け渡される梁部39が交差するように一対に形成されている。
【0033】
カバー6の側壁部31に肉抜き部38が形成され、肉抜き部38の周縁部38aに掛け渡される梁部39が交差するように一対に形成されることにより、カバー6の剛性が向上し、外力によるカバー6の変形を抑制することができる。また、肉抜き部38に一対の梁部39,39を設けることにより、配策するワイヤーハーネス(電線5)が肉抜き部38からカバー6の外部に飛び出すことを抑制することができ、ワイヤーハーネスの取り回し作業性の低下を抑制することができる。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、コネクタ本体2から延びる電線5を覆うカバー6の強度を維持しつつ軽量化を図ることができるコネクタ1を提供することができる。
【0035】
本実施形態の態様に係るコネクタ1において、貫通部(肉抜き部38)は、側壁部31の厚さ方向視において四角形状に形成され、一対の梁部39,39はそれぞれ、貫通部の対角同士を繋ぐように配置されていてもよい。
【0036】
このように一対の梁部39,39を配置することにより、カバー6の剛性が効果的に向上し、外力によるカバー6の変形を効果的に抑制することができる。
【0037】
本実施形態の態様に係るコネクタ1が、カバー6の一対の側壁部31,31に形成された貫通部(肉抜き部38)を少なくとも覆う筐体7を備えてもよい。嵌合体における筐体7の一側から外部に露出する部分には、筐体7の内部への嵌合体の移動を規制するためのフランジ部13が形成されてもよい。カバー6における筐体7の他側から露出する部分には、嵌合体及びカバー6の抜け止めのための保持部材(キーププレート9)が係合される保持溝部(キーププレート溝部36)が形成されていてもよい。
【0038】
このようにコネクタ本体2及びカバー6を筐体7に取り付けることにより、コネクタ1全体の剛性が向上し、外力によるコネクタ1の変形を抑制することができる。
【0039】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 コネクタ
2 コネクタ本体
3 オスハウジング
4 メスハウジング
5 電線
6 カバー
7 筐体
9 キーププレート
13 フランジ部
31 側壁部
36 キーププレート溝部
38 肉抜き部
38a 周縁部
39 梁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9