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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157667
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A47J37/06 371
A47J37/06 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072146
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇太
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA02
4B040AA08
4B040AB04
4B040AC02
4B040AD04
4B040CA05
4B040CA17
4B040CB08
4B040GA02
(57)【要約】
【課題】蓋体がヒータに摺接することを抑制しつつ、本体フレームから蓋体を取り外すことができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器の一例であるロースター1は、本体フレーム10、受け皿15、ヒータ40、および蓋体50を備える。蓋体50は、受け皿15を覆う閉鎖姿勢と、受け皿15を開放する開放姿勢との間で、本体フレーム10に対して回動可能である。本体フレーム10および蓋体50のいずれか一方は、回動の中心となるシャフト14を有する。本体フレーム10および蓋体50の他方は、シャフト14が挿入される軸受溝57を有する。軸受溝57は、上下方向に開口している。このため、軸受溝57からシャフト14を、上下方向に抜くことができる。したがって、本体フレーム10から蓋体50を、上方へ向けて取り外すことができる。これにより、蓋体50を取り外すときに、蓋体50がヒータ40に摺接することを抑制できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理する加熱調理器であって、
本体フレームと、
前記本体フレームに支持される受け皿と、
前記受け皿を上方から覆う閉鎖姿勢と、前記受け皿を開放する開放姿勢との間で、前記本体フレームに対して回動可能に接続された蓋体と、
前記受け皿および前記蓋体により構成される調理室内に配置されるヒータと、
を備え、
前記本体フレームおよび前記蓋体のいずれか一方は、
前記回動の中心となるシャフト
を有し、
前記本体フレームおよび前記蓋体の他方は、
前記一方へ向けて上下方向に開口する軸受溝と、
前記軸受溝に挿入された前記シャフトを保持する保持部と、
を有する、加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
前記本体フレームが、前記シャフトを有し、
前記蓋体が、前記軸受溝および前記保持部を有し、
前記軸受溝は、前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、下方へ開口する、加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の加熱調理器であって、
前記保持部を有する保持部材と、
前記保持部材を、
前記保持部により前記シャフトを保持する保持位置と、
前記保持部による前記シャフトの保持を解除した解除位置と、
の間で移動させる操作部と、
をさらに備える、加熱調理器。
【請求項4】
請求項3に記載の加熱調理器であって、
前記保持部材を、前記保持位置へ向けて付勢する弾性部材
をさらに備える、加熱調理器。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の加熱調理器であって、
前記蓋体の外側において、前記ヒータの端部と電気配線とを電気的に接続する接続部
をさらに備え、
前記蓋体は、
前記ヒータの端部を通す切り欠き
を有し、
前記切り欠きと前記接続部との間に位置する遮蔽板
をさらに備える、加熱調理器。
【請求項6】
請求項5に記載の加熱調理器であって、
前記蓋体を、前記閉鎖姿勢と前記開放姿勢との間で前記シャフトを中心として回動可能に保持するヒンジ部
をさらに備え、
前記遮蔽板は、
前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、前記ヒンジ部から後方へ延びる第1遮蔽板と、
前記本体フレームから前方へ延びる第2遮蔽板と、
を有し、
前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、前記第1遮蔽板の一部分と前記第2遮蔽板の一部分とが上下方向に重なる、加熱調理器。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の加熱調理器であって、
前記ヒータおよび前記蓋体を、前記シャフトを中心として回動可能に保持するヒンジ部
をさらに備え、
前記蓋体は、前記閉鎖姿勢において前記ヒンジ部の前面に当接する当接板を有し、
前記ヒンジ部に前記当接板が当接した状態で、前記蓋体と前記ヒンジ部とが、一体として前記シャフトの周りを回動可能であり、
前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、前記当接板の下部は、下方へ向かうにつれて徐々に前記ヒンジ部の前面から離れるように傾斜する、加熱調理器。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の加熱調理器であって、
前記シャフトは、
前記軸受溝に挿入される軸部
を有し、
前記軸部は、上下方向に沿って延びる板状であり、
前記軸受溝は、
前記本体フレームに前記蓋体を取り付けるときに前記軸部を通過させるスリット部と、
前記蓋体を回動させるときに前記軸部に対して相対回転する円孔部と、
を有する、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚等の食材を加熱調理する加熱調理器が知られている。加熱調理器は、本体フレームと、本体フレームに支持される受け皿と、受け皿を上方から覆う蓋体と、熱源となるヒータとを、備えている。ヒータには、例えばシーズヒータが使用される。
【0003】
従来の加熱調理器については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-037651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の加熱調理器は、本体フレームから蓋体を取り外して、蓋体を洗浄することができる。従来の加熱調理器では、本体フレームに対して蓋体を前方へスライド移動させることにより、蓋体を取り外していた。その際、ヒータは、蓋体の後部に形成された孔に通すことによって、蓋体から分離されていた。
【0006】
しかしながら、当該構造では、ヒータに対して蓋体を前方へ移動させるときに、蓋体とヒータとが摺接しやすい。このため、蓋体を取り外すときに、蓋体とヒータとが摺接して、金切り音が発生する場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、蓋体がヒータに摺接することを抑制しつつ、本体フレームから蓋体を取り外すことができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、食材を加熱調理する加熱調理器であって、本体フレームと、前記本体フレームに支持される受け皿と、前記受け皿を上方から覆う閉鎖姿勢と、前記受け皿を開放する開放姿勢との間で、前記本体フレームに対して回動可能に接続された蓋体と、前記受け皿および前記蓋体により構成される調理室内に配置されるヒータと、を備え、前記本体フレームおよび前記蓋体のいずれか一方は、前記回動の中心となるシャフトを有し、前記本体フレームおよび前記蓋体の他方は、前記一方へ向けて上下方向に開口する軸受溝と、前記軸受溝に挿入された前記シャフトを保持する保持部と、を有する。
【0009】
本発明によれば、軸受溝が上下方向に開口しているため、軸受溝からシャフトを、上下方向に沿って抜くことができる。したがって、本体フレームから蓋体を、上方へ向けて取り外すことができる。これにより、本体フレームから蓋体を取り外すときに、蓋体がヒータに摺接することを抑制できる。
【0010】
特に、前記本体フレームが、前記シャフトを有し、前記蓋体が、前記軸受溝および前記保持部を有し、前記軸受溝は、前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、下方へ開口することが望ましい。このようにすれば、閉鎖姿勢の蓋体を、本体フレームから上方へ向けて取り外すことができる。また、蓋体がシャフトを有さないため、蓋体を軽量化できる。これにより、蓋体をより容易に上方へ取り外すことができる。
【0011】
また、加熱調理器は、前記保持部を有する保持部材と、前記保持部材を、前記保持部により前記シャフトを保持する保持位置と、前記保持部による前記シャフトの保持を解除した解除位置と、の間で移動させる操作部と、をさらに備えることが好ましい。このようにすれば、ユーザが操作部を操作することにより、軸受溝に挿入されたシャフトの保持と解除を切り替えることができる。
【0012】
また、加熱調理器は、前記保持部材を、前記保持位置へ向けて付勢する弾性部材をさらに備えることが好ましい。これにより、軸受溝に挿入されたシャフトを、より安定して保持することができる。
【0013】
また、加熱調理器は、前記蓋体の外側において、前記ヒータの端部と電気配線とを電気的に接続する接続部をさらに備え、前記蓋体は、前記ヒータの端部を通す切り欠きを有し、前記切り欠きと前記接続部との間に位置する遮蔽板をさらに備えることが好ましい。これにより、調理室から切り欠きを介して接続部へ、蒸気または煙が及ぶことを抑制できる。
【0014】
また、加熱調理器は、前記蓋体を、前記閉鎖姿勢と前記開放姿勢との間で前記シャフトを中心として回動可能に保持するヒンジ部をさらに備え、前記遮蔽板は、前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、前記ヒンジ部から後方へ延びる第1遮蔽板と、前記本体フレームから前方へ延びる第2遮蔽板と、を有し、前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、前記第1遮蔽板の一部分と前記第2遮蔽板の一部分とが上下方向に重なることが好ましい。このように、2枚の遮蔽板を、逆方向から互いに重なるように設けることにより、調理室から切り欠きを介して接続部へ、蒸気または煙が及ぶことを、より抑制できる。
【0015】
また、加熱調理器は、前記ヒータおよび前記蓋体を、前記シャフトを中心として回動可能に保持するヒンジ部をさらに備え、前記蓋体は、前記閉鎖姿勢において前記ヒンジ部の前面に当接する当接板を有し、前記ヒンジ部に前記当接板が当接した状態で、前記蓋体と前記ヒンジ部とが、一体として前記シャフトの周りを回動可能であり、前記蓋体が前記閉鎖姿勢の状態において、前記当接板の下部は、下方へ向かうにつれて徐々に前記ヒンジ部の前面から離れるように傾斜することが好ましい。これにより、蓋体、ヒンジ部、およびヒータを、一体として回動させることができる。また、本体フレームから蓋体を取り外すときに、ねじ等の固定具を解除する必要がなく、蓋体を上方へ持ち上げるだけで、ヒンジ部から蓋体を分離できる。また、当接板の下部は、下方へ向かうにつれて徐々にヒンジ部の前面から離れるようなテーパ形状となっているため、ヒンジ部に対して蓋体を取り付けるときに、当該テーパ形状に沿って当接板を移動させることで、ヒンジ部の前面に、当接板を容易に位置決めできる。
【0016】
また、前記シャフトは、前記軸受溝に挿入される軸部を有し、前記軸部は、上下方向に沿って延びる板状であり、前記軸受溝は、前記本体フレームに前記蓋体を取り付けるときに前記軸部を通過させるスリット部と、前記蓋体を回動させるときに前記軸部に対して相対回転する円孔部と、を有することが好ましい。これにより、軸受溝から軸部が抜けることを、より抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、軸受溝が上下方向に開口しているため、軸受溝からシャフトを、上下方向に沿って抜くことができる。したがって、本体フレームから蓋体を、上方へ向けて取り外すことができる。これにより、本体フレームから蓋体を取り外すときに、蓋体がヒータに摺接することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ロースターの斜視図である。
図2】ロースターの斜視図である。
図3】ロースターの分解斜視図である。
図4】上ヒータ、ヒンジ部、およびシャフトの斜視図である。
図5】蓋体およびシャフトの斜視図である。
図6】軸受部材およびシャフトの側面図である。
図7】ヒンジ部の付近におけるロースターの斜視図である。
図8】蓋体、上ヒータ、およびヒンジ部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<1.一実施形態に係る加熱調理器>
図1および図2は、本発明の加熱調理器の一例であるロースター1の斜視図である。図1は蓋体50を閉じた状態を示し、図2は蓋体50を開いた状態を示している。図3は、ロースター1の分解斜視図である。以下の説明においては、図1図3に表示した「前後方向」、「左右方向」、および「上下方向」を使用して、各部の位置関係を説明する。
【0021】
このロースター1は、魚等の食材をヒータ30,40の熱で加熱調理する装置である。図1図3に示すように、ロースター1は、本体フレーム10、受け皿15、反射板20,焼き網25、下ヒータ30、上ヒータ40、ヒンジ部45、および蓋体50を備えている。
【0022】
本体フレーム10は、ロースター1の全体を支持する支持台である。本体フレーム10は、キッチン台やテーブルなどの水平な上面に載置される。図3に示すように、本体フレーム10は、ベース部11、ダイヤル12、ヒンジ台13、およびシャフト14を有する。
【0023】
ベース部11は、受け皿15を支持する部位である。ベース部11は、例えば、金属製のプレートにより形成される。ベース部11の下面には、複数の脚111が設けられている。ダイヤル12は、ベース部11の側部に設けられている。ロースター1のユーザは、ダイヤル12を回転させることにより、下ヒータ30および上ヒータ40への通電のON/OFFを切り替えることができる。
【0024】
ヒンジ台13は、ヒンジ部45および蓋体50を支持する部位である。ヒンジ台13は、ベース部11の後部に固定されている。シャフト14は、後述するヒンジ部45および蓋体50の回動軸となる部材である。シャフト14は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。シャフト14は、ヒンジ台13の上端部に固定されている。シャフト14の詳細については、後述する。
【0025】
受け皿15は、ベース部11の上面に載置される。図3に示すように、受け皿15は、上方へ向けて開いたカップ状の外形を有する。すなわち、受け皿15は、底板部16と、立ち上がり部17とを有する。底板部16は、水平面に沿って広がる。底板部16は、上面視において矩形状である。立ち上がり部17は、底板部16の周縁から上方へ向けて延びる。ロースター1の使用時には、食材から落下する油の過熱を抑制するために、受け皿15の中に適量の水が貯留される。
【0026】
図3に示すように、受け皿15は、下ヒータ30の端部を通すためのヒータ挿入孔18を有する。ヒータ挿入孔18は、受け皿15の後部の立ち上がり部17を、前後方向に貫通する。ヒータ挿入孔18は、受け皿15に水が貯留されたときの水面よりも、高い位置に設けられている。ヒータ挿入孔18は、下ヒータ30が通過可能な幅および高さを有する。
【0027】
反射板20は、下ヒータ30および上ヒータ40からの輻射熱を、食材へ反射させるための板である。反射板20は、扁平な皿形状である。反射板20は、例えば、アルミニウムにより形成される。ロースター1の使用時には、受け皿15に貯留された水に反射板20を浮かべる。下ヒータ30および上ヒータ40から出射された輻射熱の一部は、反射板20により反射されて、食材へ照射される。これにより、食材を効率よく加熱できる。
【0028】
焼き網25は、調理対象となる食材を載置する網である。焼き網25は、受け皿15の上端部に取り付けられる。焼き網25は、互いに間隔をあけて配列された複数の金属線を有し、全体として略平板状に形成されている。
【0029】
下ヒータ30は、焼き網25に載置された食材を、下側から加熱するための熱源である。下ヒータ30には、例えばシーズヒータが使用される。下ヒータ30は、受け皿15および蓋体50により構成される調理室60内に位置する。より詳述すると、下ヒータ30は、反射板20よりも上側、かつ、焼き網25よりも下側に位置する。下ヒータ30は、曲折しながら、略水平面に沿って広がる。
【0030】
下ヒータ30の端部は、受け皿15のヒータ挿入孔18を通って、ヒンジ台13の内部へ延びている。そして、ヒンジ台13の内部において、下ヒータ30の端部と電気配線とが、電気的に接続されている。電気配線から下ヒータ30に電流が供給されると、下ヒータ30が発熱する。これにより、下ヒータ30から食材へ、輻射熱が照射される。
【0031】
本体フレーム10に受け皿15を取り付けるときには、下ヒータ30の前方から下ヒータ30へ向けて、受け皿15を水平に移動させる。これにより、ヒータ挿入孔18を介して受け皿15の内部へ、下ヒータ30を挿入する。また、本体フレーム10から受け皿15を取り外すときには、下ヒータ30に対して受け皿15を、前方へ移動させる。これにより、受け皿15の内部からヒータ挿入孔18を介して、下ヒータ30を抜く。
【0032】
上ヒータ40は、焼き網25に載置された食材を、上側から加熱するための熱源である。上ヒータ40には、例えばシーズヒータが使用される。上ヒータ40は、受け皿15および蓋体50により構成される調理室60内に位置する。より詳述すると、蓋体50を閉じた状態において、上ヒータ40は、焼き網25よりも上側、かつ、蓋体50の後述する天板部51よりも下側に位置する。上ヒータ40は、曲折しながら、略水平面に沿って広がる。
【0033】
ヒンジ部45は、上ヒータ40を回動可能に保持するユニットである。図4は、上ヒータ40、ヒンジ部45、および上述したシャフト14の斜視図である。図4において、ヒンジ部45は、内部の構造が分かるように、一部の部品を省略して示している。
【0034】
図4に示すように、シャフト14は、全体として左右方向に延びる板状の部材である。シャフト14は、中央部141と、一対の軸部142とを有する。中央部141は、ヒンジ台13に、ねじ等の固定具により固定される。一対の軸部142は、中央部141の左右方向の両端に位置する。一対の軸部142は、それぞれ、前後方向に対して垂直な平板状(すなわち、左右方向および上下方向に沿って延びる平板状)となっている。
【0035】
一方、ヒンジ部45は、一対のヒンジ溝46を有する。一対のヒンジ溝46は、ヒンジ部45の左右の端部に位置する。ヒンジ溝46は、シャフト14の軸部142が挿入される溝である。ヒンジ溝46は、図4の姿勢において、ヒンジ部45の後端部から、前方へ向けて延びる。ヒンジ部45は、シャフト14の軸部142がヒンジ溝46に挿入された状態で、軸部142を中心として回転することが可能である。これにより、上ヒータ40を、図4に示す水平姿勢と、図2に示す起立姿勢との間で、回動させることができる。
【0036】
また、図4に示すように、上ヒータ40の端部は、ヒンジ部45の内部へ延びている。そして、ヒンジ部45の内部において、上ヒータ40の端部と電気配線41とが、電気的に接続されている。電気配線41から上ヒータ40に電流が供給されると、上ヒータ40が発熱する。これにより、上ヒータ40から食材へ、輻射熱が照射される。
【0037】
蓋体50は、受け皿15を上方から覆う部材である。蓋体50は、受け皿15を覆う閉鎖姿勢と、受け皿15を開放する開放姿勢との間で回動する。蓋体50を閉鎖姿勢に倒すと、受け皿15と蓋体50とにより、食材を加熱する調理室60が形成される。
【0038】
蓋体50は、閉鎖姿勢において下方へ向けて開いたカップ状の外形を有する。すなわち、蓋体50は、天板部51と、立ち下がり部52とを有する。蓋体50が閉鎖姿勢の状態において、天板部51は、水平面に沿って広がる。天板部51は、上面視において矩形状である。また、蓋体50が閉鎖姿勢の状態において、立ち下がり部52は、天板部51の周囲から下方へ向けて延びる。
【0039】
天板部51の中央には、触媒フィルタ53が嵌め込まれている。調理室60内の気体は、触媒フィルタ53を介して、調理室60の外部へ排出される。その際、食材の加熱調理により発生する煙や臭気は、触媒フィルタ53に吸収される。これにより、調理室60の外部へ煙や臭気が排出されることを抑制できる。
【0040】
図2に示すように、蓋体50は、上ヒータ40の端部を通すための切り欠き54を有する。切り欠き54は、蓋体50の後部の立ち下がり部52に形成されている。蓋体50が閉鎖姿勢の状態において、切り欠き54は、下方へ向けて開いている。切り欠き54の左右方向の幅は、上ヒータ40の左右方向の幅よりも狭い。
【0041】
図5は、蓋体50および上述したシャフト14の斜視図である。図5に示すように、蓋体50は、軸受部材55と、軸受カバー56とを有する。図5では、軸受カバー56の内側の構造が分かるように、軸受カバー56が分解された状態で示されている。
【0042】
軸受部材55は、蓋体50の後部に固定されている。軸受部材55は、後方へ向けて突出する一対の軸受板551を有する。一対の軸受板551は、左右方向に間隔をあけて配置される。一対の軸受板551の間隔は、切り欠き54の左右方向の幅よりも大きい。各軸受板551は、前後方向および上下方向に広がる。軸受カバー56は、軸受部材55に対して固定される。軸受カバー56は、一対の軸受板551およびそれらの間に配置される部品を覆う。
【0043】
一対の軸受板551は、それぞれ、軸受溝57を有する。軸受溝57は、シャフト14の軸部142が挿入される溝である。軸受溝57は、蓋体50が閉鎖姿勢の状態において、下方へ向けて開口している。
【0044】
図6は、軸受部材55およびシャフト14の側面図である。図6に示すように、軸受溝57は、スリット部571と、円孔部572とを有する。スリット部571は、蓋体50が閉鎖姿勢の状態において、軸受板551の下端部から、上方へ向けて延びる。スリット部571の前後方向の幅は、円孔部572の前後方向の幅よりも小さく、軸部142の前後方向の厚みよりも僅かに大きい。円孔部572は、蓋体50が閉鎖姿勢の状態において、スリット部571の上方に位置する略円形の孔である。円孔部572の直径は、軸部142の上下方向の寸法よりも僅かに大きい。
【0045】
シャフト14の軸部142は、スリット部571を通過して、円孔部572へ挿入される。これにより、軸受板551は、円孔部572に挿入された軸部142を中心として回転することが可能となる。その結果、蓋体50は、図1に示す閉鎖姿勢と、図2に示す開放姿勢との間で、回動可能となる。また、スリット部571は、円孔部572よりも幅が狭いので、円孔部572から軸部142が抜けることが抑制される。
【0046】
図6に示すように、円孔部572は、2つのストッパ573を有する。ストッパ573は、円孔部572の縁から円孔部572の内側へ向けて突出する、略三角形状の突起である。蓋体50が、閉鎖姿勢よりも下方へ回動しようとすると、2つのストッパ573の一方の面が、軸部142に接触する。また、蓋体50が、開放姿勢よりも後方へ回動しようとすると、2つのストッパ573の他方の面が、軸部142に接触する。これにより、軸部142に対する蓋体50の回動範囲が、閉鎖姿勢と接触姿勢との間の範囲に制限される。
【0047】
また、図5および図6に示すように、蓋体50は、揺動軸561、保持部材58およびねじりバネ59を有する。揺動軸561は、左右方向に延びる円柱状の軸である。揺動軸561は、軸受カバー56に対して固定される。保持部材58は、軸受溝57に挿入された軸部142を保持するための部材である。図5および図6に示すように、保持部材58は、揺動板部581、一対の保持部582、および操作部583を有する。
【0048】
揺動板部581は、左右方向に延びる板状の部分である。揺動板部581は、揺動軸561に対して、揺動可能に取り付けられている。一対の保持部582は、揺動板部581の左右方向の両端部から、下方へ向けて延びる。各保持部582は、先端にフック状の爪584を有する。操作部583は、保持部材58を揺動させるために、ユーザが操作する部分である。操作部583は、揺動板部581から後方へ向けて延び、軸受カバー56から露出する。
【0049】
保持部材58は、図6において実線で示す保持位置と、図6において二点鎖線で示す解除位置との間で、揺動軸561を中心として揺動する。保持位置では、軸受溝57に挿入された軸部142に、保持部582の爪584が係合する。これにより、軸受溝57の円孔部572内に、軸部142が保持される。また、解除位置では、軸受溝57に挿入された軸部142から、保持部582が離れる。これにより、保持部582による軸部142の保持が解除される。
【0050】
ねじりバネ59は、保持部材58を保持位置へ向けて付勢するための弾性部材である。ねじりバネ59は、1本の金属線により形成されている。ねじりバネ59は、一対のコイル部590、一対の第1腕部591、および第2腕部592を有する。一対のコイル部590は、揺動軸561に取り付けられている。一対の第1腕部591は、一対のコイル部590の外側の端部から上方へ向けて延び、その先端が軸受カバー56に接触する。第2腕部592は、一対のコイル部590の内側の端部から前方へ向けて延びる。一対のコイル部590は、第2腕部592を介して繋がっている。第2腕部592は、揺動板部581の上面に接触する。
【0051】
ねじりバネ59は、第1腕部591と第2腕部592とを自然状態よりも接近させた状態で、取り付けられている。このため、ねじりバネ59は、その弾性反発力によって、揺動板部581を常に下向きに押圧する。これにより、保持部材58は、保持位置へ向けて付勢される。その結果、軸受溝57に挿入された軸部142を、保持部582により安定して保持することができる。
【0052】
<2.蓋体の着脱について>
このロースター1は、蓋体50を洗浄するために、本体フレーム10から蓋体50を取り外すことができる。
【0053】
本体フレーム10から蓋体50を取り外すときには、まず、図1のように、蓋体50を閉鎖姿勢にする。そして、ユーザが、操作部583を下向きに押圧する。そうすると、保持部材58は、ねじりバネ59の弾性力に抗して、保持位置から解除位置へ移動する。これにより、保持部582による軸部142の保持が解除される。
【0054】
この状態で、ユーザは、蓋体50を上方へ持ち上げる。そうすると、軸受溝57から軸部142が下方へ抜ける。具体的には、軸部142が、円孔部572からスリット部571を通過して、軸受溝57の下方へ抜ける。その結果、シャフト14から蓋体50を取り外すことができる。
【0055】
本体フレーム10に蓋体50を取り付けるときにも、ユーザは、操作部583を押圧することにより、保持部材58を解除位置へ移動させる。そして、その状態で、本体フレーム10の上方から、蓋体50を下向きに移動させる。これにより、軸受溝57に軸部142が挿入される。具体的には、軸部142が、スリット部571を通過して、円孔部572へ挿入される。その結果、シャフト14に蓋体50を取り付けることができる。
【0056】
以上のように、このロースター1では、蓋体50の軸受溝57が、下方へ向けて開口している。このため、軸受溝57からシャフト14を下方へ抜くことができる。したがって、本体フレーム10から蓋体50を、上方へ向けて取り外すことができる。このようにすれば、本体フレーム10から蓋体50を取り外す際に、蓋体50が上ヒータ40に摺接することを抑制できる。したがって、蓋体50と上ヒータ40の摺接により、金切り音が発生したり、蓋体50または上ヒータ40が損傷したりすることを、防止できる。
【0057】
また、従来、本体フレームから蓋体を前方へ取り外す場合、蓋体の後部に上ヒータを通過させるために、上ヒータの左右方向の最大幅よりも左右方向の幅が広い孔を設ける必要があった。しかしながら、本実施形態のように、本体フレーム10から蓋体50を上方へ向けて取り外すようにすれば、蓋体50の後部に、上ヒータ40の左右方向の最大幅よりも左右方向の幅が広い孔を設ける必要はない。したがって、蓋体50の後部に設けられる切り欠き54を、上ヒータ40の左右方向の最大幅よりも左右方向の幅が狭いものとすることができる。
【0058】
<3.遮蔽板について>
図7は、ヒンジ部45の付近におけるロースター1の斜視図である。図7では、ヒンジ部45の内部構造を示すために、一部の部品の図示を省略している。
【0059】
上述したように、蓋体50の後部には、切り欠き54が設けられている。そして、切り欠き54の後方には、上ヒータ40の端部と電気配線41とを電気的に接続する接続部42が配置されている。
【0060】
本体フレーム10から蓋体50を上方へ向けて取り外すことができるように、切り欠き54は、下方へ向けて開いた形状となっている。したがって、蓋体50の後部の立ち下がり部52のうち、切り欠き54が設けられた部分は、受け皿15に接触しない。このため、ロースター1の使用時に、調理室60において発生した蒸気または煙が、切り欠き54を通って、接続部42へ及ぶことを抑制する必要がある。
【0061】
そこで、本実施形態のロースター1は、塞ぎ板70、第1遮蔽板71、および第2遮蔽板72を有する。塞ぎ板70および第1遮蔽板71は、ヒンジ部45に設けられている。第2遮蔽板72は、本体フレーム10に設けられている。
【0062】
塞ぎ板70は、ヒンジ部45の前面に固定されている。塞ぎ板70は、左右方向および上下方向に広がる平板状である。上ヒータ40を水平姿勢とし、蓋体50を閉鎖姿勢とした状態において、塞ぎ板70は、蓋体50の切り欠き54を、後方から覆う。これにより、切り欠き54の開口している部分(塞がれていない部分)の面積が低減する。
【0063】
第1遮蔽板71は、上ヒータ40を水平姿勢とし、蓋体50を閉鎖姿勢とした状態において、塞ぎ板70の下端部から後方へ向けて延びる。本実施形態では、塞ぎ板70および第1遮蔽板71が、一体の金属により形成されている。第1遮蔽板71は、上ヒータ40を水平姿勢とし、蓋体50を閉鎖姿勢とした状態において、前後方向および左右方向に広がる平板状である。
【0064】
第2遮蔽板72は、ヒンジ台13の上端部から、前方へ向けて突出する。第2遮蔽板72は、前後方向および左右方向に広がる平板状である。すなわち、上ヒータ40を水平姿勢とし、蓋体50を閉鎖姿勢とした状態において、第1遮蔽板71と第2遮蔽板72は、ヒンジ部45とヒンジ台13とから、互いに逆向きに延びる。そして、図7に示すように、第1遮蔽板71の一部分と、第2遮蔽板72の一部分とが、上下方向に重なる。
【0065】
第1遮蔽板71および第2遮蔽板72は、切り欠き54と接続部42との間に、切り欠き54から接続部42へ向かう流路を塞ぐように配置される。このようにすれば、ロースター1の使用時に、調理室60から切り欠き54を介して接続部42へ、蒸気または煙が及ぶことを抑制できる。また、調理室60の熱が接続部42へ及ぶことも抑制できる。
【0066】
<4.蓋体と上ヒータを連動させる構成>
続いて、蓋体50と上ヒータ40を一体として回動させるための接続構成について、説明する。
【0067】
図8は、蓋体50、上ヒータ40、およびヒンジ部45の斜視図である。図8に示すように、蓋体50は、当接部材73を有する。当接部材73は、蓋体50の後部に固定されている。当接部材73は、下方へ向けて延びる一対の当接板731を有する。一対の当接板731は、切り欠き54の左右の端部に沿って、略上下方向に延びている。
【0068】
当接板731は、ヒンジ部45に当接する。より詳述すると、上ヒータ40を水平姿勢とし、蓋体50を閉鎖姿勢とした状態において、当接板731の上部付近の後面が、ヒンジ部45の前面に当接する。このため、蓋体50を閉鎖姿勢から開放姿勢へ回動させると、当接板731とともに、当接板731に接触するヒンジ部45も回動する。したがって、上ヒータ40も、水平姿勢から起立姿勢へ回動する。これにより、蓋体50、ヒンジ部45、および上ヒータ40を、一体として回動させることができる。
【0069】
すなわち、ヒンジ部45は、上ヒータ40を水平姿勢と起立姿勢との間で回動可能に保持するとともに、蓋体50も閉鎖姿勢と開放姿勢との間で回動可能に保持する。
【0070】
また、蓋体50とヒンジ部45は、ねじ等の固定具による固定はされていないので、本体フレーム10から蓋体50を取り外すときには、固定具を解除する必要がなく、蓋体50を上方へ持ち上げるだけで、ヒンジ部45から蓋体50を分離できる。
【0071】
また、蓋体50を閉鎖姿勢とした状態において、当接板731の下部は、下方へ向かうにつれて徐々にヒンジ部45の前面から前方へ離れるように、傾斜している。当接板731の下部をこのようなテーパ形状とすれば、ヒンジ部45に対して蓋体50を取り付けるときに、当該テーパ形状に沿って当接板731を移動させることで、ヒンジ部45の前面に、当接板731を容易に位置決めできる。
【0072】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0073】
上記の実施形態では、シャフト14が板状の部材であった。しかしながら、シャフト14は、左右方向に延びる角柱状、円柱状、円筒状などの他の形状であってもよい。
【0074】
また、上記の実施形態では、本体フレーム10がシャフト14を有し、蓋体50が軸受溝57および保持部582を有していた。しかしながら、本体フレーム10が軸受溝57および保持部582を有し、蓋体50がシャフト14を有していてもよい。その場合、軸受溝57は、上方へ向けて開口していればよい。この場合でも、軸受溝57からシャフト14を、上向きに抜くことができる。したがって、本体フレーム10から蓋体50を、上方へ向けて取り外すことができる。
【0075】
すなわち、本体フレーム10から蓋体50を上向きに取り外すためには、本体フレーム10および蓋体50のいずれか一方がシャフト14を有し、本体フレーム10および蓋体50の他方が、一方へ向けて上下方向に開口する軸受溝57を有していればよい。
【0076】
ただし、上記の実施形態のように、本体フレーム10にシャフト14を設ければ、蓋体50がシャフト14を有さないため、蓋体50を軽量化できる。これにより、蓋体50をより容易に上方へ取り外すことができる。
【0077】
また、加熱調理器の細部の形状・構造については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に取捨選択してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 ロースター
10 本体フレーム
11 ベース部
12 ダイヤル
13 ヒンジ台
14 シャフト
15 受け皿
16 底板部
17 立ち上がり部
18 ヒータ挿入孔
20 反射板
25 焼き網
30 下ヒータ
40 上ヒータ
41 電気配線
42 接続部
45 ヒンジ部
46 ヒンジ溝
50 蓋体
51 天板部
52 立ち下がり部
53 触媒フィルタ
54 切り欠き
55 軸受部材
56 軸受カバー
57 軸受溝
58 保持部材
59 ねじりバネ
60 調理室
70 塞ぎ板
71 第1遮蔽板
72 第2遮蔽板
73 当接部材
111 脚
141 中央部
142 軸部
551 軸受板
561 揺動軸
571 スリット部
572 円孔部
573 ストッパ
581 揺動板部
582 保持部
583 操作部
584 爪
590 コイル部
591 第1腕部
592 第2腕部
731 当接板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8