(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157673
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】船外機および船舶
(51)【国際特許分類】
B63H 20/14 20060101AFI20241031BHJP
B63H 20/00 20060101ALI20241031BHJP
B63H 20/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B63H20/14 510
B63H20/00 610
B63H20/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072160
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江渕 潤
(57)【要約】
【課題】ケースの収容室においてオイルを上方に効果的に持ち上げる。
【解決手段】船外機は、上下方向に沿って配置される出力軸を有する電動モータと、電動モータの出力軸に連結されるギヤ機構であって、上下方向に沿った回転軸を中心に回転するギヤを有するギヤ機構と、ギヤ機構とオイルとを収容する収容室を有するケースと、を備える。ケースの収容室には、ギヤの周囲に配置されている周壁と、ギヤと周壁との間に配置され、ギヤの回転方向に沿って高くなるように傾斜しているスロープとが形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船外機であって、
上下方向に沿って配置される出力軸を有する電動モータと、
前記電動モータの前記出力軸に連結されるギヤ機構であって、前記上下方向に沿った回転軸を中心に回転するギヤを有するギヤ機構と、
前記ギヤ機構とオイルとを収容する収容室を有するケースと、
を備え、
前記ケースの前記収容室には、
前記ギヤの周囲に配置されている周壁と、
前記ギヤと前記周壁との間に配置され、前記ギヤの回転方向に沿って高くなるように傾斜しているスロープと、が形成されている、船外機。
【請求項2】
請求項1に記載の船外機であって、
前記周壁の内周面は、前記上下方向視で、前記ギヤの前記回転方向に沿って延びる円弧状である、船外機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の船外機であって、
前記スロープは、前記ギヤの径方向において、前記ギヤから離間した位置に配置されている、船外機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の船外機であって、
前記スロープは、前記周壁の内周面に接しつつ前記内周面に沿って延びている、船外機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の船外機であって、
水平方向に対する前記スロープの傾斜角度は、45度以下である、船外機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の船外機であって、
前記スロープの下端は、前記収容室の床面に面している、船外機。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の船外機であって、
前記ギヤ機構は、前記ギヤと噛み合う別のギヤを有しており、
前記スロープは、前記ギヤに対して、前記別のギヤとは反対側に形成されている、船外機。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の船外機であって、
前記ケースの前記収容室には、さらに、前記ギヤと前記周壁との間に配置され、前記ギヤの回転方向のうち前記スロープとは逆方向に沿って高くなるように傾斜している逆方向スロープが形成されている、船外機。
【請求項9】
請求項8に記載の船外機であって、
前記スロープと前記逆方向スロープとは、前記ギヤを中心とする仮想円上において互いに異なる位置に配置されている、船外機。
【請求項10】
請求項9に記載の船外機であって、
前記スロープの最上端と前記逆方向スロープの最上端とが面一で繋がっている、船外機。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の船外機であって、
さらに、前記ギヤのギヤ軸の上端部を支持する軸受けと、
前記スロープによって持ち上げられたオイルを前記軸受けに導く導入機構と、を有している、船外機。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の船外機であって、
前記ギヤ機構は、さらに、前記電動モータの前記出力軸に連結され、かつ、前記ギヤと噛み合う入力ギヤを有する減速ギヤ機構である、船外機。
【請求項13】
請求項12に記載の船外機であって、
さらに、前記ギヤのギヤ軸の上端部を支持する軸受けと、
前記スロープによって持ち上げられたオイルを前記軸受けに導く導入機構と、を有し、
前記ギヤと前記入力ギヤとが噛み合う位置は、前記上下方向視で、前記軸受けよりも外周側に位置している、船外機。
【請求項14】
船体と、
前記船体の後部に取り付けられた請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の船外機と、
を備える、船舶。
【請求項15】
船外機であって、
駆動源と、
前記駆動源からの動力を伝達する伝動機構であって、上下方向に沿った回転軸を中心に回転する回転体を有する伝動機構と、
前記伝動機構とオイルとを収容する収容室を有するケースと、
を備え、
前記ケースの前記収容室には、
前記回転体の周囲に配置されている周壁と、
前記回転体と前記周壁との間に配置され、前記回転体の回転方向に沿って高くなるように傾斜しているスロープと、が形成されている、船外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、船外機および船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は、船体と、船体の後部に取り付けられた船外機とを備える。船外機は、船舶を推進させる推力を生み出す装置である。船外機は、駆動源と、プロペラと、プロペラ軸を有し、駆動源の駆動力をプロペラに伝達する伝動機構とを備える。
【0003】
従来、上下方向に沿って配置される出力軸を有する電動モータと、電動モータの出力軸に連結されるギヤ機構と、ギヤ機構とオイルとを収容する収容室を有するケースとを備える船外機が開示されている。ギヤ機構は、上下方向に沿った回転軸を中心に回転するギヤ(以下、「縦軸回転ギヤ」という)を有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケースの収容室に縦軸回転ギヤとオイルとが収容された上記従来技術の船外機では、例えばケースの収容室におけるオイルの水位が比較的に低いため、例えば縦軸回転ギヤの回転に対するオイルの潤滑効果が十分に得られないおそれがある。
【0006】
なお、このような課題は、ギヤ機構に限らず、駆動源(電動モータに限らず、エンジン等でもよい)からの動力を伝える伝動機構であって、上下方向に沿った回転軸を中心に回転する回転体を有する伝動機構とオイルとがケースの収容室に収容された船外機に共通する課題である。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される船外機は、上下方向に沿って配置される出力軸を有する電動モータと、前記電動モータの前記出力軸に連結されるギヤ機構であって、前記上下方向に沿った回転軸を中心に回転するギヤを有するギヤ機構と、前記ギヤ機構とオイルとを収容する収容室を有するケースと、を備え、前記ケースの前記収容室には、前記ギヤの周囲に配置されている周壁と、前記ギヤと前記周壁との間に配置され、前記ギヤの回転方向に沿って高くなるように傾斜しているスロープと、が形成されている。本船外機では、縦軸回転ギヤの周囲に周壁が配置されるとともに、縦軸回転ギヤと周壁との間にスロープが配置されている。このスロープは、縦軸回転ギヤの回転方向に沿って高くなるように傾斜している。このため、縦軸回転ギヤの回転に伴って該回転方向の一方側に向かうオイルの流れが生じ、その流れの勢いにより、オイルの一部がスロープに沿って上方に持ち上がられる。この持ち上げられたオイルが縦軸回転ギヤの上面側に付与されることにより、例えば縦軸回転ギヤの回転に対するオイルの潤滑効果を向上させることができる。
【0010】
(2)上記船外機において、前記周壁の内周面は、前記上下方向視で、前記ギヤの前記回転方向に沿って延びる円弧状である構成としてもよい。本船外機によれば、周壁の内周面が縦軸回転ギヤの回転方向とは異なる方向に延びている構成に比べて、縦軸回転ギヤの回転に伴うオイルの流れの勢いが高くなるため、オイルを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0011】
(3)上記船外機において、前記スロープは、前記ギヤの径方向において、前記ギヤから離間した位置に配置されている構成としてもよい。本船外機によれば、スロープが縦軸回転ギヤに隣接する構成に比べて、縦軸回転ギヤの回転に影響を与えることなく、オイルを上方に持ち上げることができる。
【0012】
(4)上記船外機において、前記スロープは、前記周壁の内周面に接しつつ前記内周面に沿って延びている構成としてもよい。本船外機によれば、例えば、スロープが周壁から若干離間した構成や、スロープが周壁面の内周面に沿って延びていない構成に比べて、オイルを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0013】
(5)上記船外機において、水平方向に対する前記スロープの傾斜角度は、45度以下である構成としてもよい。本船外機によれば、例えば、水平方向に対するスロープの傾斜角度が45度よりも大きい構成に比べて、オイルの流れの勢いを活かしてオイルを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0014】
(6)上記船外機において、前記スロープの下端は、前記収容室の床面に面している構成としてもよい。本船外機によれば、例えば、スロープの下端と収容室の床面との間に段差が存在する構成に比べて、オイルがスロープに円滑に流れ込むため、オイルを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0015】
(7)上記船外機において、前記ギヤ機構は、前記ギヤと噛み合う別のギヤを有しており、前記スロープは、前記ギヤに対して、前記別のギヤとは反対側に形成されている構成としてもよい。本船外機によれば、例えば、スロープの上端がギヤの上面より下側に位置する構成に比べて、オイルをギヤよりも上方に、より確実に持ち上げることができる。
【0016】
(8)上記船外機において、前記ケースの前記収容室には、さらに、前記ギヤと前記周壁との間に配置され、前記ギヤの回転方向のうち前記スロープとは逆方向に沿って高くなるように傾斜している逆方向スロープが形成されている構成としてもよい。本船外機によれば、縦軸回転ギヤが正回転する場合でも逆回転方向する場合でも、オイルを上方に持ち上げることができる。
【0017】
(9)上記船外機において、前記スロープと前記逆方向スロープとは、前記ギヤを中心とする仮想円上において互いに異なる位置に配置されている構成としてもよい。本船外機によれば、例えばスロープと逆方向スロープとが縦軸回転ギヤの径方向に並ぶように配置された構成に比べて、収容室の大型化を抑制することができる。
【0018】
(10)上記船外機において、前記スロープの最上端と前記逆方向スロープの最上端とが面一で繋がっている構成としてもよい。本船外機によれば、例えばスロープと逆方向スロープとが回転方向に離間して配置された構成に比べて、スロープや逆方向スロープの存在に起因してオイルの流れの勢いが低減することを抑制することができる。
【0019】
(11)上記船外機において、さらに、前記ギヤのギヤ軸の上端部を支持する軸受けと、前記スロープによって持ち上げられたオイルを前記軸受けに導く導入機構と、を有している構成としてもよい。本船外機によれば、ギヤのギヤ軸の上端部を支持する軸受けにオイルを効果的に付与することができる。
【0020】
(12)上記船外機において、前記ギヤ機構は、さらに、前記電動モータの前記出力軸に連結され、かつ、前記ギヤと噛み合う入力ギヤを有する減速ギヤ機構である構成としてもよい。本船外機によれば、減速ギヤにおいて、オイルをギヤの上方に持ち上げることができる。
【0021】
(13)上記船外機において、さらに、前記ギヤのギヤ軸の上端部を支持する軸受けと、前記スロープによって持ち上げられたオイルを前記軸受けに導く導入機構と、を有し、前記ギヤと前記入力ギヤとが噛み合う位置は、前記上下方向視で、前記軸受けよりも外周側に位置している構成としてもよい。本船外機によれば、ギヤのギヤ軸の上端部を支持する軸受けにオイルを効果的に付与することができる。
【0022】
(14)本明細書に開示される船外機は、駆動源と、前記駆動源からの動力を伝達する伝動機構であって、上下方向に沿った回転軸を中心に回転する回転体を有する伝動機構と、前記伝動機構とオイルとを収容する収容室を有するケースと、を備え、前記ケースの前記収容室には、前記回転体の周囲に配置されている周壁と、前記回転体と前記周壁との間に配置され、前記回転体の回転方向に沿って高くなるように傾斜しているスロープと、が形成されている。本船外機によれば、オイルを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0023】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、船外機、船外機と船体とを備える船舶等の形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本明細書に開示される船外機によれば、ケースの収容室においてオイルを上方に効果的に持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態の船舶10の構成を概略的に示す斜視図
【
図2】実施形態における船外機100の構成を概略的に示す側面図
【
図3】モータアセンブリ120とギヤボックスアセンブリ300との内部構成を概略的に示す説明図
【
図4】ギヤケース302におけるスロープ306a,306bおよび周壁304の周辺の構成を示す斜視図
【
図5】出力ギヤ330側から見たスロープ306a,306bの構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
A.実施形態:
A-1.船舶10の構成:
図1は、本実施形態の船舶10の構成を概略的に示す斜視図である。
図1および後述する他の図面には、船舶10の位置を基準とした各方向を表す矢印を示している。各図には、前方(FRONT)、後方(REAR)、左方(LEFT)、右方(RIGHT)、上方(UPPER)および下方(LOWER)のそれぞれを表す矢印を示している。前後方向、左右方向、上下方向(鉛直方向)は、それぞれ互いに直交する方向である。
【0027】
船舶10は、船体200と、船外機100とを備える。本実施形態では、船舶10は、1つの船外機100を有するが、船舶10が複数の船外機100を有していてもよい。
【0028】
(船体200の構成)
船体200は、船舶10において乗員が搭乗する部分である。船体200は、居住空間204を有する船体本体部202と、居住空間204に設置された操縦席240と、操縦席240付近に設置された操縦装置250とを有する。操縦装置250は、操船のための装置であり、例えば、ステアリングホイール252と、シフト・スロットルレバー254と、ジョイスティック255と、モニタ256と、入力装置258とを有する。また、船体200は、居住空間204の後端を区画する仕切壁220と、船体200の後端に位置するトランサム210とを有する。前後方向において、トランサム210と仕切壁220との間には空間206が存在している。
【0029】
(船外機100の構成)
図2は、本実施形態における船外機100の構成を概略的に示す側面図である。以下では、特に断りがない限り、基準姿勢の船外機100について説明する。基準姿勢は、後述する電動モータ122の出力軸123の回転軸Acが上下方向に延伸し、かつ、後述するプロペラ軸137の回転軸線Apが前後方向に延伸する姿勢である。前後方向、左右方向および上下方向のそれぞれは、基準姿勢の船外機100に基づいて定められる。
【0030】
船外機100は、船舶10を推進させる推力を発生する装置である。船外機100は、船体200の後部のトランサム210に取り付けられている。船外機100は、船外機本体110と、懸架装置150とを有する。
【0031】
(船外機本体110の構成)
船外機本体110は、モータアセンブリ120と、伝達機構130と、プロペラ112と、カウル114と、ケーシング116と、ウォーターポンプ140と、ポンプシャフト134とを有する。
【0032】
カウル114は、船外機本体110の上部に配置された収容体である。カウル114は、カウル114の下部を構成する下部カウル114bと、カウル114の上部を構成する上部カウル114aとを有する。上部カウル114aは、下部カウル114bに対して、取り外し可能に取り付けられている。
【0033】
ケーシング116は、カウル114の下方に位置し、船外機本体110の下部に配置された収容体である。ケーシング116は、ロワーケース116bと、アッパーケース116aとを有する。ロワーケース116bは、後述のドライブシャフト133の少なくとも一部およびプロペラ軸137を収容している。ロワーケース116bは、ドライブシャフト133を中心として回動自在となるように、アッパーケース116aと接続されている。アッパーケース116aは、ロワーケース116bの上部に配置され、後述のギヤボックスアセンブリ300を収容している。
【0034】
モータアセンブリ120は、カウル114内に収容されている。モータアセンブリ120は、電動モータ122を有する。電動モータ122は、特許請求の範囲における駆動源の一例である。電動モータ122は、電動モータ122で発生した駆動力を出力する出力軸123を有する。
【0035】
伝達機構130は、電動モータ122の駆動力をプロペラ112に伝達する機構である。伝達機構130の少なくとも一部は、ケーシング116に収容されている。伝達機構130は、ギヤボックスアセンブリ300と、ドライブシャフト133と、プロペラ軸137とを有する。
【0036】
プロペラ軸137は、棒状の部材であり、船外機本体110の比較的下方において、前後方向に延伸する姿勢で配置されている。プロペラ軸137は、プロペラ112とともに回転する。プロペラ軸137の前端部は、ロワーケース116bに収容されており、プロペラ軸137の後端部は、ロワーケース116bから後方に突出している。プロペラ軸137の前端部は、ギヤ138を有している。
【0037】
ギヤボックスアセンブリ300は、電動モータ122の出力軸123とドライブシャフト133とに連結されている。ギヤボックスアセンブリ300は、電動モータ122の駆動力を減速させてプロペラ軸137に伝達する。これにより、電動モータ122を所望のトルクで回転させることができる。ギヤボックスアセンブリ300の構成については後に詳述する。
【0038】
プロペラ112は、複数枚の羽根を有する回転体であり、プロペラ軸137の後端部に取り付けられている。プロペラ112は、回転軸線Apまわりのプロペラ軸137の回転に伴って回転する。プロペラ112は、回転することによって推力を発生する。前述のように、ロワーケース116bが回動自在であるため、プロペラ112は、ロワーケース116bの回動に伴って、ドライブシャフト133を中心として回動する。そのため、船舶10は、ロワーケース116bを回動させることによって操船が行われる。
【0039】
ウォーターポンプ140は、例えば電動モータ122を冷却するための水を船外機100の外部から汲み上げる。ポンプシャフト134は、上下方向に延伸している。ポンプシャフト134は、電動モータ122の駆動力によって駆動し、ウォーターポンプ140に動力を伝達する。ウォーターポンプ140は、ポンプシャフト134によって伝達される電動モータ122の駆動力によって駆動する。
【0040】
(懸架装置150の構成)
懸架装置150は、船外機本体110を船体200に懸架する装置である。懸架装置150は、左右一対のクランプブラケット152と、チルト軸160と、スイベルブラケット156とを含む。
【0041】
左右一対のクランプブラケット152は、船体200の後方に、互いに左右方向に離隔した状態で配置されており、例えばボルトによって船体200のトランサム210に固定されている。各クランプブラケット152は、左右方向に延伸する貫通孔が形成された筒状の支持部152aを有する。
【0042】
チルト軸160は、棒状の部材であり、クランプブラケット152の支持部152aの貫通孔内に回転可能に支持されている。チルト軸160の中心線であるチルト軸線Atは、船外機100のチルト動作における水平方向(左右方向)の軸線を構成する。
【0043】
スイベルブラケット156は、一対のクランプブラケット152に挟まれるように配置されており、チルト軸線Atまわりに回転可能に、チルト軸160を介してクランプブラケット152の支持部152aに支持されている。スイベルブラケット156は、例えば油圧シリンダ等のアクチュエータを含むチルト装置(図示せず)により、クランプブラケット152に対してチルト軸線Atまわりに回転駆動される。
【0044】
スイベルブラケット156がクランプブラケット152に対してチルト軸線Atまわりに回転すると、スイベルブラケット156に支持された船外機本体110もチルト軸線Atまわりに回転する。これにより、船体200に対して船外機本体110を上下方向に回転させるチルト動作が実現される。船外機100のチルト動作により、プロペラ112が水中に位置するチルトダウン状態(船外機100が基準姿勢にある状態)からプロペラ112が水面より上側に位置するチルトアップ状態までの範囲で、船外機本体110のチルト軸線Atまわりの角度を変更することができる。なお、船外機本体110のチルト軸線Atまわりの角度を調整して船舶10の走行時の姿勢を調整するトリム動作も実行することができる。
【0045】
A-2.モータアセンブリ120とギヤボックスアセンブリ300との詳細構成:
図3は、モータアセンブリ120とギヤボックスアセンブリ300との内部構成を概略的に示す説明図である。
図3に示すように、モータアセンブリ120とギヤボックスアセンブリ300とは、互いに別体であり、それぞれ個別のケースに収容された構成である。
【0046】
モータアセンブリ120は、上述した電動モータ122と、電動モータ122を支持するモータケース121とを有している。電動モータ122は、モータケース121内において縦置きで配置されている。縦置きとは、電動モータ122の出力軸123(回転軸Ac)が上下方向に延伸する姿勢で配置された状態である。出力軸123の上端部と下端部とは、それぞれ、モータケース121に固定されたモータベアリング125により回転可能に支持されている。
【0047】
ギヤボックスアセンブリ300は、一次減速ギヤ機構310と、ギヤケース302とを有している。ギヤケース302は、特許請求の範囲におけるケースの一例であり、一次減速ギヤ機構310は、特許請求の範囲におけるギヤ機構の一例である。
【0048】
ギヤケース302は、一次減速ギヤ機構310とオイルSとを収容する収容室R1を有している。ギヤケース302は、アッパーギヤケース302aとロワーギヤケース302bとが上下方向で組み合わされて収容室R1が形成されている。収容室R1は、入力側領域R11と出力側領域R12とを含んでいる。入力側領域R11は、収容室R1のうち、電動モータ122の直下に位置する領域である。出力側領域R12は、収容室R1のうち、入力側領域R11の前方に位置する領域である。また、ギヤケース302は、入力側領域R11から上方に開口する入力貫通孔H1と、入力側領域R11から下方に開口する貫通孔H2と、出力側領域R12から下方に開口する出力貫通孔H3とが形成されている。
【0049】
一次減速ギヤ機構310は、入力ギヤ320と、上側入力ベアリング326と、下側入力ベアリング350と、出力ギヤ330と、上側出力ベアリング336と、下側出力ベアリング337とを有している。入力ギヤ320と上側入力ベアリング326と下側入力ベアリング350とは、ギヤケース302の入力側領域R11に収容されている。出力ギヤ330と上側出力ベアリング336と下側出力ベアリング337とは、ギヤケース302の出力側領域R12に収容されている。
【0050】
入力ギヤ320は、上下方向に沿った入力ギヤ軸324を有し、入力ギヤ軸324の上端部が電動モータ122の出力軸123に連結されている。本実施形態では、入力ギヤ320は、ヘリカルギヤである。具体的には、入力ギヤ320は、入力ギヤ軸324と、その入力ギヤ軸324に固定された入力ギヤ本体322とを有している。入力ギヤ本体322と入力ギヤ軸324とは、互いに別体でもよいし、一体でもよい。入力ギヤ軸324は、上下方向に沿って延伸する姿勢で配置されている。入力ギヤ軸324の上端部には、挿入孔325が形成されている。電動モータ122の出力軸123は、ギヤケース302の上記入力貫通孔H1を介して入力側領域R11内に進出しており、入力ギヤ軸324の挿入孔325に挿入されて固定されている。このため、入力ギヤ320は、上記回転軸Acを中心に出力軸123と一体的に回転する。
【0051】
上側入力ベアリング326は、入力ギヤ本体322の上側に位置し、ギヤケース302(アッパーギヤケース302a)に固定されており、入力ギヤ軸324の上端部を回転可能に支持している。下側入力ベアリング350は、入力ギヤ本体322の下側に位置し、ギヤケース302(ロワーギヤケース302b)に固定されており、入力ギヤ軸324の下端部を回転可能に支持している。なお、ギヤケース302の貫通孔H2は、キャップ303で封止されている。
【0052】
出力ギヤ330は、上下方向に沿った出力ギヤ軸334を有し、入力ギヤ320と噛み合っている。本実施形態では、出力ギヤ330は、ヘリカルギヤである。具体的には、出力ギヤ330は、出力ギヤ軸334と、その出力ギヤ軸334に固定された出力ギヤ本体332とを有している。出力ギヤ本体332と出力ギヤ軸334とは、互いに別体でもよいし、一体でもよい。出力ギヤ軸334は、上下方向に沿って延伸する姿勢で配置されている。出力ギヤ軸334の下端部には、挿入孔345が形成されている。ドライブシャフト133は、ギヤケース302の上記出力貫通孔H3を介して出力側領域R12内に進出しており、出力ギヤ軸334の挿入孔345に挿入されて固定されている。このため、出力ギヤ330は、ドライブシャフト133と一体的に回転する。
【0053】
上側出力ベアリング336は、出力ギヤ本体332の上側に位置し、ギヤケース302(アッパーギヤケース302a)に固定されており、出力ギヤ軸334の上端部を回転可能に支持している。下側出力ベアリング337は、出力ギヤ本体332の下側に位置し、ギヤケース302(ロワーギヤケース302b)に固定されており、出力ギヤ軸334の下端部を回転可能に支持している。
【0054】
以上の構成により、入力ギヤ320は、電動モータ122の出力軸123からの駆動力を受けて回転する。出力ギヤ330は、その入力ギヤ320に連動して回転し、その出力ギヤ330の回転に伴ってドライブシャフト133が回転する。ここで、本実施形態では、入力ギヤ320の歯数は、出力ギヤ330の歯数よりも多い。このため、ドライブシャフト133は、出力軸123の回転速度に対して、出力ギヤ330の歯数に対する入力ギヤ320の歯数の比(減速比)の回転速度で減速して回転する。このように、一次減速ギヤ機構310は、電動モータ122の回転速度を減速しつつ、電動モータ122の駆動力をドライブシャフト133に伝える。
【0055】
A-3.オイルSの持ち上げ機構:
上述したように、収容室R1に収容された一次減速ギヤ機構310は、上下方向に沿った回転軸を中心に回転するギヤ(入力ギヤ320、出力ギヤ330 以下、まとめて「縦軸回転ギヤ」ということがある)を有している。このような縦軸回転ギヤを有するギヤ機構がオイルSとともに収容室R1に収容された構成では、縦軸回転ギヤの回転に対するオイルSの潤滑効果を十分に得られないことがある。
【0056】
例えば、
図3の例では、下側入力ベアリング350と下側出力ベアリング337とは、いずれも、収容室R1におけるオイルSの水位よりも低い位置に配置されているため、オイルSの潤滑効果を十分に得ることができる。
【0057】
上側入力ベアリング326と上側出力ベアリング336とは、いずれも、収容室R1におけるオイルSの水位よりも高い位置に配置されている。但し、上側入力ベアリング326は、入力ギヤ320と出力ギヤ330とが回転すれば、オイルSの潤滑効果を十分に得ることができる。すなわち、上側入力ベアリング326は、入力ギヤ320と出力ギヤ330との歯の噛み合わせ位置の直上に位置している。入力ギヤ320と出力ギヤ330との回転時に、両者の歯の噛み合わせ箇所から漏れ出るオイルSが上側入力ベアリング326にも供給される。このため、上側入力ベアリング326もオイルSの潤滑効果を得ることができる。
【0058】
一方、上側出力ベアリング336は、入力ギヤ320と出力ギヤ330との歯の噛み合わせ位置の直上に位置していてない。すなわち、入力ギヤ320と出力ギヤ330との歯の噛み合わせ位置は、上側出力ベアリング336よりも外周側に位置している。このため、入力ギヤ320と出力ギヤ330とが回転しても、オイルSが上側出力ベアリング336に十分に供給されないことがある。そこで、本実施形態では、船外機100は、以下に説明するオイルSの持ち上げ機構を備えている。上側出力ベアリング336は、特許請求の範囲における軸受けの一例である。
【0059】
オイルSの持ち上げ機構は、縦軸回転ギヤ(出力ギヤ330)の回転力を利用して、収容室R1のオイルSを上方に持ち上げる機構である。具体的には、オイルSの持ち上げ機構は、ギヤケース302(ロワーギヤケース302b)に形成されたスロープ306a,306b(
図3では、スロープ306aのみ図示)と、ギヤケース302の周壁304とを有している。
【0060】
図4は、ギヤケース302におけるスロープ306a,306bおよび周壁304の周辺の構成を示す斜視図である。
図4には、アッパーギヤケース302aが外された後のロワーギヤケース302bが示されており、収容室R1に収容された入力ギヤ320と出力ギヤ330とが露出している。
図4に示すように、周壁304は、出力ギヤ330(出力ギヤ本体332)の周囲を囲むように形成されている。周壁304の内周面305は、上下方向視で、出力ギヤ330の回転方向に沿って延びる円弧状である。なお、周壁304の内周面305の一部と出力ギヤ本体332との距離は、略均一である。
【0061】
スロープ306a,306bは、出力ギヤ330(出力ギヤ本体332)と周壁304との間に配置され、出力ギヤ330の回転方向に沿って高くなるように傾斜している。具体的には、スロープ306aは、出力ギヤ330の回転方向の一方(
図4の白抜き矢印の方向)に沿って高くなるように傾斜している(回転方向の一方に向かうに連れて連続的に高くなるように傾斜している)。スロープ306bは、出力ギヤ330の回転方向の他方(
図4の白抜き矢印とは逆方向)に沿って高くなるように傾斜している。このため、出力ギヤ330が正回転する場合でも逆回転方向する場合でも、オイルSを上方に持ち上げることができる。
【0062】
スロープ306a,306bは、出力ギヤ330の径方向において、出力ギヤ330から離間した位置に配置されている。このため、スロープ306a,306bが出力ギヤ330に隣接する構成に比べて、出力ギヤ330の回転に影響を与えることなく、オイルSを上方に持ち上げることができる。また、スロープ306a,306bは、周壁304の内周面305に接しつつ内周面305に沿って延びている。このため、例えばスロープ306a,306bが周壁304から若干離間した構成や、スロープ306a,306bが周壁304の内周面305に沿って延びていない構成に比べて、オイルSを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0063】
水平方向に対するスロープ306a,306bの傾斜角度θ(後述の
図5参照)は、例えば、80度以下、70度以下、60度以下、45度以下、40度以下、30度以下、20度以下でもよい。ただし、傾斜角度θが45度以下であれば、傾斜角度が45度よりも大きい構成に比べて、オイルSの流れの勢いを活かしてオイルSを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0064】
スロープ306a,306bの下端Nは、収容室R1の床面308に面している(後述の
図5も参照)。このため、例えば、スロープ306a,306bの下端Nと収容室R1の床面308との間に段差が存在する構成に比べて、オイルSがスロープ306a,306bに円滑に流れ込むため、オイルSを上方に効果的に持ち上げることができる。また、スロープ306a,306bは、出力ギヤ330に対して、入力ギヤ320とは反対側に形成されている。このため、出力ギヤ330とは逆方向に回転する入力ギヤ320の回転の勢いによる影響を抑制しつつ、出力ギヤ330の回転の勢いにより、オイルSを上方に効果的に持ち上げることができる。
【0065】
2つのスロープ306a,306bは、出力ギヤ330を中心とする仮想円上において互いに異なる位置に配置されている。このため、例えば2つのスロープ306a,306bが出力ギヤ330の径方向に並ぶように配置された構成に比べて、収容室R1の大型化を抑制することができる。スロープ306aの最上端とスロープ306bの最上端とは、同じ高さであり、かつ、面一で繋がっている。このため、例えば2つのスロープ306a,306bが回転方向に離間して配置された構成に比べて、一方のスロープ306aの存在に起因して、他方のスロープ306bへのオイルSの流れの勢いが低減することを抑制することができる。
【0066】
出力ギヤ330が回転方向の一方(
図4の白抜き矢印方向)に回転すると、その出力ギヤ330の回転に伴って該回転方向の一方側に向かうオイルSの流れLb(
図4および
図5参照)が生じ、その流れLbの勢いにより、オイルSの一部がスロープ306bに沿って上方に持ち上がられる。
出力ギヤ330が回転方向の他方(
図4の白抜き矢印とは逆方向)に回転すると、その出力ギヤ330の回転に伴って該回転方向の他方側に向かうオイルSの流れLa(
図5参照)が生じ、その流れLaの勢いにより、オイルSの一部がスロープ306aに沿って上方に持ち上がられる。
【0067】
船外機100は、さらに、導入機構340を備えている。導入機構340は、上記持ち上げ機構(スロープ306a,306b)によって上方に持ち上げられたオイルSを、上側出力ベアリング336に導く機構である。具体的には、導入機構340は、2本の第1の導入管342a,342bと2本の第2の導入管344とを有している。
図5は、出力ギヤ330側(後側)から見たスロープ306a,306bの構成を概略的に示す説明図である。
【0068】
図5に示すように、一方の第1の導入管342aは、スロープ306aの上方に位置し、上下方向に延伸する姿勢で配置されている。一方の第1の導入管342aの下側開口341aは、スロープ306aの上側面に向かって開口している。他方の第1の導入管342bは、スロープ306bの上方に位置し、上下方向に延伸する姿勢で配置されている。他方の第1の導入管342bの下側開口341bは、スロープ306bの上側面に向かって開口している。
【0069】
なお、一方の第1の導入管342aのうち、下側開口341aが形成された端面343aは、オイルSをスロープ306aで持ち上げる際の出力ギヤ330の回転方向(
図5の紙面左方向)に沿って下方に傾斜している(回転方向に向かうに連れて低くなるように傾斜している)。このため、スロープ306aで持ち上げられたオイルSが一方の第1の導入管342aの下側開口341aに導入されやすい。同様に、他方の第1の導入管342bのうち、下側開口341bが形成された端面343bは、オイルSをスロープ306bで持ち上げる際の出力ギヤ330の回転方向(
図5の紙面右方向)に沿って下方に傾斜している。このため、スロープ306bで持ち上げられたオイルSが他方の第1の導入管342bの下側開口341bに導入されやすい。
【0070】
各第2の導入管344の一端は、上記各第1の導入管342a,342bの上端に連通しており、各第2の導入管344の他端は、上側出力ベアリング336の上方に形成された空間R2に連通している。各第2の導入管344は、当該第2の導入管344の一端が他端よりも低くなるように傾斜している。このため、各第1の導入管342a,342bから第2の導入管344に導入されたオイルSは、自重により空間R2に流れ込む。このような導入機構340により、出力ギヤ330の出力ギヤ軸334の上端部を支持する上側出力ベアリング336にオイルSを効果的に付与することができる。
【0071】
なお、本明細書において、前後方向に延びる軸線や部材等は、必ずしも前後方向と平行である必要はない。前後方向に延びる軸線や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸線や部材を含む。同様に、上下方向に延びる軸線や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸線や部材を含み、左右方向に延びる軸線や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸線や部材を含む。
【0072】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0073】
上記実施形態の船舶10や船外機100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、ドライブシャフト133が出力軸123よりも前方に配置されているが、ドライブシャフト133が出力軸123よりも後前方に配置されていてもよい。また、上記実施形態では、駆動源として、出力軸123が上下方向に沿って配置された電動モータ122を例示したが、出力軸123が上下方向以外の方向(例えば水平方向)に沿って配置された電動モータでもよいし、エンジン等の内燃機関でもよい。
【0074】
上記実施形態では、伝動機構として、一次減速ギヤ機構310を例示したが、これに限らず、複数次減速ギヤ、他のギヤ機構(変速機構など)、上下方向に沿った回転軸を中心に回転する回転体(プーリやスプロケットなど)を有する巻き掛け伝動機構(ベルト機構やチェーン機構など)や、ドライブシャフトなどの伝動軸でもよい。また、ギヤ機構や伝動機構は、上下方向に沿った回転軸を中心に回転する、少なくとも1つのギヤや回転体を有する構成であればよい。また、入力ギヤ320と出力ギヤ330とは、ヘリカルギヤであったが、これに限らず、スプルーギヤやベベルギヤなどでもよい。
【0075】
上記実施形態では、オイルSの持ち上げ機構は、2つのスロープ306a,306bを有する構成であったが、スロープを1つ、または3つ以上有する構成でもよい。また、上記実施形態において、オイルSの持ち上げ機構は、以下の構成でもよい。
(a)スロープ306a,306bが出力ギヤ330に隣接して配置された構成
(b)スロープ306a,306bが周壁304から離間して配置された構成
(c)スロープ306a,306bが周壁304の内周面305に沿った方向とは異なる方向に延びている構成
(d)スロープ306a,306bの下端と収容室R1の床面308との間に段差が存在する構成
(e)2つのスロープ306a,306bが出力ギヤ330の径方向に並ぶように配置された構成
(f)2つのスロープ306a,306bが回転方向に離間して配置された構成
【0076】
上記実施形態において、導入機構340を備えず、スロープ306a,306bが持ち上げたオイルSが出力ギヤ330や上側出力ベアリング336に直接供給される構成でもよい。上記実施形態において、導入機構340は、第1の導入管と第2の導入管とを2本ずつ有する構成であったが、第1の導入管と第2の導入管との少なくとも一方が1本、または3本以上でもよい。
【0077】
上記実施形態では、ケーシング116において、ロワーケース116bが回動自在となるようにアッパーケース116aに接続されているが、必ずしもロワーケース116bが回動自在である必要はない。また、ケーシング116は、アッパーケース116aとロワーケース116bとを有する必要はなく、1つの部材によって構成されていてもよい。
【0078】
上記実施形態では、船外機100は、被駆動機としてウォーターポンプ140を備えているが、ウォーターポンプ140を備えていなくてもよいし、ウォーターポンプ140の替わりに別の被駆動機を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10:船舶 100:船外機 110:船外機本体 112:プロペラ 114:カウル 114a:上部カウル 114b:下部カウル 116:ケーシング 116a:アッパーケース 116b:ロワーケース 120:モータアセンブリ 121:モータケース 122:電動モータ 123:出力軸 125:モータベアリング 130:伝達機構 133:ドライブシャフト 134:ポンプシャフト 137:プロペラ軸 138:ギヤ 140:ウォーターポンプ 150:懸架装置 152:クランプブラケット 152a:支持部 156:スイベルブラケット 160:チルト軸 200:船体 202:船体本体部 204:居住空間 210:トランサム 220:仕切壁 240:操縦席 250:操縦装置 252:ステアリングホイール 254:シフト・スロットルレバー 255:ジョイスティック 256:モニタ 258:入力装置 300:ギヤボックスアセンブリ 302:ギヤケース 302a:アッパーギヤケース 302b:ロワーギヤケース 303:キャップ 304:周壁 305:内周面 306a,306b:スロープ 308:床面 310:一次減速ギヤ機構 320:入力ギヤ 322:入力ギヤ本体 324:入力ギヤ軸 326:上側入力ベアリング 330:出力ギヤ 332:出力ギヤ本体 334:出力ギヤ軸 336:上側出力ベアリング 337:下側出力ベアリング 340:導入機構 342a,342b:第1の導入管 344:第2の導入管 350:下側入力ベアリング Ac:回転軸 Ap:回転軸線 At:チルト軸線 H1:入力貫通孔 H2:貫通孔 H3:出力貫通孔 N:下端 R11:入力側領域 R12:出力側領域 R1:収容室 S:オイル