(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157694
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20241031BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072197
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】久嶋 竜次
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】澤田 純一
(72)【発明者】
【氏名】難波 秀平
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 裕哉
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024GX02
5C024GX16
5C024GY31
5C024HX46
5C024JX41
(57)【要約】
【課題】駆動回路に供給される複数の駆動用直流電圧のうち少なくとも一つの駆動用直流電圧の落ちるタイミングを任意に設定することを可能にする。
【解決手段】撮像装置は、電源電圧を駆動用直流電圧に変換する複数の駆動電源部と、各駆動電源部から駆動用直流電圧を受けるゲートドライバ20とを備える。一つの駆動電源部30Cは、電源電圧SVを第1直流電圧V21に変換する第1電圧変換部31と、第1直流電圧V21を駆動用直流電圧VGGに変換する第2電圧変換部32と、ディスチャージ回路40Aとを有する。ディスチャージ回路40Aは、第2直流電圧V22によって充電される容量素子41と、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのちに容量素子41の両端電圧によって駆動され、一端が第2電圧変換部32とゲートドライバ20との間の第1ノードN1に接続され、他端が基準電位線92に接続された第2スイッチ素子42と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光または放射線を電気信号に変換する受光領域を有する複数の画素と、
電源電圧を供給する電源線と、
前記電源電圧を駆動用直流電圧に変換するとともに、前記電源線に対して互いに並列に接続された複数の駆動電源部と、
各駆動電源部から前記駆動用直流電圧を供給され、前記複数の画素の前記受光領域から前記電気信号を読み出す駆動回路と、
を備え、
前記駆動用直流電圧の大きさは前記複数の駆動電源部毎に異なり、
前記複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部は、
前記電源電圧を第1直流電圧に変換する第1電圧変換部と、
前記第1直流電圧を前記駆動用直流電圧に変換する第2電圧変換部と、
ディスチャージ回路と、
を有し、
前記ディスチャージ回路は、
前記電源電圧または前記電源電圧から電圧値が変換された他の電圧によって充電される容量素子と、
前記第1電圧変換部の停止動作が開始されたのちに前記容量素子の両端電圧によって駆動され、一端が前記第2電圧変換部と前記駆動回路との間の第1ノードに接続され、他端が定電位線に接続された第2スイッチ素子と、
を含む、撮像装置。
【請求項2】
前記第1電圧変換部はスイッチングレギュレータを含み、
前記第2電圧変換部はリニアレギュレータを含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ディスチャージ回路は、前記第1電圧変換部の停止動作が開始されたのちに前記容量素子の両端電圧に基づく電圧を前記第2スイッチ素子の制御端子に印加し、前記第1電圧変換部の停止動作の開始前には前記第2スイッチ素子の前記制御端子に前記容量素子の両端電圧に基づく電圧を印加しない第1回路部分を含む、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ディスチャージ回路は、
前記容量素子と前記第2スイッチ素子の制御端子との間の第2ノードに一端が接続され、前記定電位線に他端が接続され、前記第1直流電圧によって駆動される第3スイッチ素子と、
前記第2ノードと前記第2スイッチ素子の前記制御端子との間に介在する抵抗と、
を更に含む、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの駆動電源部は第3電圧変換部を更に備え、
前記他の電圧は、前記第3電圧変換部によって電源電圧から変換された電圧である、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1電圧変換部は、前記電源電圧を入力する端子とは別に、前記第1電圧変換部の動作のオン/オフを制御するためのイネーブル端子を有し、
前記電源電圧が分圧されてなる電圧が前記イネーブル端子に入力される、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記他の電圧は前記駆動用直流電圧である、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ディスチャージ回路は、前記第2電圧変換部と前記駆動回路との間の第3ノードと前記容量素子との間に介在して前記容量素子から前記第3ノードへの電荷の逆流を防ぐ逆流防止回路を更に含む、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ディスチャージ回路は、
前記容量素子と前記第2スイッチ素子の制御端子との間の第2ノードに一端が接続され、前記定電位線に他端が接続された第3スイッチ素子と、
前記第2ノードと前記第2スイッチ素子の前記制御端子との間に介在する抵抗と、
を更に含み、
前記第3スイッチ素子は、前記第1直流電圧が分圧されてなる電圧によって駆動される、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項10】
入射した光または放射線を電気信号に変換する受光領域を有する複数の画素と、
電源電圧を供給する電源線と、
前記電源電圧を駆動用直流電圧に変換するとともに、前記電源線に対して互いに並列に接続された複数の駆動電源部と、
各駆動電源部から前記駆動用直流電圧を供給され、前記複数の画素の前記受光領域から前記電気信号を読み出す駆動回路と、
を備え、
前記駆動用直流電圧の大きさは前記複数の駆動電源部毎に異なり、
前記複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部は、
前記電源電圧を前記駆動用直流電圧に変換する電圧変換部と、
ディスチャージ回路と、
を有し、
前記ディスチャージ回路は、
前記電源電圧または前記電源電圧から電圧値が変換された他の電圧によって充電される容量素子と、
前記電圧変換部の停止動作が開始されたのちに前記容量素子の両端電圧によって駆動され、一端が前記電圧変換部と前記駆動回路との間の第1ノードに接続され、他端が定電位線に接続された第2スイッチ素子と、
を含む、撮像装置。
【請求項11】
前記電源電圧が落ちた際、前記少なくとも一つの駆動電源部の前記駆動用直流電圧は、前記複数の駆動電源部のうちの他の駆動電源部の前記駆動用直流電圧よりも早く落ちる、請求項1または10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記電源電圧が落ちた際、前記少なくとも一つの駆動電源部の前記駆動用直流電圧は、該駆動用直流電圧以下の電圧を有する少なくとも一つの前記駆動用直流電圧よりも早く落ちる、請求項1または10に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記複数の駆動電源部のうち少なくとも二つの駆動電源部が前記ディスチャージ回路を有する、請求項1または10に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部が前記ディスチャージ回路を有しない、請求項1または10に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記複数の画素は、前記受光領域に一端が接続され、他端が電荷読出配線に接続された第1スイッチ素子を更に有し、
前記駆動回路は、前記複数の画素の前記第1スイッチ素子を駆動する、請求項1または10に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記第1スイッチ素子は、IGZOまたはアモルファスシリコンを主に含むトランジスタであり、
前記駆動回路は、前記トランジスタの制御端子に駆動電圧を提供することにより前記第1スイッチ素子を駆動する、請求項15に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、放射線検出器を開示する。放射線検出器は、放射線源から照射される放射線に対応する放射線画像の電気信号を生成する。放射線検出器は、受光パネルと、トランジスタと、ドライバと、インターロック機構とを備える。受光パネルは、放射線の受光量に対応する量の電荷を蓄積する。トランジスタは、受光パネルの各画素に対応して設けられ、受光パネルの各画素からの電荷の出力を制御する。ドライバは、各々のトランジスタのオン/オフを制御する駆動信号を生成する。インターロック機構は、駆動信号を生成するためにドライバに供給される複数の制御電圧の状態に基づいて、複数の制御電圧のオン/オフの順序が、あらかじめ設定された順序となるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像装置は、入射した光または放射線を電荷に変換する複数の受光領域と、複数の受光領域に蓄積された電荷をそれぞれ読み出すための複数のスイッチ素子と、を備える。複数のスイッチ素子の動作は、駆動回路によって制御される。駆動回路には、共通の電源電圧から生成された複数の駆動用直流電圧(例えば20V、-10V、および5V)が供給される。
【0005】
撮像装置の電源を落とす際、駆動回路において複数の駆動用直流電圧が落ちる順序が規定されている場合がある。或る例では、まず20Vの駆動用直流電圧を最初に落とし、次に-10Vの駆動用直流電圧を落とし、最後に5Vの駆動用直流電圧を落とすように、順序が規定されている。規定された順序で駆動用直流電圧を落とさない場合、駆動回路において意図しない回路が形成され、駆動用直流電圧用の配線と定電位線(GND線)との間で異常電流が流れ続ける現象(ラッチアップ)が発生し、駆動回路が損傷する虞があるからである。
【0006】
しかしながら、他の駆動用直流電圧よりも早く落ちるべき駆動用直流電圧が、例えば電圧安定化のためのコンデンサの影響などにより、他の駆動用直流電圧よりも早く落ちないことがある。例えばそのような場合に備えて、複数の駆動用直流電圧のうち少なくとも一つの駆動用直流電圧の落ちるタイミングを任意に設定できることが望ましい。本開示は、駆動回路に供給される複数の駆動用直流電圧のうち少なくとも一つの駆動用直流電圧の落ちるタイミングを任意に設定できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本開示による撮像装置は、複数の画素と、電源線と、駆動電源部と、駆動回路と、を備える。複数の画素それぞれは、入射した光または放射線を電気信号に変換する受光領域を有する。電源線は、電源電圧を供給する。複数の駆動電源部それぞれは、電源電圧を駆動用直流電圧に変換する。複数の駆動電源部は、電源線に対して互いに並列に接続される。駆動回路は、各駆動電源部から駆動用直流電圧を供給され、複数の画素の受光領域から電気信号を読み出す。駆動用直流電圧の大きさは駆動電源部毎に異なる。複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部は、電源電圧を第1直流電圧に変換する第1電圧変換部と、第1直流電圧を駆動用直流電圧に変換する第2電圧変換部と、ディスチャージ回路と、を有する。ディスチャージ回路は、容量素子と、第2スイッチ素子と、を含む。容量素子は、電源電圧または電源電圧から電圧値が変換された他の電圧によって充電される。第2スイッチ素子は、第1電圧変換部の停止動作が開始されたのち、容量素子の両端電圧によって駆動される。第2スイッチ素子の一端は第2電圧変換部と駆動回路との間の第1ノードに接続される。第2スイッチ素子の他端は定電位線に接続される。
【0008】
この撮像装置では、複数の画素の受光領域に光または放射線が入射したのち、駆動回路によって、受光領域から電気信号が読み出される。駆動回路には、複数の駆動電源部によって電源電圧から電圧値が変換された複数の駆動用直流電圧が供給される。また、複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部はディスチャージ回路を有する。ディスチャージ回路の容量素子は、撮像装置が上記の動作を行っている間、電源電圧または電源電圧から電圧値が変換された他の電圧によって充電される。そして、電源電圧が落とされると、第1電圧変換部の停止動作が開始され、第1直流電圧が低下する。第1直流電圧が低下すると、第2スイッチ素子が、容量素子の両端電圧によって駆動される。これにより、駆動回路に駆動用直流電圧を供給する配線が第2スイッチ素子を介して定電位線に接続され、電圧安定化のためのコンデンサなどに蓄積された電荷が第2スイッチ素子を介して定電位線へ逃げる。よって、ディスチャージ回路を有する駆動電源部では、駆動用直流電圧の落ちるタイミングが早まる。従って、上記[1]の撮像装置によれば、特定の駆動電源部における駆動用直流電圧が落ちるタイミングを早めるといったように、少なくとも一つの駆動用直流電圧の落ちるタイミングを任意に設定することができる。加えて、駆動電源部が第2電圧変換部を備えることによって、第2スイッチ素子の駆動タイミングを制御する電圧(第1直流電圧)の大きさによらずに、駆動用直流電圧の大きさを任意に設定することができる。
【0009】
[2]上記[1]の撮像装置において、第1電圧変換部はスイッチングレギュレータを含み、第2電圧変換部はリニアレギュレータを含んでもよい。その場合、第1電圧変換部において電源電圧を第1直流電圧へ効率良く変換するとともに、第2電圧変換部において第1直流電圧から低ノイズの駆動用直流電圧を生成することができる。
【0010】
[3]上記[2]の撮像装置において、リニアレギュレータは低ドロップアウトレギュレータであってもよい。その場合、第1直流電圧を駆動用直流電圧に近づけて、第2電圧変換部における電力損失を低減することができる。
【0011】
[4]上記[1]~[3]のいずれか一つの撮像装置において、ディスチャージ回路は、第1回路部分を含んでもよい。第1回路部分は、第1電圧変換部の停止動作が開始されたのち、容量素子の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子の制御端子に印加する。また、第1回路部分は、第1電圧変換部の停止動作の開始前には、第2スイッチ素子の制御端子に容量素子の両端電圧に基づく電圧を印加しない。このような第1回路部分をディスチャージ回路が含むことによって、第1電圧変換部の停止動作が開始されたとき、第2スイッチ素子を自動的に駆動させることができる。
【0012】
[5]上記[1]~[4]のいずれか一つの撮像装置において、ディスチャージ回路は、第3スイッチ素子と、抵抗と、を更に含んでもよい。第3スイッチ素子の一端は、容量素子と第2スイッチ素子の制御端子との間の第2ノードに接続される。第3スイッチ素子の他端は定電位線に接続される。第3スイッチ素子は、第1直流電圧によって駆動される。抵抗は、第2ノードと第2スイッチ素子の制御端子との間に介在する。このような第3スイッチ素子および抵抗をディスチャージ回路が含むことによって、第1電圧変換部の停止動作が開始されたとき、第2スイッチ素子を自動的に駆動させることができる。
【0013】
[6]上記[1]~[5]のいずれか一つの撮像装置において、上記少なくとも一つの駆動電源部は第3電圧変換部を更に備えてもよい。そして、上記他の電圧は、第3電圧変換部によって電源電圧から変換された電圧であってもよい。その場合、容量素子を充電するための電圧の大きさの自由度を高めることができる。また、例えば電源線と容量素子との間にダイオードを設ける場合と比較して、負電圧でも容量素子を充電できるといった利点がある。また、他の回路でレギュレータを用いている場合、そのレギュレータを第3電圧変換部として利用することで回路規模を抑えることができる。
【0014】
[7]上記[1]~[6]のいずれか一つの撮像装置において、第1電圧変換部は、電源電圧を入力する端子とは別に、第1電圧変換部の動作のオン/オフを制御するためのイネーブル端子を有してもよい。そして、電源電圧が分圧されてなる電圧がイネーブル端子に入力されてもよい。その場合、電源電圧が落とされたときに第1直流電圧をより早く落とすことができ、その結果、駆動用直流電圧の落ちるタイミングをより早めることができる。
【0015】
[8]上記[1]~[5]のいずれか一つの撮像装置において、上記他の電圧は駆動用直流電圧であってもよい。その場合、上記他の電圧を生成するための電圧変換部を別途設ける必要がないので、回路規模を小さくすることができる。
【0016】
[9]上記[8]の撮像装置において、ディスチャージ回路は、第2電圧変換部と駆動回路との間の第3ノードと容量素子との間に介在して容量素子から第3ノードへの電荷の逆流を防ぐ逆流防止回路を更に含んでもよい。その場合、容量素子の両端電圧を、駆動用直流電圧が落ちるのに十分な時間維持することができる。
【0017】
[10]上記[8]または[9]の撮像装置において、ディスチャージ回路は、第3スイッチ素子と、抵抗と、を更に含んでもよい。第3スイッチ素子の一端は、容量素子と第2スイッチ素子の制御端子との間の第2ノードに接続される。第3スイッチ素子の他端は定電位線に接続される。抵抗は、第2ノードと第2スイッチ素子の制御端子との間に介在する。第3スイッチ素子は、第1直流電圧が分圧されてなる電圧によって駆動される。このような第3スイッチ素子および抵抗をディスチャージ回路が含むことによって、第1電圧変換部の停止動作が開始されたとき、第2スイッチ素子を自動的に駆動させることができる。また、第1直流電圧が分圧されてなる電圧によって第3スイッチ素子が駆動されることにより、第1直流電圧が低下した際に第3スイッチ素子がオフとなるタイミングを早め、第2スイッチ素子の駆動開始タイミングを早めることができる。
【0018】
[11]本開示による別の撮像装置は、複数の画素と、電源線と、駆動電源部と、駆動回路と、を備える。複数の画素それぞれは、入射した光または放射線を電気信号に変換する受光領域を有する。電源線は、電源電圧を供給する。複数の駆動電源部それぞれは、電源電圧を駆動用直流電圧に変換する。複数の駆動電源部は、電源線に対して互いに並列に接続される。駆動回路は、各駆動電源部から駆動用直流電圧を供給され、複数の画素の受光領域から電気信号を読み出す。駆動用直流電圧の大きさは駆動電源部毎に異なる。複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部は、電源電圧を駆動用直流電圧に変換する電圧変換部と、ディスチャージ回路と、を有する。ディスチャージ回路は、容量素子と、第2スイッチ素子と、を含む。容量素子は、電源電圧または電源電圧から電圧値が変換された他の電圧によって充電される。第2スイッチ素子は、電圧変換部の停止動作が開始されたのち、容量素子の両端電圧によって駆動される。第2スイッチ素子の一端は電圧変換部と駆動回路との間の第1ノードに接続される。第2スイッチ素子の他端は定電位線に接続される。
【0019】
この撮像装置では、複数の画素の受光領域に光または放射線が入射したのち、駆動回路によって、受光領域から電気信号が読み出される。駆動回路には、複数の駆動電源部によって電源電圧から変換された複数の駆動用直流電圧が供給される。また、複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部はディスチャージ回路を有する。ディスチャージ回路の容量素子は、撮像装置が上記の動作を行っている間、電源電圧または電源電圧から変換された他の電圧によって充電される。そして、電源電圧が落とされると、電圧変換部の停止動作が開始され、駆動用直流電圧が低下する。駆動用直流電圧が低下すると、第2スイッチ素子が、容量素子の両端電圧によって駆動される。これにより、駆動回路に駆動用直流電圧を供給する配線が第2スイッチ素子を介して定電位線に接続され、電圧安定化のためのコンデンサなどに蓄積された電荷が第2スイッチ素子を介して定電位線へ逃げる。よって、ディスチャージ回路を有する駆動電源部では、駆動用直流電圧の落ちるタイミングが早まる。従って、上記[11]の撮像装置によれば、特定の駆動電源部における駆動用直流電圧が落ちるタイミングを早めるといったように、少なくとも一つの駆動用直流電圧の落ちるタイミングを任意に設定することができる。
【0020】
[12]上記[1]~[11]のいずれか一つの撮像装置において、電源電圧が落ちた際、上記少なくとも一つの駆動電源部の駆動用直流電圧は、複数の駆動電源部のうちの他の駆動電源部の駆動用直流電圧より早く落ちてもよい。このように、上記いずれかの撮像装置によれば、複数の駆動用直流電圧の落ちる順序を容易に設定することができる。
【0021】
[13]上記[1]~[12]のいずれか一つの撮像装置において、電源電圧が落ちた際、少なくとも一つの駆動電源部の駆動用直流電圧は、該駆動用直流電圧以下の電圧を有する少なくとも一つの駆動用直流電圧よりも早く落ちてもよい。このように、高い駆動用直流電圧がより早く落ちることによって、後段の駆動用直流電圧も早く落ちることができる。
【0022】
[14]上記[1]~[13]のいずれか一つの撮像装置において、複数の駆動電源部のうち少なくとも二つの駆動電源部がディスチャージ回路を有してもよい。その場合、少なくとも二つの駆動電源部において駆動用直流電圧が落ちるタイミングが早まるので、少なくとも一つの駆動用直流電圧の落ちるタイミングを容易に設定することができる。
【0023】
[15]上記[1]~[14]のいずれか一つの撮像装置において、複数の駆動電源部のうち少なくとも一つの駆動電源部がディスチャージ回路を有さなくてもよい。駆動用直流電圧が落ちるタイミングが遅くてもよい駆動電源部は、ディスチャージ回路を有さないことによって、回路構成を簡素化することができる。
【0024】
[16]上記[1]~[15]のいずれか一つの撮像装置において、複数の画素は、受光領域に一端が接続され、他端が電荷読出配線に接続された第1スイッチ素子を更に有し、駆動回路は、複数の画素の第1スイッチ素子を駆動してもよい。この場合、第1スイッチ素子を駆動する回路に供給される複数の駆動用直流電圧の落ちる順序を適切に設定することができる。よって、電源電圧が落とされた後に複数の画素の受光領域に電荷が残存することを防ぐことができる。
【0025】
[17]上記[16]の撮像装置において、第1スイッチ素子は、IGZOまたはアモルファスシリコンを主に含むトランジスタであり、駆動回路は、トランジスタの制御端子に駆動電圧を提供することにより第1スイッチ素子を駆動してもよい。トランジスタがIGZOまたはアモルファスシリコンを主に含む場合、トランジスタの抵抗が大きいので、複数の駆動用直流電圧の落ちる順序が規定と相違すると、ゲート端子に電荷が残存してしまう。上記[15]の撮像装置によれば、トランジスタがIGZOまたはアモルファスシリコンを主に含む場合であっても、複数の駆動用直流電圧の落ちる順序を規定どおりに設定することが容易であり、ゲート端子への電荷の残存を低減することができる。加えて、トランジスタのゲート端子に残存した電荷をディスチャージ回路が排出するので、駆動用直流電圧が落ちるタイミングを効果的に早めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、駆動回路に供給される複数の駆動用直流電圧のうち少なくとも一つの駆動用直流電圧の落ちるタイミングを任意に設定することができる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態である撮像装置の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、複数の駆動用直流電圧を駆動回路に供給するための回路構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一つの駆動電源部の回路構成を示す図である。
【
図4】
図4は、変形例に係る駆動電源部の回路構成を示す図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る駆動電源部の回路構成を示す図である。
【
図6】
図6の(a),(b)および(c)は、駆動用直流電圧の時間波形および電源電圧の時間波形を示すグラフである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る駆動電源部の回路構成を示す図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る駆動電源部の回路構成を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る駆動電源部の回路構成を示す図である。
【
図10】
図10の(a),(b)および(c)は、駆動用直流電圧の時間波形および電源電圧の時間波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら本開示による撮像装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1実施形態である撮像装置1の構成を概略的に示す図である。
図1に示されるように、本実施形態の撮像装置1は、複数の画素10と、複数の電荷読出配線13と、読み出し回路14と、複数のゲート配線15と、ゲートドライバ20(駆動回路)と、を備える。
【0030】
複数の画素10は、複数行および複数列にわたって二次元状に配列されている。各画素10は、受光領域11と、第1スイッチ素子12とを有する。受光領域11は、入射した光または放射線を電気信号(電荷)に変換する。受光領域11は、例えばシリコン,a-Si,CdTe等の直接変換材料といった半導体によって構成されている。第1スイッチ素子12は、例えばトランジスタである。第1スイッチ素子12の一端(例えばトランジスタの一方の電流端子)は、受光領域11に接続されている。一方の電流端子は、ドレインまたはソースである。第1スイッチ素子12がトランジスタである場合、そのトランジスタを構成する半導体は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)から構成されるIGZO、またはアモルファスシリコンを主に含む。第1スイッチ素子12は、例えば薄膜トランジスタである。
【0031】
電荷読出配線13は、複数の画素10の列毎に設けられた導電体である。各電荷読出配線13は、対応する列の第1スイッチ素子12の他端(例えばトランジスタの他方の電流端子)と接続されている。他方の電流端子は、ソースまたはドレインである。電荷読出配線13は、対応する列の受光領域11から、第1スイッチ素子12を通じて電荷を読み出す。
【0032】
読み出し回路14は、複数の画素10の受光領域11から電気信号を読み出す回路部分である。読み出し回路14は、複数の増幅回路141を有する。増幅回路141は、複数の画素10の列毎に設けられている。増幅回路141は、対応する列の電荷読出配線13の末端に接続され、電荷読出配線13を介して受けた電荷の量に応じた電圧信号を生成する。増幅回路141は、例えばチャージアンプである。読み出し回路14は、複数の増幅回路141から出力された電圧信号を、撮像装置1の外部へ順次出力する。
【0033】
ゲート配線15は、複数の画素10の行毎に設けられた導電体である。各ゲート配線15は、対応する行の第1スイッチ素子12の制御端子(例えばトランジスタのゲート)と接続されている。ゲート配線15の一端は、ゲートドライバ20と接続されている。各ゲート配線15には、ゲートドライバ20から、対応する行の第1スイッチ素子12を駆動(ターンオン)するための駆動電圧Vdが供給される。駆動電圧Vdは、例えばハイレベルが20V、ローレベルが-10Vの二値信号である。駆動電圧Vdは、一つのゲート配線15ずつ順次ハイレベルとされる。
【0034】
ゲートドライバ20は、複数の画素10の受光領域11から電気信号を読み出す回路部分である。ゲートドライバ20は、複数のゲート配線15に対して駆動電圧Vdを提供することにより、複数の画素10の第1スイッチ素子12を駆動する。ゲートドライバ20は、レベルシフタ21と、複数のシフトレジスタ22とを有する。シフトレジスタ22は行毎に設けられ、複数のシフトレジスタ22は互いに直列に接続されている。各シフトレジスタ22は、対応する行の駆動信号Sdを出力する。駆動信号Sdは、例えばハイレベルが5V、ローレベルが0V(基準電位)の二値信号である。複数のシフトレジスタ22は、駆動用直流電圧VCC(例えば5V)を電源電圧として受け、その駆動用直流電圧VCCによって動作する。駆動用直流電圧VCCの大きさは時間的に一定である。
【0035】
レベルシフタ21は、複数のシフトレジスタ22から駆動信号Sdを受け、駆動信号Sdを駆動電圧Vdに変換する。レベルシフタ21は、駆動用直流電圧VCCと異なる大きさの駆動用直流電圧VGG(例えば20V)、および駆動用直流電圧VCC,VGGと異なる大きさの駆動用直流電圧VEE(例えば-10V)を電源電圧として受け、それらの駆動用直流電圧VGG,VEEによって動作する。駆動用直流電圧VGG,VEEの大きさは時間的に一定である。
【0036】
図2は、駆動用直流電圧VCC,VGGおよびVEEをゲートドライバ20に供給するための回路構成を示すブロック図である。撮像装置1は、上述した構成に加えて、電源線91と、駆動電源部30Aと、駆動電源部30Bと、駆動電源部30Cと、を更に備える。電源線91は、撮像装置1の外部から入力された電源電圧SVを供給する。電源電圧SVは例えば24Vである。駆動電源部30A、30Bおよび30Cは、電源線91に対して互いに並列に接続されている。
【0037】
駆動電源部30Aは、電源電圧SVを駆動用直流電圧VCCに変換し、駆動用直流電圧VCCをゲートドライバ20に供給する。駆動電源部30Aは、電圧変換部35を有する。電圧変換部35は、例えばスイッチングレギュレータを含み、電源電圧SVを駆動用直流電圧VCCに高効率で変換する。
【0038】
駆動電源部30Bは、電源電圧SVを駆動用直流電圧VEEに変換し、駆動用直流電圧VEEをゲートドライバ20に供給する。駆動電源部30Bは、第1電圧変換部31および第2電圧変換部32を有する。駆動電源部30Bの第1電圧変換部31は、例えばスイッチングレギュレータを含み、電源電圧SVを第1直流電圧V11に高効率で変換する。第1直流電圧V11の大きさは時間的に一定である。第1直流電圧V11の絶対値は、電源電圧SVの絶対値よりも小さく、駆動用直流電圧VEEの絶対値よりも大きい。第1直流電圧V11は例えば-12Vである。駆動電源部30Bの第2電圧変換部32は、例えばリニアレギュレータを含み、第1直流電圧V11を駆動用直流電圧VEEに低ノイズで変換する。一実施例では、駆動電源部30Bの第2電圧変換部32は低ドロップアウトレギュレータ(LDO)である。
【0039】
駆動電源部30Cは、電源電圧SVを駆動用直流電圧VGGに変換し、駆動用直流電圧VGGをゲートドライバ20に供給する。駆動電源部30Cは、第1電圧変換部31および第2電圧変換部32を有する。駆動電源部30Cの第1電圧変換部31は、例えばスイッチングレギュレータを含み、電源電圧SVを第1直流電圧V21に高効率で変換する。第1直流電圧V21の大きさは時間的に一定である。第1直流電圧V21の絶対値は、電源電圧SVの絶対値よりも小さく、駆動用直流電圧VGGの絶対値よりも大きい。第1直流電圧V21は例えば22Vである。駆動電源部30Cの第2電圧変換部32は、例えばリニアレギュレータを含み、第1直流電圧V21を駆動用直流電圧VGGに低ノイズで変換する。一実施例では、駆動電源部30Cの第2電圧変換部32はLDOである。
【0040】
駆動電源部30Aとゲートドライバ20との間のノードと、基準電位線92(定電位線)との間には、電圧安定化のためのバイパスコンデンサ81が接続されている。同様に、駆動電源部30B,30Cにもバイパスコンデンサ81が設けられている。基準電位線92の電位は、例えば0Vである。
【0041】
図3は、駆動電源部30Cの回路構成を示す図である。
図3に示されるように、駆動電源部30Cは、第1電圧変換部31および第2電圧変換部32に加えて、第3電圧変換部33、ディスチャージ回路40Aおよび分圧回路50を有する。なお、
図2に示された駆動電源部30A,30Bは、第3電圧変換部33およびディスチャージ回路40Aを有さない。駆動電源部30A,30Bは、分圧回路50を有してもよい。
【0042】
図3を参照して、第1電圧変換部31は、電圧入力端子31a、イネーブル端子31bおよび電圧出力端子31cを有する。同様に、第2電圧変換部32は、電圧入力端子32a、イネーブル端子32bおよび電圧出力端子32cを有する。第1電圧変換部31の電圧入力端子31aは、電源線91と接続されており、電源線91から電源電圧SVを受ける。第1電圧変換部31の電圧出力端子31cは、第2電圧変換部32の電圧入力端子32aと接続されている。電圧出力端子31cから出力された第1直流電圧V21は、電圧入力端子32aに入力される。第2電圧変換部32の電圧出力端子32cはゲートドライバ20と接続されており、電圧出力端子32cは駆動用直流電圧VGGをゲートドライバ20へ出力する。第1電圧変換部31のイネーブル端子31bは、電圧入力端子31aおよび電圧出力端子31cとは別に設けられた、第1電圧変換部31の動作のオン/オフを制御するための端子である。同様に、第2電圧変換部32のイネーブル端子32bは、電圧入力端子32aおよび電圧出力端子32cとは別に設けられた、第2電圧変換部32の動作のオン/オフを制御するための端子である。
【0043】
分圧回路50は、電源電圧SVを分圧して制御電圧V23を生成する。具体的には、分圧回路50は、電源線91と基準電位線92との間において互いに直列に接続された抵抗51および抵抗52を有する。抵抗51と抵抗52との間のノードには、抵抗51と抵抗52との抵抗値の比に応じて分圧された制御電圧V23が生じる。抵抗51と抵抗52との間のノードは第1電圧変換部31のイネーブル端子31bに接続されており、制御電圧V23はイネーブル端子31bに入力される。第2電圧変換部32のイネーブル端子32bは、第1電圧変換部31の電圧出力端子31cと接続されている。
【0044】
第3電圧変換部33は、電圧入力端子33aおよび電圧出力端子33cを有する。電圧入力端子33aは、電源線91と接続されている。電圧入力端子33aには、電源線91から電源電圧SVが入力される。第3電圧変換部33は、例えばスイッチングレギュレータを含み、電源電圧SVを第2直流電圧V22に高効率で変換する。第2直流電圧V22の大きさは時間的に一定である。第2直流電圧V22の絶対値は、駆動用直流電圧VGGの絶対値よりも小さい。第2直流電圧V22は、例えば5Vである。第2直流電圧V22は、電圧出力端子33cから出力される。
【0045】
ディスチャージ回路40Aは、撮像装置1の動作終了などにより駆動用直流電圧VGGが落とされる際に、バイパスコンデンサ81などに蓄積された電荷を基準電位線92へ逃がすために設けられている。駆動電源部30Cがディスチャージ回路40Aを有することによって、例えば撮像装置1が動作を終了するときなどに電源電圧SVが落とされた際、駆動用直流電圧VGGは、駆動用直流電圧VCC,VEEよりも早く落ちる。本実施形態のディスチャージ回路40Aは、容量素子41と、第2スイッチ素子42と、抵抗473と、第1回路部分401と、を有する。
【0046】
容量素子41は、電源電圧SVまたは電源電圧SVから変換された他の電圧によって充電されるように構成される。一例では、容量素子41は、第3電圧変換部33から出力される第2直流電圧V22によって充電されるように構成される。具体的には、容量素子41の一方の電極は、第3電圧変換部33の電圧出力端子33cと接続されている。容量素子41の他方の電極は、基準電位線92と接続されている。容量素子41の容量値は、例えば1mF~50mFの範囲内である。容量素子41の種類は、例えば電気二重層コンデンサまたはタンタルコンデンサである。なお、容量素子41が電源電圧SVによって充電される場合、ディスチャージ回路40Aは第3電圧変換部33を有さなくてもよい。
【0047】
第2スイッチ素子42は、例えばトランジスタである。図示例では、第2スイッチ素子42はNPNトランジスタである。第2スイッチ素子42の一端(第2スイッチ素子42がトランジスタである場合、一方の電流端子)は、第2電圧変換部32とゲートドライバ20との間の第1ノードN1に、抵抗473を介して接続されている。第2スイッチ素子42の他端(第2スイッチ素子42がトランジスタである場合、他方の電流端子)は、基準電位線92に接続されている。第2スイッチ素子42の制御端子は、抵抗471及び472を介して第3電圧変換部33の電圧出力端子33cと接続されている。抵抗471及び472は、第2スイッチ素子42の制御端子と第3電圧変換部33の電圧出力端子33cとの間において互いに直列に接続されている。
【0048】
第1回路部分401は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのちに、容量素子41の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子42の制御端子に印加するように構成されている。容量素子41の両端電圧に基づく電圧には、容量素子41の両端電圧そのものも含まれる。また、第1回路部分401は、第1電圧変換部31が動作している間、すなわち第1電圧変換部31の停止動作の開始前には、第2スイッチ素子42の制御端子に容量素子41の両端電圧に基づく電圧を印加しないように構成されている。
【0049】
具体的には、第1回路部分401は、第3スイッチ素子43並びに抵抗471、472および474を含む。第3スイッチ素子43は、例えばトランジスタである。図示例では、第3スイッチ素子43はNPNトランジスタである。第3スイッチ素子43の一端(第3スイッチ素子43がトランジスタである場合、一方の電流端子)は、容量素子41の一方の電極と第2スイッチ素子42の制御端子との間(例えば、抵抗471と抵抗472との間)の第2ノードN2に接続されている。第2ノードN2が抵抗471と抵抗472との間のノードである場合、第2ノードN2と第2スイッチ素子42の制御端子との間には、抵抗471が介在する。第3スイッチ素子43の他端(第3スイッチ素子43がトランジスタである場合、他方の電流端子)は、基準電位線92に接続されている。第3スイッチ素子43の制御端子は、抵抗474を介して第1電圧変換部31の電圧出力端子31cと接続されている。これにより、第1電圧変換部31が動作している間、第3スイッチ素子43は第1直流電圧V21に基づく電圧(第1直流電圧V21そのものであってもよい)によって駆動され、第3スイッチ素子43の一端と他端とが導通状態となる。これにより、第2ノードN2の電位が基準電位線92の電位に近くなり、容量素子41の両端電圧に基づく電圧は第2スイッチ素子42の制御端子に印加されない。
【0050】
一方、第1直流電圧V21が低下すると、第3スイッチ素子43は駆動されなくなり、第3スイッチ素子43の一端と他端とは非導通状態となる。また、このとき、第2直流電圧V22もまた低下するので、第2ノードN2の電位は、容量素子41の両端電圧の電位に近くなる。従って、容量素子41の両端電圧に基づく電圧が第2スイッチ素子42の制御端子に印加される。よって、第2スイッチ素子42は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのち、容量素子41の両端電圧によって駆動される。
【0051】
以上の構成を備える撮像装置1の動作および効果について説明する。この撮像装置1では、複数の画素10の受光領域11に光または放射線が入射すると、受光領域11に電荷が蓄積される。その電荷は、ゲートドライバ20によって制御された第1スイッチ素子12を通じて電荷読出配線13へ読み出される。ゲートドライバ20には、駆動電源部30A,30Bおよび30Cそれぞれによって電源電圧SVから変換された駆動用直流電圧VCC,VEE,VGGそれぞれが供給される。
【0052】
駆動電源部30Cでは、電源電圧SVが電源線91から供給される間、第1電圧変換部31から第1直流電圧V21が出力され、第3電圧変換部33から第2直流電圧V22が出力される。その間、容量素子41は第2直流電圧V22(または電源電圧SVでもよい)によって充電される。また、第2電圧変換部32から駆動用直流電圧VGGが出力され、駆動用直流電圧VGGがゲートドライバ20のレベルシフタ21(
図1を参照)に供給される。このとき、上述したように、第1回路部分401において、第3スイッチ素子43が第1直流電圧V21に基づく電圧により駆動されるので、第2ノードN2の電位は基準電位線92の電位に近くなり、第2スイッチ素子42は駆動されない。
【0053】
その後、撮像装置1の動作終了などにより電源電圧SVが落とされると、第1電圧変換部31および第3電圧変換部33の停止動作が開始され、第1直流電圧V21および第2直流電圧V22が低下する。そして、第1直流電圧V21が低下することにより、第2電圧変換部32の停止動作が開始される。このとき、上述したように、第1回路部分401において、第3スイッチ素子43が駆動されなくなるので、第2ノードN2の電位は、容量素子41の両端電圧によって規定される電位に近くなる。よって、第2スイッチ素子42は、容量素子41の両端電圧により駆動される。
【0054】
第2スイッチ素子42が駆動されると、ゲートドライバ20に駆動用直流電圧VGGを供給する配線の第1ノードN1が第2スイッチ素子42を介して基準電位線92に接続される。バイパスコンデンサ81に蓄積された電荷、及びゲートドライバ20の回路要素に蓄積された電荷など、ゲートドライバ20に駆動用直流電圧VGGを供給する配線上に蓄積された電荷は、このとき基準電位線92へ逃げる。よって、ディスチャージ回路40Aを有する駆動電源部30Cでは、ディスチャージ回路40Aを有しない他の駆動電源部30A,30Bと比べて、駆動用直流電圧の落ちるタイミングが早まる。従って、本実施形態の撮像装置1によれば、特定の駆動電源部30Cにおける駆動用直流電圧VGGが落ちるタイミングを早めるといったように、駆動用直流電圧VGGの落ちるタイミングを任意に設定することができる。
【0055】
上述したように、第1電圧変換部31はスイッチングレギュレータを含み、第2電圧変換部32はリニアレギュレータを含んでもよい。その場合、第1電圧変換部31において電源電圧SVを第1直流電圧V11,V21へ効率良く変換するとともに、第2電圧変換部32において第1直流電圧V11,V21から低ノイズの駆動用直流電圧VEE,VGGを生成することができる。
【0056】
上述したように、リニアレギュレータは低ドロップアウトレギュレータであってもよい。その場合、第1直流電圧V11,V21を駆動用直流電圧VEE,VGGに近づけて、第2電圧変換部32における電力損失を低減することができる。
【0057】
上述したように、ディスチャージ回路40Aは、第1回路部分401を含んでもよい。第1回路部分401は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのち、容量素子41の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子42の制御端子に印加する。また、第1回路部分401は、第1電圧変換部31が動作している間、すなわち第1電圧変換部31の停止動作の開始前には、容量素子41の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子42の制御端子に印加しない。このような第1回路部分401をディスチャージ回路40Aが含むことによって、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたとき、第2スイッチ素子42を自動的に駆動させることができる。
【0058】
上述したように、ディスチャージ回路40Aは、第3スイッチ素子43と、抵抗471と、を更に含んでもよい。第3スイッチ素子43の一端は、容量素子41と第2スイッチ素子42の制御端子との間の第2ノードN2に接続される。第3スイッチ素子43の他端は基準電位線92に接続される。第3スイッチ素子43は、第1直流電圧V21に基づく電圧(本実施形態では第1直流電圧V21そのもの)によって駆動される。抵抗471は、第2ノードN2と第2スイッチ素子42の制御端子との間に介在する。このような第3スイッチ素子43および抵抗471をディスチャージ回路40Aが含むことによって、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたとき、第2スイッチ素子42を自動的に駆動させることができる。その際、抵抗471は、第3スイッチ素子43が駆動されてオン状態となっているときに、第2スイッチ素子42の制御端子に電流が流れることを防ぐ。また、他の抵抗472,473および474は、第3スイッチ素子43の保護のために電流の大きさを制限する。なお、第3スイッチ素子43は、第1直流電圧V21に基づく電圧に代えて、電源電圧SVまたは電源電圧SVに基づく電圧によって駆動されてもよい。その場合であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0059】
上述したように、駆動電源部30Cは第3電圧変換部33を備えてもよい。そして、容量素子41を充電する電圧は、第3電圧変換部33によって電源電圧SVから変換された第2直流電圧V22であってもよい。その場合、容量素子41を充電するための電圧の大きさの自由度を高めることができる。
【0060】
上述したように、第1電圧変換部31は、電源電圧SVを入力する電圧入力端子31aとは別に、第1電圧変換部31の動作のオン/オフを制御するためのイネーブル端子31bを有してもよい。そして、電源電圧SVが分圧されてなる制御電圧V23がイネーブル端子31bに入力されてもよい。その場合、電源電圧SVが落とされたときに、より早く第1電圧変換部31の停止動作を開始することができ、第1直流電圧V21をより早く低下させることができるので、その結果、駆動用直流電圧VGGの落ちるタイミングをより早めることができる。また、本実施形態では、第3電圧変換部33には電源電圧SVが分圧されてなる制御電圧は入力されない。これにより、第2直流電圧V22が低下するタイミングは、第1直流電圧V21が低下するタイミングよりも遅くなる。よって、第1直流電圧V21が低下してから暫くの間は第3スイッチ素子43を第2直流電圧V22によって駆動することができ、容量素子41の容量値を小さくすることができる。
【0061】
本実施形態のように、複数の画素10は、受光領域11に一端が接続され、他端が電荷読出配線13に接続された第1スイッチ素子12を有し、ゲートドライバ20は、複数の画素10の第1スイッチ素子12を駆動してもよい。この場合、第1スイッチ素子12を駆動する回路(ゲートドライバ20)に供給される複数の駆動用直流電圧VCC,VEEおよびVGGの落ちる順序を適切に設定することができる。よって、電源電圧SVが落とされた後に複数の画素10の受光領域11に電荷が残存することを防ぐことができる。
【0062】
上述したように、第1スイッチ素子12は、IGZOまたはアモルファスシリコンを主に含むトランジスタであり、ゲートドライバ20は、そのトランジスタの制御端子に駆動電圧Vdを提供することにより第1スイッチ素子12を駆動してもよい。トランジスタがIGZOまたはアモルファスシリコンを主に含む場合、トランジスタの抵抗が大きいので、複数の駆動用直流電圧VCC,VEEおよびVGGの落ちる順序が規定と相違すると、ゲート端子に電荷が残存してしまう。本実施形態の撮像装置1によれば、第1スイッチ素子12であるトランジスタがIGZOまたはアモルファスシリコンを主に含む場合であっても、駆動用直流電圧VCC,VEEおよびVGGの落ちる順序を規定どおりに設定することが容易であり、ゲート端子への電荷の残存を低減することができる。加えて、トランジスタのゲート端子に残存した電荷を駆動電源部30Cのディスチャージ回路40Aが排出するので、駆動用直流電圧VGGが落ちるタイミングを効果的に早めることができる。
【0063】
上述したように、電源電圧SVが落ちた際、駆動電源部30Cの駆動用直流電圧VGGは、他の駆動電源部30A,30Bの駆動用直流電圧VCC,VEEより早く落ちてもよい。これにより、駆動用直流電圧VCC,VEEに対する駆動用直流電圧VGGの落ちる順序を容易に設定することができる。また、本実施形態のように、電源電圧SVが落ちた際、駆動電源部30Cの駆動用直流電圧VGGは、該駆動用直流電圧VGG以下の電圧を有する駆動用直流電圧VCC,VEEよりも早く落ちてもよい。
【0064】
上述したように、駆動電源部30A,30Bおよび30Cのうち少なくとも一つの駆動電源部(本実施形態では駆動電源部30A,30B)がディスチャージ回路40Aを有さなくてもよい。駆動用直流電圧が落ちるタイミングが遅くてもよい駆動電源部は、ディスチャージ回路40Aを有さないことによって、回路構成を簡素化することができる。
【0065】
[第1変形例]
第1実施形態では駆動電源部30Cのみがディスチャージ回路40Aを有しているが、駆動電源部30Bもまた、ディスチャージ回路を有してもよい。
図4は、そのような場合の駆動電源部30Bの回路構成を示す図である。駆動電源部30Bは、ディスチャージ回路40Bを有する。
【0066】
駆動電源部30Bから出力される駆動用直流電圧VEEは負電圧(例えば-10V)である。従って、駆動電源部30Bの第3電圧変換部33から出力される第2直流電圧V12もまた負電圧である。第2直流電圧V12の大きさは時間的に一定である。第2直流電圧V12の絶対値は、駆動用直流電圧VEEの絶対値よりも小さい。第2直流電圧V12は、例えば-5Vである。本変形例では、容量素子41は第2直流電圧V12によって充電される。
【0067】
また、ディスチャージ回路40Bにおいて、第2スイッチ素子42および第3スイッチ素子43がトランジスタである場合、第1直流電圧V11および駆動用直流電圧VEEが負電圧であることから、それらのトランジスタは、駆動電源部30Cのディスチャージ回路40Aと異なりPNPトランジスタである。なお、トランジスタの種類を除いて、ディスチャージ回路40Bの構成はディスチャージ回路40Aの構成と同様である。
【0068】
第1実施形態では駆動電源部30A,30Bおよび30Cのうち一つの駆動電源部(駆動電源部30C)のみがディスチャージ回路40Aを有しているが、本変形例のように、駆動電源部30A,30Bおよび30Cのうち少なくとも二つ(例えば駆動電源部30B,30C)がディスチャージ回路を有してもよい。その場合、少なくとも二つの駆動電源部において駆動用直流電圧が落ちるタイミングが早まり、少なくとも二つの駆動用直流電圧(例えば駆動用直流電圧VEEおよびVGG)の落ちるタイミングを容易に設定することができる。
【0069】
なお、ゲートドライバ20の回路構成によっては、負の駆動用直流電圧を最も早く落とすように規定さている場合がある。その場合、負の駆動用直流電圧を出力する駆動電源部のみがディスチャージ回路を有してもよい。
【0070】
[第2変形例]
第1実施形態の駆動電源部30B,30Cは二つの電圧変換部(第1電圧変換部31および第2電圧変換部32)を有しているが、駆動電源部30B,30Cは、一つの電圧変換部(第1電圧変換部31)のみを有してもよい。
図5は、駆動電源部30Cの変形例として、そのような構成を有する駆動電源部30CAの回路構成を示す図である。駆動電源部30CAでは、第1電圧変換部31は、例えばスイッチングレギュレータを含み、電源電圧SVを駆動用直流電圧VGGに高効率で変換する。
【0071】
駆動電源部30CAは、第1実施形態のディスチャージ回路40Aに代えて、ディスチャージ回路40Cを有する。本変形例のディスチャージ回路40Cは、下記の点で第1実施形態のディスチャージ回路40Aと相違し、他の点でディスチャージ回路40Aと一致する。本変形例のディスチャージ回路40Cは、第1実施形態の第1回路部分401に代えて、第1回路部分402を有する。第1回路部分402は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのちに容量素子41の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子42の制御端子に印加するように構成されている。また、第1回路部分402は、第1電圧変換部31が動作している間、すなわち第1電圧変換部31の停止動作の開始前には、第2スイッチ素子42の制御端子に容量素子41の両端電圧に基づく電圧を印加しないように構成されている。
【0072】
具体的には、第3スイッチ素子43の制御端子は、抵抗474を介して第1電圧変換部31の電圧出力端子31cと接続されている。そして、電源電圧SVが供給されている間、第3スイッチ素子43の制御端子には駆動用直流電圧VGGに基づく電圧が印加される。駆動用直流電圧VGGに基づく電圧には、駆動用直流電圧VGGそのものも含まれる。
【0073】
また、本変形例の第1回路部分402は、抵抗475を更に有してもよい。抵抗475は、第3スイッチ素子43の制御端子と抵抗474との間のノードと、基準電位線92との間に介在する。その場合、第3スイッチ素子43は、駆動用直流電圧VGGが分圧されてなる電圧V24によって駆動される。電圧V24の大きさは、抵抗474と抵抗475との比によって決定される。抵抗474および抵抗475は、分圧回路48を構成する。
【0074】
第1電圧変換部31が動作している間、第3スイッチ素子43は駆動用直流電圧VGGに基づく電圧(駆動用直流電圧VGGそのものであってもよい)によって駆動され、第3スイッチ素子43の一端と他端とが導通状態となる。これにより、第2ノードN2の電位が基準電位線92の電位に近くなり、容量素子41の両端電圧に基づく電圧は第2スイッチ素子42の制御端子に印加されない。
【0075】
一方、第1電圧変換部31の停止動作が開始されると、駆動用直流電圧VGGが低下し、第3スイッチ素子43は駆動されなくなり、第3スイッチ素子43の一端と他端とは非導通状態となる。また、このとき、第2直流電圧V22もまた低下するので、第2ノードN2の電位は、容量素子41の両端電圧の電位に近くなる。従って、容量素子41の両端電圧に基づく電圧(両端電圧そのものであってもよい)が第2スイッチ素子42の制御端子に印加される。よって、第2スイッチ素子42は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのち、容量素子41の両端電圧によって駆動される。
【0076】
本変形例の駆動電源部30CAでは、電源電圧SVが電源線91から供給される間、第1電圧変換部31から駆動用直流電圧VGGが出力され、駆動用直流電圧VGGがゲートドライバ20のレベルシフタ21(
図1を参照)に供給される。その間、容量素子41は第2直流電圧V22(または電源電圧SVでもよい)によって充電される。このとき、上述したように、第1回路部分402において、第3スイッチ素子43が駆動用直流電圧VGGに基づく電圧V24により駆動されるので、第2ノードN2の電位は基準電位線92の電位に近くなり、第2スイッチ素子42は駆動されない。
【0077】
その後、撮像装置1の動作終了などにより電源電圧SVが落とされると、第1電圧変換部31および第3電圧変換部33の停止動作が開始され、駆動用直流電圧VGGおよび第2直流電圧V22が低下する。このとき、上述したように、第1回路部分402において、第3スイッチ素子43が駆動されなくなるので、第2ノードN2の電位は、容量素子41の両端電圧によって規定される電位に近くなる。よって、第2スイッチ素子42は、容量素子41の両端電圧により駆動される。以降の動作は、第1実施形態と同様である。
【0078】
本変形例においても第1実施形態と同様に、特定の駆動電源部30CAにおける駆動用直流電圧VGGが落ちるタイミングを早めるといったように、駆動用直流電圧VGGの落ちるタイミングを任意に設定することができる。
【0079】
図6の(a),(b)および(c)は、駆動用直流電圧VGGの時間波形G11および電源電圧SVの時間波形G12を示すグラフである。
図6の(a)は、参考例として、駆動電源部がディスチャージ回路を有さない場合を示す。
図6の(b)は、第2変形例に係る駆動電源部30CAが抵抗475を有さない場合を示す。
図6の(c)は、第2変形例に係る駆動電源部30CAが抵抗475を有する場合を示す。
図6の(a),(b)および(c)において、縦軸は電圧値を示し、横軸は時間を示す。
【0080】
図6の(a)を参照すると、ディスチャージ回路を有さない駆動電源部において、電源電圧SVが落とされてから駆動用直流電圧VGGが1V以下に落ちるまでの時間tは、約85msと比較的長くなっている。これに対し、
図6の(b)を参照すると、抵抗475を有さない駆動電源部30CAにおける時間tは、約50msとなり、ディスチャージ回路を有さない駆動電源部と比較して格段に短縮されている。また、
図6の(c)を参照すると、抵抗475を有する駆動電源部30CAにおける時間tは、約19msとなり、抵抗475を有さない駆動電源部30CAと比較して更に短縮されている。
【0081】
上記のように、第2変形例に係る駆動電源部30CAによれば、電源電圧SVが落とされてから駆動用直流電圧VGGが落ちるまでの時間tを効果的に短縮することができる。
【0082】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る駆動電源部30CBの回路構成を示す図である。なお、本実施形態の撮像装置の構成は、駆動電源部30Cに代えて駆動電源部30CBを備える点を除き、第1実施形態の撮像装置1と同様である。
【0083】
駆動電源部30CBは、第1実施形態の駆動電源部30Cと異なり、第3電圧変換部33を有していない。また、駆動電源部30CBは、第1実施形態のディスチャージ回路40Aに代えて、ディスチャージ回路40Dを有する。
【0084】
ディスチャージ回路40Dは、撮像装置1の動作終了などにより駆動用直流電圧VGGが落とされる際に、バイパスコンデンサ81などに蓄積された電荷を基準電位線92へ逃がすために設けられている。駆動電源部30CBがディスチャージ回路40Dを有することによって、例えば撮像装置1が動作を終了するときなどに電源電圧SVが落とされた際、駆動用直流電圧VGGは、駆動用直流電圧VCC,VEEよりも早く落ちる。本実施形態のディスチャージ回路40Dは、容量素子44と、第2スイッチ素子45と、抵抗478と、第1回路部分403と、を有する。
【0085】
容量素子44は、電源電圧SVまたは電源電圧SVから電圧値が変換された他の電圧によって充電されるように構成される。一例では、容量素子44は、第2電圧変換部32から出力される駆動用直流電圧VGGによって充電されるように構成される。具体的には、容量素子44の一方の電極は、第2電圧変換部32の電圧出力端子32cとゲートドライバ20との間の第3ノードN5と接続されている。容量素子44の他方の電極は、基準電位線92と接続されている。容量素子44の容量値は、例えば10μF~150μFの範囲内である。容量素子44の種類は、例えばタンタルコンデンサである。なお、容量素子44が電源電圧SVによって充電される場合、容量素子44の一方の電極は電源線91に接続される。或いは、容量素子44は、第1電圧変換部31から出力される第1直流電圧V21によって充電されるように構成されてもよい。その場合、容量素子44の一方の電極は、第1電圧変換部31の電圧出力端子31cと第2電圧変換部32の電圧入力端子32aとの間のノードに接続される。
【0086】
第2スイッチ素子45は、例えばトランジスタである。図示例では、第2スイッチ素子45はNPNトランジスタである。第2スイッチ素子45の一端(第2スイッチ素子45がトランジスタである場合、一方の電流端子)は、第2電圧変換部32とゲートドライバ20との間の第1ノードN3に、抵抗478を介して接続されている。第2スイッチ素子45の他端(第2スイッチ素子45がトランジスタである場合、他方の電流端子)は、基準電位線92に接続されている。第2スイッチ素子45の制御端子は、抵抗476及び477を介して、第2電圧変換部32の電圧出力端子32cと接続されている。抵抗476及び477は、第2スイッチ素子45の制御端子と第2電圧変換部32の電圧出力端子32cとの間において、互いに直列に接続されている。
【0087】
第1回路部分403は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのちに、容量素子44の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子45の制御端子に印加するように構成されている。容量素子44の両端電圧に基づく電圧には、容量素子44の両端電圧そのものも含まれる。また、第1回路部分403は、第1電圧変換部31が動作している間、すなわち第1電圧変換部31の停止動作の開始前には、第2スイッチ素子45の制御端子に容量素子44の両端電圧に基づく電圧を印加しないように構成されている。
【0088】
具体的には、第1回路部分403は、第3スイッチ素子46並びに抵抗476、477、479および480を含む。第3スイッチ素子46は、例えばトランジスタである。図示例では、第3スイッチ素子46はNPNトランジスタである。第3スイッチ素子46の一端(第3スイッチ素子46がトランジスタである場合、一方の電流端子)は、容量素子44の一方の電極と第2スイッチ素子45の制御端子との間(例えば、抵抗476と抵抗477との間)の第2ノードN4に接続されている。第2ノードN4が抵抗476と抵抗477との間のノードである場合、第2ノードN4と第2スイッチ素子45の制御端子との間には、抵抗476が介在する。第3スイッチ素子46の他端(第3スイッチ素子46がトランジスタである場合、他方の電流端子)は、基準電位線92に接続されている。
【0089】
第3スイッチ素子46の制御端子は、抵抗479を介して第1電圧変換部31の電圧出力端子31cと接続されている。抵抗480は、第3スイッチ素子46の制御端子と抵抗479との間のノードと、基準電位線92との間に介在している。従って、第3スイッチ素子46は、第1直流電圧V21が分圧されてなる電圧V25によって駆動される。電圧V25の大きさは、抵抗479と抵抗480との比によって決定される。電圧V25の大きさは、第1直流電圧V21が十分に立ち上がった後に第3スイッチ素子46がターンオンするように設定される。抵抗479および抵抗480は、分圧回路49を構成する。
【0090】
第1電圧変換部31が動作している間、第3スイッチ素子46は第1直流電圧V21に基づく電圧V25によって駆動され、第3スイッチ素子46の一端と他端とが導通状態となる。これにより、第2ノードN4の電位が基準電位線92の電位に近くなり、容量素子44の両端電圧に基づく電圧は第2スイッチ素子45の制御端子に印加されない。
【0091】
一方、第1直流電圧V21が低下すると、第3スイッチ素子46は駆動されなくなり、第3スイッチ素子46の一端と他端とは非導通状態となる。また、その直後に、駆動用直流電圧VGGもまた低下するので、第2ノードN4の電位は、容量素子44の両端電圧の電位に近くなる。従って、容量素子44の両端電圧に基づく電圧(両端電圧そのものであってもよい)が第2スイッチ素子45の制御端子に印加される。よって、第2スイッチ素子45は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのち、容量素子44の両端電圧によって駆動される。
【0092】
ディスチャージ回路40Dは、逆流防止回路60を更に含む。逆流防止回路60は、第2電圧変換部32とゲートドライバ20との間の第3ノードN5と容量素子44の一方の電極との間に介在している。逆流防止回路60は、容量素子44の両端電圧に基づく電圧が第2スイッチ素子45の制御端子に印加される際に、容量素子44から第3ノードN5への電荷の逆流を防ぐ。一例では、逆流防止回路60はダイオード61を含む。ダイオード61のアノードは第3ノードN5に接続され、ダイオード61のカソードは容量素子44の一方の電極に接続される。
【0093】
以上の構成を有する駆動電源部30CBを備える撮像装置の動作および効果について説明する。駆動電源部30CBでは、電源電圧SVが電源線91から供給される間、第1電圧変換部31から第1直流電圧V21が出力され、第2電圧変換部32から駆動用直流電圧VGGが出力され、駆動用直流電圧VGGがゲートドライバ20のレベルシフタ21(
図1を参照)に供給される。その間、容量素子44は駆動用直流電圧VGGによって充電される。このとき、上述したように、第1回路部分403において、第3スイッチ素子46が第1直流電圧V21に基づく電圧により駆動されるので、第2ノードN4の電位は基準電位線92の電位に近くなり、第2スイッチ素子45は駆動されない。
【0094】
その後、撮像装置の動作終了などにより電源電圧SVが落とされると、第1電圧変換部31の停止動作が開始され、第1直流電圧V21が低下する。そして、第1直流電圧V21が低下することにより、第2電圧変換部32の停止動作が開始される。このとき、上述したように、第1回路部分403において、第3スイッチ素子46が駆動されなくなるので、第2ノードN4の電位は、容量素子44の両端電圧によって規定される電位に近くなる。よって、第2スイッチ素子45は、容量素子44の両端電圧により駆動される。
【0095】
第2スイッチ素子45が駆動されると、ゲートドライバ20に駆動用直流電圧VGGを供給する配線の第1ノードN3が第2スイッチ素子45を介して基準電位線92に接続される。バイパスコンデンサ81に蓄積された電荷、及びゲートドライバ20の回路要素に蓄積された電荷など、ゲートドライバ20に駆動用直流電圧VGGを供給する配線上に蓄積された電荷は、このとき基準電位線92へ逃げる。よって、ディスチャージ回路40Dを有する駆動電源部30CBでは、ディスチャージ回路40Dを有しない他の駆動電源部30A,30Bと比べて、駆動用直流電圧の落ちるタイミングが早まる。従って、本実施形態の撮像装置によれば、特定の駆動電源部30CBにおける駆動用直流電圧VGGが落ちるタイミングを早めるといったように、駆動用直流電圧VGGの落ちるタイミングを任意に設定することができる。
【0096】
上述したように、ディスチャージ回路40Dは、第1回路部分403を含んでもよい。第1回路部分403は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのち、容量素子44の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子45の制御端子に印加する。また、第1回路部分403は、第1電圧変換部31が動作している間、すなわち第1電圧変換部31の停止動作の開始前には、容量素子44の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子45の制御端子に印加しない。このような第1回路部分403をディスチャージ回路40Dが含むことによって、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたとき、第2スイッチ素子45を自動的に駆動させることができる。
【0097】
上述したように、ディスチャージ回路40Dは、第3スイッチ素子46と、抵抗476と、を更に含んでもよい。第3スイッチ素子46の一端は、容量素子44と第2スイッチ素子45の制御端子との間の第2ノードN4に接続される。第3スイッチ素子46の他端は基準電位線92に接続される。第3スイッチ素子46は、第1直流電圧V21に基づく電圧、すなわち第1直流電圧V21が分圧されてなる電圧V25によって駆動される。抵抗476は、第2ノードN4と第2スイッチ素子45の制御端子との間に介在する。このような第3スイッチ素子46および抵抗476をディスチャージ回路40Dが含むことによって、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたとき、第2スイッチ素子45を自動的に駆動させることができる。加えて、第1直流電圧V21が分圧されてなる電圧V25によって第3スイッチ素子46が駆動されることにより、第1直流電圧V21が低下した際に第3スイッチ素子46がオフとなるタイミングを早め、第2スイッチ素子45の駆動開始タイミングを早めることができる。
【0098】
本実施形態のように、ディスチャージ回路40Dは、第2電圧変換部32とゲートドライバ20との間の第3ノードN5と容量素子44との間に介在して容量素子44から第3ノードN5への電荷の逆流を防ぐ逆流防止回路60を更に含んでもよい。その場合、容量素子44の両端電圧を、駆動用直流電圧VGGが落ちるのに十分な時間維持することができる。
【0099】
本実施形態のように、駆動用直流電圧VGGによって容量素子44が充電されてもよい。その場合、容量素子44を充電する電圧を生成するための電圧変換部を別途設ける必要がないので、回路規模を小さくすることができる。
【0100】
本実施形態においても、電源電圧SVが落ちた際、駆動電源部30CBの駆動用直流電圧VGGは、他の駆動電源部30A,30Bの駆動用直流電圧VCC,VEEより早く落ちてもよい。これにより、駆動用直流電圧VCC,VEEに対する駆動用直流電圧VGGの落ちる順序を容易に設定することができる。また、本実施形態のように、電源電圧SVが落ちた際、駆動電源部30CBの駆動用直流電圧VGGは、該駆動用直流電圧VGG以下の電圧を有する駆動用直流電圧VCC,VEEよりも早く落ちてもよい。
【0101】
本実施形態においても、駆動電源部30A,30Bおよび30CBのうち少なくとも一つの駆動電源部(本実施形態では駆動電源部30A,30B)がディスチャージ回路40Dを有さなくてもよい。駆動用直流電圧の落ちるタイミングが遅くてもよい駆動電源部は、ディスチャージ回路40Dを有さないことによって、回路構成を簡素化することができる。
【0102】
なお、第1実施形態と同様に、第1電圧変換部31は、電源電圧SVを入力する電圧入力端子31aとは別に、第1電圧変換部31の動作のオン/オフを制御するためのイネーブル端子を有してもよい。そして、電源電圧SVが分圧されてなる制御電圧がイネーブル端子に入力されてもよい。その場合、電源電圧SVが落とされたときに、より早く第1電圧変換部31の停止動作を開始することができ、第1直流電圧V21をより早く低下させることができるので、その結果、駆動用直流電圧VGGの落ちるタイミングをより早めることができる。
【0103】
[第3変形例]
第2実施形態では駆動電源部30CBのみがディスチャージ回路40Dを有しているが、駆動電源部30Bもまた、ディスチャージ回路を有してもよい。
図8は、駆動電源部30Bの変形例として、ディスチャージ回路を有する駆動電源部30BBの回路構成を示す図である。駆動電源部30BBは、ディスチャージ回路40Eを有する。
【0104】
駆動電源部30BBから出力される駆動用直流電圧VEEは負電圧(例えば-10V)である。本変形例では、容量素子41は駆動用直流電圧VEEによって充電される。よって、逆流防止回路60におけるダイオード61の向きは第2実施形態とは逆になっている。すなわち、ダイオード61のアノードは容量素子44の一方の電極に接続され、ダイオード61のカソードは第3ノードN5に接続される。
【0105】
また、ディスチャージ回路40Eにおいて、第2スイッチ素子45および第3スイッチ素子46がトランジスタである場合、第1直流電圧V11および駆動用直流電圧VEEが負電圧であることから、それらのトランジスタは、駆動電源部30CBのディスチャージ回路40Dと異なりPNPトランジスタである。なお、トランジスタの種類を除いて、ディスチャージ回路40Eの構成はディスチャージ回路40Dの構成と同様である。
【0106】
第2実施形態では複数の駆動電源部のうち一つの駆動電源部(駆動電源部30CB)のみがディスチャージ回路40Dを有しているが、本変形例のように、複数の駆動電源部のうち少なくとも二つ(例えば駆動電源部30BB,30CB)がディスチャージ回路を有してもよい。その場合、少なくとも二つの駆動電源部において駆動用直流電圧が落ちるタイミングが早まり、少なくとも二つの駆動用直流電圧(例えば駆動用直流電圧VEEおよびVGG)の落ちるタイミングを容易に設定することができる。
【0107】
[第4変形例]
図7および
図8に示された駆動電源部30CB,30BBは二つの電圧変換部(第1電圧変換部31および第2電圧変換部32)を有しているが、駆動電源部30CB,30BBは、一つの電圧変換部(第1電圧変換部31)のみを有してもよい。
図9は、駆動電源部30CBの変形例として、そのような構成を有する駆動電源部30CCの回路構成を示す図である。駆動電源部30CCでは、第1電圧変換部31は、例えばスイッチングレギュレータを含み、電源電圧SVを駆動用直流電圧VGGに高効率で変換する。
【0108】
駆動電源部30CCは、第2実施形態のディスチャージ回路40Dに代えて、ディスチャージ回路40Fを有する。本変形例のディスチャージ回路40Fは、下記の点で第2実施形態のディスチャージ回路40Dと相違し、他の点でディスチャージ回路40Dと一致する。本変形例のディスチャージ回路40Fは、第2実施形態の第1回路部分403に代えて、第1回路部分404を有する。第1回路部分404は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのちに容量素子44の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子45の制御端子に印加するように構成されている。また、第1回路部分404は、第1電圧変換部31が動作している間、すなわち第1電圧変換部31の停止動作の開始前には、第2スイッチ素子45の制御端子に容量素子44の両端電圧に基づく電圧を印加しないように構成されている。
【0109】
具体的には、第3スイッチ素子46の制御端子は、抵抗479を介して第1電圧変換部31の電圧出力端子31cと接続されている。そして、電源電圧SVが供給されている間、第3スイッチ素子46の制御端子には、駆動用直流電圧VGGが分圧回路49によって分圧されてなる電圧V26が印加される。
【0110】
第1電圧変換部31が動作している間、第3スイッチ素子46は駆動用直流電圧VGGに基づく電圧V26によって駆動され、第3スイッチ素子46の一端と他端とが導通状態となる。これにより、第2ノードN4の電位が基準電位線92の電位に近くなり、容量素子44の両端電圧に基づく電圧は第2スイッチ素子45の制御端子に印加されない。
【0111】
一方、第1電圧変換部31の停止動作が開始されると、駆動用直流電圧VGGが低下し、第3スイッチ素子46は駆動されなくなり、第3スイッチ素子46の一端と他端とは非導通状態となる。また、このとき、第2ノードN4の電位は、容量素子44の両端電圧の電位に近くなる。従って、容量素子44の両端電圧に基づく電圧(両端電圧そのものであってもよい)が第2スイッチ素子45の制御端子に印加される。よって、第2スイッチ素子45は、第1電圧変換部31の停止動作が開始されたのち、容量素子44の両端電圧によって駆動される。
【0112】
本変形例の駆動電源部30CCでは、電源電圧SVが電源線91から供給される間、第1電圧変換部31から駆動用直流電圧VGGが出力され、駆動用直流電圧VGGがゲートドライバ20のレベルシフタ21(
図1を参照)に供給される。その間、容量素子44は駆動用直流電圧VGGによって充電される。このとき、上述したように、第1回路部分404において、第3スイッチ素子46が駆動用直流電圧VGGに基づく電圧V26により駆動されるので、第2ノードN4の電位は基準電位線92の電位に近くなり、第2スイッチ素子45は駆動されない。
【0113】
その後、撮像装置1の動作終了などにより電源電圧SVが落とされると、第1電圧変換部31の停止動作が開始され、駆動用直流電圧VGGが低下する。このとき、上述したように、第1回路部分404において、第3スイッチ素子46が駆動されなくなるので、第2ノードN4の電位は、容量素子44の両端電圧によって規定される電位に近くなる。よって、第2スイッチ素子45は、容量素子44の両端電圧により駆動される。以降の動作は、第2実施形態と同様である。
【0114】
本変形例においても第2実施形態と同様に、特定の駆動電源部30CCにおける駆動用直流電圧VGGが落ちるタイミングを早めるといったように、駆動用直流電圧VGGの落ちるタイミングを任意に設定することができる。
【0115】
図10の(a),(b)および(c)は、駆動用直流電圧VGGの時間波形G21および電源電圧SVの時間波形G22を示すグラフである。
図10の(a)は、参考例として、駆動電源部がディスチャージ回路を有さない場合を示す。
図10の(b)は、第4変形例に係る駆動電源部30CCが抵抗480を有さない(すなわち、第3スイッチ素子46の制御端子が基準電位線92に接続されず、抵抗479を介して第1電圧変換部31の電圧出力端子31cのみに接続される)場合を示す。
図10の(c)は、第4変形例に係る駆動電源部30CCの場合を示す。
図10の(a),(b)および(c)において、縦軸は電圧値を示し、横軸は時間を示す。
【0116】
図10の(a)を参照すると、ディスチャージ回路を有さない駆動電源部において、電源電圧SVが落とされてから駆動用直流電圧VGGが1V以下に落ちるまでの時間tは、約85msと比較的長くなっている。これに対し、
図10の(b)を参照すると、駆動電源部30CCが抵抗480を有さない場合における時間tは、約50msとなり、ディスチャージ回路を有さない駆動電源部と比較して格段に短縮されている。また、
図10の(c)を参照すると、抵抗480を有する駆動電源部30CCにおける時間tは、約11msとなり、駆動電源部30CCが抵抗480を有さない場合と比較して更に短縮されている。
【0117】
上記のように、第4変形例に係る駆動電源部30CCによれば、電源電圧SVが落とされてから駆動用直流電圧VGGが落ちるまでの時間tを効果的に短縮することができる。
【0118】
本開示による撮像装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態および各変形例では第2スイッチ素子42(45)および第3スイッチ素子43(46)としてトランジスタを例示しているが、第2スイッチ素子42(45)および第3スイッチ素子43(46)はトランジスタを除く他のスイッチ素子によって構成されてもよい。また、上記各実施形態では撮像装置が駆動電源部30A、駆動電源部30B(30BB)、駆動電源部30C(30CA,30CBまたは30CC)といった三つの駆動電源部を備える場合を例示したが、撮像装置が備える駆動電源部の個数はこれに限られない。撮像装置は、二つの駆動電源部を備えてもよく、四つ以上の駆動電源部を備えてもよい。そして、少なくとも一つの駆動電源部がディスチャージ回路を有するとよい。
【0119】
また、上記各実施形態および各変形例におけるディスチャージ回路は、第1回路部分を有する。第1回路部分は、第1電圧変換部の停止動作が開始されたのちに容量素子の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子の制御端子に印加し、第1電圧変換部が動作している間、すなわち第1電圧変換部31の停止動作の開始前には、容量素子の両端電圧に基づく電圧を第2スイッチ素子の制御端子に印加しない。このような第1回路部分の具体的な回路構成は、
図3~
図5および
図7~
図9に示されたものに限定されない。第1回路部分は、上記の機能を発揮し得る他の様々な回路構成を有することができる。
【0120】
また、上記各実施形態および各変形例において、第2電圧変換部32としてリニアレギュレータを例示しているが、第2電圧変換部32は、電圧入力端子32aを一端とし、電圧出力端子32cを他端とする抵抗素子等の受動素子であってもよい。
【0121】
また、上記各実施形態および各変形例において、複数の駆動用直流電圧が供給される駆動回路としてゲートドライバ20を例示している。複数の駆動用直流電圧が供給される駆動回路はこれに限らず、例えば、読み出し回路14といった他の回路であってもよい。読み出し回路14にも、駆動電源部30C(30CA,30CBまたは30CC)と同様の構成を有する複数の駆動電源部から、複数の駆動用直流電圧が供給され得る。但し、駆動用直流電圧の大きさはゲートドライバ20とは異なる。読み出し回路14に供給される駆動用直流電圧の大きさは、例えば2.5Vおよび5Vである。
【符号の説明】
【0122】
1…撮像装置、10…画素、11…受光領域、12…第1スイッチ素子、13…電荷読出配線、14…読み出し回路、15…ゲート配線、20…ゲートドライバ、21…レベルシフタ、22…シフトレジスタ、30A,30B,30BB,30C,30CA,30CB,30CC…駆動電源部、31…第1電圧変換部、31a,32a,33a…電圧入力端子、31b,32b…イネーブル端子、31c,32c,33c…電圧出力端子、32…第2電圧変換部、33…第3電圧変換部、35…電圧変換部、40A,40B,40C,40D,40E,40F…ディスチャージ回路、41,44…容量素子、42,45…第2スイッチ素子、43,46…第3スイッチ素子、48,49,50…分圧回路、51,52…抵抗、60…逆流防止回路、61…ダイオード、81…バイパスコンデンサ、91…電源線、92…基準電位線、141…増幅回路、401,402,403,404…第1回路部分、471~480…抵抗、G11,G12,G21,G22…時間波形、N1,N3…第1ノード、N2,N4…第2ノード、N5…第3ノード、Sd…駆動信号、SV…電源電圧、t…時間、V11,V21…第1直流電圧、V12,V22…第2直流電圧、V23…制御電圧、V24,V25,V26…電圧、VCC,VEE,VGG…駆動用直流電圧、Vd…駆動電圧。