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  • 特開-回転電機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157697
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20241031BHJP
   H02K 3/38 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K3/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072205
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 健人
【テーマコード(参考)】
5H604
5H605
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604CC01
5H604QA01
5H604QB03
5H604QB15
5H605CC06
5H605EC04
(57)【要約】
【課題】動力線端子と動力線との接続部に発生する応力を抑制又は緩和し得る技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する回転電機は、ロータと、ロータと径方向において対向するとともに、ステータコイルを有するステータと、ステータコイルから延びる動力線の先端が固定された端子台と、端子台に固定された固定部と固定部から延びる延在部とを有するブラケットと、を備える。動力線の先端は、端子台とブラケットの延在部との間に挟持された動力線端子を有する。動力線端子とブラケットの延在部との間、及び/又は、動力線端子と端子台との間には、ダンパ部材が配置されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機であって、
ロータと、
前記ロータと径方向において対向するとともに、ステータコイルを有するステータと、
前記ステータコイルから延びる動力線の先端が固定された端子台と、
前記端子台に固定された固定部と前記固定部から延びる延在部とを有するブラケットと、
を備え、
前記動力線の先端は、前記端子台と前記ブラケットの前記延在部との間に挟持された動力線端子を有し、
前記動力線端子と前記ブラケットの前記延在部との間、及び/又は、前記動力線端子と前記端子台との間には、ダンパ部材が配置されている、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、回転電機に関する。特に、ステータのステータコイルから延びる動力線の先端が固定された端子台を備える回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、回転電機の端子台が記載されている。端子台には、ステータのステータコイルから延びる複数の動力線の各先端が固定されている。詳しくは、動力線の各先端には、動力線端子が設けられており、それらの動力線端子が、ボルトを用いて端子台に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-079531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ロータが回転すると、ステータが振動する。その場合、ステータの振動は、ステータコイルおよび動力線を介して端子台に伝達される。端子台は、動力線ほど振動しない。このため、端子台に固定された動力線端子とその動力線端子に接続された動力線との接続部には、振動に起因した応力が発生する。本明細書では、動力線端子と動力線との接続部に発生する応力を抑制又は緩和し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する回転電機は、ロータと、前記ロータと径方向において対向するとともに、ステータコイルを有するステータと、前記ステータコイルから延びる動力線の先端が固定された端子台と、前記端子台に固定された固定部と前記固定部から延びる延在部とを有するブラケットと、を備える。前記動力線の先端は、前記端子台と前記ブラケットの前記延在部との間に挟持された動力線端子を有する。前記動力線端子と前記ブラケットの前記延在部との間、及び/又は、前記動力線端子と前記端子台との間には、ダンパ部材が配置されている。
【0006】
上述した回転電機では、端子台にブラケットが設けられ、動力線の先端に設けられた動力線端子が、端子台とブラケットとの間に挟持されている。特に、動力線端子は、一又は複数のダンパ部材と共に、ブラケットの延在部において挟持されている。このような構成によると、端子台に対して動力線端子が変位可能に固定されることから、動力線に振動が生じたときでも、動力線端子と動力線との接続部に発生する応力が抑制又は緩和される。
【0007】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例の回転電機10の部分的な断面図を示す。
図2】第2実施例の回転電機10A及び第3実施例の回転電機10Bにおける図1と同様の断面図を示す。
図3】第4実施例の回転電機10C、第5実施例の回転電機10D及び第6実施例の回転電機10Eにおける図1と同様の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
図1は、第1実施例の回転電機10の部分的な断面図を示す。本実施例の回転電機10は、モータ及び発電機の両方の機能を有するモータジェネレータとして、ハイブリッド車両に搭載される。変形例では、回転電機10は、モータまたは発電機のいずれか一方として機能してもよい。
【0010】
図示は省略したが、回転電機10は、円筒形状を有するロータと、ロータに対して径方向外側から対向するステータと、を備える。ロータ及びステータは、磁性体で構成されている。ステータの外側には、ステータコイルが巻かれている。回転電機10では、ステータコイルに電流が流れることによって、ステータとロータとの間に磁力が発生し、ロータが回転する。
【0011】
回転電機10は、端子台20と、ブラケット30と、をさらに備える。端子台20は、ステータコイルをバッテリ(図示省略)と接続する。端子台20は、樹脂で構成される本体と、銅板で構成される端子22と、を備える。端子22は、端子台20の表面に露出しており、バッテリとステータコイルとを電気的に接続する。
【0012】
ブラケット30は、金属製の平板部材によって構成される。ブラケット30は、端子台20の端子22の表面に沿って延びている。ブラケット30は、固定部32と、固定部32と隣接する延在部34と、を備える。固定部32は、端子台20の端子22に対して、Z軸方向正側(すなわち、図1の紙面上側)からボルトB1によって締結される。これにより、固定部32は、端子22と当接した状態で端子22に固定され、固定部32と端子22とが電気的に接続される。延在部34は、固定部32よりも端子22からZ方向に離間した位置で、X方向正側(すなわち、図1の紙面右側)に延びる。その結果、延在部34と端子22との間には、間隙C1が形成される。
【0013】
回転電機10のステータコイルには、動力線2が接続されている。特に限定されないが、本実施例では、動力線2は、円形の断面形状を有するエナメル線で構成される。動力線2の先端3は、動力線端子4の貫通孔に圧入される。動力線2の先端3は、動力線端子4に対してカシメ加工によって固定される。
【0014】
動力線端子4は、金属製の平板部材によって構成される。動力線端子4は、動力線2の先端3側から、端子22に沿って延びる。その結果、動力線端子4の先端部は、間隙C1内に位置する。
【0015】
動力線端子4の先端部と端子台20の端子22との間には、第1のダンパ部材6Fと、一対のバネ部材8F、8Sと、が配置されている。第1のダンパ部材6Fは、例えば、導電性ゴムであり、導通可能である。さらに、一対のバネ部材8F、8Sも、金属製であり、導通可能である。各部材6F、8F、8Sは、動力線端子4と端子22とを電気的に接続する。
【0016】
動力線端子4の先端部とブラケット30の延在部34との間には、第2のダンパ部材6Sが配置されている。第1のダンパ部材6Fと同様に、第2のダンパ部材6Sも導電性ゴムで構成される。第2のダンパ部材6Sは、動力線端子4とブラケット30の延在部34とを電気的に接続する。
【0017】
先に述べたように、動力線2は、回転電機10のステータコイルに接続される。回転電機10のロータが回転すると、ステータコイルも振動する。ステータコイルの振動V1は、ステータコイルから動力線2に伝達される。動力線2の先端3に固定された動力線端子4は、端子台20に固定されている。先に述べたように、動力線2は、円形形状を有するエナメル線である。このため、端子台20に比べて、動力線2は振動しやすい。このため、ステータコイルから動力線2に伝達された振動V1は、端子台20によって減衰する。
【0018】
仮に、動力線端子4の先端部が、ボルトB1によって端子台20に強固に固定されると、振動V1は、動力線端子4と動力線2との接続部において急激に減衰する。その結果、動力線端子4と動力線2との接続部には、振動V1に起因した応力が発生する。
【0019】
本実施例の回転電機10では、動力線端子4の先端部は、端子台20の端子22と、ブラケット30の延在部34との間に挟持されている。さらに、動力線端子4の先端部と端子台20の端子22との間には、第1のダンパ部材6F及び一対のバネ部材8F、8Sが配置されている。第1のダンパ部材6F及び一対のバネ部材8F、8Sは、振動V1が動力線端子4の先端部に伝達される場合に、弾性変形することによって、動力線端子4の先端部を第1の方向M1に移動させる。同様に、動力線端子4の先端部とブラケット30の延在部34との間には、第2のダンパ部材6Sが配置されている。第2のダンパ部材6Sは、振動V1が動力線端子4の先端部に伝達される場合に、弾性変形することによって、動力線端子4の先端部を第2の方向M2に移動させる。このように、本実施例の回転電機10では、動力線端子4の先端部が、端子台20およびブラケット30に対して各方向M1、M2に変位可能に固定される。このため、動力線2に振動V1が生じた場合であっても、振動V1は、各部材6F、6S、8F、8Sによって徐々に減衰する。これにより、動力線端子4と動力線2との接続部に発生する応力を抑制又は緩和することができる。
【0020】
さらに、図1に示されるように、本実施例の回転電機10では、各部材6F、6S、8F、8Sが、ブラケット30の固定部32から延びる延在部34と、端子22との間に配置される。すなわち、ブラケット30は、固定部32からオフセットした位置で動力線端子4の先端部を固定する。このため、固定部32と端子22との間に各部材6F、6S、8F、8Sが配置される構成に比べると、各部材6F、6S、8F、8Sが容易に弾性変形することができる。これにより、動力線端子4と動力線2との接続部に発生する応力をより効果的に抑制又は緩和することができる。本実施例では、各部材6F、6S、8F、8Sが、「ダンパ部材」の一例である。
【0021】
以下、図2及び図3を参照して、第2~第6実施例の回転電機10A~10Dについて説明する。
【0022】
(第2実施例)
図2(A)に示されるように、第2実施例の回転電機10Aは、第1実施例の回転電機10の各ダンパ部材6F、6Sに代えて、第1のダンパ部材60F、第2のダンパ部材60Sを備える。それ以外の構成については、第2実施例の回転電機10Aは、第1実施例の回転電機10と同様の構成を有する。第2実施例の各ダンパ部材60F、60Sは、第1実施例の各ダンパ部材6F、6Sとは異なり、導通しない。第2実施例の各ダンパ部材60F、60Sは、例えば、ゴムで構成される。このため、本実施例では、一対のバネ部材8F、8Sを介して、動力線端子4と端子22Aとが電気的に接続される。第1のダンパ部材60Fは、導通しないため、本実施例では、端子台20の端子22Aは、第1のダンパ部材60Fと当接する部位に設けられていない。本実施例では、各ダンパ部材60F、60Sが、「ダンパ部材」の一例である。
【0023】
(第3実施例)
図2(B)に示されるように、第2実施例の回転電機10Aとは異なり、第3実施例の回転電機10Bでは、一対のバネ部材8F、8Sが、動力線端子4の先端部とブラケット30の延在部34との間に配置される。これにより、動力線端子4とブラケット30とが電気的に接続される。第1のダンパ部材60Fは、導通しないため、本実施例では、端子台20の端子22Bは、第1のダンパ部材60Fと対向する部位まで延びていない。それ以外の構成については、第3実施例の回転電機10Bは、第2実施例の回転電機10Aと同様の構成を有する。
【0024】
(第4実施例)
図3(A)に示されるように、第1実施例の回転電機10とは異なり、第4実施例の回転電機10Cは、動力線端子4の先端部とブラケット30の延在部34との間に、第2のダンパ部材6S配置されていない。すなわち、本実施例では、動力線端子4の先端部とブラケット30の延在部34は、直接的に当接している。さらに、本実施例では、動力線端子4の先端部と端子22との間に、一対のバネ部材8F、8Sが配置されていない。それ以外の構成については、第4実施例の回転電機10Cは、第1実施例の回転電機10と同様の構成を有する。本実施例では、動力線2に振動V1(図1参照)が伝達された場合に、第1のダンパ部材6Fが弾性変形することによって、動力線端子4の先端部を第1の方向M1に移動させる。
【0025】
(第5実施例)
図3(B)に示されるように、第5実施例の回転電機10Dでは、第4実施例の回転電機10Cとは異なり、ブラケット30が、さらに、第3のダンパ部材6Tを有している。第3のダンパ部材6Tは、ブラケット30の固定部32と延在部34との境界部分に配置される。それ以外の構成については、第5実施例の回転電機10Dは、第4実施例の回転電機10Cと同様の構成を有する。本実施例では、動力線2に振動V1(図1参照)が伝達された場合に、第1のダンパ部材6Fが弾性変形することによって、動力線端子4の先端部を第1の方向M1に移動させ、第3のダンパ部材6Tが弾性変形することによって、動力線端子4の先端部を第2の方向M2に移動させる。
【0026】
(第6実施例)
図3(C)に示されるように、第6実施例の回転電機10Eは、第1実施例の回転電機10とは異なり、一対のバネ部材8F、8Sを備えない。それ以外の構成については、第6実施例の回転電機10Eは、第1実施例の回転電機10と同様の構成を有する。本実施例では、振動V1が動力線端子4の先端部に伝達される場合に、第1のダンパ部材6Fが、弾性変形することによって、動力線端子4の先端部を第1の方向M1に移動させる。さらに、第1のダンパ部材6Fが、動力線端子4の先端部と端子22との間の導通を確保する。
【0027】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0028】
実施例の留意点を以下に述べる。ブラケット30の固定部32は、ボルトB1によって端子台20の端子22に固定されなくてもよい。例えば、固定部32は、カシメ加工によって端子22に固定されてもよいし、ハンダ接合によって固定されてもよい。また、動力線2の先端3は、カシメ加工によって動力線端子4に固定されなくてもよい。例えば、先端3は、ボルトによって動力線端子4に締結されてもよいし、ハンダ接合によって固定されてもよい。
【0029】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0030】
2:動力線、3:先端、4:動力線端子、6F,60F:第1のダンパ部材、6S,60S:第2のダンパ部材、6T:第3のダンパ部材、8F,8S:バネ部材、10,10A,10B,10C,10D,10E:回転電機、20:端子台、22,22A,22B:端子、30:ブラケット、32:固定部、34:延在部、V1:振動
図1
図2
図3