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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157699
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】伸縮継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F16L27/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072209
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英也
(72)【発明者】
【氏名】上丸 拓弥
【テーマコード(参考)】
3H104
【Fターム(参考)】
3H104JA08
3H104JB02
3H104JC08
3H104JC10
3H104JD09
3H104KA01
3H104KB20
3H104KC01
3H104LB18
3H104LG03
(57)【要約】
【課題】シール部材の損傷を抑制することができる伸縮継手を提供する。
【解決手段】伸縮継手は、第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、軸方向に伸縮可能な内管と、内管の軸方向における一端に固定されており、第1配管と接続される第1接続部と、内管の軸方向における他端に固定されており、第2配管と接続される第2接続部と、第1接続部および第2接続部の外周を取り囲む外管と、内管を軸方向に圧縮するための圧縮機構とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と
を備える、伸縮継手。
【請求項2】
前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、
前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部と
を備え、
前記外管の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より長い、請求項1に記載の伸縮継手。
【請求項3】
前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、
前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部と
を備え、
前記外管の内周面の前記軸方向における中央部には、径方向外側に窪んで形成された薄肉部が設けられており、
前記薄肉部の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より短い、請求項1に記載の伸縮継手。
【請求項4】
前記圧縮機構は、
前記外管に対する前記第1接続部の位置を調整する位置調整手段と、
前記外管に対する前記第2接続部の移動を規制する規制部と
を有する、請求項1に記載の伸縮継手。
【請求項5】
前記規制部は、前記外管に対して前記第1接続部と反対側への前記第2接続部の移動を規制する、請求項4に記載の伸縮継手。
【請求項6】
前記規制部は、
前記外管または前記第2接続部の一方に配置され、前記外管または前記第2接続部の他方に向けて突出した突出部と、
前記外管または前記第2接続部の他方に配置され、前記突出部と係合する凹部と
を有する、請求項4に記載の伸縮継手。
【請求項7】
前記内管は、前記第1接続部が前記外管に近付くように移動したとき、前記第1接続部を前記第2接続部から離れる方向に付勢し、
前記位置調整手段は、前記第2接続部から離れる方向に付勢された前記第1接続部を位置決めする、請求項4に記載の伸縮継手。
【請求項8】
前記位置調整手段は、
前記第1接続部に一体的に設けられた第1ブロックと、
前記外管に一体的に設けられた第2ブロックと、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間の前記軸方向における間隔を調整する調整機構と
を備える、請求項7に記載の伸縮継手。
【請求項9】
前記調整機構は、ねじ機構であり、
前記圧縮機構は、前記規制部が前記第1接続部とは反対側への前記第2接続部の移動を規制した状態で、前記ねじ機構が締め込まれることで、前記第1ブロックと前記第2ブロックとが近づいて、前記内管を圧縮する、請求項8に記載の伸縮継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮継手に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つの配管を伸縮自在に連結する伸縮継手が開示されている。この伸縮継手は、伸縮性を有するベローズを有し、ベローズの軸方向における端部には、伸縮継手を配管に接続するためのフランジが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-154418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伸縮継手のフランジと配管との間には、Oリングなどのシール部材が配置されることがある。この場合、伸縮継手を配管に取り付けるときに、フランジまたは配管の一方に配置されたシール部材が、フランジまたは配管の他方に接触して損傷することがある。
【0005】
本発明は、シール部材が損傷することを抑制することができる伸縮継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と
を備える、伸縮継手を提供する。
【0007】
この構成によれば、圧縮機構により内管を軸方向に圧縮することで、第1接続部と第2接続部との間の軸方向における間隔が狭くなり、伸縮継手を軸方向に圧縮することができる。これにより、伸縮継手を第1配管および第2配管に取り付けるときに、圧縮機構により軸方向に圧縮させた状態の伸縮継手を第1配管と第2配管との間に差し込むことができるので、伸縮継手が第1配管または第2配管と接触することを抑制することができる。その結果、伸縮継手を第1配管に取り付けるときに、第1接続部と第1配管との間に配置されるシール部材が、第1接続部または第1配管に接触して損傷することを抑制することができる。同様に、伸縮継手を第2配管に取り付けるときに、第2接続部と第2配管との間に配置されるシール部材が、第2接続部または第2配管に接触して損傷することを抑制することができる。
【0008】
一実施形態では、前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部とを備え、前記外管の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より長い。
【0009】
この構成によれば、第1シール部と第2シール部とにより、内管と外管とで画定される空間の密封状態を常に維持することができる。具体的には、内管が伸びて、第1シール部と第2シール部との軸方向における間隔が広くなった場合であっても、第1シール部と第2シール部とにより、内管と外管とで画定される空間の密封状態を維持することができる。
【0010】
一実施形態では、前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部とを備え、前記外管の内周面の前記軸方向における中央部には、径方向外側に窪んで形成された薄肉部が設けられており、前記薄肉部の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より短い。
【0011】
この構成によれば、第1シール部と第2シール部とにより、内管と外管とで画定される空間の密封状態を常に維持することができる。具体的には、内管が圧縮されて、第1シール部と第2シール部との軸方向における間隔が狭くなった場合であっても、第1シール部と第2シール部とにより、内管と外管とで画定される空間の密封状態を維持することができる。
【0012】
一実施形態では、前記圧縮機構は、前記外管に対する前記第1接続部の位置を調整する位置調整手段と、前記外管に対する前記第2接続部の移動を規制する規制部とを有する。
【0013】
この構成によれば、規制部が外管に対する第2接続部の移動を規制した状態で、位置調整手段が外管に対する第1接続部の位置を調整することで、第1接続部と第2接続部との間の軸方向における間隔を調整することができる。これにより、軸方向における伸縮継手の寸法を調整することができ、伸縮継手を第1配管および第2配管へ取り付けるときの作業性を向上することができる。
【0014】
一実施形態では、前記規制部は、前記外管に対して前記第1接続部と反対側への前記第2接続部の移動を規制する。
【0015】
この構成によれば、第2接続部が外管に対して第1接続部と反対側へ移動することが規制されるため、伸縮継手を軸方向において圧縮するときに、第1接続部と第2接続部との間の間隔が意図せず広がることを抑制することができる。これにより、伸縮継手の軸方向における圧縮を容易にすることができる。その結果、伸縮継手を第1配管および第2配管へ取り付けるときの作業性を向上することができる。
【0016】
一実施形態では、前記規制部は、前記外管または前記第2接続部の一方に配置され、前記外管または前記第2接続部の他方に向けて突出した突出部と、前記外管または前記第2接続部の他方に配置され、前記突出部と係合する凹部とを有する。
【0017】
一実施形態では、前記内管は、前記第1接続部が前記外管に近付くように移動したとき、前記第1接続部を前記第2接続部から離れる方向に付勢し、前記位置調整手段は、前記第2接続部から離れる方向に付勢された前記第1接続部を位置決めする。
【0018】
この構成によれば、位置調整手段が第2接続部から離れる方向に付勢された第1接続部を位置決めするので、内管が圧縮された状態、すなわち伸縮継手が圧縮された状態を維持することができる。これにより、伸縮継手を第1配管および第2配管へ取り付けるときの作業性を向上することができる。また、伸縮継手を第1配管および第2配管に取り付けるときに、伸縮継手の軸方向における寸法が意図せず大きくなりシール部材が損傷することを抑制することができる。
【0019】
一実施形態では、前記位置調整手段は、前記第1接続部に一体的に設けられた第1ブロックと、前記外管に一体的に設けられた第2ブロックと、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間の前記軸方向における間隔を調整する調整機構とを備える。
【0020】
一実施形態では、前記調整機構は、ねじ機構であり、前記圧縮機構は、前記規制部が前記第1接続部とは反対側への前記第2接続部の移動を規制した状態で、前記ねじ機構が締め込まれることで、前記第1ブロックと前記第2ブロックとが近づいて、前記内管を圧縮する。
【0021】
この構成によれば、ねじ機構を締め込むことで、内管を圧縮して、伸縮継手を圧縮することができる。これにより、簡単な構成で、シール部材の損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シール部材が損傷することを抑制することができる伸縮継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る伸縮継手の斜視図である。
図2図2は、図1において伸縮継手を一部切断して示した斜視図である。
図3図3は、図1の伸縮継手の縦断面図である。
図4図4は、図1の伸縮継手の第1配管および第2配管への取り付け方法を説明するための図である。
図5図5は、図1の伸縮継手の第1配管および第2配管への取り付け方法を説明するための図である。
図6図6は、図1の伸縮継手の第1配管および第2配管への取り付け方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る伸縮継手を説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る伸縮継手1の斜視図である。図2は、図1において、伸縮継手1、第1配管2、および第2配管3を一部切断して示した斜視図である。図3は、図1の伸縮継手1の縦断面図である。なお、図1から図3では、伸縮継手1が第1配管2および第2配管3に取り付けられている状態を示している。
【0026】
図1を参照すると、伸縮継手1は、第1配管2と第2配管3とを接続する。伸縮継手1は、第1配管2および第2配管3の熱膨張または熱収縮などによる変位を吸収する。
【0027】
図2に示すように、本実施形態の第1配管2および第2配管3は、二重管構造を有している。第1配管2および第2配管3では、内側の管(具体的には、後述する第1内管2aおよび第2内管3a)の内部を液体燃料または気体燃料が流れる。万が一、内側の管から液体燃料または気体燃料が漏れたとき、液体燃料または気体燃料は、内側の管と外側の管(具体的には、後述する第1外管2bおよび第2外管3b)との間を流れ、外側の管の外部に漏れ出ないようになっている。
【0028】
第1配管2は、第1内管2aと、第1内管2aの外側に配置された第1外管2bとを備える。第1内管2aは、円管状である。第1外管2bは、第1内管2aの外径よりも大きい内径を有する円管状であり、第1内管2aと同軸に配置されている。第1配管2の一端には、第1配管2を伸縮継手1に接続するための第1配管フランジ4が固定されている。
【0029】
第1配管フランジ4は、円筒状である。第1配管フランジ4には、第1内管2aの内部空間と連通する第1内孔4aと、第1内管2aと第1外管2bとの間の空間と連通する第1外孔4bとが設けられている。
【0030】
第2配管3は、第2内管3aと、第2内管3aの外側に配置された第2外管3bとを備える。第2内管3aは、円管状である。第2外管3bは、第2内管3aの外径よりも大きい内径を有する円管状であり、第2内管3aと同軸に配置されている。第2配管3の一端には、第2配管3を伸縮継手1に接続するための第2配管フランジ5が固定されている。
【0031】
第2配管フランジ5は、円筒状である。第2配管フランジ5には、第2内管3aの内部空間と連通する第2内孔5aと、第2内管3aと第2外管3bとの間の空間と連通する第2外孔5bとが設けられている。
【0032】
伸縮継手1は、第1内管2aの内部空間と、第2内管3aの内部空間とを連通する。また、伸縮継手1は、第1内管2aと第1外管2bとの間の空間と、第2内管3aと第2外管3bとの間の空間とを連通する。
【0033】
図3に示すように、伸縮継手1は、ベローズ10と、第1継手フランジ20と、第2継手フランジ30と、スリーブ40と、圧縮機構50とを備える。
【0034】
ベローズ10は、蛇腹構造を有する筒状の部材である。ベローズ10は、軸方向Aに伸縮可能である。ベローズ10は、第1内管2aと第2内管3aと同軸に配置されている。ベローズ10は、第1内管2aの内部空間と第2内管3aの内部空間とを連通する。本実施形態のベローズ10は、本発明に係る内管の一例である。
【0035】
以下の説明において、ベローズ10の軸方向Aを単に軸方向Aという場合がある。また、以下の説明において、軸方向Aを中心とする仮想円の周方向を単に周方向という場合があり、軸方向Aを中心とする仮想円の径方向を単に径方向という場合がある。
【0036】
ベローズ10は、弾性体である。言い換えれば、ベローズ10は、軸方向Aにおける自然長(以下、単に自然長という)から伸びているまたは縮んでいるとき、自然長に戻ろうとする。図1から図3に示す状態では、ベローズ10は自然長の状態で、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30との間に配置されている。
【0037】
ベローズ10の軸方向Aにおける一端(図3において左側の端部)には、第1継手フランジ20が固定されている。第1継手フランジ20は、ベローズ10の軸方向Aにおける一端を第1配管2に接続する。
【0038】
第1継手フランジ20は、円筒状である。第1継手フランジ20の内周面に、ベローズ10の軸方向Aにおける一端が固定されている。第1継手フランジ20には、ベローズ10の内部空間と連通する第1内側貫通穴21と、ベローズ10とスリーブ40との間の空間と連通する第1外側貫通穴22とが設けられている。伸縮継手1が第1配管2に接続されたとき、第1内側貫通穴21は、第1配管フランジ4の第1内孔4aと連通する。これにより、ベローズ10の内部空間と第1内管2aの内部空間とが連通する。伸縮継手1が第1配管2に接続されたとき、第1外側貫通穴22は、第1配管フランジ4の第1外孔4bと連通する。これにより、ベローズ10とスリーブ40との間の空間と、第1内管2aと第1外管2bとの間の空間が連通する。本実施形態に係る第1継手フランジ20は、本発明に係る第1接続部の一例である。
【0039】
第1継手フランジ20は、第1配管フランジ4にボルトで機械的に接続されている。第1継手フランジ20と第1配管フランジ4との間には、2つのシール部材60,61が配置されている。
【0040】
本実施形態のシール部材60は、Oリングである。シール部材60は、第1継手フランジ20のうち第1配管フランジ4と向き合う面において、第1内側貫通穴21よりも径方向外側かつ第1外側貫通穴22よりも径方向内側に配置された収容部23内に配置されている。言い換えれば、第1継手フランジ20のうち第1配管フランジ4と向き合う面において、第1内側貫通穴21よりも径方向外側かつ第1外側貫通穴22よりも径方向内側には、シール部材60を収容するための収容部23が配置されている。収容部23は、第1内側貫通穴21の周囲に環状に配置されており、第1継手フランジ20のうち第1配管フランジ4と向き合う面から窪んでいる。
【0041】
本実施形態のシール部材61は、Oリングである。シール部材61は、第1継手フランジ20のうち第1配管フランジ4と向き合う面おいて、第1外側貫通穴22よりも径方向外側に配置された収容部24内に配置されている。言い換えれば、第1継手フランジ20のうち第1配管フランジ4と向き合う面において、第1外側貫通穴22よりも径方向外側には、シール部材61を収容するための収容部24が配置されている。収容部24は、第1外側貫通穴22の周囲に環状に配置されており、第1継手フランジ20のうち第1配管フランジ4と向き合う面から窪んでいる。
【0042】
ベローズ10の軸方向Aにおける他端(図3において右側の端部)には、第2継手フランジ30が固定されている。第2継手フランジ30は、ベローズ10の軸方向Aにおける他端を第2配管3に接続する。
【0043】
第2継手フランジ30は、円筒状である。第2継手フランジ30の内周面に、ベローズ10の軸方向Aにおける他端が固定されている。第2継手フランジ30には、ベローズ10の内部空間と連通する第2内側貫通穴31と、ベローズ10とスリーブ40との間の空間と連通する第2外側貫通穴32とが設けられている。伸縮継手1が第2配管3に接続されたとき、第2内側貫通穴31は、第2配管フランジ5の第2内孔5aと連通する。これにより、ベローズ10の内部空間と第2内管3aの内部空間とが連通する。伸縮継手1が第2配管3に接続されたとき、第2外側貫通穴32は、第2配管フランジ5の第2外孔5bと連通する。これにより、ベローズ10とスリーブ40との間の空間と、第2内管3aと第2外管3bとの間の空間が連通する。本実施形態に係る第2継手フランジ30は、本発明に係る第2接続部の一例である。
【0044】
第2継手フランジ30は、第2配管フランジ5にボルトで機械的に接続されている。第2継手フランジ30と第2配管フランジ5との間には、2つのシール部材62,63が配置されている。
【0045】
本実施形態のシール部材62は、Oリングである。シール部材62は、第2継手フランジ30のうち第2配管フランジ5と向き合う面おいて、第2内側貫通穴31よりも径方向外側かつ第2外側貫通穴32よりも径方向内側に配置された収容部33内に配置されている。言い換えれば、第2継手フランジ30のうち第2配管フランジ5と向き合う面において、第2内側貫通穴31よりも径方向外側かつ第2外側貫通穴32よりも径方向内側には、シール部材62を収容するための収容部33が配置されている。収容部33は、第2内側貫通穴31の周囲に環状に配置されており、第2継手フランジ30のうち第2配管フランジ5と向き合う面から窪んでいる。
【0046】
本実施形態のシール部材63は、Oリングである。シール部材63は、第2継手フランジ30のうち第2配管フランジ5と向き合う面おいて、第2外側貫通穴32よりも径方向外側に配置された収容部34内に配置されている。言い換えれば、第2継手フランジ30のうち第2配管フランジ5と向き合う面において、第2外側貫通穴32よりも径方向外側には、シール部材63を収容するための収容部34が配置されている。収容部34は、第2外側貫通穴32の周囲に環状に配置されており、第2継手フランジ30のうち第2配管フランジ5と向き合う面から窪んでいる。
【0047】
スリーブ40は、ベローズ10の外径よりも大きい内径を有する円筒状である。スリーブ40は、ベローズ10と同軸に配置されている。スリーブ40は、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30に嵌め合わされている。スリーブ40は、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30との外周を覆っている。具体的には、スリーブ40は、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30とを径方向外側から覆っている。本実施形態のスリーブ40は、本発明に係る外管の一例である。
【0048】
本実施形態のスリーブ40の内周面の軸方向Aにおける中央部には、径方向外側に窪んで形成された薄肉部40aが設けられている。なお、スリーブ40は、薄肉部40aが設けられず、軸方向Aに沿って同じ厚みで形成されてもよい。
【0049】
スリーブ40の内周面と第1継手フランジ20の外周面との間には、シール部材64が配置されている。スリーブ40の内周面と第2継手フランジ30の外周面との間には、シール部材65が配置されている。
【0050】
本実施形態のシール部材64は、Oリングである。シール部材64は、第1継手フランジ20の外周面に配置された収容部25内に収容されている。言い換えれば、第1継手フランジ20の外周面には、シール部材64を収容するための収容部25が配置されている。収容部25は、第1継手フランジ20の外周面に周方向に沿って環状に配置されており、第1継手フランジ20の外周面から窪んでいる。本実施形態のシール部材64とスリーブ40の内周面との接触箇所によって、第1継手フランジ20とスリーブ40との間をシールする第1シール部S1が構成されている。言い換えれば、本実施形態のシール部材64とスリーブ40の内周面とが接触している部分によって、第1継手フランジ20とスリーブ40との間をシールする第1シール部S1が構成されている。
【0051】
本実施形態のシール部材65は、Oリングである。シール部材65は、第2継手フランジ30の外周面に配置された収容部35内に収容されている。言い換えれば、第2継手フランジ30の外周面には、シール部材65を収容するための収容部35が配置されている。収容部35は、第2継手フランジ30の外周面に周方向に沿って環状に配置されており、第2継手フランジ30の外周面から窪んでいる。本実施形態のシール部材65とスリーブ40の内周面との接触箇所によって、第2継手フランジ30とスリーブ40との間をシールする第2シール部S2が構成されている。言い換えれば、本実施形態のシール部材65とスリーブ40の内周面とが接触している部分によって、第2継手フランジ30とスリーブ40との間をシールする第2シール部S2が構成されている。
【0052】
本実施形態のスリーブ40の軸方向Aにおける寸法(長さ)Lは、第1シール部S1と第2シール部S2との間の軸方向Aにおける間隔Gより長い。スリーブ40の長さLは、ベローズ10が伸長して、間隔Gが最も広がった場合であっても、間隔Gよりも長くなるように規定されている。本実施形態では、ベローズ10の伸縮状態に関わらず、スリーブ40の長さLは、常に間隔Gよりも長い。具体的には、仮に、ベローズ10が伸長し、伸縮継手1全体が伸長したとしても、スリーブ40の長さLが間隔Gよりも長くなっている。
【0053】
本実施形態の薄肉部40aの軸方向Aにおける寸法Liは、第1シール部S1と第2シール部S2との間の軸方向Aにおける間隔Gより短い。詳細には、薄肉部40aの軸方向Aにおける寸法Liは、ベローズ10が圧縮されて、間隔Gが最も狭くなった場合であっても、間隔Gよりも短くなるように規定されている。本実施形態では、ベローズ10の伸縮状態に関わらず、薄肉部40aの軸方向Aにおける寸法Liは、常に間隔Gよりも短い。具体的には、仮に、ベローズ10が圧縮され、伸縮継手1全体が縮んだとしても、薄肉部40aの軸方向Aにおける寸法Liが間隔Gよりも短くなっている。
【0054】
第1配管2側の収容部25は、周方向に延びた溝状である。具体的には、第1配管2側の収容部25は、周方向に延びる底壁25aと、底壁25aから径方向外側に立ち上がる第1側壁25bと、底壁25aから径方向外側に立ち上がって第1側壁25bと対向する第2側壁25cとから形成されている。第1側壁25bは、第2側壁25cよりも第2配管3側の収容部35から離れている。言い換えれば、第2側壁25cは、第1側壁25bよりも第2配管3側の収容部35に近い。更に言い換えれば、第1側壁25bと収容部35との間の軸方向Aにおける距離は、第2側壁25cと収容部35との間の軸方向Aにおける距離よりも長い。収容部25に収容されたシール部材64は、底壁25aと第1側壁25bと第2側壁25cとで画定された空間に配置されている。
【0055】
第2配管3側の収容部35は、周方向に延びた溝状である。具体的には、第2配管3側の収容部35は、周方向に延びる底壁35aと、底壁35aから径方向外側に立ち上がった第1側壁35bと、底壁35aから径方向外側に立ち上がって第1側壁35bと対向する第2側壁35cとから形成されている。第1側壁35bは、第2側壁35cよりも第1配管2側の収容部25から離れている。言い換えれば、第2側壁35cは、第1側壁35bよりも第1配管2側の収容部25に近い。更に言い換えれば、第1側壁35bと収容部25との間の軸方向Aにおける距離は、第2側壁35cと収容部25との間の軸方向Aにおける距離よりも長い。収容部35に収容されたシール部材65は、底壁35aと第1側壁35bと第2側壁35cとで画定された空間に配置されている。
【0056】
収容部25の第1側壁25bと収容部35の第1側壁35bとの間隔G1がスリーブ40の軸方向Aにおける寸法(長さ)Lを規定する。詳細には、スリーブ40の長さLは、ベローズ10が伸長して、間隔G1が最も広がった場合であっても、間隔G1よりも長くなるように規定されている。すなわち、本実施形態では、ベローズ10の伸縮状態に関わらず、スリーブ40の長さLは、常に間隔G1よりも長い。具体的には、仮に、ベローズ10が伸長し、伸縮継手1全体が伸長したとしても、スリーブ40の長さLが間隔G1よりも長くなっている。これにより、シール部材64による第1継手フランジ20とスリーブ40との間のシールが維持され、シール部材65による第2継手フランジ30とスリーブ40との間のシールが維持される。その結果、シール部材64,65は、ベローズ10とスリーブ40とで画定された空間の密閉状態を常に維持することができる。
【0057】
また、ベローズ10の伸縮状態に関わらず、薄肉部40aの軸方向Aにおける寸法Liは、収容部25の第2側壁25cと収容部35の第2側壁35cとの間隔G2より常に短い。具体的には、仮に、ベローズ10が圧縮され、伸縮継手1全体が圧縮されたとしても、薄肉部40aの軸方向における寸法Liは、間隔G2より短い。詳細には、ベローズ10が軸方向Aに圧縮され、間隔G2が最も狭くなったとき、つまり第1継手フランジ20と第2継手フランジ30とが最も近づいたときであっても、間隔G2は、スリーブ40の薄肉部40aの軸方向Aにおける寸法Liよりも長い。これにより、シール部材64による第1継手フランジ20とスリーブ40との間のシールが維持され、シール部材65による第2継手フランジ30とスリーブ40との間のシールが維持される。その結果、シール部材64,65は、ベローズ10とスリーブ40とで画定された空間の密閉状態を常に維持することができる。
【0058】
圧縮機構50は、スリーブ40に対する第1継手フランジ20の位置を調整する位置調整手段70と、スリーブ40に対する第2継手フランジ30の移動を規制する規制部80とを備える。位置調整手段70と規制部80とにより、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30との間の軸方向Aにおける間隔が調整および維持される。第1継手フランジ20と第2継手フランジ30との軸方向Aにおける間隔が調整されることで、ベローズ10が軸方向Aにおいて伸縮する。
【0059】
位置調整手段70は、スリーブ40に対する第1継手フランジ20の位置を調整する。言い換えれば、位置調整手段70は、スリーブ40と第1継手フランジ20との相対的な位置を調整する。位置調整手段70は、第1継手フランジ20とスリーブ40とを機械的に接続している。図1に示すように、本実施形態では、位置調整手段70は、伸縮継手1の外周面の2箇所に配置されている。すなわち、本実施形態では、2つの位置調整手段70が設けられている。本実施形態の2つの位置調整手段70は、周方向において等間隔に配置されている。
【0060】
位置調整手段70は、第1継手フランジ20に一体的に設けられた第1ブロック71と、スリーブ40に一体的に設けられた第2ブロック72と、第1ブロック71と第2ブロック72との間の軸方向Aにおける間隔を調整する調整機構73とを備える。
【0061】
第1ブロック71は、第1継手フランジ20の外周面から径方向外側に突出するように配置されている。本実施形態では、第1ブロック71は、第1継手フランジ20とは別体であり、第1継手フランジ20に溶接されることで、第1継手フランジ20に一体的に設けられている。第1ブロック71と第1継手フランジ20とは、一体成形された単一の部品であってもよい。
【0062】
第2ブロック72は、スリーブ40の外周面から径方向外側に突出するように配置されている。本実施形態では、第2ブロック72は、スリーブ40とは別体であり、スリーブ40に溶接されることで、スリーブ40に一体的に設けられている。第2ブロック72とスリーブ40とは、一体成形された単一の部品であってもよい。
【0063】
本実施形態の調整機構73は、ねじ機構である。具体的には、本実施の調整機構73は、頭部Hおよび頭部Hに連結した軸部Sを有するボルトBを有する。第1ブロック71と第2ブロック72とのそれぞれには、ボルトBの軸部Sを挿入可能な穴部71a,72aが設けられている。ボルトBの軸部Sには、雄ねじが形成されており、第2ブロック72の穴部72aを画定する内側面には、ボルトBに形成された雄ねじと嵌め合わされる雌ねじが形成されている。ボルトBは、軸部Sが第1ブロック71の穴部71aの内部に位置している状態で、第2ブロック72に嵌め合わされている。
【0064】
規制部80は、スリーブ40に対する第2継手フランジ30の移動を規制する。より詳細には、規制部80は、スリーブ40に対して第1継手フランジ20と反対側への第2継手フランジ30の移動を規制する。言い換えれば、第2継手フランジ30に対して第1継手フランジ20側へのスリーブ40の移動を規制する。
【0065】
本実施形態の規制部80は、スリーブ40に一体的に設けられ、第2継手フランジ30に向けて突出した突出部81と、第2継手フランジ30に配置され、突出部81と係合する凹部82とを有している。突出部81は、スリーブ40の内周面から径方向内側に突出している。突出部81はスリーブ40の内周面において全周に亘って配置されている。凹部82は、第2継手フランジ30の外周面から径方向の内側に窪んでいる。凹部82は、第2継手フランジ30の外周面において全周に亘って配置されている。
【0066】
ボルトBが第2ブロック72に締め込まれると、ボルトBの頭部Hにより第1ブロック71が第2ブロック72に向けて押される。これにより、第1ブロック71と第2ブロック72との間隔が狭くなる。規制部80がスリーブ40に対する第1継手フランジ20とは反対側への第2継手フランジ30の移動を規制している状態で、第1ブロック71と第2ブロック72との間の間隔を狭くすると、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30との間の間隔が狭くなる。これにより、ベローズ10が軸方向Aにおいて圧縮されて、伸縮継手1の軸方向Aにおける寸法が小さくなる。
【0067】
以下、図4から図6を参照して、伸縮継手1の第1配管2および第2配管3への取り付け方法を説明する。
【0068】
まず、図4に示すように、伸縮継手1が準備される。図4に示す状態では、伸縮継手1の軸方向Aにおける寸法Wは、第1配管フランジ4と第2配管フランジ5との間の軸方向Aにおける距離Dと概ね同じである。また、図4に示す状態では、位置調整手段70は、ベローズ10により第2継手フランジ30から離れるように付勢された第1継手フランジ20を位置決めしている。これにより、ベローズ10の復元力によって、第1継手フランジ20とスリーブ40とが分離しないようになっている。
【0069】
次に、図5に示すように、規制部80がスリーブ40に対する第1継手フランジ20と反対側への第2継手フランジ30の移動を規制した状態で、ボルトBが第2ブロック72に締め込まれると、第1ブロック71と第2ブロック72とが近づくように移動して、ベローズ10が圧縮される。これにより、伸縮継手1の軸方向Aにおける寸法W1が、第1配管フランジ4と第2配管フランジ5との間の軸方向Aにおける距離Dよりも小さくなる。
【0070】
次に、図6に示すように、伸縮継手1が第1配管フランジ4と第2配管フランジ5との間に差し込まれる。その後、ボルトBが緩められることにより、第1ブロック71と第2ブロック72とが離れるように移動し、伸縮継手1の軸方向Aにおける寸法が、第1配管フランジ4と第2配管フランジ5との間の距離Dと適合される。その後、第1継手フランジ20と第1配管フランジ4とが締結されるとともに、第2継手フランジ30と第2配管フランジ5とが締結されることで、伸縮継手1が第1配管2および第2配管3に接続される。
【0071】
本実施形態の伸縮継手1は、ベローズ10を軸方向Aにおいて圧縮するための圧縮機構50を備える。この構成によれば、伸縮継手1を第1配管2および第2配管3に取り付けるときに、圧縮機構50により軸方向Aに圧縮させた状態の伸縮継手1を第1配管2と第2配管3との間に差し込むことができる。これにより、伸縮継手1が第1配管2または第2配管3と接触することを抑制することができる。その結果、伸縮継手1を第1配管2に取り付けるときに、第1継手フランジ20に配置されたシール部材60,61が、第1配管フランジ4に接触して損傷することを抑制することができる。同様に、伸縮継手1を第2配管3に取り付けるときに、第2継手フランジ30にシール部材62,63が、第2配管フランジ5に接触して損傷することを抑制することができる。
【0072】
本実施形態の伸縮継手1は、第1継手フランジ20とスリーブ40との間をシールする第1シール部S1と、第2継手フランジ30とスリーブ40との間をシールする第2シール部S2とを備える。スリーブ40の軸方向Aにおける寸法Lは、第1シール部S1と第2シール部S2との軸方向Aにおける間隔Gより長い。これにより、第1シール部S1と第2シール部S2とにより、ベローズ10とスリーブ40とで画定される空間の密封状態を常に維持することができる。具体的には、ベローズ10が伸びて、第1シール部S1と第2シール部S2との軸方向Aにおける間隔Gが広くなった場合であっても、第1シール部S1と第2シール部S2とにより、ベローズ10とスリーブ40とで画定される空間の密封状態を維持することができる。
【0073】
本実施形態の伸縮継手1は、第1継手フランジ20とスリーブ40との間をシールする第1シール部S1と、第2継手フランジ30とスリーブ40との間をシールする第2シール部S2とを備える。スリーブ40の内周面の軸方向Aにおける中央部には、径方向外側に窪んで形成された薄肉部40aが設けられている。薄肉部40aの軸方向Aにおける寸法Liは、第1シール部S1と第2シール部S2との軸方向Aにおける間隔Gより短い。これにより、第1シール部S1と第2シール部S2とにより、ベローズ10とスリーブ40とで画定される空間の密封状態を常に維持することができる。具体的には、ベローズ10が圧縮されて、第1シール部S1と第2シール部S2との軸方向Aにおける間隔Gが狭くなった場合であっても、第1シール部S1と第2シール部S2とにより、ベローズ10とスリーブ40とで画定される空間の密封状態を維持することができる。
【0074】
本実施形態の圧縮機構50は、スリーブ40に対する第1継手フランジ20の位置を調整する位置調整手段70と、スリーブ40に対する第2継手フランジ30の移動を規制する規制部80とを有する。この構成によれば、規制部80がスリーブ40に対する第2継手フランジ30の移動を規制した状態で、位置調整手段70がスリーブ40に対する第1継手フランジ20の位置を調整することで、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30との間の軸方向における間隔を調整することができる。これにより、伸縮継手1の軸方向Aにおける寸法を調整することができ、伸縮継手1を第1配管2および第2配管3へ取り付けるときの作業性を向上することができる。
【0075】
本実施形態の規制部80は、スリーブ40に対して第1継手フランジ20と反対側への第2継手フランジ30の移動を規制する。この構成によれば、伸縮継手1を軸方向Aにおいて圧縮するときに、第1継手フランジ20と第2継手フランジ30との間の間隔が広がることを抑制することができる。これにより、伸縮継手1の軸方向Aにおける寸法の調整を容易にすることができる。その結果、伸縮継手1を第1配管2および第2配管3へ取り付けるときの作業性を向上することができる。
【0076】
本実施形態の規制部80は、スリーブ40または第2継手フランジ30の一方に配置され、スリーブ40または第2継手フランジ30の他方に向けて突出した突出部81と、スリーブ40または第2継手フランジ30の他方に配置され、突出部81と係合する凹部82とを有する。
【0077】
本実施形態のベローズ10は、第1継手フランジ20がスリーブ40に近付くように移動したとき、第1継手フランジ20を第2継手フランジ30から離れる方向に付勢し、位置調整手段70は、第2継手フランジ30から離れる方向に付勢された第1継手フランジ20を位置決めする。この構成によれば、位置調整手段が第2継手フランジ30から離れる方向に付勢された第1継手フランジ20を位置決めするので、ベローズ10が圧縮された状態、すなわち伸縮継手1が圧縮された状態を維持することができる。これにより、伸縮継手1を第1配管2および第2配管3へ取り付けるときの作業性を向上することができる。また、伸縮継手1を第1配管2および第2配管3に取り付けるときに、伸縮継手1の軸方向Aにおける寸法が意図せず大きくなりシール部材60~63が損傷することを抑制することができる。
【0078】
本実施形態では、位置調整手段70は、第1継手フランジ20に一体的に設けられた第1ブロック71と、スリーブ40に一体的に設けられた第2ブロック72と、第1ブロック71と第2ブロック72との間の軸方向Aにおける間隔を調整する調整機構73とを備える。
【0079】
本実施形態では、調整機構73は、ねじ機構であり、圧縮機構50は、規制部80が第1継手フランジ20とは反対側への第2継手フランジ30の移動を規制した状態で、ねじ機構が締め込まれることで、第1ブロック71と第2ブロック72とが近づいて、ベローズ10を圧縮する。
【0080】
この構成によれば、ねじ機構を締め込むことで、ベローズ10を圧縮することができるので、伸縮継手1を圧縮することができる。これにより、簡単な構成で、シール部材60~63の損傷を抑制することができる。
【0081】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0082】
上記実施形態では、伸縮継手1として、ベローズ10とスリーブ40とで構成された二重管構造を採用したが、これに限定されず、三重管構造などの多重管構造を採用してもよい。
【0083】
上記実施形態では、本発明に係る内管の一例としてベローズ10を説明したが、本発明に係る内管は、これに限定されず、軸方向に伸縮可能な他の部材であってもよい。また、本発明に係る内管は、円筒状に限定されず、多角形断面を有する筒状または管状であってもよい。本発明に係る内管は、弾性体でなくてもよい。
【0084】
上記実施形態では、本発明に係る外管の一例としてスリーブ40を説明したが、本発明に係る外管は、これに限定されず、他の部材であってもよい。また、上記実施形態では、外管は、円筒状であったが、これに限定されず、多角形断面を有する筒状または管状であってもよい。
【0085】
上記実施形態では、圧縮機構50は、位置調整手段70と規制部80とで構成されていたが、本発明に係る圧縮機構は、これに限定されず、内管を軸方向に圧縮可能な他の機構であってもよい。
【0086】
上記実施形態では、調整機構73は、ねじ機構であったが、本発明に係る調整機構は、これに限定されず、他の機構であってもよい。
【0087】
上記実施形態では、シール部材60,61は、第1継手フランジ20に配置されていたが、これに限定されず、第1配管フランジ4に配置されてもよい。上記実施形態では、2つのシール部材60,61を用いたが1枚のガスケットを第1継手フランジ20または第1配管フランジ4に配置してもよい。このとき、ガスケットには、第1外孔4bと第1外側貫通穴22とを連通する孔が形成されてもよい。
【0088】
上記実施形態では、シール部材62,63は、第2継手フランジ30に配置されていたが、これに限定されず、第2配管フランジ5に配置されてもよい。上記実施形態では、2つのシール部材62,63を用いたが1枚のガスケットを第2継手フランジ30または第2配管フランジ5に配置してもよい。このとき、ガスケットには、第2外孔5bと第2外側貫通穴32とを連通する孔が形成されてもよい。
【0089】
上記実施形態では、樹脂製のシール部材60~65を採用したが、これに限定されない。例えば、紙パッキン、液体パッキンなど樹脂製以外のシール部材を採用してもよい。
【0090】
第1継手フランジ20に第1外側貫通穴22を形成し、第2継手フランジ30に第2外側貫通穴32を形成したが、これに限定されない。ベローズ10とスリーブ40で画定された密封空間と、第1外孔4bおよび第2外孔5bを連通する管を別に設けても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 伸縮継手
2 第1配管
2a 第1内管
2b 第1外管
3 第2配管
3a 第2内管
3b 第2外管
4 第1配管フランジ
4a 第1内孔
4b 第1外孔
5 第2配管フランジ
5a 第2内孔
5b 第2外孔
10 ベローズ(内管)
20 第1継手フランジ
21 第1内側貫通穴
22 第1外側貫通穴
23~25 収容部
25a 底壁
25b 第1側壁
25c 第2側壁
30 第2継手フランジ
31 第2内側貫通穴
32 第2外側貫通穴
33~35 収容部
35a 底壁
35b 第1側壁
35c 第2側壁
40 スリーブ(外管)
50 圧縮機構
60~65 シール部材
70 位置調整手段
71 第1ブロック
72 第2ブロック
73 調整機構
80 規制部
81 突出部
82 凹部
S1 第1シール部
S2 第2シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲み、前記内管との間で流路を形成する外管と、
前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と
を備える、伸縮継手。
【請求項2】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と、
前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、
前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部と
を備え、
前記外管の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より長い、伸縮継手。
【請求項3】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と、
前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、
前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部と
を備え、
前記外管の内周面の前記軸方向における中央部には、径方向外側に窪んで形成された薄肉部が設けられており、
前記薄肉部の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より短い、伸縮継手。
【請求項4】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と
を備え、
前記圧縮機構は、
前記外管に対する前記第1接続部の位置を調整する位置調整手段と、
前記外管に対する前記第2接続部の移動を規制する規制部と
を有する、伸縮継手。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲み、前記内管との間で流路を形成する外管と、
前記第1接続部のうち前記第1配管と向き合う面と、前記第2接続部のうち前記第2配管と向き合う面との間の前記軸方向における距離が、前記第1配管と前記第2配管との間の前記軸方向における距離よりも小さくなるように、前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と
を備える、伸縮継手。
【請求項2】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記第1接続部のうち前記第1配管と向き合う面と、前記第2接続部のうち前記第2配管と向き合う面との間の前記軸方向における距離が、前記第1配管と前記第2配管との間の前記軸方向における距離よりも小さくなるように、前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と、
前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、
前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部と
を備え、
前記外管の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より長い、伸縮継手。
【請求項3】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記第1接続部のうち前記第1配管と向き合う面と、前記第2接続部のうち前記第2配管と向き合う面との間の前記軸方向における距離が、前記第1配管と前記第2配管との間の前記軸方向における距離よりも小さくなるように、前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と、
前記第1接続部と前記外管との間をシールする第1シール部と、
前記第2接続部と前記外管との間をシールする第2シール部と
を備え、
前記外管の内周面の前記軸方向における中央部には、径方向外側に窪んで形成された薄肉部が設けられており、
前記薄肉部の前記軸方向における寸法が、前記第1シール部と前記第2シール部との前記軸方向における間隔より短い、伸縮継手。
【請求項4】
第1配管と第2配管とを接続するための伸縮継手であって、
軸方向に伸縮可能な内管と、
前記内管の前記軸方向における一端に固定されており、前記第1配管と接続される第1接続部と、
前記内管の前記軸方向における他端に固定されており、前記第2配管と接続される第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部の外周を取り囲む外管と、
前記内管を前記軸方向に圧縮するための圧縮機構と
を備え、
前記圧縮機構は、
前記外管に対する前記第1接続部の位置を調整する位置調整手段と、
前記外管に対する前記第2接続部の移動を規制する規制部と
を有する、伸縮継手。