(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157700
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20241031BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20241031BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20241031BHJP
H10N 50/80 20230101ALI20241031BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 W
G01R33/02 V
H10N50/10 Z
H10N50/80 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072210
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒田 剛大
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲和
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA03
2G017AA10
2G017AC01
2G017AC07
2G017AD55
2G017AD63
2G017BA09
5F092AB01
5F092AC08
5F092AC12
5F092BB16
5F092BB30
5F092BB33
5F092BC04
5F092BC07
5F092BC42
5F092FA08
(57)【要約】
【課題】複数の磁気検出素子を電気的に接続するための配線の構造を簡単にすることができる磁気センサを実現する。
【解決手段】磁気センサ1は、複数のMR素子30と、それぞれ第1の方向D1に長い部分を含む複数のヨーク40と、それぞれ第2の方向D2に長い部分を含む複数のシールド50とを備えている。複数のMR素子30は、複数の第1の特定の素子30A1~30A3を含んでいる。複数のヨーク40は、それぞれ複数の第1の特定の素子30A1~30A3の各々を挟む複数のヨーク対を含んでいる。複数のシールド50は、それぞれ複数の第1の特定の素子30A1~30A3の各々を挟む複数のシールド対を含んでいる。複数の第1の特定の素子30A1~30A3は、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に並んでいる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁気検出素子と、
それぞれ第1の方向に長い部分を含む複数のヨークと、
それぞれ前記第1の方向と交差する第2の方向に長い部分を含む複数のシールドと備え、
前記複数の磁気検出素子は、互いに電気的に接続された複数の第1の特定の素子を含み、
前記複数のヨークは、それぞれ複数の第1の特定の素子の各々を挟むように配置された第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークよりなる複数のヨーク対を含み、
複数のヨーク対の各々において、前記第1の特定のヨークおよび前記第2の特定のヨークは、前記第1の特定のヨークと前記第2の特定のヨークとの間に挟まれた1つの第1の特定の素子を中心として、前記第1の方向に平行な方向において互いにずれており、
前記複数のシールドは、それぞれ複数の第1の特定の素子の各々を挟むように配置された第1の特定のシールドおよび第2の特定のシールドよりなる複数のシールド対を含み、
前記複数の第1の特定の素子は、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する方向に並んでいることを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記複数の磁気検出素子は、それぞれ前記複数の第1の特定の素子よりなる複数の第1の素子グループを含み、
前記複数の第1の素子グループは、前記第2の方向に平行な方向に並んでいることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記複数のヨーク対の各々において、前記第1の特定のヨークと前記第2の特定のヨークの少なくとも一方は、前記複数の第1の特定の素子のうちの2つの間に挟まれていることを特徴とする請求項1または2記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記複数の磁気検出素子は、更に、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する方向に並び、互いに電気的に接続され且つ前記複数の第1の特定の素子の各々には電気的に直接接続されていない複数の第2の特定の素子を含み、
前記複数の第1の特定の素子のうちの1つと、前記複数の第2の特定の素子のうちの1つは、それらの間に前記第1の特定のヨークまたは前記第2の特定のヨークを挟むように配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記複数の磁気検出素子は、それぞれ前記複数の第1の特定の素子よりなり且つ前記第2の方向に並ぶ複数の第1の素子グループと、それぞれ前記複数の第2の特定の素子よりなり且つ前記第2の方向に並ぶ複数の第2の素子グループとを含むことを特徴とする請求項4記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記複数のヨーク対の各々において、前記第1の特定のヨークと前記第2の特定のヨークの少なくとも一方は、前記複数の第1の特定の素子のうちの2つに挟まれ且つ前記複数の第2の特定の素子のうちの2つに挟まれていることを特徴とする請求項4または5記載の磁気センサ。
【請求項7】
更に、第1の端子と、
第2の端子と、
第3の端子とを備え、
前記複数の第1の特定の素子は、回路構成上、前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられ、
前記複数の第2の特定の素子は、回路構成上、前記第2の端子と前記第3の端子との間に設けられていることを特徴とする請求項4または5記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記複数の磁気検出素子は、更に、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する方向に並び、互いに電気的に接続され且つ前記複数の第1の特定の素子の各々には電気的に直接接続されていない複数の第2の特定の素子を含み、
前記複数の第1の特定の素子のうちの1つと、前記複数の第2の特定の素子のうちの1つは、それらの間に前記第1の特定のシールドまたは前記第2の特定のシールドを挟むように配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記複数の磁気検出素子の各々は、第1の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な第2の磁化を有する自由層とを含む磁気抵抗効果素子であり、
前記磁化固定層の前記第1の磁化は、所定の一方向の成分を含み、
前記所定の一方向は、前記複数の磁気検出素子において同じ方向であることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項10】
更に、上面を有し、前記複数の磁気検出素子、前記複数のヨークおよび前記複数のシールドを支持する支持部材を備え、
前記複数のヨークは、前記支持部材の前記上面に垂直な一方向から見たときに前記複数のシールドのうちの対応するシールドと十字状に交差する少なくとも1つのヨークを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項11】
更に、上面を有し、前記複数の磁気検出素子、前記複数のヨークおよび前記複数のシールドを支持する支持部材を備え、
前記複数のヨークは、前記支持部材の前記上面に垂直な一方向から見たときに前記複数のシールドのうちの対応するシールドとT字状に交差する少なくとも1つのヨークを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項12】
更に、前記複数の磁気検出素子によって構成された複数の抵抗部を備え、
前記複数の磁気検出素子は、前記複数の抵抗部に対応する複数の領域に分割して配置され、
前記複数の領域の各々は、前記第1の方向に長い形状を有していることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項13】
更に、第1の電源端子と、
第2の電源端子と、
グランド端子と、
第1の出力端子と、
第2の出力端子と、
第3の出力端子と、
第4の出力端子と、
前記第1の電源端子と前記第1の出力端子との間に設けられた第1の抵抗部と、
前記グランド端子と前記第1の出力端子との間に設けられた第2の抵抗部と、
前記グランド端子と前記第2の出力端子との間に設けられた第3の抵抗部と、
前記第1の電源端子と前記第2の出力端子との間に設けられた第4の抵抗部と、
前記第2の電源端子と前記第3の出力端子との間に設けられた第5の抵抗部と、
前記グランド端子と前記第3の出力端子との間に設けられた第6の抵抗部と、
前記グランド端子と前記第4の出力端子との間に設けられた第7の抵抗部と、
前記第2の電源端子と前記第4の出力端子との間に設けられた第8の抵抗部とを備え、
前記第1ないし第8の抵抗部は、前記複数の磁気検出素子によって構成され、
前記複数の磁気検出素子は、更に、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と交差する方向に並び、互いに電気的に接続され且つ前記複数の第1の特定の素子の各々には電気的に直接接続されていない複数の第2の特定の素子を含み、
前記複数の第1の特定の素子と前記複数の第2の特定の素子の各々は、第1の領域、第2の領域、第3の領域および第4の領域に分割して配置され、
前記第1の抵抗部は、前記複数の第1の特定の素子のうち前記第1の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第2の抵抗部は、前記複数の第2の特定の素子のうち前記第1の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第3の抵抗部は、前記複数の第1の特定の素子のうち前記第2の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第4の抵抗部は、前記複数の第2の特定の素子のうち前記第2の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第5の抵抗部は、前記複数の第1の特定の素子のうち前記第3の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第6の抵抗部は、前記複数の第2の特定の素子のうち前記第3の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第7の抵抗部は、前記複数の第1の特定の素子のうち前記第4の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第8の抵抗部は、前記複数の第2の特定の素子のうち前記第4の領域に配置された複数の素子によって構成され、
前記第1の領域と前記第2の領域は、所定の間隔を開けて配置され、
前記第3の領域と前記第4の領域は、前記第1の領域と前記第2の領域との間において、前記第1の領域と前記第2の領域とが並ぶ方向に直交する方向に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の磁気検出素子と複数のヨークとを含み、所定の方向の磁界を検出するように構成された磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の用途で、磁気センサが利用されている。磁気センサとしては、基板上に設けられた複数の磁気検出素子を用いたものが知られている。磁気検出素子としては、例えば磁気抵抗効果素子が用いられる。また、所定の方向の磁界を検出するために、検出対象の磁界を受けて所望の方向の磁界成分を出力する軟磁性体を設けた磁気センサが知られている。
【0003】
特許文献1には、外部磁界のX方向に平行な方向の成分を検出する第1の磁気センサと、外部磁界のY方向に平行な方向の成分を検出する第2の磁気センサと、外部磁界のZ方向に平行な方向の成分を検出する第3の磁気センサと、複数のヨークを含む磁界変換部と、軟磁性層とを含む磁気センサ装置が開示されている。磁界変換部は、Z方向に平行な方向の磁界成分を受けて、第3の磁気センサに印加される磁界成分を出力する。第3の磁気センサは、磁界変換部から出力される磁界成分を検出するように構成されている。軟磁性層は、第3の磁気センサの全域を覆っている。
【0004】
特許文献2には、軟磁性フラックスコンセントレータの4つの隅の位置の近傍にそれぞれ磁気抵抗センシングユニットを配置したY軸磁界センサが開示されている。このY軸磁界センサでは、4つの隅のうちの2つの近傍の磁気抵抗センシングユニットは、プッシュアームの磁気抵抗センシングユニットであり、4つの隅のうちの他の2つの近傍の磁気抵抗センシングユニットは、プルアームの磁気抵抗センシングユニットである。プッシュアームの磁気抵抗センシングユニットのピンニング層の磁化方向と、プルアームの磁気抵抗センシングユニットのピンニング層の磁化方向は同じである。Y軸に平行な方向の外部磁界の作用下では、プッシュアームおよびプルアームの自由層の磁界方向は反対向きとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-168239号公報
【特許文献2】特表2017-534855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、磁気センサは、複数の磁気検出素子によって構成されたブリッジ回路を有している。ブリッジ回路は、2つまたは4つのアームを含んでいる。2つまたは4つのアームの各々において、複数の磁気検出素子は、直列に接続されている。
【0007】
ところで、特許文献2のY軸磁界センサのように、検出対象の磁界を受けて所望の方向の磁界成分を出力する軟磁性体を設けた磁気センサでは、軟磁性体と磁気検出素子との位置関係に応じて、磁気検出素子に印加される磁界成分の方向が変化する。そのため、この磁気センサでは、アーム毎に、複数の磁気検出素子の各々に印加される磁界成分の方向が一致するように、複数の磁気検出素子を配置する必要がある。しかしながら、このように複数の磁気検出素子を配置した状態でブリッジ回路を構成しようとすると、複数の磁気検出素子を電気的に接続するための配線の構造が複雑になるという問題があった。この問題は、特に、磁気センサの感度を高めるために、単位面積当たりの磁気検出素子の数を多くする場合に顕著になる。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の磁気検出素子と複数のヨークとを含み、所定の方向の磁界を検出するように構成された磁気センサにおいて、単位面積当たりの磁気検出素子の数を多くしながら、複数の磁気検出素子を電気的に接続するための配線の構造を簡単にすることが可能な磁気センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の磁気センサは、複数の磁気検出素子と、それぞれ第1の方向に長い部分を含む複数のヨークと、それぞれ第1の方向と交差する第2の方向に長い部分を含む複数のシールドと備えている。複数の磁気検出素子は、互いに電気的に接続された複数の第1の特定の素子を含んでいる。複数のヨークは、それぞれ複数の第1の特定の素子の各々を挟むように配置された第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークよりなる複数のヨーク対を含んでいる。複数のヨーク対の各々において、第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークは、第1の特定のヨークと第2の特定のヨークとの間に挟まれた1つの第1の特定の素子を中心として、第1の方向に平行な方向において互いにずれている。複数のシールドは、それぞれ複数の第1の特定の素子の各々を挟むように配置された第1の特定のシールドおよび第2の特定のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。複数の第1の特定の素子は、第1の方向および第2の方向の各々と交差する方向に並んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の磁気センサでは、複数の第1の特定の素子は、第1の方向および第2の方向の各々と交差する方向に並んでいる。これにより、本発明によれば、複数の磁気検出素子を電気的に接続するための配線の構造を簡単にすることが可能な磁気センサを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを示す平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの素子配置領域を示す平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの回路構成を示す回路図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態における複数の磁気検出素子、複数のヨークおよび複数のシールドを示す平面図である。
【
図5】
図4において5-5線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。
【
図6】
図4において6-6線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの動作を説明するための説明図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態における複数のヨークが着磁した状態を示す説明図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態における複数のヨークが着磁した状態を示す説明図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの一部を示す断面図である。
【
図12】本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサの一部を示す断面図である。
【
図13】本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサの素子配置領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの概略の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁気センサ1を示す平面図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、複数の磁気検出素子と、複数のヨーク40と、複数のシールド50と、複数の磁気検出素子、複数のヨーク40および複数のシールド50を支持する支持部材60と備えている。
【0013】
支持部材60は、直方体形状を有していてもよい。支持部材60は、第1の面と、第1の面とは反対側に位置する第2の面と、第1の面と第2の面とを接続する4つの側面とを有している。
図1は、支持部材60の第1の面側から見た磁気センサ1を示している。
【0014】
ここで、
図1に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では特に、支持部材60の第1の面に垂直な方向であって、支持部材の第2の面から第1の面に向かう方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
【0015】
以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。また、磁気センサ1の構成要素に関して、Z方向の端に位置する面を「上面」と言い、-Z方向の端に位置する面を「下面」と言う。支持部材60の第1の面は、支持部材60の上面でもある。支持部材60の第2の面は、支持部材60の下面でもある。また、「Z方向から見たとき」という表現は、Z方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
【0016】
磁気センサ1は、更に、第1の検出回路10と、第2の検出回路20とを備えている。第1および第2の検出回路10,20の各々は、複数の磁気検出素子によって構成されている。本実施の形態では特に、複数の磁気検出素子は、複数の磁気抵抗効果素子30である。以下、磁気抵抗効果素子を、MR素子と記す。
【0017】
第1の検出回路10は、対象磁界の一方向の成分を検出し、この成分と対応関係を有する少なくとも1つの第1の検出信号を生成するように構成されている。第2の検出回路20は、対象磁界の他の一方向の成分を検出し、この成分と対応関係を有する少なくとも1つの第2の検出信号を生成するように構成されている。本実施の形態では特に、第1の検出回路10は、対象磁界のX方向に平行な方向の成分を検出するように構成されている。第2の検出回路20は、対象磁界のY方向に平行な方向の成分を検出するように構成されている。
【0018】
第1および第2の検出回路10,20の各々は、複数のMR素子30によって構成された複数の抵抗部を含んでいる。複数のMR素子30は、複数の抵抗部毎に、複数個ずつ配置され且つ互いに電気的に接続されている。
【0019】
複数のヨーク40は、複数の抵抗部毎に複数個ずつ配置されている。同様に、複数のシールド50は、複数の抵抗部毎に複数個ずつ配置されている。複数のヨーク40と複数のシールド50の各々は、軟磁性体によって構成されている。
【0020】
次に、
図1ないし
図3を参照して、磁気センサ1の構成について詳しく説明する。
図2は、磁気センサ1の素子配置領域を示す平面図である。
図3は、磁気センサ1の回路構成を示す回路図である。
【0021】
図3に示したように、第1の検出回路10は、電源端子V1と、グランド端子Gと、第1の出力端子E11と、第2の出力端子E12と、第1の抵抗部R11と、第2の抵抗部R12と、第3の抵抗部R13と、第4の抵抗部R14とを含んでいる。
【0022】
第1の抵抗部R11は、回路構成上、電源端子V1と第1の出力端子E11との間に設けられている。第2の抵抗部R12は、回路構成上、グランド端子Gと第1の出力端子E11との間に設けられている。第3の抵抗部R13は、回路構成上、グランド端子Gと第2の出力端子E12との間に設けられている。第4の抵抗部R14は、回路構成上、電源端子V1と第2の出力端子E12との間に設けられている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
【0023】
複数のMR素子30は、複数の第1のMR素子31と、複数の第2のMR素子32と、複数の第3のMR素子33と、複数の第4のMR素子34とを含んでいる。複数の第1のMR素子31は、互いに電気的に接続されていると共に、第1の抵抗部R11を構成している。複数の第2のMR素子32は、互いに電気的に接続されていると共に、第2の抵抗部R12を構成している。複数の第3のMR素子33は、互いに電気的に接続されていると共に、第3の抵抗部R13を構成している。複数の第4のMR素子34は、互いに電気的に接続されていると共に、第4の抵抗部R14を構成している。複数の第1のMR素子31、複数の第2のMR素子32、複数の第3のMR素子33および複数の第4のMR素子34の各々は、直列に接続されていてもよい。
【0024】
図3に示したように、第2の検出回路20は、電源端子V2と、グランド端子Gと、第3の出力端子E21と、第4の出力端子E22と、第5の抵抗部R21と、第6の抵抗部R22と、第7の抵抗部R23と、第8の抵抗部R24とを含んでいる。グランド端子Gは、第1の検出回路10の構成要素でもあり、第2の検出回路20の構成要素でもある。
【0025】
第5の抵抗部R21は、回路構成上、電源端子V2と第3の出力端子E21との間に設けられている。第6の抵抗部R22は、回路構成上、グランド端子Gと第3の出力端子E21との間に設けられている。第7の抵抗部R23は、回路構成上、グランド端子Gと第4の出力端子E22との間に設けられている。第8の抵抗部R24は、回路構成上、電源端子V2と第4の出力端子E22との間に設けられている。
【0026】
複数のMR素子30は、更に、複数の第5のMR素子35と、複数の第6のMR素子36と、複数の第7のMR素子37と、複数の第8のMR素子38とを含んでいる。複数の第5のMR素子35は、互いに電気的に接続されていると共に、第5の抵抗部R21を構成している。複数の第6のMR素子36は、互いに電気的に接続されていると共に、第6の抵抗部R22を構成している。複数の第7のMR素子37は、互いに電気的に接続されていると共に、第7の抵抗部R23を構成している。複数の第8のMR素子38は、互いに電気的に接続されていると共に、第8の抵抗部R24を構成している。複数の第5のMR素子35、複数の第6のMR素子36、複数の第7のMR素子37および複数の第8のMR素子38の各々は、直列に接続されていてもよい。
【0027】
ここで、複数のMR素子を配置するための領域を、素子配置領域と言う。素子配置領域は、支持部材60の上面をZ方向から見たときに、支持部材60と重なっている。本実施の形態では特に、素子配置領域は、複数の領域を含んでいる。複数のMR素子30は、複数の領域に分割して配置されている。
【0028】
図2に示したように、本実施の形態では、素子配置領域は、複数の領域として、第1の領域A1と、第2の領域A2と、第3の領域A3と、第4の領域A4とを含んでいる。第1の領域A1と第2の領域A2は、所定の間隔を開けて配置されている。第3の領域A3と第4の領域A4は、第1の領域A1と第2の領域A2との間において、第1の領域A1と第2の領域A2とが並ぶ方向に直交する方向に並ぶように配置されている。本実施の形態では特に、第1の領域A1と第2の領域A2は、Y方向に平行な方向に並ぶと共に、第1の領域A1は、第2の領域A2に対してY方向の先に配置されている。第3の領域A3と第4の領域A4は、X方向に平行な方向に並ぶと共に、第3の領域A3は、第4の領域A4に対して-X方向の先に配置されている。
【0029】
第1ないし第4の領域A1~A4の各々は、一方向に長い形状を有していてもよい。
図2に示した例では、第1および第2の領域A1,A2の各々は、X方向に平行な方向に長い形状を有している。第3および第4の領域A3,A4の各々は、Y方向に平行な方向に長い形状を有している。
【0030】
複数の第1のMR素子31と複数の第2のMR素子32は、第1の領域A1に配置されている。すなわち、
図2に示したように、第1の抵抗部R11と第2の抵抗部R12は、第1の領域A1に配置されている。
【0031】
複数の第3のMR素子33と複数の第4のMR素子34は、第2の領域A2に配置されている。すなわち、
図2に示したように、第3の抵抗部R13と第4の抵抗部R14は、第2の領域A2に配置されている。
【0032】
複数の第5のMR素子35と複数の第6のMR素子36は、第3の領域A3に配置されている。すなわち、
図2に示したように、第5の抵抗部R21と第6の抵抗部R22は、第3の領域A3に配置されている。
【0033】
複数の第7のMR素子37と複数の第8のMR素子38は、第4の領域A4に配置されている。すなわち、
図2に示したように、第7の抵抗部R23と第8の抵抗部R24は、第4の領域A4に配置されている。
【0034】
磁気センサ1は、更に、配線部70を備えている。配線部70は、複数のMR素子30と、電源端子V1,V2、グランド端子Gならびに第1ないし第4の出力端子E11,E12,E21,E22とを電気的に接続している。また、配線部70は、第1ないし第8の抵抗部R11~R14,R21~R24の各々において、複数のMR素子30を電気的に接続している。
【0035】
電源端子V1,V2およびグランド端子Gは、例えば、第1の領域A1に対してY方向の先に配置されていてもよい。第1ないし第4の出力端子E11,E12,E21,E22は、例えば、第2の領域A2に対して-Y方向の先に配置されていてもよい。
【0036】
複数のヨーク40の各々は、第1の領域A1に配置された複数の第1のヨーク41と、第2の領域A2に配置された複数の第2のヨーク42と、第3の領域A3に配置された複数の第3のヨーク43と、第4の領域A4に配置された複数の第4のヨーク44とを含んでいる。複数の第1のヨーク41、複数の第2のヨーク42、複数の第3のヨーク43および複数の第4のヨーク44の各々は、第1の方向に長い部分を含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第1のヨーク41と複数の第2のヨーク42における第1の方向は、X方向であり、複数の第3のヨーク43と複数の第4のヨーク44における第1の方向は、Y方向である。
【0037】
複数の第1のヨーク41は、それぞれY方向に平行な方向において隣接する2つの第1のヨーク41よりなる複数のヨーク対を含んでいる。複数のヨーク対の各々において、2つの第1のヨーク41は、複数の第1のMR素子31のうちの1つまたは複数の第2のMR素子32のうちの1つを挟むように配置されている。
【0038】
複数の第2のヨーク42は、それぞれY方向に平行な方向において隣接する2つの第2のヨーク42よりなる複数のヨーク対を含んでいる。複数のヨーク対の各々において、2つの第2のヨーク42は、複数の第3のMR素子33のうちの1つまたは複数の第4のMR素子34のうちの1つを挟むように配置されている。
【0039】
複数の第3のヨーク43は、それぞれX方向に平行な方向において隣接する2つの第3のヨーク43よりなる複数のヨーク対を含んでいる。複数のヨーク対の各々において、2つの第3のヨーク43は、複数の第5のMR素子35のうちの1つまたは複数の第6のMR素子36のうちの1つを挟むように配置されている。
【0040】
複数の第4のヨーク44は、それぞれX方向に平行な方向において隣接する2つの第4のヨーク44よりなる複数のヨーク対を含んでいる。複数のヨーク対の各々において、2つの第4のヨーク44は、複数の第7のMR素子37のうちの1つまたは複数の第8のMR素子38のうちの1つを挟むように配置されている。
【0041】
複数のシールド50の各々は、第1の領域A1に配置された複数の第1のシールドと、第2の領域A2に配置された複数の第2のシールドと、第3の領域A3に配置された複数の第3のシールドと、第4の領域A4に配置された複数の第4のシールドとを含んでいる。複数の第1のシールド、複数の第2のシールド、複数の第3のシールドおよび複数の第4のシールドの各々は、第2の方向に長い部分を含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第1のシールドと複数の第2のシールドにおける第2の方向は、Y方向であり、複数の第3のシールドと複数の第4のシールドにおける第2の方向は、X方向である。
【0042】
複数の第1のシールドは、それぞれX方向に平行な方向において隣接する2つの第1のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。複数のシールド対の各々において、2つの第1のシールドは、複数の第1のMR素子31のうちの少なくとも1つおよび複数の第2のMR素子32のうちの少なくとも1つを挟むように配置されている。
【0043】
複数の第2のシールドは、それぞれX方向に平行な方向において隣接する2つの第2のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。複数のシールド対の各々において、2つの第2のシールドは、複数の第3のMR素子33のうちの少なくとも1つおよび複数の第4のMR素子34のうちの少なくとも1つを挟むように配置されている。
【0044】
複数の第3のシールドは、それぞれY方向に平行な方向において隣接する2つの第3のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。複数のシールド対の各々において、2つの第3のシールドは、複数の第5のMR素子35のうちの少なくとも1つおよび複数の第6のMR素子36のうちの少なくとも1つを挟むように配置されている。
【0045】
複数の第4のシールドは、それぞれY方向に平行な方向において隣接する2つの第4のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。複数のシールド対の各々において、2つの第4のシールドは、複数の第7のMR素子37のうちの少なくとも1つおよび複数の第8のMR素子38のうちの少なくとも1つを挟むように配置されている。
【0046】
次に、
図4ないし
図6を参照して、複数のMR素子30、複数のヨーク40および複数のシールド50の配置について詳しく説明する。
図4は、複数のMR素子30、複数のヨーク40および複数のシールド50を示す平面図である。
図5は、
図4において5-5線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。
図6は、
図4において6-6線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。
【0047】
始めに、複数のMR素子30の配置について詳しく説明する。
図4は、
図2に示した第1ないし第4の領域A1~A4のうちの1つに配置された複数のMR素子30、複数のヨーク40および複数のシールド50の配置を模式的に示している。
図4に示した複数のMR素子30は、第1ないし第4の領域A1~A4のうちの1つに配置された2つの抵抗部を構成する。なお、
図4では、理解を容易にするために、複数のMR素子30、複数のヨーク40および複数のシールド50の各々の数を、
図1と異ならせている。複数のMR素子30、複数のヨーク40および複数のシールド50の各々の数は、
図1または
図4に示した例に限定されない。
【0048】
ここで、
図4ないし
図6に示したように、第1の方向D1、第2の方向D2および第3の方向D3を定義する。第1の方向D1、第2の方向D2および第3の方向D3は、互いに直交する。
図4に示した複数のヨーク40の各々は、第1の方向D1に長い部分を含んでいる。
図4に示した複数のシールドの各々は、第2の方向D2に長い部分を含んでいる。
【0049】
図4が、第1の領域A1または第2の領域A2に配置された複数のMR素子30、複数のヨーク40および複数のシールド50を示している場合、第1の方向D1はX方向と一致し、第2の方向D2はY方向と一致し、第3の方向D3はZ方向と一致してもよい。
図4が、第3の領域A3または第4の領域A4に配置された複数のMR素子30、複数のヨーク40および複数のシールド50を示している場合、第1の方向D1はY方向と一致し、第2の方向D2は-X方向と一致し、第3の方向D3はZ方向と一致してもよい。
【0050】
図4に示した複数のMR素子30は、2つの抵抗部の一方を構成する複数のMR素子30Aと、2つの抵抗部の他方を構成する複数のMR素子30Bとを含んでいる。例えば、
図4が、第1の領域A1に示した複数のMR素子30を示している場合、複数のMR素子30Aと複数のMR素子30Bの一方は、第1の抵抗部R11を構成する複数の第1のMR素子31に対応し、複数のMR素子30Aと複数のMR素子30Bの他方は、第2の抵抗部R12を構成する複数の第2のMR素子に対応する。
【0051】
配線部70は、複数のMR素子30Aを電気的に接続する第1の配線71と、複数のMR素子30Bを電気的に接続する第2の配線72とを含んでいる。本実施の形態では特に、複数のMR素子30Aは、第1の配線71によって直列に接続されている。複数のMR素子30Bは、第2の配線72によって直列に接続されている。
図4に示した例では、複数のMR素子30は、更に、第1の配線71と第2の配線72のいずれにも接続されていない複数のMR素子30Cを含んでいる。
【0052】
図5および
図6に示したように、第1の配線71は、複数の下部電極71Aと複数の上部電極71Bとを含んでいる。複数のMR素子30Aは、複数の下部電極71Aおよび複数の上部電極71Bによって直列に接続されている。また、第2の配線72は、複数の下部電極72Aと複数の上部電極72Bとを含んでいる。複数のMR素子30Bは、複数の下部電極72Aおよび複数の上部電極72Bによって直列に接続されている。
【0053】
複数のMR素子30Aは、電気的に接続された複数の第1の特定の素子30A1,30A2,30A3を含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第1の特定の素子30A1,30A2,30A3は、直列に接続されている。複数の第1の特定の素子30A1,30A2,30A3は、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に並んでいる。
【0054】
ここで、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に一列に並んだ複数の第1の特定の素子30A1,30A2,30A3よりなるグループを、第1の素子グループと言う。複数のMR素子30Aは、第2の方向D2に平行な方向に並ぶ複数の第1の素子グループを含んでいる。従って、複数のMR素子30Aは、複数の第1の特定の素子30A1と、複数の第1の特定の素子30A2と、複数の第1の特定の素子30A3とを含んでいる。複数の第1の素子グループは、第1の配線71によって直列に接続されている。
【0055】
複数の第1の特定の素子30A1は、第2の方向D2に平行な方向に並んでいるものとする。
図4では、複数の第1の特定の素子30A1を代表して、1つの第1の特定の素子30A1に符号を付している。同様に、複数の第1の特定の素子30A2は、第2の方向D2に平行な方向に並んでいるものとする。
図4では、複数の第1の特定の素子30A2を代表して、符号を付した第1の特定の素子30A1に電気的に直接接続された1つの第1の特定の素子30A2に符号を付している。同様に、複数の第1の特定の素子30A3は、第2の方向D2に平行な方向に並んでいるものとする。
図4では、複数の第1の特定の素子30A3を代表して、符号を付した第1の特定の素子30A2に電気的に直接接続された1つの第1の特定の素子30A3に符号を付している。
【0056】
複数のMR素子30Bは、電気的に接続された複数の第2の特定の素子30B1,30B2,30B3を含んでいる。本実施の形態では特に、複数の第2の特定の素子30B1,30B2,30B3は、直列に接続されている。複数の第2の特定の素子30B1,30B2,30B3は、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に並んでいる。本実施の形態では特に、複数の第2の特定の素子30B1,30B2,30B3は、複数の第1の特定の素子30A1,30A2,30A3が並ぶ方向と同じかほぼ同じ方向に並んでいる。
【0057】
ここで、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に一列に並んだ複数の第2の特定の素子30B1,30B2,30B3よりなるグループを、第2の素子グループと言う。複数のMR素子30Bは、第2の方向D2に平行な方向に並ぶ複数の第2の素子グループを含んでいる。従って、複数のMR素子30Bは、複数の第2の特定の素子30B1と、複数の第2の特定の素子30B2と、複数の第2の特定の素子30B3とを含んでいる。複数の第2の素子グループは、第2の配線72によって直列に接続されている。
【0058】
複数の第2の特定の素子30B1は、第2の方向D2に平行な方向に並んでいるものとする。
図4では、複数の第2の特定の素子30B1を代表して、符号を付した第1の特定の素子30A1に隣接する1つの第2の特定の素子30B1に符号を付している。同様に、複数の第2の特定の素子30B2は、第2の方向D2に平行な方向に並んでいるものとする。
図4では、複数の第2の特定の素子30B2を代表して、符号を付した第1の特定の素子30A2に隣接する1つの第2の特定の素子30B2に符号を付している。同様に、複数の第1の特定の素子30B3は、第2の方向D2に平行な方向に並んでいるものとする。
図4では、複数の第2の特定の素子30B3を代表して、符号を付した第1の特定の素子30A3に隣接する1つの第2の特定の素子30B3に符号を付している。
【0059】
また、複数の第1の素子グループと複数の第2の素子グループは、第2の方向D2に平行な方向において、交互に並んでいる。従って、複数の第1の特定の素子30A1と複数の第2の特定の素子30B1は、第2の方向D2に平行な方向において、交互に並んでいる。第2の方向D2に平行な方向において隣接する第1の特定の素子30A1と第2の特定の素子30B1は、電気的に直接接続されていない。
【0060】
同様に、複数の第1の特定の素子30A2と複数の第2の特定の素子30B2は、第2の方向D2に平行な方向において、交互に並んでいる。第2の方向D2に平行な方向において隣接する第1の特定の素子30A2と第2の特定の素子30B2は、電気的に直接接続されていない。
【0061】
同様に、複数の第1の特定の素子30A3と複数の第2の特定の素子30B3は、第2の方向D2に平行な方向において、交互に並んでいる。第2の方向D2に平行な方向において隣接する第1の特定の素子30A3と第2の特定の素子30B3は、電気的に直接接続されていない。
【0062】
なお、複数の第2の特定の素子30B1、複数の第2の特定の素子30B2および複数の第2の特定の素子30B3は、第2の方向D2に平行な方向において隣接する場合に限らず、第1ないし第4の出力端子E11,E12,E21,E22のうちのいずれかに電気的に直接接続される素子を除いて、複数の第1の特定の素子30A1、複数の第2の特定の素子30A2、複数の第2の特定の素子30B3には電気的に直接接続されていない。
図4に示した例では特に、第1の方向D1に平行な方向において第1の特定の素子と第2の特定の素子が隣接するが、これらの素子は電気的に直接接続されていない。また、第2の方向D2に平行な方向において第1の特定の素子と第2の特定の素子が隣接するが、これらの素子は電気的に直接接続されていない。
【0063】
次に、複数のヨーク40の配置について詳しく説明する。ここでは、まず、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A1~30A3と
図4において符号を付した第2の特定の素子30B1~30B3の周囲に配置された複数のヨーク40に注目して、複数のヨーク40の配置について説明する。
【0064】
図4に示したように、複数のヨーク40のうち、符号を付した第1の特定の素子30A1に対して第2の方向D2の先にあるヨークを符号40Aで表し、符号を付した第1の特定の素子30A2に対して第2の方向D2の先にあるヨークを符号40Bで表し、符号を付した第1の特定の素子30A3に対して第2の方向D2の先にあるヨークを符号40Cで表す。また、複数のヨーク40のうち、符号を付した第2の特定の素子30B1に対して第2の方向D2の先にあるヨークを符号40Dで表し、符号を付した第2の特定の素子30B2に対して第2の方向D2の先にあるヨークを符号40Eで表し、符号を付した第2の特定の素子30B3に対して第2の方向D2の先にあるヨークを符号40Fで表す。
【0065】
複数のヨーク40は、それぞれ複数の第1の特定の素子30A1~30A3の各々を挟むように配置された第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークよりなる複数のヨーク対を含んでいる。
図4では、ヨーク40Aとヨーク40Dは、符号を付した第1の特定の素子30A1を挟むように配置されている。従って、ヨーク40Aとヨーク40Dの一方は第1の特定のヨークに対応し、ヨーク40Aとヨーク40Dの他方は第2の特定のヨークに対応する。
【0066】
ヨーク40Aとヨーク40Dは、符号を付した第1の特定の素子30A1を中心として、第1の方向D1に平行な方向において互いにずれている。符号を付した第1の特定の素子30A1は、第1の方向D1の端に位置する第1の端部と、第1の方向D1とは反対方向の端に位置する第2の端部とを有している。ヨーク40Aの、第1の方向D1の端に位置する端部は、第1の端部に対して第1の方向D1の先に位置する。ヨーク40Dの、第1の方向D1とは反対方向の端に位置する端部は、第2の端部に対して、第1の方向D1とは反対方向の先に位置する。
【0067】
同様に、ヨーク40Bとヨーク40Eは、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A2を挟むように配置されている。従って、ヨーク40Bとヨーク40Eの一方は、第1の特定のヨークに対応し、ヨーク40Bとヨーク40Eの他方は、第2の特定のヨークに対応する。
【0068】
ヨーク40Bとヨーク40Eは、符号を付した第1の特定の素子30A2を中心として、第1の方向D1に平行な方向において互いにずれている。符号を付した第1の特定の素子30A2、ヨーク40Bおよびヨーク40Eの位置関係は、符号を付した第1の特定の素子30A1、ヨーク40Aおよびヨーク40Dの位置関係と同様である。
【0069】
同様に、ヨーク40Cとヨーク40Fは、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A3を挟むように配置されている。従って、ヨーク40Cとヨーク40Fの一方は、第1の特定のヨークに対応し、ヨーク40Cとヨーク40Fの他方は、第2の特定のヨークに対応する。
【0070】
ヨーク40Cとヨーク40Fは、符号を付した第1の特定の素子30A3を中心として、第1の方向D1に平行な方向において互いにずれている。符号を付した第1の特定の素子30A3、ヨーク40Cおよびヨーク40Fの位置関係は、符号を付した第1の特定の素子30A1、ヨーク40Aおよびヨーク40Dの位置関係と同様である。
【0071】
ヨーク40Dは、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A1と
図4において符号を付していない第1の特定の素子30A1との間に挟まれていると共に、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A2と
図4において符号を付していない第1の特定の素子30A2との間に挟まれている。また、ヨーク40Dは、
図4において符号を付した第2の特定の素子30B2と
図4において符号を付していない第2の特定の素子30B2との間にも挟まれている。
【0072】
ヨーク40Eは、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A2と
図4において符号を付していない第1の特定の素子30A2との間に挟まれていると共に、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A3と
図4において符号を付していない第1の特定の素子30A3との間に挟まれている。また、ヨーク40Eは、
図4において符号を付した第2の特定の素子30B3と
図4において符号を付していない第2の特定の素子30B3との間にも挟まれている。
【0073】
ここまでは、
図4において符号を付した第1の特定の素子30A1~30A3と
図4において符号を付した第2の特定の素子30B1~30B3の周囲に配置された複数のヨーク40に注目して、複数のヨーク40の配置について説明してきた。上記の説明は、
図4において符号を付していない第1の特定の素子30A1~30A3と
図4において符号を付していない第2の特定の素子30B1~30B3の周囲に配置された複数のヨーク40にも当てはまる。
【0074】
また、上記の説明は、ヨーク40A~40Fの位置を変更すれば、第1の特定の素子30A1~30A3と第2の特定の素子30B1~30B3とを入れ替えた場合にも当てはまる。
【0075】
図5および
図6に示したように、複数のヨーク40は、複数のMR素子30Aおよび複数のMR素子30Bに対して、第3の方向D3すなわちZ方向の先に配置されている。
【0076】
次に、複数のシールド50の配置について詳しく説明する。ここで、
図4に示したように、4つのシールド50をそれぞれ符号50A,50B,50C,50Dで表す。シールド50A,50B,50C,50Dは、第1の方向D1に沿ってこの順に並んでいる。
【0077】
複数のシールド50は、それぞれ複数の第1の特定の素子30A1~30A3の各々を挟むように配置された第1の特定のシールドおよび第2の特定のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。
図4では、シールド50Aとシールド50Bは、複数の第1の特定の素子30A1を挟むように配置されている。従って、シールド50Aとシールド50Bの一方は、第1の特定のシールドに対応し、シールド50Aとシールド50Bの他方は、第2の特定のシールドに対応する。シールド50Aとシールド50Bは、更に、複数の第2の特定の素子30B1を挟むように配置されている。
【0078】
同様に、シールド50Bとシールド50Cは、複数の第1の特定の素子30A2を挟むように配置されている。従って、シールド50Bとシールド50Cの一方は、第1の特定のシールドに対応し、シールド50Bとシールド50Cの他方は、第2の特定のシールドに対応する。シールド50Bとシールド50Cは、更に、複数の第2の特定の素子30B2を挟むように配置されている。
【0079】
同様に、シールド50Cとシールド50Dは、複数の第1の特定の素子30A3を挟むように配置されている。従って、シールド50Cとシールド50Dの一方は、第1の特定のシールドに対応し、シールド50Cとシールド50Dの他方は、第2の特定のシールドに対応する。シールド50Cとシールド50Dは、更に、複数の第2の特定の素子30B3を挟むように配置されている。
【0080】
図5および
図6に示したように、複数のシールド50は、複数のMR素子30Aおよび複数のMR素子30Bに対して、第3の方向D3すなわちZ方向の先に配置されている。
【0081】
また、
図4および
図6に示したように、複数のヨーク40のいくつかと複数のシールド50のうちの1つは、1つの構造体すなわち1つの軟磁性体によって構成されていてもよい。この場合、複数のヨーク40は、第3の方向D3すなわちZ方向から見たときに、複数のシールド50のうちの対応するシールドと十字状に交差する少なくとも1つのヨーク40(
図4に示した例では複数のヨーク)と、複数のシールド50のうちの対応するシールドとT字状に交差する少なくとも1つのヨーク40(
図4に示した例では複数のヨーク)とを含んでいる。
【0082】
次に、
図5および
図6を参照して、磁気センサ1のその他の構成について説明する。磁気センサ1は、支持部材60として、基板61と、絶縁層62,63,64,65とを備えている。絶縁層62は、基板61の上に配置されている。複数の下部電極71Aと複数の下部電極72Aは、絶縁層62の上に配置されている。複数のMR素子30Aは、複数の下部電極71Aの上に配置されている。複数のMR素子30Bは、複数の下部電極72Aの上に配置されている。複数の上部電極71Bは、複数のMR素子30Aの上に配置されている。複数の上部電極72Bは、複数のMR素子30Bの上に配置されている。絶縁層63は、複数のMR素子30A、複数のMR素子30B、複数の下部電極71A、複数の下部電極72A、複数の上部電極71Bおよび複数の上部電極72Bの周囲に配置されている。
【0083】
絶縁層64は、絶縁層63、複数の上部電極71Bおよび複数の上部電極72Bの上に配置されている。複数のヨーク40および複数のシールド50は、絶縁層64の上に配置されている。絶縁層65は、複数のヨーク40、複数のシールド50および絶縁層64を覆っている。
【0084】
次に、MR素子30の構成について説明する。
図7は、MR素子30を示す斜視図である。
図7には、
図4ないし
図6に示した第1の方向D1、第2の方向D2および第3の方向D3を示している。
【0085】
MR素子30は、スピンバルブ型のMR素子である。MR素子30は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層302と、対象磁界の方向に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層304と、磁化固定層302と自由層304の間に配置されたギャップ層303とを有している。MR素子30は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。TMR素子では、ギャップ層303はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層303は非磁性導電層である。MR素子30では、自由層304の磁化の方向が磁化固定層302の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。
【0086】
各MR素子30において、自由層304は、磁化容易軸方向が、磁化固定層302の磁化の方向に直交する方向となる形状異方性を有している。本実施の形態では特に、MR素子30は、第1の方向D1に平行な方向に長い形状を有している。これにより、自由層304は、磁化容易軸方向が第1の方向D1に平行な方向となる形状異方性を有している。
【0087】
MR素子30は、更に、反強磁性層301を有している。反強磁性層301、磁化固定層302、ギャップ層303および自由層304は、第3の方向D3すなわちZ方向にこの順に積層されている。反強磁性層301は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層302との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層302の磁化の方向を固定する。なお、磁化固定層302は、いわゆるセルフピン止め型の固定層(Synthetic Ferri Pinned 層、SFP層)であってもよい。セルフピン止め型の固定層は、強磁性層、非磁性中間層および強磁性層を積層させた積層フェリ構造を有し、2つの強磁性層を反強磁性的に結合させてなるものである。磁化固定層302がセルフピン止め型の固定層である場合、反強磁性層301を省略してもよい。
【0088】
なお、MR素子30における層301~304の配置は、
図7に示した配置とは上下が反対でもよい。
【0089】
図3において、白抜きの矢印は、MR素子30の磁化固定層302の磁化の方向を表している。本実施の形態では、MR素子30の磁化固定層302の磁化は、第2の方向D2に平行な一方向の成分を含んでいる。なお、磁化固定層302の磁化が特定の磁化方向の成分を含んでいる場合、特定の磁化方向の成分は、磁化固定層302の磁化の主成分であってもよい。あるいは、磁化固定層302の磁化は、特定の磁化方向に直交する方向の成分を含んでいなくてもよい。本実施の形態では、磁化固定層302の磁化が特定の磁化方向の成分を含んでいる場合、磁化固定層302の磁化の方向は、特定の磁化方向またはほぼ特定の磁化方向になる。
【0090】
図3に示した例では、複数の第1のMR素子31、複数の第2のMR素子32、複数の第3のMR素子33および複数の第4のMR素子34の各々において、磁化固定層302の磁化の方向は、Y方向である。また、複数の第1のMR素子31、複数の第2のMR素子32、複数の第3のMR素子33および複数の第4のMR素子34の各々において、磁化固定層302の磁化の方向は、X方向である。
【0091】
次に、
図8を参照して、磁気センサ1の動作について説明する。
図8は、磁気センサ1の動作を説明するための説明図である。
図8では、理解を容易にするために、磁気センサ1の第1の検出回路10を模式的に描いている。
【0092】
図8では、複数の第1のMR素子31を代表して1つの第1のMR素子31を示し、複数の第2のMR素子32を代表して1つの第2のMR素子32を示し、複数の第3のMR素子33を代表して1つの第3のMR素子33を示し、複数の第4のMR素子34を代表して1つの第4のMR素子34を示している。
【0093】
また、
図8では、複数のヨーク40を代表して、5つのヨーク401,402,403,404,405を示している。ヨーク401,402は、
図3に示した第1のヨーク41に対応する。ヨーク403,404は、
図3に示した第2のヨーク42に対応する。ヨーク405は、第1のヨーク41と第2のヨーク42を兼ねている。ヨーク401とヨーク402は、ヨーク401とヨーク402との間にヨーク405を挟むように配置されている。また、ヨーク403とヨーク404も、ヨーク403とヨーク404との間にヨーク405を挟むように配置されている。
【0094】
第1のMR素子31は、ヨーク401とヨーク405との間に配置されている。第2のMR素子32は、ヨーク402とヨーク405との間に配置されている。第3のMR素子33は、ヨーク403とヨーク405との間に配置されている。第4のMR素子34は、ヨーク404とヨーク405との間に配置されている。
【0095】
また、
図8では、複数のシールド50を代表して、3つのシールド501,502,503を示している。第1および第2のMR素子31,32は、シールド501とシールド502との間に配置されている。第3および第4のMR素子33,34は、シールド502とシールド503との間に配置されている。
【0096】
対象磁界が存在しない状態では、第1ないし第4のMR素子31~34の各々の自由層304の磁化の方向は、X方向に平行な方向になっている。X方向の成分を含む対象磁界が発生した場合、X方向の成分に対応する磁束は、ヨーク401,402、ヨーク405およびヨーク403,404を順に通過する。これにより、第1および第3のMR素子31,33には、-Y方向の成分を含む磁界が印加され、第2および第4のMR素子32,34には、Y方向の成分を含む磁界が印加される。この場合、第1および第3のMR素子31,33の各々の自由層304の磁化の方向は、X方向に平行な方向から-Y方向に向かって傾き、第2および第4のMR素子32,34の各々の自由層304の磁化の方向は、X方向に平行な方向からY方向に向かって傾く。その結果、対象磁界が存在しない場合と比べて、第1および第3のMR素子31,33の各々の抵抗値は増加し、第1および第3の抵抗部R11,R13の各々の抵抗値も増加する。また、対象磁界が存在しない状態と比べて、第2および第4のMR素子32,34の各々の抵抗値は減少し、第2および第4の抵抗部R12,R14の各々の抵抗値も減少する。
【0097】
-X方向の成分を含む対象磁界が発生した場合には、第1ないし第4のMR素子31~34の各々に印加される磁界の成分の方向と、第1ないし第4の抵抗部R11~R14の抵抗値の変化は、X方向の成分を含む対象磁界が発生した場合とは逆になる。
【0098】
第1ないし第4のMR素子31~34の各々の抵抗値の変化量は、第1ないし第4のMR素子31~34の各々が受ける磁界のY方向に平行な成分の強度に依存する。Y方向に平行な成分の強度が大きくなると、第1ないし第4のMR素子31~34の各々の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ大きくなる方向に変化する。Y方向に平行な成分の強度が小さくなると、第1ないし第4のMR素子31~34の各々の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ小さくなる方向に変化する。Y方向に平行な成分の強度は、対象磁界のX方向に平行な方向の成分の強度に依存する。
【0099】
ここで、対象磁界のX方向に平行な方向の成分を、対象磁界のX成分と言う。対象磁界のX成分の方向と強度が変化すると、第1ないし第4の抵抗部R11~R14の各々の抵抗値は、第1および第3の抵抗部R11,R13の各々の抵抗値が増加すると共に第2および第4の抵抗部R12,R14の各々の抵抗値が減少するか、第1および第3の抵抗部R11,R13の各々の抵抗値が減少すると共に第2および第4の抵抗部R12,R14の各々の抵抗値が増加するように変化する。これにより、
図1ないし
図3に示した第1および第2の出力端子E11,E12の各々の電位が変化する。磁気センサ1は、第1および第2の出力端子E11,E12の電位に対応する2つの信号、または第1および第2の出力端子E11,E12の電位差に対応する信号を、少なくとも1つの第1の検出信号として生成する。
【0100】
上記の第1ないし第4の抵抗部R11~R14についての説明は、第2の検出回路20の第5ないし第8の抵抗部R21~R24にも当てはまる。上記の第1ないし第4の抵抗部R11~R14についての説明中の第1ないし第4の抵抗部R11~R14、第1ないし第4のMR素子31~34、第1のヨーク41、第2のヨーク42、X方向およびY方向を、それぞれ、第5ないし第8の抵抗部R21~R24、第5ないし第8のMR素子35~38、第3のヨーク43、第4のヨーク44、Y方向およびX方向に置き換えれば、第5ないし第8の抵抗部R21~R24についての説明になる。
【0101】
ここで、対象磁界のY方向に平行な方向の成分を、対象磁界のY成分と言う。対象磁界のY成分の方向と強度が変化すると、第5ないし第8の抵抗部R21~R24の各々の抵抗値は、第5および第7の抵抗部R21,R23の各々の抵抗値が増加すると共に第6および第8の抵抗部R22,R24の各々の抵抗値が減少するか、第5および第7の抵抗部R21,R23の各々の抵抗値が減少すると共に第6および第8の抵抗部R22,R24の各々の抵抗値が増加するように変化する。これにより、
図1ないし
図3に示した第3および第4の出力端子E21,E22の各々の電位が変化する。磁気センサ1は、第3および第4の出力端子E21,E22の電位に対応する2つの信号、または第3および第4の出力端子E21,E22の電位差に対応する信号を、少なくとも1つの第2の検出信号として生成する。
【0102】
次に、
図8を参照して、複数のシールド50の機能について説明する。第1の検出回路10では、Y成分を含む対象磁界が発生した場合、Y成分に対応する磁束の大部分は、シールド501~503を選択的に通過する。これにより、対象磁界のY成分に起因するY方向の磁界が第1ないし第4のMR素子31~34に印加されることを抑制することができる。
【0103】
同様に、第2の検出回路20では、X成分を含む対象磁界が発生した場合、X成分に対応する磁束の大部分は、シールド501~503を選択的に通過する。これにより、対象磁界のX成分に起因するX方向の磁界が第5ないし第8のMR素子35~38に印加されることを抑制することができる。
【0104】
次に、
図9および
図10を参照して、複数のヨーク40が着磁した状態における磁気センサ1の出力について説明する。
図9は、第1の検出回路10の複数のヨーク40がY方向に着磁した状態を示す説明図である。
図10は、第1の検出回路10の複数のヨーク40がX方向に着磁した状態を示す説明図である。なお、
図9および
図10では、
図8と同様に、第1の検出回路10を模式的に描いている。
【0105】
図9において、ヨーク401~405に重なるように描かれた矢印は、Y方向の外部磁界によって着磁したヨーク401~405の磁化方向を示している。また、第1ないし第4のMR素子31~34に重なるように描かれた矢印は、着磁したヨーク401~405に起因して発生する磁界を示している。なお、図示しないが、ヨーク401~405がY方向に着磁する環境下では、複数のシールド50もY方向に着磁する。
【0106】
図9に示したように、ヨーク401~405の各々がY方向に着磁した場合、第1ないし第4のMR素子31~34の各々には、Y方向の磁界が印加される。この場合、第1ないし第4のMR素子31~34の各々の自由層304の磁化の方向は、X方向に平行な方向からY方向に向かって傾く。その結果、ヨーク401~405が着磁していない場合と比べて、第1ないし第4のMR素子31~34の各々の抵抗値は減少し、第1ないし第4の抵抗部R11~R14の各々の抵抗値も減少する。この場合、
図1ないし
図3に示した第1および第2の出力端子E11,E12の各々の電位は変化しない。すなわち、この場合には、少なくとも1つの第1の検出信号は出力されない。
【0107】
ヨーク401~405の各々が-Y方向に着磁した場合には、第1ないし第4のMR素子31~34の各々に印加される磁界の成分の方向と、第1ないし第4の抵抗部R11~R14の抵抗値の変化は、ヨーク401~405の各々がY方向に着磁した場合とは逆になる。
【0108】
また、
図10において、ヨーク401~405と複数のシールド50に重なるように描かれた矢印は、X方向の外部磁界によって着磁したヨーク401~405および複数のシールド50の磁化方向を示している。また、ヨーク401~405の各々の端部の近傍に描かれた矢印は、着磁したヨーク401~405に起因して発生する磁界を示している。
【0109】
図10に示したように、ヨーク401~405の各々がX方向に着磁した場合、ヨーク401,402の各々のX方向の端部の近傍、ヨーク403,404の各々の-X方向の端部の近傍、ヨーク405のX方向の端部の近傍およびヨーク405の-X方向の端部の近傍において、磁界が発生する。
図10に示したように、第1ないし第4のMR素子31~34の各々の配置ならびに第1ないし第4のMR素子31~34の各々のX方向に平行な方向における寸法を、これらの磁界に重ならないようにすることにより、これらの磁界が第1ないし第4のMR素子31~34の各々に印加されることを防止することができる。この場合、
図1ないし
図3に示した第1および第2の出力端子E11,E12の各々の電位は変化しない。すなわち、この場合には、少なくとも1つの第1の検出信号は出力されない。
【0110】
上記のヨーク401~405の各々がX方向に着磁した場合についての説明は、ヨーク401~405の各々が-X方向に着磁した場合にも当てはまる。
【0111】
また、
図9および
図10を参照して説明した第1の検出回路10についての説明は、第2の検出回路20にも当てはまる。上記の第1の検出回路10についての説明中の第1ないし第4の抵抗部R11~R14、第1ないし第4のMR素子31~34、X方向およびY方向を、それぞれ、第5ないし第8の抵抗部R21~R24、第5ないし第8のMR素子35~38、Y方向およびX方向に置き換えれば、第2の検出回路20についての説明になる。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態に係る磁気センサ1は、複数のMR素子30と、それぞれ第1の方向D1に長い部分を含む複数のヨーク40と、それぞれ第2の方向D2に長い部分を含む複数のシールド50と備えている。複数のMR素子30は、互いに電気的に接続された複数の第1の特定の素子30A1~30A3を含んでいる。
【0113】
複数のヨーク40は、それぞれ複数の第1の特定の素子30A1~30A3の各々を挟むように配置された第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークよりなる複数のヨーク対を含んでいる。複数のヨーク対の各々において、第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークは、第1の特定の素子30A1~30A3のうちのいずれかであって、第1の特定のヨークと第2の特定のヨークとの間に挟まれた1つの第1の特定の素子を中心として、第1の方向D1に平行な方向において互いにずれている。
【0114】
複数のシールド50は、それぞれ複数の第1の特定の素子30A1~30A3の各々を挟むように配置された第1の特定のシールドおよび第2の特定のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。
【0115】
複数の第1の特定の素子30A1~30A3は、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に並んでいる。もし、複数の第1の特定の素子を第1の方向D1に並べる場合、
図4に示した複数のヨーク40の配置では、2つの第1の特定の素子しか配置できない。これに対し、本実施の形態では、3つの第1の特定の素子30A1~30A3を配置することができる。このように、本実施の形態によれば、単位面積当たりのMR素子30の数を多くすることができる。
【0116】
また、複数のMR素子30は、更に、互いに電気的に接続され且つ複数の第1の特定の素子30A1~30A3の各々には電気的に直接接続されていない複数の第2の特定の素子30B1~30B3を含んでいる。複数の第2の特定の素子30B1~30B3も、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に並んでいる。もし、複数の第1の特定の素子を第1の方向D1に並べると共に複数の第2の特定の素子を第1の方向D1に並べる場合、複数の第1の特定の素子と複数の第2の特定の素子は、第1の特定の素子と第2の特定の素子が第1の方向D1に交互に並ぶように配置される。この場合、複数の第1の特定の素子を直列に接続する第1の配線71は、第2の特定の素子を避けるように形成され、複数の第2の特定の素子を直列に接続する第2の配線72は、第1の特定の素子を避けるように形成される。このように第1の配線71と第2の配線72を形成すると、第1の配線71と第2の配線72とが交差する回数が増加する。これにより、第1の配線71と第2の配線72の構造が複雑になる。
【0117】
これに対し、本実施の形態では、第1の配線71と第2の配線72の各々を、特定の素子を避けるように形成する必要はない。これにより、本実施の形態によれば、第1の配線71と第2の配線72の構造すなわち配線部70の構造を簡単にすることができる。
【0118】
また、本実施の形態によれば、単位面積当たりのMR素子30の数を多くしながら、複数のヨーク40と複数のシールド50を用いた磁気センサ1を実現することができる。すなわち、本実施の形態によれば、前述の複数のヨーク40の機能と前述の複数のシールド50の機能を有する磁気センサ1を実現することができる。
【0119】
次に、本実施の形態におけるその他の効果について説明する。第1の検出回路10では、第1の抵抗部R11を構成する複数の第1のMR素子31、第2の抵抗部R12を構成する複数の第2のMR素子32、第3の抵抗部R13を構成する複数の第3のMR素子33および第4の抵抗部R14を構成する複数の第4のMR素子34の各々において、磁化固定層302の磁化の方向は、Y方向である。これにより、本実施の形態によれば、
図1および
図2に示したように、第1および第2の抵抗部R11,R12を1つの第1の領域A1に配置し、第3および第4の抵抗部R11,R12を1つの第2の領域A2に配置することが可能になる。MR素子30の数およびMR素子30の各々の平面形状(Z方向から見た形状)の大きさを同じにして比較すると、本実施の形態によれば、第1ないし第4の抵抗部R11~R14を4つの抵抗部に分割して配置する場合に比べて、支持部材60の平面形状すなわち磁気センサ1の平面形状を小さくすることができる。また、支持部材60の平面形状すなわち磁気センサ1の平面形状を同じにして比較すると、本実施の形態によれば、第1ないし第4の抵抗部R11~R14を4つの抵抗部に分割して配置する場合に比べて、MR素子30の数を多くすることができる。
【0120】
なお、複数の第1のMR素子31、複数の第2のMR素子32、複数の第3のMR素子33および複数の第4のMR素子34の各々において、磁化固定層302の磁化の方向は、-Y方向であってもよい。
【0121】
上記の第1の検出回路10についての説明は、第2の検出回路20にも当てはまる。なお、第5の抵抗部R21を構成する複数の第5のMR素子35、第6の抵抗部R22を構成する複数の第6のMR素子36、第7の抵抗部R23を構成する複数の第7のMR素子37および第8の抵抗部R24を構成する複数の第8のMR素子38の各々において、磁化固定層302の磁化の方向は、X方向であってもよいし、-X方向であってもよい。
【0122】
また、
図4に示した例では、複数のMR素子30は、第1の配線71と第2の配線72のいずれにも接続されていない複数のMR素子30Cを含んでいる。本実施の形態では、複数のヨーク40と複数のシールド50は、複数のMR素子30Cに対しても設けられている。これにより、本実施の形態によれば、複数のヨーク40と複数のシールド50よりなる構造体の形状を、XZ平面およびYZ平面の各々に対して対称にすることができる。その結果、本実施の形態によれば、複数のヨーク40と複数のシールド50を通過する磁束の分布に偏りが生じることを抑制することができる。
【0123】
[第2の実施の形態]
次に、
図11を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図11は、本実施の形態に係る磁気センサ1の一部を示す断面図である。なお、
図11は、第1の実施の形態における
図5と同様の位置における断面を示している。
【0124】
本実施の形態に係る磁気センサ1は、複数のバイアス磁界発生部80を備えている。複数のバイアス磁界発生部80の各々は、複数のMR素子30のうちの対応するMR素子30に対して印加されるバイアス磁界を発生するように構成されている。バイアス磁界は、第1の方向D1に平行な方向の成分を含んでいる。なお、バイアス磁界が特定の方向の成分を含んでいる場合、特定の方向の成分は、バイアス磁界の主成分であってもよい。あるいは、バイアス磁界は、特定の方向に直交する方向の成分を含んでいなくてもよい。本実施の形態では、バイアス磁界が特定の方向の成分を含んでいる場合、バイアス磁界の磁化の方向は、特定の方向またはほぼ特定の方向になる。
【0125】
図11に示した例では、複数のバイアス磁界発生部80は、第1の方向D1に平行な方向に配置された2つの磁界発生体81,82であって、複数のMR素子30のうちの対応する1つのMR素子30を挟むように配置された2つの磁界発生体81,82を含んでいる。2つの磁界発生体81,82とMR素子30との間には、図示しない絶縁層が介在している。また、2つの磁界発生体81,82の各々は、下部電極71Aおよび上部電極71Bとの間に配置されている。図示しない絶縁層は、2つの磁界発生体81,82と下部電極71Aおよび上部電極71Bの少なくとも一方との間にも介在している。
【0126】
2つの磁界発生体81,82の各々は、磁石であってもよい。あるいは、2つの磁界発生体81,82の各々は、強磁性体部と、強磁性体部に接して強磁性体部と交換結合する反強磁性体部とを含む積層体であってもよい。
【0127】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0128】
[第3の実施の形態]
次に、
図12を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図12は、本実施の形態に係る磁気センサ1の一部を示す断面図である。なお、
図12は、第1の実施の形態における
図5に示した断面に対して垂直な断面を示している。
【0129】
本実施の形態に係る磁気センサ1は、それぞれ軟磁性体よりなる複数のサブヨーク90を備えている。複数のサブヨーク90は、それぞれ2つのサブヨーク90よりなる複数のサブヨーク対を含んでいる。複数のサブヨーク対の各々において、2つのサブヨーク90は、第2の方向D2に平行な方向に配置されていると共に、複数のMR素子30のうちの対応する1つのMR素子30を挟むように配置されている。複数のサブヨーク90の各々は、第1の方向D1に長い部分を含んでいる。2つのサブヨーク90とMR素子30との間には、図示しない絶縁層が介在している。また、2つのサブヨーク90の各々は、下部電極71Aおよび上部電極71Bとの間に配置されている。図示しない絶縁層は、2つのサブヨーク90と下部電極71Aおよび上部電極71Bの少なくとも一方との間にも介在している。
【0130】
複数のサブヨーク90は、対象磁界に起因して複数のヨーク40から発生する磁界を複数のMR素子30に誘導する機能を有している。
【0131】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1または第2の実施の形態と同様である。
【0132】
[第4の実施の形態]
次に、
図13を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図14は、本実施の形態に係る磁気センサ1の素子配置領域を示す平面図である。
【0133】
本実施の形態では、素子配置領域の第1ないし第4の領域A1~A4の配置が、第1の実施の形態と異なっている。すなわち、本実施の形態では、第1の領域A1と第2の領域A2は、Y方向に平行な方向に並ぶように配置され、第3の領域A3と第4の領域A4は、X方向に平行な方向に並ぶように配置されている。第1の領域A1と第2の領域A2とを合わせた領域と、第3の領域A3と第4の領域A4とを合わせた領域は、Y方向に平行な方向において互いに異なる位置に配置されている。
【0134】
本実施の形態では特に、第2の領域A2は、第1の領域A1に対して、-Y方向の先に配置されている。第3の領域A3と第4の領域A4は、第2の領域A2に対して、-Y方向の先に配置されている。第4の領域A4は、第3の領域A3に対してX方向の先に配置されている。
【0135】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1ないし第3のいずれかの実施の形態と同様である。
【0136】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、複数の第1の特定の素子は、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に、ジグザグに並ぶように配置されていてもよい。同様に、複数の第2の特定の素子は、第1の方向D1および第2の方向D2の各々と交差する方向に、ジグザグに並ぶように配置されていてもよい。
【0137】
また、第1の検出回路10は、第1ないし第4の抵抗部R11~R14によって構成されたフルブリッジの代わりに、第1および第2の抵抗部R11,R12または第3および第4の抵抗部R13,R14によって構成されたハーフブリッジを有していてもよい。同様に、第2の検出回路20は、第5ないし第8の抵抗部R21~R24によって構成されたフルブリッジの代わりに、第5および第6の抵抗部R21,R22または第7および第8の抵抗部R23,R24によって構成されたハーフブリッジを有していてもよい。
【0138】
以上説明したように、本発明の磁気センサは、複数の磁気検出素子と、それぞれ第1の方向に長い部分を含む複数のヨークと、それぞれ第1の方向と交差する第2の方向に長い部分を含む複数のシールドと備えている。複数の磁気検出素子は、互いに電気的に接続された複数の第1の特定の素子を含んでいる。複数のヨークは、それぞれ複数の第1の特定の素子の各々を挟むように配置された第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークよりなる複数のヨーク対を含んでいる。複数のヨーク対の各々において、第1の特定のヨークおよび第2の特定のヨークは、第1の特定のヨークと第2の特定のヨークとの間に挟まれた1つの第1の特定の素子を中心として、第1の方向に平行な方向において互いにずれている。複数のシールドは、それぞれ複数の第1の特定の素子の各々を挟むように配置された第1の特定のシールドおよび第2の特定のシールドよりなる複数のシールド対を含んでいる。複数の第1の特定の素子は、第1の方向および第2の方向の各々と交差する方向に並んでいる。
【0139】
本発明の磁気センサにおいて、複数の磁気検出素子は、それぞれ複数の第1の特定の素子よりなる複数の第1の素子グループを含んでいてもよい。複数の第1の素子グループは、第2の方向に平行な方向に並んでいてもよい。
【0140】
また、本発明の磁気センサにおいて、複数のヨーク対の各々において、第1の特定のヨークと第2の特定のヨークの少なくとも一方は、複数の第1の特定の素子のうちの2つの間に挟まれていてもよい。
【0141】
また、本発明の磁気センサにおいて、複数の磁気検出素子は、更に、第1の方向および第2の方向の各々と交差する方向に並び、互いに電気的に接続され且つ複数の第1の特定の素子の各々には電気的に直接接続されていない複数の第2の特定の素子を含んでいてもよい。複数の第1の特定の素子のうちの1つと、複数の第2の特定の素子のうちの1つは、それらの間に第1の特定のヨークまたは第2の特定のヨークを挟むように配置されていてもよい。複数の磁気検出素子は、それぞれ複数の第1の特定の素子よりなり且つ第2の方向に並ぶ複数の第1の素子グループと、それぞれ複数の第2の特定の素子よりなり且つ第2の方向に並ぶ複数の第2の素子グループとを含んでいてもよい。複数のヨーク対の各々において、第1の特定のヨークと第2の特定のヨークの少なくとも一方は、複数の第1の特定の素子のうちの2つに挟まれ且つ複数の第2の特定の素子のうちの2つに挟まれていてもよい。本発明の磁気センサは、更に、第1の端子と、第2の端子と、第3の端子とを備えていてもよい。複数の第1の特定の素子は、回路構成上、第1の端子と第2の端子との間に設けられていてもよい。複数の第2の特定の素子は、回路構成上、第2の端子と第3の端子との間に設けられていてもよい。
【0142】
また、本発明の磁気センサにおいて、複数の磁気検出素子は、更に、第1の方向および第2の方向の各々と交差する方向に並び、互いに電気的に接続され且つ複数の第1の特定の素子の各々には電気的に直接接続されていない複数の第2の特定の素子を含んでいてもよい。複数の第1の特定の素子のうちの1つと、複数の第2の特定の素子のうちの1つは、それらの間に第1の特定のシールドまたは第2の特定のシールドを挟むように配置されていてもよい。
【0143】
また、本発明の磁気センサにおいて、複数の磁気検出素子の各々は、第1の磁化を有する磁化固定層と、印加される磁界に応じて方向が変化可能な第2の磁化を有する自由層とを含む磁気抵抗効果素子であってもよい。磁化固定層の第1の磁化は、所定の一方向の成分を含んでいてもよい。所定の一方向は、複数の磁気検出素子において同じ方向であってもよい。
【0144】
また、本発明の磁気センサは、更に、上面を有し、複数の磁気検出素子、複数のヨークおよび複数のシールドを支持する支持部材を備えていてもよい。複数のヨークは、支持部材の上面に垂直な一方向から見たときに複数のシールドのうちの対応するシールドと十字状に交差する少なくとも1つのヨークを含んでいてもよい。あるいは、複数のヨークは、支持部材の上面に垂直な一方向から見たときに複数のシールドのうちの対応するシールドとT字状に交差する少なくとも1つのヨークを含んでいてもよい。
【0145】
また、本発明の磁気センサは、更に、複数の磁気検出素子によって構成された複数の抵抗部を備えていてもよい。複数の磁気検出素子は、複数の抵抗部に対応する複数の領域に分割して配置されていてもよい。複数の領域の各々は、第1の方向に長い形状を有していてもよい。
【0146】
また、本発明の磁気センサは、更に、第1の電源端子と、第2の電源端子と、グランド端子と、第1の出力端子と、第2の出力端子と、第3の出力端子と、第4の出力端子と、第1の電源端子と第1の出力端子との間に設けられた第1の抵抗部と、グランド端子と第1の出力端子との間に設けられた第2の抵抗部と、グランド端子と第2の出力端子との間に設けられた第3の抵抗部と、第1の電源端子と第2の出力端子との間に設けられた第4の抵抗部と、第2の電源端子と第3の出力端子との間に設けられた第5の抵抗部と、グランド端子と第3の出力端子との間に設けられた第6の抵抗部と、グランド端子と第4の出力端子との間に設けられた第7の抵抗部と、第2の電源端子と第4の出力端子との間に設けられた第8の抵抗部とを備えていてもよい。第1ないし第8の抵抗部は、複数の磁気検出素子によって構成されていてもよい。
【0147】
複数の磁気検出素子は、更に、第1の方向および第2の方向の各々と交差する方向に並び、互いに電気的に接続され且つ複数の第1の特定の素子の各々には電気的に直接接続されていない複数の第2の特定の素子を含んでいてもよい。複数の第1の特定の素子と複数の第2の特定の素子の各々は、第1の領域、第2の領域、第3の領域および第4の領域に分割して配置されていてもよい。
【0148】
第1の抵抗部は、複数の第1の特定の素子のうち第1の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。第2の抵抗部は、複数の第2の特定の素子のうち第1の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。第3の抵抗部は、複数の第1の特定の素子のうち第2の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。第4の抵抗部は、複数の第2の特定の素子のうち第2の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。第5の抵抗部は、複数の第1の特定の素子のうち第3の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。第6の抵抗部は、複数の第2の特定の素子のうち第3の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。第7の抵抗部は、複数の第1の特定の素子のうち第4の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。第8の抵抗部は、複数の第2の特定の素子のうち第4の領域に配置された複数の素子によって構成されていてもよい。
【0149】
第1の領域と第2の領域は、所定の間隔を開けて配置されていてもよい。第3の領域と第4の領域は、第1の領域と第2の領域との間において、第1の領域と第2の領域とが並ぶ方向に直交する方向に並ぶように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1…磁気センサ、10…第1の検出回路、20…第2の検出回路、30…MR素子、40…ヨーク、50…シールド、60…支持部材、61…基板、62~65…絶縁層、70…配線部、71…第1の配線、72…第2の配線、301…反強磁性層、302…磁化固定層、303…ギャップ層、304…自由層、A1…第1の領域、A2…第2の領域、A3…第3の領域、A4…第4の領域、D1…第1の方向、D2…第2の方向、D3…第3の方向、E11…第1の出力端子、E12…第2の出力端子、E21…第3の出力端子、E22…第4の出力端子、G…グランド端子、R11…第1の抵抗部、R12…第2の抵抗部、R13…第3の抵抗部、R14…第4の抵抗部、R21…第5の抵抗部、R22…第6の抵抗部、R23…第7の抵抗部、R24…第8の抵抗部、V1,V2…電源端子。