(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157701
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/20 20190101AFI20241031BHJP
G07D 11/12 20190101ALI20241031BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/12
G07G1/00 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072212
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】森本 大介
(72)【発明者】
【氏名】金川 正幸
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 龍威
(72)【発明者】
【氏名】北村 洋輔
【テーマコード(参考)】
3E141
3E142
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA06
3E141FC05
3E141FC07
3E142FA21
3E142GA24
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させることができる貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】貨幣の入金を受け付ける貨幣処理装置2に、貨幣が投入される投入部12、22と、貨幣の搬送を行う搬送部16、26と、貨幣を機体外に投出する投出部14、24と、貨幣収納体29aが装着される装着部29であって、装着部29に貨幣収納体29aが装着されているときに搬送部16、26から貨幣収納体29aに貨幣を送ることが可能となる装着部29と、貨幣収納体29aを使用する第1モードと貨幣収納体29aを使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行う制御部11、21と、が設けられている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の入金を受け付ける貨幣処理装置であって、
貨幣が投入される投入部と、
貨幣の搬送を行う搬送部と、
貨幣を機体外に投出する投出部と、
貨幣収納体が装着される装着部であって、前記装着部に前記貨幣収納体が装着されているときに前記搬送部から前記貨幣収納体に貨幣を送ることが可能となる装着部と、
前記貨幣収納体を使用する第1モードと前記貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行う制御部と、
を備えた、貨幣処理装置。
【請求項2】
前記第1モードと前記第2モードとの間における貨幣の処理モードの切り替えは前記制御部における設定により行われる、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部に対して指令を与えるための操作部を更に備え、
前記操作部によって貨幣の処理モードを前記第1モードおよび前記第2モードのうちいずれのモードにするかという指令が前記制御部に与えられることにより前記制御部において前記設定が行われる、請求項2記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記装着部に前記貨幣収納体が装着されていることを検知する検知部を更に備え、
前記制御部は、前記検知部により前記装着部に前記貨幣収納体が装着されていることが検知されたときに貨幣の処理モードを前記第1モードとし、前記検知部により前記装着部に前記貨幣収納体が装着されていることが検知されないときに貨幣の処理モードを前記第2モードとする、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記装着部には蓋が設けられており、所定の権限を有する者のみが前記蓋を開いて前記装着部にアクセスすることができるようになっている、請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記収納部または前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、所定の金種の貨幣の入金を受け付けない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記収納部または前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記収納部に送るよう前記搬送部を制御する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、前記収納部に貨幣を収納することができない状態であるときに、当該収納部に収納されるべき貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、当該収納部に収納されるべき貨幣の入金を受け付けない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う複数の収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、ある前記収納部に貨幣を収納することができない状態であるときに、当該収納部に収納されるべき貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、当該収納部に収納されるべき貨幣を別の収納部に送るよう前記搬送部を制御する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に前記収納部に収納されている貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体または前記投出部に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に前記収納部に収納されている貨幣を前記投出部に送るよう前記搬送部を制御する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項11】
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に前記収納部に収納されている貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体または前記投出部に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、貨幣の回収処理を禁止する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項12】
貨幣が投入される投入部と、貨幣の搬送を行う搬送部と、貨幣を機体外に投出する投出部と、貨幣収納体が装着される装着部であって、前記装着部に前記貨幣収納体が装着されているときに前記搬送部から前記貨幣収納体に貨幣を送ることが可能となる装着部と、制御部とを備えた貨幣処理装置による貨幣処理方法であって、
前記制御部が、前記貨幣収納体を使用する第1モードと前記貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行う工程と、
前記制御部が、前記第1モードおよび前記第2モードのうち決められた貨幣の処理モードに沿って貨幣の処理を行うよう前記貨幣処理装置の各構成要素を制御する工程と、
を備えた、貨幣処理方法。
【請求項13】
貨幣が投入される投入部と、貨幣の搬送を行う搬送部と、貨幣を機体外に投出する投出部と、貨幣収納体が装着される装着部であって、前記装着部に前記貨幣収納体が装着されているときに前記搬送部から前記貨幣収納体に貨幣を送ることが可能となる装着部と、制御部とを備えた貨幣処理装置における、前記制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部が前記プログラムを実行することにより、前記貨幣収納体を使用する第1モードと前記貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行い、前記第1モードおよび前記第2モードのうち決められた貨幣の処理モードに沿って貨幣の処理を行うよう前記貨幣処理装置の各構成要素を制御する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貨幣の入金処理や出金処理等の様々な処理を行う貨幣処理装置として様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1には、収納庫に収納された貨幣を回収する貨幣回収カセットを備えた貨幣釣銭機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に開示されるような貨幣回収カセットを備えた貨幣処理装置では、貨幣回収カセットが装置本体から抜き取られている状態では貨幣の処理を行うことができず休止しなければならないため、使用者にとって不便であるという問題があった。
【0005】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、利便性を向上させることができる貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の貨幣処理装置は、
貨幣の入金を受け付ける貨幣処理装置であって、
貨幣が投入される投入部と、
貨幣の搬送を行う搬送部と、
貨幣を機体外に投出する投出部と、
貨幣収納体が装着される装着部であって、前記装着部に前記貨幣収納体が装着されているときに前記搬送部から前記貨幣収納体に貨幣を送ることが可能となる装着部と、
前記貨幣収納体を使用する第1モードと前記貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行う制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本開示の貨幣処理装置において、
前記第1モードと前記第2モードとの間における貨幣の処理モードの切り替えは前記制御部における設定により行われてもよい。
【0008】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記制御部に対して指令を与えるための操作部を更に備え、
前記操作部によって貨幣の処理モードを前記第1モードおよび前記第2モードのうちいずれのモードにするかという指令が前記制御部に与えられることにより前記制御部において前記設定が行われてもよい。
【0009】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記装着部に前記貨幣収納体が装着されていることを検知する検知部を更に備え、
前記制御部は、前記検知部により前記装着部に前記貨幣収納体が装着されていることが検知されたときに貨幣の処理モードを前記第1モードとし、前記検知部により前記装着部に前記貨幣収納体が装着されていることが検知されないときに貨幣の処理モードを前記第2モードとしてよい。
【0010】
また、本開示の貨幣処理装置において、
前記装着部には蓋が設けられており、所定の権限を有する者のみが前記蓋を開いて前記装着部にアクセスすることができるようになってもよい。
【0011】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記収納部または前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、所定の金種の貨幣の入金を受け付けない、といった処理をしてもよい。
【0012】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記収納部または前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記収納部に送るよう前記搬送部を制御する、といった処理をしてもよい。
【0013】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、前記収納部に貨幣を収納することができない状態であるときに、当該収納部に収納されるべき貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、当該収納部に収納されるべき貨幣の入金を受け付けない、といった処理をしてもよい。
【0014】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う複数の収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、ある前記収納部に貨幣を収納することができない状態であるときに、当該収納部に収納されるべき貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、当該収納部に収納されるべき貨幣を別の収納部に送るよう前記搬送部を制御する、といった処理をしてもよい。
【0015】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に前記収納部に収納されている貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体または前記投出部に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に前記収納部に収納されている貨幣を前記投出部に送るよう前記搬送部を制御する、といった処理をしてもよい。
【0016】
また、本開示の貨幣処理装置は、
前記搬送部から送られた貨幣の収納を行う収納部を更に備え、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第1モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に前記収納部に収納されている貨幣を前記装着部に装着されている前記貨幣収納体または前記投出部に送るよう前記搬送部を制御し、
前記制御部は、貨幣の処理モードが前記第2モードである場合には、貨幣の回収処理を禁止する、といった処理をしてもよい。
【0017】
本開示の貨幣処理方法は、
貨幣が投入される投入部と、貨幣の搬送を行う搬送部と、貨幣を機体外に投出する投出部と、貨幣収納体が装着される装着部であって、前記装着部に前記貨幣収納体が装着されているときに前記搬送部から前記貨幣収納体に貨幣を送ることが可能となる装着部と、制御部とを備えた貨幣処理装置による貨幣処理方法であって、
前記制御部が、前記貨幣収納体を使用する第1モードと前記貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行う工程と、
前記制御部が、前記第1モードおよび前記第2モードのうち決められた貨幣の処理モードに沿って貨幣の処理を行うよう前記貨幣処理装置の各構成要素を制御する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
本開示のプログラムは、
貨幣が投入される投入部と、貨幣の搬送を行う搬送部と、貨幣を機体外に投出する投出部と、貨幣収納体が装着される装着部であって、前記装着部に前記貨幣収納体が装着されているときに前記搬送部から前記貨幣収納体に貨幣を送ることが可能となる装着部と、制御部とを備えた貨幣処理装置における、前記制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部が前記プログラムを実行することにより、前記貨幣収納体を使用する第1モードと前記貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行い、前記第1モードおよび前記第2モードのうち決められた貨幣の処理モードに沿って貨幣の処理を行うよう前記貨幣処理装置の各構成要素を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本開示の貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムによれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る貨幣処理装置を備えた貨幣処理システムの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す貨幣処理システムにおける硬貨釣銭機を上方から見たときの内部構成を示す構成図である。
【
図3A】
図1に示す貨幣処理システムにおける紙幣釣銭機を上方から見たときの内部構成を示す構成図である。
【
図3B】
図3Aの紙幣釣銭機において、貨幣収納体の装着部を外部に設ける場合の構成図である。
【
図4】
図1に示す貨幣処理システムにおける制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る貨幣処理方法を説明するためのフロー図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る貨幣処理方法における各モードで行われる処理をまとめた図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態に係る貨幣処理装置を示す構成図である。
【
図8】本開示の第3の実施形態に係る貨幣処理装置を示す構成図である。
【
図9】本開示の第4の実施形態に係る貨幣処理装置を示す構成図である。
【
図10】本開示の第5の実施形態に係る貨幣処理装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本開示の第1の実施形態について説明する。
図1乃至
図4は、本実施形態による貨幣処理装置を備えた貨幣処理システムの構成等を示す図である。
【0022】
(貨幣処理システム1)
図1に示す貨幣処理システム1は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20から構成される貨幣釣銭機2(貨幣処理装置)と、これらの硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の制御を行う制御装置30とを組み合わせたものである。ここで、
図1に示すように、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20は左右に並ぶよう配置されている。硬貨釣銭機10は、商品の代金としての硬貨の入金処理および釣銭としての硬貨の出金処理を行うようになっている。紙幣釣銭機20は、商品の代金としての紙幣の入金処理および釣銭としての紙幣の出金処理を行うようになっている。また、制御装置30は、例えば店舗の店員が携帯可能なタブレット端末(具体的には、タブレットPC)等から構成されており、この制御装置30は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20のうちいずれか一方(本実施形態では硬貨釣銭機10)に無線(具体的には、例えばWi-Fi)により通信可能に接続されている。なお、制御装置30として、店舗の店員が携帯可能なタブレット端末以外に、店舗の店員が携帯可能なスマートフォン等の携帯情報端末や、POSレジスタ(すなわち、販売時点情報管理レジスタ)等が用いられてもよい。このような制御装置30は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の管理を行う管理装置として機能できることから、後述するように本開示における貨幣収納体を使用する第1モードと前記貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行うよう指令を送信することができる。また、制御装置30には店舗サーバ(図示せず)が無線により通信可能に接続されて、各種設定情報が、店舗サーバから制御装置30に配信されるようになっていてもよい。
【0023】
このような貨幣処理システム1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の商業施設の店舗に設置されている。商品を購入しようとする顧客が商品の代金としての硬貨や紙幣を店員に手渡すと、店員は顧客から手渡された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に入金する。また、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に入金された硬貨および紙幣の合計金額が、制御装置30において登録処理が行われた商品の合計金額よりも多い場合には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において釣銭としての硬貨や紙幣の出金処理が行われる。硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20から出金された硬貨や紙幣は店員により顧客に手渡される。
【0024】
以下、このような貨幣処理システム1における硬貨釣銭機10、紙幣釣銭機20および制御装置30の構成について
図1乃至
図4を用いて説明する。
【0025】
(硬貨釣銭機10)
まず、硬貨釣銭機10の構成について説明する。
図1および
図2に示すように、硬貨釣銭機10は、略直方体形状の筐体10aと、筐体10aの前面側に設けられた硬貨受入部12と、筐体10aの前面側において硬貨受入部12の下方に設けられた硬貨払出部14と、筐体10aの内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の硬貨収納部15とを備えている。
【0026】
硬貨受入部(投入部)12は、硬貨投入口を介して投入され受け入れられた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体10a内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部12には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構(図示せず)が設けられており、硬貨受入部12に受け入れられた硬貨が検知されると硬貨繰出機構が駆動されることにより当該硬貨繰出機構によって硬貨が筐体10aの内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、
図2に示すように、硬貨受入部12には、当該硬貨受入部12により筐体10aの内部に繰り出された硬貨を搬送する第1硬貨搬送部16a(入金硬貨搬送部)が接続されている。また、硬貨受入部12には硬貨検知センサ(図示せず)が設けられており、硬貨投入口を介して筐体10aの外部から硬貨受入部12に硬貨が投入されたときにこの投入された硬貨が硬貨検知センサにより検知されるようになっている。また、硬貨受入部12に投入された硬貨が全て硬貨繰出機構により筐体10aの内部に繰り出されると、硬貨検知センサは硬貨を検知しない状態となる。このような硬貨受入部12は、筐体10aの外部から内部に硬貨を取り込む「投入部」として機能する。また、硬貨払出部14は、硬貨収納部15から繰り出された硬貨を筐体10aの外部に排出する「投出部」として機能する。
【0027】
図2に示すように、第1硬貨搬送部16aの途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う硬貨識別部16bと、分岐部16dとがそれぞれ設けられている。分岐部16dは、硬貨識別部16bによる硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部14から払い出されるべき硬貨を第1硬貨搬送部16aから分岐させて第2硬貨搬送部16c(出金硬貨搬送部)へ案内するようになっている。なお、以下の説明において、第1硬貨搬送部16aおよび第2硬貨搬送部16cを、個別にまたは総称して「搬送部(16)」ともいう。
【0028】
一方、正常硬貨等の筐体10a内に収納されるべき硬貨は第1硬貨搬送部16aにより各硬貨収納部15へ搬送されるようになっている。各硬貨収納部15は、硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を後述する第2硬貨搬送部16cに繰出可能となるよう構成されている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの硬貨収納部15が設けられており、第1硬貨搬送部16aの上流側(すなわち、
図2における下側)から低額順に各硬貨収納部15に硬貨が金種毎に収納されるようになっている。また、硬貨収納部15には、当該硬貨収納部15に収納された硬貨を1枚ずつ第2硬貨搬送部16cに繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。なお、以下の説明において、硬貨収納部15を個別にまたは総称して「収納部(15)」ともいう。
【0029】
第2硬貨搬送部16cは、各硬貨収納部15から繰り出された硬貨を硬貨払出部14へ搬送するようになっている。また、第2硬貨搬送部16cは、分岐部16dにより第1硬貨搬送部16aから分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部14へ搬送するようになっている。
【0030】
また、
図1に示すように、硬貨釣銭機10の上面にはタッチパネル等の操作表示部(操作部)19が設けられている。操作表示部19には、操作者が操作するための操作画面や、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の各々に収納されている硬貨や紙幣の在高に係る情報が表示されるようになっている。また、このような操作表示部19において操作者は操作画面における操作ボタンに指を触れることによって後述する制御部11に様々な指令を入力することができ、本開示における貨幣の処理モードを第1モードおよび第2モードのうちいずれのモードにするかという指令を制御部11に与えることができる。
【0031】
また、硬貨釣銭機10には、硬貨を回収するためのカセット(貨幣収納体)と、このカセットを装着するためのカセット装着部(以下、単に「装着部」ともいう)が設けられていてもよい。さらに、この装着部には、所定の権限を有する者のみが開くことができる扉を設け、この所定の権限を有する者が扉を開けることにより装着部にアクセスできるようにしてもよい。本明細書において、「所定の権限を有する者のみが開く」とは、この者のみが扉を開く鍵を保有すること、例えば、バイオメトリクス認証によってこの者のみが扉を開くように設定すること、を含むが、これらに限定されない。
【0032】
(紙幣釣銭機20)
次に、紙幣釣銭機20の構成について説明する。
図1および
図3Aに示すように、紙幣釣銭機20は、略直方体形状の筐体20aと、筐体20aの前面側にそれぞれ設けられた紙幣受入部22および紙幣払出部24と、筐体20aの内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数(具体的には、3つ)の紙幣収納部25とを備えている。なお、以下の説明において、紙幣収納部25を個別にまたは総称して「収納部(25)」ともいう。
【0033】
図3Aに示すように、紙幣釣銭機20の筐体20aの内部には、紙幣を1枚ずつ搬送する紙幣搬送部26aが設けられている。紙幣搬送部26aは、筐体20aの中央位置に配置された周回搬送部26cおよび複数の接続搬送部26dから構成されている。また、紙幣受入部22、紙幣払出部24、出金リジェクト部27、収納カセット29aを着脱自在に装着可能なカセット装着部29および3つの紙幣収納部25が、それぞれ、周回搬送部26cを取り囲むよう配置されている。また、
図3Aに示すように、複数の接続搬送部26dの各々により、紙幣受入部22、紙幣払出部24、出金リジェクト部27、カセット装着部29および3つの紙幣収納部25の各々と、周回搬送部26cとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部26cには紙幣識別部26bが設けられており、この紙幣識別部26bは、周回搬送部26cにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行うようになっている。なお、以下の説明において、カセット装着部29を単に「装着部」ともいい、収納カセット29aを「カセット」または「貨幣収納体」ともいう。
【0034】
周回搬送部26cは、
図3Aにおける時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができるようになっている。また、紙幣搬送部26aにおいて、周回搬送部26cと各接続搬送部26dとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部26cに沿って配置されている。なお、以下の説明において、紙幣搬送部26a、周回搬送部26c、接続搬送部26dを個別にまたは総称して「搬送部(26)」ともいう。
【0035】
図1および
図3Aに示すように、筐体20aの前面には、紙幣受入部22の紙幣受入口と、紙幣払出部24の紙幣取出口とが左右に並ぶよう配置されている。また、カセット装着部29の前面側には扉が設けられており、この扉を開くことにより収納カセット29aをカセット装着部29に装着させたりこのカセット装着部29から収納カセット29aを取り出したりすることができるようになっている。また、カセット装着部29の前面側に蓋を設け、所定の権限を有する者のみがこの蓋を開いてカセット装着部29にアクセスすることができるようになっていてもよい。
【0036】
紙幣受入部22には紙幣繰出機構(図示せず)が設けられており、紙幣受入口に1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると紙幣繰出機構が駆動されることにより紙幣が接続搬送部26dを介して周回搬送部26c側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、紙幣受入部22には紙幣検知センサ(図示せず)が設けられており、紙幣受入口を介して筐体20aの外部から紙幣受入部22に紙幣が投入されたときにこの投入された紙幣が紙幣検知センサにより検知されるようになっている。また、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が全て紙幣繰出機構により筐体20aの内部に繰り出されると、紙幣検知センサは紙幣を検知しない状態となる。このような紙幣受入部22は、筐体20aの外部から内部に紙幣を取り込む「投入部」として機能する。
【0037】
紙幣払出部24は、各紙幣収納部25から周回搬送部26cに繰り出された紙幣を紙幣取出口により筐体20aの外部へ放出するようになっている。このような紙幣払出部24は、紙幣収納部25から繰り出された紙幣を筐体20aの外部に排出する「投出部」として機能する。
【0038】
出金リジェクト部27は、出金処理時において各紙幣収納部25から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により紙幣識別部26bで識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、紙幣受入部22から筐体20aの内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により紙幣識別部26bで識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部24に返却されるようになっている。
【0039】
各紙幣収納部25は、紙幣識別部26bの識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。これらの紙幣収納部25には、紙幣釣銭機20に入金された商品の代金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納されるようになっている。具体的には、例えば3つの紙幣収納部25のうち左側の紙幣収納部25には千円札が収納され、中央に位置する紙幣収納部25には5千円札が収納され、右側の紙幣収納部25には1万円札が収納されるようになっている。また、各紙幣収納部25にはそれぞれ紙幣繰出機構(図示せず)が設けられており、これらの紙幣収納部25に収納されている紙幣は各紙幣繰出機構により接続搬送部26dを介して周回搬送部26c側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
【0040】
なお、紙幣釣銭機20にも、操作表示部19のような操作部が設けられていてもよい。
【0041】
(制御装置30)
次に、制御装置30の構成について
図4を用いて簡単に説明する。制御装置30は、CPU等の制御部32と、タッチパネル等の操作表示部34と、記憶部36とを有している。操作表示部34は操作者が操作することができるようになっており、操作者は操作表示部34により制御部32に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、操作表示部34は、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における硬貨や紙幣の処理状況、在高等の情報を表示するようになっている。また、操作表示部34には、顧客が購入しようとする商品の登録情報が表示されるようになっている。また、記憶部36には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における硬貨や紙幣の処理履歴や、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に収納されている硬貨や紙幣の在高等の情報が記憶されるようになっている。
【0042】
(貨幣処理システム1の制御系)
次に、本実施形態による貨幣処理システム1の制御系の構成について
図4を用いて説明する。
図4に示すように、硬貨釣銭機10の筐体10aの内部にはCPU等の制御部11が設けられている。制御部11には、操作表示部19、硬貨受入部12、硬貨払出部14、硬貨収納部15、第1硬貨搬送部16a、硬貨識別部16b、第2硬貨搬送部16c、分岐部16d等の各々が接続されている。そして、制御部11からこれらの構成要素の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、制御部11には通信部18が接続されており、この通信部18を介して硬貨釣銭機10の制御部11は制御装置30の制御部32や紙幣釣銭機20の制御部21(後述)に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。また、制御部11には記憶部17が接続されている。記憶部17は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の各々に収納されている硬貨および紙幣の在高に係る情報や、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20における硬貨および紙幣の処理履歴等の様々な情報が記憶されるようになっている。なお、記憶部17、36は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成される。
【0043】
また、
図4に示すように、紙幣釣銭機20の筐体20aの内部にはCPU等の制御部21が設けられている。制御部21には、紙幣受入部22、紙幣払出部24、紙幣収納部25、紙幣搬送部26aおよび紙幣識別部26b等の各々が接続されている。そして、制御部21からこれらの構成要素の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、制御部21には通信部28が接続されており、この通信部28を介して紙幣釣銭機20の制御部21は硬貨釣銭機10の制御部11に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0044】
また、
図4に示すように、制御装置30は通信部38を有しており、制御部32は、通信部38を介して硬貨釣銭機10の制御部11に通信可能に接続されている。また、制御部32は、通信部38を介して店舗サーバに通信可能に接続されていてもよい。そして、制御部32は、通信部38を介して硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に指令信号を送ることにより、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に対して硬貨や紙幣の入金処理および出金処理を行わせることができるようになっている。また、制御部32は、硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21から、通信部38を介して硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け付けるようになっている。
【0045】
さらに、本実施形態において、制御部11や制御部21は、それぞれの硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において、貨幣収納体を使用する第1モードと貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行うことができる。この貨幣の処理モードの切り替えは制御部11、21における設定により行うことができる。具体的には、制御装置30の制御部32や操作部19を介していずれかのモードに切り替えるという指令を制御部11、21に任意のタイミングで与えてもよい。あるいは、
図4に示すように、貨幣収納体(カセット)が装着部に装着されていることを検知する検知部13、23を設け、貨幣収納体が装着部に装着されていることが検知されたときに第1モードとし、検知されないときに第2モードとするよう設定されていてもよい。検知部13、23の例として、光学センサや、貨幣収納体に付けられたICタグを読み取る読取機等が挙げられるが、特に限定されない。
【0046】
[貨幣処理方法]
以下、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において第1モードまたは第2モードで行われる各貨幣処理での動作について
図5-
図6を用いて説明する。なお、本開示に係る貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムは、以下の金種、金額、処理等の設定に限定されない。
図5は、本実施形態に係る貨幣処理方法を説明するためのフロー図であり、
図6は、本実施形態に係る貨幣処理方法における各モードで行われる処理をまとめた図である。なお、以下に示す貨幣処理装置2の動作は、制御装置30の制御部32が硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に指令信号を送ることにより、硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21が硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20の各構成要素を制御することもできる。
【0047】
図5に示すように、上記した貨幣処理装置2を用いる貨幣処理方法は、制御部11、21が、貨幣収納体を使用する第1モードと貨幣収納体を使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行う工程(S10)と、制御部11、21が、第1モードおよび第2モードのうち決められた貨幣の処理モードに沿って貨幣の処理を行うよう貨幣処理装置2の各構成要素を制御する工程(S20)と、を備える。この貨幣処理としては以下の処理を挙げることができる。なお、これらの工程は、制御部11、21または制御部32が、記憶部17または36に記憶されているプログラムを実行することによって行うことができる。
【0048】
(入金処理)
硬貨釣銭機10または紙幣釣銭機20への入金処理が行われる場合、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を収納部15、25または装着部29に装着されている貨幣収納体29aに送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、所定の金種の貨幣の入金を受け付けない、という処理をさせることができる(
図6)。ここで、「入金を受け付けない」とは、所定の金種の貨幣の取り扱いを禁止するよう投入部12、22を制御すること、所定の金種の貨幣をリジェクトするよう搬送部16、26等を制御することを含む。
【0049】
あるいは、硬貨釣銭機10または紙幣釣銭機20への入金処理が行われる場合、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を収納部15、25に送るよう搬送部16、26を制御する、という処理をさせることができる。すなわち、貨幣が収納部15、25または装着部29に送られる第1モードと異なり、第2モードでは、収納部15、25のみに貨幣が送られるよう制御することもできる。ここで、例えば、上述のように、
図3Aに示す3つの紙幣収納部25のうち左側の紙幣収納部25には千円札が収納され、中央に位置する紙幣収納部25には5千円札が収納され、右側の紙幣収納部25には1万円札が収納されるようになっている場合に、第2モードの状態で1万円札と2千円札の入金が行われるとすると、1万円札を対応する右側の紙幣収納部25に収納し、2千円札を中央に位置する紙幣収納部25に他の金種の紙幣と混合収納させることができる(
図6)。
【0050】
(オーバーフロー状態の入金処理)
収納部15、25に貨幣を収納することができない状態(オーバーフロー、満杯状態)で硬貨釣銭機10または紙幣釣銭機20への入金処理が行われる場合、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、収納部11、21に収納されるべき貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を装着部29に装着されている貨幣収納体29aに送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、収納部11、21に収納されるべき貨幣の入金を受け付けない、という処理をさせることができる(
図6)。「入金を受け付けない」とは上述の通りである。
【0051】
あるいは、ある収納部15、25に貨幣を収納することができないオーバーフロー状態で硬貨釣銭機10または紙幣釣銭機20への入金処理が行われる場合、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、ある収納部11、21に収納されるべき貨幣を別の収納部11、21に送るよう搬送部16、26を制御する、という処理をさせることができる。すなわち、ある収納部15、25がオーバーフロー状態のときには、貨幣が収納部ではなく貨幣収納体29aに送られる第1モードと異なり、第2モードでは、貨幣を当初予定されていない別の収納部11、21に混合収納するよう制御することもできる(
図6)。
【0052】
(回収処理)
硬貨釣銭機10または紙幣釣銭機20から貨幣の回収処理が行われる際に、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、収納部15、25に収納されている貨幣を装着部29に装着されている貨幣収納体29aまたは投出部14、24に送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、収納部15、25に収納されている貨幣を投出部14、24に送るよう搬送部16、26を制御する、という処理をさせることができる(
図6)。
【0053】
あるいは、硬貨釣銭機10または紙幣釣銭機20から貨幣の回収処理が行われる際に、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、貨幣の回収処理を禁止する、すなわち、回収処理を受け付けないよう制御することもできる(
図6)。
【0054】
各処理において、第2モードでいずれのオプションを採用するかも、上述のように予め設定することができる。
【0055】
従来の貨幣処理装置では、貨幣回収カセット(収納カセット)が装置本体から抜き取られている状態では貨幣の処理を行うことができず貨幣処理装置自体を休止しなければならないため、使用者にとって不便であるという問題があった。このような場合、交換用のカセットを別途用意して、店舗運営を継続することもできるが、このためのコストが更にかかっていた。また、店舗によっては、貨幣払出部から貨幣を回収する運用の場合、実質的に回収カセットを利用していない場合もある。さらに、回収カセットが故障した場合にも貨幣処理装置が休止状態となる。
【0056】
これに対し、本実施形態に係る貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムであれば、カセット無しでの運用(第2モード)が可能となる。これにより、交換用の予備カセットが必要なくなり、運用コストを抑えることができる。また、投出部から貨幣を回収する運用の場合のように実質的に回収カセットを利用していない場合でも、設定により第2モードで貨幣処理装置2を運用可能であるため、貨幣処理装置2は様々な店舗で利用できる。さらに、回収カセットが故障したとしても、貨幣処理装置2を第2モードで運用すれば、貨幣処理装置2ひいては店舗が休止状態となる事態を回避できる。
【0057】
上述のように、本実施形態に係る貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムであれば、第1モードでも運用可能である。この第1モードは回収カセットを備えることを前提としているため、本実施形態に係る貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムは、釣銭機全般に適用可能である。
【0058】
以上のような構成からなる本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムによれば、貨幣の入金を受け付ける貨幣処理装置2に、貨幣が投入される投入部12、22と、貨幣の搬送を行う搬送部16、26と、貨幣を機体外に投出する投出部14、24と、貨幣収納体29aが装着される装着部29であって、装着部29に貨幣収納体29aが装着されているときに搬送部16、26から貨幣収納体29aに貨幣を送ることが可能となる装着部29と、貨幣収納体29aを使用する第1モードと貨幣収納体29aを使用しない第2モードとの間で貨幣の処理モードの切り替えを行う制御部11、21と、が設けられている。
【0059】
このように、カセット(貨幣収納体29a)あり運用時には(第1モード)、カセットを活用することで休止回避できる処理は原則カセットを活用し、カセットなし運用時(第2モード)では、カセットを利用することができないため、カセットに関わる処理は行わず、代替手段としてあらかじめ設定された処理を行わせることができる。例えば、日中の現金回収で一時的にカセットが抜き取られている場合等においても第1モードと第2モードとを切り替えることが可能である。こうして、従来の貨幣処理装置と異なり、交換用カセットが必要ないため、導入コストの削減になる。また、一時的に第2モードにおける振る舞いを設定することで、貨幣処理装置2を休止させることなく運用継続できる。店舗ごとのカセット使用の有無にかかわらず、処理機(貨幣処理装置2)を共通化することができる。さらに、カセットが故障した場合などでも、第2モードで貨幣処理装置2ひいては店舗運用を継続することができる。
【0060】
また、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムにおいて、第1モードと第2モードとの間における貨幣の処理モードの切り替えは制御部11、21における設定により行われてもよい。また、運用上、貨幣収納体29a(カセット)を必要としない店舗においては、第2モードのまましておけばよく、必要に応じて、第1モードと第2モードを切り替えることもできる。
【0061】
また、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムにおいて、制御部11、21に対して指令を与えるための操作部19を更に備え、操作部19によって貨幣の処理モードを第1モードおよび第2モードのうちいずれのモードにするかという指令が制御部11、21に与えられることにより制御部11、21において設定が行われてもよい。また、装着部29に貨幣収納体29aが装着されていることを検知する検知部13、23を更に備え、制御部11、21は、検知部13、23により装着部29に貨幣収納体29aが装着されていることが検知されたときに貨幣の処理モードを第1モードとし、検知部13、23により装着部29に貨幣収納体29aが装着されていることが検知されないときに貨幣の処理モードを第2モードとしてもよい。もっとも、本開示はこれらに限定されず、その他の貨幣処理モードの設定方法を採用することができる。
【0062】
また、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムにおいて、装着部29に蓋を設け、所定の権限を有する者のみがこの蓋を開いて装着部29にアクセスすることができるようになっていてもよい。貨幣収納体29aが取り外された状態でこの蓋を閉めることにより、貨幣処理装置2に対するいたずらや貨幣の違法な抜き取りも防止できる。
【0063】
また、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムにおいて、搬送部16、26から送られた貨幣の収納を行う収納部15、25を更に備え、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を収納部15、25または装着部29に装着されている貨幣収納体29aに送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、所定の金種の貨幣の入金を受け付けない、といった処理ができる。あるいは、搬送部16、26から送られた貨幣の収納を行う収納部15、25を更に備え、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を収納部15、25または装着部29に装着されている貨幣収納体29aに送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、所定の金種の貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を収納部15、25に送るよう搬送部16、26を制御する、といった処理もできる。このように、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムによれば、入金処理だけでも貨幣収納体29aを使用しない第2モードにおいて様々な設定が可能である。
【0064】
また、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムにおいて、搬送部16、26から送られた貨幣の収納を行う収納部15、25を更に備え、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、収納部15、25に貨幣を収納することができない状態であるときに、収納部15、25に収納されるべき貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を装着部29に装着されている貨幣収納体29aに送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、収納部15、25に収納されるべき貨幣の入金を受け付けない、といった処理ができる。あるいは、搬送部16、26から送られた貨幣の収納を行う複数の収納部15、25を更に備え、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、ある収納部15、25に貨幣を収納することができない状態であるときに、ある収納部15、25に収納されるべき貨幣が機体内に投入されたときにこの貨幣を装着部29に装着されている貨幣収納体29aに送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、ある収納部15、25に収納されるべき貨幣を別の収納部15、25に送るよう搬送部16、26を制御する、といった処理もできる。このように、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムによれば、オーバーフロー貨幣の処理をする場合も、第2モードにおいて様々な設定が可能である。
【0065】
また、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムにおいて、搬送部16、26から送られた貨幣の収納を行う収納部15、25を更に備え、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に収納部15、25に収納されている貨幣を装着部29に装着されている貨幣収納体29aまたは投出部14、24に送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に収納部15、25に収納されている貨幣を投出部14、24に送るよう搬送部16、26を制御する、といった処理ができる。あるいは、搬送部16、26から送られた貨幣の収納を行う収納部15、25を更に備え、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、貨幣の回収処理が行われる際に収納部15、25に収納されている貨幣を装着部29に装着されている貨幣収納体29aまたは投出部14、24に送るよう搬送部16、26を制御し、制御部11、21は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、貨幣の回収処理を禁止する、といった処理もできる。このように、本実施形態の貨幣処理装置2、貨幣処理方法およびプログラムによれば、回収処理をする場合も、第2モードにおいて様々な設定が可能である。
【0066】
なお、本実施形態による貨幣処理システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0067】
上述の実施形態では紙幣について述べたが、硬貨でも同様の処理が行われる。
【0068】
また、制御装置30は、貨幣処理装置2が設置された商業施設の店舗の内部に設けられる必要はない。インターネット回線により制御装置30と貨幣処理装置2とが接続され、商業施設の店舗の外部から制御装置30により貨幣処理装置2を遠隔操作することができるようになっていてもよい。
【0069】
貨幣収納体29aが装着される装着部29は、貨幣処理装置2の内部に設ける必要はなく(
図3A)、いわゆる増設スタッカとして貨幣処理装置2の外部に設けてもよい(
図3B)。装着部29を覆う蓋を設ける場合には、この蓋は装着部29全体を覆うことになる。
【0070】
以下、本開示に係る貨幣処理装置、貨幣処理方法およびプログラムの他の実施形態を
図7~
図10を参照して説明するが、本開示を限定するものではない。なお、以下の説明および図面中、上記実施形態1に係る貨幣処理装置2(特に、紙幣釣銭機20)の構成要素の参照番号に100、200、300または400を加えた参照番号が付された構成要素は、実施形態1の構成要素と同一または類似の機能を有するものであり(即ち、参照番号の下二桁が一致する構成要素は同一または類似の機能を有する)、詳細な説明は省略する。
【0071】
[第2の実施形態]
図7は、本開示の第2の実施形態に係る貨幣処理装置(紙幣釣銭機100)を示す構成図である。上述の紙幣釣銭機20と同様に、紙幣釣銭機100は、筐体120a、制御部121、投入部122、投出部124、収納部125、出金リジェクト部127、装着部129、貨幣収納体(図示せず)、紙幣識別部126bを有する。上述の紙幣釣銭機20との主な相違点は、紙幣釣銭機100には、周回搬送部26cはないが、紙幣を搬送する第1搬送部141と第2搬送部142を有し、第1搬送部141から第2搬送部142へ紙幣の受け渡しが接続箇所143にて行われる。第2搬送部142は、搬送する紙幣の搬送方向を変える搬送方向転換部分142aと、延長部分142bを有している。以下、紙幣釣銭機100を用いた貨幣処理の例について説明する。この例において、紙幣釣銭機100の収納部125に、1万円札に対応する収納部はあるが、2千円札に対応する収納部はないものとする。
【0072】
(1万円札の入金処理)
紙幣釣銭機100へ1万円札が入金される際、制御部121は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、1万円札を対応する収納部125または装着部29に装着されている貨幣収納体(カセット)に送るよう搬送部141、142を制御する。また、制御部121は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、入金された1万円札を対応する収納部125に搬送する、1万円札を受け付けない、または、1万円札を出金リジェクト部127に収納する、という処理をさせることができる(
図7)。
【0073】
(2千円札の入金処理)
紙幣釣銭機100へ2千円札が入金される際、制御部121は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、2千円札を5千円札対応の収納部125または装着部129に装着されている貨幣収納体に送るよう搬送部141、142を制御する。また、制御部121は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、入金された2千円札をいずれかの収納部125に搬送し混合収納する、2千円札を受け付けない、または、2千円札を出金リジェクト部127に収納する、という処理をさせることができる(
図7)。
【0074】
(オーバーフロー状態の入金処理)
収納部125に貨幣を収納することができない状態(オーバーフロー、満杯状態)で紙幣釣銭機100への入金処理が行われる際、制御部121は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、投入された貨幣を装着部129に装着されている貨幣収納体に送るよう搬送部141、142を制御する。また、制御部121は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、投入された貨幣をいずれかの収納部125に混合収納する、出金リジェクト部127に収納する、または紙幣釣銭機100を休止させる、という処理をさせることができる(
図7)。
【0075】
(回収処理)
紙幣釣銭機100から貨幣の回収処理が行われる際、制御部121は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、収納部125に収納されている貨幣を装着部129に装着されている貨幣収納体または投出部124に送るよう搬送部142を制御する。また、制御部121は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、収納部125に収納されている貨幣を投出部124もしくは投出部124に接続された出金一時保留部(出金一保)に送る、回収指示を受け付けない、またはマニュアル回収を可能にする、という処理をさせることができる(
図7)。「マニュアル回収」とは、操作者が手動で収納部125に収納されている貨幣を回収する処理であり、この場合、制御部121は装着部129に設けられた蓋や扉をアンロックする処理をしてもよい。
【0076】
[第3の実施形態]
図8は、本開示の第3の実施形態に係る貨幣処理装置(紙幣釣銭機200)を示す構成図である。紙幣釣銭機20と同様に、紙幣釣銭機200は、制御部(図示せず)、投入部222、投出部224、出金リジェクト部227、装着部229、貨幣収納体229a、紙幣識別部126bを有する。紙幣釣銭機20との主な相違点は、紙幣釣銭機200は、収納部として、出金リジェクト部227、混合収納部251、1つの千円札収納部252を有すること、周回搬送部26cはないが、搬送部253により、出金リジェクト部227、混合収納部251、千円札収納部252、装着部229は接続されている。このような紙幣釣銭機200によれば、装置内の在高を確定するための精査を自動的にかつ短時間に行うことが期待される。以下、紙幣釣銭機200を用いた貨幣処理の例について説明する。この例において、混合収納部251には、1万円札、2千円札、5千円札が収納されることとする。
【0077】
(紙幣釣銭機200の待機中または出金時)
紙幣釣銭機200の待機中または出金時に、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、精査のために混合収納部251の1万円札と2千円札を貨幣収納体(カセット)229aに搬送するよう搬送部253を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、精査のために混合収納部251の1万円札と2千円札を出金リジェクト部227に搬送する、または、1万円札と2千円札を受け付けない、という処理をさせることができる(
図8)。
【0078】
(オーバーフロー状態になりつつある場合(ニアフル状態))
ニアフル状態であると、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、各収納部の収納済み紙幣を貨幣収納体229aに回収するよう搬送部253を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、収納済み紙幣を出金リジェクト部227に回収する、または、紙幣釣銭機200を休止させる、という処理をさせることができる(
図8)。
【0079】
(回収処理)
紙幣釣銭機200から貨幣の回収処理が行われる際、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、各収納部の紙幣を装着部229に装着されている貨幣収納体229aまたは投出部224に送るよう搬送部253を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、各収納部の紙幣を投出部224に排出する、または回収指示を受け付けない、という処理をさせることができる(
図8)。
【0080】
(自動精査処理)
紙幣釣銭機200で自動精査処理が行われる際、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、リジェクト紙幣を貨幣収納体229aに搬送するよう搬送部253を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、投出部224にリジェクト紙幣を搬送する、または自動精査処理をさせない、という処理をさせることができる(
図8)。
【0081】
[第4の実施形態]
図9は、本開示の第4の実施形態に係る貨幣処理装置(紙幣釣銭機300)を示す構成図である。紙幣釣銭機20と同様に、紙幣釣銭機300は、制御部(図示せず)、収納部325、装着部(図示せず)、紙幣識別部326bを有する。上述の紙幣釣銭機20との主な相違点は、紙幣釣銭機300は、紙幣入出金口361とリジェクト庫362を有し、紙幣入出金口361は紙幣釣銭機20の投入部22と投出部24を兼ね、リジェクト庫362は紙幣釣銭機20の出金リジェクト部27と貨幣収納体29aを兼ねるものである。紙幣入出金口361には、蓋やシャッターが設けられている。また、紙幣釣銭機300では、搬送部363に設けられた2つの紙幣識別部326bによりそれぞれ入金時と出金時にリジェクト紙幣を識別するようになっており、このようなリジェクト紙幣はリジェクト庫362に搬送される。以下、紙幣釣銭機300を用いた貨幣処理の例について説明する。
【0082】
(補充/入金時のリジェクト紙幣の処理)
紙幣釣銭機300への紙幣の補充または入金時にリジェクト紙幣が発見されると、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、リジェクト紙幣をリジェクト庫362に収納するよう搬送部363を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、リジェクト紙幣を紙幣入出金口361に返却するよう搬送部363を制御する(
図9)。
【0083】
(出金時のリジェクト紙幣の処理)
紙幣釣銭機300からの紙幣の出金時にリジェクト紙幣が発見されると、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、リジェクト紙幣をリジェクト庫362に収納するよう搬送部363を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、リジェクト紙幣を紙幣入出金口361に搬送するよう搬送部363を制御するが、紙幣入出金口361の蓋(シャッター)は開けても、開けなくてもよい。いずれの場合でも、エラーが発生したとして、操作表示部(図示せず)に表示させることができる。紙幣入出金口361の蓋を開ける場合には、例えば、「過出金はお戻し下さい」、「よしなに対応してください」のように注意喚起することもできる(
図9)。
【0084】
(オーバーフロー状態の入金処理)
収納部325に貨幣を収納することができない状態(オーバーフロー、満杯状態)で紙幣釣銭機300への入金処理が行われる際、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、入金された貨幣をリジェクト庫362に搬送するよう搬送部363を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、入金された貨幣をいずれかの収納部325に混合収納する(その後、出金処理はできずエラー扱いとなる)、いったん紙幣入出金口361まで搬送した後に再度別の収納部に混合収納して入金を継続する、または紙幣釣銭機300を休止させる、という処理をさせることができる(
図9)。
【0085】
(回収処理)
紙幣釣銭機300から貨幣の回収処理が行われる際、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、収納部325の貨幣をリジェクト庫362に送るよう搬送部363を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、収納部325の貨幣を紙幣入出金口361に排出する、回収指示を受け付けない、またはマニュアル回収を可能にする、という処理をさせることができる(
図9)。
【0086】
[第5の実施形態]
図10は、本開示の第5の実施形態に係る貨幣処理装置(紙幣釣銭機400)を示す構成図である。紙幣釣銭機20と同様に、紙幣釣銭機400は、制御部(図示せず)、投入部422、投出部424、装着部(図示せず)、貨幣収納体429a、紙幣識別部426bを有する。上述の紙幣釣銭機20との主な相違点は、紙幣釣銭機400は、混合収納部471を有し、周回搬送部26cはないが、搬送部472により、混合収納部471、収納部425、貨幣収納体429aは接続されている。貨幣収納体429aは、これらの収納部における紙幣の精査時に一時的に紙幣を受け入れることもできる。以下、紙幣釣銭機400を用いた貨幣処理の例について説明する。
【0087】
(精査処理)
紙幣釣銭機400で精査処理が行われる際、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、収納部425の紙幣を貨幣収納体429aに搬送するよう搬送部472を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、再計算(精査)のために収納部425の紙幣を投出部424に出金するよう搬送部472を制御する(
図10)。
【0088】
(回収処理)
紙幣釣銭機400から貨幣の回収処理が行われる際、制御部は、貨幣の処理モードが第1モードである場合には、収納部425の紙幣を貨幣収納体429aまたは投出部424に送るよう搬送部472を制御する。また、制御部は、貨幣の処理モードが第2モードである場合には、収納部425の貨幣を投出部424に排出する、回収指示を受け付けない、またはマニュアル回収を可能にする、という処理をさせることができる(
図10)。
【符号の説明】
【0089】
1 貨幣処理システム
2 貨幣釣銭機(貨幣処理装置)
10 硬貨釣銭機
10a 筐体
11 制御部
12 硬貨受入部(投入部)
13 検知部
14 硬貨払出部(投出部)
15 硬貨収納部(収納部)
16a 第1硬貨搬送部(搬送部)
16b 硬貨識別部
16c 第2硬貨搬送部(搬送部)
16d 分岐部
17 記憶部
18 通信部
19、319 操作表示部(操作部)
20、100、200、300、400 紙幣釣銭機
20a、120a 筐体
21、121 制御部
22、122、222、422 紙幣受入部(投入部)
23 検知部
24、124、224、424 紙幣払出部(投出部)
25、125、325、425 紙幣収納部(収納部)
26a 紙幣搬送部(搬送部)
26b、126b、226b、326b、426b 紙幣識別部
26c 周回搬送部(搬送部)
26d 接続搬送部(搬送部)
27、127、227 出金リジェクト部
28 通信部
29、129、229 カセット装着部(装着部)
29a、229a、429a 収納カセット(貨幣収納体)
30 制御装置
32 制御部
34 操作表示部
36 記憶部
38 通信部
141 第1搬送部
142 第2搬送部
142a 搬送方向転換部分
142b 延長部分
143 接続箇所
251 混合収納部
252 千円札収納部
253 搬送部
361 紙幣入出金口(投入部兼投出部)
362 リジェクト庫(貨幣収納体)
363 搬送路
471 混合収納部
472 搬送部