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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157705
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】医療器具セット
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20241031BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61M25/00
A61M25/06 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072223
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】本田 紘太
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA05
4C267AA14
4C267AA34
(57)【要約】
【課題】滅菌、保管及び輸送時の梱包資材の使用量を削減すること。
【解決手段】長さの異なる医療器具10を梱包したセットであって、第1医療器具11を個装した第1個装袋21と、第1医療器具11よりも長い第2医療器具12を個装した第2個装袋22と、第1個装袋21及び第2個装袋22を収容する梱包箱30と、第1個装袋21と第2個装袋22を梱包箱30に収容した際に、第1個装袋21及び第2個装袋22との間に介在される仕切り部材40と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さの異なる医療器具を梱包した医療器具セットであって、
第1医療器具を個装した第1個装袋と、
前記第1医療器具よりも長い第2医療器具を個装した第2個装袋と、
前記第1個装袋及び前記第2個装袋を収容する梱包箱と、
前記第1個装袋と前記第2個装袋を前記梱包箱に収容した際に、前記第1個装袋及び前記第2個装袋との間に介在される仕切り部材と、
を含む、医療器具セット。
【請求項2】
前記梱包箱は、長軸方向の長さが前記第1個装袋の長軸方向の長さに合わせた長さを有し、
前記第2個装袋は、前記梱包箱に収容可能な長さとなるように、前記第2医療器具ごと折り返された状態で前記梱包箱に収容される、請求項1に記載の医療器具セット。
【請求項3】
前記仕切り部材は、長尺な板材であり、
前記梱包箱に収容した際、軸方向視において、短軸方向の各端部が前記梱包箱の角部と接触するように配置される、請求項1に記載の医療器具セット。
【請求項4】
前記第1医療器具は、所定の先端形状が付与されたガイディングカテーテルであり、前記第2医療器具は、前記ガイディングカテーテルに挿抜可能なマイクロカテーテルである、請求項1に記載の医療器具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、カテーテルのような可撓性を有する長尺な医療用具は、滅菌され、密封した袋状の包装体(個装袋)に収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-171330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状、個装袋に収納した医療器具は、医療器具一つに対して個装用の単位箱に収納し、更に複数の単位箱を出荷用の出荷箱に梱包して出荷される。そのため、一つの医療器具を滅菌、保管及び輸送するには、医療器具毎に個包袋と単位箱が必要となり、包装資材の使用量が多いという課題があった。
【0005】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、具体的には、輸送時の包装資材の使用量が削減可能な医療器具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記(1)~(4)の何れか1つによって達成される。
【0007】
(1)長さの異なる医療器具を梱包した医療器具セットであって、第1医療器具を個装した第1個装袋と、前記第1医療器具よりも長い第2医療器具を個装した第2個装袋と、前記第1個装袋及び前記第2個装袋を収容する梱包箱と、前記第1個装袋と前記第2個装袋を前記梱包箱に収容した際に、前記第1個装袋及び前記第2個装袋との間に介在される仕切り部材と、を含む、医療器具セット。
【0008】
(2)前記梱包箱は、長軸方向の長さが前記第1個装袋の長軸方向の長さに合わせた長さを有し、前記第2個装袋は、前記梱包箱に収容可能な長さとなるように、前記第2医療器具ごと折り返された状態で前記梱包箱に収容される、上記(1)の医療器具セット。
【0009】
(3)前記仕切り部材は、長尺な板材であり、前記梱包箱に収容した際、軸方向視において、短軸方向の各端部が前記梱包箱の角部と接触するように配置される、上記(1)又は(2)の医療器具セット。
【0010】
(4)前記第1医療器具は、所定の先端形状が付与されたガイディングカテーテルであり、前記第2医療器具は、前記ガイディングカテーテルに挿抜可能なマイクロカテーテルである、上記(1)~(3)の何れかの医療器具セット。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態の医療器具セットによれば、滅菌、保管及び輸送時の梱包資材の使用量が削減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る医療器具セットの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る医療器具セットの梱包後の状態を第1個装袋側から見た図である。
図3】本実施形態に係る医療器具セットの梱包後の状態を第2個装袋側から見た図である。
図4】本実施形態に係る医療器具セットの梱包後の状態を軸方向から見た図である。
図5A】変形例1の仕切り部材を示す図である。
図5B】変形例2の仕切り部材を示す図である。
図5C】変形例3の仕切り部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者等により考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0014】
更に、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状等について、実物から変換し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0015】
なお、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明する場合は、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
【0016】
本実施形態に係る医療器具セット1について説明する。
【0017】
医療器具セット1は、図1に示すように、長さの異なる複数の医療器具10と、医療器具10を個々に包装する個装袋20と、個装袋20を収納する梱包箱30と、梱包箱30内で個装袋20の収納領域を区画する仕切り部材40と、で構成される。
【0018】
医療器具セット1は、セットとなる医療器具10を一つずつ個装袋20に収納し、これらを梱包箱30の内部に挿入した仕切り部材40で区画された収納空間Aにそれぞれ収納して梱包される。図4に示すように、梱包箱30には、仕切り部材40を介在させた状態で医療器具10が収納された個装袋20が複数(図例では2つ)収納される。
【0019】
〈医療器具〉
医療器具10は、図1に示すように、長さの異なる2種類の器具であり、第1医療器具11と、第1医療器具11よりも軸方向に長い第2医療器具12と、で構成される。第1医療器具11と第2医療器具12は、それぞれ個装袋20に収納される。
【0020】
医療器具10の組み合わせは、少なくとも第1医療器具11と第2医療器具12の長さが異なり、第2医療器具12が第1医療器具11よりも長い器具同士の組み合わせであれば特に制限されない。医療器具10の組み合わせの一例としては、ガイディングカテーテル(親カテーテル)とマイクロカテーテル(子カテーテル)の組み合わせ、ガイドワイヤとインナーカテーテルの組み合わせ、径サイズの異なるカテーテルの組み合わせ(5Frと6Frのカテーテルセット)、カテーテルとガイドワイヤの組み合わせ、カテーテルとイントロディーサーシース、シースとダイレータの組み合わせ等が挙げられる。また、医療器具10は、カテーテルと、カテーテル手技において使用し得るカテーテル以外の他の器具や、治療又は生体情報の取得を目的とする各種医療デバイス等の組み合わせでもよい。
【0021】
〈個装袋〉
個装袋20は、可撓性とガスバリア性を有し、内部の視認性を確保するために実質的に透明な軟質樹脂製のフィルム材と、例えば紙材、織布、タイベック(登録商標)等の不織布等の比較的硬質で、かつ遮菌性とガス透過性を有する多孔質体からなるシート材と、で構成される。フィルム材とシート材は、縁部を接合して袋状に形成される。個装袋20は、例えばEOG(エチレンオキサイドガス)等の滅菌ガスを透過可能な滅菌ガス透過性を有する公知の滅菌袋で構成することができる。
【0022】
フィルム材とシート材の接合方法は、術者等により器具取り出し時に両者が剥離可能な程度の接着力で接合可能な方法であれば特に限定されない。接合方法としては、例えば接着剤を用いて接着する方法や、熱融着や超音波融着等の融着により接合する方法が挙げられる。
【0023】
個装袋20は、第1医療器具11の長さに合わせて形成された第1個装袋21と、第2医療器具12の長さに合わせて形成された第2個装袋22と、で構成される。そのため、第1個装袋21の長軸方向の長さは、図1に示すように、第2個装袋22の長軸方向の長さより短い。第2個装袋22は、梱包箱30に収納する際、梱包箱30の長軸方向の長さに合わせて第2医療器具12と共に一部(例えば先端側)を折り返した状態で収納される(図3を参照)。
【0024】
〈梱包箱〉
梱包箱30は、複数の個装袋20を収納する箱である。梱包箱30は、一般的な紙製の箱で構成できる。梱包箱30は、従来では医療器具10を個々に収納するための「単位箱」として使用されるものである。
【0025】
梱包箱30は、少なくとも2つ以上の個装袋20が収納可能な収納空間Aが確保可能なサイズであればよい。また、梱包箱30の長軸方向の長さは、少なくとも第1個装袋21の長軸方向の長さに合わせて形成される。そのため、梱包箱30に第2個装袋22を収納する際、第2医療器具12を収納した第2個装袋22の一部を第2医療器具12ごと折り返し、第1個装袋21と略同等以下の長さにして収納する。図3には、第2個装袋22を梱包箱30に収納した状態が示されている。図示のように、第2個装袋22は、収納する第2医療器具12ごと先端部の一部を基端側に折り返された状態で梱包箱30に収納することができる。第1医療器具11と第2医療器具12の長さの差が小さく、そのため第1個装袋21と第2個装袋22の長さの差も小さい場合は、第2医療器具12の先端部分のみ基端側に湾曲させた上で、第2個装袋22の先端のみ折り曲げてもよい。
【0026】
本実施形態に係る医療器具セット1は、図2図3に示すように、複数の個装袋20を梱包箱30に収納することに特徴を有する。梱包箱30は、長軸方向の長さを第1個装袋21の長さに合わせて形成され、第2個装袋22を収納する際は、梱包箱30の長さに合わせて第2個装袋22を第2医療器具12ごと折り返して収納する。このため、医療器具セット1は、梱包資材の使用量が削減できると共に、輸送効率の向上も図れる。
【0027】
梱包箱30は、出荷時には個装袋20を複数収納した状態で出荷箱に複数収納することができる。なお、梱包箱30は、出荷箱に収納せず、そのまま輸送することもできる。
【0028】
〈仕切り部材〉
仕切り部材40は、梱包箱30に挿入され、個装袋20を収納する収納空間Aを複数画成する。収納空間Aは、梱包箱30の内周面と、仕切り部材40とで画成され、個装袋20の収納を主とする空間である。
【0029】
仕切り部材40は、個装袋20を梱包箱30に収納する前後において梱包箱30に挿入することで、輸送時における個装袋20の収納空間Aでの移動を抑制すると共に、梱包箱30に複数の個装袋20を収納可能とする。
【0030】
仕切り部材40は、梱包箱30の内部に収納することで、梱包箱30を内方側から支持することができるため、梱包箱30の強度向上に寄与する。仕切り部材40は、梱包箱30の強度向上の観点から、図4に示すように、短軸方向の各端部が梱包箱30の内側の角部31と接触するように配置するのが好ましい。これにより、仕切り部材40は、梱包箱30の強度をより向上させることができる。したがって、梱包箱30は、従来の単位箱と比較して厚みを薄くできるので、梱包箱30で使用する材料量(紙の使用量)を削減することができる。仕切り部材40は、全長が梱包箱30の長さ方向の全長より短く、幅が梱包箱30の長さ方向直交する内側の対角線より小さいと、仕切り部材40を梱包箱30に挿入しやすく好ましい。
【0031】
図5A図5B図5Cには、それぞれ仕切り部材40の変形例が示されている。
【0032】
〈変形例1〉
変形例1の仕切り部材40Aは、図5Aに示すように、断面形状が略Y字形状をなして形成することができる。仕切り部材40Aの短軸方向の各端部は、対応する梱包箱30の角部31と接触するように配置することができる。図5Aに示すように、仕切り部材40Aは、梱包箱30の内部に3つの収納空間Aを画成する。
【0033】
変形例1の仕切り部材40Aは、3つの収納空間Aのうち、2つの空間にそれぞれ個装袋20を収納し、残りの1つの空間を空けた状態とすることができる。空の収納空間Aは、緩衝部として機能し、輸送時の個装袋20への衝撃を緩和する効果が得られる。また、空の収納空間Aには、緩衝材を別途収納することもできる。仕切り部材40Aは、2枚の板でもよく、接着したものや折り曲げて、第1個装袋21と第2個装袋22とともに梱包箱30に挿入可能であればこれらに限定しない。
【0034】
〈変形例2〉
変形例2の仕切り部材40Bは、図5Bに示すように、断面形状がX字形状をなして形成することができる。仕切り部材40Bの短軸方向の各端部は、対応する梱包箱30の角部31と接触するように配置することができる。図5Bに示すように、仕切り部材40Bは、梱包箱30の内部に4つの収納空間Aを画成する。
【0035】
変形例2の仕切り部材40Bは、4つの収納空間Aのうち、2つの空間にそれぞれ個装袋20を収納し、残りの2つの空間を空けた状態とすることができる。空の収納空間Aは、緩衝部として機能し、輸送時の個装袋20への衝撃を緩和する効果が得られる。また、空の収納空間Aには、梱包箱30の変形や外部衝撃を緩和し得る緩衝材等を別途収納することもできる。4つの収納空間A全てに医療器具10を収納した個装袋20が配置されてもよい。
【0036】
〈変形例3〉
変形例3の仕切り部材40Cは、図5Cに示すように、断面形状がV字形状をなして形成することができる。仕切り部材40Bの短軸方向の各端部は、対応する梱包箱30の角部31と接触するように配置することができる。また、変形例3の仕切り部材40の頂部は、梱包箱30の壁部と当接する。図5Cに示すように、仕切り部材40Bは、梱包箱30の内部に3つの収納空間Aを画成する。仕切り部材40Cは、2枚の板でもよく、接着したものや折り曲げて、複数の個装袋と共に梱包箱30に挿入可能であればこれらに限定しない。
【0037】
変形例3の仕切り部材40Cは、3つの収納空間Aにそれぞれ個装袋20を収納している。なお、変形例1、2と同様に、2つの収納空間Aに2つの個装袋20を収納し、残りの1つの空間を空けた状態とすることもできる。空の収納空間Aは、緩衝部として機能し、輸送時の個装袋20への衝撃を緩和する効果が得られる。また、空の収納空間Aには、緩衝材を別途収納することもできる。
【0038】
変形例1、変形例2で示した形態において、個装袋20を収納しない空の収納空間Aは、緩衝部として機能させてもよいが、当然のことながら、変形例3で示すように、他の個装袋20を収納することも可能である。この場合、仕切り部材40A、40Bを用いた梱包箱30に収納可能な個装袋20の数は、前述の実施形態よりも増加する(変形例1は3つ、変形例2は4つ)。そのため、各変形例の仕切り部材40A~40Cを採用すれば、梱包箱30により多くの個装袋20を収納可能となるため、より梱包箱30の使用量を削減することが可能になる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る医療器具セット1は、長さの異なる医療器具10を梱包したセットであって、第1医療器具11を個装した第1個装袋21と、第1医療器具11よりも長い第2医療器具12を個装した第2個装袋22と、第1個装袋21及び第2個装袋22を収容する梱包箱30と、第1個装袋21と第2個装袋22を梱包箱30に収容した際に、第1個装袋21及び第2個装袋22との間に介在される仕切り部材40と、を含む。
【0040】
現状の医療器具の滅菌、保管及び輸送では、医療器具を個別に包装する個装袋を単位箱に収納し、複数の単位箱を出荷箱に収納して出荷していた。これに対し、本実施形態に係る医療器具セット1は、単位箱に相当する梱包箱30に仕切り部材40を挿入して収納空間Aを複数画成し、これら収納空間Aに医療器具10を個装した個装袋20を収納することができる。そのため、梱包箱30の使用数が減り、梱包資材の使用量を削減できる。
【0041】
また、本実施形態に係る医療器具セット1は、梱包箱30に仕切り部材40を挿入することで、梱包箱30の強度が向上できる。そのため、梱包箱30は、厚みを薄くしても十分な強度が確保できるため、梱包箱30に使用される材料についても削減できる。
【符号の説明】
【0042】
1 医療器具セット、
10 医療器具、
11 第1医療器具、
12 第2医療器具、
20 個装袋、
21 第1個装袋、
22 第2個装袋、
30 梱包箱、
31 角部、
40、40A、40B 仕切り部材。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C