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特開2024-157739印刷システムおよび印刷前動作指示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157739
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】印刷システムおよび印刷前動作指示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241031BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241031BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G06F3/12 360
G06F3/12 315
G06F3/12 378
G06F3/12 387
B41J2/01 125
B41J2/165 303
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072278
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】吉竹 洵人
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB38
2C056EC23
2C056EC54
2C056JB04
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】ユーザが印刷を開始したいタイミングで印刷の準備が完了している印刷システムを提供すること。
【解決手段】印刷システム1は、インクジェットプリンタ10と、入力装置100と、クラウドサーバ200と、指示装置300と、を備えている。入力装置100、クラウドサーバ200および指示装置300は、ネットワークNWを介して接続されている。指示装置300は、インクジェットプリンタ10に所定の動作を指示する実行コマンドCMを送信する。ユーザは、実行コマンドCMを送信する時間を示す日時情報を入力装置100に入力する。クラウドサーバ200を介して日時情報が指示装置300に送信されると、指示装置300は、日時情報が示す日時に実行コマンドCMを送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に印刷を行うインクジェットプリンタと、
前記インクジェットプリンタに通信可能に接続され、前記インクジェットプリンタに所定の動作を指示する実行コマンドを送信する指示装置と、
前記指示装置に通信可能に接続された外部サーバ装置と、
前記外部サーバ装置に通信可能に接続され、前記実行コマンドの設定を入力する入力装置と、を備え、
前記インクジェットプリンタは、印刷可能な状態にする準備を行う印刷準備部を備え、
前記入力装置は、
前記インクジェットプリンタが所定の動作を開始する日時である日時情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記日時情報を前記外部サーバ装置に送信する第1情報送信部と、を備え、
前記外部サーバ装置は、
前記第1情報送信部が送信した前記日時情報を受信する第1情報受信部と、
前記第1情報受信部が受信した前記日時情報を保存する保存部と、
前記保存部に保存された前記日時情報を前記指示装置に送信する第2情報送信部と、を備え、
前記指示装置は、
前記第2情報送信部が送信した前記日時情報を受信する第2情報受信部と、
前記第2情報受信部が受信した前記日時情報を取得し、取得した前記日時情報が示す日時と現在の日時とが一致しているか否かを判定する判定部と、
前記日時情報が示す日時と現在の日時とが一致していると前記判定部が判定したときに、前記実行コマンドを前記インクジェットプリンタに送信するコマンド送信部と、を備え、
前記印刷準備部は、前記実行コマンドが前記インクジェットプリンタに送信されると、前記所定の動作を実行する、印刷システム。
【請求項2】
前記インクジェットプリンタは、
記録媒体が載置されるプラテンと、
インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、を備え、
前記印刷準備部は、前記インクヘッドのクリーニングを行うクリーニングユニット、前記プラテンを加熱する加熱装置および前記記録媒体に向けて風を送る乾燥装置のうち少なくともいずれか一つを備え、
前記実行コマンドは、前記インクジェットプリンタの電源をオンにする電源投入コマンド、前記インクジェットプリンタが前記クリーニングユニットを備える場合において、前記クリーニングユニットによる前記クリーニングを実行するクリーニングコマンド、前記インクジェットプリンタが前記加熱装置を備える場合において、前記加熱装置による加熱を開始する加熱コマンド、および前記インクジェットプリンタが前記乾燥装置を備える場合において、前記乾燥装置による乾燥を開始する乾燥コマンドの少なくともいずれか一つを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記第2情報受信部が受信した前記日時情報を所定の周期ごとに取得する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記外部サーバ装置は、クラウド上のクラウドサーバである、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記情報取得部は、Webブラウザに表示させたWebページにて前記日時情報を取得する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記指示装置には、所定のアプリケーションがインストールされており、
前記第2情報受信部および前記コマンド送信部は、前記アプリケーションに含まれている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記アプリケーションは、前記保存部に保存されている前記日時情報を前記指示装置に送信する指令を前記外部サーバ装置に送信する送信指令部を備え、
前記外部サーバ装置は、前記送信指令部が送信した指令を受信する指令受信部を備え、
前記第2情報送信部は、前記指令受信部が前記指令を受信すると、前記指示装置に前記日時情報を送信する、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記インクジェットプリンタを複数有し、
前記複数のインクジェットプリンタにそれぞれ通信可能に接続された複数の前記指示装置を備え、
前記複数の指示装置は、それぞれ前記アプリケーションがインストールされている、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記クリーニングユニットは、
前記ノズル面を拭くワイパーと、前記ノズル面に前記ワイパーを接触させた状態で、前記ワイパーまたは前記インクヘッドを移動させるワイパー移動部と、を有するワイパーユニットと、
前記ノズルを覆うように前記インクヘッドに装着されるキャップと、前記インクヘッドに対して前記キャップを装着させたり、離間させたりするキャップ移動部と、前記キャップに接続された吸引ポンプと、を有するキャップユニットと、を備え、
前記入力装置は、前記ワイパーで前記ノズル面を拭くワイピング処理を実行するか否かの情報と、前記キャップを前記インクヘッドに装着した状態で前記吸引ポンプを駆動し、前記ノズルからインクを吐出させる吸引処理を実行するか否かの情報と、前記インクヘッドに前記キャップを取り付けない状態で前記ノズルからインクを吐出させるフラッシング処理を実行するか否かの情報と、の少なくとも一つを有するクリーニング情報を取得するクリーニング情報取得部を備え、
前記第1情報送信部は、前記日時情報と共に前記クリーニング情報を送信し、
前記保存部は、前記日時情報と共に前記クリーニング情報を保存し、
前記第2情報送信部は、前記日時情報と共に前記クリーニング情報を送信する、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記入力装置は、前記加熱装置を加熱するときの加熱温度の情報である加熱温度設定情報を取得する加熱温度取得部を備え、
前記第1情報送信部は、前記日時情報と共に前記加熱温度設定情報を送信し、
前記保存部は、前記日時情報と共に前記加熱温度設定情報を保存し、
前記第2情報送信部は、前記日時情報と共に前記加熱温度設定情報を送信する、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記入力装置は、前記乾燥装置により乾燥するときの温度の情報である乾燥温度設定情報を取得する乾燥温度取得部を備え、
前記第1情報送信部は、前記日時情報と共に前記乾燥温度設定情報を送信し、
前記保存部は、前記日時情報と共に前記乾燥温度設定情報を保存し、
前記第2情報送信部は、前記日時情報と共に前記乾燥温度設定情報を送信する、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記コマンド送信部は、前記電源投入コマンド、前記クリーニングコマンド、前記加熱コマンドおよび前記乾燥コマンドのいずれか二つ以上を連続して送信する、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項13】
印刷可能な状態にする準備を行う印刷準備部を備え、記録媒体に印刷を行うインクジェットプリンタと、前記インクジェットプリンタに通信可能に接続された指示装置と、前記指示装置に通信可能に接続された外部サーバ装置と、前記外部サーバ装置に通信可能に接続された入力装置と、を備えた印刷システムに用いられ、前記インクジェットプリンタの印刷前の動作を指示する印刷前動作指示方法であって、
前記インクジェットプリンタが所定の動作を開始する日時である日時情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程で取得した前記日時情報を前記外部サーバ装置に送信する第1情報送信工程と、
前記第1情報送信工程で送信した前記日時情報を受信する第1情報受信工程と、
前記第1情報受信工程で受信した前記日時情報を保存する保存工程と、
前記保存工程で保存された前記日時情報を前記指示装置に送信する第2情報送信工程と、
前記第2情報送信工程で送信した前記日時情報を取得する第2情報受信工程と、
前記第2情報受信工程で受信した前記日時情報を取得し、取得した前記日時情報が示す日時と現在の日時とが一致しているか否かを判定する判定工程と、
前記日時情報が示す日時と現在の日時とが一致していると前記判定工程で判定されたとき、前記所定の動作を指示する実行コマンドを前記インクジェットプリンタに送信するコマンド送信工程と、を含み、
前記印刷準備部は、前記実行コマンドが前記インクジェットプリンタに送信されると、前記所定の動作を実行する、印刷前動作指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムおよび印刷前動作指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式により記録媒体に印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタでは、印刷を実行することができる状態にするために、電源が投入されてから印刷するまでの間に所定の動作が実行されることがある。例えば、特許文献1には、インクを吐出する複数のノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、ノズル面を拭うワイパーと、を備えたインクジェットプリンタが開示されている。係るインクジェットプリンタでは、印刷終了後から所定の時間が経過すると、ノズル面に付着したインクが増粘したり固まったりすることがある。この状態でノズルからインクを吐出して印刷しようとすると、増粘したインクが混入し、印刷物の品質が低下してしまう。そこで、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタでは、インクヘッドのノズル面をワイパーで拭うワイピングが行われる。ワイピングが行われることにより、インクヘッドに付着している増粘したインクを除去することができる。ワイピングは、インクヘッドをクリーニングするクリーニング動作の一つである。係るクリーニング動作は、上述の通り、インクジェットプリンタの電源が投入されてから実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-198988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、係るインクジェットプリンタにおいて、クリーニング動作が行われている間、インクジェットプリンタは、印刷を実行することができない。したがって、ユーザは、インクジェットプリンタの電源を投入してから、クリーニング動作が完了するまで待機する必要がある。このことにより、印刷の作業効率が低くなっている。
【0005】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが印刷を開始したいタイミングで印刷の準備が完了している印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷システムは、記録媒体に印刷を行うインクジェットプリンタと、前記インクジェットプリンタに通信可能に接続され、前記インクジェットプリンタに所定の動作を指示する実行コマンドを送信する指示装置と、前記指示装置に通信可能に接続された外部サーバ装置と、前記外部サーバ装置に通信可能に接続され、前記実行コマンドの設定を入力する入力装置と、を備えている。前記インクジェットプリンタは、印刷可能な状態にする準備を行う印刷準備部を備えている。前記入力装置は、前記インクジェットプリンタが所定の動作を開始する日時である日時情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記日時情報を前記外部サーバ装置に送信する第1情報送信部と、を備えている。前記外部サーバ装置は、前記第1情報送信部が送信した前記日時情報を受信する第1情報受信部と、前記第1情報受信部が受信した前記日時情報を保存する保存部と、前記保存部に保存された前記日時情報を前記指示装置に送信する第2情報送信部と、備えている。前記指示装置は、前記第2情報送信部が送信した前記日時情報を受信する第2情報受信部と、前記第2情報受信部が受信した前記日時情報を取得し、取得した前記日時情報が示す日時と現在の日時とが一致しているか否かを判定する判定部と、前記日時情報が示す日時と現在の日時とが一致していると前記判定部が判定したときに、前記実行コマンドを前記インクジェットプリンタに送信するコマンド送信部と、を備えている。前記印刷準備部は、前記実行コマンドが前記インクジェットプリンタに送信されると、前記所定の動作を実行する。
【0007】
係る印刷システムによれば、前記入力装置の前記情報取得部が取得した前記日時情報が前記第1情報送信部により前記外部サーバに送信される。前記外部サーバ装置の第1情報受信部が前記日時情報を受信し、前記保存部が前記日時情報を保存する。前記第2情報送信部は、前記日時情報を前記指示装置に送信する。前記指示装置の前記第2情報受信部が前記日時情報を受信し、前記判定部が前記日時情報の示す日時と現在の日時とが一致しているか否かを判定する。前記日時情報の示す日時と現在の日時とが一致していることを前記判定部が判定すると、前記コマンド送信部は、前記インクジェットプリンタへ前記実行コマンドを送信する。このことにより、前記インクジェットプリンタが前記実行コマンドに対応した動作を開始する。ユーザは、前記実行コマンドに対応した動作を開始させたい時間を前記日時情報として前記情報取得部に取得させる。このことにより、前記日時情報の示す日時に前記印刷準備部が動作を開始する。したがって、例えば、ユーザは、前記日時情報の示す日時を前記インクジェットプリンタによる印刷を行いたい時間よりも早い時間に設定しておけばよい。このことにより、ユーザが印刷を行いたい時間になったとき、前記インクジェットプリンタは、前記実行コマンドに対応した動作を完了しており、ユーザは、印刷を開始したいタイミングで印刷を開始することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが印刷を開始したいタイミングで印刷の準備が完了している印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る印刷システムを示す概念図である。
図2】一実施形態に係るインクジェットプリンタの正面図である。
図3】一実施形態に係るキャリッジおよびインクヘッドを示す平面図である。
図4】一実施形態に係る印刷システムのブロック図である。
図5】プリンタのプラテンと乾燥装置との周辺を示す右側断面図である。
図6】クリーニングユニットの模式的な正面図である。
図7】設定ページの模式図である。
図8】保存部に保存されたデータベースの模式図である。
図9】実行コマンドの模式図である。
図10】所定の日時にプリンタに所定の動作をさせるプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、印刷システム1の概念図である。印刷システム1は、インクジェットプリンタ10とクラウドサーバ200と指示装置300とを有している。入力装置100とクラウドサーバ200と指示装置300とは、ネットワークNWを介して無線により接続されている。ネットワークNWは、インターネットや、図示しない無線基地局によって構築される各種移動通信システムなどで構成されている。指示装置300は、それぞれインクジェットプリンタ10に接続されている。指示装置300とインクジェットプリンタ10とは、それぞれ無線により接続されている。印刷システム1では、指示装置300がインクジェットプリンタ10に対して実行コマンドCMを送信することにより、インクジェットプリンタ10が所定の動作を実行するように構成されている。入力装置100は、実行コマンドCMの詳細の設定を入力する装置であり、クラウドサーバ200を介して当該設定が指示装置300に送信される。実行コマンドCMの詳細の設定の入力は、ユーザUAにより行われるものとする。図1では、指示装置300およびインクジェットプリンタ10は3つずつ図示されているが、指示装置300およびインクジェットプリンタ10の数は特に限定されない。ここで、インクジェットプリンタ10を、図1の図面上における上から順にインクジェットプリンタ10A、10Bおよび10Cとも称することとする。ただし、インクジェットプリンタ10A、10Bおよび10Cに対する共通の説明の場合には、インクジェットプリンタ10という文言を適宜使用する。以下、インクジェットプリンタ10、入力装置100、クラウドサーバ200、指示装置300の順に説明する。
【0012】
図2は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ10(以下、プリンタ10とする)の正面図である。図3は、プリンタ10のキャリッジ30およびインクヘッド35の構成を模式的に示す平面図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ここでは、図面中の符号Yは、主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは、左右方向である。図3に示す符号Xは、副走査方向を示している。本実施形態では、副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと交差(ここでは直交)する方向である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
図2に示すように、プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻かれて用いられる。なお、記録媒体5は、シート状のものであってもよい。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、ポリ塩化ビニル(PVc)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、台紙と台紙上に積層されかつ接着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材等が含まれる。
【0014】
図2に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体10aと、脚11と、操作パネル12と、を備えている。プリンタ本体10aは、主走査方向Yに延びている。脚11は、プリンタ本体10aを支持するものであり、プリンタ本体10aの下面に設けられている。操作パネル12は、例えばプリンタ本体10aの右側の前面に設けられている。ただし、操作パネル12の位置は特に限定されない。操作パネル12は、ユーザが印刷に関する操作を行うものである。図示は省略するが、操作パネル12には、例えば、解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報や、印刷中のプリンタ10のステータスなどが表示される表示部、および、印刷に関する情報を入力するための入力部などが備えられている。
【0015】
プリンタ10は、プラテン16と、ヘッド移動機構31と、媒体搬送機構32と、キャリッジ30と、インクヘッド35と、クリーニングユニット60と、ヒータ70と、ドライヤ80(図4参照)と、制御装置90(図4参照)と、を備えている。ヒータ70は、本発明における加熱装置の一例である。ドライヤ80は、本発明における乾燥装置の一例である。図4に示すように、クリーニングユニット60とヒータ70とドライヤ80とは、印刷準備部50を構成している。
【0016】
図2に示すように、プラテン16は、記録媒体5への印刷の際、記録媒体5を支持するものである。プラテン16には、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷は、プラテン16上で行われる。ここでは、プラテン16は主走査方向Yに延びている。
【0017】
ヘッド移動機構31は、プラテン16に載置された記録媒体5に対してインクヘッド35を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。本実施形態では、ヘッド移動機構31は、インクヘッド35を主走査方向Yに移動させる。ここでは、ヘッド移動機構31は、ガイドレール20と、プーリ21と、プーリ22と、ベルト23と、第1駆動モータ24と、を有している。ガイドレール20は、キャリッジ30の主走査方向Yへの移動をガイドするものである。ガイドレール20は、プラテン16の上方に配置され、主走査方向Yに延びている。プーリ21は、ガイドレール20の左端部分に設けられている。プーリ22は、ガイドレール20の右端部分に設けられている。ベルト23は、プーリ21とプーリ22とに巻き掛けられている。本実施形態では、右側のプーリ22には、第1駆動モータ24が接続されている。この場合、右側のプーリ22が駆動プーリであり、左側のプーリ21が従動プーリである。ただし、第1駆動モータ24は、左側のプーリ21に接続されていてもよい。本実施形態では、第1駆動モータ24が駆動して、プーリ21が回転することで、プーリ21とプーリ22との間においてベルト23が走行する。
【0018】
媒体搬送機構32は、プラテン16に載置された記録媒体5をインクヘッド35に対して相対的に副走査方向Xに移動させるものである。ここでは、媒体搬送機構32は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。なお、媒体搬送機構32の構成は特に限定されない。本実施形態では、媒体搬送機構32は、グリットローラ25と、ピンチローラ26と、第2駆動モータ27とを有している。グリットローラ25は、プラテン16に設けられている。ここでは、グリットローラ25の少なくとも一部はプラテン16に埋設されている。ピンチローラ26は、記録媒体5を上から押さえつけるものである。ピンチローラ26は、プラテン16の上方であって、グリットローラ25の上方に配置されている。ピンチローラ26は、グリットローラ25と上下方向に対向する位置に設けられている。第2駆動モータ27は、グリットローラ25に接続されている。グリットローラ25とピンチローラ26との間に記録媒体5が挟まれた状態で、第2駆動モータ27が駆動してグリットローラ25が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0019】
図5に示すように、キャリッジ30は、ベルト23に取り付けられている。キャリッジ30は、ガイドレール20に係合しており、ガイドレール20に摺動自在に設けられている。キャリッジ30には、インクヘッド35(図2参照)が搭載されている。
【0020】
図3に示すように、インクヘッド35は、主走査方向Yに並んで4つ配置されている。インクヘッド35は、ノズル面36を有している。ノズル面36は、インクヘッド35の底面を構成している。各ノズル面36には、ノズル37が形成されている。ノズル37は、記録媒体5にインクを吐出する微細な穴である。インクヘッド35において、複数のノズル37は、副走査方向Xに並ぶノズル列37aを形成している。なお、各インクヘッド35におけるノズル列37aの数は1列であるが、これに限定されない。ノズル列37aの数は、2列以上でもよい。また、図3では、ノズル列37aを形成するノズル37の数は10個としているが、実際にはもっと多数(例えば200~300個程度)のノズル37が形成されている。本実施形態では、インクヘッド35の数は4つだが、インクへッドの数は4つに限定されない。
【0021】
なお、本実施形態では、複数のインクヘッド35は、それぞれ図示しないインク供給路によって、インクカートリッジ38(図2参照)と接続されている。インクカートリッジ38は、例えばプリンタ本体10aの左端部に着脱可能に配置されている。なお、インクの材料は何ら限定されず、従来からプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。上記インクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インクや水性顔料インクであってもよいし、水性染料インク、あるいは、紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インクなどであってもよい。
【0022】
図6は、クリーニングユニット60の模式的な正面図である。クリーニングユニット60は、キャリッジ30が所定のクリーニング位置P1に移動された状態においてインクヘッド35をクリーニングすることが可能なように構成されている。図6に示すように、本実施形態では、クリーニング位置P1は、ガイドレール20の右端部付近である。ただし、クリーニング位置P1の場所は特に限定されない。図6に示すように、ここでは、クリーニングユニット60は、ワイパーユニット61とキャップユニット62とを備えている。ワイパーユニット61は、ワイパー61aとワイパー移動部61bとを備えている。ワイパー61aは、主走査方向Yおよび上下方向に延びる平板状に構成されている。ワイパー61aは、例えば、ゴムで形成されている。ワイパー移動部61bは、ワイパー61aを副走査方向Xに移動させ、インクヘッド35のノズル面36(図3参照)に接触させる。インクヘッド35のノズル面36は、副走査方向Xに移動するワイパー61aにより払拭される。これをワイピング処理と称する。ワイピング処理は、インクヘッド35をクリーニングするクリーニング処理の1つである。なお、ワイパーユニット61の構成は上記に限定されない。ワイピングは、例えば、キャリッジ30が移動することにより行われてもよく、主走査方向Yに進行するように行われてもよい。
【0023】
キャップユニット62は、インクヘッド35を保護するとともに、インクヘッド35のノズル37(図3参照)からインクを吸引する。ノズル37からインクを吸引する処理を吸引処理と称する。吸引処理は、クリーニング処理の1つである。図6に示すように、キャップユニット62は、キャップ62aと、キャップ移動部62bと、吸引ポンプ62cとを備えている。キャップ62aは、インクヘッド35に装着可能に構成されている。キャップ移動部62bは、キャップ62aを上下方向に移動させ、インクヘッド35に装着または離反させる。吸引ポンプ62cは、キャップ62aがインクヘッド35に装着された状態でキャップ62a内を減圧することにより、ノズル37のインクを吸引する。また、クリーニング処理において、キャップ62aが離反した状態で、インクヘッド35からインクを吐出させる処理が行われる。この処理をフラッシング処理と称する。フラッシング処理は、クリーニング処理の1つである。
【0024】
図2に示すように、プラテン16の下方には、ヒータ70が設けられている。ヒータ70は、例えば、ニクロム線や鉄クロム線等の電熱線が並べられることにより構成される。ヒータ70は、グリットローラ25より前方に配置されている。ヒータ70は、プラテン16を加熱する。プラテン16が加熱されることによって、プラテン16上に配置されている記録媒体5および記録媒体5上に着弾したインクが加熱され、インクの乾燥が促進される。
【0025】
図5に示すように、プラテン16の前方かつ上方には、ドライヤ80が配置されている。ドライヤ80は、左右方向に延びる本体部81を有している。本体部81のうち、プラテン16に対向する面には排風口(図示せず)が形成されている。ドライヤ80は、内部に熱源80aを備えている。熱源80aは、例えば、ニクロム線や鉄クロム線等の電熱線により形成される。熱源80aにより、本体部81の内部の空気が温められる。ドライヤ80は、本体部81の内部にファン(図示せず)を備えている。当該ファンが駆動することにより、本体部81の内部の温められた空気が、排風口を通じてプラテン16上の記録媒体5に向かって吹き付けられる。これにより、記録媒体5上のインクの乾燥が促進される。
【0026】
図4に示すように、プリンタ10は、制御装置90を備えている。制御装置90は、記録媒体5(図2参照)への印刷を制御する装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。制御装置90は、プリンタ本体10aの内部に設けられている。本実施形態では、例えば、制御装置90は、操作パネル12(図2参照)の内部に設けられている。ただし、制御装置90は必ずしもプリンタ本体10aの内部に設けられている必要はなく、例えば、プリンタ本体10aの外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置90は、有線または無線を介してプリンタ本体10aと通信可能に接続されている。制御装置90は、インクヘッド35と、印刷準備部50とに電気的に接続されている。制御装置90は、コマンド受信部91と、クリーニング実行部92と、ヒータ加熱部93と、ドライヤ加熱部94と、を備えている。
【0027】
コマンド受信部91は、後述する指示装置300のコマンド送信部323から送信される実行コマンドCMを受信する。コマンド受信部91が受信する実行コマンドCMに応じて、クリーニング実行部92、ヒータ加熱部93、ドライヤ加熱部94が動作する。
【0028】
クリーニング実行部92は、コマンド受信部91が受信した信号に基づいてインクヘッド35にクリーニング処理を実行する。クリーニング実行部92は、前述した吸引処理、ワイピング処理およびフラッシング処理を含むクリーニング処理を実行するが、その詳細については後述する。
【0029】
ヒータ加熱部93は、コマンド受信部91が受信した信号に基づいて、ヒータ70を加熱する。本実施形態では、ヒータ加熱部93は、ヒータ70を形成する電熱線の加熱温度を制御する。
【0030】
ドライヤ加熱部94は、コマンド受信部91が受信した信号に基づいて、ドライヤ80を加熱する。詳しくは、ドライヤ80の備える熱源80aの温度を制御する。ただし、ドライヤ加熱部94が制御する温度は、熱源80aの温度でなくてもよい。例えば、ドライヤ加熱部94は、ドライヤ80の排風口を通る風の温度を制御するものであってもよい。
【0031】
以上、プリンタ10の構成について説明した。次に入力装置100について説明する。図1に示すように、入力装置100は、ネットワークNWを介して、クラウドサーバ200および指示装置300に無線接続可能に構成されている。入力装置100は、前述の通り、指示装置300がプリンタ10に送信する実行コマンドCMの詳細の設定を入力する装置である。入力装置100は、例えば、ユーザUAが使用するデスクトップ型パソコンまたはラップトップパソコンによって実現される。入力装置100は、専用のパソコンによって実現されてもよいし、汎用のパソコンによって実現されてもよい。また、入力装置100は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯型端末であってもよい。
【0032】
図4に示すように、入力装置100は、制御装置110と、表示装置110aと操作機構110bとを有している。表示装置110aは、ユーザUA(図1参照)が実行コマンドCMの設定を行う画面が表示される装置である。操作機構110bは、ユーザ等が入力装置100の操作を行う機構である。操作機構110bは、例えばユーザUA等が操作することで、表示装置110a上において情報を選択したり、表示装置110aに表示されている情報を切り替えたりする。操作機構110bは、キーボード、マウス、またはタッチパネルなどによって実現される。なお、本実施形態において、実行コマンドCMの設定の入力は、表示装置110aに表示されるWebページ上にて行われる。Webページは、例えば、Webブラウザに表示される。
【0033】
制御装置110は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置110は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、を備えている。制御装置110は、表示装置110aおよび操作機構110bに電気的に接続されている。本実施形態では、制御装置110は、Webページ取得部111と、ページ表示部112と、情報取得部113と、クリーニング情報取得部114と、加熱温度取得部115と、乾燥温度取得部116と、第1情報送信部117と、備えている。
【0034】
Webページ取得部111は、実行コマンドCMの設定の入力を行うWebページの情報を取得する。Webページの情報とは、例えば、URL(Uniform Resource Locator)である。ユーザUAが、表示装置110aに表示されたWebブラウザに当該URLを入力することにより、Webページ取得部111が当該URLを取得する。
【0035】
ページ表示部112は、ネットワークNW(図1参照)を介して、Webページ取得部111が取得したURLをサーバ(図示せず)に送信する。URLが送信されたサーバは、Webページを表示するのに必要なHTML(HyperText Markup Language)などの情報をページ表示部112に送信する。当該HTMLなどを受信したページ表示部112は、Webブラウザ上にWebページを表示する。このとき、図7に示すように、実行コマンドCM(図1参照)の設定を行うWebページである設定ページSPが表示装置110aに表示される。ここで、設定ページSPについて説明する。
【0036】
設定ページSPは、実行コマンドCMが実行されたときのプリンタ10(図1参照)の動作の詳細をユーザUA(図1参照)が設定するWebページである。設定ページSPには、項目選択ボックスCBと、日時入力ボックスTBと、オプションボックスOBと、が表示されている。項目選択ボックスCB、日時入力ボックスTBおよびオプションボックスOBの入力形式は、特に限定されない。入力形式は、例えば、プルダウンにより選択するものであってもよく、直接文字を入力するものであってもよい。なお、本実施形態では、設定ページSPは、図1に示すプリンタ10A、10B、10Cに対してそれぞれ用意されている。このとき、プリンタ10A、10Bおよび10Cのそれぞれに対して、個別に設定が行われる。図7に示すように、本実施形態では、設定ページSPに識別番号PNが表示されている。識別番号PNは、プリンタ10A、10Bおよび10Cを識別する番号である。例えば、設定ページSPが開かれるときに、プリンタ10A、10Bおよび10Cのいずれかの識別番号と、プリンタ10A、10Bおよび10Cがそれぞれに有するパスワードと、を入力することにより、入力されたプリンタに対する設定ページSPが開かれるように設定されていてもよい。ただし、設定ページSPは、プリンタ10A、10Bおよび10Cにそれぞれ個別に設定されるものでなくてもよい。設定ページSPによって設定された実行コマンドCMがプリンタ10A、10Bおよび10Cに同様に送られるものであってもよい。
【0037】
項目選択ボックスCBは、プリンタ10が実行する項目を選択するボックスである。本実施形態では、項目選択ボックスCBで選択される項目は、「電源ON」、「クリーニング」、「ヒータ加熱」、「ドライヤ加熱」の4種類である。なお、これら4種類以外の項目が選択可能に構成されていてもよい。また、これら4種類の項目は全て選択される必要はなく、いずれか一つ以上が選択されていればよい。ここで、各項目にて実行される動作を説明する。
【0038】
「電源ON」の項目は、プリンタ10の電源をONにする項目である。「電源ON」の項目が選択されると、実行コマンドCMに「電源投入コマンド」が含まれる。電源投入コマンドがプリンタ10に送信されると、プリンタ10は、電源をONにする動作を行う。ここで、本明細書における「電源」とは、プリンタ10における主電源と副電源とにおいて、副電源のことを指すものとする。主電源とは、プリンタ10への電力の投入を切り換える電源である。主電源がONになると、制御装置90(図4参照)を駆動させることができるが、例えば、インクヘッド35や操作パネル12(図2参照)などは、駆動しない。なお、このとき、プリンタ10は、通信可能な状態となっている。副電源がONになると、プリンタ10は、インクヘッド35や操作パネル12が駆動し、印刷を行うことができる状態になる。
【0039】
「クリーニング」の項目は、クリーニング処理を実行する項目である。「クリーニング」の項目が選択されると、実行コマンドCMに「クリーニングコマンド」が含まれる。クリーニングコマンドがプリンタ10に送信されると、プリンタ10は、インクヘッド35(図2参照)およびクリーニングユニット60(図2参照)を制御することによりクリーニング処理を行う。
【0040】
「ヒータ加熱」の項目は、ヒータ70(図2参照)の加熱を実行する項目である。「ヒータ加熱」の項目が選択されると、実行コマンドCMに「加熱コマンド」が含まれる。加熱コマンドがプリンタ10に送信されると、プリンタ10は、ヒータ70を所定の温度まで加熱する動作を行う。
【0041】
「ドライヤ加熱」の項目は、ドライヤ80(図5参照)の加熱を実行する項目である。「ドライヤ加熱」の項目が選択されると、実行コマンドCMに「乾燥コマンド」が含まれる。乾燥コマンドがプリンタ10に送信されると、プリンタ10は、ドライヤ80の熱源80a(図5参照)を所定の温度まで加熱する動作を行う。
【0042】
日時入力ボックスTBは、項目選択ボックスCBに入力された項目を実行する日時を入力するボックスである。日時入力ボックスTBに入力された日時を日時情報と称する。実行コマンドCMは、日時入力ボックスTBに入力された日時になるとプリンタ10に送信される。したがって、プリンタ10は、日時入力ボックスTBに入力された日時になると、所定の動作を開始する。
【0043】
オプションボックスOBは、項目選択ボックスCBに選択された項目の詳細の設定を入力するボックスである。オプションボックスOBは、項目選択ボックスCBに入力された項目により、表示される内容が変化するように設定されている。図7に示すように、項目選択ボックスCBに「クリーニング」が選択されている場合、「吸引処理」、「ワイピング処理」および「フラッシング処理」のそれぞれに対して「○」か「×」を選択するボックスがオプションボックスOBとして表示される。クリーニング処理の一種である、「吸引処理」、「ワイピング処理」および「フラッシング処理」のそれぞれを実行するか否か、をオプションボックスOBにより個別に選択することができる。ここでは、「吸引処理」、「ワイピング処理」および「フラッシング処理」のそれぞれを実行するか否か、の情報をクリーニング情報と称することとする。例えば、図7に示すように、「吸引処理」のオプションボックスOBに「○」が選択されている場合、クリーニング処理に吸引処理を含むことを意味する。また、例えば、図7に示すように、「フラッシング処理」のオプションボックスOBに「×」が選択されてる場合、クリーニング処理にフラッシング処理を含まないことを意味する。したがって、図7に示す場合、クリーニング処理として、吸引処理およびワイピング処理を実行し、かつフラッシング処理を実行しない、とするクリーニング情報が入力されている。「加熱温度」に対するオプションボックスOBには、ヒータ70を加熱するときのヒータ70の温度が入力される。入力されたヒータ70の温度を加熱温度設定情報と称する。オプションボックスOBに入力された温度にてヒータ70が加熱される。「乾燥温度」に対するオプションボックスOBには、ドライヤ80の熱源80aを加熱するときの熱源80aの温度が入力される。入力された熱源80aの温度を乾燥温度設定情報と称する。オプションボックスOBに入力された温度にて熱源80aが加熱される。なお、「加熱温度」、「乾燥温度」のオプションボックスOBに何も記入されない場合、ヒータ70、熱源80aの温度は、デフォルトとして設定されている温度で加熱されるように設定されていてもよい。なお、オプションボックスOBの表示の方法は、これに限定されない。
【0044】
図4に示す情報取得部113は、図7に示す日時入力ボックスTBに入力された日時である日時情報を取得する。本実施形態では、項目選択ボックスCBに入力された項目と、日時入力ボックスTBに入力された日時と、を日時情報として取得する。
【0045】
クリーニング情報取得部114は、オプションボックスOBに入力されたクリーニング情報を取得する。クリーニング情報は、ワイピングを実行するか否かの情報と、吸引処理を実行するか否かの情報と、フラッシング処理をするか否かの情報と、を含む。加熱温度取得部115は、オプションボックスOBに入力された加熱温度設定情報を取得する。すなわち、加熱温度取得部115は、ヒータ70を加熱するときのヒータ70の温度を取得する。乾燥温度取得部116は、オプションボックスOBに入力された乾燥温度設定情報を取得する。すなわち、乾燥温度取得部116は、ドライヤ80の熱源80aを加熱するときの熱源80aの温度を取得する。
【0046】
第1情報送信部117は、情報取得部113が取得した日時情報をクラウドサーバ200に送信する。本実施形態では、クリーニング情報取得部114、加熱温度取得部115および乾燥温度取得部116がそれぞれ取得したクリーニング情報、加熱温度設定情報および乾燥温度設定情報も日時情報と共にクラウドサーバ200に送信される。本実施形態では、第1情報送信部117が情報を送信するとき、設定ページSPの識別番号PNの示す識別番号が日時情報等に付与される。
【0047】
以上、プリンタ10の構成について説明した。次にクラウドサーバ200について説明する。図1に示すように、クラウドサーバ200は、ネットワークNWを介して、入力装置100と、指示装置300とに無線接続可能に構成されている。図4に示すように、クラウドサーバ200は、入力装置100の制御装置110と指示装置300とに無線接続可能に構成されている。クラウドサーバ200は、第1情報受信部201と、保存部202と、第2情報送信部203と、指令受信部204とを備えている。
【0048】
第1情報受信部201は、制御装置110の第1情報送信部117が送信した日時情報、クリーニング情報、加熱温度設定情報および乾燥温度設定情報を受信する。
【0049】
保存部202は、第1情報受信部201が受信した日時情報、クリーニング情報、加熱温度設定情報および乾燥温度設定情報を保存する。保存部202は、日時情報、クリーニング情報、加熱温度設定情報および乾燥温度設定情報を保存するためのデータベースを有している。図8は、保存部202に保存されたデータの模式図である。データベースDTには、第1情報受信部201が受信したデータが保存されている。「実施項目」の列には、図7における項目選択ボックスCBの各項目が保存されている。他の列にも同様に、日時入力ボックスTB、オプションボックスOBに入力された項目がデータベースDTに保存されている。本実施形態では、データベースDTの左端の列に「ID」の列が設けられている。「ID」の列には、図7における識別番号PNに表示されていた識別情報が格納されている。これにより、保存されている日時情報等がどのプリンタに適用されるものなのか、識別することができる。
【0050】
図4に示す第2情報送信部203は、データベースDT(図8参照)に保存されたデータを指示装置300に送信する。なお、本実施形態では、データベースDTにデータが保存された後、自動的にそれらのデータを指示装置300に送信するように設定されている。また、第2情報送信部203は、後述する指令受信部204が信号を受信したときにもデータベースDTに保存されたデータを指示装置300に送信するように設定されている。第2情報送信部203の送信は、種々のプロトコルにより行うことが可能である。例えば、第2情報送信部203は、API(Application Programming Interfase)を用いて、日時情報等を送信する。
【0051】
指令受信部204は、後述する指示装置300の送信指令部324により、データベースDTに保存されたデータを指示装置300に送信する信号が送られたときに当該信号を受信する部分である。前述の通り、指令受信部204が信号を受信したときも第2情報送信部203が日時情報等を指示装置300に送信する。
【0052】
以上、クラウドサーバ200について説明した。次に、指示装置300について説明する。図1に示すように、指示装置300は、ネットワークNWを介して、クラウドサーバ200に無線接続可能に構成されている。また、図4に示すように、指示装置300は、プリンタ10と無線にて接続されている。指示装置300は、クラウドサーバ200から日時情報等を取得し、プリンタ10に実行コマンドCMを送信する装置である。指示装置300は、例えば、ユーザが使用するデスクトップ型パソコンまたはラップトップパソコンによって実現される。指示装置300は、専用のパソコンによって実現されてもよいし、汎用のパソコンによって実現されてもよい。また、指示装置300は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯型端末であってもよい。
【0053】
指示装置300は、入力装置100と同様に、表示装置と操作機構とを備えている。表示装置および操作機構は、入力装置100における表示装置110aおよび操作機構110bと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0054】
指示装置300は、制御装置(図示せず)を備えている。制御装置は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、を備えている。制御装置には、プリンタ10に実行コマンドを送信するための専用のアプリケーションがインストールされている。ユーザは、指示装置300が備える操作機構を介してアプリケーションを起動させる。アプリケーションを起動させた制御装置は、第2情報受信部321と、判定部322と、コマンド送信部323と、送信指令部324と、を備えている。
【0055】
第2情報受信部321は、クラウドサーバ200の第2情報送信部203が送信したデータを受信する。なお、本実施形態では、ネットワークNW(図1参照)に接続された3つの指示装置300(図1参照)に対して、データベースDT(図8参照)の情報が送信される。第2情報受信部321は、データベースDTに含まれる日時情報等のうち、それぞれの指示装置300に接続されたプリンタに対応するデータを選択する。すなわち、図8に示すデータベースDTに含まれるデータのうち、「ID」の項目の識別情報と、指示装置300に接続されたプリンタ10A、10Bまたは10C(図1参照)の有する識別番号とが一致するものを受信する。
【0056】
図4に示す判定部322は、第2情報受信部321が受信した日時情報が示す日時と、現在の日時と、が一致しているか否かを判定する。判定部322は、例えば、ローカルストレージを備えている。判定部322は、第2情報受信部321が受信した日時情報を取得し、当該ローカルストレージに一時的に保存する。仮に、指示装置300がネットワークNWから切断されても、当該ローカルストレージに保存された日時情報は、保存されたままの状態を維持する。判定部322は、一時的に保存された日時情報と現在の日時とが一致しているか否かを判定する。現在の日時は、例えば、ネットワークNWを介して他の装置などから取得してもよい。判定部322は、ローカルストレージに保存された日時と現在の日時とが一致しているか否かの判定をコマンド送信部323に送信する。判定部322は、第2情報受信部321が受信した日時情報を所定の周期ごとに取得し、ローカルストレージに保存するように設定されている。
【0057】
コマンド送信部323は、日時情報の示す日時と現在の日時とが一致していると判定部322が判定したときに、プリンタ10のコマンド受信部91に対して実行コマンドCMを送信する。図9は、図8に示すデータベースDTに保存されていた情報を基に形成された実行コマンドCMの模式図である。実行コマンドCMには、コマンドCM1~CM4が含まれている。コマンドCM1は、「電源投入コマンド」、コマンドCM2は、「クリーニングコマンド」、コマンドCM3は、「加熱コマンド」、コマンドCM4は、「乾燥コマンド」である。各コマンドが送信されたときの動作については、前述の通りである。図9に示す実行コマンドCMでは、コマンドCM1の「電源投入コマンド」、コマンドCM2の「クリーニングコマンド」、コマンドCM3の「加熱コマンド」およびコマンドCM4の「乾燥コマンド」が連続して送信される。より詳しくは、まず「電源投入コマンド」が「07:50」の時刻に送信される。次に、「クリーニングコマンド」が「08:00」の時刻に送信される。次に、「加熱コマンド」および「乾燥コマンド」が「08:10」の時刻に送信される。また、本実施形態では、「クリーニングコマンド」、「加熱コマンド」および「乾燥コマンド」には、それぞれクリーニング情報CF、加熱温度設定情報HFおよび乾燥温度設定情報DFが含まれている。本実施形態では、図8に示すコマンド送信部323による送信は、種々のプロトコルにより行うことが可能である。例えば、コマンド送信部323は、TCP(Transmission Control Protocol)やUDP(User Datagram Protocol)を用いて、実行コマンドCMを送信する。
【0058】
図4に示す送信指令部324は、データベースDT(図8参照)に保存されているデータを指示装置300に送信する指令をクラウドサーバ200に送る。前述したように、当該指令は、クラウドサーバ200の指令受信部204が受信する。指令受信部204が信号を受信したとき、第2情報送信部203が日時情報等を指示装置300に送信する。送信指令部324は、例えば、第2情報送信部203と同様にAPIを用いて、指令を送信する。
【0059】
以上、印刷システム1の構成について説明した。次に、図1に示すユーザUAが日時情報の示す日時にプリンタ10に所定の動作を実行させるプロセスについて説明する。図10は、日時情報の示す日時にプリンタ10に所定の動作を実行させるプロセスの一例を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS101において、ユーザUAは、実行コマンドCMの設定の入力を行うWebページの情報を入力装置100に入力する。ここでは、Webページの情報は、URLであるとする。ユーザUAは、入力装置100の操作機構110bの画面を操作し、表示装置110aに表示される画面にURLを入力する。Webページ取得部111が当該URLを取得すると、ページ表示部112が設定ページSPを表示するのに必要なHTML等をサーバから受信し、表示装置110aに設定ページSPを表示する。
【0061】
ステップS102において、ユーザUAは、表示装置110aに表示された設定ページSPにて実行コマンドCMの設定を行う。ユーザUAは、図7に示す項目選択ボックスCB、日時入力ボックスTBおよびオプションボックスOBにそれぞれ必要な項目を入力する。本実施形態では、図7に示すように、「電源ON」、「クリーニング」、「ヒータ加熱」および「ドライヤ加熱」の4つの項目が選択されているものとする。また、各項目に対する日時入力ボックスTBに入力された日時は、それぞれ「07:50」、「08:00」、「08:10」および「08:10」である。また、「クリーニング」の項目に対する「吸引処理」、「ワイピング処理」および「フラッシング処理」のオプションボックスOBには、それぞれ「○」、「○」および「×」がクリーニング情報として入力されている。「ヒータ加熱」の項目に対する「加熱温度」のオプションボックスOBには、「40.0」が加熱温度設定情報として入力されている。「ドライヤ加熱」の項目に対する「乾燥温度」のオプションボックスOBには、「45.0」が乾燥温度設定情報として入力されている。設定ページSPの各項目の入力が完了すると、日時入力ボックスTBに入力された日時および項目選択ボックスCBに入力された項目を、図4に示す情報取得部113が日時情報として取得する。クリーニング情報取得部114は、「クリーニング」の項目に入力されたクリーニング情報を取得する。加熱温度取得部115は、「加熱温度」の項目に入力された加熱温度設定情報を取得する。乾燥温度取得部116は、「乾燥温度」の項目に入力された乾燥温度設定情報を取得する。
【0062】
ステップS103において、第1情報送信部117は、クラウドサーバ200の第1情報受信部201に日時情報を送信する。このとき、第1情報送信部117は、クリーニング情報、加熱温度設定情報および乾燥温度設定情報も第1情報受信部201に送信する。本実施形態では、図7に示す識別番号PNの有する識別情報も日時情報等に付与されて送信される。
【0063】
ステップS104において、保存部202は、第1情報受信部201が受信した日時情報、クリーニング情報、加熱温度設定情報、乾燥温度設定情報をデータベースDT(図8参照)に保存する。
【0064】
ステップS105において、第2情報送信部203は、データベースDTに保存されているデータを指示装置300に送信する。送信されたデータは、指示装置300の第2情報受信部321が受信する。
【0065】
ステップS106において、判定部322は、第2情報受信部321が受信した日時情報の示す日時と現在の日時とが一致しているか否かを判定する。判定部322は、第2情報受信部321が受信した日時情報を取得し、ローカルストレージに一時的に保存する。判定部322は、保存した日時情報の示す日時と現在の日時とが一致しているか否かを判定する。日時情報の示す日時と現在の日時とが一致していると判定部322が判定したときにステップS107へ進む。日時情報の示す日時と現在の日時とが一致しないときは、ステップS106における判定を繰り返す。
【0066】
ステップS107において、コマンド送信部323は、実行コマンドCMを送信する。実行コマンドCMの設定は、第2情報受信部321が受信した日時情報、クリーニング情報、加熱温度設定情報および乾燥温度設定情報により決定される。
【0067】
ステップS108において、印刷準備部50が実行コマンドCMに対応した動作を実行する。図9に示す実行コマンドCMには、コマンドCM1の「電源投入コマンド」、コマンドCM2の「クリーニングコマンド」、コマンドCM3の「加熱コマンド」およびコマンドCM4の「乾燥コマンド」が含まれている。「電源投入コマンド」は、「07:50」の時刻に送信される。「クリーニングコマンド」は、「08:00」の時刻に送信され、「加熱コマンド」および「乾燥コマンド」は、「08:10」の時刻に送信される。したがって、プリンタ10は、7時50分に副電源をONにする動作を実行する。その後、8時00分になると、図4に示すクリーニング実行部92がクリーニング処理を実行する。クリーニング実行部92は、クリーニングユニット60およびインクヘッド35を制御することによりクリーニング処理を実行する。なお、本実施形態では、クリーニング情報CFにおいて、吸引処理とワイピング処理とを実行するように指示され、フラッシング処理は実行しないように指示されている。したがって、クリーニング実行部92は、吸引処理とワイピング処理とを実行する。その後、8時10分になると、プリンタ10のヒータ加熱部93がヒータ70を加熱し、ドライヤ加熱部94がドライヤ80の熱源80a(図5参照)を加熱する。加熱温度設定情報HFにおいて、ヒータ70の加熱温度は40.0℃に指示されている。乾燥温度設定情報DFにより、熱源80aの温度は45.0℃に指示されている。ヒータ加熱部93およびドライヤ加熱部94は、それぞれ加熱温度設定情報および乾燥温度設定情報にしたがって、ヒータ70および熱源80aを制御する。
【0068】
以上、ユーザUAが日時情報の示す日時にプリンタ10に所定の動作を実行させるプロセスについて説明した。次に、指示装置300を交換した場合における動作について説明する。例えば、指示装置300の故障などにより、指示装置300を新品のものに交換することがある。なお、ここでは、保存部202に保存された日時情報等が第2情報受信部321に送信された後に、指示装置300を交換したものとする。
【0069】
まず、交換された指示装置300を操作し、指示装置300にアプリケーションをインストールする。このとき、交換された指示装置300の第2情報受信部321には、日時情報等が保存されていない。ここで、送信指令部324がクラウドサーバ200に対して、データベースDT(図8参照)に保存されているデータを指示装置300に送信する指令を送る。クラウドサーバ200の指令受信部204が当該指令を受信すると、第2情報送信部203がデータを指示装置300に送信する。したがって、交換された指示装置300の第2情報受信部321も日時情報等を受信した状態となる。したがって、判定部322による判定が実行可能な状態となる。
【0070】
以上、本実施形態の印刷システム1によると、入力装置100に入力された日時情報が、第1情報送信部117により送信され、第1情報受信部201が受信する。第1情報受信部201が受信した日時情報が保存部202に保存される。保存部202に保存された日時情報は、第2情報送信部203により送信され、第2情報受信部321が受信する。第2情報受信部321が日時情報を受信すると、日時情報の示す日時と現在の日時とが一致しているか否かを判定部322が判定する。日時情報の示す日時と現在の日時とが一致しているとき、コマンド送信部323がプリンタ10に実行コマンドCMを送信する。実行コマンドCMをプリンタ10が受信すると、印刷準備部50が所定の動作を開始する。したがって、例えば、ユーザUAは、日時情報の示す日時を、プリンタ10による印刷を行いたい時間よりも早い時間に設定する。このことにより、ユーザUAがプリンタ10による印刷を実行したい時間になったとき、実行コマンドCMに対応した動作が完了しており、ユーザUAは、すぐに印刷を開始することができる。
【0071】
本実施形態の印刷システム1によると、実行コマンドCMは、電源投入コマンド、クリーニングコマンド、加熱コマンドおよび乾燥コマンドの少なくとも一つを含んでいる。電源投入コマンド、クリーニングコマンド、加熱コマンドおよび乾燥コマンドは、実行コマンドCMの具体的な一態様である。これらのコマンドを予め実行することにより、ユーザUAがプリンタ10による印刷を実行したい時間になったときに、ユーザUAは、すぐに印刷を開始することができる。
【0072】
本実施形態の印刷システム1によると、判定部322は、第2情報受信部321が受信した日時情報を所定の周期ごとに取得し、ローカルストレージに保存する。ここで、例えば、第2情報受信部321が日時情報を受信した後に、ユーザUAが入力装置100に再度日時情報を入力することがある。このとき、第2情報受信部321が受信する日時情報が更新される。判定部322が所定の周期ごとに日時情報を取得し、ローカルストレージに保存することにより、判定部322は、更新後の日時情報が示す日時と現在の日時とにより判定を行うことができる。したがって、ユーザUAは、入力装置100に日時情報を入力した後に、入力装置100に再度日時情報を入力することができる。
【0073】
本実施形態の印刷システム1によると、外部サーバ装置としてクラウドサーバ200が接続されている。したがって、入力装置100と指示装置300とが互いに異なる場所に配置されていても、ネットワークNWを介して、クラウドサーバ200に日時情報を保存し、かつ指示装置300に日時情報を送信することができる。入力装置100および指示装置300を場所に依らず配置することができるため、印刷システム1の構築がより容易になる。
【0074】
本実施形態の印刷システム1によると、情報取得部113は、Webブラウザに表示させた設定ページSPに入力された項目より日時情報を取得する。このことにより、例えば、入力装置100を構成する端末を交換した場合であっても、交換後の端末にURLを入力し、設定ページSPを開けば、日時情報を入力することができる。したがって、入力装置100が交換されても、印刷システム1を比較的容易に構築することができる。
【0075】
本実施形態の印刷システム1によると、指示装置300には専用のアプリケーションがインストールされている。第2情報受信部321およびコマンド送信部323は、アプリケーションに含まれている。このことにより、例えば、指示装置300を構成する端末を交換した場合であっても、交換後の端末にアプリケーションをインストールすることにより、印刷システム1が第2情報受信部321およびコマンド送信部323を備えることができる。したがって、指示装置300が交換されても、印刷システム1を比較的容易に構築することができる。
【0076】
本実施形態の印刷システム1によると、指示装置300が有するアプリケーションは、送信指令部324を備えている。また、クラウドサーバ200は、送信指令部324からの指令を受信する指令受信部204を備えている。第2情報送信部203は、指令受信部204が指令を受信すると、指示装置300に日時情報を送信するように設定されている。したがって、第2情報送信部203は、保存部202に日時情報が保存されたときと、指令受信部204が指令を受信したときと、に日時情報を送信する。ここで、例えば、指示装置300を構成する端末を交換した場合、交換した指示装置300が有するアプリケーションの第2情報受信部321は、日時情報を受信していない状態である。送信指令部324が指令を送信し、日時情報を送信させることにより、交換後の端末においても第2情報受信部321が日時情報を受信した状態とすることができる。
【0077】
本実施形態の印刷システム1は、複数のプリンタ10と、それぞれのプリンタ10に接続された指示装置300と、を備えている。指示装置300には、それぞれアプリケーションがインストールされている。したがって、複数の指示装置300は、クラウドサーバ200から送信される日時情報を同時に受信することができる。このことにより、指示装置300およびプリンタ10が複数となっても、個別に日時情報を設定する必要がない。したがって、ユーザは、効率的に日時情報を設定することができる。
【0078】
本実施形態の印刷システム1によると、クリーニングユニット60は、ワイパーユニット61と、キャップユニット62とを備えている。入力装置100は、クリーニング情報を取得するクリーニング情報取得部114を備えている。クリーニング情報は、ワイピングを実行するか否かの情報と、吸引処理を実行するか否かの情報と、フラッシング処理を実行するか否かの情報と、を含む。第1情報送信部117および第2情報送信部203は、日時情報と共にクリーニング情報を送信する。保存部202は、日時情報と共にクリーニング情報をデータベースDTに保存する。このことにより、プリンタ10がクリーニング処理を実行する際の詳細の設定を行うことができる。
【0079】
本実施形態の印刷システム1によると、入力装置100は、加熱温度取得部115を備えている。加熱温度取得部115は、ヒータ70を加熱するときの加熱温度の情報である加熱温度設定情報を取得する。第1情報送信部117および第2情報送信部203は、日時情報と共に加熱温度設定情報を送信する。保存部202は、日時情報と共に加熱温度設定情報をデータベースDTに保存する。このことにより、プリンタ10がヒータ70を加熱するときの詳細の設定を行うことができる。
【0080】
本実施形態の印刷システム1によると、入力装置100は、乾燥温度取得部116を備えている。乾燥温度取得部116は、ドライヤ80を加熱するときの熱源80aの温度の情報である乾燥温度設定情報を取得する。第1情報送信部117および第2情報送信部203は、日時情報と共に乾燥温度設定情報を送信する。保存部202は、日時情報と共に乾燥温度設定情報をデータベースDTに保存する。このことにより、プリンタ10がドライヤ80の熱源80aを加熱するときの詳細の設定を行うことができる。
【0081】
本実施形態の印刷システム1によると、コマンド送信部323は、電源投入コマンド、クリーニングコマンド、加熱コマンドおよび乾燥コマンドを連続して送信するように設定されている。したがって、ユーザUAが入力装置100に日時情報を入力する作業を1回行うことにより、印刷準備部50は、複数の動作を実行することができる。このことにより、プリンタ10は、印刷前に行う動作を効率的に実行することができる。
【0082】
ここで開示される技術は、様々なタイプのプリンタに適用することができる。上述した実施形態で示したRoll-to-Rollタイプのプリンタの他、例えば、記録媒体を台の上に固定し、台を搬送し印刷する、所謂、フラットベッドタイプのプリンタにも同様に適用することができる。また、記録媒体を台の上に載置し、台に対してキャリッジを主走査方向Yおよび前後方向に移動させて印刷する、所謂、ガントリータイプのプリンタにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 印刷システム
5 記録媒体
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
50 印刷準備部
100 入力装置
113 情報取得部
117 第1情報送信部
200 クラウドサーバ(外部サーバ装置)
201 第1情報受信部
202 保存部
203 第2情報送信部
300 指示装置
321 第2情報受信部
322 判定部
323 コマンド送信部
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