IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

特開2024-157749光走査装置およびそれを備えた画像形成装置
<>
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図1
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図2
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図3
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図4
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図5
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図6
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図7
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図8
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図9
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図10
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図11
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図12
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図13
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図14
  • 特開-光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157749
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】光走査装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20241031BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20241031BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B41J2/47 101D
G02B26/10 Z
G03G15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072293
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】國政 拓人
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
【Fターム(参考)】
2C362BA04
2C362BA54
2C362BA87
2C362BB03
2C362BB50
2C362CA18
2C362CA23
2C362CA39
2C362CB73
2H045AA01
2H045BA02
2H045BA22
2H045BA32
2H045CA02
2H045CA93
2H045DA02
2H045DA41
(57)【要約】
【課題】エンコーダーやセンサーを用いることなく、モーターの回転を調整して光学部材を初期位置に移動可能な光走査装置およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】光走査装置は、走査光学系と、筐体と、スキュー調整機構と、制御部と、を備える。スキュー調整機構は、スキュー調整モーターを一定方向に回転させることで光学素子の位置を周期的に変動させ、スキュー調整モーターを光学素子の位置変動の半周期分に相当する回転量だけ回転させた場合に、スキュー調整モーターを回転させる前後における光学素子の位置変動の平均値が、光学素子の1周期当たりの位置変動の平均値と略一致する。制御部は、光学素子を基準位置に戻す場合、光学素子の半周期当たりの位置変動を2等分したうちの3点でのスキュー調整モーターの回転量と、スキュー量とに基づいて、光学素子を基準位置に戻すために必要なスキュー調整モーターの回転量を算出する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム光を走査して像担持体上に導く走査光学系と、
前記走査光学系を構成する光学素子を保持する筐体と、
前記光学素子の配置を基準位置から変化させて走査線傾きを補正するスキュー調整機構と、
前記スキュー調整機構の駆動を制御する制御部と、
を備え、前記像担持体の表面を露光して帯電を減衰させた静電潜像を形成する光走査装置であって、
前記スキュー調整機構は、前記光学素子の角度を調整するスキュー調整モーターを有し、前記スキュー調整モーターを一定方向に回転させることで前記光学素子の位置が周期的に変動し、且つ、前記光学素子が任意の位置にある状態から、前記スキュー調整モーターを前記光学素子の位置変動の半周期分に相当する回転量だけ回転させた場合に、前記スキュー調整モーターを回転させる前後における前記光学素子の位置変動の平均値が、前記光学素子の1周期当たりの位置変動の平均値と略一致し、
前記制御部は、
前記光学素子を前記基準位置に戻す場合、前記光学素子の半周期当たりの位置変動を2等分したうちの3点で前記像担持体上に基準画像を形成して前記光学素子のスキュー量を計測し、
前記光学素子を前記3点に移動させたときの前記スキュー調整モーターの回転量と、前記3点で計測した前記スキュー量とに基づいて、前記光学素子を前記基準位置に戻すために必要な前記スキュー調整モーターの回転量を算出することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記光学素子の半周期当たりの位置変動を2等分したうちの、前記スキュー調整モーターの回転量が1点目<2点目<3点目となる3点での前記スキュー量を、それぞれSkewA、SkewB、SkewCとするとき、
前記制御部は、SkewAとSkewCの平均値SkewA_Cと、SkewBとの大小関係を比較し、
前記スキュー調整モーターの回転方向に対して前記スキュー量が減少する区間において前記光学素子を前記基準位置に戻す第1基準位置調整の場合、
SkewB<SkewA_Cであるときは、(SkewA-SkewC)/2に対応する第1の回転量に、前記光学素子の位置変動の半周期分に相当する第2の回転量を加算した回転量で前記スキュー調整モーターを回転し、
SkewB≧SkewA_Cであるときは、(SkewC-SkewA)/2に対応する第3の回転量で前記スキュー調整モーターを回転し、
前記スキュー調整モーターの回転方向に対して前記スキュー量が増加する区間において前記光学素子を前記基準位置に戻す第2基準位置調整の場合、
SkewB<SkewA_Cであるときは、前記第1の回転量で前記スキュー調整モーターを回転し、
SkewB≧SkewA_Cであるときは、前記第3の回転量に前記第2の回転量を加算した回転量で前記スキュー調整モーターを回転することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記第1基準位置調整において、前記第1の回転量と前記第2の回転量の和が前記光学素子の位置変動の半周期分に相当する回転量を超えるときは、前記第1の回転量と前記第2の回転量の和から前記光学素子の位置変動の1周期分に相当する第4の回転量を減算した回転量で前記スキュー調整モーターを回転し、
前記第2基準位置調整において、前記第3の回転量と前記第2の回転量の和が前記光学素子の位置変動の半周期分に相当する回転量を超えるときは、前記第3の回転量と前記第2の回転量の和から前記第4の回転量を減算した回転量で前記スキュー調整モーターを回転することを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記スキュー調整モーターは、駆動パルス数によって回転量を調整可能なステッピングモーターであることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記光学素子は、前記像担持体に最も近い平面ミラーであることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項6】
表面に感光層が形成された1つ以上の像担持体と、
前記像担持体を所定の表面電位に帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像担持体の表面を露光して帯電を減衰させた静電潜像を形成する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光走査装置と
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において像担持体に光を照射して静電潜像を形成する光走査装置、および光走査装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する複写機やプリンター等の画像形成装置には、光走査装置が設けられている。光走査装置は、帯電した像担持体に光を照射して、像担持体である感光体上に静電潜像を形成する。
【0003】
近年、カラーで出力されるプリンターや複写機には、高画質と高生産性が求められている。また、初期の高画質を連続印字で出力される画像においても維持できる性能も求められている。カラー画像における各色の印字位置ずれ(色ずれ)を正しく合わせ、それを維持することは高画質を維持する上で非常に重要である。光走査装置における色ずれの原因としては、主走査方向の位置ずれ、主走査の等倍度差による位置ずれ、副走査方向の位置ずれ、走査湾曲による位置ずれ、走査線傾きによる位置ずれ等がある。このうち、主走査方向の位置ずれ、主走査の等倍度差による位置ずれ、副走査方向の位置ずれ、走査湾曲による位置ずれについては、光走査装置の発光制御により比較的簡単に補正を行うことができる。
【0004】
走査線傾きの補正も、走査湾曲と同様に補正が可能であるが、一般に走査湾曲よりも補正量が大きい。そのため、メモリにストックする画像データ量が多くなり、発光制御するデバイスのコストアップとなる。そこで、走査線傾きに対しては、感光体に近い走査レンズや反射ミラー等の光学部材を傾斜させることにより、走査線傾きの補正(スキュー調整)を行う。
【0005】
例えば特許文献1には、反射光学素子の反射面に対して垂直な方向から当接して反射光学素子を回動させ、走査線傾きを調整する当接部材と、当接部材とは反対方向から反射光学素子を押圧する板バネ形状の押圧部材とを有し、モーターの回転量に応じて反射光学素子の回動量を変化させてスキュー調整する走査線傾き調整機構が開示されている。
【0006】
特許文献1の構成では、何らかのエラーによりモーターの回転を制御できなくなってモーターが継続的に回転するような状況になったりした場合には、スキュー調整機構自体が破損するという問題点があった。例えば、モーターが一方向に回転し続けると、当接部材がモーターの軸から外れてしまうおそれがある。また、モーターが逆方向に回転し続けると、当接部材とモーター回転軸が締結された状態となり、スキュー調整機構がロックしてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、特許文献2には、光学部材を傾けるための当接部材として、偏芯カムを当接させる構成が開示されている。この構成によれば、モーターが一方向に回転し続けたとしても、偏芯カムが当接する光学部材は周期的に傾きが変化するのみで、スキュー調整機構の破損を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-39179号公報
【特許文献2】特開2006-78725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の構成では、モーターの回転に対し、光学部材の位置変化が周期的に変化するので、モーターの回転方向が同じであっても、光学部材の位置変化の方向が逆転する場合がある。一般的に、ステッピングモーターに駆動パルスを送信する際は、制御部(CPU)からモータードライバーに駆動パルス数のデータを送信し、モータードライバーがステッピングモーターに対して制御部から指定されたパルス数の駆動パルスをモーターに送信する。
【0010】
制御部は、モータードライバーが送信すべき駆動パルス数(指定パルス数)をモータードライバーに送信しているだけなので、モータードライバーがステッピングモーターに駆動パルスを送信中に電源オフされた場合、制御部はモータードライバーが実際にステッピングモーターに送信した駆動パルス数(送信パルス数)を取得することができない。一方、制御部は指定パルス数のデータ情報を記憶するので、指定パルス数と送信パルス数とに乖離が生じる。上記の状況が繰り返されると、駆動パルス数のずれが積算されていく。その結果、ずれ量が一定以上になると、ステッピングモーターの回転方向と光学部材を動かしたい方向が逆転してしまうという問題点があった。
【0011】
上述した問題点を解決するために、ステッピングモーターにエンコーダーを実装したり、光学部材の位置検知を行う光センサー等を光学部材付近に配置したりして、制御部が光学部材の位置情報を把握できるようにする方法もある。しかし、エンコーダーや光センサーを配置したり、制御部にI/Oポートを増設したりする必要があり、光走査装置のコストアップにつながるという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑み、エンコーダーやセンサーを用いることなく、モーターの回転を調整して光学部材を初期位置に移動可能な光走査装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、走査光学系と、筐体と、スキュー調整機構と、制御部と、を備え、像担持体の表面を露光して帯電を減衰させた静電潜像を形成する光走査装置である。走査光学系は、ビーム光を走査して像担持体上に導く。筐体は、走査光学系を構成する光学素子を保持する。スキュー調整機構は、光学素子の配置を基準位置から変化させて走査線傾きを補正する。制御部は、スキュー調整機構の駆動を制御する。スキュー調整機構は、光学素子の角度を調整するスキュー調整モーターを有し、スキュー調整モーターを一定方向に回転させることで光学素子の位置が周期的に変動し、且つ、光学素子が任意の位置にある状態から、スキュー調整モーターを光学素子の位置変動の半周期分に相当する回転量だけ回転させた場合に、スキュー調整モーターを回転させる前後における光学素子の位置変動の平均値が、光学素子の1周期当たりの位置変動の平均値と略一致する。制御部は、光学素子を基準位置に戻す場合、像担持体上に基準画像を形成して光学素子のスキュー量を計測し、光学素子の半周期当たりの位置変動を2等分したうちの3点でのスキュー調整モーターの回転量と、計測したスキュー量とに基づいて、光学素子を基準位置に戻すために必要なスキュー調整モーターの回転量を算出する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、スキュー調整モーターの駆動中に電源をオフされたとしても、スキュー調整モーターの回転方向と光学素子を動かしたい方向の逆転が発生せず、常に正しいスキュー調整が可能となり、色ずれによる画像品質の低下を抑制することができる。また、スキュー調整モーターへのエンコーダーの実装や、光学素子の位置を検知するための光センサー等を配置する必要がないため、光走査装置のコストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の光走査装置5が搭載される画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図
図2図1における画像形成部Pa付近の拡大図
図3】色ずれ補正用の基準画像を示す図
図4】本発明の一実施形態に係る光走査装置5の内部構造を示す側面断面図
図5】スキュー調整機構50を模式的に示す図
図6】画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図
図7】中間転写ベルト8上の基準画像のスキュー量とスキュー調整モーター51の駆動パルス数との関係を示すグラフ
図8】スキュー調整モーター51の回転方向に対し、スキュー量が減少する区間に基準位置を戻す第1基準位置調整の制御例を説明する図であって、SkewB<SkewA_Cである場合を示す図
図9】第1基準位置調整の制御例を説明する図であって、SkewB≧SkewA_Cである場合を示す図
図10】スキュー調整モーター51の回転方向に対し、スキュー量が増加する区間に基準位置を戻す第2基準位置調整の制御例を説明する図であって、SkewB<SkewA_Cである場合を示す図
図11】第2基準位置調整の制御例を説明する図であって、SkewB≧SkewA_Cである場合を示す図
図12】第1基準位置調整における、スキュー調整モーター51の回転量減少制御を説明する図
図13】第2基準位置調整における、スキュー調整モーター51の回転量減少制御を説明する図
図14】画像形成装置100において実行される、光走査装置5の平面ミラー49cの第1基準位置調整の制御例を示すフローチャート
図15】画像形成装置100において実行される、光走査装置5の平面ミラー49cの第2基準位置調整の制御例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.画像形成装置の全体構成]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の光走査装置5が搭載される画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図である。図2は、図1における画像形成部Pa付近の拡大図である。
【0017】
図1に示す画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式のカラープリンターであり、以下のような構成になっている。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの画像を順次形成する。
【0018】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dが配設されている。さらに図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において記録媒体の一例としての用紙S上に一度に転写される。さらに、定着部13において用紙S上に定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0019】
トナー像が転写される用紙Sは、画像形成装置100の本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。
【0020】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。以下、画像形成部Paについて詳細に説明するが、画像形成部Pb~Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。図2に示すように、感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の時計回り方向)に沿って帯電装置2a、現像装置3a、クリーニング装置7aが配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラー6aが配置されている。また、感光体ドラム1aに対し中間転写ベルト8の回転方向上流側には中間転写ベルト8を挟んでテンションローラー11に対向するベルトクリーニングユニット19が配置されている。
【0021】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、メインモーター61(図6参照)により感光体ドラム1a~1dの回転が開始され、帯電装置2a~2dの帯電ローラー20によって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで光走査装置5から出射されたビーム光(レーザー光)によって感光体ドラム1a~1dの表面を光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。
【0022】
現像装置3a~3dには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dの現像ローラー21により感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着する。これにより、光走査装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0023】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dのクリーニングブレード22および摺擦ローラー23により除去される。
【0024】
ベルト駆動モーター63(図6参照)による駆動ローラー10の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、用紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部13へと搬送される。中間転写ベルト8の表面に残存したトナーはベルトクリーニングユニット19によって除去される。
【0025】
定着部13に搬送された用紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が用紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面印字された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0026】
中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラー10と対向する位置には画像濃度センサー25が配置されている。画像濃度センサー25としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上に形成された各パッチ画像(基準画像)に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、およびベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0027】
トナーおよびベルト表面からの反射光には正反射光と乱反射光とが含まれる。この正反射光および乱反射光は、偏光分離プリズムで分離された後、それぞれ別個の受光素子に入射する。各受光素子は、受光した正反射光と乱反射光を光電変換して制御部90(図6参照)に出力信号を出力する。
【0028】
そして、正反射光と乱反射光の出力信号の特性変化からパッチ画像の画像濃度(トナー量)、画像位置を検知し、予め定められた基準濃度、基準位置と比較して、現像電圧の特性値、光走査装置5の露光開始位置およびタイミング等を調整することにより、各色について濃度補正および色ずれ補正(キャリブレーション)が行われる。
【0029】
図3は、キャリブレーションに用いる色ずれ補正用のパッチ画像(基準画像)の一例を示す図である。中間転写ベルト8の幅方向の両端部の基準画像形成領域Rsには、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の斜線と横線からなる基準画像Y、M、C、Kが形成されている。なお、矢印X1はベルト進行方向を示している。図3に示す基準画像Y~Kのパターンは一般的なものであり、各色の斜線と横線を用いて主走査方向(ベルト幅方向)の色ずれを検出し、各色の横線間の間隔から副走査方向(ベルト周方向)の色ずれを検出する。
【0030】
また、基準画像Y~Kは主走査方向(ベルト幅方向)の両端部に同一パターンで形成されることにより、主走査等倍度や走査線傾きを検出可能となっている。さらに、ベルト周方向の色ずれの検知むらを低減するため、基準画像Y~Kは副走査方向に繰り返し形成されており、同一パターンを複数回測定してずれ量の平均値を取るようになっている。
【0031】
これら各色の斜線および直線の位置関係を画像濃度センサー25で検知して予め決められた基準位置と比較し、主走査方向の色ずれを補正する場合は光走査装置5の露光開始位置を調整し、副走査方向の色ずれを補正する場合は光走査装置5の走査開始タイミングを調整することにより、各色について色ずれ補正が行われる。走査線傾きを補正する場合は、光走査装置5内の感光体ドラム1a~1cに最も近い平面ミラー49c、感光体ドラム1dに最も近い平面ミラー49a(図4参照)の角度を調整する。
【0032】
[2.光走査装置の構成]
次に、光走査装置5について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る光走査装置5の内部構成を示す側面断面図である。図4に示すように、光走査装置5は筐体48を備える。筐体48は、本体部48aと蓋部48bとを有する。本体部48aの底面にはポリゴンミラー45が配置されている。本実施形態では、ポリゴンミラー45は側面に複数の偏向面(反射面)を有する正多角形の回転多面鏡から成り、ポリゴンモーター38により所定の速度で回転する。ポリゴンモーター38はモーター支持板39に固定されており、モーター支持板39は本体部48aの底面に固定されている。
【0033】
筐体48内には、レーザー光源、コリメーターレンズ、アパーチャ、シリンドリカルレンズ(いずれも図示せず)、第1走査レンズ46a、第2走査レンズ47a~47d、平面ミラー49a~49cが配置されている。第1走査レンズ46aおよび第2走査レンズ47a~47dはfθ特性を有しており、ポリゴンミラー45によって偏向反射されたレーザー光D1~D4を感光体ドラム1a~1d上に結像させる。また、ポリゴンミラー45から感光体ドラム1a~1dまでの各レーザー光D1~D4の光路上には平面ミラー49a~49cが配置されている。
【0034】
上記のように構成された光走査装置5によるレーザー光D1、D2の走査動作について説明する。まず、レーザー光源から射出されたレーザー光D1、D2は、コリメーターレンズによって略平行光束とされ、アパーチャによって所定の光路幅とされる。次に、略平行光束となったレーザー光D1、D2をシリンドリカルレンズに入射させる。シリンドリカルレンズに入射したレーザー光D1、D2は、主走査断面においてはそのまま平行光束の状態で、副走査方向においては収束して射出され、ポリゴンミラー45の偏向面に線像として結像する。このとき、ポリゴンミラー45によって偏向された2つのレーザー光D1、D2の光路分離を容易にするために、これらのレーザー光D1、D2は偏向面に対して副走査方向にそれぞれ異なる角度で入射するように構成されている。
【0035】
ポリゴンミラー45に入射されたレーザー光D1、D2は、ポリゴンミラー45によって等角速度偏向された後、第1走査レンズ46aによって等速度偏向される。第1走査レンズ46aを通過したレーザー光D1、D2は、それぞれの光路に配置された平面ミラー49aによって折り返され、レーザー光D1は第2走査レンズ47aに、レーザー光D2は第2走査レンズ47bに入射し、第2走査レンズ47a、47bによって等速度偏向される。そして、等速度偏向されたレーザー光D1、D2は、それぞれの光路に配置された最終の平面ミラー49cによって折り返され、本体部48aの開口部を覆う蓋部48bに形成された窓部70a、70bを通過して感光体ドラム1a、1bへ配光される。
【0036】
レーザー光源から射出されたレーザー光D3、D4も同様にして、コリメーターレンズ、アパーチャおよびシリンドリカルレンズを通過した後、ポリゴンミラー45で等角度偏向され、第1走査レンズ46aによって等速度偏向される。第1走査レンズ46aを通過したレーザー光D3は、光路に配置された平面ミラー49a、49bによって2回折り返された後、第2走査レンズ47cに入射し、第1走査レンズ46aを通過したレーザー光D4は第2走査レンズ47dに入射し、それぞれ等速度偏向される。さらに、レーザー光D3は最終の平面ミラー49cによって折り返され、レーザー光D4は平面ミラー49aによって折り返され、蓋部48bに形成れた窓部70c、70dを通過して感光体ドラム1c、1dへ配光される。
【0037】
ポリゴンミラー45、第1走査レンズ46a、第2走査レンズ47a~47d、平面ミラー49a~49cは、レーザー光D1~D4を走査して感光体ドラム1a~1d上に導く走査光学系を構成する。
【0038】
図5は、平面ミラー49cのスキューを調整するスキュー調整機構50を模式的に示す図である。スキュー調整機構50は、光走査装置5内の平面ミラー49cの位置を調整することによりレーザー光D1~D3(図4参照)の走査線傾き(スキュー)を調整する。スキュー調整機構50は、スキュー調整モーター51と偏芯カム52とで構成される。
【0039】
平面ミラー49cは、光走査装置5内のミラー保持部53に保持されている。ミラー保持部には一対の板バネ54が付設されている。一対の板バネ54は、それぞれ平面ミラー49cの長手方向の一端側および他端側をミラー保持部53に押圧する。
【0040】
平面ミラー49cの長手方向の一端側(図5の右端側)は、板バネ54によってミラー保持部53の突起部53aに圧接されている。平面ミラー49cの長手方向の他端側(図5の左端側)は、板バネ54によって偏芯カム52の外周面に圧接されている。
【0041】
スキュー調整機構50は、スキュー調整モーター51を横向きに配置し、スキュー調整モーター51の出力軸51aに偏芯カム52を固定している。スキュー調整モーター51が回転すると、出力軸51aに固定された偏芯カム52も回転するため、ミラー保持部53に対する偏芯カム52の突き出し量が変化する。その結果、平面ミラー49cは突起部53aを揺動支点として長手方向の他端側が上下に揺動する。スキュー調整モーター51は、パルス制御により回転方向および回転量(回転角)を精度よく制御可能なステッピングモーターである。
【0042】
この構成によれば、制御部90(図6参照)からのパルス信号の送信によってスキュー調整モーター51の回転量(回転角)を制御することにより、ミラー保持部53に対する偏芯カム52の突き出し量を制御することができ、平面ミラー49cのスキューを精度よく調整することができる。なお、レーザー光D4の走査線傾き(スキュー)を調整するスキュー調整機構50についても、平面ミラー49cに代えて平面ミラー49aの位置を調整する以外は図5と同様の構成である。ただし、基準色を基準として多色と基準色のスキュー量の差分をスキュー量として計測する場合は、基準色の平面ミラーの角度調整は行わなくても良いし、平面ミラーにスキュー調整機構50を設けなくてもよい。例えば、基準色のレーザー光線がD4である場合は、平面ミラー49aにスキュー調整機構50を設けなくてもよい。
【0043】
[3.画像形成装置の制御経路]
図6は、画像形成装置1の制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0044】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部80からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、画像形成装置100の本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0045】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(またはROM92)には、キャリブレーションに用いる濃度補正テーブル等も記憶される。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。
【0046】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa~Pd、二次転写ローラー9、ローラー接離機構35、スキュー調整機構50、メインモーター61、ベルト駆動モーター63、画像入力部70、電圧制御回路71、操作部80等が挙げられる。
【0047】
画像入力部70は、画像形成装置100にパソコン等の上位機器から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部70より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0048】
電圧制御回路71は、帯電電圧電源72、現像電圧電源73、転写電圧電源74と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させる。これらの各電源は、電圧制御回路71からの制御信号によって、帯電電圧電源72は帯電装置2a~2d内の帯電ローラー20に、現像電圧電源73は現像装置3a~3d内の現像ローラー21に、転写電圧電源74は一次転写ローラー6a~6dおよび二次転写ローラー9に、それぞれ所定の電圧を印加する。
【0049】
操作部80には、液晶表示部81、各種の状態を示すLED82が設けられており、ユーザーは操作部80のストップ/クリアボタンを操作して画像形成を中止し、リセットボタンを操作して画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする。液晶表示部81は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
【0050】
[4.光走査装置における平面ミラーの基準位置の算出]
次に、平面ミラー49cの基準位置(ホームポジション)を算出する方法について詳細に説明する。図7は、中間転写ベルト8上の基準画像のスキュー量とスキュー調整モーター51の駆動パルス数との関係を示すグラフであり、縦軸をスキュー量、横軸を駆動パルス数としている。
【0051】
図5に示したスキュー調整機構50では、スキュー調整モーター51の回転に伴い偏芯カム52が回転し、偏芯カム52の回転量(回転角)に応じて平面ミラー49cの角度が周期的に変化する。また、駆動パルス量に対するスキュー量も偏芯カム52の回転量(回転角)に応じて周期的に変化する。そのため、基準画像のスキュー量とスキュー調整モーター51の駆動パルス数とは図7のような関係になる。
【0052】
図7に示すように、平面ミラー49cのスキュー量は駆動パルスに対して周期的に変動する。また、平面ミラー49cが任意の位置にある状態から、スキュー調整モーター51を平面ミラー49cの位置変動の半周期分に相当する回転量だけ回転させた場合に、スキュー調整モーターを回転させる前後における平面ミラー49cの位置変動の平均値が、平面ミラー49cの1周期当たりの位置変動の平均値と略一致する。本実施形態では、上記の特性を利用して、平面ミラー49cの基準位置を求める。
【0053】
なお、基準位置は、スキュー調整モーター51の回転方向(正回転方向)に対してスキュー量が減少する区間に存在する場合と、スキュー量が増加する区間に存在する場合の2通りがある。そして、基準位置が存在する区間によって、スキュー調整モーター51を正回転させたときに平面ミラー49cが変位する方向が変化する。具体的には、スキュー調整モーター51の回転方向(駆動パルスが増加する方向)に対し、スキュー量が増加する区間(上り勾配)に基準位置があるときは、スキュー調整モーター51を回転させたときに平面ミラー49cが正方向に変位する。一方、スキュー量が減少する区間(下り勾配)に基準位置があるときは、スキュー調整モーター51を回転させたときに平面ミラー49cが負方向に変位する。
【0054】
平面ミラー49cのスキューを補正する場合、スキュー調整モーター51の回転開始時に平面ミラー49cが正方向に変位するか、或いは負方向に変位するかを予め決定しておく必要があるため、勾配が逆の区間に基準位置を戻すとスキュー調整機構50によるスキュー調整方向が逆方向となってしまう。以下ではイエローの画像に対応する平面ミラー49cを、スキュー量が減少する区間において基準位置に戻す場合と、スキュー量が増加する区間において基準位置に戻す場合に分けて説明する。
【0055】
(4-1.スキュー量が減少する区間において基準位置に戻す場合の調整方法)
先ず、スキュー調整モーター51の回転方向に対してスキュー量が減少する区間において基準位置に戻す場合(第1基準位置調整)について説明する。図8および図9は、スキュー調整モーター51の回転方向に対し、スキュー量が減少する区間に基準位置を戻す1基準位置調整の制御例を説明する図である。
【0056】
図8および図9において、平面ミラー49cのスキュー量が所定値(200μm)である状態が基準位置(グラフと破線との交点O)である。その後、制御部90からの駆動パルスの送信中に電源オフが繰り返されて位置ずれが累積し、制御部90は平面ミラー49cが基準位置(点O)にあると認識しているが、実際は点Aの位置になっているとする。
【0057】
先ず、平面ミラー49cが点Aの位置にある状態で中間転写ベルト8上に色ずれ検知用の基準画像(図3参照)を形成する。そして、スキュー量を計測し、その量をSkewAとする。次に、平面ミラー49cのスキュー量変化の半周期の1/2の駆動パルス数でスキュー調整モーター51を駆動する。図8および図9の例では478パルスで半周期となっているため、その1/2の駆動パルス数である239パルスでスキュー調整モーター51を駆動する。その結果、平面ミラー49cは点Bの状態へ移動する。
【0058】
次に、点Bにおいても中間転写ベルト8上に基準画像を形成し、スキュー量を計測する。これをSkewBとする。同様に、更に239パルスでスキュー調整モーター51を駆動すると、平面ミラー49cは点Cの状態へ移動する。点Cにおいても中間転写ベルト8上に基準画像を形成し、スキュー量を計測する。これをSkewCとする。計測された点A、点B、点Cでのスキュー量から、以下に示すようにして、点Cから基準位置と同じ状態である点Dに戻すための駆動パルス数を算出する。
【0059】
最初に、点Aと点Cのスキュー量の平均値SkewA_C=(SkewA+SkewC)/2を求める。次に、SkewBとSkewA_Cの大小関係を比較する。SkewB<SkewA_Cである図8の場合(パターン1)は、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は(SkewC-SkewA)/2となる。点Cから直線BCと破線の交点に移動させるためには、スキュー調整モーター51を逆回転させる必要がある。従って、平面ミラー49cの位置を-(SkewC-SkewA)/2=(SkewA-SkewC)/2だけ変化させるのに必要な駆動パルス数である第1の回転量でスキュー調整モーター51を駆動すると、点Cから直線BCと破線の交点に移動する。しかし、この点はスキュー量が増加する区間での基準位置であるため、スキュー量が減少する区間での基準位置である点Dに移動させる必要がある。
【0060】
そこで、平面ミラー49cのスキュー量変化の半周期に相当するスキュー調整モーター51の駆動パルス数を第2の回転量とする。そして、第1の回転量に第2の回転量を加算した回転量でスキュー調整モーター51を回転させる。これにより、図8に示すように、直線BCと破線の交点からスキュー量が減少する区間の基準位置である点Dに移動する。
【0061】
具体的な数値を用いた平面ミラー49cの基準位置の計算例を以下に示す。以下の計算では、イエローの画像が形成される感光体ドラム1aに最も近い平面ミラー49cについて計算する。図8における点Aの座標を(500,107.34)、点Bの座標を(739,-727.01)、点Cの座標を(978,289.13)とする。
【0062】
SkewA_C=(107.34+289.13)/2=198.24となり、SkewB(=-727.01)<SkewA_C(=198.24)となるので上記のパターン1に該当する。平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は、(SkewC-SkewA)/2=(289.13-107.34)/2=90.895[μm]となる。
【0063】
図8に示した例では、スキュー調整機構50は、スキュー調整モーター51の1駆動パルスあたり4.235[μm]だけ平面ミラー49cのスキュー量を変化させる。そのため、第1の回転量は-90.895/4.235≒-21[パルス]となる。また、第2の回転量は478[パルス]であるから、第1の回転量+第2の回転量=-21+478=459[パルス]となる。
【0064】
点Cからの移動後は、平面ミラー49cは点Dの位置となるはずだから、978+459=1437[パルス]の位置になる。駆動パルスが1437の位置は、所望のイエローの基準値に近い位置となり、平面ミラー49cを基準位置に戻すことができる。
【0065】
SkewB≧SkewA_Cである図9の場合(パターン2)は、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は(SkewC-SkewA)/2となる。点Dに移動させるためには、スキュー調整モーター51を正回転させればよい。平面ミラー49cの位置を(SkewC-SkewA)/2だけ変化させるのに必要な駆動パルス数である第3の回転量でスキュー調整モーター51を駆動する。上記の操作を行うことにより、スキュー量が減少する区間において平面ミラー49cを基準位置Dに戻すことができる。
【0066】
具体的な数値を用いた平面ミラー49cの基準位置の計算例を以下に示す。図9における点Aの座標を(800,-454.05)、点Bの座標を(1039,537.5)、点Cの座標を(1278,857.35)とする。
【0067】
SkewA_C=(-454.05+857.35)/2=201.65となり、SkewB(=537.5)≧SkewA_C(=201.65)となるので上記のパターン2に該当する。平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は、(SkewC-SkewA)/2=(857.35-(-454.05))/2=655.7[μm]となる。
【0068】
図9に示した例では、スキュー調整機構50は、スキュー調整モーター51の1駆動パルスあたり4.235[μm]だけスキュー量が変化する。そのため、第3の回転量は、655.7[μm]/4.235[μm]≒155[パルス]となる。点Cからの移動後は、平面ミラー49cは点Dの位置となるはずだから、1278+155=1433[パルス]の位置になる。駆動パルスが1433の位置は、所望のイエローの基準値に近い位置となり、平面ミラー49cを基準位置Dに戻すことができる。
【0069】
(4-2.スキュー量が増加する区間において基準位置に戻す場合の調整方法)
次に、スキュー調整モーター51の回転方向に対してスキュー量が増加する区間において基準位置に戻す場合(第2基準位置調整)について説明する。図10および図11は、スキュー調整モーター51の回転方向に対し、スキュー量が増加する区間に基準位置を戻す第2基準位置調整の制御例を説明する図である。
【0070】
平面ミラー49cが点A、B、Cの位置にある状態で中間転写ベルト8上に色ずれ検知用の基準画像(図3参照)を形成する工程、SkewA、SkewB、SkewCを測定する工程、点Aと点Cのスキュー量の平均値SkewA_C=(SkewA+SkewC)/2を求め、SkewBとSkewA_Cの大小関係を比較する工程については、図8および図9に示した第1基準位置調整と同様である。
【0071】
SkewB<SkewA_Cである図10の場合(パターン1)は、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は(SkewC-SkewA)/2となる。点Cから点Dに移動させるためには、スキュー調整モーター51を正回転させればよい。従って、平面ミラー49cの位置を-(SkewC-SkewA)/2=(SkewA-SkewC)/2だけ変化させるのに必要な駆動パルス数である第1の回転量でスキュー調整モーター51を駆動する。上記の操作を行うことにより、スキュー量が増加する区間において平面ミラー49cを基準位置Dに戻すことができる。
【0072】
具体的な数値を用いた平面ミラー49cの基準位置の計算例を以下に示す。図10における点Aの座標を(600,-313.08)、点Bの座標を(839,-302.67)、点Cの座標を(1078,709.64)とする。
【0073】
SkewA_C=(―313.08+709.64)/2=198.28となり、SkewB(=-302.67)<SkewA_C(=198.28)となるので上記のパターン1に該当する。平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は、(SkewC-SkewA)/2={709.64-(-313.08)}/2=511.36[μm]となる。
【0074】
図10に示した例では、スキュー調整機構50は、スキュー調整モーター51の1駆動パルスあたり4.235[μm]だけスキュー量が変化する。そのため、第1の回転量は-511.36/4.235≒-121[パルス]となる。
【0075】
点Cからの移動後は、平面ミラー49cは点Dの位置となるはずだから、1078-121=957[パルス]の位置になる。駆動パルスが957の位置は、所望のイエローの基準値に近い位置となり、平面ミラー49cを基準位置Dに戻すことができる。
【0076】
SkewB≧SkewA_Cである図11の場合(パターン2)は、平面ミラー49cのスキュー量は(SkewC-SkewA)/2となる。点Cから直線BCと破線の交点に移動させるためには、スキュー調整モーター51を逆回転させる必要がある。従って、平面ミラー49cの位置を(SkewC-SkewA)/2だけ変化させるのに必要な駆動パルス数である第3の回転量でスキュー調整モーター51を駆動すると、点Cから直線BCと破線の交点に移動する。しかし、この点はスキュー量が減少する区間での基準位置であるため、スキュー量が増加する区間での基準位置である点Dに移動させる必要がある。
【0077】
そこで、第3の回転量に第2の回転量を加算した回転量でスキュー調整モーター51を回転させる。これにより、図11に示すように、直線BCと破線の交点からスキュー量が増加する区間の基準位置である点Dに移動する。
【0078】
具体的な数値を用いた平面ミラー49cの基準位置の計算例を以下に示す。図11における点Aの座標を(1000,378.69)、点Bの座標を(1239,1036.72)、点Cの座標を(1478,24.58)とする。
【0079】
SkewA_C=(378.69+24.58)/2=390.64となり、SkewB(=1036.72)≧SkewA_C(=390.64)となるので上記のパターン2に該当する。平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は、(SkewC-SkewA)/2=(24.58-378.69)/2=-177.06[μm]となる。点Cから直線BCと破線の交点に移動させるためには、スキュー調整モーター51を逆回転させる必要がある。
【0080】
図11に示した例では、スキュー調整機構50は、スキュー調整モーター51の1駆動パルスあたり4.235[μm]だけスキュー量が変化する。そのため、第3の回転量は、-177.06[μm]/4.235[μm]≒-42[パルス]となる。また、第2の回転量は478[パルス]であるから、第3の回転量+第2の回転量=-42+478=436[パルス]となる。
【0081】
点Cからの移動後は、平面ミラー49cは点Dの位置となるはずだから、1478+436=1914[パルス]の位置になる。駆動パルスが1914の位置は、所望のイエローの基準値に近い位置となり、平面ミラー49cを基準位置Dに戻すことができる。
【0082】
(4-3.スキュー調整モーターの回転量減少制御)
上述した第1基準位置調整および第2基準位置調整において、第2平面ミラー49cを基準位置に戻すためのスキュー調整モーター51の駆動パルス数(第1基準位置調整における第1の回転量と第2の回転量の和、または第2基準位置調整における第3の回転量と第2の回転量の和)が、平面ミラー49cのスキュー量変化の半周期に相当する駆動パルス数を超える場合は、スキュー調整モーター51の回転量を減少させることが可能である。以下、スキュー調整モーターの回転量減少制御について詳細に説明する。
【0083】
先ず、スキュー調整モーター51の回転方向に対してスキュー量が減少する区間において基準位置に戻す場合(第1基準位置調整)について説明する。図12は、第1基準位置調整制御における、スキュー調整モーター51の回転量減少制御を説明する図である。
【0084】
第1基準位置調整制御においてSkewB<SkewA_Cである図12の場合は、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は(SkewC-SkewA)/2となる。点Cから点Cと点D′の間にある基準位置に移動させるためには、スキュー調整モーター51を正回転させる必要がある。従って、平面ミラー49cの位置を-(SkewC-SkewA)/2=(SkewA-SkewC)/2だけ変化させるのに必要な駆動パルス数である第1の回転量に、第2の回転量を加算した回転量でスキュー調整モーター51を回転させる。これにより、基準位置はスキュー量が減少する区間に移動した点D′となる。
【0085】
ここで、第1の回転量と第2の回転量の和が、スキュー量変化の半周期に相当する駆動パルス数を超えているときは、点Cからの距離が点D′よりも近い位置に、スキュー量が減少する区間の基準位置(点D)が存在する。そこで、第1の回転量と第2の回転量の和から、スキュー量変化の1周期に相当する第4の回転量を減算した回転量でスキュー調整モーター51を回転させる。これにより、基準位置は点D′から点Dに移動する。
【0086】
具体的な数値を用いた平面ミラー49cの基準位置の計算例を以下に示す。図12における点Aの座標を(300,945.47)、点Bの座標を(539,-48.87)、点Cの座標を(778,-549.40)とする。
【0087】
SkewA_C={945.47+(-549.40)}/2=198.04となり、SkewB(=-48.87)<SkewA_C(=198.04)となるので、図8と同様のパターン1に該当する。平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は、(SkewC-SkewA)/2=(-549.40-945.47)/2=-747.44[μm]となる。
【0088】
スキュー調整モーター51の1駆動パルスあたり4.235[μm]だけスキュー量が変化するため、第3の回転量は、747.44[μm]/4.235[μm]≒176[パルス]となる。また、第2の回転量は478[パルス]であり、第4の回転量は956であるから、第3の回転量+第2の回転量-第4の回転量=176+478-956=-302[パルス]となる。
【0089】
即ち、点Cから-302[パルス]だけスキュー調整モーター51を回転させることで、最小限の駆動パルス数(モーター回転量)で平面ミラー49cの基準位置を点Dに戻すことができる。
【0090】
次に、スキュー調整モーター51の回転方向に対してスキュー量が増加する区間において基準位置に戻す場合(第2基準位置調整)について説明する。図13は、第2基準位置調整制御における、スキュー調整モーター51の回転量減少制御を説明する図である。
【0091】
第2基準位置調整制御においてSkewB≧SkewA_Cである図13の場合は、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は(SkewC-SkewA)/2となる。点Cから点Cと点D′の間にある基準位置に移動させるためには、スキュー調整モーター51を正回転させる必要がある。従って、平面ミラー49cの位置を(SkewC-SkewA)/2だけ変化させるのに必要な駆動パルス数である第3の回転量に、第2の回転量を加算した回転量でスキュー調整モーター51を回転させる。これにより、基準位置はスキュー量が増加する区間に移動した点D′となる。
【0092】
ここで、第3の回転量と第2の回転量の和が、スキュー量変化の半周期に相当する駆動パルス数を超えているときは、点Cからの距離が点D′よりも近い位置に、スキュー量が増加する区間の基準位置(点D)が存在する。そこで、第3の回転量と第2の回転量の和から、スキュー量変化の1周期に相当する第4の回転量を減算した回転量でスキュー調整モーター51を回転させる。これにより、基準位置は点D′から点Dに移動する。
【0093】
具体的な数値を用いた平面ミラー49cの基準位置の計算例を以下に示す。図13における点Aの座標を(800,-454.05)、点Bの座標を(1039,537.51)、点Cの座標を(1278,857.35)とする。
【0094】
SkewA_C=(-454.05+857.35)/2=201.65となり、SkewB(=537.51)≧SkewA_C(=201.05)となるので、図11と同様のパターン2に該当する。平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量は、(SkewC-SkewA)/2=(857.35-(-454.05))/2=655.7[μm]となる。
【0095】
スキュー調整モーター51の1駆動パルスあたり4.235[μm]だけスキュー量が変化するため、第3の回転量は、655.7[μm]/4.235[μm]≒155[パルス]となる。また、第2の回転量は478[パルス]であり、第4の回転量は956であるから、第3の回転量+第2の回転量-第4の回転量=155+478-956=-323[パルス]となる。
【0096】
即ち、点Cから-323[パルス]だけスキュー調整モーター51を回転させることで、最小限の駆動パルス数(モーター回転量)で平面ミラー49cの基準位置を点Dに戻すことができる。
【0097】
図14は、画像形成装置100において実行される、光走査装置5の平面ミラー49cの第1基準位置調整の制御例を示すフローチャートである。必要に応じて図1図13を参照しながら、図14のステップに沿って平面ミラー49cの第1基準位置調整の実行手順について説明する。
【0098】
制御部90は、基準位置調整モードの実行タイミングであるか否かを判定する(ステップS1)。基準位置調整モードは、例えば直前の基準位置調整モードの実行タイミングからの累積印刷枚数が所定枚数(例えば10k枚)に到達する毎に実行される。
【0099】
基準位置調整モードの実行タイミングである場合は(ステップS1でYes)、制御部90は、平面ミラー49cの半周期当たりの位置変動を2等分したうちの、スキュー調整モーター51の回転量が1点目<2点目<3点目となる3点(図8図9の点A、B、C)でのスキュー量SkewA、SkewB、SkewCを計測する(ステップS2)。具体的には、平面ミラー49cを点A、B、Cに移動させた状態で、中間転写ベルト8上に色ずれ補正用の基準画像を形成し、画像濃度センサー25により基準画像を読み取ることによりSkewA、SkewB、SkewCを計測する。
【0100】
次に、制御部90は、SkewAとSkewCの平均値SkewA_Cを算出する(ステップS3)。そして、SkewB<SkewA_Cであるか否かを判定する(ステップS4)。SkewB<SkewA_Cである場合は(ステップS4でYes)、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量(SkewA-SkewC)/2を算出する(ステップS5)。
【0101】
次に、制御部90は、ステップS5で算出された平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量と、スキュー調整モーター51の1駆動パルス当たりのスキュー量の変化量とに基づいて、平面ミラー49cのスキューを補正する(原点位置に戻す)ためのスキュー調整モーター51の第1の回転量R1を算出する(ステップS6)。さらに、基準位置をスキュー量が減少する区間に戻すための第2の回転量R2を加算する(ステップS7)。これにより、平面ミラー49cを基準位置Dに戻すための駆動パルス数R1+R2が算出される。
【0102】
次に、制御部90は、R1+R2が、平面ミラー49cのスキュー量変化の半周期に相当する駆動パルス数Pnを超えるか否かを判定する(ステップS8)。R1+R2>Pnである場合は(ステップS8でYes)、R1+R2からスキュー量変化の1周期に相当する第4の回転量R4を減算する(ステップS9)。R1+R2≦Pnである場合は(ステップS8でNo)、R4を減算せずにR1+R2を維持する。
【0103】
SkewB≧SkewA_Cである場合は(ステップS4でNo)、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量(SkewC-SkewA)/2を算出する(ステップS10)。次に、制御部は、ステップS8で算出された平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量と、スキュー調整モーター51の1駆動パルス当たりのスキュー量の変化量とに基づいて、平面ミラー49cのスキューを補正する(原点位置に戻す)ためのスキュー調整モーター51の第3の回転量を算出する(ステップS11)。
【0104】
最後に、ステップS7、S9またはS11で算出された駆動パルスでスキュー調整モーター51を駆動して(ステップS12)、平面ミラー49cを基準位置(点D)へ移動させて基準位置調整モードを終了する。
【0105】
図15は、画像形成装置100において実行される、光走査装置5の平面ミラー49cの第2基準位置調整の制御例を示すフローチャートである。図15に示す第2基準位置調整では、SkewB<SkewA_Cであるか否かを判定し(ステップS4)、SkewB<SkewA_Cである場合は(ステップS4でYes)、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量(SkewC-SkewA)/2を算出する(ステップS10)。
【0106】
次に、制御部90は、ステップS10で算出された平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量と、スキュー調整モーター51の1駆動パルス当たりのスキュー量の変化量とに基づいて、平面ミラー49cのスキューを補正する(原点位置に戻す)ためのスキュー調整モーター51の第1の回転量R1を算出する(ステップS11)。
【0107】
一方、SkewB≧SkewA_Cである場合は(ステップS4でNo)、平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量(SkewA-SkewC)/2を算出する(ステップS5)。
【0108】
次に、制御部90は、ステップS5で算出された平面ミラー49cのスキュー量の所定値に対する点Cのスキュー量と、スキュー調整モーター51の1駆動パルス当たりのスキュー量の変化量とに基づいて、平面ミラー49cのスキューを補正する(原点位置に戻す)ためのスキュー調整モーター51の第3の回転量R1を算出する(ステップS6)。さらに、基準位置をスキュー量が減少する区間に戻すための第2の回転量R2を加算する(ステップS7)。これにより、平面ミラー49cを基準位置Dに戻すための駆動パルス数R3+R2が算出される。
【0109】
そして、R3+R2が、平面ミラー49cのスキュー量変化の半周期に相当する駆動パルス数Pnを超えるか否かを判定し(ステップS8)、R3+R2>Pnである場合は(ステップS8でYes)、R3+R2からスキュー量変化の1周期に相当する第4の回転量R4を減算する(ステップS9)。上記以外のステップは図14に示した第1基準位置調整と同様である。
【0110】
図14および図15に示した制御例によれば、スキュー調整モーター51の駆動中に電源をオフされたとしても、スキュー調整機構50のスキュー調整モーター51の回転方向と平面ミラー49cを移動させたい方向の逆転が発生せず、常に正しいスキュー調整が可能となり、色ずれによる画像品質の低下を抑制することができる。
【0111】
また、スキュー調整モーター51へのエンコーダーの実装や、平面ミラー49cの位置を検知するための光センサー等を配置する必要がないため、光走査装置5および画像形成装置100のコストアップを抑制することができる。
【0112】
なお、図14図15では記載を省略しているが、基準位置調整モードを終了した後は、再び中間転写ベルト8上に色ずれ補正用の基準画像を形成し、画像濃度センサー25により基準画像を読み取ることにより、走査線のスキュー量を測定する。そして、測定されたスキュー量に基づいてスキュー調整モーター51の駆動パルス数を算出し、スキュー調整モーター51を駆動させて走査線のスキュー(傾き)の調整を行う。
【0113】
また、図14図15のステップS4でSkewB=SkewA_Cである場合は、点A、Cでのスキュー量の平均が点Bでのスキュー量と等しく、点A、B、Cが一直線上に並んでいることを示している。この場合、平面ミラー49cの基準位置のずれは発生していないため、平面ミラー49cを点Aに戻すことで走査線のスキューが調整される。或いは、平面ミラー49cを一旦基準位置(点D)に戻した後、上述した走査線のスキュー調整を行ってもよい。
【0114】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、平面ミラー49cの走査線傾きを調整する際の平面ミラー49cの基準位置を調整する方法について説明したが、上記実施形態により基準位置を調整可能な光学素子は平面ミラー49a~49cに限らない。例えば、主走査方向に長尺である第2走査レンズ47cの基準位置の調整に用いることもできる。
【0115】
また、上記実施形態では、スキュー調整モーター51と偏芯カム52とで構成されるスキュー調整機構50を例示したが、スキュー調整モーター51を一定方向に回転させることで光学素子の位置が周期的に変化する構成であれば、他の構成のスキュー調整機構50を用いることもできる。
【0116】
例えば、偏芯カム52に代えて、側面から突出する環状の突起であるカムフォロワを有する第1ギアと、カムフォロワに対向するカム面を有する第2ギアとを用いることもできる。カムフォロワには、第1ギアの周方向の単位回転角に対して常に所定量だけ軸方向距離が変わる凹凸が形成されている。また、第1ギアと第2ギアのギア歯は歯数が異なる。これにより、スキュー調整モーター51によって第1ギアおよび第2ギアを回転させることにより、第1ギアと第2ギアの軸間距離が周期的に変化する。この軸間距離の変化を用いて光学素子を変位させる。
【0117】
また、光走査装置5が搭載される画像形成装置100としてタンデム式のカラープリンターを例に挙げて説明したが、本発明はカラープリンターに限らず、カラー複写機、ファクシミリ等の電子写真方式のカラー画像形成装置、或いはモノクロプリンター、モノクロ複合機等の電子写真方式のモノクロ画像形成装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、像担持体に光を照射して静電潜像を形成する光走査装置に利用可能である。本発明の利用により、エンコーダーやセンサーを用いることなく、モーターの回転を調整して光学部材を初期位置に移動可能な光走査装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0119】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
5 光走査装置
40a~40d レーザー光源
41 コリメーターレンズ(走査光学系)
43 シリンドリカルレンズ(走査光学系)
45 ポリゴンミラー(走査光学系)
46a、46b 第1走査レンズ(走査光学系)
47a~47d 第2走査レンズ(走査光学系)
48 筐体
49a~49c 平面ミラー(光学素子)
50 スキュー調整機構
51 スキュー調整モーター
52 偏芯カム
70 蓋部
70a~70d 窓部
90 制御部
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15