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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157755
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20241031BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241031BHJP
【FI】
B65G47/52 101B
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072299
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 敏子
【テーマコード(参考)】
3F044
5H301
【Fターム(参考)】
3F044AA01
3F044AB22
3F044AB25
3F044CE03
3F044CE04
3F044CE08
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301EE06
5H301EE07
5H301EE08
5H301EE12
5H301GG07
5H301GG14
5H301KK02
5H301KK04
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】例えば、互いに交差した複数の通路を有した搬送路において、物品の搬送効率をより高めることができる搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送システムは、例えば、複数の台車の通路であって第一方向に延びる線分状の複数の通路からなる第一通路群と、複数の台車の通路であって第一方向と交差した第二方向に延びる線分状の複数の通路からなる第二通路群と、台車が荷積みおよび荷下ろしのうち少なくとも一方のために停止する複数の移載部と、第一通路群および第二通路群における複数の台車の移動を制御する制御部と、を備え、第一通路群の少なくとも一つの通路と第二通路群の少なくとも一つの通路とが交差し、制御部は、第一通路群に含まれる第一通路において、所定時間における第一方向の反対方向へ移動する台車数より当該所定時間における第一方向へ移動する台車数が多くなるよう、複数の台車の移動を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の台車の通路であって第一方向に延びる線分状の複数の通路からなる第一通路群と、
前記複数の台車の通路であって前記第一方向と交差した第二方向に延びる線分状の複数の通路からなる第二通路群と、
前記台車が荷積みおよび荷下ろしのうち少なくとも一方のために停止する複数の移載部と、
前記第一通路群および前記第二通路群における前記複数の台車の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記第一通路群の少なくとも一つの通路と前記第二通路群の少なくとも一つの通路とが交差し、
前記制御部は、前記第一通路群に含まれる第一通路において、所定時間における前記第一方向の反対方向へ移動する台車数より当該所定時間における前記第一方向へ移動する台車数が多くなるよう、前記複数の台車の移動を制御する、搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一通路を通る前記台車の全てが前記第一方向へ移動するよう、前記複数の台車の移動を制御する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一通路群に含まれる通路であって前記第一通路とは別の通路である第二通路において、所定時間における前記第一方向へ移動する台車数より当該所定時間における前記第一方向の反対方向へ移動する台車数が多くなるよう、前記複数の台車の移動を制御する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第二通路を通る前記台車の全てが前記第一方向の反対方向へ移動するよう、前記複数の台車の移動を制御する、請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第一通路群は、前記第一および前記第二通路とは別の第三通路を備えた、請求項3に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第三通路を所定時間において移動する全台車数に対する前記第一方向へ移動する台車数の比率は、前記第一通路を当該所定時間において移動する全台車数に対する前記第一方向へ移動する台車数の比率より低く、かつ、前記第三通路を所定時間において移動する全台車数に対する前記第一方向の反対方向へ移動する台車数の比率は、前記第二通路を当該所定時間において移動する全台車数に対する前記第一方向の反対方向へ移動する台車数の比率より低い、請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記第三通路を所定時間において移動する全台車の平均速度の絶対値は、前記第一通路を当該所定時間において移動する全台車の平均速度の絶対値より小さく、かつ、前記第二通路を当該所定時間において移動する全台車の平均速度の絶対値より小さい、請求項5に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記第三通路は、前記複数の移載部を含む、請求項5または6に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記第三通路は、前記第一通路または前記第二通路と、前記複数の移載部との間に設けられた、請求項5または6に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記複数の移載部の少なくとも一部は、前記第一通路群に含まれる通路に対して前記第二方向または当該第二方向の反対方向にずれた位置に設けられた、請求項1または3に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記台車が前記通路および前記移載部のうちいずれか一つへ進むのを待機する待機部が設けられた、請求項1または3に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記待機部は、前記移載部および前記通路のうち少なくとも一つと隣り合うように設けられた、請求項11に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記第二通路群に含まれる通路において、前記台車が前記通路および前記複数の移載部のうちいずれか一つへ進むのを待機するよう、前記台車を制御する、請求項1または3に記載の搬送システム。
【請求項14】
前記第二通路群は、前記複数の移載部のうちのいずれかと前記第二方向に並んだ通路を含む、請求項1または3に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記第二通路群は、前記複数の移載部のうちのいずれかと前記第一方向にずれた通路を含む、請求項1または3に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を搬送する台車用の通路として、コンベヤと隣接して設けられた格子状の通路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-134043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の通路においては、例えば、物品の搬送効率をより高めることができれば、有益である。
【0005】
そこで、本発明は、例えば、互いに交差した複数の通路を有した搬送路において、物品の搬送効率をより高めることができる搬送システムを得ることを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送システムは、複数の台車の通路であって第一方向に延びる線分状の複数の通路からなる第一通路群と、前記複数の台車の通路であって前記第一方向と交差した第二方向に延びる線分状の複数の通路からなる第二通路群と、前記台車が荷積みおよび荷下ろしのうち少なくとも一方のために停止する複数の移載部と、前記第一通路群および前記第二通路群における前記複数の台車の移動を制御する制御部と、を備え、前記第一通路群の少なくとも一つの通路と前記第二通路群の少なくとも一つの通路とが交差し、前記制御部は、前記第一通路群に含まれる第一通路において、所定時間における前記第一方向の反対方向へ移動する台車数より当該所定時間における前記第一方向へ移動する台車数が多くなるよう、前記複数の台車の移動を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の搬送システムに適用される搬送路の例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、第1実施形態の搬送システムに含まれる集中制御装置の例示的なブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の搬送システムに含まれる台車の例示的なブロック図である。
図4図4は、図1の搬送路に対して第1実施形態の搬送システムによって決定された台車の移動経路の一例を示す模式的な平面図である。
図5図5は、図1の搬送路に対して第1実施形態の搬送システムによって決定された台車の移動経路の別の一例を示す模式的な平面図である。
図6図6は、第2実施形態の搬送システムに適用される搬送路の例示的かつ模式的な平面図である。
図7図7は、第3実施形態の搬送システムに適用される搬送路の例示的かつ模式的な平面図である。
図8図8は、第4実施形態の搬送システムに適用される搬送路の例示的かつ模式的な平面図である。
図9図9は、第5実施形態の搬送システムに適用される搬送路の例示的かつ模式的な平面図である。
図10図10は、第6実施形態の搬送システムに含まれる集中制御装置の例示的なブロック図である。
図11図11は、第7実施形態の搬送システムに適用される搬送路の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成から得られる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、下記の構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0009】
なお、本明細書において、序数は、方向や、通路群、通路等を区別するために便宜上付与されうるものである。なお、序数は、優先順位や順番を示すものではないし、数を特定するものでもない。
【0010】
また、一部の図中には、搬送システムにおける各方向が矢印で示されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに、互いに直交している。Z方向は、鉛直方向に略沿っており、矢印Zは、鉛直上方を指している。X方向およびY方向は、水平方向に略沿っている。
【0011】
[搬送路の構成]
図1は、第1実施形態の搬送システム1000A(1000)に適用される搬送路CP1の平面図である。図1に示されるように、略水平なフロアF上には、格子状に配置された複数の通路111,121,131,132,201~207を含む搬送路CP1が設けられている。X方向に略沿う通路111,121,131,132とY方向に略沿う通路201~207とは、十字状あるいはT字状に交差している。
【0012】
搬送路CP1のY方向の端部には、複数のコンベヤ301~303が面し、搬送路CP1のY方向の反対方向の端部には、複数のコンベヤ401~403が面している。そして、搬送路CP1の、各コンベヤ301~303,401~403と面する位置には、物品Aの移載位置P11~P13,P21~P23が設けられている。移載位置P11~P13,P21~P23は、各コンベヤ301~303,401~403と台車10との間で物品Aを移載する際の、台車10の位置である。不図示の移載装置は、台車10が移載位置P11~P13,P21~P23に位置する状態で、物品Aの移載、すなわち台車10に対する物品Aの荷積みまたは荷下ろしを行う。
【0013】
台車10は、移載位置P11~P13,P21~P23のうちいずれか二つの移載位置の間で、搬送路CP1を通って移動することができる。すなわち、搬送路CP1を通る台車10は、コンベヤ301~303,401~403のうちいずれか二つのコンベヤの間で、物品Aを運ぶことができる。また、物品Aを載せていない空の台車10は、移載位置P11~P13,P21~P23のうちいずれか二つの移載位置の間で、搬送路CP1を通って移動することができる。また、搬送路CP1外に、台車10が往来可能な空の台車10のプール(不図示)が設けられていた場合、台車10は、当該プールと移載位置P11~P13,P21~P23との間で移動することができる。なお、図1において、白抜きの矢印は、台車10または物品Aの移動方向を示し、丸印は、台車10が一時的に停止している状態を示す。
【0014】
搬送路CP1において、X方向に延びる複数の通路111,121,131,132は、第一通路群100に含まれる通路の一例であり、Y方向に延びる複数の通路201~207は、第二通路群200に含まれる通路の一例である。X方向は、第一方向の一例であり、Y方向は、第二方向の一例である。また、移載位置P11~P13,P21~P23は、移載部の一例である。
【0015】
本実施形態では、台車10は、一例として、経路誘導式の無人搬送車である。この場合、通路111,121,131,132,201~207は、フロアFに設置された複数の誘導体(不図示)によって定まる。誘導体は、例えば、磁気棒や磁気テープのような磁気式の誘導体や、光反射テープのような光学式の誘導体、一次元コードや二次元コードのような画像認識方式の誘導体、反射板のようなレーザ誘導式の誘導体等である。台車10は、誘導体の方式に応じたセンサを有している。
【0016】
台車10は、本実施形態では、一例として、集中制御装置1100(図2参照)からの無線の指示信号に従って、当該指示信号によって指示された通路111,121,131,132,201~207上を、当該指示信号によって指示された経路で、複数の誘導体によって誘導されながら移動する。
【0017】
通路111,121は、通路131と通路132との間で延びている。通路111は、台車10が主としてX方向に移動する通路として設定され、通路121は、台車10が主としてX方向の反対方向に移動する通路として設定される。台車10の移動方向は、集中制御装置1100による台車10の制御によって定まる。よって、この場合、集中制御装置1100は、通路111においては、台車10が主としてX方向に移動するよう制御し、通路121においては、台車10が主としてX方向の反対方向に移動するよう制御する。通路111は、第一通路の一例であり、通路121は、第二通路の一例である。また、集中制御装置1100は、制御部の一例である。
【0018】
通路131は、通路111とコンベヤ401~403との間で延びており、通路132は、通路121とコンベヤ301~303との間で延びている。通路131,132は、台車10がX方向およびX方向の反対方向に移動可能な通路として設定される。すなわち、集中制御装置1100は、通路131,132においては、台車10をX方向またはX方向の反対方向に移動するよう制御する。通路131,132は、第三通路の一例である。
【0019】
また、通路201~207は、台車10がY方向およびY方向の反対方向に移動可能な通路として設定される。すなわち、集中制御装置1100は、通路201~207においては、台車10をY方向またはY方向の反対方向に移動するよう制御する。
【0020】
上述したように、通路111,121について台車10の主たる移動方向が設定されるとともに、当該主たる移動方向が互いに逆向きに設定されている場合、各通路111,121において、複数の台車10が互いに近づくように移動して衝突するのを防止することができるとともに、当該衝突を避けるために各台車10の移動速度が低下して物品Aの搬送時間が長くなるのを抑制することができる。
【0021】
このように通路111,121に台車10の主たる移動方向が設定されていることは、例えば、所定時間において通路111,121を通る台車10の移動状況から判別することができる。具体的には、所定時間において、全ての台車10が通路111をX方向に移動した場合、台車10の大半(例えば3/4以上)が通路111をX方向に移動した場合、あるいは、通路111において所定時間におけるX方向の反対方向へ移動する台車10の数よりX方向へ移動する台車10の数が多い場合等にあっては、集中制御装置1100は、通路111においては、台車10を主としてX方向に移動するよう制御していると判別することができる。同様に、所定時間において、全ての台車10が通路121をX方向の反対方向に移動した場合、台車10の大半(例えば3/4以上)が通路121をX方向の反対方向に移動した場合、あるいは、通路121において所定時間におけるX方向へ移動する台車10の数よりX方向の反対方向へ移動する台車10の数が多い場合等にあっては、集中制御装置1100は、通路121においては、台車10を主としてX方向の反対方向に移動するよう制御していると判別することができる。
【0022】
ここで、所定時間は、例えば、少なくとも台車10が搬送路CP1中の移載位置P11~P13,P21~P23のうちいずれか二つの移載位置の間で移動する際の所要時間の平均値以上の時間に設定することができる。また、所定時間は、例えば、通路111および通路121の双方に台車10が一つも無い状態において一つの台車10が通路111または通路121に進入した時点から、次に通路111および通路121の双方に台車10が一つも無い状態となるまでの時間に設定してもよい。なお、集中制御装置1100は、通路111に設定する台車10の主たる移動方向と通路121に設定する台車10の主たる移動方向とを入れ替えることができる。この場合、所定時間は、当該入れ替えたタイミングを跨がないように設定される。
【0023】
また、台車10が通路111,121においては主たる移動方向に移動するように制御され、通路131,132においてはX方向およびX方向の反対方向に移動可能に制御される場合、
(1)通路131を所定時間において移動する全ての台車10の数に対するX方向へ移動する台車10の数の比率は、通路111を所定時間において移動する全ての台車10の数に対するX方向へ移動する台車10の数の比率より低くなるとともに、通路132を所定時間において移動する全ての台車10の数に対するX方向の反対方向へ移動する台車10の数の比率は、通路121を所定時間において移動する全ての台車10の数に対するX方向の反対方向へ移動する台車10の数の比率より低くなる。また、
(2)通路111,121を所定時間において移動する全ての台車10の平均速度の絶対値は、通路131,132を所定時間において移動する全ての台車10の平均速度の絶対値より大きくなる。
上記(1)および(2)は、通路111,121に台車10の主たる移動方向が設定され、かつ通路131,132は、台車10がX方向およびX方向の反対方向に移動可能な通路として使用されていることの証拠となりうる。
【0024】
[集中制御装置の構成]
図2は、集中制御装置1100のブロック図である。図2に示されるように、集中制御装置1100は、例えば、演算処理部1110、主記憶部1120、補助記憶部1130等を有したコンピュータとして構成されている。演算処理部1110は、例えば、central processing unit(CPU)であり、主記憶部1120は、例えば、random access memory(RAM)や、read only memory(ROM)等であり、補助記憶部1130は、solid state drive(SSD)や、hard disk drive(HDD)等である。演算処理部1110は、台車情報取得部1110a、搬送情報取得部1110b、現在トラフィック情報取得部1110c、将来トラフィック情報算出部1110d、経路決定部1110e、台車制御部1110f、等を有している。演算処理部1110は、インストールされたプログラムにしたがって作動することにより、これら台車情報取得部1110a、搬送情報取得部1110b、現在トラフィック情報取得部1110c、将来トラフィック情報算出部1110d、経路決定部1110e、台車制御部1110f、等として機能し、当該プログラムに定められる所定のアルゴリズムで処理を実行する。
【0025】
台車情報取得部1110aは、例えば、フロアFや、各台車10に設けられたセンサから、通信装置1200を介して、無線により、台車10毎の位置や、速度等を示す台車情報を取得する。
【0026】
搬送情報取得部1110bは、例えば、上位装置から、通信装置1200を介して、コンベヤ301~303,401~403を介した物品Aの搬送指示等を示す搬送情報を取得する。
【0027】
現在トラフィック情報取得部1110cは、例えば、台車情報取得部1110aで取得された複数の台車10についての台車情報から、搬送路CP1における台車10の配置や、各台車10の移動速度等を示す現時点でのトラフィック情報を取得する。現在トラフィック情報取得部1110cは、所定の時間間隔で、トラフィック情報を算出しかつ更新する。
【0028】
将来トラフィック情報算出部1110dは、現在トラフィック情報取得部1110cで取得されたトラフィック情報、および台車情報取得部1110aで取得された台車情報から、将来の所定のタイミングでの、搬送路CP1での台車10の配置および移動速度を予測し、当該タイミングにおけるトラフィック情報を算出する。また、将来トラフィック情報算出部1110dは、将来の所定のタイミングでのトラフィック情報が、許容条件を満たすか否かの判定を行う。当該許容条件は、例えば、互いに近い二つの台車10間の距離が所定距離以上とすること、のような条件である。さらに、将来トラフィック情報算出部1110dは、当該許容条件が満たされない場合にあっては、当該二つの台車10の配置や移動速度等を修正することができる。
【0029】
経路決定部1110eは、例えば、将来トラフィック情報算出部1110dで算出された将来のトラフィック情報および搬送情報取得部1110bで取得された搬送情報に基づいて、台車10の割り当てや、移動経路等を決定する。なお、以下では、コンベヤ301~303,401~403のうち物品Aを搬送路CP1に搬入するコンベヤを、単に搬入コンベヤと称し、コンベヤ301~303,401~403のうち搬送路CP1から物品Aを排出するコンベヤを、搬出コンベヤと称する。
【0030】
具体的に、経路決定部1110eは、例えば、
(1)空の台車10の中からの当該物品Aを搬送する台車10の割り当て、
(2)当該割り当てられた台車10の、搬入コンベヤに対応した移載位置への移動経路、
(3)搬入コンベヤに対応した移載位置から、搬出コンベヤに対応した移載位置への移動経路、
(4)搬出コンベヤへの物品Aの移載後の空になった台車10のその後の移動経路
等を決定することができる。
【0031】
その後、将来トラフィック情報算出部1110dは、経路決定部1110eで移動経路が決定された台車10も含めた将来の所定のタイミングでのトラフィック情報を算出し、許容条件を満たすか否かの判定を行い、台車10の配置や移動速度を修正してもよい。当該修正によっても許容条件を満たすことができない場合にあっては、経路決定部1110eが、台車10の移動経路を変更してもよい。
【0032】
台車制御部1110fは、例えば、将来トラフィック情報算出部1110dで決定された将来の所定のタイミングでのトラフィック情報、すなわち各台車10の配置や移動速度から、各台車10を当該配置や移動速度に制御するための制御情報を算出し、通信装置1200を介して、無線により、台車10に制御情報を送信する。制御情報は、指示情報とも称されうる。
【0033】
[台車の構成]
図3は、台車10のブロック図である。図3に示されるように、台車10の制御装置11は、例えば、演算処理部11a、主記憶部11b、補助記憶部11c等を有したコンピュータとして構成されている。演算処理部11aは、例えば、central processing unit(CPU)であり、主記憶部11bは、例えば、RAMや、ROM等であり、補助記憶部11cは、SSDや、HDD等である。演算処理部11aは、制御情報取得部11a1、検出制御部11a2、走行制御部11a3、情報出力制御部11a4等を有している。演算処理部11aは、インストールされたプログラムにしたがって作動することにより、これら制御情報取得部11a1、検出制御部11a2、走行制御部11a3、情報出力制御部11a4等として機能する。
【0034】
制御情報取得部11a1は、例えば、通信装置12を介して、無線により、集中制御装置1100からの制御情報を取得する。
【0035】
検出制御部11a2は、例えば、センサ13からの検出情報を取得する。センサ13は、例えば、搬送路CP1における台車10の位置を検出する位置センサや、台車10の速度を検出する速度センサである。速度センサは、例えば、駆動装置14としてのモータの回転速度を検出する。
【0036】
走行制御部11a3は、例えば、制御情報取得部11a1で取得された制御情報と、検出制御部11a2で取得された検出情報とに基づいて、台車10が、制御情報によって指示された状態となるよう、台車10の駆動装置14を制御する。駆動装置14は、例えば、電動モータや、当該電動モータを駆動するインバータ、ブレーキ、ブレーキアクチュエータ等を含む。
【0037】
情報出力制御部11a4は、例えば、検出制御部11a2によって取得された検出情報や、走行制御部11a3から取得した駆動装置14の状態を示す情報を、無線により、集中制御装置1100へ送信するよう、通信装置12を制御する。
【0038】
[移動経路の設定例(1)]
図4は、物品Aを載せた台車10の移載位置P11から移載位置P23への移動経路Pt1の設定例を示す。この場合、台車10は、搬送路CP1において、物品Aをコンベヤ301からコンベヤ403へ搬送するため、コンベヤ301に対応した移載位置P11から、コンベヤ403に対応した移載位置P23へ移動する。移載位置P11は、移動経路Pt1における出発位置であり、移載位置P23は、移動経路Pt1における到着位置である。ここで、図4に示されるように、移載位置P23は、移載位置P11に対して、X方向にずれるとともに、Y方向の反対方向にずれている。この場合、経路決定部1110eは、まずは、X方向へ移動する区間およびY方向の反対方向へ移動する区間のみを含むとともに、X方向へ移動する区間が通路111においてできるだけ長く確保されるよう、移動経路を、図4の移動経路Pt1に決定する。
【0039】
また、経路決定部1110eは、上述した手順で決定した移動経路Pt1では許容条件を満たすことができなかった場合、移動経路Pt1を、図4中に太い破線で示されるような回り道経路Pt1rを含むように、変更してもよい。この場合、回り道経路Pt1rに、通路111が含まれるようにするのが好ましい。
【0040】
[移動経路の設定例(2)]
図5は、物品Aを載せた台車10の移載位置P22から移載位置P12への移動経路Pt2の設定例を示す。この場合、台車10は、搬送路CP1において、物品Aをコンベヤ402からコンベヤ302へ搬送するため、コンベヤ402に対応した移載位置P22から、コンベヤ302に対応した移載位置P12へ移動する。移載位置P22は、移動経路Pt2における出発位置であり、移載位置P12は、移動経路Pt2における到着位置である。ここで、図5に示されるように、移載位置P12は、移載位置P22に対して、X方向の反対方向にずれるとともに、Y方向にずれている。この場合、経路決定部1110eは、まずは、X方向の反対方向へ移動する区間およびY方向へ移動する区間のみを含むとともに、X方向の反対方向へ移動する区間が通路121においてできるだけ長く確保されるよう、移動経路を、図5の移動経路Pt2に決定する。
【0041】
また、経路決定部1110eは、上述した手順で決定した移動経路Pt2では許容条件を満たすことができなかった場合、移動経路Pt2を、図5中に太い破線で示されるような回り道経路Pt2rを含むように、変更してもよい。この場合、回り道経路Pt2rに、通路121が含まれるようにするのが好ましい。
【0042】
[台車の待機]
台車10は、所定の待機位置で、待機することができる。
【0043】
本実施形態では、図1に示されるように、待機位置511,512が設けられている。待機位置511は、X方向に延びた通路111または通路121に面するとともに、Y方向に延びた一つの通路204にも面している。また、待機位置512は、X方向に延びた通路111または通路121に面するとともに、Y方向に延びた二つの通路(通路202および通路203、または通路204および通路205)にも面している。この場合、台車10は、待機位置511,512に進入し、当該待機位置511,512に面した通路内に入るのを待機することができる。これにより、例えば、通路中の他の台車10との干渉を抑制することができるという効果が得られる。また、待機位置511,512は、搬送路CP1中のいずれかの通路と隣り合って設けられている。これにより、例えば、台車10は、待機位置511,512から当該隣り合った通路に、より円滑にかつより迅速に進入することができるという効果が得られる。待機位置511,512は、待機部の一例である。
【0044】
将来トラフィック情報算出部1110dは、待機位置511,512での待機を含めた台車10の配置や移動速度を決定してもよいし、経路決定部1110eは、待機位置511,512を含む移動経路を決定してもよい。
【0045】
また、台車10は、主たる移動方向が設定されている通路111,121以外の通路131,132,201~207で、待機してもよい。言い換えると、待機部は、通路131,132,201~207に含まれてもよい。この場合、台車10は、一時的に停止したり、すぐに停止できる程度の低速で移動したりすることにより、待機してもよい。また、通路131,132,201~207での待機は、通路111,121へ進入する前の待機であってもよいし、移載位置P11~P13,P21~P23へ移動する前の待機であってもよい。これにより、例えば、通路131,132,201~207を利用して、より多くの待機位置を確保できるとともにより種々の位置に待機位置を確保することができるという効果が得られる。通路131,132,201~207は、待機部の一例である。
【0046】
以上、説明したように、本実施形態では、搬送路CP1が、主たる移動方向が設定された通路111(第一通路)または通路121(第二通路)を備えている。これにより、例えば、当該通路111,121において、台車10がより高速で移動できるようになるため、搬送路CP1が当該通路111,121を備えない場合に比べて、台車10が搬送路CP1をより迅速に移動することができるようになり、ひいては、搬送路CP1における物品Aの搬送効率をより高めることができるようになるという効果が得られる。
【0047】
ここに、主たる移動方向が設定された通路111,121は、例えば、所定時間における主たる移動方向とは反対方向へ移動する台車10の数より、所定時間における主たる移動方向に移動する台車10の数が多い通路であってもよいし、通過する全ての台車10が当該主たる移動方向に移動する通路であってもよい。
【0048】
また、本実施形態では、搬送路CP1が、主たる移動方向が設定された通路111,121ではない通路131,132,201~207を備えている。仮に、全ての通路について、主たる移動方向が設定されていた場合、台車10の移動経路に対する制約が増え、却って台車10の移動速度が低下してしまう虞がある。この点、本実施形態では、搬送路CP1が、通路111,121(第一通路および第二通路)とは別に、主たる移動方向が設定されていない通路131,132(第三通路)および通路201~207を備えているため、例えば、台車10の移動経路に対する制約が減り、より柔軟な移動経路の設定が可能となる分、台車10の移動速度の低下を抑制し、ひいては、搬送路CP1における物品Aの搬送効率をより高めることができるようになるという効果が得られる。
【0049】
ここに、主たる移動方向が設定されていない通路131(第三通路)は、例えば、所定時間において当該通路131を通る全ての台車10の数に対するX方向へ移動する台車10の数の比率が、当該所定時間において通路111を通る全ての台車10の数に対するX方向へ移動する台車10の数の比率より低い通路であってもよいし、所定時間において当該通路131を通る全ての台車10の平均速度の絶対値が、当該所定時間において通路111を通る全ての台車10の平均速度の絶対値より小さい通路であってもよい。他方、主たる移動方向が設定されていない通路132(第三通路)は、所定時間において当該通路132を通る全ての台車10の数に対するX方向の反対方向へ移動する台車10の数の比率が、当該所定時間において通路121を通る全ての台車10の数に対するX方向の反対方向へ移動する台車10の数の比率より低い通路であってもよいし、所定時間において当該通路132を通る全ての台車10の平均速度の絶対値が、当該所定時間において通路121を通る全ての台車10の平均速度の絶対値より小さい通路であってもよい。
【0050】
また、本実施形態では、図1に示されるように、移載位置P11~P13,P21~P23が、通路131または通路132に含まれている。これにより、例えば、移載位置P11~P13,P21~P23を、通路131,132を利用して、フロアF上に特別にスペースを確保すること無く、より効率良く配置することができるという効果が得られる。
【0051】
また、本実施形態では、図1に示されるように、移載位置P11~P13は、それぞれ、通路202~204のうちいずれかとY方向に並んでいる。言い換えると、通路201~207は、移載位置P11~P13のうちいずれかとY方向に並んだ通路202~204を含んでいる。これにより、例えば、台車10は、移載位置P11~P13から通路202~204のうちいずれかに、より円滑にかつより迅速に移動することができるという効果が得られる。
【0052】
また、本実施形態では、図1に示されるように、移載位置P21~P23は、それぞれ、通路201~207に対して、X方向またはX方向の反対方向にずれている。言い換えると、通路201~207は、いずれも、移載位置P21~P23に対してX方向またはX方向の反対方向にずれている。これにより、例えば、移載位置P21~P23に位置する台車10が、通路201~207と通路131との間での他の台車10の通行の妨げになるのを抑制することができるという効果が得られる。
【0053】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の搬送システム1000B(1000)に適用される搬送路CP2の平面図である。図6に示されるように、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、略水平なフロアF上には、格子状に配置された複数の通路111,121,131,132,201~207を含む搬送路CP2が設けられている。
【0054】
図6図1と比較すれば明らかとなるように、本実施形態では、X方向に延びた複数の通路111,121,131,132間のY方向における間隔が狭い。これにより、例えば、搬送路CP2を、Y方向に狭いフロアFにも適用することができるという効果が得られる。
【0055】
ただし、本実施形態では、通路111,121,131,132の間には、待機位置511,512を設け難くなる上、Y方向に延びた通路201~207は、待機位置としては利用し難くなる。
【0056】
そこで、搬送路CP2には、通路131または通路132に面した待機位置521,522が設けられている。これにより、例えば、より多くの待機位置を確保できるという効果が得られる。
【0057】
また、待機位置521,522は、それぞれ、少なくとも一つのコンベヤと隣り合っている。待機位置521は、一つのコンベヤ(コンベヤ303またはコンベヤ403)と隣り合い、待機位置522は、X方向に隣り合った二つのコンベヤ(コンベヤ301,302、またはコンベヤ401,402)と隣り合っている。さらに、この場合、例えば、待機位置521,522のそれぞれに対応した移載装置を設けることにより、当該待機位置521,522に位置した台車10と、コンベヤ301~303,401~403との間で物品Aを移載できるようになる。これにより、例えば、物品Aの搬送効率をより一層高めることができるという効果が得られる。この場合、待機位置521,522は、移載部の一例である。
【0058】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態の搬送システム1000C(1000)に適用される搬送路CP3の平面図である。本実施形態では、略水平なフロアF上には、通路131,132(図1参照)を含まず梯子状に配置された複数の通路111,121,201~207を含む搬送路CP3が設けられている。すなわち、搬送路CP3は、第一通路群100は、台車10の主たる移動方向が設定された通路111,121は有するものの、台車10がX方向およびX方向の反対方向の双方に移動可能な通路131,132は有しない。この場合、例えば、管理する通路が少ない分、集中制御装置1100の処理負荷を軽減できるという効果が得られる。
【0059】
図7に示されるように、本実施形態では、通路111,121から、各コンベヤ301~303,401~403に向けてY方向またはY方向の反対方向に突出した通路600が設けられており、当該通路600に、移載位置P11~P13,P21~P23が設けられている。すなわち、移載位置P11~P13,P21~P23は、通路111,121に対してY方向またはY方向の反対方向にずれて設けられている。これにより、例えば、移載位置P11~P13,P21~P23に位置する台車10が、通路111,121における他の台車10の通行の妨げになるのを抑制することができるという効果が得られる。
【0060】
さらに、本実施形態では、図7に示されるように、待機位置521,522が設けられている。待機位置521は、通路111または通路121に面するとともに、一つの通路600にも面している。また、待機位置522は、通路111または通路121に面するとともに、二つの通路600にも面している。この場合、台車10は、これら待機位置521,522に進入し、通路111,121,600内に入るのを待機することができる。これにより、例えば、通路111,121,600中の他の台車10との干渉を抑制することができるという効果が得られる。また、待機位置521,522は、通路111,121,600と隣り合って設けられている。これにより、例えば、台車10は、待機位置521,522から隣り合った通路111,121,600に、より円滑にかつより迅速に進入することができるという効果が得られる。また、待機位置521,522は、移載位置P11~P13,P21~P23が設けられた通路600と隣り合っている。このため、移載位置P11~P13,P21~P23に他の台車10が位置している状態で、台車10が待機位置521,522において当該移載位置P11~P13,P21~P23への移動を待機している場合にあっては、当該移載位置P11~P13,P21~P23から他の台車10が移動した後すぐに、当該移載位置P11~P13,P21~P23へ移動することができるという効果も得られる。
【0061】
なお、移載位置P11~P13,P21~P23が設けられる通路600は、上記第1,第2実施形態の搬送路CP1,CP2(図1,6参照)に設けられてもよい。この場合、通路600は、通路131と各コンベヤ401~403との間、および通路132と各コンベヤ301~303との間に、設けられる。当該構成にあっては、通路131は、通路111と移載位置P21~P23との間に設けられ、通路132は、通路121と移載位置P11~P13との間に設けられることになる。この場合には、例えば、移載位置P11~P13,P21~P23に位置する台車10が、通路131,132における他の台車10の通行の妨げになるのを抑制することができるという効果が得られる。
【0062】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態の搬送システム1000D(1000)に適用される搬送路CP4の平面図である。図8図1と比較すれば明らかとなるように、本実施形態の搬送路CP4は、主たる移動方向が設定された二つの通路111,121の間に、X方向に延びた通路133が設けられている点で、第1実施形態の搬送路CP1と相違している。この通路133は、X方向に延びた、通常は主たる移動方向が設定されない通路、すなわち、台車10がX方向およびX方向の反対方向の双方に移動可能な通路であり、第三通路の一例である。この場合、例えば、台車10は、通路111,121へ進入する前に、通路133で、一時的に停止したり、すぐに停止できる程度の低速で移動したりすることにより、待機することができる。すなわち、通路133は、待機部の一例である。
【0063】
また、通路133は、複数の通路201~207を介して通路111および通路121の双方と接続され、通路111および通路121の双方の間に位置するとともに、通路111および通路121の双方の比較的近傍に位置している。よって、例えば、通路111および通路121のうちいずれか一方を通る台車10の数が増えたような場合に、当該台車10の数が増えた通路111または通路121の補助的な通路として、利用することができる。具体的には、通路111においてX方向に移動する台車10の数が増えた場合にあっては、通路133を、一時的に台車10が主としてX方向に移動する通路として利用し、通路121においてX方向の反対方向に移動する台車10の数が増えた場合にあっては、通路133を、一時的に台車10が主としてX方向の反対方向に移動する通路として利用することができる。これにより、例えば、台車10の滞留を抑制し、物品Aの搬送効率を高めることができるという効果が得られる。
【0064】
[第5実施形態]
図9は、第5実施形態の搬送システム1000E(1000)に適用される搬送路CP5の平面図である。上記第1~第4実施形態の搬送路CP1~CP4では、平面視で略長方形状の台車10が、X方向に長くY方向に短い姿勢で移動していたのに対し、本実施形態では、台車10は、搬送路CP5を、X方向に短くY方向に長い姿勢、すなわち、搬送路CP1~CP4での台車10の姿勢に対して平面視で90°回転した姿勢で、移動する。これにより、例えば、搬送路CP5を、搬送路CP1~CP4に比べて、X方向により短く構成することができるという効果が得られる。すなわち、搬送路CP1~CP5のレイアウトおよび台車10が移動する姿勢は、搬送路CP1~CP5を設置するフロアFの広さや、形状等に応じて適宜に選択することができる。
【0065】
[第6実施形態]
図10は、第6実施形態の搬送システム1000F(1000)の集中制御装置1100のブロック図である。本実施形態では、第1実施形態と同様の格子状の通路を備えた搬送路CP1(図1参照)を備えている。ただし、本実施形態では、搬送システム1000Fは、複数のリニアモータを含む駆動システム1400を備えている。台車10は、自走するのではなく、当該搬送路CP1に設けられたリニアモータの作動によって移動する。リニアモータは、通路111,121,131,132,201~207のそれぞれに、当該通路111,121,131,132,201~207の延び方向において所定間隔で配置されている。集中制御装置1100は、複数のリニアモータに対する電流の供給方向を適宜に切り換えることにより、磁束の向きを変更し、台車10に設けられた磁石との吸引または反発の関係を変更することで、台車10の位置および移動速度を変更する。この場合、センサ1300は、例えば、フロアFに設置されており、例えば、搬送路CP1における台車10の位置を検出する位置センサや、台車10の速度を検出する速度センサ、各台車10の識別子を検出する識別センサ等である。台車情報取得部1110aは、例えば、センサ1300から、台車10毎の位置や、速度等を示す台車情報を取得する。そして、台車制御部1110fは、例えば、将来トラフィック情報算出部1110dで算出された将来の所定のタイミングでのトラフィック情報、すなわち各台車10の配置や移動速度から、各台車10を当該配置や移動速度に制御するための各リニアモータの制御情報を算出し、当該リニアモータを制御する。
【0066】
このような構成によっても、上記各実施形態と同様の搬送路CP1~CP5を構築することができ、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、例えば、搬送システム1000Fに適用する台車10の構成を簡素化することができるという効果が得られる。
【0067】
[第7実施形態]
図11は、第7実施形態の搬送システム1000G(1000)に適用される搬送路CP7の一部の平面図である。図11の例では、X方向に延びる通路111と、Y方向に延びる通路202との交差点に、台車10がX方向およびY方向に対して斜めに移動する通路700が設けられている。通路700は、通路111と通路202との角部を面取りしたような形状を有している。このような通路700を設定することにより、台車10の移動経路Ptに、斜めに移動する区間Ptsを含むことができる。これにより、例えば、交差点において、互いに交差する二つの通路間で、台車10をより円滑にかつより迅速に移動させることができたり、台車10における急激な加速度変化を抑制し、ひいては台車10における物品Aの位置ずれを抑制できたり、といった効果が得られる。通路700は、ショートカット通路とも称されうる。
【0068】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0069】
例えば、搬送路における通路のレイアウトやスペックは、種々に変更することができる。例えば、第一通路群に含まれる複数の通路の長さや、第二方向における間隔、第一方向における位置等は、種々に変更することができるし、第二通路群に含まれる複数の通路の長さや、第一方向における間隔、第二方向における位置等も、種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0070】
10…台車
11…制御装置
11a…演算処理部
11a1…制御情報取得部
11a2…検出制御部
11a3…走行制御部
11a4…情報出力制御部
11b…主記憶部
11c…補助記憶部
12…通信装置
13…センサ
14…駆動装置
100…第一通路群
111…通路(第一通路)
121…通路(第二通路)
131,132,133…通路(第三通路、待機部)
200…第二通路群
201~207…通路(待機部)
301~303,401~403…コンベヤ
511,512,521,522…待機位置(待機部)
600…通路
700…通路
1000,1000A~1000G…搬送システム
1100…集中制御装置(制御部)
1110…演算処理部
1110a…台車情報取得部
1110b…搬送情報取得部
1110c…現在トラフィック情報取得部
1110d…将来トラフィック情報算出部
1110e…経路決定部
1110f…台車制御部
1120…主記憶部
1130…補助記憶部
1200…通信装置
1300…センサ
1400…駆動システム
A…物品
CP1~CP5,CP7…搬送路
F…フロア
P11~P13,P21~P23…移載位置(移載部)
Pt,Pt1,Pt2…移動経路
Pt1r,Pt2r…回り道経路
Pts…区間
X…方向(第一方向)
Y…方向(第二方向)
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11