(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157764
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ガイドパッド、ボディ及び穴加工用工具
(51)【国際特許分類】
B23B 51/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B23B51/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072316
(22)【出願日】2023-04-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 篤
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037DD03
(57)【要約】
【課題】長期間に亘り使用することのできるガイドパッド、ガイドパッドが取り付けられるボディ、及び、ガイドパッドがボディに設けられた穴加工用工具を提供する。
【解決手段】穴加工用工具10のボディ100の凹部114A、114Bの底面113に当接する当接面310と、当接面310とは反対側にある露出面320に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、露出面320には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる、第1ガイド面321と第3ガイド面323、または第2ガイド面322と第4ガイド面324が、加工時の回転方向AR1に沿って並列に配置されており、加工時においては、第1ガイド面321及び第3ガイド面323のうちの1つ、または第2ガイド面322及び第4ガイド面324のうちの1つが穴の内面に当接するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴加工用工具に用いられるガイドパッドであって、
前記穴加工用工具のボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、前記当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、
前記露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つの前記ガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つの前記ガイド面のうちの1つが前記穴の内面に当接するように構成されている、ガイドパッド。
【請求項2】
前記露出面には、円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられている、請求項1に記載のガイドパッド。
【請求項3】
前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一である、請求項1または請求項2に記載のガイドパッド。
【請求項4】
前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が異なる、請求項1または請求項2に記載のガイドパッド。
【請求項5】
複数のガイドパッドが周方向に間隔をあけて設けられた複数の取り付け座にそれぞれ装着される穴加工用工具のボディであって、
前記複数の取り付け座の底面は平坦面であり、
回転中心軸方向の先端視で、前記取り付け座のそれぞれにおいて、前記取り付け座の底面の中点と前記回転中心軸とを通る線を第1基準線、前記中点を通り前記第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの前記取り付け座の底面は、前記第2基準線に対して傾斜し、かつ、前記第2基準線に対する前記中点周りの傾斜方向が互いに逆とされている、ボディ。
【請求項6】
前記取り付け座の底面は、前記回転中心軸に対して、先端へ向かって前記回転中心軸から遠ざかるように傾斜されている、請求項5に記載のボディ。
【請求項7】
複数のガイドパッドと、前記ガイドパッドが装着されるボディと、を備えた穴加工用工具であって、
前記ガイドパッドは、
前記ボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、
前記当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、
前記露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つの前記ガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つの前記ガイド面のうちの1つが前記穴の内面に当接するように構成されている、穴加工用工具。
【請求項8】
前記ガイドパッドの前記露出面には、円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられている、請求項7に記載の穴加工用工具。
【請求項9】
前記ガイドパッドの前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一である、請求項7に記載の穴加工用工具。
【請求項10】
前記ガイドパッドの前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が異なる、請求項7に記載の穴加工用工具。
【請求項11】
前記ボディには、前記複数のガイドパッドが装着される複数の取り付け座が周方向に間隔をあけて設けられ、
前記複数の取り付け座の底面は平坦面であり、
回転中心軸方向の先端視で、前記取り付け座のそれぞれにおいて、前記取り付け座の底面の中点と前記回転中心軸とを通る線を第1基準線、前記中点を通り前記第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの前記取り付け座の底面は、前記第2基準線に対して傾斜し、かつ、前記第2基準線に対する前記中点周りの傾斜方向が互いに逆とされている、請求項7~10のいずれか一項に記載の穴加工用工具。
【請求項12】
前記取り付け座の底面は、前記回転中心軸に対して、前記ボディの先端へ向かって前記回転中心軸から遠ざかるように傾斜されている、請求項11に記載の穴加工用工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドパッド、ボディ及び穴加工用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1、2に記載されているように、例えばBTA工具やガンドリルのような穴加工用工具のボディの先端部分には、切れ刃に加えてガイドパッドが設けられる。穴の加工中においては、切れ刃に対し偏った方向の力が加えられるが、被削材の穴の内面にガイドパッドが当接し、上記力によるボディの変形等がガイドパッドにより抑制されるので、高精度な穴加工を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-77679号公報
【特許文献2】特開2014-30854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガイドパッドは、穴の内面との摩擦によって摩耗する消耗品であるため、定期的に新たなガイドパッドに交換する必要がある。加工コストを低減するためには、使用後のガイドパッドの向きを変えて再度ボディに取り付けることによって1つのガイドパッドを複数回使えるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、長期間に亘り使用することのできるガイドパッド、ガイドパッドが取り付けられるボディ、及び、ガイドパッドがボディに設けられた穴加工用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るガイドパッドは、穴加工用工具に用いられるガイドパッドであって、穴加工用工具のボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つのガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つのガイド面のうちの1つが穴の内面に当接するように構成されている。
【0007】
上記構成のガイドパッドでは、加工時において被削材の穴の内面に当接する部分である断面視円弧状の2つのガイド面が加工時の回転方向に沿って並列に配置されている。1つのガイド面が摩耗する毎に、別のガイド面が穴の内面に当接するよう、ボディに対してガイドパッドを組付け直すことで、1つのガイドパッドを繰り返し使用することができる。
【0008】
露出面には、円弧の中心位置が異なる2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられていてもよい。
【0009】
円弧の中心位置が異なる2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一であってもよい。また、円弧の中心位置が異なる2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が異なっていてもよい。
【0010】
本発明の一態様に係るボディは、複数のガイドパッドが周方向に間隔をあけて設けられた複数の取り付け座にそれぞれ装着される穴加工用工具のボディであって、複数の取り付け座の底面は平坦面であり、回転中心軸方向の先端視で、取り付け座のそれぞれにおいて、取り付け座の底面の中点と回転中心軸とを通る線を第1基準線、中点を通り第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの取り付け座の底面は、第2基準線に対して傾斜し、かつ、第2基準線に対する中点周りの傾斜方向が互いに逆とされている。
【0011】
取り付け座の底面は、回転中心軸に対して、先端へ向かって回転中心軸から遠ざかるように傾斜されていてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る穴加工用工具は、複数のガイドパッドと、ガイドパッドが装着されるボディと、を備えた穴加工用工具であって、ガイドパッドは、ボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つのガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つのガイド面のうちの1つが穴の内面に当接するように構成されている。
【0013】
ガイドパッドの露出面には、円弧の中心位置が異なる2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられていてもよい。
【0014】
ガイドパッドの円弧の中心位置が異なる2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一であってもよい。また、ガイドパッドの円弧の中心位置が異なる2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が異なっていてもよい。
【0015】
ボディには、複数のガイドパッドが装着される複数の取り付け座が周方向に間隔をあけて設けられ、複数の取り付け座の底面は平坦面であり、回転中心軸方向の先端視で、取り付け座のそれぞれにおいて、取り付け座の底面の中点と回転中心軸とを通る線を第1基準線、中点を通り第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの取り付け座の底面は、第2基準線に対して傾斜し、かつ、第2基準線に対する中点周りの傾斜方向が互いに逆とされていてもよい。
【0016】
取り付け座の底面は、回転中心軸に対して、ボディの先端へ向かって回転中心軸から遠ざかるように傾斜されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、長期間に亘り使用することのできるガイドパッド、ガイドパッドが取り付けられるボディ、及び、ガイドパッドがボディに設けられた穴加工用工具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る穴加工用工具の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る穴加工用工具の正面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る穴加工用工具の先端における側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る穴加工用工具におけるガイドパッドの取り付け箇所の斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るガイドパッドの斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るガイドパッドの平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るガイドパッドの一端側の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るガイドパッドの他端側の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例に係るガイドパッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
本実施形態に係る穴加工用工具10の構成について説明する。穴加工用工具10は、不図示の被削材に対し小径の穴を形成するための切削工具であって、所謂「BTA工具」とも称されるものである。
図1及び
図2に示されるように、穴加工用工具10は、ボディ100と、切削インサート200と、ガイドパッド300と、を備えている。
【0021】
ボディ100は、穴加工用工具10の概ね全体を構成する部材であって、鋼により形成されている。ボディ100は、接続部120を有している。接続部120は、ボディ100の長手方向に沿った一方側の部分であり、不図示の工作機械に取り付けられた際においてドリルチューブに接続される部分である。
【0022】
説明の便宜上、ボディ100のうち接続部120が設けられている方の端部側のことを、以下では「基端側」とも称する。また、基端側とは反対側のことを、以下では「先端側」とも称する。
【0023】
ボディ100は、接続部120から先端側に向かって直線状に伸びるように形成されている。ボディ100は略円柱形状となっており、その先端部分では、側面の一部を切り欠くように凹部111が形成されている。凹部111の内面には、次に述べる切削インサート200が取り付けられている。
【0024】
切削インサート200は、切れ刃210を有する部分であって、超硬合金により形成されている。切削インサート200は、超硬合金以外の材料により形成されていてもよい。切削インサート200はカートリッジの長手方向一端側のインサート座に切削インサート200を貫通する螺子によって着脱可能に取り付けられており、カートリッジが凹部111の内面のうち先端側の端部近傍となる位置に、螺子270によって締結固定されている。切削インサート200の切れ刃210は、ボディ100の先端から、更に先端側に向かって突出している。被削材の加工時においては、ボディ100が回転中心軸AX1の周りに回転する。その回転方向は、
図1及び
図2において矢印AR1で示される方向である。ボディ100が回転すると、切れ刃210が切り込むことによって被削材が切削され、被削材に穴が形成されていく。本実施形態に係る穴加工用工具10は、上記のように切れ刃210を有する切削インサート200とカートリッジが交換可能な別部品となっており、所謂「カートリッジ式」の工具として構成されている。これにより、カートリッジを他の形状と交換すれば、異なる形状の切削インサート200を用いることができる。また、同じ形状のカートリッジでも、カートリッジにおけるインサート座の周辺が損傷したときには、カートリッジだけを交換することができるので、ボディ100の工具寿命を延長することができる。
【0025】
ガイドパッド300は、加工中において被削材の穴の内面に当接することで、ボディ100の振動等を抑制するための部材である。穴加工用工具10を用いた加工によって被削材に形成される穴のことを、以下では「加工穴」とも称する。ガイドパッド300が設けられていることにより、加工穴の真直性や真円度を保ちながら加工を行うことができる。
【0026】
本実施形態のように、切れ刃210が周方向の1か所のみに設けられている場合には、加工中の切れ刃210には偏った方向の力が加えられる。このため、当該力を受け得る位置にガイドパッド300を設けておくことで、加工中におけるボディ100の変形等を抑制し、上記のように加工穴の真直性や真円度を保つことが可能となる。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、ガイドパッド300は、ボディ100のうち先端側の端部近傍となる位置において、ボディ100の外周面に取り付けられている。具体的には、ガイドパッド300は、ボディ100に形成された凹部114A、114Bに対して嵌め込まれた状態で、螺子370によって締結固定されている。
【0028】
本実施形態では、ボディ100に対し計2つのガイドパッド300が設けられており、これらが周方向に沿って並んでいる。尚、ボディ100に取り付けられるガイドパッド300の数は、本実施形態とは異なっていてもよい。
【0029】
ガイドパッド300の具体的な構成について説明する。
図5及び
図6に示されるように、ガイドパッド300は、平面視長方形状に形成されている。このガイドパッド300は、当接面310と、露出面320と、側面340、350と、を備えている。
【0030】
当接面310は、ボディ100の凹部114A、114Bの底面113(
図3及び
図4を参照)に当接する面である。当接面310は平坦面として形成されている。露出面320は、当接面310とは反対側にある面であって、ガイドパッド300がボディ100に取り付けられた際において、外周側に露出した状態となる面である。
【0031】
ガイドパッド300の中央には、露出面320から当接面310まで貫通する貫通穴360が設けられている。貫通穴360は円形の穴である。貫通穴360の中心軸AX2は、当接面310に対して垂直な軸となっている。貫通穴360は、先に述べた螺子370を挿通するための穴である。貫通穴360のうち上方側である露出面320側の部分は、螺子370の頭部を収容するために、他の部分に比べて拡径されている。
【0032】
ガイドパッド300の露出面320は、加工時において穴の内面に当接するガイド部とされている。このガイド部となる露出面320は、ガイドパッド300の長手方向一端側(以下、単に一端側と称する。)に第1ガイド面321及び第3ガイド面323を有し、ガイドパッド300の長手方向他端側(以下、単に他端側と称する。)に第2ガイド面322及び第4ガイド面324を有している。第1ガイド面321及び第3ガイド面323は、穴加工用工具100による被削材への加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、同様に、第2ガイド面322及び第4ガイド面324は、穴加工用工具100による被削材への加工時の回転方向に沿って並列に配置されている。このように、露出面320には、一端側に第1ガイド面321と第3ガイド面323との組を有し、他端側に第2ガイド面322と第4ガイド面324との組を有し、これらの組が、貫通穴360の中心軸AX2を中心とした点対称位置に設けられている。
【0033】
図7及び
図8に示すように、第1ガイド面321、第2ガイド面322、第3ガイド面323及び第4ガイド面324は、それぞれ断面視円弧状に湾曲した面となっている。第1ガイド面321及び第2ガイド面322は、同一の曲率半径Raの円弧面とされており、第3ガイド面323及び第4ガイド面324は、同一の曲率半径Rbの円弧面とされている。第1ガイド面321及び第2ガイド面322の曲率半径Raと第3ガイド面323及び第4ガイド面324の曲率半径Rbとは、同一の曲率半径とされている。また、第1ガイド面321及び第2ガイド面322の円弧の中心位置と第3ガイド面323及び第4ガイド面324の円弧の中心位置とは、異なる位置とされている。なお、「同一」とは、完全に同一な場合だけでなく、例えば、Ra>Rbの場合において、(Ra-Rb)/Ra<0.01のように、曲率半径Ra、Rbの差が極めて僅かであり、実質的に同一といえるような場合も含むものとする。
【0034】
側面340、350は、いずれも、当接面310から露出面320に向かって伸びる面であって、当接面310に対して垂直な面となっている。平面視長方形状のガイドパッド300において、側面340は、短辺側の側面であり、側面350は、長辺側の側面である。
【0035】
第1ガイド面321は、その周囲に、リーディングチャンファ321a、フィードチャンファ321b、トレーリングチャンファ321c及びトレーリングランプ321dを有している。リーディングチャンファ321a及びフィードチャンファ321bは、第1ガイド面321と側面340との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第1ガイド面321及び側面340のいずれに対しても傾斜した面となっている。なお、このような態様に換えて、リーディングチャンファ321a及びフィードチャンファ321bが単一の平坦面となっている態様としてもよい。トレーリングチャンファ321cは、第3ガイド面323側に面取り部分として設けられた平坦面であって、第1ガイド面321に対して傾斜した面となっている。トレーリングランプ321dは、第1ガイド面321と側面350との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第1ガイド面321及び側面350のいずれに対しても傾斜した面となっている。トレーリングチャンファ321cは、第1ガイド面321における回転方向の前方側に配置され、トレーリングランプ321dは、第1ガイド面321における回転方向の後方側に配置される。
【0036】
第2ガイド面322は、その周囲に、リーディングチャンファ322a、フィードチャンファ322b、トレーリングチャンファ322c及びトレーリングランプ322dを有している。リーディングチャンファ322a及びフィードチャンファ322bは、第2ガイド面322と側面340との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第2ガイド面322及び側面340のいずれに対しても傾斜した面となっている。なお、このような態様に換えて、リーディングチャンファ322a及びフィードチャンファ322bが単一の平坦面となっている態様としてもよい。トレーリングチャンファ322cは、第4ガイド面324側に面取り部分として設けられた平坦面であって、第2ガイド面322に対して傾斜した面となっている。トレーリングランプ322dは、第2ガイド面322と側面350との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第2ガイド面322及び側面350のいずれに対しても傾斜した面となっている。トレーリングチャンファ322cは、第2ガイド面322における回転方向の前方側に配置され、トレーリングランプ322dは、第2ガイド面322における回転方向の後方側に配置される。
【0037】
第3ガイド面323は、その周囲に、リーディングチャンファ323a、フィードチャンファ323b、トレーリングチャンファ323c及びトレーリングランプ323dを有している。リーディングチャンファ323a及びフィードチャンファ323bは、第3ガイド面323と側面340との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第3ガイド面323及び側面340のいずれに対しても傾斜した面となっている。なお、このような態様に換えて、リーディングチャンファ323a及びフィードチャンファ323bが単一の平坦面となっている態様としてもよい。トレーリングチャンファ323cは、第3ガイド面323と側面350との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第3ガイド面323及び側面350のいずれに対しても傾斜した面となっている。トレーリングランプ323dは、第1ガイド面321側に面取り部分として設けられた平坦面であって、第3ガイド面323に対して傾斜した面となっている。トレーリングチャンファ323cは、第3ガイド面323における回転方向の前方側に配置され、トレーリングランプ323dは、第3ガイド面321における回転方向の後方側に配置される。
【0038】
第4ガイド面324は、その周囲に、リーディングチャンファ324a、フィードチャンファ324b、トレーリングチャンファ324c及びトレーリングランプ324dを有している。リーディングチャンファ324a及びフィードチャンファ324bは、第4ガイド面324と側面340との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第4ガイド面324及び側面340のいずれに対しても傾斜した面となっている。なお、このような態様に換えて、リーディングチャンファ324a及びフィードチャンファ324bが単一の平坦面となっている態様としてもよい。トレーリングチャンファ324cは、第4ガイド面324と側面350との間の面取り部分として設けられた平坦面であって、第4ガイド面324及び側面350のいずれに対しても傾斜した面となっている。トレーリングランプ324dは、第2ガイド面322側に面取り部分として設けられた平坦面であって、第4ガイド面324に対して傾斜した面となっている。トレーリングチャンファ324cは、第4ガイド面324における回転方向の前方側に配置され、トレーリングランプ324dは、第4ガイド面324における回転方向の後方側に配置される。
【0039】
なお、ガイドパッド300では、第1ガイド面321のトレーリングランプ321dと第4ガイド面324のトレーリングチャンファ324cとが同一面取り部分から構成され、第2ガイド面322のトレーリングランプ322dと第3ガイド面323のトレーリングチャンファ323cとが同一面取り部分から構成されている。
【0040】
図2~
図4に示されるように、ボディ100には、ガイドパッド300を保持する取り付け座となる2つの凹部114A、144Bが周方向に間隔をあけて設けられている。ガイドパッド300は、ボディ100の凹部114A、144Bに嵌め込まれた状態で、貫通穴360に挿通させた螺子370によって締結固定される。
【0041】
凹部114A、114Bは、ボディ100の先端側が開放されており、凹部114A、114Bの底面は、ガイドパッド300が取り付けられる取り付け座の底面113となっている。凹部114A、114Bの底面113は平坦な面となっており、ボディ100の基端側から先端側に行く程、回転中心軸AX1から遠ざかるように傾斜している。
【0042】
凹部114A、114Bは、ガイドパッド300の長辺側の両方の側面350と対向する対向面115と、ガイドパッド300の短辺側の一方の側面340と対向する対向面116とを有している。これらの対向面115、116は、凹部114A,114Bの内壁面の1つである。対向面115は、それぞれが、ガイドパッド300が有する側面350と対向し、対向面116は、ガイドパッド300が有する一方の側面340と対向している。
【0043】
図2に示すように、回転中心軸AX1方向の先端視で、ガイドパッド300の取り付け座である凹部114A、114Bのそれぞれにおいて、凹部114A、114Bの底面113の中点Mと回転中心軸AX1とを通る線を第1基準線L1、中点Mを通り第1基準線L1に垂直な線を第2基準線L2と定義したとき、凹部114A、114Bの底面113は第2基準線L2に対して傾斜しており、かつ、第2基準線L2に対する中点M周りの傾斜方向が互いに逆とされている。つまり、凹部114Aの底面113が、第2基準線L2に対して中点Mを中心に反時計回りに傾斜しているのに対し、凹部114Bの底面113は、第2基準線L2に対し中点Mを中心に時計回りに傾斜している。その結果、それぞれの凹部114A、114Bの底面113は、その延長線のなす角θが鈍角とされている。
【0044】
一方の凹部114Aでは、第1ガイド面321及び第3ガイド面323を有する端部側をボディ100の先端側へ向けて装着したガイドパッド300は、第1ガイド面321の法線とボディ100の法線とが一致され、この第1ガイド面321が第3ガイド面323よりも外周側へ配置される(
図2の状態)。
【0045】
そして、このように凹部114Aに装着されたガイドパッド300は、第1ガイド面321がガイド部とされる。なお、凹部114Aの底面113は、ボディ100の先端側に行く程回転中心軸AX1から遠ざかるように傾斜しているため、凹部114Aに装着されたガイドパッド300は、ボディ100に対して、先端側に行くほど回転中心軸AX1から遠ざかるように傾けられる。したがって、第1ガイド面321は、リーディングチャンファ321aの近傍の部分が実際に「ガイド部」としての機能を発揮することとなる。
【0046】
同様に、一方の凹部114Aでは、第2ガイド面322及び第4ガイド面324を有する端部側をボディ100の先端側へ向けて装着したガイドパッド300は、第2ガイド面322の法線とボディ100の法線とが一致され、この第2ガイド面322が第4ガイド面324よりも外周側へ配置される。
【0047】
そして、このように凹部114Aに装着されたガイドパッド300は、第2ガイド面322がガイド部とされる。なお、凹部114Aの底面113は、ボディ100の先端側に行く程回転中心軸AX1から遠ざかるように傾斜しているため、凹部114Aに装着されたガイドパッド300は、ボディ100に対して、先端側に行くほど回転中心軸AX1から遠ざかるように傾けられる。したがって、第2ガイド面322は、リーディングチャンファ322aの近傍の部分が実際に「ガイド部」としての機能を発揮することとなる。
【0048】
他方の凹部114Bでは、第1ガイド面321及び第3ガイド面323を有する端部側をボディ100の先端側へ向けて装着したガイドパッド300は、第3ガイド面323の法線とボディ100の法線とが一致され、この第3ガイド面323が第1ガイド面321よりも外周側へ配置される(
図2の状態)。
【0049】
そして、このように凹部114Bに装着されたガイドパッド300は、第3ガイド面323がガイド部とされる。なお、凹部114Bの底面113は、ボディ100の先端側に行く程回転中心軸AX1から遠ざかるように傾斜しているため、凹部114Bに装着されたガイドパッド300は、ボディ100に対して、先端側に行くほど回転中心軸AX1から遠ざかるように傾けられる。したがって、第3ガイド面323は、リーディングチャンファ323aの近傍の部分が実際に「ガイド部」としての機能を発揮することとなる。
【0050】
同様に、他方の凹部114Bでは、第2ガイド面322及び第4ガイド面324を有する端部側をボディ100の先端側へ向けて装着したガイドパッド300は、第4ガイド面324の法線とボディ100の法線とが一致され、この第4ガイド面324が第2ガイド面322よりも外周側へ配置される。
【0051】
そして、このように凹部114Bに装着されたガイドパッド300は、第4ガイド面324がガイド部とされる。なお、凹部114Bの底面113は、ボディ100の先端側に行く程回転中心軸AX1から遠ざかるように傾斜しているため、凹部114Bに装着されたガイドパッド300は、ボディ100に対して、先端側に行くほど回転中心軸AX1から遠ざかるように傾けられる。したがって、第4ガイド面324は、リーディングチャンファ324aの近傍の部分が実際に「ガイド部」としての機能を発揮することとなる。
【0052】
このように、凹部114A、114Bを備えたボディ100では、凹部114Aにおいて、ガイドパッド300の第1ガイド面321及び第2ガイド面322をガイド部として用いることができ、凹部114Bにおいて、ガイドパッド300の第3ガイド面323及び第4ガイド面324をガイド部として用いることができる。
【0053】
上記のとおり、ガイドパッド300が装着されるボディ100の凹部114A、114Bの底面113が、回転中心軸AX1方向の先端視で、第2基準線L2に対して傾斜し、かつ、第2基準線L2に対する中点M周りの傾斜方向が互いに逆方向へ傾斜する傾斜面とされ、これら凹部114A、114Bの底面113に当接面310が当接されるガイドパッド300が、凹部114A、114Bのそれぞれの第2基準線L2に対して互いに逆方向に傾けられて保持されており、これらの凹部114A、114Bにガイドパッド300を取り付けることにより、第1ガイド面321及び第3ガイド面323のいずれか、または、第2ガイド面322及び第4ガイド面324のいずれかをガイド部として使用可能に配置させることができる。
【0054】
つまり、加工時において被削材の穴の内面に当接するガイドパッド300の一端側に、円弧の中心位置が異なる断面視円弧状の第1ガイド面321及び第3ガイド面323が加工時の回転方向に沿って並列に配置されているので、それぞれ摩耗する毎に、第1ガイド面321及び第3ガイド面323が穴の内面に当接するよう、ボディ100に対してガイドパッド300を組付け直すことで、1つのガイドパッド300を繰り返し使用することができる。
【0055】
また、ガイドパッド300の露出面320には、円弧の中心位置が異なる第1ガイド面321及び第3ガイド面323の組と、第2ガイド面322及び第4ガイド面324の組が点対称位置に2組設けられているので、ガイドパッド320を、中心軸AX2を中心に反転させてボディ100に組付け直すことで、1つのガイドパッド300をさらに繰り返し使用することができる。
以上のとおり、ガイドパッド300の向きを変えて再度ボディ100に取り付けることを複数回繰り返すことによって、1つのガイドパッド300を4回使用することができるので、ガイドパッド300を長期間に亘り使用することができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、ガイドパッド300の各ガイド面321、322、323、324に、トレーリングチャンファ321c、322c、323c、324c及びトレーリングランプ321d、322d、323d、324dを設けたが、
図9に示すように、ガイドパッド300は、トレーリングチャンファ321c、322c、323c、324c及びトレーリングランプ321d、322d、323d、324dを備えなくてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、第1ガイド面321及び第3ガイド面323を互いに円弧の曲率半径が異なるように構成し、かつ、第2ガイド面322及び第4ガイド面324も、互いに円弧の曲率半径が異なるように構成してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ガイドパッド300の片面(露出面320)にのみ4つのガイド面321、322、323、324が設けられているが、ガイドパッド300の両面のそれぞれに、4つのガイド面321、322、323、324が設けられている構成としてもよい。この場合、2つある露出面320のうちいずれか一方が外周側に向くこととなるが、その反対側の露出面320は、凹部114A、114Bの底面113に当接し「当接面310」として機能することになる。
【0059】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 穴加工用工具
100 ボディ
113 凹部(取り付け座)の底面
114A 凹部(取り付け座)
114B 凹部(取り付け座)
300 ガイドパッド
310 当接面
320 露出面
321 第1ガイド面(ガイド面)
322 第2ガイド面(ガイド面)
323 第3ガイド面(ガイド面)
324 第4ガイド面(ガイド面)
AX1 回転中心軸
L1 第1基準線
L2 第2基準線
M 中点
Ra,Rb 曲率半径
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴加工用工具に用いられるガイドパッドであって、
前記穴加工用工具のボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、前記当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、
前記露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つの前記ガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つの前記ガイド面のうちの1つが前記穴の内面に当接するように構成され、
前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一である、ガイドパッド。
【請求項2】
前記露出面には、円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられている、請求項1に記載のガイドパッド。
【請求項3】
複数のガイドパッドが周方向に間隔をあけて設けられた複数の取り付け座にそれぞれ装着される穴加工用工具のボディであって、
前記複数の取り付け座の底面は平坦面であり、
回転中心軸方向の先端視で、前記取り付け座のそれぞれにおいて、前記取り付け座の底面の中点と前記回転中心軸とを通る線を第1基準線、前記中点を通り前記第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの前記取り付け座の底面は、前記第2基準線に対して傾斜し、かつ、前記第2基準線に対する前記中点周りの傾斜方向が互いに逆とされ、
前記取り付け座の底面は、前記回転中心軸に対して、先端へ向かって前記回転中心軸から遠ざかるように傾斜されている、ボディ。
【請求項4】
複数のガイドパッドと、前記ガイドパッドが装着されるボディと、を備えた穴加工用工具であって、
前記ガイドパッドは、
前記ボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、
前記当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、
前記露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つの前記ガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つの前記ガイド面のうちの1つが前記穴の内面に当接するように構成され、
前記ガイドパッドの前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一である、穴加工用工具。
【請求項5】
前記ガイドパッドの前記露出面には、円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられている、請求項4に記載の穴加工用工具。
【請求項6】
前記ボディには、前記複数のガイドパッドが装着される複数の取り付け座が周方向に間隔をあけて設けられ、
前記複数の取り付け座の底面は平坦面であり、
回転中心軸方向の先端視で、前記取り付け座のそれぞれにおいて、前記取り付け座の底面の中点と前記回転中心軸とを通る線を第1基準線、前記中点を通り前記第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの前記取り付け座の底面は、前記第2基準線に対して傾斜し、かつ、前記第2基準線に対する前記中点周りの傾斜方向が互いに逆とされている、請求項4または5に記載の穴加工用工具。
【請求項7】
前記取り付け座の底面は、前記回転中心軸に対して、前記ボディの先端へ向かって前記回転中心軸から遠ざかるように傾斜されている、請求項6に記載の穴加工用工具。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴加工用工具に用いられるガイドパッドであって、
前記穴加工用工具のボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、前記当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、
前記露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つの前記ガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つの前記ガイド面のうちの1つが前記穴の内面に当接するように構成され、
前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一である、ガイドパッド。
【請求項2】
前記露出面には、円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられている、請求項1に記載のガイドパッド。
【請求項3】
複数のガイドパッドが周方向に間隔をあけて設けられた複数の取り付け座にそれぞれ装着される穴加工用工具のボディであって、
前記複数の取り付け座の底面は平坦面であり、
回転中心軸方向の先端視で、前記取り付け座のそれぞれにおいて、前記取り付け座の底面の中点と前記回転中心軸とを通る線を第1基準線、前記中点を通り前記第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの前記取り付け座の底面は、前記第2基準線に対して傾斜し、かつ、前記第2基準線に対する前記中点周りの傾斜方向が互いに逆とされ、前記少なくとも2つの取り付け座のうち互いに隣合う取り付け座の一方の底面の延長線と他方の底面の延長線とのなす角θが鈍角とされ、
前記取り付け座の底面は、前記回転中心軸に対して、先端へ向かって前記回転中心軸から遠ざかるように傾斜されている、ボディ。
【請求項4】
複数のガイドパッドと、前記ガイドパッドが装着されるボディと、を備えた穴加工用工具であって、
前記ガイドパッドは、
前記ボディの取り付け座の底面に当接する当接面と、
前記当接面とは反対側にある露出面に設けられ、加工時において穴の内面に当接するガイド部と、を備え、
前記露出面には、断面視円弧状に形成され、それぞれの円弧の中心位置が異なる2つの前記ガイド面が、加工時の回転方向に沿って並列に配置されており、加工時においては、2つの前記ガイド面のうちの1つが前記穴の内面に当接するように構成され、
前記ガイドパッドの前記円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面は、互いに円弧の曲率半径が同一である、穴加工用工具。
【請求項5】
前記ガイドパッドの前記露出面には、円弧の中心位置が異なる前記2つのガイド面の組が点対称位置に2組設けられている、請求項4に記載の穴加工用工具。
【請求項6】
前記ボディには、前記複数のガイドパッドが装着される複数の取り付け座が周方向に間隔をあけて設けられ、
前記複数の取り付け座の底面は平坦面であり、
回転中心軸方向の先端視で、前記取り付け座のそれぞれにおいて、前記取り付け座の底面の中点と前記回転中心軸とを通る線を第1基準線、前記中点を通り前記第1基準線に垂直な線を第2基準線と定義したとき、少なくとも2つの前記取り付け座の底面は、前記第2基準線に対して傾斜し、かつ、前記第2基準線に対する前記中点周りの傾斜方向が互いに逆とされている、請求項4または5に記載の穴加工用工具。
【請求項7】
前記取り付け座の底面は、前記回転中心軸に対して、前記ボディの先端へ向かって前記回転中心軸から遠ざかるように傾斜されている、請求項6に記載の穴加工用工具。