(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157774
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コット型カート
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20241031BHJP
B62B 7/00 20060101ALI20241031BHJP
A01K 1/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B62B7/00 Z
A01K1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072331
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】平野 雅大
(72)【発明者】
【氏名】仲田 良
【テーマコード(参考)】
2B101
3D050
3D051
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101GA03
3D050AA11
3D050BB03
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE14
3D050FF01
3D050GG02
3D050HH01
3D051AA03
3D051AA11
3D051BA03
3D051BB37
3D051BB38
3D051CA02
3D051CG04
(57)【要約】
【課題】コンパクトな収納形態を実現しつつ、複雑なリンク機構を排除した安全性の高いコット型カートを提供する。
【解決手段】使用形態と収納形態との変形を可能とするメインフレーム12と、メインフレーム12に付帯されたコット22とを有するコット型カート10であって、コット22は、底板22aと可撓性部材22bと有し、可撓性部材22bの上端を支持され、底板22aを下方に引き下げる張力が付与されることで形状維持を図る構成とし、可撓性部材22bの上端を支持するサブフレーム24と、メインフレーム12の一部と、底板22aとの間に配置され、使用形態においては張力を付与し、収納形態においては張力を開放することで可撓性部材22bを折り畳む事を可能とする可撓性リンク26と、を有する事を特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用形態と収納形態との変形を可能とするメインフレームと、前記メインフレームに付帯されたコットとを有するコット型カートであって、
前記コットは、底板と、前記底板の外周に沿って立設された可撓性部材と有し、前記可撓性部材の上端を支持され、前記底板を下方に引き下げる張力が付与されることで形状維持を図る構成とし、
前記可撓性部材の上端を支持するサブフレームと、
前記メインフレームの一部と、前記底板との間に配置され、前記使用形態においては前記張力を付与し、前記収納形態においては前記張力を開放することで前記可撓性部材を折り畳む事を可能とする可撓性リンクと、
を有する事を特徴とするコット型カート。
【請求項2】
前記メインフレームは、
前記使用形態において少なくとも一部が、前記コットの上方に配置されるハンドルフレームと、
前記使用形態において前記ハンドルフレームの下方に配置され、前輪を備える前輪フレームと、
前記使用形態において前記ハンドルフレームの下方であって、前記前輪フレームの後方に配置され、後輪を備える後輪フレームと、
前記ハンドルフレームと前記前輪フレーム、及び前記後輪フレームの回動基点となる連結部と、を有し、
前記使用形態から前記収納形態に変形する際には、前記ハンドルフレームと前記前輪フレームが、それぞれ前記後輪フレームに近接する方向へ回動する構成とし、
前記可撓性リンクにおける前記メインフレーム側の端部は、前記後輪フレームに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のコット型カート。
【請求項3】
前記サブフレームは、
前記ハンドルフレームに沿って配置されると共に、前記底板の後方側に位置する前記可撓性部材の上端を支持する第1サブフレームと、
前記連結部を基点として立設されて、前記底板の前方側に位置する前記可撓性部材の上端を支持する第2サブフレームと、を有し、
前記使用形態から前記収納形態に変形する際には、前記第1サブフレームは、前記ハンドルフレームと共に回動し、前記第2サブフレームは、前記連結部を回動基点として、前記第1サブフレームに近接する方向へ回動する構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコット型カート。
【請求項4】
前記可撓性リンクは、
一端を前記底板の後方側に接続すると共に他端を前記後輪フレームに接続する第1可撓性リンクと、
一端を前記底板の前方側に接続すると共に他端を前記後輪フレームに接続する第2可撓性リンクと、を有することを特徴とする請求項2または3に記載のコット型カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コット型カートに係り、特に、使用形態と収納形態との変形を可能とするフレームを有するコット型カートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばペットなどを載せることができるコット型のカートにおいて、フレーム、及びコットを折り畳む事ができるものとしては、特許文献1に開示されているようなものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているコット型カートでは、布などの可撓性部材で構成されたコット(容器)を折り畳み可能なフレームに付帯させ、フレームの変形に倣ってコットの形状も変形させるように構成されている。このため、カートのメインフレームに対して、コットの形状維持と折り畳みを実現させるための複雑なリンク機構を付帯させている。
【0004】
このため、製造コストが高騰すると共に重量も増してしまうといった問題がある。さらに、複雑なリンク機構は、メインフレームの近傍で回動や屈曲動作を成す部材が存在するため、手指の挟み込みなどを生じさせる恐れもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、上記問題を解決し、コンパクトな収納形態を実現しつつ、複雑なリンク機構を排除した安全性の高いコット型カートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係るコット型カートは、使用形態と収納形態との変形を可能とするメインフレームと、前記メインフレームに付帯されたコットとを有するコット型カートであって、前記コットは、底板と、前記底板の外周に沿って立設された可撓性部材と有し、前記可撓性部材の上端を支持され、前記底板を下方に引き下げる張力が付与されることで形状維持を図る構成とし、前記可撓性部材の上端を支持するサブフレームと、前記メインフレームの一部と、前記底板との間に配置され、前記使用形態においては前記張力を付与し、前記収納形態においては前記張力を開放することで前記可撓性部材を折り畳む事を可能とする可撓性リンクと、を有する事を特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有するコット型カートにおいて前記メインフレームは、前記使用形態において少なくとも一部が、前記コットの上方に配置されるハンドルフレームと、前記使用形態において前記ハンドルフレームの下方に配置され、前輪を備える前輪フレームと、前記使用形態において前記ハンドルフレームの下方であって、前記前輪フレームの後方に配置され、後輪を備える後輪フレームと、前記ハンドルフレームと前記前輪フレーム、及び前記後輪フレームの回動基点となる連結部と、を有し、前記使用形態から前記収納形態に変形する際には、前記ハンドルフレームと前記前輪フレームが、それぞれ前記後輪フレームに近接する方向へ回動する構成とし、前記可撓性リンクにおける前記メインフレーム側の端部は、前記後輪フレームに接続されているようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、連結部を基点としてハンドルフレームと前輪フレームを回動させるだけで、コットを折り畳んだ収納形態に変形させることができる。
【0009】
また、上記のような特徴を有するコット型カートにおける前記サブフレームは、前記ハンドルフレームに沿って配置されると共に、前記底板の後方側に位置する前記可撓性部材の上端を支持する第1サブフレームと、前記連結部を基点として立設されて、前記底板の前方側に位置する前記可撓性部材の上端を支持する第2サブフレームと、を有し、前記使用形態から前記収納形態に変形する際には、前記第1サブフレームは、前記ハンドルフレームと共に回動し、前記第2サブフレームは、前記連結部を回動基点として、前記第1サブフレームに近接する方向へ回動する構成とすると良い。このような特徴を有する事によれば、ハンドルフレームを回動させることで第1サブフレームも回動させることができ、コットを構成する可撓性部材に付与された張力を開放することが可能となる。また、第2サブフレームを第1サブフレームに近接させる方向に回動させることを可能とすることで、コットの収納形態をよりコンパクトなものとすることが可能となる。
【0010】
さらに、上記のような特徴を有するコット型カートにおける前記可撓性リンクは、一端を前記底板の後方側に接続すると共に他端を前記後輪フレームに接続する第1可撓性リンクと、一端を前記底板の前方側に接続すると共に他端を前記後輪フレームに接続する第2可撓性リンクと、を有するものとすると良い。このような特徴を有する事によれば、使用形態においてはコットの前後に張力を負荷することが可能となる。よって、使用形態におけるコットの形態維持を安定させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
上記のような特徴を有するコット型カートによれば、コンパクトな収納形態を実現しつつ、複雑なリンク機構を排除した安全性の高いコット型カートを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るコット型カートの構成を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るコット型カートの構成を示す側面図である。
【
図3】実施形態に係るコット型カートにおけるメインフレームの構成を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係るコット型カートにおけるメインフレームの構成を示す側面図である。
【
図5】実施形態に係るコット型カートにおけるコットとサブフレーム、並びに可撓性リンクの構成を示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係るコット型カートにおけるコットとサブフレーム、並びに可撓性リンクの構成を示す側面図である。
【
図7】実施形態に係るコット型カートを使用形態から収納形態へ変形させる様子を示す図である。
【
図8】第2サブフレームの回動基点を前輪フレーム上とする場合の例を示す部分拡大図である。
【
図9】第2サブフレームの回動基点をハンドルフレーム上とする場合の例を示す部分拡大図である。
【
図10】2本の可撓性リンクを八の字状に配置する場合の例を示す図である。
【
図11】1本の可撓性リンクを直線上に配置する場合の例を示す図である。
【
図12】可撓性リンクの幅を広げる場合の例を示す図である。
【
図13】第1可撓性リンクの他端と第2可撓性リンクの他端を共に、後輪フレームを構成する単一の梁に接続する場合の例を示す側面図である。
【
図14】メインフレームを折り畳むための連結部を2つとした場合の例を示す図である。
【
図15】メインフレームに対してサポートフレームを配置した場合の例を示す図である。
【
図16】3つ折り型のメインフレームを採用する場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のコット型カートに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上で好適な形態の一部であり、その構成の一部に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0014】
[構成]
まず、
図1から
図6を参照して、本実施形態に係るコット型カートの構成について説明する。なお、図面において
図1は、実施形態に係るコット型カートの構成を示す斜視図であり、
図2は同側面図である。また、
図3は実施形態に係るコット型カートにおけるメインフレームの構成を示す斜視図であり、
図4は、同側面図である。さらに、
図5は実施形態に係るコット型カートにおけるコットとサブフレーム、並びに可撓性リンクの構成を示す斜視図であり、
図6は、同側面図である。
【0015】
本実施形態に係るコット型カート10は、メインフレーム12と、コット22、サブフレーム24、及び可撓性リンク26を基本として構成されている。メインフレーム12は、カート本体を構成する基礎となるフレームであり、ハンドルフレーム14と、前輪フレーム16、後輪フレーム18、及び連結部20を有する。ハンドルフレーム14は、コット型カート10を操作するための要素であり、詳細を後述する連結部20を基点として、コット22の上方であって、メインフレーム12の後方へ向けて延設されるフレームである。本実施形態に係るハンドルフレーム14には、ジョイント部14aが設けられている。具体的には、ハンドルフレーム14の延設部分14bと持ち手部分14cとが別部材により構成されている。そして、持ち手部14cは、ジョイント部14aを基点として回動し、折り畳む事が可能となるように構成されている。このような構成とすることで、使用形態におけるハンドルフレーム14を長くした場合であっても、収納形態をコンパクトなものとすることができる。
【0016】
前輪フレーム16は、コット型カート10の前輪16aを支持する要素であり、使用形態においては、上述したハンドルフレーム14の下方に配置されることとなる。また、本実施形態に係るコット型カート10では、ハンドルフレーム14の延設部分14bの延長線上に配置されることとなる。なお、本実施形態に係るコット型カート10では、前輪フレーム16をU字型に形成し、その中央に1つ車輪(前輪16a)を備える構成としている。
【0017】
後輪フレーム18は、コット型カート10の後輪18aを支持する要素であり、使用形態においては、上述したハンドルフレーム14の下方であって、前輪フレーム16の後方に配置されることとなる。また、本実施形態に係るコット型カート10では、後輪フレーム18は、ハンドルフレーム14の延設部分14bに沿う直線(不図示)に対してほぼ垂直に交わるようにして配置している。なお、本実施形態に係るコット型カート10における後輪フレーム18は、2個一対で構成されており、2つの後輪フレーム18の間には、2つの補強梁(第1補強梁18bと第2補強梁18c)が設けられている。
【0018】
連結部20は、上述したハンドルフレーム14と、前輪フレーム16、及び後輪フレーム18を接続する役割を担う部位であり、ハンドルフレーム14と、前輪フレーム16、及び後輪フレーム18は、それぞれ連結部20を基点として回動可能に接続されている。本実施形態に係るコット型カート10における連結部20は、使用形態では
図2に示すように、ハンドルフレーム14と前輪フレーム16が直線上に位置するように配置され、後輪フレーム18がこの直線に交わるように配置されることとなるように、各フレームの回転位置を定めている。また、収納形態では
図7に示すように、ハンドルフレーム14と前輪フレーム16とが互いに、後輪フレーム18に近接する方向へ回動することが可能となるように構成されている。
【0019】
コット22は、積載物を搭載するための容器となる要素であり、少なくとも底板22aと、底板22aの外周に沿って立設された可撓性部材22bとを有する。底板22aは、樹脂や木材など、軽量かつ強度の高い素材により構成され、容易に曲がる事の無い剛性を生じさせる厚みを持つ平板とすれば良い。底板22aをこのような構成とすることで、コット型カート10を使用形態、あるいは収納形態に変形させるにあたり、底板22aをリンク機構の一部として利用することが可能となる。
【0020】
可撓性部材22bは、コット22の側壁を構成する要素であり、布やターポリン、メッシュ素材など、縫製や溶着形成が容易な生地であれば良い。本実施形態に係るコット22では、底板22aの前方側に位置する可撓性部材22bの上端は平坦状に構成すると共に、底板22aの後方側に位置する可撓性部材22bの上端には、底板22aの後端に向かって立ち上がる傾斜を持たせるようにしている。なお、本実施形態では、底板22aを可撓性部材22bと同様な生地により覆うように構成しているため、図面上に具体的な形態を示していない。
【0021】
サブフレーム24は、メインフレーム12に付帯され、コット22を構成する可撓性部材22bの上端を支持する役割を担う要素である。本実施形態に係るコット型カート10にはサブフレーム24として、第1サブフレーム24aと、第2サブフレーム24bが備えられている。第1サブフレーム24aは、コット22を構成する底板22aの後方側に位置する可撓性部材22bの上端を支持する役割を担う。本実施形態に係るコット型カート10では、第1サブフレーム24aをハンドルフレーム14に沿うように配置し、ハンドルフレーム14と共に回動するように配置している。また、第2サブフレーム24bは、コット22を構成する底板22aの前方側に位置する可撓性部材22bの上端を支持する役割を担う。本実施形態に係るコット型カート10では、第2サブフレーム24bを連結部20を基点に回動可能に立設している。また、使用形態から収納形態へ変形させる際には、第2サブフレーム24bは、第1サブフレーム24aに近接する方向に回動する構成とされている。
【0022】
可撓性リンク26は、コット型カート10を使用形態とした際に、コット22の底部、すなわち底板22a(実際には、底板22aを覆う生地であっても良い)を下方に引っ張る張力を生じさせる役割を担う要素である。本実施形態では、可撓性リンク26として、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bとを備える。第1可撓性リンク26aは、一端を底板22aの後方側に接続すると共に、他端を対を成す後輪フレーム18のそれぞれに接続する構成としている(
図10参照)。このため本実施形態では、後輪フレーム18にFix18dを設け、このFix18dに第1可撓性リンク26aを接続する構成としている。
【0023】
また、第2可撓性リンク26bは、一端を底板22aの前方側に接続すると共に、他端を後輪フレーム18の第2補強梁18cに接続する構成としている。そして、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bはそれぞれ、メインフレーム12を使用形態とした際に、コット22が積載形態(容器としての形態)となるように、底板22aに張力を付与することが可能な長さに調整されている。なお、本実施形態に係る可撓性リンク26は、生地や革などにより構成される帯状部材であれば良い。
【0024】
[作用]
上記のような構成のコット型カート10は、使用形態と収納形態とに変形させることができる。以下、
図7を参照し、
図7(A)に示す使用形態から、
図7(F)に示す収納形態への変形の段階について説明する。
【0025】
まず、
図7(A)に示す使用形態から、
図7(B)に示すように、ハンドルフレーム14のジョイント部14aを稼働させて持ち手部分14cを延設部分14b側に折り畳む。こうすることで、ハンドルフレーム14が長い場合であっても、メインフレーム12を折り畳んだ際に持ち手部分14cが地面に擦れてしまう事を防ぐことができる。
【0026】
次に、
図7(C)に示すように、連結部20を基点としてハンドルフレーム14自体を後輪フレーム18側に回動させる。この時、第1サブフレーム24a(
図1参照)と第2サブフレーム24bもハンドルフレーム14と共に回動させることで、コット22も後輪フレーム18側に回動する。このような動作に起因して、第1サブフレーム24a、第2サブフレーム24bと、コット22を構成する底板22aとの距離が変化するため、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bによって可撓性部材22bに付与されていた張力が開放され、可撓性部材22bを撓ませることが可能となる。
【0027】
ハンドルフレーム14を回動させると共に、
図7(D)と
図7(E)に示すように、前輪フレーム16を後輪フレーム18に近付けるように回動させる。また、第2サブフレーム24bは、ハンドルフレーム14の回動量よりも大きく回動させ、ハンドルフレーム14に近接させるようにする。この時、前輪フレーム16と第2サブフレーム24bの回動基点は連結部20である。ここで、予め長さを定められている第1可撓性リンク26aがコット22を構成する底板22aの落ち込みを制限し、底板22aが地面に接触する事を防ぐこととなる。
【0028】
そして、
図7(F)に示すように、ハンドルフレーム14と前輪フレーム16を後輪フレーム18に近接させた状態とすることで、収納形態への変形が完了する。この収納形態では、使用形態のコット型カート10に比べて、前後方向長さ、及び高さを縮める事が可能となり、持ち運び、及び収納時の小型化を実現し、利便性の向上を図ることができる。
【0029】
[効果]
このように変形可能とする上記構成のコット型カート10によれば、コンパクトな収納形態を実現しつつ、複雑なリンク機構を排除することが可能となる。また、リンク機構として作用する部材を可撓性部材(第1可撓性リンク26a、第2可撓性リンク26b)により構成しているため、手指の挟み込みによる怪我を防ぐことができる。よって、安全性の高いコット型カート10とすることができる。
【0030】
[変形例]
上記実施形態では、第2サブフレーム24bについて、連結部20に設けられ、この連結部20を回動基点とするように記載している。しかしながら第2サブフレーム24bは、必ずしも連結部20に設けられる必要は無い。すなわち、
図8に示すように、前輪フレーム16上、あるいは前輪フレーム16に沿った位置に回動基点を備えるようにしても良いし、
図9に示すように、ハンドルフレーム14上、あるいはハンドルフレーム14に沿った位置に回動基点を備えるようにしても良い。このような構成とした場合であっても、コット22を構成する可撓性部材22bの上端を支持するという役割を果たすことができるからである。
【0031】
また、上記実施形態では、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bは、単にコット22を構成する底板22aと後輪フレーム18との間に配置される旨記載し、その詳細な取付位置については限定していない。これは、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bの取付位置や取付形態、及び素材等が多岐に亙るためである。つまり、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bは、その機能(コット22に対する張力付与や、収納形態時における底板22aの落ち込み防止など)を発揮することができれば、その取付位置や取付形態、及び素材を問うものではない。例えば、
図10に示すように、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bをそれぞれ2本のベルトで構成し、それぞれ八の字状に配置する構成としても良い。また、
図10に示す形態では、第1可撓性リンク26aの一端を後輪フレーム18に直接接続する構成としている。
【0032】
また、上記実施形態では、第1可撓性リンク26aは
図10に示すように、その一端を後輪フレーム18(具体的にはFix18d)に直接接続する旨記載した。しかしながら、第1可撓性リンク26aを第1補強梁18bに接続するようにしても良い。このような構成とすることによれば
図11に示すように、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bとをそれぞれ1本のベルトで構成し、直線上に配置する構成とすることもできる。さらに、ベルトの幅に関しても限定は無く、例えば
図12に示すように、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bの双方に幅の広いベルトを採用しても良い。幅の広いベルトを採用した場合には、使用形態時に付与される張力が均等化されるため、使用形態時におけるコット22の安定性を高めることができると考えられる。なお、ベルトの幅や厚みは、ベルトの構成素材の強度等に応じて定めるようにすれば良い。
【0033】
また、上記実施形態では、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bの他端は、それぞれ後輪フレーム18に対して個別に接続されているように説明した。しかしながら、第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bの他端については
図13に示すように、両者を同じ位置、あるいは近似する位置に接続するようにしても良い。
図13では、図示しない共通の梁(例えば第2補強梁18c、または第1補強梁18bのいずれか一方)に対して第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26bの他端の双方を接続続した様子を示している。
【0034】
また、上記実施形態では、ハンドルフレーム14と前輪フレーム16、及び後輪フレーム18は、単一の連結部20を基点として回動する構成としている。しかしながら、メインフレーム12の折り畳みに起因して可撓性リンク26(第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26b)に作用する張力に変化が生じ、コット22に形状変化を生じさせ、かつ収納形態においてはコット22を構成する底板22aが後輪フレーム18に沿うように回動する構成であれば、各フレームの基点となる連結部20を1つとする必要は無い。具体的には
図14(A)に使用形態、
図14(B)に収納形態を示すように、後輪フレーム18の基点となる第2連結部20aをハンドルフレーム14上に設けるようにしても良い。また、このような構成のメインフレーム12とする場合において、コット22の折り畳みに寄与しない範囲で補強のためのサポートフレーム28を設けるようにしても良い。コット22の折り畳みに寄与するリンクは、可撓性リンク26である事に変わりは無いからである。
【0035】
よって、上記実施形態に係るコット型カート10においても
図15(A)、(B)に示すように、サポートフレーム28を設ける構成としても良い。なお、
図15(A)に示す形態は、コット型カート10の使用形態であり、
図15(B)に示す形態は、コット型カート10の収納形態である。
図15に示す形態では、ハンドルフレーム14と後輪フレーム18との間に第1サポートフレーム28aを配置し、前輪フレーム16と後輪フレーム18との間に第2サポートフレーム28bを配置する構成としている。
【0036】
また、上述したように、メインフレーム12の折り畳みに起因して可撓性リンク26(第1可撓性リンク26aと第2可撓性リンク26b)に作用する張力に変化が生じ、コット22に形状変化を生じさせ、かつ収納形態においてはコット22を構成する底板22aが後輪フレーム18に沿うように回動する構成であれば、必ずしもハンドルフレーム14と前輪フレーム16、及び後輪フレーム18の全てが回動するものでなくとも良い。すなわち、
図16(A)に使用形態、
図16(B)に収納形態を示すように、ハンドルフレーム14を平行リンク式に折り畳む、いわゆる3つ折り型のメインフレーム12を有するコット型カート10であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
10………コット型カート、12………メインフレーム、14………ハンドルフレーム、14a………ジョイント部、14b………延設部分、14c………持ち手部分、16………前輪フレーム、16a………前輪、18………後輪フレーム、18a………後輪、18b………第1補強梁、18c………第2補強梁、18d………Fix、20………連結部、20a………第2連結部、22………コット、22a………底板、22b………可撓性部材、24………サブフレーム、24a………第1サブフレーム、24b………第2サブフレーム、26………可撓性リンク、26a………第1可撓性リンク、26b………第2可撓性リンク、28………サポートフレーム、28a………第1サポートフレーム、28b………第2サポートフレーム。