IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

<>
  • 特開-情報コード読取装置 図1
  • 特開-情報コード読取装置 図2
  • 特開-情報コード読取装置 図3
  • 特開-情報コード読取装置 図4
  • 特開-情報コード読取装置 図5
  • 特開-情報コード読取装置 図6
  • 特開-情報コード読取装置 図7
  • 特開-情報コード読取装置 図8
  • 特開-情報コード読取装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157775
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】情報コード読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/88 20130101AFI20241031BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20241031BHJP
   G08B 13/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G06F21/88
G06K7/10 412
G08B13/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072334
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】寺内 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 聖
(72)【発明者】
【氏名】神戸 和美
(72)【発明者】
【氏名】矢野 光一
(72)【発明者】
【氏名】三和 剛
【テーマコード(参考)】
5C084
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084CC31
5C084DD01
5C084HH01
5C084HH07
(57)【要約】
【課題】不正持ち出しを抑制し、不正持ち出しされたとしてもその不正持ち出しを報知可能な構成を提供する。
【解決手段】読取処理用の蓄電手段を備えず、ケーブル50を介して外部電源70から供給される電力を利用して行った読取処理の読取結果が、無線通信部として機能する通信インタフェース25を介してホストコンピュータ60に対して無線送信される。そして、ケーブル50を介した電力供給が遮断される電力供給遮断状態になると制御部21により制御された報知部24により所定の報知が行われる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取るための読取処理を行う読取部と、
前記読取部による読取結果を所定の外部機器に対して無線送信可能な無線通信部と、
を備える情報コード読取装置であって、
前記読取部は、ケーブルを介して外部電源から供給される電力を利用して前記読取処理を行い、
前記読取処理用の蓄電手段を備えず、
前記ケーブルを介した電力供給が遮断される電力供給遮断状態になると所定の報知を行う報知部を備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記電力供給遮断状態であるか否かについて判定する判定部と、
前記所定の報知に必要な電力が蓄電される報知用蓄電部と、
を備え、
前記報知部は、前記判定部により前記電力供給遮断状態であると判定されると、前記報知用蓄電部から供給される電力を利用して前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項3】
前記ケーブルには、電力供給用の電力線に加えて前記外部電源との接続状態を検知するための信号が伝達される信号線が含まれ、
前記判定部は、前記信号線を介した信号が伝達されなくなると、前記電力供給遮断状態であると判定することを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取装置。
【請求項4】
暗号化された情報コードを前記読取部にて読み取るための復号鍵が記憶される記憶部を備え、
前記電力供給遮断状態になると前記記憶部に記憶されていた前記復号鍵が消去されることを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項5】
前記判定部により前記電力供給遮断状態であると判定される際に、当該情報コード読取装置の前記所定の報知を除く所定の機能を制限するための制御を行う機能制御部を備えることを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取装置。
【請求項6】
前記判定部により前記電力供給遮断状態であると判定される際に、前記機能制御部により機能制限情報が記憶される記憶部を備え、
前記機能制御部は、電源投入時に前記記憶部に前記機能制限情報が記憶されていると、前記所定の機能を制限するための制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の情報コード読取装置。
【請求項7】
前記所定の機能は、前記電力供給遮断状態になる直前まで前記読取結果が無線送信されていた前記所定の外部機器と異なる他の外部機器との間での前記無線通信部による無線通信機能であることを特徴とする請求項5に記載の情報コード読取装置。
【請求項8】
前記所定の機能は、情報コードに対して照明光を照射する照射機能、発光部を発光させる発光機能及び報音機能の少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の情報コード読取装置。
【請求項9】
前記機能制限部は、制限解除指示に応じて前記所定の機能の制限を解除することを特徴とする請求項5に記載の情報コード読取装置。
【請求項10】
前記制限解除指示は、当該制限解除指示を示す情報が記録された情報コードの読み取りであることを特徴とする請求項9に記載の情報コード読取装置。
【請求項11】
前記読取部により前記読取処理を開始する際に操作される操作部を備え、
前記制限解除指示は、前記操作部に対する所定の操作であることを特徴とする請求項9に記載の情報コード読取装置。
【請求項12】
前記機能制限部は、前記所定の外部機器から無線通信にて指示される制限解除指示に応じて前記所定の機能の制限を解除することを特徴とする請求項7に記載の情報コード読取装置。
【請求項13】
前記報知部は、報知停止指示に応じて前記所定の報知を停止することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項14】
前記報知停止指示は、当該報知停止指示を示す情報が記録された情報コードの読み取りであることを特徴とする請求項13に記載の情報コード読取装置。
【請求項15】
前記報知部は、前記判定部により前記電力供給遮断状態であると判定された直後となる第1のタイミングと前記第1のタイミングから所定時間経過した第2のタイミングとのいずれかのタイミングで、前記報知用蓄電部から供給される電力を利用して前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取装置。
【請求項16】
前記報知部は、報知タイミング延長指示が指示されていない場合に、前記第1のタイミングで、前記報知用蓄電部から供給される電力を利用して前記所定の報知を行い、前記報知タイミング延長指示が指示されている場合に、前記第2のタイミングで、前記報知用蓄電部から供給される電力を利用して前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項15に記載の情報コード読取装置。
【請求項17】
前記所定の報知は、段階的に大きくなる警報音であることを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項18】
前記外部電源からの電力供給が停止される際に電力供給停止指示を受け付ける受付部を備え、
前記報知部は、前記電力供給遮断状態になると、前記受付部により前記電力供給停止指示が受け付けられていない場合に、前記所定の報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブル付き情報コード読取装置(いわゆるスキャナ)は、ケーブルを介して電力給電及びデータ通信することで低コスト化を実現できる一方、接続先となるホスト等の外部機器の要求に合わせて複数の機種を準備する必要があるため、生産管理上の問題や発注量によるコストダウン阻害等の問題があった。また、接続先となる外部機器がタブレットやスマートフォン等の携帯端末の場合、直接または変換コネクタを介して有線接続するため、その頻度等に応じてコネクタ部が破損する等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4463188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、例えば、上記特許文献1に開示されるような無線通信手段を持つワイヤレススキャナを採用することもできるが、充電及びバッテリ残量の管理、バッテリ及び充電器を含めたメンテナンス等が必要になるだけでなく、ワイヤレスになったために盗難等が発生しやすくなるという問題がある。特に、セルフレジやスマホレジなどのチェックアウト端末の一部として情報コード読取装置が採用される用途では、店員等が監視し難い場所で使われる場合もあり、盗難等の不正持ち出しの問題はより顕在化すると思われる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、不正持ち出しを抑制し、不正持ち出しされたとしてもその不正持ち出しを報知可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
情報コード(C)を光学的に読み取るための読取処理を行う読取部(21,30)と、
前記読取部による読取結果を所定の外部機器(60)に対して無線送信可能な無線通信部(25)と、
を備える情報コード読取装置(10)であって、
前記読取部は、ケーブル(50)を介して外部電源(70)から供給される電力を利用して前記読取処理を行い、
前記読取処理用の蓄電手段を備えず、
前記ケーブルを介した電力供給が遮断される電力供給遮断状態になると所定の報知を行う報知部(24)を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、読取処理用の蓄電手段を備えず、ケーブルを介して外部電源から供給される電力を利用して読取処理を行った読取部の読取結果が、無線通信部により所定の外部機器に対して無線送信される。そして、ケーブルを介した電力供給が遮断される電力供給遮断状態になると報知部により所定の報知が行われる。
【0008】
これにより、読取結果が無線送信されるため、送信先となる所定の外部機器との有線接続に起因する問題が生じることもない。特に、情報コード読取装置は、ケーブルを介して外部電源に接続されているために、ワイヤレスの読取装置のように容易に持ち出すことができないので、不正持ち出しを抑制することができる。仮に情報コード読取装置が不正に持ち出されようとしても、ケーブルを介した電力供給が遮断されるためになされる所定の報知によって、この所定の報知を受けた装置周囲の管理者等や所定の報知を無線通信等を介して受けた端末の管理者等に対して情報コード読取装置の不正持ち出しを知らせることができる。したがって、不正持ち出しを抑制し、不正持ち出しされたとしてもその不正持ち出しを報知可能な情報コード読取装置を実現することができる。
【0009】
請求項2の発明では、判定部により電力供給遮断状態であると判定されると、報知用蓄電部から供給される電力を利用して報知部により所定の報知が行われる。これにより、電力供給遮断状態であるとの判定に応じてなされる所定の報知に電力が必要な場合でも、その必要な電力を確実に確保することができる。
【0010】
請求項3の発明では、ケーブルには、電力供給用の電力線に加えて外部電源との接続状態を検知するための信号が伝達される信号線が含まれ、信号線を介した信号が伝達されなくなると、判定部により電力供給遮断状態であると判定される。このように、電力線とともにケーブルに含まれる信号線を利用することで、ケーブルを介した電力供給が遮断される電力供給遮断状態であるか否かについて判定することができる。
【0011】
請求項4の発明では、電力供給遮断状態になると記憶部に記憶されていた復号鍵が消去される。これにより、仮に情報コード読取装置が不正に持ち出されたとしても、ケーブルを介した電力供給が遮断されるために記憶部に記憶されていた復号鍵が消去されるので、復号鍵の盗用を防止することができる。
【0012】
請求項5の発明では、判定部により電力供給遮断状態であると判定される際に、当該情報コード読取装置の上記所定の報知を除く所定の機能が機能制御部により制限される。これにより、仮に情報コード読取装置が不正に持ち出されたとしても、ケーブルを介した電力供給が遮断されるために所定の機能が制限されるので、当該所定の機能に関して不正使用を防止できるだけでなく、盗難等された情報コード読取装置の価値を下げることができる。
【0013】
請求項6の発明では、判定部により電力供給遮断状態であると判定される際に、機能制限情報が記憶部に記憶され、電源投入時に記憶部に機能制限情報が記憶されていると、上記所定の機能が機能制御部により制限される。これにより、盗難等時に電力供給遮断状態となっていた情報コード読取装置を不正に起動させたとしても、記憶部に機能制限情報が記憶されているので、所定の機能が制限される状態を維持することができる。
【0014】
請求項7の発明では、上記所定の機能は、電力供給遮断状態になる直前まで読取結果が無線送信されていた所定の外部機器と異なる他の外部機器との間での無線通信部による無線通信機能である。このため、盗難等された情報コード読取装置では上記他の外部機器との間で無線通信できず、誤ってケーブルが外れた等の意図しない電力供給遮断状態の情報コード読取装置では継続して上記所定の外部機器との間で無線通信できるので、無線通信に関して適切に機能制限することができる。
【0015】
請求項8の発明では、上記所定の機能は、情報コードに対して照明光を照射する照射機能、発光部を発光させる発光機能及び報音機能の少なくとも1つである。このため、盗難等された情報コード読取装置では、照射機能、発光機能及び報音機能の少なくとも1つ、すなわち知覚しやすい機能が制限されるため、盗難者等に対してその情報コード読取装置が故障等して使用できないと誤認させることができる。
【0016】
請求項9の発明では、機能制限部は、制限解除指示に応じて所定の機能の制限を解除する。これにより、例えば、誤ってケーブルが外れたことで電力供給遮断状態になったために機能制限状態になったとしても、上記制限解除指示を行える正当権限者であればその機能制限状態を容易に解除することができる。
【0017】
請求項10の発明では、上記制限解除指示は、当該制限解除指示を示す情報が記録された情報コードの読み取りである。これにより、特別な操作等を要することなく、通常の読取操作に応じて上記制限解除指示を情報コード読取装置に対して行うことができる。
【0018】
請求項11の発明では、上記制限解除指示は、読取処理を開始する際に操作される操作部に対する所定の操作である。このようにしても、上記制限解除指示を情報コード読取装置に対して行うことができる。
【0019】
請求項12の発明では、機能制限部は、上記所定の外部機器から無線通信にて指示される制限解除指示に応じて上記所定の機能の制限を解除する。これにより、上記所定の外部機器を利用できない第三者では上記所定の機能の制限を解除できないので、当該所定の機能に関して不正使用を確実に防止することができる。
【0020】
請求項13の発明では、報知部は、報知停止指示に応じて所定の報知を停止する。これにより、例えば、誤ってケーブルが外れたことで電力供給遮断状態になったために所定の報知が行われる状態になってとしても、上記報知停止指示を行える正当権限者であればその報知を停止できるので、不要な報知をなくすことができる。
【0021】
請求項14の発明では、上記報知停止指示は、当該報知停止指示を示す情報が記録された情報コードの読み取りである。これにより、特別な操作等を要することなく、通常の読取操作に応じて上記報知停止指示を情報コード読取装置に対して行うことができる。
【0022】
請求項15の発明では、報知部は、判定部により電力供給遮断状態であると判定された直後となる第1のタイミングとこの第1のタイミングから所定時間経過した第2のタイミングとのいずれかのタイミングで、報知用蓄電部から供給される電力を利用して所定の報知を行う。これにより、所定の報知を行う報知タイミングを、電力供給遮断状態であると判定された直後(第1のタイミング)とその判定から所定時間経過後(第2のタイミング)とのいずれかに設定することができる。
【0023】
請求項16の発明では、報知部は、報知タイミング延長指示が指示されていない場合に、第1のタイミングで、報知用蓄電部から供給される電力を利用して所定の報知を行い、報知タイミング延長指示が指示されている場合に、第2のタイミングで、報知用蓄電部から供給される電力を利用して所定の報知を行う。これにより、所定の報知を行う報知タイミングを、報知タイミング延長指示の有無に応じて、第1のタイミングと第2のタイミングとのいずれかに切り替えることができる。
【0024】
請求項17の発明では、上記所定の報知は、段階的に大きくなる警報音であるため、不正持ち出しを周囲に報知しつつ、報知停止指示などのための猶予期間を設けることができる。
【0025】
請求項18の発明では、報知部は、電力供給遮断状態になると、受付部により電力供給停止指示が受け付けられていない場合に、上記所定の報知を行う。これにより、例えば、外部電源がパーソナルコンピュータであってそのパーソナルコンピュータの電源オフ時など、予定された電力供給遮断時には、その外部電源から情報コード読取装置が電力供給停止指示を受け付けることで、不要な報知をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態に係る情報コード読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図2】第1実施形態において電力供給遮断状態との判定時に報知部を利用してなされる所定の報知を例示する説明図である。
図3図3(A)は、所定の報知を受けたホストコンピュータにてなされる報知を例示する説明図であり、図3(B)は、外部電源であるパーソナルコンピュータにてなされる報知を例示する説明図である。
図4】第1実施形態の変形例に係る情報コード読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図5】第2実施形態において制御部にてなされる不正持ち出し検知処理の流れを示すフローチャートである。
図6】第4実施形態において制御部にてなされる不正持ち出し検知処理の流れを示すフローチャートである。
図7】第5実施形態において制御部にてなされる不正持ち出し検知処理の流れを示すフローチャートである。
図8】第7実施形態において外部電源として機能する電源用端末にてなされる給電処理の流れを示すフローチャートである。
図9】第7実施形態において制御部にてなされる不正持ち出し検知処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る情報コード読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す情報コード読取装置10は、バーコードやQRコード(登録商標)等の情報コードを光学的に読み取る携帯型のケーブル付き読取装置(いわゆるスキャナ)として構成されており、合成樹脂製のケース11によって外郭が構成され、このケース11内に各種電子部品が収容された構成をなしている。本実施形態では、「スキャナ」は、情報コードを読み取る読取処理に利用する蓄電手段を備えず、ケーブルを介して供給される電力を利用して読取処理を行う情報コード読取装置として定義される。
【0028】
情報コード読取装置10のケース11内には、情報コード読取装置10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部22とともに情報処理装置を構成している。記憶部22は、例えば半導体メモリであって、後述する読取処理を実行するための所定のプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0029】
また、情報コード読取装置10は、操作部23、報知部24、通信インタフェース25等を備えている。操作部23は、ケース11の外面等に設けられるトリガーキー等を備えており、使用者のキー操作に応じて制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、操作部23から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。
【0030】
報知部24は、ケース11の外面に設けられるLEDなどの発光部、スピーカやブザーなどの報音部、バイブレータ等を備えており、制御部21による制御によって発光部の発光状態や報音部の報音状態、バイブレータの振動状態が制御されることで、読取処理の読取結果を示す報知や後述する所定の報知等を行うように構成されている。
【0031】
通信インタフェース25は、ホストコンピュータ60などの所定の外部機器との間でのBluetooth(登録商標)等を利用した直接無線通信またはアクセスポイントAP(図2参照)等を介した無線通信や有線通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0032】
また、情報コード読取装置10は、制御部21により制御されて、情報コード等を光学的に読み取るための光学系30を備えている。光学系30は、主として、投光光学系として機能する照明光源31等と、受光光学系として機能する受光センサ32及び結像レンズ33等とを備えている。照明光源31は、ケース11に形成された読取口(図示略)を介して照明光Lfを照射する光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられる拡散レンズ等とから構成されている。受光センサ32は、情報コードに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C-MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ32は、結像レンズ33を介して入射する入射光を受光面によって受光し得る構成で、例えばプリント配線板に実装されている。なお、図1では、情報コードCが付された読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0033】
制御部21は、トリガーキーの操作に応じて、光学系30の受光センサ32によって撮像された情報コードの撮像画像からその情報コードに記録されたデータを読み取るための読取処理を開始する。この読取処理では、情報コードに記録されたデータが所定の解読方法で解読された後、その読取結果が記憶部22に記憶されることなく通信インタフェース25を介してホストコンピュータ60に順次無線送信される。なお、制御部21及び光学系30は、情報コードを光学的に読み取るための読取処理を行う「読取部」の一例に相当し、通信インタフェース25は、読取結果をホストコンピュータ60に対して無線送信可能な「無線通信部」の一例に相当し得る。
【0034】
また、情報コード読取装置10は、電源制御部41及び蓄電部42を備えている。電源制御部41は、ケーブル50を介して外部電源70から電力供給を受けて、制御部21や各種電気部品に電力を供給するように構成されている。上述した読取処理やその読取結果のホストコンピュータ60への無線送信も、ケーブル50を介して外部電源70から供給される電力が利用される。なお、本実施形態では、外部電源70として、ケーブル50を介したUSB接続状態にて給電可能なUSBポートを有するパーソナルコンピュータが採用されている。
【0035】
蓄電部42は、大容量キャパシタ等であって、電源制御部41により外部電源70からの電力供給を受けて充電され、所定の条件下で、報知部24等に対して報知用の電力を供給するように制御される。蓄電部42に蓄電される電力は、読取処理に利用するには不十分であるため、本実施形態に係る情報コード読取装置10は、報知用の蓄電部42は備えていても、読取処理用の蓄電手段を備えない装置として構成される。
【0036】
このように構成される情報コード読取装置10では、読取処理を開始するためのトリガーキー操作がなされると、ケーブル50を介して外部電源70から供給される電力を利用して制御部21により読取処理が開始される。このように、読取処理ではケーブル50を介して外部電源70から供給される電力が利用されるため、ケーブル50が外部電源70から抜かれている状態では、蓄電部42に電力が充電されていたとしても、読取結果の無線送信が実施されることはない。
【0037】
特に、本実施形態において制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理では、ケーブル50を介した電力供給が遮断される状態(以下、電力供給遮断状態ともいう)であると制御部21により判定される場合に、制御部21によって制御された報知部24により、蓄電部42から供給される電力を利用可能な一定時間(例えば、10秒)にて所定の報知が行われる。例えば、盗難者等が情報コード読取装置10を不正に持ち出そうとしていた場合には、ケーブル50が情報コード読取装置10又は外部電源70から外されるかケーブル50が切断等されるために、上記電力供給遮断状態と判定されることで、上記所定の報知が行われる。
【0038】
上記所定の報知は、例えば、図2に例示するように、上記電力供給遮断状態であることを示すように報知部24における発光部の発光状態や報音部の報音状態等が制御部21により制御されることで行われる。なお、電力供給遮断状態であるか否かについて判定する判定処理を行う制御部21は、「判定部」の一例に相当し、蓄電部42は、所定の報知に必要な電力が蓄電される「報知用蓄電部」の一例に相当し得る。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置10では、読取処理用の蓄電手段を備えず、ケーブル50を介して外部電源70から供給される電力を利用して行った読取処理の読取結果が、無線通信部として機能する通信インタフェース25を介してホストコンピュータ60に対して無線送信される。そして、ケーブル50を介した電力供給が遮断される電力供給遮断状態になると制御部21により制御された報知部24により所定の報知が行われる。
【0040】
これにより、読取結果が無線送信されるため、送信先となるホストコンピュータ60との有線接続に起因する問題が生じることもない。特に、情報コード読取装置10は、ケーブル50を介して外部電源70に接続されているために、ワイヤレスの読取装置のように容易に持ち出すことができないので、不正持ち出しを抑制することができる。仮に情報コード読取装置10が不正に持ち出されようとしても、ケーブル50を介した電力供給が遮断されるためになされる所定の報知によって、この所定の報知を受けた装置周囲の管理者等に対して情報コード読取装置10の不正持ち出しを知らせることができる。したがって、不正持ち出しを抑制し、不正持ち出しされたとしてもその不正持ち出しを報知可能な情報コード読取装置10を実現することができる。
【0041】
特に、電力供給遮断状態であると判定されると、蓄電部42から供給される電力を利用して報知部24により所定の報知が行われるため、電力供給遮断状態であるとの判定に応じてなされる所定の報知に電力が必要な場合でも、その必要な電力を確実に確保することができる。なお、蓄電部42からの電力供給を不要とする所定の報知及び報知部が採用される構成では、蓄電部42を廃止してもよい。
【0042】
そして、上記所定の報知は、報知部24によって装置周囲の管理者等に対してなされることに限らず、さらに、通信インタフェース25を介してホストコンピュータ60などの所定の外部機器に対して無線送信でなされてもよい。このようにしても、図3(A)に例示するように、上記所定の報知を受けたホストコンピュータ60等にて画面表示等を利用してその旨を報知することで、ホストコンピュータ60等の管理者等に対して不正持ち出しを知らせることができる。また、上記電力供給遮断状態であると判定可能な外部電源70であるパーソナルコンピュータ等が、図3(B)に例示するように、その管理者等に対して不正持ち出しを報知してもよい。
【0043】
なお、本実施形態の変形例として、図4に示すように、ケーブル50には、電力供給用の電力線51に加えて外部電源70との接続状態を検知するための信号が伝達される信号線52が含まれることを前提に、信号線52を介した信号が伝達されなくなると、上記電力供給遮断状態であると判定されてもよい。このように、電力線51とともにケーブル50に含まれる信号線52を利用することで、ケーブル50を介した電力供給が遮断される電力供給遮断状態であるか否かについて容易に判定することができる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、電力供給遮断状態との判定時に記憶部22に記憶される情報の一部を消去する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
秘匿性の高い情報を情報コードに記録する場合、その情報コードを暗号化する必要がある。例えば、復号鍵を要しない情報が記録される公開領域と復号鍵を要する暗号化された情報が記録される非公開領域とを備える一部非公開コードとして生成されて、非公開領域に秘匿性の高い情報を記録して公開領域に秘匿性の低い情報を記録することで、秘匿性の高い情報を、上記復号鍵を有する情報コード読取装置のみに読み取らせることができる。上記復号鍵を有しない情報コード読取装置では、公開領域から秘匿性の低い情報しか読み取ることができず、秘匿性の高い情報が記録されていること自体を認識することができないからである。このような一部非公開コードの生成方法や生成される一部非公開コードの具体的構成としては、例えば、特開2009-9547公報、特開2008-299422公報などに開示された技術を好適に用いることができる。
【0046】
しかしながら、仮に、復号鍵が記憶される記憶部22を備える情報コード読取装置が盗難者等によって盗難されてしまうと、その情報コード読取装置に記憶されている復号鍵が盗用されることで、暗号化していた秘匿性の高い情報が盗難者等によって読み取られてしまうおそれがある。
【0047】
このため、本実施形態における情報コード読取装置10では、制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理において、上述した電力供給遮断状態、すなわち、盗難等の可能性が高い状態と判定されると、記憶部22に記憶されていた復号鍵が消去される。具体的には、図5に示すフローチャートのように、電力供給遮断状態と判定されると(S101でYes)、記憶部22に復号鍵が記憶されている場合に(S103でYes)、記憶部22の復号鍵を消去するための処理がなされる(S105)。その後、蓄電部42の電力を使い切るまで報知部24により所定の報知が行われて(S107)、本不正持ち出し検知処理が終了する。すなわち、復号鍵の消去が報知部24による報知よりも優先される。
【0048】
これにより、仮に情報コード読取装置10が不正に持ち出されたとしても、ケーブル50を介した電力供給が遮断されるために記憶部22に記憶されていた復号鍵が消去されるので、復号鍵の盗用を防止することができる。
【0049】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、電力供給遮断状態との判定時に所定の機能が制限される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
本実施形態において制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理では、上記電力供給遮断状態であると判定される際に、制御部21による機能制限処理によって、当該情報コード読取装置10の機能のうち上記所定の報知に関する報知機能を除く所定の機能が制限される状態(以下、機能制限状態ともいう)に移行するための制御が行われる。なお、上記機能制限処理を行う制御部21は、「機能制御部」の一例に相当し得る。
【0051】
これにより、仮に情報コード読取装置10が不正に持ち出されたとしても、ケーブル50を介した電力供給が遮断されるために上記所定の機能が制限されるので、当該所定の機能に関して不正使用を防止できるだけでなく、盗難等された情報コード読取装置10の価値を下げることができる。
【0052】
さらに、本実施形態において制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理では、上記電力供給遮断状態であると判定される際に、上記所定の機能を制限すべき状態であることを示す情報(以下、機能制限情報)が記憶部22に記憶される。そして、電源投入時に記憶部22に上記機能制限情報が記憶されていると、電力供給遮断状態であるか否かにかかわらず、上記機能制限処理が行われる。
【0053】
これにより、盗難等時に電力供給遮断状態となっていた情報コード読取装置10を不正に起動させたとしても、記憶部22に機能制限情報が記憶されているので、機能制限状態を維持することができる。
【0054】
上述のように制限される上記所定の機能として、本実施形態では、無線通信機能、より具体的には、電力供給遮断状態になる直前まで読取結果が無線送信されていたホストコンピュータ60と異なる他の外部機器との間での通信インタフェース25による無線通信機能が採用されている。
【0055】
このため、盗難等された情報コード読取装置10では上記他の外部機器との間で無線通信できず、誤ってケーブル50が外れた等の意図しない電力供給遮断状態の情報コード読取装置10では継続してホストコンピュータ60との間で無線通信できるので、無線通信に関して適切に機能制限することができる。このような機能制限状態では、通信インタフェース25を介した有線通信機能がさらに制限されてもよい。
【0056】
なお、上述のように制限される上記所定の機能の1つとして、例えば、情報コードに対して照明光Lfを照射する照明光源31の照射機能が採用されてもよい。このようにしても、盗難等された情報コード読取装置10では、照明光Lfの照射機能、すなわち知覚しやすい機能が制限されるため、盗難者等に対してその情報コード読取装置10が故障等して使用できないと誤認させることができる。また、上記所定の機能の1つとして、例えば、上記所定の報知と異なる条件で動作する発光部の発光機能及び報音部の報音機能の少なくとも1つが採用されてもよい。このようにしても、盗難等された情報コード読取装置10では、発光機能又は報音機能、すなわち知覚しやすい機能が制限されるため、盗難者等に対してその情報コード読取装置10が故障等して使用できないと誤認させることができる。
【0057】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、上述のような所定の機能の制限を解除可能に構成される点が、上記第3実施形態と主に異なる。したがって、第3実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
本実施形態において、機能制御部として機能する制御部21では、外部から受けた制限解除指示に応じて上記所定の機能の制限を解除するための処理を行う。これにより、例えば、誤ってケーブル50が外れたことで電力供給遮断状態になったために機能制限状態になったとしても、上記制限解除指示を行える正当権限者であればその機能制限状態を容易に解除することができる。
【0059】
本実施形態では、上記制限解除指示として、当該制限解除指示を示す情報が記録された情報コード(以下、制限解除コードともいう)の読み取りが採用されている。より具体的には、例えば、従業員証に表示されたQRコードを上記制限解除コードとして、このQRコードに記録される従業員番号等を上記制限解除指示を示す情報として利用することができる。
【0060】
このため、再びケーブル50を介して電力供給された電源投入時に記憶部22に上記機能制限情報が記憶されていることから上記所定の機能が制限されている機能制限状態で、読取開始用のトリガースイッチ操作がなされると、読取口が向けられた情報コードを読み取るための処理がなされる。そして、上記制限解除コードの読み取りに成功すると、制御部21により上記機能制限状態を解除するための処理(記憶部22の機能制限情報を削除する処理)がなされる。
【0061】
以下、本実施形態において、上述した所定の機能の制限を解除可能に制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理について、図6に示すフローチャートを参照して詳述する。
電源投入されることで制御部21にて不正持ち出し検知処理が開始されると、ステップS201の判定処理にて、記憶部22に機能制限情報が記憶されているか否かについて判定される。ここで、記憶部22に機能制限情報が記憶されていない場合には(S201でNo)、上記所定の機能が制限されない状態(機能制限無状態)が維持される(S203)。そして、電力供給遮断状態と判定されない場合には(S205でNo)、所定の終了操作等がなされるまで(S207でNo)、上記機能制限無状態が維持される(S203)。
【0062】
上述のように機能制限無状態が維持されている間に、上述のように電力供給遮断状態と判定されると(S205でYes)、機能制限処理がなされて上記所定の機能が制限される機能制限状態になり(S209)、蓄電部42から供給される電力を利用して機能制限情報が記憶部22に記憶される(S211)。その後、報知部24により上述のように所定の報知が行われて(S213)、本不正持ち出し検知処理が終了する。
【0063】
その後、電源が再投入されて制御部21にて不正持ち出し検知処理が再び開始されると、記憶部22に機能制限情報が記憶されているため(S201でYes)、上記所定の機能が制限される機能制限状態になる(S215)。そして、上記制限解除指示を受けていないと判定される場合には(S217でNo)、上記機能制限状態が維持される。
【0064】
このように機能制限状態が維持されている状態で上述のように制限解除コードの読み取りに成功すると、上記制限解除指示を受けていると判定される(S217でYes)。この場合には、機能制限解除処理にて、記憶部22の機能制限情報が削除されることで(S219)、上記機能制限無状態が維持される(S203)。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置10では、制限解除指示に情報コード(制限解除コード)の読み取りを採用することで、特別な操作等を要することなく、通常の読取操作に応じて上記制限解除指示を情報コード読取装置10に対して行うことができる。
【0066】
なお、上記制限解除指示として、読取処理を開始する際に操作されるトリガースイッチ(操作部23)に対する所定の操作、例えば、所定時間以上の長押しや所定回数以上の連続操作等が採用されてもよい。このようにしても、上記制限解除指示を情報コード読取装置10に対して容易に行うことができる。
【0067】
また、上記制限解除指示として、上記機能制限状態であっても無線通信可能なホストコンピュータ60から受信される所定のコマンドが採用されてもよい。この構成では、機能制限部として機能する制御部21は、ホストコンピュータ60から無線通信にて指示される制限解除指示に応じて上記所定の機能の制限を解除する。これにより、ホストコンピュータ60を利用できない第三者では上記所定の機能の制限を解除できないので、当該所定の機能に関して不正使用を確実に防止することができる。
【0068】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、報知停止指示に応じて所定の報知の停止を可能とする点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
例えば、誤ってケーブル50が外れたことで電力供給遮断状態になった場合には、制御部21によって制御された報知部24により不要に所定の報知が行われることになり、蓄電部42に蓄電された電力が無くなるまで報知が継続してしまうという問題がある。
【0070】
このため、本実施形態では、機能制御部として機能する制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理において、外部から受けた報知停止指示に応じて上記所定の報知を停止するための処理を行う。具体的には、図7に示すフローチャートのように、電力供給遮断状態と判定されると(S301でYes)、報知部24により所定の報知が開始され(S303)、報知停止指示を受けていない場合には(S305でNo)、蓄電部42の電力を使い切るまで報知部24により所定の報知が行われる。このような報知中に報知停止指示を受けると(S305でYes)、報知部24による報知が停止されて(S307)、本不正持ち出し検知処理が終了する。
【0071】
これにより、上述のように誤ってケーブル50が外れたことで電力供給遮断状態になったために所定の報知が行われる状態になってとしても、上記報知停止指示を行える正当権限者であればその報知を停止できるので、不要な報知をなくすことができる。
【0072】
本実施形態では、上記報知停止指示として、当該報知停止指示を示す情報が記録された情報コード(以下、報知停止コードともいう)の読み取りが採用されている。このため、上記電力供給遮断状態時に、読取開始用のトリガースイッチ操作がなされると、蓄電部42からの電力供給の利用を前提に、照明光源31の照明機能及び読取結果の無線送信機能が停止された状態で、読取口が向けられた情報コードを読み取るための処理がなされる。そして、上記報知停止コードに読取口が向けられたことから、報知停止指示の読み取りに成功すると、報知停止指示を受けていると判定されて(S305でYes)、制御部21により上記所定の報知を停止するための処理がなされる(S307)。
【0073】
このように、報知停止指示に報知停止コードの読み取りを採用することで、特別な操作等を要することなく、通常の読取操作に応じて上記報知停止指示を情報コード読取装置10に対して行うことができる。
【0074】
なお、上記報知停止指示として、読取処理を開始する際に操作されるトリガースイッチ(操作部23)に対する所定の操作、例えば、所定時間以上の長押しや所定回数以上の連続操作等が採用されてもよい。このようにしても、上記報知停止指示を情報コード読取装置10に対して容易に行うことができる。
【0075】
また、上記報知停止指示として、上記機能制限状態であっても無線通信可能なホストコンピュータ60から受信される所定のコマンドが採用されてもよい。このようにしても、上記報知停止指示を情報コード読取装置10に対して容易に行うことができる。
【0076】
なお、本実施形態では、上記第4実施形態にて述べたように制限されていた所定の機能を解除可能に構成されてもよく、この場合には、上記報知停止指示に上記制限解除指示が含まれることで(又は、上記制限解除指示に上記報知停止指示が含まれることで)、1つの指示によって報知停止と機能制限解除とを実施することができる。
【0077】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、上記所定の報知の報知内容を切り替え可能に構成される点が、上記第5実施形態と主に異なる。したがって、第5実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
本実施形態において制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理では、上記所定の報知の報知タイミングとして、電力供給遮断状態であると判定された直後となる第1のタイミングとこの第1のタイミングから所定時間(例えば10秒)経過した第2のタイミングとが採用されている。このため、報知タイミングとして第1のタイミングが予め設定されている状態で、上記電力供給遮断状態と判定されると、この判定直後に、制御部21によって制御された報知部24により、蓄電部42から供給される電力を利用して上記所定の報知が行われる。一方、報知タイミングとして第2のタイミングが予め設定されている状態で、上記電力供給遮断状態と判定されると、この判定から上記所定時間経過後に、制御部21によって制御された報知部24により、蓄電部42から供給される電力を利用して上記所定の報知が行われる。
【0079】
このように、本実施形態では、所定の報知を行う報知タイミングを、電力供給遮断状態であると判定された直後(第1のタイミング)とその判定から所定時間経過後(第2のタイミング)とのいずれかに設定することができる。これにより、報知タイミングが第2のタイミングに設定されている場合には、報知停止指示のための猶予期間を設けることができる。
【0080】
なお、所定の報知を行う報知タイミングは、予め設定されることに限らず、適宜選択されてもよい。具体的には、例えば、報知タイミングは、報知タイミング延長指示が指示されていない場合には上記第1のタイミングに設定され、報知タイミング延長指示が指示されている場合には上記第2のタイミングに設定されてもよい。この構成では、報知タイミング延長指示が指示されていない状態で、上記電力供給遮断状態と判定されると、この判定直後に、制御部21によって制御された報知部24により、蓄電部42から供給される電力を利用して上記所定の報知が行われる。一方、報知タイミング延長指示が指示されている状態で、上記電力供給遮断状態と判定されると、この判定から上記所定時間経過後に、制御部21によって制御された報知部24により、蓄電部42から供給される電力を利用して上記所定の報知が行われる。これにより、所定の報知を行う報知タイミングを、報知タイミング延長指示の有無に応じて、第1のタイミングと第2のタイミングとのいずれかに切り替えることができる。
【0081】
上記報知タイミング延長指示は、例えば、報知タイミング延長指示を示す情報が記録された情報コードの読み取りに応じて指示されてもよいし、トリガースイッチ等の操作部23に対する所定の操作に応じて指示されてもよいし、ホストコンピュータ60を介して受信される所定のコマンドに応じて指示されてもよい。また、上記報知タイミング延長指示には、第1のタイミングと第2のタイミングとの時間差となる上記所定時間に関する情報が含まれることで、第2のタイミングを、例えば、10秒後から20秒後に変更するなど、適宜変更してもよい。
【0082】
また、上述した機能制限処理は、上述のように設定された報知タイミングに合わせて実施されてもよい。すなわち、第1のタイミングが設定されている場合には、電力供給遮断状態との判定直後に機能制限処理がなされるとともに所定の報知がなされ、第2のタイミングが設定されている場合には、電力供給遮断状態との判定から上記所定時間経過後に機能制限処理がなされるとともに所定の報知がなされる。これにより、報知タイミングに加えて、機能制限タイミングも適宜切り替えることができる。
【0083】
本実施形態の変形例として、上記所定の報知は、段階的に大きくなる警報音であってもよい。具体的には、報知部24の報音部を、その警報音の音量及び音色等が最小レベルから段階的に大きくなるように作動させることで、段階的に報知レベルを切り替える。例えば、警報音の音量が「小」「中」「大」と段階的に変化するとともに、警報音の音色が「低音」「中音」「高音」と段階的に変化する。これにより、不正持ち出しを周囲に報知しつつ、報知停止指示のための猶予期間を設けることができる。
【0084】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第7実施形態では、外部電源からの電力供給停止指示の有無に応じて報知の要否を判定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
外部電源70としてパーソナルコンピュータなどの電力供給機能を有する端末(以下、単に電源用端末ともいう)が採用される場合、その電源用端末のシャットダウンやスリープなどの電源オフ時には、ケーブル50を介した電力供給が停止される場合がある。このように電力供給が停止したことから電力供給遮断状態と判定されてしまうと、その電源用端末と情報コード読取装置10とがケーブル50を介して接続された状態であっても、上述したように所定の報知や機能制限等が不要になされてしまうという問題がある。
【0086】
そこで、本実施形態では、電源用端末は、電力供給を停止する際に情報コード読取装置10に対して電力供給停止指示を送信するように構成されている。そして、制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理では、電力供給遮断状態との判定時に、電力供給停止指示が受け付けられていないと上記所定の報知を行い、電力供給停止指示が受け付けられていると上記所定の報知を不要として報知を行わない。なお、電源用端末から電力供給停止指示を受け付けるための受付処理を行う制御部21は、「受付部」の一例に相当し得る。
【0087】
このため、本実施形態における電源用端末は、ケーブル50を介したUSB接続状態にて給電可能なUSBポートを有するように構成される。そして、電源用端末にてなされる給電処理では、図8に示すフローチャートのように、電源オン状態での稼働中では(S401)、ケーブル50を介して電力供給可能な状態となり、シャットダウンやスリープなどの電源オフ状態でない場合には(S403でNo)、その電力供給可能な状態が維持される。その後、所定の電源オフ操作等がなされることで電源オフ状態になると(S403でYes)、USB規格に従った電力供給停止指示がケーブル50を介して出力された後に(S405)、ケーブル50を介した電力供給が停止される(S407)。
【0088】
これに対して、電源用端末から電力供給を受ける情報コード読取装置10の制御部21にてなされる不正持ち出し検知処理では、図9に示すフローチャートのように、電力供給遮断状態と判定される前に(S501でNo)、通信インタフェース25を介して電源用端末から電力供給停止指示を受け付けると(S503でYes)、ケーブル50を介したUSB接続を切断するためのUSB切断処理がなされる(S505)。その後、上記所定の報知がなされることなく、本不正持ち出し検知処理が終了する。
【0089】
その一方で、電力供給停止指示を受け付ける前に(S503でNo)、電力供給遮断状態と判定されると(S501でYes)、蓄電部42から供給される電力を利用して報知部24により所定の報知が行われて(S507)、本不正持ち出し検知処理が終了する。すなわち、電力供給遮断状態になると、電力供給停止指示が受け付けられていない場合に、上記所定の報知が行われる。
【0090】
このように、電源用端末の電源オフ時など、予定された電力供給遮断時には、その電源用端末から情報コード読取装置10が電力供給停止指示を受け付けることで、情報コード読取装置10での不要な報知をなくすことができる。
【0091】
なお、本実施形態においても、上記所定の報知は、さらに、通信インタフェース25を介してホストコンピュータ60などの所定の外部機器に対して無線送信されてもよい。このようにしても、上記所定の報知を受けたホストコンピュータ60等にて画面表示等を利用してその旨を報知することで、ホストコンピュータ60等の管理者等に対して不正持ち出しを知らせることができる(図3(A)参照)。
【0092】
また、電源用端末は、情報コード読取装置10に対して、USB接続方式によって電力供給可能にケーブル50を介して接続されることに限らず、他の電力供給可能な接続方式(例えば、RS-232C等)によって電力供給可能にケーブル50を介して接続されてもよい。このような接続方式では、電源用端末は、上記電力供給停止指示を示す専用のコマンド等を無線通信又はケーブル50を介して情報コード読取装置10に送信することで、その情報コード読取装置10に対して電力供給停止指示を行うことができる。
【0093】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)外部電源70は、USB給電可能なパーソナルコンピュータなどの電源用端末によって構成されることに限らず、例えば、商用電源等によって構成されてもよい。
【0094】
(2)制御部21にてなされる読取処理では、読取結果が、ホストコンピュータ60と異なるタブレットなどの所定の外部機器に対して通信インタフェース25を介して無線送信されてもよい。このような構成では、上記所定の報知は、通信インタフェース25を介して上記所定の外部機器に対して無線送信でなされてもよく、その所定の外部機器の管理者等に対して不正持ち出しを知らせることができる。
【0095】
10…情報コード読取装置
21…制御部(読取部,判定部,機能制御部,受付部)
22…記憶部
23…操作部
24…報知部
25…通信インタフェース(無線通信部)
30…光学系(読取部)
41…電源制御部
42…蓄電部(報知用蓄電部)
50…ケーブル
51…電力線
52…信号線
60…ホストコンピュータ(外部機器)
70…外部電源
C…情報コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9