特開 2024-157777 油脂固形物容器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024157777

(43)【公開日】2024-11-08

(54)【発明の名称】油脂固形物容器

(51)【国際特許分類】

   A45D 19/02 20060101AFI20241031BHJP

   A45D 40/00 20060101ALI20241031BHJP

   B65D 83/00 20060101ALI20241031BHJP

【ＦＩ】

A45D19/02 B

A45D40/00 Z

B65D83/00 J

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023072338

(22)【出願日】2023-04-26

(71)【出願人】

【識別番号】000005957

【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100101878

【弁理士】

【氏名又は名称】木下 茂

(74)【代理人】

【識別番号】100187506

【弁理士】

【氏名又は名称】澤田 優子

(72)【発明者】

【氏名】京極 悠佑

【テーマコード（参考）】

3B040

3E014

【Ｆターム（参考）】

3B040AE08

3E014PA10

3E014PC03

3E014PC17

3E014PE14

3E014PE15

3E014PE20

3E014PE25

(57)【要約】

【課題】使用途中において塗布体が容器から脱落する問題を解消した油脂固形物容器を提供すること。
【解決手段】長手方向の一端部に把持部４を有し、他端部側に軸方向に長い受け皿部５を形成すると共に、受け皿部に固形物による塗布体６を搭載してなる塗布ユニット１が備えられる。受け皿部５における塗布体６の搭載面には、当該搭載面に密着して搭載された塗布体の離脱を阻止する塗布体の離脱防止体５ｂ２が形成されている。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

長手方向の一端部に把持部を有し、他端部側に軸方向に長い受け皿部を形成すると共に、前記受け皿部に固形物による塗布体を搭載してなる塗布ユニットを備えた油脂固形物容器であって、
前記受け皿部における前記塗布体の搭載面には、当該搭載面に密着して搭載された前記塗布体の離脱を阻止する塗布体の離脱防止体が形成されていることを特徴とする油脂固形物容器。

【請求項2】

前記受け皿部に形成された塗布体の離脱防止体は、前記塗布体の搭載面から裏面に向かって前記塗布体の一部が進入する前記搭載面に穿設された複数の開口により構成されている請求項１に記載の油脂固形物容器。

【請求項3】

前記受け皿部に形成された塗布体の離脱防止体は、前記塗布体の搭載面上に立設して配置された複数の突起体により構成され、前記突起体には、その一部が前記搭載面に対して平行状態に形成されることで、搭載された塗布体内に埋設される平行埋設部が備えられている請求項１に記載の油脂固形物容器。

【請求項4】

前記受け皿部と、受け皿部に搭載された塗布体を覆い、開口端が前記把持部に対して着脱可能に装着されるキャップ体を備えてなる請求項１乃至３のいずれか１項に記載の油脂固形物容器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は、例えばヘアワックス等のような油脂を含有する固形物を収容する油脂固形物容器に関する。

【背景技術】

【0002】

ヘアワックス等の化粧品や、ワセリンなどのような医療品、その他の油脂を含有する固形物は、特許文献１に示されたように、広口の容器に収容されて保管される場合がある。
この広口の容器に収容された油脂固形物等を使用するには、使用者が容器の蓋を取り容器内に充填された油脂固形物を指先やヘラ等で掻き取って取り出すことになる。
従って、前記した油脂固形物が、ヘアワックスなどの化粧料である場合には、これを指先で掻き取って髪に塗布することになるために、使い終わった後に手指に付着した化粧料を拭き取るか、湯水で化粧料を洗い流すことが必要となる。

【0003】

そこで、軸方向の一端部に持ち手（把持部）を備え、その先端部側に前記したヘアワックスなどの化粧料を長手方向に沿って搭載した染毛容器が提案されており、これは特許文献２に開示されている。
この染毛容器によると、軸方向に沿った背壁体の両側縁に沿って、それぞれ複数の櫛歯が軸方向に沿って一定間隔を置いて配列され、左右の各櫛歯の先端部側は互いに向かい合うようにして外周が円弧形状を構成している。そして、円弧形状の各櫛歯に囲まれた中央空間部が塗布体の収容部を形成している。

【0004】

従って、特許文献２に開示された染毛容器によると、前記した一端部に形成された把持部を握って、先端部側の櫛歯を頭髪などに撫で付けることで、櫛歯により毛髪を梳かすことができると共に、円弧状の各櫛歯に囲まれて配置された化粧料を、毛髪に対して塗布することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２０２２－９６３１４号公報

【特許文献2】特開２０２２－１５４２７４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

ところで、特許文献２に開示された染毛容器においては、化粧料としての固形の塗布体は、円弧状の各櫛歯に囲まれた中央空間部内に収容されており、塗布体の使用が進むにしたがって櫛歯部分に接する塗布体の量は減少する。これにより、軸方向に沿った前記した背壁体の面に密着することで保持されている固形状の塗布体は、使用時における応力を受けて背壁体の面から剥がれて染毛容器から脱落するという問題が生ずる。
この発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、使用途中において塗布体が容器から脱落する問題を解消した油脂固形物容器を提供することを課題とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る油脂固形物容器は、長手方向の一端部に把持部を有し、他端部側に軸方向に長い受け皿部を形成すると共に、前記受け皿部に固形物による塗布体を搭載してなる塗布ユニットを備えた油脂固形物容器であって、前記受け皿部における前記塗布体の搭載面には、当該搭載面に密着して搭載された前記塗布体の脱落を阻止する塗布体の脱落防止体が形成されていることを特徴とする。

【0008】

この場合、一つの好ましい実施の形態においては、前記受け皿部に形成された塗布体の脱落防止体は、前記塗布体の搭載面から裏面に向かって前記塗布体の一部が進入する前記搭載面に穿設された複数の開口により構成される。
また、他の好ましい実施の形態においては、前記受け皿部に形成された塗布体の脱落防止体は、前記塗布体の搭載面上に立設して配置された複数の突起体により構成され、前記突起体には、その一部が前記搭載面に対して平行状態に形成されることで、搭載された塗布体内に埋設される平行埋設部が備えられる。

【0009】

加えて、油脂固形物容器には、前記受け皿部と、受け皿部に搭載された塗布体を覆い、開口端が前記把持部に対して着脱可能に装着されるキャップ体が備えられることが望ましい。

【発明の効果】

【0010】

前記した油脂固形物容器によると、長手方向の一端部に把持部を有し、他端部側には軸方向に長い受け皿部が形成されて、当該受け皿部に固形物による塗布体が搭載された塗布ユニットが備えられる。
前記受け皿部における塗布体の搭載面には、当該搭載面に密着して搭載された塗布体の脱落を阻止する塗布体の脱落防止体が形成されているので、使用途中において固形物による塗布体が、塗布ユニットから脱落する問題を解消した油脂固形物容器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】この発明に係る油脂固形物容器の第１実施形態についてキャップ体を外した状態で示す斜視図である。

【図2】キャップ体を装着した第１実施形態の全体構成を示し、（Ａ）は外観図、（Ｂ）は中央断面図である。

【図3】第１実施形態の塗布ユニットを分解した状態で示し、（Ａ）は塗布部カートリッジを手前にした斜視図、（Ｂ）は把持部側を手前にした斜視図である。

【図4】第１実施形態における塗布部カートリッジを示し、（Ａ）は上面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は左側面図、（Ｄ）は右側面図である。

【図5】同じく塗布部カートリッジを示し、（Ａ）は中央断面図、（Ｂ）は底面図、（Ｃ）は図４に示すａ－ａ線より矢印方向に見た断面図、（Ｄ）は図４に示すｂ－ｂ線より矢印方向に見た断面図である。

【図6】図４に示す塗布部カートリッジの受け皿部を示し、（Ａ）は把持部取付け体を手前にした斜視図、（Ｂ）は受け皿部の先端部側を手前にした斜視図である。

【図7】図６に示す受け皿部を示し、（Ａ）は上面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は左側面図、（Ｄ）は右側面図である。

【図8】同じく受け皿部を示し、（Ａ）は中央断面図、（Ｂ）は図７に示すｃ－ｃ線より矢印方向に見た断面図、（Ｃ）は図７に示すｄ－ｄ線より矢印方向に見た断面図、（Ｄ）は図７に示すｅ－ｅ線より矢印方向に見た断面図である。

【図9】塗布体を除いた第２実施形態の塗布ユニットを示し、（Ａ）は塗布部カートリッジを手前にした斜視図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は中央断面図である。

【図10】同じく図９に示した塗布体を除いた塗布ユニットの分解斜視図である。

【図11】第２実施形態における塗布体を除いた塗布部カートリッジの部品図であり、（Ａ）は先端部を手前にした斜視図、（Ｂ）基端部を手前にした斜視図、（Ｃ）は正面図、（Ｄ）は中央断面図、（Ｅ）はｆ－ｆ線より矢印方向に見た部分断面図である。

【図12】第２実施形態における把持部を示し、（Ａ）は前端部を手前にした斜視図、（Ｂ）は（Ａ）に対し角度を少し寝かせた状態の斜視図、（Ｃ）は基端部を手前にした斜視図、（Ｄ）は正面図、（Ｅ）は左側面図、（Ｆ）は右側面図、（Ｇ）は中央断面図である。

【図13】第２実施形態における受け皿部に塗布体を充填する例を示し、（Ａ）は受け皿部の先端部を手前にした斜視図、（Ｂ）は後端部を手前にした斜視図、（Ｃ）は上面図、（Ｄ）は中央断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、この発明に係る油脂固形物容器について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。まず図１～図８は油脂固形物容器の第１実施形態を示している。
この油脂固形物容器は、図１及び図２に全体図で示したとおり、長手方向の一端部に把持部４を有し、他端部側に受け皿部５に搭載した固形状の塗布体６を備えた軸方向に長い塗布ユニット１と、前記塗布ユニット１の受け皿部５と塗布体６の周囲を覆う細長いキャップ体２とが備えられる。
そして、先端部が閉塞されたキャップ体２の他方の開口端２ａが、把持部４の前端部側に着脱可能に装着されることで、油脂固形物容器の全体が、細長い円柱体〔図２（Ａ）参照〕を形成する。

【0013】

前記把持部４は、図３に示されているように円筒状に成形され、把持部４の尾端部には、蓋体４ａが嵌め込まれて閉塞されている。また、把持部４の前端部側は外径がわずかに細く成形されてガイド部４ｂを形成し、このガイド部４ｂには周に沿ってリング状の凸部４ｃが形成されている。

【0014】

このリング状の凸部４ｃは、図１及び図２に示したキャプ体２の開口端２ａ内に施された図示せぬリング状の凸部を乗り越えることで、前記キャップ体２を把持部４のガイド部４ｂに対して、クリック感を伴って装着することができる。従って、把持部４から装着状態のキャップ体２を引き抜けば、キャップ体２をクリック感を伴って取り外すことができる。
また、図３に示すように把持部４の前端部開口内には、雌ねじ４ｄが施されており、これは把持部４の前端部に取り付けられる後述する塗布部カートリッジ３を着脱可能に螺合させるために利用される。

【0015】

塗布部カートリッジ３は、受け皿部５と、受け皿部５の長手方向に沿って受け皿部５上に密着した状態で搭載された固形状の塗布体６とが備えられて構成される。
塗布体６を搭載する受け皿部５は、図６～図８に単品構成で示されており、この受け皿部５には、前端部側に円弧状の曲面を有する長尺状のカバー体５ａと、このカバー体５ａの内周面側を塞ぐようにして形成されて、矩形状の上面を塗布体６の搭載面５ｂ１とした背壁体５ｂとが備えられている。

【0016】

前記カバー体５ａと背壁体５ｂは、その根元部分において軸に直交する塗布体の受止め壁５ｃを形成した把持部取付け筒体５ｄに一体成形されている。そして、円筒状に成形された把持部取付け筒体５ｄの周面には雄ねじ５ｅが施されており、この雄ねじ５ｅに対して前記した把持部４の前端部開口内に施された雌ねじ４ｄを螺合させることで、図１に示した塗布ユニット１が形成される。
すなわち、この実施の形態においては、図６～図８に示した受け皿部５に、塗布体６を搭載した状態を塗布部カートリッジ３と呼び、さらに塗布部カートリッジ３に把持部４を取り付けた状態を塗布ユニット１と呼んでいる。

【0017】

図６～図８に示した受け皿部５の塗布体搭載面５ｂ１には、複数の開口５ｂ２が背壁体５ｂを貫通した状態で施されている。この実施の形態においては、塗布体搭載面５ｂ１の長手方向に沿って、５つの長孔状の開口５ｂ２が、二列に並んだ状態で施されている。
前記各開口５ｂ２は、塗布体搭載面５ｂ１に密着して搭載される塗布体６が、塗布体搭載面５ｂ１から剥がれて脱落するのを阻止させる塗布体の脱落防止体として機能するものである。

【0018】

これは後で説明するように、塗布体６を受け皿部５上に搭載させるに際して、塗布体６は融点以上に加熱した液状の状態で扱われ、型枠内に配置された受け皿部５の上部から、液状の塗布体を塗布体搭載面５ｂ１に注ぎ込むことで成形される。この時、液状の塗布体は前記開口５ｂ２から背壁体５ｂの裏面側に流れ、図８に示したカバー体５ａとの間の背面空間５ｆ内に進入する。そして、塗布体搭載面５ｂ１上の塗布体６は、塗布体搭載面５ｂ１に密着した状態で固化される。

【0019】

従って、固化した状態の塗布体６は、例えば図５に示すように、背壁体５ｂに形成された複数の開口５ｂ２を介して背壁体５ｂの両面において連結される。これにより、使用途中において固形物による塗布体６が、塗布ユニット１から脱落する問題を解消した油脂固形物容器を提供することができるものとなる。

【0020】

この実施の形態において用いられる前記した塗布体６としての化粧料固形物は、粉末類と固形ワックス類を含有する油脂類とを主成分として形成されている化粧料組成物が好ましい。粉末類としては、タルク、マイカ、カオリン、チタンマイカ、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等が挙げられる。
固形ワックス類を含有している油脂類において、油脂類中に含有される固形ワックス類は、融点が４０℃以上の固体油であることが好ましい。これにはカルナウバワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、セチルアルコール、マイクロクリスタリンワックス、ゼースワックス、ステアリルアルコール、ポリエチレン末、硬化ヒマシ油等が挙げられる。

【0021】

固形ワックス類を含有して形成される油脂類中の固形ワックス類の割合は、３～１５重量％であると、成形が容易となり好ましい。
固形ワックス類を含有する油脂類の配合量は、化粧料組成物中の３０～７０重量％が好ましい。油脂類の配合量が３０重量％未満では、加熱しても十分組成物の粘度が低下しないで十分な流動性が現れず、充填容器（油脂固形物容器）に流し込みにくくなる。油脂類の配合量が７０重量％を超えると、成形されたプレス状化粧料に油分が過剰になって肌表面での化粧料もちが低下し、油脂固形物容器として好ましくない。また、粉末類の配合量は、７０～３０重量％が好ましい。
なお、必要に応じ、色素、防腐剤、抗酸化剤、界面活性剤、香料など、通常の化粧料に含まれるその他の成分が、染毛料として損なわない範囲で更に含まれていてもよい。

【0022】

次に図９～図１２は、この発明に係る油脂固形物容器の第２実施形態を示している。
なお、この第２実施形態においては、すでに説明した把持部４に着脱可能に装着されるキャップ体２と、受け皿部５に搭載される塗布体６は除いた状態で示している。しかし、キャップ体２及び塗布体６は、第２実施形態においても同様に備えられる。
以下においては、前記した把持部４に相当する第２実施形態における把持部は、符号４１で示し、前記した受け皿部５に相当する第２実施形態における受け皿部は、符号５１で示している。

【0023】

図９及び図１０は、受け皿部５１の後端部側に把持部４１が取り付けられて、塗布ユニットが形成された状態を示している。把持部４１は図１０に示されているように円筒状に成形され、把持部４１の尾端部には、蓋体４１ａが嵌め込まれて閉塞されている。
また、把持部４１の前端部側は外径がわずかに細く成形されてガイド部４１ｂを形成し、このガイド部４１ｂには周に沿ってリング状の凸部４１ｃが形成されている。この凸部４１ｃが形成された前記ガイド部４１ｂには、第１実施形態で示したキャップ体２が着脱可能に装着される。

【0024】

そして、把持部４１の前端部には異形壁４１ｅが形成され、この異形壁４１ｅの内側には、受け皿部５１の後端部に形成された後述する固定部５１ｅを係止する係合部４１ｄが収容配置されている。なお、把持部４１内に形成された前記係合部４１ｄについては、図１２に基づいて後で説明する。

【0025】

一方、受け皿部５１には、図９～図１１に示すように、前端部側に大きな長さを占めて矩形状に形成された背壁体５１ａを有する。この背壁体５１ａの一面（上面）は、塗布体搭載面５１ａ１を構成しており、この塗布体搭載面５１ａ１上には、搭載面の長さ方向に沿って複数（図示例では４つ）の突起体５１ｂが立設して配置されている。
前記各突起体５１ｂは、塗布体搭載面５１ａ１に密着して搭載される塗布体６が、塗布体搭載面５１ａ１から剥がれて脱落するのを阻止する塗布体の脱落防止体として機能するものである。

【0026】

さらに前記突起体５１ｂには、図１１に断面図で示すように、塗布体搭載面５１ａ１から立設する一対の脚部５１ｂ１と、一対の脚部５１ｂ１の先端を水平方向に結んで、塗布体搭載面５１ａ１の面と平行状態になされることで、搭載された塗布体６内に埋設される平行埋設部５１ｂ２とが備えられる。

【0027】

前記した塗布体６を搭載する背壁体５１ａの長手方向の前後には、塗布体受止め壁としての前方壁５１ｃと後方壁５１ｄが形成されている。そして、後方壁５１ｄの背面には、受け皿部５１を前記把持部４１に取り付けるための固定部５１ｅが形成されている。
固定部５１ｅは、図１１に示すように、後方壁５１ｄから後方に向けて背壁体５１ａと平行に平板状に延設されており、その後端において幅方向の両側に係止片５１ｅ１が矩形状に突出して形成されている。

【0028】

図１２は、把持部４１を尾端部の蓋体４１ａを除いた状態で示している。
この把持部４１の先端部側には、先端部側の開口入口を一部塞ぐ異形壁４１ｅと、把持部４１の内部に、受け皿部５１に設けられた固定部５１ｅ先端の係止片５１ｅ１を誘導するガイド段部４１ｆと、受け皿部５１の係止片５１ｅ１を掛け留めする係合凹部４１ｇとが形成されており、これらにより、係合部４１ｄが構成されている。
異形壁４１ｄには、内周のほぼ１/４（ほぼ４５度）を占める一対の円弧状の蓋壁４１ｅ１が、周方向に１８０度間隔で形成されると共に、各蓋壁４１ｅ１に対して周方向反時計側にそれぞれ係止壁４１ｅ２が形成されている。

【0029】

図１２（Ｅ）における前記蓋壁４１ｅ１及び係止壁４１ｅ２が形成されていない部分の内周径Ｋ１と、係止壁４１ｅ２の対向する内周径Ｋ２、及び図１１（Ｃ）に示す受け皿部５１の係止片５１ｅ１同士の幅Ｗ１と、固定部５１ｅの幅Ｗ２とのそれぞれの関係は、内周径Ｋ１＞幅Ｗ１＞内周径Ｋ２＞幅Ｗ２となっている。
前記係止壁４１ｅ２は、図１２（Ｇ）に示すように、後方に向けてガイド段部４１ｆが延び、ガイド段部４１ｆの後端に係合凹部４１ｇが形成されている。

【0030】

したがって、受け皿部５１を把持部４１に装着する際には、把持部４１前端の異形壁４１ｅの開口に、受け皿部５１の固定部５１ｅを挿入し、受け皿部５１の後方壁５１ｄが把持部４１の先端部に突き当たる挿入端で、受け皿部５１を把持部４１に対して時計回りに回転させる。これにより、固定部５１ｅの係止片５１ｅ１が、係止壁４１ｅ２の後方に位置する係合凹部４１ｇに嵌り込むことにより、把持部４１に受け皿部５１が装着されて、塗布ユニットが構成される。
なお、把持部４１から受け皿部（塗布部カートリッジ）５１を取外す場合には、前記した装着動作と逆の操作を行えばよいことになる。

【0031】

図１３は、前記した第２実施形態における受け皿部５１に対して、溶融状態の塗布体（塗布液）を充填する一例を示している。この充填操作にあたっては、受け皿部５１を収容することができる型枠５５が用意される。
この例においては、前記型枠５５は、外形がほぼ直方体状に形成されており、その長手方向に沿って内部空間５５ａが形成されている。また型枠５５の一端部側が解放されて、前記内部空間５５ａに連通しており、これは型枠５５への受け皿部５１の挿入及び引出し口として機能する。

【0032】

さらに、型枠５５の上面には長手方向に沿って、広口の開口５５ｃが形成されて、開口５５ｃは前記内部空間５５ａに連通している。これは型枠５５の内部空間５５ａ内に配置された受け皿部５１の塗布体搭載面５１ａ１上に、溶融状態の塗布体を例えばノズルなどを介して注入する塗布体の注入口となる。

【0033】

したがって、型枠５５に対して受け皿部５１を、図１３に示すように装着し、型枠５５上部の塗布体注入口５５ｃから溶融状態の塗布体を、予め定められた所定量注入する。
塗布体の固化後に、型枠５５の挿入引出し口５５ｂから、受け皿部５１を引き抜くことで、固化した塗布体６が塗布体搭載面５１ａ１上に搭載された受け皿部５１、すなわち塗布部カートリッジを取り出すことができる。

【0034】

この場合、第２実施形態の受け皿部５１に搭載される塗布体６は、図１１に示す突起体５１ｂの平行埋設部５１ｂ２が、固化した塗布体６内に埋め込まれた状態になされるので、使用途中において固形物による塗布体６が、塗布ユニットから脱落する問題を解消した油脂固形物容器を提供することができる。
なお、第２実施形態の受け皿部５１に搭載される塗布体６においても、すでに説明した組成物を含む化粧料固形物を好適に用いることができる。

【0035】

また、図１３に示した受け皿部５１に対して、溶融状態の塗布体を注入するための型枠５５は、第１実施形態の受け皿部５（図６参照）に対応して作成することで、同様に受け皿部５に対する円滑な塗布体の注入操作に寄与することができる。

【0036】

なお、前記した実施の形態においては、受け皿部の長手方向に沿って、棒状に成形された塗布体が露出した状態で搭載されているが、前記受け皿部には冒頭で説明した特許文献２に開示されているように、塗布体の長手方向に沿って、複数の櫛歯体を一定間隔を置いて配列した構成を採用することができる。
これによれば、櫛歯体を頭髪などに撫で付けることで、櫛歯体により毛髪を梳かすことができると共に、円弧形状の各櫛歯体に囲まれて配置された塗布体（化粧料）を、毛髪に対して塗布することができる。

【符号の説明】

【0037】

１ 塗布ユニット
２ キャップ体
３ 塗布部カートリッジ
４ 把持部
５ 受け皿部
５ａ カバー体
５ｂ 背壁体
５ｂ１ 塗布体搭載面
５ｂ２ 開口（塗布体の離脱防止体）
５ｆ 背面空間
６ 塗布体
４１ 把持部
４１ｄ 係合部
４１ｅ 異形壁
５１ 受け皿部
５１ａ 背壁体
５１ａ１ 塗布体搭載面
５１ｂ 突起体（塗布体の離脱防止体）
５１ｂ１ 脚部
５１ｂ２ 平行埋設部
５１ｅ 固定部
５５ 型枠
５５ａ 内部空間
５５ｂ 受け皿部の挿入、引出し口
５５ｃ 塗布体注入口

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】