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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157779
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D5/52 F
B65D5/52 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072350
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美歌
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BC02
3E060CB02
3E060CB16
3E060CB19
3E060CB24
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CG12
3E060DA04
(57)【要約】
【課題】ポップ表示部を備える紙製容器における物品の収容作業性を向上する。
【解決手段】前壁13内に折曲線41と破断線43によって区画して設けられたポップ表示部40を備える。ポップ表示部40は、折曲線41と折曲線45の間に位置する連続部40aと、連続部40bに折曲線45を介して連なる先端部40bとに区画されている。先端部40bの上端に内面側に折り返して貼着された重畳壁48が連設され、この重畳壁48には先端部40bに対して貼着されていない差込片50が設けられている。ポップ表示部40は、破断線43に沿った破断、折曲線41と折曲線45に沿った折り曲げ、及び差込片50と対応する位置に設けられた差込部42への差込片50の差し込みによって、前壁13から前側に突出させて配置可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、
前記底壁の前端に連なり、上向きに延びる前壁と、
前記底壁の後端に連なり、上向きに延びる後壁と、
前記底壁の左右両側にそれぞれ連なり、上向きに延びる一対の側壁と、
広告表示用のポップ表示部と
を備える紙製の容器であって、
前記ポップ表示部は、前記前壁内に第1折曲線と第1破断線によって区画して設けられ、前記第1折曲線に沿って延びる第2折曲線によって、前記第1折曲線と前記第2折曲線の間に位置する連続部と、前記連続部に前記第2折曲線を介して連なる先端部とに区画されており、
前記先端部の上端に、前記先端部の内面側に折り返して貼着された重畳壁が連設され、
前記重畳壁には、前記先端部又は前記前壁の内面に重畳して配置され、前記先端部に対して貼着されていない差込片が設けられ、
前記ポップ表示部は、前記第1破断線に沿った破断、前記第1折曲線と前記第2折曲線に沿った折り曲げ、及び前記差込片と対応する位置に設けられた差込部への前記差込片の差し込みによって、前記前壁よりも前側に突出させて配置可能である、紙製容器。
【請求項2】
前記第1折曲線は、前記底壁に対して間隔をあけて左右方向に延び、
前記第1破断線は、前記前壁の上端から前記第1折曲線の端部までそれぞれ上下方向に延びる一対の破断部を有し、
前記差込片は、前記重畳壁に設けられた第2破断線によって前記重畳壁内に区画して設けられ、
前記差込部は、前記第1折曲線上に設けられている、請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
前記第1折曲線と前記第2折曲線の間に左右方向に延びる第3折曲線が設けられ、
前記連続部は、前記第1折曲線と前記第3折曲線の間に位置する第1部分と、前記第2折曲線と前記第3折曲線の間に位置する第2部分に更に区画されている、請求項2に記載の紙製容器。
【請求項4】
前記前壁と前記一対の側壁とは第1折曲部を介してそれぞれ連なり、
前記第1折曲線は、前記一対の側壁のうちの一方と前記前壁の間の前記第1折曲部によって構成されており、
前記第1破断線は、前記前壁の上端から下向きに延びる第1破断部と、前記第1破断部の下端から前記第1折曲線にかけて延びる第2破断部とを含み、
前記差込片は、前記前壁の内面に重畳するように、前記重畳壁から前記一対の側壁のうちの他方に向けて突出して設けられ、
前記差込部は、前記一方の側壁に設けられている、請求項1に記載の紙製容器。
【請求項5】
前記後壁の上端には、前記前壁、前記後壁、及び前記一対の側壁の上端を塞ぐ蓋壁が第2折曲部を介して連設されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された紙製容器は、収容する物品の広告表示が印刷されたポップ表示部を備える。ポップ表示部は、前壁の上縁に連設されており、一対の破断線に沿った前壁の破断によって前壁の前側に飛び出した状態で配置され、ポップ表示部の上端に設けられた差込片を前壁の差込孔に差し込むことによって表示状態に維持される。これにより、収容した物品の販売促進効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-230778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の紙製容器では、物品を内部に収容するとき、前壁の上端から突出したポップ表示部と差込片に物品が干渉するため、作業性が悪い。よって、特許文献1の紙製容器には、物品の収容作業性について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ポップ表示部を備える紙製容器における物品の収容作業性の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、底壁と、前記底壁の前端に連なり、上向きに延びる前壁と、前記底壁の後端に連なり、上向きに延びる後壁と、前記底壁の左右両側にそれぞれ連なり、上向きに延びる一対の側壁と、広告表示用のポップ表示部とを備える紙製の容器であって、前記ポップ表示部は、前記前壁内に第1折曲線と第1破断線によって区画して設けられ、前記第1折曲線に沿って延びる第2折曲線によって、前記第1折曲線と前記第2折曲線の間に位置する連続部と、前記連続部に前記第2折曲線を介して連なる先端部とに区画されており、前記先端部の上端に、前記先端部の内面側に折り返して貼着された重畳壁が連設され、前記重畳壁には、前記先端部又は前記前壁の内面に重畳して配置され、前記先端部に対して貼着されていない差込片が設けられ、前記ポップ表示部は、前記第1破断線に沿った破断、前記第1折曲線と前記第2折曲線に沿った折り曲げ、及び前記差込片と対応する位置に設けられた差込部への前記差込片の差し込みによって、前記前壁よりも前側に突出させて配置可能である、紙製容器を提供する。
【0007】
ポップ表示部が前壁内に第1折曲線と第1破断線によって区画して設けられ、ポップ表示部の先端部の内面側に貼着された重畳壁には、先端部又は前壁の内面に重畳して配置された差込片が設けられている。これにより、紙製容器内に物品を収容するとき、前壁、後壁、及び一対の側壁で画定された開口内には、ポップ表示部や差込片などの突出した部分は存在しない。つまり、収容時に物品が干渉する部分が無いため、ポップ表示部を備える紙製容器における物品の収容作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ポップ表示部を備える紙製容器における物品の収容作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る紙製容器の開封状態を示す斜視図。
図2図1の紙製容器の封緘状態を示す斜視図。
図3図1の紙製容器のブランクの平面図。
図4図3のIV部分の拡大図。
図5】前側から見た封緘過程の紙製容器の斜視図。
図6】後側から見た封緘過程の紙製容器の斜視図。
図7】第1開封過程の紙製容器の斜視図。
図8】第2開封過程の紙製容器の斜視図。
図9】第2実施形態に係る紙製容器の開封状態を示す斜視図。
図10図9の紙製容器のブランクの平面図。
図11】第3実施形態に係る紙製容器の開封状態を示す斜視図。
図12図11の紙製容器の封緘状態を示す斜視図。
図13図11の紙製容器のブランクの平面図。
図14】後側から見た封緘過程の紙製容器の斜視図。
図15】開封過程の紙製容器の斜視図。
図16】参考例に係る紙製容器の開封状態を示す斜視図。
図17図16の紙製容器のブランクの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照すると、本発明の第1実施形態に係る紙製容器10は、収容する物品の広告表示が印刷されたポップ表示部40を備え、物品を収容したまま陳列台に配置することによって、物品の販売促進を図る。この紙製容器10は、いわゆる中間箱であり、例えば図示しない段ボール箱(外箱)に複数個を収容して輸送される。
【0012】
添付図面におけるX方向は前後方向であり、矢印が示す向きが前側で、矢印とは逆向きが後側である。Y方向は左右方向(幅方向)であり、矢印が示す向きが左側で、矢印とは逆向きが右側である。Z方向は高さ方向であり、矢印が示す向きが上側で、矢印とは逆向きが下側である。
【0013】
紙製容器10は、図3に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて貼着することによって形成されている。図3に一点鎖線で記載した部分は、肉厚を圧縮するように表面(紙製容器10の外側に位置する面)の方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図5に実線で記載した部分は、表面から裏面(紙製容器10の内側に位置する面)にかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
【0014】
紙製容器10のブランクは、周知の紙器打抜装置によって、単層の厚紙(コートボール)を打ち抜いて形成されている。但し、紙製容器10は、厚みが1.5mm以下であれば、表ライナと裏ライナの間に波状の中しんを配設した周知の紙製段ボールシートによって形成されてもよい。
【0015】
以下、紙製容器10の構成を具体的に説明する。
【0016】
図1及び図2を参照すると、紙製容器10は、外周壁12と、外周壁12の底を塞ぐ底壁20と、外周壁12の上端の開口を開放可能に塞ぐ蓋壁30とを備える。ポップ表示部40は、外周壁12を構成する前壁13内に形成されている。
【0017】
外周壁12は、四角筒状であり、底壁20の前端に連なる前壁13、底壁20の後端に連なる後壁14、及び底壁20の左右両側にそれぞれ連なる一対の側壁15を備える。前壁13と一対の側壁15、及び後壁14と一対の側壁15は、上下方向に延びる折曲部(第1折曲部)18を介してそれぞれ連なっている。以下、一対の側壁15のうち、図1において左側に位置する方を左側壁15と言い、図1において右側に位置する方を右側壁15と言うことがある。
【0018】
前壁13と後壁14は、YZ平面に沿って延びる同一の四角形状であり、前後方向に間隔をあけて対向配置されている。一対の側壁15は、前後方向の寸法が前壁13及び後壁14の左右方向の寸法よりも小さく、XZ平面に沿って延びる同一の四角形状であり、左右方向に間隔をあけて対向配置されている。そのうち、右側壁15は、前壁13に連なる側壁本体16と後壁14に連なる付代17とによって構成され、接着剤(例えばホットメルト)によって貼着されている。
【0019】
図3を参照すると、付代17、後壁14、左側壁15、前壁13、及び側壁本体16は、この順で左側から右側へ、折曲部18を構成する折曲線18aを介して連設されている。折曲線18aは汎用罫線からなる。
【0020】
図1を参照すると、底壁20は、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15を筒状に開くことによって、外周壁12の底を塞ぐことが可能なワンタッチ式である。この底壁20は、XY平面に沿って延びる四角形状であり、それぞれ一対の長フラップ21と短フラップ22によって構成されている。一対の長フラップ21は、概ね台形状であり、折曲部23を介して前壁13と後壁14にそれぞれ連なっている。一対の短フラップ22は、概ね台形状であり、折曲部24を介して一対の側壁15にそれぞれ連なっている。
【0021】
図3を参照すると、一対の長フラップ21は、折曲部23を構成する折曲線23aを介して前壁13と後壁14の下端にそれぞれ連設されている。一対の短フラップ22は、折曲部24を構成する折曲線24aを介して側壁15と側壁本体16の下端にそれぞれ連設されている。折曲線23a,24aはいずれも汎用罫線からなる。一対の長フラップ21には、折曲線21bを介して貼着部21aが連設されている。折曲線21bは、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けたリード罫からなる。
【0022】
前壁13と後壁14に対して長フラップ21を、側壁15と側壁本体16に対して短フラップ22を、それぞれ山折りして重ね合わせ、長フラップ21に対して貼着部21aをそれぞれ谷折りして重ね合わせる。続いて、後壁14を左側壁15に対して山折りし、側壁本体16を前壁13に対して山折りする。そして、重なり合った側壁本体16と付代17、及び貼着部21aと短フラップ22を、接着剤(例えばホットメルト)によって貼着する。
【0023】
これにより、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15からなる連続した筒状の外周壁12が形成される。また、外周壁12を四角筒状に広げることによって、前壁13と後壁14に対して長フラップ21が回動するとともに、一対の側壁15に対して短フラップ22が回動し、外周壁12の底をワンタッチで閉塞可能な底壁20が形成される。但し、底壁20は、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15を筒状に開いても、外周壁12の底を自動で閉塞できない汎用のフラップによって構成されてもよい。
【0024】
図2及び図5を参照すると、蓋壁30は、外周壁12の上端の開口を開放可能に塞ぐために設けられている。この蓋壁30は、封緘状態で、底壁20と概ね同一の寸法でXY平面に沿って延びる四角形状であり、後壁14の上端に折曲部(第2折曲部)31を介して連なり、底壁20の上方に間隔をあけて対向配置されている。蓋壁30の先端には、図2に示す封緘状態で前壁13の内側に重なるように差し込まれる蓋差込片32が、折曲部33を介して連設されている。また、一対の側壁15の上端には、封緘状態で蓋壁30の下面を支持する内フラップ34が、折曲部35を介してそれぞれ連設されている。
【0025】
図3を参照すると、蓋壁30は、折曲部31を構成する折曲線31aを介して後壁14の上端に連設されている。折曲線31aは、多数の切断線を直線状に設けたミシン目線からなり、破断によって蓋壁30を後壁14から分離する破断線としての機能を兼ね備えている。蓋差込片32は、折曲部33を構成する折曲線33aを介して蓋壁30の上端に連設されている。折曲線33aは汎用罫線からなる。
【0026】
内フラップ34は、折曲部35を構成する折曲線35aを介して側壁15と側壁本体16の上端にそれぞれ連設されている。折曲線35aは、折曲線31aと同様のミシン目線からなり、破断によって内フラップ34を側壁15から分離する破断線としての機能を兼ね備えている。
【0027】
図1及び図2を参照すると、ポップ表示部40は、収容する物品の販売促進を図るために設けられている。図5及び図6に示す封緘前の状態で、外周壁12の上端開口内へのポップ表示部40の突出を避けるために、本実施形態のポップ表示部40は、折曲線(第1折曲線)41と一対の破断部44からなる破断線(第1破断線)43とによって、前壁13内の中央上部に区画して設けられている。
【0028】
図2及び図4を参照すると、折曲線41は、底壁20に対して間隔をあけて、高さH1の位置に左右方向に延びている。より具体的には、折曲線41は、前壁13と底壁20(長フラップ21)の間の折曲部23(折曲線23a)に沿って平行に延びている。但し、折曲線41は、左右方向に延びていれば、底壁20に対して傾斜していてもよいし、上向き又は下向きに湾曲していてもよい。
【0029】
本実施形態の折曲線41は、差込部42を形成するための打抜部42aの両側に一対に設けられている。これらの折曲線41は、多数の切断線を直線状に設けたミシン目線からなり、破断によってポップ表示部40を前壁13から分離する破断線としての機能を兼ね備えている。
【0030】
図1及び図4を参照すると、打抜部42aによって形成される差込部42は、折曲線41による折曲部上に位置する。打抜部42aは、全体として概ね逆U字状に形成された複数の切断線によって構成され、一対の折曲線41の内端にそれぞれ連なっている。複数の切断線間には、切断されていない非切断部42bが確保されている。但し、打抜部42aは、1本の切断線又は1本のスリットからなり、非切断部42bが確保されない構成であってもよい。
【0031】
破断線43を構成する一対の破断部44は、前壁13の上端から折曲線41の端部までそれぞれ上下方向に延びている。破断部44と折曲線41は、所定曲率の切断線によって構成された湾曲部を介して連なっている。個々の破断部44は、複数の切断線を上下方向に間隔をあけて直線状に設けたミシン目線からなる。また、個々の破断部44の上端には、概ねV字状の切欠部44aが設けられている。
【0032】
このように区画されたポップ表示部40には、折曲線41に沿って平行に延びる折曲線(第2折曲線)45が設けられている。これにより、ポップ表示部40は、折曲線41を介して前壁13に連なる連続部40aと、折曲線45を介して連続部40aに連なる先端部40bとに区画されている。
【0033】
具体的には、連続部40aは、ポップ表示部40のうち、折曲線41,45間に位置する部分によって構成され、図1に示す表示状態では先端部40bの背面に位置して前側からは見えない。先端部40bは、ポップ表示部40のうち、折曲線45とポップ表示部40の上端縁の間に位置する部分によって構成され、図1に示す表示状態で前側から見える表示本体部である。
【0034】
折曲線45は、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けたリード罫からなる。折曲線45は、図2に示す封緘状態及び図4に示すブランクの状態で、ポップ表示部40の全高H2の半分の位置に設けられている。つまり、連続部40aと先端部40bの高さ(H2/2)はいずれも同一に形成されている。これらの高さ(H2/2)は、底壁20から折曲線41までの高さH1よりも高い(2H1<H2)。つまり、折曲線41は、前壁13の全高の三分の一未満の高さに設けられている。
【0035】
図1及び図4を参照すると、先端部40bには、差込部42への差し込みによってポップ表示部40を表示状態に維持するための差込片50が設けられている。図5及び図6に示す封緘前の状態で、外周壁12の上端開口内への差込片50の突出を避けるために、本実施形態では重畳壁48が設けられ、この重畳壁48内に差込片50が設けられている。
【0036】
図5及び図6を参照すると、重畳壁48は、ポップ表示部40の先端部40bの上端に折曲部49を介して連設され、先端部40bの内面側に折り返して貼着されている。図4を参照すると、重畳壁48は、先端部40bよりも横幅が狭く高さが低い四角形状である。この重畳壁48は、図4に破線で示す四角形状の貼着部48aに塗布された接着剤(例えばホットメルト)によって、先端部40bに貼着される。貼着部48aは、デボス加工によって先端部40bとの対向面(裏面)を表面に向けて窪ませた凹部からなり、差込片50の両側に間隔をあけて一対に設けられている。図4を参照すると、重畳壁48は、折曲部49を構成する折曲線49aを介して先端部40bの上端に連設されている。折曲線49aは、折曲線45と同様のリード罫からなる。
【0037】
引き続いて図4を参照すると、差込片50は、先端部40bに連なる基部50aと、基部50aに連なる係止部50bとを備える。基部50aの横幅は、差込部42の横幅よりも狭い。係止部50bは台形状であり、係止部50bの最大幅は、基部50a及び差込部42それぞれの横幅よりも広い。また、重畳壁48には、差込部42の上側に隣接するように、打ち抜きによって形成された半円形状の打抜部52が設けられている。
【0038】
差込片50は、破断線(第2破断線)51によって重畳壁48内に区画して設けられている。破断線51は、全体として概ね台形状に形成された複数の切断線によって構成され、一対の端部は折曲線49aを貫通して先端部40b内に位置している。複数の切断線間には、切断されていない非切断部51aが確保されている。このように形成された差込片50は、図2に示す封緘状態、並びに図5及び図6に示す封緘前の状態の状態では、重畳壁48と一体に先端部40bの内面に重畳して配置されるが、先端部40bに対しては貼着されていない。
【0039】
図1及び図2を参照すると、本実施形態の蓋壁30は、第2のポップ表示部を構成する。蓋壁30には、前後方向の中央に左右方向に延びる折曲線54が設けられている。折曲線54は汎用罫線からなる。この折曲線54によって蓋壁30は、後壁14に連なる副表示部30aと、副表示部30aに連なる主表示部30bとに区画されている。副表示部30aは、蓋壁30のうち、折曲部31と折曲線54の間に位置する部分によって構成され、図1に示す表示状態では主表示部30bの背面に位置して後側から見える。主表示部30bは、蓋壁30のうち、折曲線54と折曲部33の間に位置する部分によって構成され、図1に示す表示状態では前側から見える。
【0040】
後壁14には、蓋壁30をポップ表示部として使用するとき、表示状態に維持するための差込溝55が設けられている。差込溝55は、折曲線54に沿って蓋壁30を山折りし、主表示部30bに対して平坦に配置した蓋差込片32の先端と対応する位置に設けられている。本実施形態の差込溝55は、半円弧状の切断線によって構成されている。
【0041】
次に、紙製容器10の使用方法を説明する。
【0042】
未使用状態の紙製容器10は、後壁14が左側壁15に重畳し、前壁13が右側壁15に重畳し、これらの間に長フラップ21と短フラップ22が重なり合って介在している。また、蓋壁30と蓋差込片32は後壁14に対して平坦に延び、一対の内フラップ34はそれぞれ側壁15に対して平坦に延びている。
【0043】
紙製容器10を使用するときには、図5及び図6に示すように、外周壁12を四角筒状に広げる。これにより、前壁13と後壁14に対して図3に示す長フラップ21がそれぞれ回動し、一対の側壁15に対して図3に示す短フラップ22がそれぞれ回動する。その結果、外周壁12の底が底壁20によって塞がれる。
【0044】
図5及び図6に示す封緘前の状態では、前壁13内にポップ表示部40が設けられ、ポップ表示部40の内面側に貼着された重畳壁48内に差込片50が設けられているため、外周壁12の上端開口内に何ら突出する部分はない。つまり、紙製容器10内に物品を収容するとき、物品が干渉して収納作業を阻害する部分は存在しない。よって、作業性よく物品を収容できる。
【0045】
物品の収容が完了すると、側壁15に対して内フラップ34をそれぞれ山折りした後、後壁14に対して蓋壁30を山折りする。また、蓋壁30に対して山折りした蓋差込片32を、前壁13の内面側に差し込む。これにより、図2に示すように紙製容器10を封緘できる。
【0046】
販売店で物品を紙製容器10に収容したまま販売する場合、蓋壁30を開き、図7に示すように、折曲線54に沿って蓋壁30を山折りした後、蓋差込片32を後壁14の差込溝55に差し込む。その後、内フラップ34を側壁15に対して折り曲げる(図8参照)。又は、ミシン目線からなる折曲線35aに沿って内フラップ34を破断して取り除く。
【0047】
一方で、ポップ表示部40については、図7に示すように、破断線43に沿って前壁13とポップ表示部40の境界部分を破断するとともに、前壁13に対してポップ表示部40を折曲線41に沿って谷折りする。続いて、図8に示すように、折曲線45に沿ってポップ表示部40を山折りする。また、破断線51に沿って重畳壁48と差込片50の境界部分の破断し、重畳壁48から切り起こした差込片50を差込部42に差し込む。これにより、図1に示すように、前壁13の前側にポップ表示部40を突出させて配置した表示状態にすることができる。
【0048】
このように構成した第1実施形態の紙製容器10は、以下の特徴を有する。
【0049】
ポップ表示部40が前壁13内に折曲線41と破断線43によって区画して設けられ、ポップ表示部40の先端部40bの内面側に貼着された重畳壁48に差込片50が設けられている。これにより、紙製容器10内に物品を収容するとき、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15で画定された開口内には、ポップ表示部40や差込片50などの突出した部分は存在しない。つまり、収容時に物品が干渉する部分が無いため、ポップ表示部40を備える紙製容器10における物品の収容作業性を向上できる。
【0050】
ポップ表示部40は、破断線43に沿った破断、折曲線41,45に沿った折り曲げ、及び差込片50と対応する位置に設けられた差込部42への差込片50の差し込みによって、前壁13から前側に突出させて配置可能である。よって、広告表示が印刷されたポップ表示部40によって、収容した物品の販売促進効果を得ることができる。しかも、先端部40bには重畳壁48が貼着されているため、ポップ表示部40の剛性を向上できる。また、破断により分離される部分は生じないため、余計なゴミの発生を防止できる。
【0051】
折曲線41は、複数の切断線によって構成されたミシン目線からなるため、折曲線41に沿った破断によって前壁13からポップ表示部40を分離できる。そして、ポップ表示部40の連続部40aを陳列棚のプレイスレールに差し込むことによって、物品の販売促進効果を得ることもできる。
【0052】
折曲線41は、底壁20に対して間隔をあけて左右方向に延び、破断線43は、前壁13の上端から折曲線41の端部までそれぞれ上下方向に延びる一対の破断部44を有する。これにより、ポップ表示部40を把持して手前に引っ張ることによって、ワンアクションで、一対の破断部44に沿って前壁13を破断し、折曲線41に沿って前壁13に対してポップ表示部40を折り曲げることができる。
【0053】
差込片50は、重畳壁48に設けられた破断線51によって重畳壁48内に区画して設けられ、差込部42は、折曲線41上に設けられている。これにより、折曲線45に沿ってポップ表示部40を折り曲げ、破断線51の破断によって突出させた差込片50を差込部42に差し込むことによって、簡単にポップ表示を行うことができる。
【0054】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例と参考例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0055】
(第2実施形態)
図9を参照すると、第2実施形態の紙製容器10は、ポップ表示部40を三角筒状とした点で、第1実施形態の紙製容器10と相違している。
【0056】
図10を参照すると、ポップ表示部40には、折曲線41と折曲線45の間に、これらに沿って左右方向に平行に延びる折曲線46が設けられている。この折曲線46は、折曲線45と同様にリード罫からなる。折曲線46によって連続部40aは、折曲線41と折曲線46の間に位置する第1部分40cと、折曲線45と折曲線46の間に位置する第2部分40dに更に区画されている。先端部40b、第1部分40c、及び第2部分40dが概ね同等の高さになるように、折曲線45,46の位置が設定されている。
【0057】
このように構成された第2実施形態の紙製容器10では、破断線43に沿って前壁13とポップ表示部40の境界部分を破断した後、折曲線41,45,46に沿ってポップ表示部40を折り曲げ、及び差込部42に重畳壁48から切り起こした差込片50を差し込むことによって、図9に示すようにポップ表示部40を形成できる。ポップ表示部40を三角筒状として立体化できるため、収容した物品の販売促進効果をより有効に得ることができる。
【0058】
(第3実施形態)
図11及び図12を参照すると、第3実施形態の紙製容器10は、ポップ表示部40を左側壁15から前側に面一に突出するようにした点で、第1実施形態の紙製容器10と相違している。
【0059】
図12及び図13を参照すると、第3実施形態のポップ表示部40は、1本の折曲線41と、2本の破断部44A,44Bからなる破断線43とによって、前壁13に区画して設けられている。そのうち、折曲線41は、前壁13と左側壁15の間に設けられた折曲部18(折曲線18a)によって構成されている。
【0060】
破断線43は、前壁13の上端から下向きに延びる第1破断部44Aと、第1破断部44Aの下端から折曲線41(左側壁15と前壁13の間の折曲線18a)にかけて延びる第2破断部44Bとによって構成されている。これらの破断部44A,44Bはいずれも、間隔をあけて直線状に延びる複数の第1切断線と、第1切断線の端部から傾斜して延びる複数の第2切断線とを備える片ジッパーからなる。第1破断部44Aの第2切断線は、第1切断線の上端から左上向きに傾斜して延びている。第2破断部44Bの第2切断線は、第1切断線の右端から右上向きに傾斜して延びている。
【0061】
折曲線41と第1破断部44Aの間には、これらに沿って上下方向に平行に延びる折曲線45が設けられている。この折曲線45によってポップ表示部40は、連続部40aと先端部40bに区画されている。連続部40aは、ポップ表示部40のうち、折曲線41,45間に位置する部分からなり、図11に示す表示状態では左側から見える。先端部40bは、ポップ表示部40のうち、折曲線45と第1破断部44Aの間に位置する部分からなり、図11に示す表示状態で右側から見える。
【0062】
図13及び図14を参照すると、ポップ表示部40の先端部40bの上端には、折曲部49を介して重畳壁48が連設されている。この重畳壁48は、先端部40bの内面側に折り返され、図13に破線で示す四角形状の貼着部48aに塗布された接着剤(例えばホットメルト)によって貼着されている。
【0063】
引き続いて図13及び図14を参照すると、重畳壁48には、右側壁15に向けて突出する差込片50が折曲線53を介して連設されている。差込片50は、図12に示す封緘状態、及び図14に示す封緘前の状態で、前壁13の内面に重畳している。折曲線53は、折曲線45と同様にリード罫からなる。打抜部42aによって形成される差込部42は、左側壁15に設けられている。
【0064】
このように構成された第3実施形態の紙製容器10では、第1実施形態の紙製容器10と同様に、図14に示す封緘前の状態で外周壁12の上端開口内に突出する部分はない。よって、物品の収容作業性を向上できる。
【0065】
販売店で物品を紙製容器10に収容したまま販売する場合、ポップ表示部40を把持して手前に引っ張る。これにより、図15に示すように、第1破断部44Aに沿って前壁13を破断した後、引き続いて第2破断部44Bに沿って前壁13を破断することで、ポップ表示部40を前側に突出させることができる。この状態で、折曲線45に沿ってポップ表示部40を山折りし、重畳壁48から突出した差込片50を左側壁15の差込部42に差し込む。これにより、図11に示すように、簡単にポップ表示を行うことができる。
【0066】
(参考例)
図16及び図17を参照すると、参考例の紙製容器10は、ポップ表示部40を、図12に示す折曲線45によって連続部40aと先端部40bに区画することなく、内面側の全体に重畳壁48を貼着する一方、差込片50と差込部42(打抜部42a)を設けない構成とした点で、第3実施形態の紙製容器10と相違している。このように構成した紙製容器10では、ポップ表示部40の位置決め性については劣るが、第3実施形態と同様に、側壁15から前側にポップ表示部40を面一に突出でき、図16に示す表示状態では左右のいずれからでも広告表示を見ることができる。
【0067】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、第1実施形態の破断線43は、第2実施形態の破断線43のように片ジッパーによって構成されてもよいし、第2実施形態の破断線43は、第1実施形態の破断線43のようにミシン目線によって構成されてもよく、前壁13とポップ表示部40の境界部分を破断できる構成であれば、必要に応じて変更可能である。
【0069】
第1実施形態の折曲線41は、破断が困難な汎用罫線によって構成されてもよく、第2実施形態の折曲線41は、破断可能な破断線としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0070】
先端部40bに対する重畳壁48の貼着は、酢酸ビニルエマルジョン系の接着剤によって行われてもよいし、両面テープによって行われてもよく、その貼着方法は必要に応じて変更可能である。
【0071】
外周壁12は、前壁13、後壁14、及び一対の側壁15を備えていれば、六角筒状であってもよいし、八角筒状であってもよい。つまり、前壁13と一対の側壁15の間にそれぞれ面取り壁が設けられてもよいし、後壁14と一対の側壁15の間にそれぞれ面取り壁が設けられてもよい。この場合、底壁20には、面取り壁に対応する面取り部が形成される。
【0072】
本発明の紙製容器10の用途は、図示しない外箱内に収容される中間箱に限られず、独立して用いられる包装箱であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 紙製容器
12 外周壁
13 前壁
14 後壁
15 側壁
16 側壁本体
17 付代
18 折曲部(第1折曲部)
18a 折曲線
20 底壁
21 長フラップ
21a 貼着部
21b 折曲線
22 短フラップ
23 折曲部
23a 折曲線
24 折曲部
24a 折曲線
30 蓋壁
30a 副表示部
30b 主表示部
31 折曲部(第2折曲部)
31a 折曲線
32 蓋差込片
33 折曲部
33a 折曲線
34 内フラップ
35 折曲部
35a 折曲線
40 ポップ表示部
40a 連続部
40b 先端部
40c 第1部分
40d 第2部分
41 折曲線(第1折曲線)
42 差込部
42a 打抜部
42b 非切断部
43 破断線(第1破断線)
44 破断部
44A 第1破断部
44B 第2破断部
44a 切欠部
45 折曲線(第2折曲線)
46 折曲線(第3折曲線)
48 重畳壁
48a 貼着部
49 折曲部
49a 折曲線
50 差込片
50a 基部
50b 係止部
51 破断線(第2破断線)
51a 非切断部
52 打抜部
53 折曲線
54 折曲線
55 差込溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17