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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157783
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ダイ供給装置及びダイ供給方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20241031BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072359
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 聖一
【テーマコード(参考)】
5F047
5F131
【Fターム(参考)】
5F047FA01
5F047FA04
5F047FA08
5F047FA73
5F047FA75
5F131AA04
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA54
5F131CA56
5F131DA03
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB22
5F131DB62
5F131DD03
5F131DD29
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD73
5F131DD74
5F131EA07
5F131EA22
5F131EB55
5F131EC32
5F131EC74
5F131EC75
5F131KA14
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB46
5F131KB53
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】吸着ミスして落下したダイが他のダイに与える影響を低減する。
【解決手段】 ダイ供給装置21は、吸着ヘッド52、撮像装置61、画像認識処理装置81、落下ダイ検出手段82、制御装置80を備える。吸着ヘッド52は、ダイD1を吸着するノズル54を有する。撮像装置61は、対象ダイD2を包含する第1視野範囲A1の画像及びそれよりも広い第2視野画像A2の画像を撮像する。画像認識処理装置81は、撮像装置61で撮像された撮像画像に基づいて、対象ダイD2の上面を認識処理する。落下ダイ検出手段82は、撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイD2上に重なっている落下ダイD3を検出する。制御装置80は、対象ダイD2上に重なっている落下ダイD3を検出した場合に、ノズル54を駆動して落下ダイD3を吸着除去させる制御を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハシート上の複数のダイから対象となるダイをピックアップして生産装置に供給するダイ供給装置であって、
前記ダイを吸着するノズルを有する吸着ヘッドと、
対象ダイを包含する第1視野範囲の画像及び前記第1視野範囲よりも広い第2視野範囲の画像を撮像する撮像装置と、
前記第1視野範囲の撮像画像と前記第2視野範囲の撮像画像の少なくとも1つの撮像画像に基づいて、前記対象ダイの上面を認識処理する画像認識処理装置と、
前記撮像画像に基づく認識処理の結果から、前記対象ダイ上に重なっている落下ダイを検出する落下ダイ検出手段と、
前記対象ダイ上に重なっている前記落下ダイを検出した場合に、前記ノズルを駆動して前記落下ダイを吸着除去させる制御を行う制御装置と、
を備えた、ダイ供給装置。
【請求項2】
前記落下ダイ検出手段は、前記第1視野範囲の撮像画像に基づく認識処理による前記対象ダイの上面の認識処理が成功しなかった場合に、前記第2視野範囲の撮像画像に基づく認識処理の結果から、前記落下ダイを検出する、
請求項1に記載のダイ供給装置。
【請求項3】
前記落下ダイ検出手段は、前記ノズルによる前記ダイの吸着後に前記ダイが前記ノズルから離脱したことが検知された場合に、前記第2視野範囲の撮像画像に基づく認識処理の結果から、前記落下ダイを検出する、
請求項1に記載のダイ供給装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記落下ダイの吸着除去後に前記撮像装置に前記第1視野範囲の画像を撮像させ、その撮像された前記第1視野範囲の撮像画像に基づいて前記画像認識処理装置に前記対象ダイの上面の認識処理を行わせ、認識処理が成功した場合に、前記ノズルを駆動して前記対象ダイを吸着させて生産に使用する制御を行う、
請求項2または3に記載のダイ供給装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記落下ダイの吸着除去後に前記撮像装置に前記第1視野範囲の画像を撮像させ、その撮像された前記第1視野範囲の撮像画像に基づいて前記画像認識処理装置に前記対象ダイの上面の認識処理を行わせ、認識処理が成功した場合に、前記対象ダイを生産に使用せずスキップする制御を行う、
請求項2または3に記載のダイ供給装置。
【請求項6】
前記落下ダイ検出手段は、前記第1視野範囲の撮像画像に基づく認識処理による前記対象ダイの上面の認識処理が成功しなかった場合に、前記第2視野範囲の撮像画像に基づく認識処理の結果から、前記対象ダイ及び前記対象ダイの周囲にある隣接ダイの上に重なっている前記落下ダイを検出し、
前記制御装置は、前記落下ダイの吸着除去後に前記撮像装置に前記第1視野範囲の画像を撮像させ、その撮像された前記第1視野範囲の撮像画像に基づいて前記画像認識処理装置に前記対象ダイの上面の認識処理を行わせ、認識処理が成功した場合に、前記対象ダイ及び前記落下ダイが重なっていた前記隣接ダイを生産に使用せずスキップする制御を行う、
請求項5に記載のダイ供給装置。
【請求項7】
ウェハシート上の複数のダイから対象となるダイをピックアップして生産装置に供給するダイ供給方法であって、
対象ダイを包含する第1視野範囲の画像を撮像する撮像ステップと、
前記第1視野範囲よりも広い第2視野範囲の画像を撮像する広範囲撮像ステップと、
前記第1視野範囲の撮像画像と前記第2視野範囲の撮像画像の少なくとも1つの撮像画像に基づいて、前記対象ダイの上面を認識処理する画像認識ステップと、
前記撮像画像に基づく認識処理の結果から、前記対象ダイ上に重なっている落下ダイを検出する落下ダイ検出ステップと、
前記対象ダイ上に重なっている前記落下ダイを検出した場合に、前記ノズルを駆動して前記落下ダイを吸着ヘッドで吸着除去する吸着除去ステップと、
を含む、ダイ供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、ダイ供給装置及びダイ供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板の生産時に基板にダイを供給するダイ供給装置がよく知られている。この種のダイ供給装置は、一般的に、エキスパンド装置、突上装置、吸着ノズルなどを備える。エキスパンド装置は、分割された半導体ウェハが表面に貼着されたウェハシートを伸張させて、ダイ間の隙間を広げる。突上装置は突き上げピンを有しており、突き上げピンでウェハシートの裏面側からダイを突き上げて、ウェハシートからダイを剥離する。剥離されたダイは、吸着ノズルで吸着されて基板に移送される。この種の技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-31734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ダイ供給装置では、吸着ミスによってダイが吸着ノズルから落下することがある。この場合、ダイが本来あった位置から少しずれた位置に落下し、別のダイの上に重なってしまうことがある。すると、落下ダイが邪魔になることで、その下にあるダイを装置が画像認識できなくなる。その結果、落下ダイの下にあるダイを吸着して生産に使用すること等ができなくなる。そこで本明細書は、吸着ミスして落下したダイが他のダイに与える影響を低減するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、ウェハシート上の複数のダイから対象となるダイをピックアップして生産装置に供給するダイ供給装置を開示する。ダイ供給装置は、吸着ヘッドと、撮像装置と、画像認識処理装置と、落下ダイ検出手段と、制御装置と、を備える。吸着ヘッドは、ダイを吸着するノズルを有する。撮像装置は、対象ダイを包含する第1視野範囲の画像及び第1視野範囲よりも広い第2視野範囲の画像を撮像する。画像認識処理装置は、第1視野範囲の撮像画像と第2視野範囲の撮像画像の少なくとも1つの撮像画像に基づいて、対象ダイの上面を認識処理する。落下ダイ検出手段は、撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイ上に重なっている落下ダイを検出する。制御装置は、対象ダイ上に重なっている落下ダイを検出した場合に、ノズルを駆動して落下ダイを吸着除去させる制御を行う。上述した構成によると、落下ダイが吸着除去されることで、対象ダイが落下ダイにより邪魔されなくなる。よって、画像認識処理装置が対象ダイを認識処理できるようになる。
【0006】
また、本明細書は、ウェハシート上の複数のダイから対象となるダイをピックアップして生産装置に供給するダイ供給方法を開示する。ダイ供給方法は、撮像ステップと、広範囲撮像ステップと、画像認識ステップと、落下ダイ検出ステップと、吸着除去ステップと、を含む。撮像ステップでは、対象ダイを包含する第1視野範囲の画像を撮像する。広範囲撮像ステップでは、第1視野範囲よりも広い第2視野範囲の画像を撮像する。画像認識ステップでは、第1視野範囲の撮像画像と第2視野範囲の撮像画像の少なくとも1つの撮像画像に基づいて、対象ダイの上面を認識処理する。落下ダイ検出ステップでは、撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイ上に重なっている落下ダイを検出する。吸着除去ステップでは、対象ダイ上に重なっている落下ダイを検出した場合に、ノズルを駆動して落下ダイを吸着ヘッドで吸着除去する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例のダイ供給装置を備えた部品装着機を示す斜視図である。
図2】ダイが突き上げピンに突き上げられるときの状態を示す断面図である。
図3】ウェハシートを示す平面図である。
図4】部品装着機の電気的構成を示すブロック図である。
図5】ダイ供給処理を示すフローチャートである。
図6】第1視野範囲を示す平面図である。
図7】第2視野範囲を示す平面図である。
図8】対象ダイ及び隣接ダイの上に重なっている落下ダイを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(特徴1) 本明細書に開示のダイ供給装置では、落下ダイ検出手段は、第1視野範囲の撮像画像に基づく認識処理による対象ダイの上面の認識処理が成功しなかった場合に、第2視野範囲の撮像画像に基づく認識処理の結果から落下ダイを検出してもよい。このような構成によると、撮像画像に基づく認識処理を利用して落下ダイを検出するため、ハード構成を追加することなく落下ダイを検出することができる。
(特徴2) 本明細書に開示のダイ供給装置では、落下ダイ検出手段は、ノズルによるダイの吸着後にダイがノズルから離脱したことが検知された場合に、第2視野範囲の撮像画像に基づく認識処理の結果から落下ダイを検出してもよい。このような構成によると、ダイが落下すると、その落下したダイの検出を直ちに行うことができる。
(特徴3) 本明細書に開示のダイ供給装置では、制御装置は、落下ダイの吸着除去後に撮像装置に第1視野範囲の画像を撮像させ、その撮像された第1視野範囲の撮像画像に基づいて画像認識処理装置に対象ダイの上面の認識処理を行わせ、認識処理が成功した場合に、ノズルを駆動して対象ダイを吸着させて生産に使用する制御を行ってもよい。このような構成によると、対象ダイを有効利用することができる。
(特徴4) 本明細書に開示のダイ供給装置では、制御装置は、落下ダイの吸着除去後に撮像装置に第1視野範囲の画像を撮像させ、その撮像された第1視野範囲の撮像画像に基づいて画像認識処理装置に対象ダイの上面の認識処理を行わせ、認識処理が成功した場合に、対象ダイを生産に使用せずスキップする制御を行ってもよい。このような構成によると、落下ダイによる不具合(例えば、損傷等)が生じた可能性がある対象ダイが生産に使用されないことで、不良品が生産されることを未然に防止することができる。
(特徴5) 本明細書に開示のダイ供給装置では、落下ダイ検出手段は、第1視野範囲の撮像画像に基づく認識処理による対象ダイの上面の認識処理が成功しなかった場合に、第2視野範囲の撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイ及び対象ダイの周囲にある隣接ダイの上に重なっている落下ダイを検出してもよい。この場合に制御装置は、落下ダイの吸着除去後に撮像装置に第1視野範囲の画像を撮像させ、その撮像された第1視野範囲の撮像画像に基づいて画像認識処理装置に対象ダイの上面の認識処理を行わせ、認識処理が成功した場合に、対象ダイ及び落下ダイが重なっていた隣接ダイを生産に使用せずスキップする制御を行ってもよい。このような構成によると、不具合が生じた可能性がある対象ダイ及び隣接ダイが生産に使用されないことで、不良品が生産されることを未然に防止することができる。
【0009】
(実施例) 以下、本実施例のダイ供給装置について図面を参照して説明する。図1に示すように、部品装着機10は、生産装置11及びダイ供給装置21を備えている。また、生産装置11は、基板搬送装置31及び部品移載装置41を備えている。基板搬送装置31は、基板1をX軸方向に搬送する装置である。本実施例の基板搬送装置31は、基台32上に一対のガイドレール33,34を互いに平行に配置することにより構成されている。基板搬送装置31は、コンベアベルト(図示省略)により基板1をガイドレール33,34に沿って搬送し、基板1を所定位置に位置決めする。
【0010】
部品移載装置41は、基板搬送装置31の上方に配置され、XYロボットからなる。部品移載装置41は、Y軸移動台42及びX軸移動台43を備えている。Y軸移動台42は、サーボモータ44を駆動することにより、固定レール45に沿ってY軸方向に移動可能となっている。また、X軸移動台43は、Y軸移動台42に移動可能に支持されている。X軸移動台43は、サーボモータ46を駆動することにより、X軸方向に移動可能となっている。
【0011】
また、ダイ供給装置21は、ウェハシートW1上の複数のダイD1(図3参照)から対象となるダイD1(図6図7に示す対象ダイD2)をピックアップして生産装置11に供給する装置である。ダイ供給装置21は、ヘッドユニット51及び撮像カメラ61(撮像装置の一例)を備えている。ヘッドユニット51は、X軸移動台43に取り付けられ、吸着ヘッド52をZ軸方向(上下方向)に昇降可能に支持している。吸着ヘッド52は、ヘッドユニット51に設けられたサーボモータ53を駆動することにより、Z軸方向に移動可能となっている。吸着ヘッド52には、ダイD1を吸着する吸着ノズル54が下方に突出するように設けられている。なお、本実施例では、形状や大きさの異なる複数種類のダイD1を吸着可能にするために、吸着ヘッド52に複数の吸着ノズル54が設けられている。
【0012】
撮像カメラ61は、X軸移動台43においてヘッドユニット51とは異なる箇所に取り付けられており、ウェハシートW1上のダイD1を撮像する機能を有している。具体的に言うと、撮像カメラ61は、対象ダイD2を包含する第1視野範囲A1(図6参照)の画像と、第1視野範囲A1よりも広い第2視野範囲A2(図7参照)の画像を撮像する。なお、撮像カメラ61のカメラ中心は、吸着ノズル54の中心に対して、X軸方向に所定距離だけオフセットしている。
【0013】
また、ダイ供給装置21はウェハテーブル71を備えている。ウェハテーブル71は、基台32上において基板搬送装置31の側方に配設され、Y軸方向に移動可能となっている。また、ウェハテーブル71は、平面視矩形状をなし、上面中央に円形状の孔部72(図2参照)を有している。ウェハテーブル71上における孔部72の周囲領域には、リング状をなすエキスパンド装置73が載置されている。エキスパンド装置73は、円形状のウェハシートW1を構成する粘着シート74(図2参照)の周縁を支持している。なお、粘着シート74の表面(上面)には、半導体ウェハをダイシングしてなる複数のダイD1が貼着されている。粘着シート74がエキスパンド装置73によって伸張されることにより、ダイD1間の隙間が広げられる。
【0014】
図2に示すように、エキスパンド装置73の下方には、突上装置(図示省略)の突き上げピン75が上向きに配設されている。突き上げピン75の上端部は、円錐形状をなしており、粘着シート74に貼着されたダイD1を突き上げるようになっている。一方、突き上げピン75の下端部は保持部材76に保持されている。保持部材76は、突き上げピン制御ユニット84(図4参照)により、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能になっている。なお、保持部材76及び突き上げピン75をZ軸方向に上昇させてダイD1を突き上げることにより、ダイD1は、粘着シート74から剥離され、吸着ノズル54によって吸着可能となる。
【0015】
図1に示すように、基台32上におけるウェハテーブル71の側方には、吸着ノズル54に吸着されたダイD1を下方から撮像する部品カメラ62が設置されている。吸着ノズル54に吸着されたダイD1を撮像する際には、ダイD1をウェハテーブル71から基板1に搬送する途中で、吸着ヘッド52を部品カメラ62上で一旦停止させる。この状態で、部品カメラ62によりダイD1を撮像して画像処理することにより、吸着ノズル54の中心に対するダイD1の位置ずれを認識することができる。
【0016】
図4に示すように、制御装置80は、ダイ供給装置21に装備され、CPUやメモリ等により構成されたコンピュータからなる。制御装置80は、画像認識処理装置81及び落下ダイ検出手段82としての機能を有している。画像認識処理装置81は、第1視野範囲A1の撮像画像と第2視野範囲A2の撮像画像の少なくとも1つの撮像画像に基づいて、対象ダイD2(図6図7参照)の上面を認識処理する。落下ダイ検出手段82は、撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイD2上に重なっている落下ダイD3(図6図7参照)を検出する。制御装置80は、対象ダイD2上に重なっている落下ダイD3を検出した場合に、吸着ノズル54を駆動して落下ダイD3を吸着除去させる制御を行う。
【0017】
また、制御装置80には、基板搬送装置31、部品移載装置41、吸着ヘッド52、撮像カメラ61及び部品カメラ62が接続されている。さらに、制御装置80には、吸着ヘッド制御ユニット83及び突き上げピン制御ユニット84が接続されている。吸着ヘッド制御ユニット83は、吸着ヘッド52をY軸方向に駆動するサーボモータ44と、吸着ヘッド52をX軸方向に駆動するサーボモータ46と、吸着ヘッド52をZ軸方向に駆動するサーボモータ53を制御する。突き上げピン制御ユニット84は、突き上げピン75を保持する保持部材76を、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に駆動する制御を行う。
【0018】
なお、制御装置80のメモリには、基板1にダイD1を実装するための基本プログラムや、吸着ヘッド52等のシーケンス動作を制御するプログラムが格納されている。また、メモリには、ウェハシートW1上のダイD1の配置位置を示すテンプレートマップが、ウェハシートW1の種類(ウェハ種)ごとに記憶されている。
【0019】
次に、ダイ供給装置21によるダイ供給方法を説明する。
【0020】
図5に示すステップS10において、作業者は、ウェハシートW1をエキスパンド装置73に支持させ、ウェハシートW1を支持したエキスパンド装置73をウェハテーブル71上に載置(供給)する。そして、制御装置80は、ウェハテーブル71を基板搬送装置31の側方位置に移動させる。次に、制御装置80は、メモリに記憶されている複数のテンプレートマップの中から、供給されたウェハシートW1の種類(ウェハ種)に対応するテンプレートマップを選択して読み出す(ステップS20)。
【0021】
次に、制御装置80は、読み出されたテンプレートマップが示す位置情報に基づいて、ピックアップの対象となるダイD1(対象ダイD2)の位置(ピックアップ位置)を決定する(ステップS30)。さらに、制御装置80は、吸着ヘッド制御ユニット83によってサーボモータ44,46,53を駆動し、撮像カメラ61を、対象ダイD2のピックアップ位置に位置決めする(ステップS40)。
【0022】
そして、制御装置80は、ステップS50(撮像ステップ)を行い、撮像カメラ61を作動させて、対象ダイD2を包含する第1視野範囲A1(図6参照)の画像を撮像する。なお、第1視野範囲A1は、平面視正方形状の範囲である。次に、制御装置80はステップS60(画像認識ステップ)を行う。具体的に言うと、制御装置80は、第1視野範囲A1の撮像画像に基づいて画像認識処理装置81を作動させ、画像認識処理装置81に対象ダイD2の上面を認識処理させる。さらに、制御装置80は、第1視野範囲A1の撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイD2の上面の認識処理が成功したか否かを判定する(ステップS70)。認識処理が成功したと判定された場合、制御装置80は、ステップS150の処理へ移行する。
【0023】
一方、認識処理が成功しなかったと判定された場合、制御装置80は、吸着したダイD1が対象ダイD2上に重なるように落下したために、対象ダイD2の上面の認識処理が落ちたダイD1(落下ダイD3)に邪魔されていると想定して(図6参照)、ステップS80(広範囲撮像ステップ)の処理を行う。具体的に言うと、制御装置80は、撮像カメラ61を作動させて、第1視野範囲A1よりも広い第2視野範囲A2(図7参照)の画像を撮像する。なお、第2視野範囲A2は、平面視正方形状の範囲であり、対象ダイD2の外周縁に落下ダイD3の外周縁が接した場合に、落下ダイD3全体を認識できる程度の広さに設定されている。即ち、(第2視野範囲A2の一辺の長さ)=(対象ダイD2の一辺の長さ)+2×(落下ダイD3の対角線の長さ)となっている。
【0024】
次に、制御装置80はステップS90(画像認識ステップ)を行う。具体的に言うと、制御装置80は、第2視野範囲A2の撮像画像に基づいて画像認識処理装置81を作動させ、画像認識処理装置81に落下ダイD3の上面を認識処理させる。そして、制御装置80は、ステップS100(落下ダイ検出ステップ)を行い、落下ダイ検出手段82を作動させる。具体的に言うと、制御装置80は、第2視野範囲A2の撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイD2上に重なっている落下ダイD3を検出する。なお、制御装置80は、対象ダイD2の周囲に隣接ダイD4があったとしても、対象ダイD2上に重なっていないため、隣接ダイD4を無視する。
【0025】
次に、制御装置80は、ステップS110(吸着除去ステップ)を行い、吸着ノズル54を駆動して落下ダイD3を吸着させる。その後、制御装置80は、サーボモータ44,46を駆動して吸着ノズル54を廃棄ボックス(図示省略)の上方に移動させた後、吸着ノズル54による落下ダイD3の吸着状態を解除して、落下ダイD3を廃棄ボックスに廃棄する。
【0026】
そして、制御装置80は、落下ダイD3の吸着除去後に、撮像カメラ61に第1視野範囲A1の画像を撮像させる(ステップS120)。次に、制御装置80は、撮像された第1視野範囲A1の撮像画像に基づいて画像認識処理装置81を作動させ、第1視野範囲A1の撮像画像に基づいて、対象ダイD2の上面を認識処理する(ステップS130)。さらに、制御装置80は、第1視野範囲A1の撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイD2の上面の認識処理が成功したか否かを判定する(ステップS140)。認識処理が成功しなかったと判定された場合、制御装置80は、再度ステップS30の処理を行う。つまり、制御装置80は、対象ダイD2の認識処理が成功するまでの間、ステップS30~S140の処理を繰り返し行う。
【0027】
そして、認識処理が成功したと判定されると、制御装置80は、吸着ノズル54を駆動して対象ダイD2を吸着させ、対象ダイD2を生産に使用する制御を行う。具体的に言うと、制御装置80は、サーボモータ44,46を駆動して、吸着ノズル54を、ピックアップする対象ダイD2の上方位置(ピックアップ位置)に位置決めする(ステップS150)。これと同時に、制御装置80は、突き上げピン制御ユニット84を駆動して保持部材76をX軸方向及びY軸方向に移動させ、突き上げピン75を、ピックアップする対象ダイD2の下方位置に位置決めする。
【0028】
次に、制御装置80は、突き上げピン制御ユニット84を駆動して保持部材76をZ軸方向に移動させ、突き上げピン75をZ軸方向に上昇させる。それとともに、制御装置80は、サーボモータ53を駆動して、吸着ノズル54をZ軸方向に下降させる。その結果、粘着シート74に貼着された対象ダイD2が突き上げピン75によって突き上げられて粘着シート74から剥離され、吸着ノズル54によって対象ダイD2が吸着される(ステップS160)。そして、制御装置80は、サーボモータ44,46を駆動して吸着ヘッド52を基板1の上方位置に移動させた後、サーボモータ53を駆動して吸着ノズル54を下降させるとともに、吸着ノズル54による対象ダイD2の吸着状態を解除させる。これにより、対象ダイD2が基板1の所定位置に実装される(ステップS170)。
【0029】
次に、制御装置80は、ウェハシートW1を構成する全てのダイD1について、処理(実装または廃棄の処理)が完了したか否かを判定する(ステップS180)。処理が完了していないと判定された場合、制御装置80は、再度ステップS30を行い、次にピックアップすべきダイD1を決定する。つまり、制御装置80は、ピックアップすべきダイD1(対象ダイD2)の位置を1つずつ移動して画像認識処理を行う。また、制御装置80は、全てのダイD1の処理が完了するまで、ステップS30~S180の処理を繰り返し行う。そして、全てのダイD1の処理が完了したと判定されると、作業者は、ウェハシートW1を支持したエキスパンド装置73をウェハテーブル71から排出する(ステップS190)。その後、作業者は、新たなウェハシートW1を支持したエキスパンド装置73をウェハテーブル71上に供給する。
【0030】
以上説明したように、本実施例では、撮像カメラ61で撮像された撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイD2上に重なっている落下ダイD3を検出した場合に、吸着ノズル54を駆動して落下ダイD3を吸着除去させる制御を行う。従って、落下ダイD3が吸着除去されることで、対象ダイD2が落下ダイD3により邪魔されなくなる。これによって、対象ダイD2の認識処理が成功し、吸着ノズル54は、対象ダイD2を吸着して基板1に実装することができる。このため、対象ダイD2を滞りなく生産に使用することができる。本実施例の部品装着機10では、落下ダイD3に邪魔された対象ダイD2を生産で使用できるようになっている。このため、使用可能なダイD1を無駄に廃棄しなくても済む。
【0031】
本実施例の部品装着機10では、第2視野範囲A2が、対象ダイD2の外周縁に落下ダイD3の外周縁が接した場合に、落下ダイD3全体を認識できる程度の広さに設定されている。これにより、第2視野範囲A2の撮像画像に基づいて、対象ダイD2上に重なっている落下ダイD3を認識できるため、落下ダイD3の検出精度が向上する。
【0032】
以上、実施例について説明したが具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。上記の実施例では、落下ダイD3の吸着除去後に撮像カメラ61が撮像した第1視野範囲A1の撮像画像に基づいて、画像認識処理装置81に対象ダイD2の上面の認識処理を行わせていた。そして、認識処理が成功した場合に、吸着ノズル54を駆動して対象ダイD2を吸着し、対象ダイD2を生産に使用する制御を行っていたが、この構成に限定されるものではない。
【0033】
例えば、他の実施例では、認識処理が成功した場合に、対象ダイD2を生産に使用せずスキップする制御を行うようにしてもよい。具体的には、落下ダイD3により認識処理が失敗した対象ダイD2を吸着せずウェハシートW1上に残しておいてもよいし、対象ダイD2を吸着して廃棄ボックスに廃棄してもよい。この方法によると、落下ダイD3により傷付いた可能性のある対象ダイD2を、生産に使用しないようにすることができる。なお、この方法は、ダイD1がデリケートで傷付きやすい場合に有効である。さらに、認識処理が成功しなかった場合に、第2視野範囲A2の撮像画像に基づく認識処理の結果から、対象ダイD2及び対象ダイD2の周囲にある隣接ダイD4の上に重なっている落下ダイD3を検出してもよい(図8参照)。そして、落下ダイD3の吸着除去後に、対象ダイD2と落下ダイD3が重なっていた隣接ダイD4とを、生産に使用せずスキップする制御を行ってもよい。
【0034】
上記の実施例では、落下ダイ検出手段82が、第1視野範囲A1の撮像画像に基づく認識処理による対象ダイD2の上面の認識処理が成功しなかった場合に、第2視野範囲A2の撮像画像に基づく認識処理の結果から落下ダイD3を検出するようにしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、落下ダイ検出手段82として、例えば、吸着ノズル54の吸引通路の圧力を検出するセンサを用い、センサにより吸引通路内の圧力変化が検知された場合(すなわち、ダイD1が吸着ノズル54から離脱することによる圧力変化が検知された場合)に、第2視野範囲A2の撮像画像に基づく認識処理の結果から落下ダイD3を検出するように構成してもよい。また、この場合、吸着ヘッド52が有する複数の吸着ノズル54について、1つずつ(1箇所ずつ順番に)落下ダイD3の検出を行ってもよいし、複数の箇所において同時に落下ダイD3の検出を行ってもよい。
【0035】
上記の実施例では、ピックアップすべきダイD1(対象ダイD2)の位置を1つずつ移動して画像認識処理を行ったが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、複数の位置について先に画像認識処理を行い、その後で落下ダイD3をピックアップして除去する動作を行ってもよい。
【0036】
上記の実施例では、吸着ヘッド52及び撮像カメラ61が、共通のX軸移動台43に設けられて一緒に移動するようになっていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、吸着ヘッド52及び撮像カメラ61を、別々の移動台に設け、ダイD1の上方に順番に移動させるようにしてもよい。この方法によると、吸着ヘッド52に吸着したダイD1を基板1に装着しているときに、撮像カメラ61は次のダイD1を撮像できるため、作業時間を短縮することができる。
【0037】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
11: 生産装置
21: ダイ供給装置
52: 吸着ヘッド
54: ノズルとしての吸着ノズル
61: 撮像装置としての撮像カメラ
80: 制御装置
81: 画像認識処理装置
82: 落下ダイ検出手段
A1: 第1視野範囲
A2: 第2視野範囲
D1: ダイ
D2: 対象ダイ
D3: 落下ダイ
D4: 隣接ダイ
W1: ウェハシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8