(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015779
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】高温圧力容器の支持構造
(51)【国際特許分類】
A23L 3/12 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A23L3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118077
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】595012121
【氏名又は名称】株式会社加藤製缶鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明彦
【テーマコード(参考)】
4B021
【Fターム(参考)】
4B021LA05
4B021LP01
4B021LP07
4B021LT04
4B021MC10
(57)【要約】
【課題】 レトルト殺菌釜等の高温圧力容器の胴部と、支脚ユニットとの固定関係を見直し、当該固定部分において容器胴部の熱歪(熱膨張)を許容することができるようにした支持構造の開発を技術課題とした。
【解決手段】 本発明の支持構造Sは、支脚ユニット1における脚本体部10の上部において、高温圧力容器Mの胴下部外周を非固着状態で支持する当て板11を具える一方、高温圧力容器Mの胴部には、当て板11の端部を遊嵌状態に保持する保持ブラケット2を設け、該保持ブラケット2には、当て板11の端部を収める保持切欠部21と、この保持切欠部21の両端に設けられた固定部22とが具えられ、この固定部22において高温圧力容器Mの胴部に対し保持ブラケット2を溶接固定したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を高温・高圧雰囲気とする高温圧力容器を設置するための支脚ユニットによる支持構造であって、
前記支脚ユニットは、脚本体部の上部において、高温圧力容器の胴下部外周を非固着状態で支持する当て板を具え、
一方、高温圧力容器の胴部には、当該当て板の端部を遊嵌状態に保持する保持ブラケットが設けられ、当該保持ブラケットには、当て板の端部を収める保持切欠部と、この保持切欠部の両端に設けられた固定部とが具えられ、この固定部において高温圧力容器の胴部に対し保持ブラケットが溶接固定されていることを特徴とする高温圧力容器の支持構造。
【請求項2】
前記当て板と保持ブラケットとの間に、ピンと受け孔とによる遊嵌位置決め構造を有することを特徴とする請求項1記載の高温圧力容器の支持構造。
【請求項3】
前記高温圧力容器の胴部には、胴長手方向に生じる熱膨張を吸収する当て板保持ブラケットが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の高温圧力容器の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品加工用として用いられるレトルト処理装置等の高温圧力容器に関するものであって、特に高温圧力容器を設置する際の支持構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、容器内部を高温・高圧状態として、ここに食品等の被加工材を収容し、殺菌等の処理を行う装置にあっては、運転中、容器胴部に熱変形が生じることは避けられない。具体的には、例えば全長数m~数十m、直径数十cm~数mに及ぶような横置き円胴状容器を内部温度約120℃、2.2気圧程度で約4分間以上保持するレトルト殺菌処理が行われており、このような場合、胴部の周方向・胴長手方向(軸方向)での熱歪は避けられない。
【0003】
このような熱歪による影響は、装置の機能として直接、問題視されるような不都合は生じない一方で、実際には容器を設置するための支持部材の固定部位において支障を生じる例が報告されている。すなわち現状多く採用されている手法は、装置の設置基盤上に支脚ユニットを立ち上げ状に設け、これを構成する脚本体部上部に、容器胴部の外周形状に沿うように円弧状に曲成された当て板を設けて、この当て板と容器胴部とを直接溶接によって固定する手法が一般的である(例えば特許文献1~3参照)。
【0004】
しかしながら、このような直接固定手法では、支脚ユニットは、基礎上に固定される一方、容器胴部は、熱膨張による変形があるため、容器胴部に溶接固定した箇所は、繰り返し疲労によるクラックが生じる場合があり、これが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-301739号公報
【特許文献2】特開2008-17726号公報
【特許文献3】特開2021-84697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、容器胴部と支脚ユニットとの間の固定関係を見直し、当該固定部分において容器胴部の熱歪(熱膨張)を許容することができる、高温圧力容器の支持構造を開発することを技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち請求項1記載の、高温圧力容器の支持構造は、
内部を高温・高圧雰囲気とする高温圧力容器を設置するための支脚ユニットによる支持構造であって、
前記支脚ユニットは、脚本体部の上部において、高温圧力容器の胴下部外周を非固着状態で支持する当て板を具え、
一方、高温圧力容器の胴部には、当該当て板の端部を遊嵌状態に保持する保持ブラケットが設けられ、当該保持ブラケットには、当て板の端部を収める保持切欠部と、この保持切欠部の両端に設けられた固定部とが具えられ、この固定部において高温圧力容器の胴部に対し保持ブラケットが溶接固定されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項2記載の、高温圧力容器の支持構造は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記当て板と保持ブラケットとの間に、ピンと受け孔とによる遊嵌位置決め構造を有することを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項3記載の、高温圧力容器の支持構造は、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記高温圧力容器の胴部には、胴長手方向に生じる熱膨張を吸収する当て板保持ブラケットが設けられていることを特徴として成るものである。
そして、これら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0010】
まず請求項1記載の発明によれば、高温圧力容器の胴部と直接溶接されるのは保持ブラケットであり、当該保持ブラケットは、保持切欠部において、支脚ユニットの当て板端部を遊嵌状態に収めながら、その両側の固定部が高温圧力容器に溶接されるため、高温圧力容器を支持する支脚ユニット(当て板)は、高温圧力容器に対し直接溶接されない(固定されない)。
また、このため高温圧力容器に溶接固定された、保持ブラケットの固定部は、高温圧力容器を通して熱歪を生じ、例えば周方向に幾らか膨張するように熱変形をきたすが、当て板端部を遊嵌状態に保持した保持切欠部によって、この熱変形を吸収・許容することができる。
【0011】
また請求項2記載の発明によれば、保持ブラケットを高温圧力容器の胴部に溶接する作業において、保持ブラケットの位置決め、すなわち保持切欠部において、支脚ユニットの当て板端部を遊嵌状態に保持する取付位置の決定が行い易く、保持ブラケットの溶接固定を効率的に行うことができる。
【0012】
また請求項3記載の発明によれば、高温圧力容器には、胴長手方向に生じる熱膨張を吸収する当て板保持ブラケットが設けられるため、高温加圧時に高温圧力容器が胴長手方向(軸方向)に熱歪を生じ、当該方向に熱変形をきたしても、これを吸収・許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の支持構造(高温圧力容器の支持構造)を適用した支脚ユニットを高温圧力容器とともに示す側面図(a)、並びに本図(a)のI方向から視た拡大正面図(b)、並びに斜視図(c)である。
【
図2】同上、正面図(a)、並びに部分的に拡大した側面図(b)である。
【
図3】支脚ユニットを高温圧力容器の下方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の実施例に示すとおりであるが、これらの実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例0015】
以下、本発明である高温圧力容器の支持構造(以下、単に支持構造Sとする)に先立ち、本発明を適用し得る高温圧力容器Mについて概略的に説明する。
高温圧力容器Mは、内部を高温・高圧状態として、ここに収容した食品等の被加工材を処理する容器であり、処理としては例えば殺菌処理が挙げられる。より詳細には、例えばコーヒー等の飲料物が充填された飲料缶は、食品衛生法によりレトルト殺菌が義務付けられており、通常、その殺菌方法は、飲料物を充填した後、開口部(缶の飲み口)を封入した飲料缶を、加圧殺菌釜たる高温圧力容器Mに適宜の時間収容し、加熱及び加圧して殺菌処理するものである。
このように高温圧力容器Mは、運転中、高温・高圧に晒されることから、胴部に熱歪が生じ、周方向及び胴長手方向(軸方向)での熱変形の発生は避けられない。本発明の支持構造Sは、このような熱変形を吸収・許容できるようにしたことが大きな特徴である。
【0016】
以下、本発明の支持構造Sについて説明する。
支持構造Sは、高温圧力容器Mを適宜の高さに設置するための構造であって、支脚ユニット1を支持部材とする。支脚ユニット1は、一例として
図1・
図3に示すように、適宜のプレート材を組み合わせて成る脚本体部10の上部に、当て板11を固定して成り、直接的にはこの当て板11が高温圧力容器Mを受ける。すなわち、当て板11によって高温圧力容器Mの胴下方(胴下部外周)を非固着状態(非溶接状態)で支持するものであり、非固着とするのは熱歪に伴う熱変形を吸収・許容するためである。
【0017】
以下、脚本体部10について説明する。
脚本体部10は、例えば上記
図1・
図3に示すように、まず基礎面上に設置されるベース板101を基部とし、この両端部から立ち上げられるサイド支持板102を具える。この一対のサイド支持板102に対し、そのほぼ中央を接続するように立ち上げられるクロス支持板103が設けられ、更にサイド支持板102同士のほぼ中央部においてクロス支持板103に交差するように設けられる前後一対のセンター補強板104とを具えて成る。そしてベース板101、サイド支持板102、クロス支持板103、センター補強板104の各部材の接合部が適宜溶接されて立体化形成される。更に上記当て板11は、これら立体化形成されたサイド支持板102・クロス支持板103・センター補強板104の上部に溶接固定される。ここで本実施例では、強度低下を招かない範囲で、クロス支持板103の左右に長円状の肉抜きが施されている。
なお、通常、高温圧力容器Mは、胴部が円筒状に形成されるため、当て板11も高温圧力容器Mを受ける作用面が、ほぼ一定の幅寸法(前後長)を有した曲面状に形成される。
【0018】
一方、高温圧力容器Mの胴部には、一例として上記
図1・
図3に示すように、前記当て板11の周方向端部を遊嵌状態に保持する保持ブラケット2が設けられる。
この保持ブラケット2は、偏平なコ字状と表現できるような平面投影概形を有する板部材として形成され、コ字状の凹陥部分において前記当て板11の端部を遊嵌状態に収めるものであり、ここを保持切欠部21とする。また、この保持切欠部21の両端部は、前記高温圧力容器Mの胴部に溶接固定されるものであり、ここを固定部22とする。
そして、このような構成により、高温・高圧時に高温圧力容器Mの胴部が熱歪を生じ、このものと溶接固定された保持ブラケット2の固定部22が周方向に幾らか熱変形(熱膨張)しても、保持切欠部21が当て板11の端部を遊嵌状態に保持しているため、保持ブラケット2(固定部22)の周方向への熱変形が吸収・許容される。すなわち熱変形によって固定部22が周方向にわずかに変形しても(膨張しても)、この周方向変形が、上記保持切欠部21の遊嵌状態によって吸収・許容されるものである。
【0019】
なお上記説明では熱歪や熱変形と記載したが、一般的には、殺菌処理を行っている間、すなわち高温・高圧状態とした際に、高温圧力容器Mは周方向にわずかに拡がるような熱変形を生じるものの、殺菌処理を終えた後、すなわち常温に戻した際には、熱歪が除去されるため、高温圧力容器Mも元の状態に戻るものである。従って、保持ブラケット2の幅寸法と保持切欠部21の寸法(受け入れ作用長)とのクリアランスは、比較的小さいクリアランスに設定される。
また保持切欠部21によって当て板11の周方向端部を遊嵌状態に保持する構造は、上述したように主に周方向の熱変形を吸収・許容するものであるが、保持ブラケット2の固定部22は胴長手方向にも熱変形を生じ得るものであるから、保持切欠部21による保持構造は、胴長手方向の熱変形をも吸収・許容するものである。
【0020】
また本実施例では、一例として上記
図1・
図3に示すように、当て板11の外周から外向き(いわゆる法線方向)にピン12を突出状態に設けるとともに、このピン12に外嵌めされる受け孔23hを有した受け孔ブロック23を保持ブラケット2に設けるものであり、保持ブラケット2を高温圧力容器Mの外側に溶接する際には、上記受け孔23hにピン12を差し込むようにして、保持ブラケット2の位置決めを図るものである。なお、ピン12と受け孔23hとの嵌合は、単なる溶接位置の位置決めではなく、当て板11の周方向端部を遊嵌状態に保持できるようにした構造であることから、これを遊嵌位置決め構造S1と称する。逆に言えば、遊嵌位置決め構造S1が、上記のような遊嵌状態を可能とする位置決め構造であることから、受け孔23hの径寸法は、当て板11の周方向端部を遊嵌させること、つまり高温圧力容器Mの熱歪(熱変形)を考慮して決定されるものである。
【0021】
また高温圧力容器Mは、上述したように高温・高圧時、周方向のみならず胴長手方向にも熱歪を生じ、二方向に熱変形をきたす。
このため、高温圧力容器Mの胴部には、一例として
図1・
図2に示すように、胴長手方向に生じる熱変形を吸収し得る当て板保持ブラケット3を設けることが好ましい。この当て板保持ブラケット3は、側面投影概形がL字状もしくは鍵状を成す板部材(ピース片)として形成され、当て板11の中央部(左右方向の中央部)において前後一対設けられる。ここで、本実施例の当て板保持ブラケット3は、前後において左右位置が幾らかずらして設置されている。
そして、当て板保持ブラケット3の取付状態は、平面から視て、前後一対の当て板保持ブラケット3が、当て板11を胴長手方向から挟み込むように溶接固定される。もちろん前後に設けられた当て板保持ブラケット3による挟持寸法は、当て板11の幅寸法(前後長)よりも大きく形成されており、これにより高温圧力容器Mの胴部が熱歪を生じて、当て板保持ブラケット3が胴長手方向に熱変形をきたしても、この熱変形が上記挟み込み状態によって吸収・許容されるようにしている。換言すれば、高温圧力容器Mが、高温・高圧時に胴長手方向に幾らか熱変形をきたしても、前後の当て板保持ブラケット3が当て板11に干渉しないように構成されている。
【0022】
本発明の支持構造S(高温圧力容器の支持構造S)は、以上のような基本構成を有するものであり、以下、本支持構造Sを適用した高温圧力容器Mによるレトルト殺菌処理について説明しながら、併せて支持構造Sの作動態様について説明する。
(1)処理対象物の収容とレトルト殺菌処理
まずコーヒー等の飲料物が充填された飲料缶等の処理対象物を高温圧力容器M内に収容する。
収容後、高温圧力容器Mの開閉蓋を密閉し、容器内を高温・高圧状態で維持するものであり、例えば約120℃で約4分間以上保持してレトルト殺菌を行う。
このようなレトルト殺菌中、高温圧力容器Mは、高温・高圧に晒されるため、胴部の周方向・胴長手方向(軸方向)に熱歪が発生し、これに伴う熱変形(熱膨張)をきたす。
本発明では、このような熱変形を吸収・許容できる支持構造を採っており、以下、周方向と胴長手方向とに分けて説明する。
【0023】
(2)主に周方向の熱変形について
高温圧力容器Mは、上述したように、支脚ユニット1の当て板11に対し非固定状態で載置されるように支持されている。ここで、弧状を成す当て板11の周方向端部は、保持ブラケット2の保持切欠部21に対し遊嵌状態に保持されており、保持ブラケット2自体は、保持切欠部21の両側に位置する固定部22によって高温圧力容器Mの胴部に溶接固定されている(
図3参照)。
このため高温圧力容器Mの胴部が周方向に熱変形をきたせば、これに起因して、溶接固定された保持ブラケット2も周方向に熱変形をきたす(
図3中の矢印参照)。ただし、ここでは上述したように、保持ブラケット2の保持切欠部21に対し、当て板11の周方向端部が遊嵌状態に保持されているため、この遊嵌状態によって保持ブラケット2における周方向の熱変形が吸収・許容される。もちろん熱変形をきたした状態でも、当て板11の周方向端部と、保持ブラケット2の保持切欠部21との遊嵌状態(係合状態)は維持される。
また保持ブラケット2を高温圧力容器Mに固定するための溶接箇所は、固定部22のみの短い寸法(区間)で済むため、この溶接箇所にクラックが入り難いものである。
なお、上記説明では、周方向の熱変形は、保持ブラケット2の保持切欠部21によって、吸収・許容するように説明したが、保持切欠部21が吸収・許容するのは周方向の熱変形だけに限定されるものではなく、当該部位でも胴長手方向の熱変形が吸収・許容されるものである。
【0024】
(3)主に胴長手方向の熱変形について
また高温圧力容器Mには、上述したように、胴長手方向に生じる熱変形を吸収し得る当て板保持ブラケット3が、胴下部外周に溶接固定されている(
図3参照)。
この当て板保持ブラケット3は、側面投影概形がL字状もしくは鍵状を成す板部材(ピース片)として形成され、当て板11の中央部(左右方向における中央部)において前後一対設けられている。
当て板保持ブラケット3の取付状態は、平面から視て、前後一対の当て板保持ブラケット3が、当て板11を胴長手方向から挟み込むように溶接固定されている。このため高温圧力容器Mの胴部が胴長手方向に熱変形をきたした場合、これに起因して、胴部に溶接固定された当て板保持ブラケット3も胴長手方向に熱変形をきたす(
図1(c)・
図3中の矢印参照)。この際、本実施例では、前後一対の当て板保持ブラケット3が、当て板11を胴長手方向から挟み込むように取り付けられているため、この挟み込み状態によって、当て板保持ブラケット3における胴長手方向の熱変形が吸収・許容される。もちろん、熱変形をきたした状態でも、当て板保持ブラケット3による当て板11の挟み込み状態(係合状態)は維持される。
また、当て板保持ブラケット3を高温圧力容器Mに固定するために施されていた溶接箇所も、部材の一部で済み、溶接箇所が短寸で済むことから、当該溶接箇所にクラックが入り難いものである。
【0025】
(4)レトルト殺菌後
このような高温・高圧によるレトルト殺菌を終えた後、処理対象物が高温圧力容器Mから取り出され、適宜、箱詰めや保管等、出荷に備えた工程に供される。
そして、その後に行うレトルト殺菌処理がなければ、レトルト殺菌を終えた高温圧力容器Mは、高温・高圧状態が解除されて常温に戻され、レトルト殺菌処理中に加えられた熱歪・熱変形が除去される(初期状態に復帰する)。
【0026】
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず上述した基本の実施例では、高温圧力容器Mとしてレトルト釜を例示し、これを本発明の支持構造Sによって支持する形態を説明した。しかしながら、支持対象物としては、この他にも熱歪が問題となる種々の装置を適用することができる。具体的には、ボイラ釜などを本発明の支持構造Sによって支持することができる。