(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157791
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】振動デバイス及び振動デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H03B5/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072369
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 学
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA02
5J079BA43
5J079CA04
5J079HA03
5J079HA07
5J079HA25
5J079HA29
(57)【要約】
【課題】周波数安定性に優れた振動デバイス及び振動デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】振動デバイス1は、振動素子43が収容された容器30と、容器30が搭載される第1面14及び第1面14と表裏関係にある第2面15を有するベース基板11と、容器30とベース基板11との間に設けられ、第1面14の接合部21に接合されたバンプ23と、第1面14とバンプ23との間に設けられたコーティング部材22と、を備え、バンプ23と第1面14とがなす接触角θ1は、鈍角である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動素子が収容された容器と、
前記容器が搭載される第1面及び前記第1面と表裏関係にある第2面を有するベース基板と、
前記容器と前記ベース基板との間に設けられ、前記第1面の接合部に接合されたバンプと、
前記第1面と前記バンプとの間に設けられたコーティング部材と、を備え、
前記バンプと前記第1面とがなす接触角は、鈍角である、
振動デバイス。
【請求項2】
前記コーティング部材は、フッ素コーティング処理により形成されている、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記容器は、接着剤を介して前記バンプに接着されている、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記容器に収容され、前記振動素子の温度を制御する温度制御回路を備える、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記ベース基板を含み、前記容器を収容する外側容器をさらに備える、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項6】
振動素子が収容された容器と、前記容器が搭載される第1面及び前記第1面と表裏関係にある第2面を有するベース基板と、前記容器と前記ベース基板との間に設けられ、前記第1面の接合部に接合されたバンプと、を備えた振動デバイスの製造方法であって、
前記接合部の表面エネルギーを低減する表面処理工程を含む、
振動デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記表面処理工程において、前記接合部にフッ素コーティング処理が施される、
請求項6に記載の振動デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記表面処理工程において、前記接合部に塗布材が塗布される、
請求項6に記載の振動デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記表面処理工程において、前記接合部の表面を荒らす処理が施される、
請求項6に記載の振動デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイス及び振動デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温度補償型発振器は、振動片と、振動片を発振させるための発振回路と温度補償回路を有する集積回路と、を備え、集積回路が所定の温度範囲で振動片の発振周波数の所望する周波数からのずれを温度補償することにより、高い周波数精度が得られる。このような温度補償型発振器として、例えば、特許文献1には、振動片を収容した第1容器と集積回路とを積層して第2容器に収容することで、振動片と集積回路との温度差を小さくし、より高い周波数精度を得ようとする温度補償型発振器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された温度補償型発振器は、振動片と集積回路との温度差を小さくするために、振動片を収容した第1容器のベースに集積回路を積層し、第1容器のリッドの全面を第2容器のベースの凹部底面に固定している。そのため、第1容器と第2容器のベースとの熱の授受が増大し、第2容器のベースを介して外部の温度変化の影響を受け易くなり、出力される発振周波数の周波数安定性が劣化する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動デバイスは、振動素子が収容された容器と、前記容器が搭載される第1面及び前記第1面と表裏関係にある第2面を有するベース基板と、前記容器と前記ベース基板との間に設けられ、前記第1面の接合部に接合されたバンプと、前記第1面と前記バンプとの間に設けられたコーティング部材と、を備え、前記バンプと前記第1面とがなす接触角は、鈍角である。
【0006】
振動デバイスの製造方法は、振動素子が収容された容器と、前記容器が搭載される第1面及び前記第1面と表裏関係にある第2面を有するベース基板と、前記容器と前記ベース基板との間に設けられ、前記第1面の接合部に接合されたバンプと、を備えた振動デバイスの製造方法であって、前記接合部の表面エネルギーを低減する表面処理工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す平面図。
【
図5】第1実施形態に係る振動デバイスの製造方法を示すフローチャート図。
【
図6】第1実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図7】第1実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図8】第1実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図9】第1実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図10】第1実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図11】第1実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図12】第2実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す断面図。
【
図13】第2実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図14】第3実施形態に係る振動デバイスの概略構造を示す断面図。
【
図15】第3実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【
図16】第3実施形態に係る振動デバイスの製造方法を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.第1実施形態
1.1.振動デバイス
先ず、第1実施形態に係る振動デバイス1について、ダブルシール構造の温度制御型発振器を一例として挙げ、
図1、
図2、及び
図3を参照して説明する。
尚、
図1において、振動デバイス1の内部の構成を説明する便宜上、リッド27を取り外した状態を図示している。また、
図1、
図2、及び
図3において、外側容器5に設けられた内部端子19と外部端子20とを電気的に接続する配線や容器30内に設けられた端子及び配線は、図示を省略している。
【0009】
また、説明の便宜上、
図5を除く以降の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸方向の矢印先端側を「プラス側」、基端側を「マイナス側」、Z方向プラス側を「上」、Z方向マイナス側を「下」とも言う。
【0010】
本実施形態に係る振動デバイス1は、
図1、
図2、及び
図3に示すように、容器30に集積回路41と振動素子43とを収容した発振器40と、発振器40を収容する外側容器5と、を有する。
【0011】
発振器40は、集積回路41と、振動素子43と、集積回路41及び振動素子43を収容する容器30と、を有する。
【0012】
容器30は、セラミック等からなるベース31と、金属、セラミック、ガラス等からなるリッド32と、で構成され、シールリングや低融点ガラス等の接合部材36を介してベース31とリッド32とが接合されている。
【0013】
ベース31は、
図2に示すように、平板状の第1基板33と、中央部が除去された環状の第2基板34と、環状の開口部が第2基板34の開口部より大きい第3基板35と、を積層して形成されている。また、第1基板33の第2基板34とは反対側の面に複数の端子37が設けられている。環状の第2基板34と第3基板35とによって、ベース31の内部に振動素子43と集積回路41とを収容する収容空間S2が形成される。収容空間S2は、気密空間であり、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されている。尚、収容空間S2の雰囲気は、特に限定されず、例えば、減圧状態であってもよいし、加圧状態であってもよい。
【0014】
第1基板33の収容空間S2側の面に、
図2に示すように、金属バンプや半田等の導通性の接合部材42を介して集積回路41が接合されている。また、第2基板34の第3基板35と重ならない部分の面に、導電性接着剤等の導通性の接合部材47を介して振動素子43が接合されている。
【0015】
なお、集積回路41は、第1基板33の収容空間S2側の面に設けられた図示しない配線や図示しない貫通電極等を介して、端子37と電気的に接続されている。また、振動素子43は、第2基板34のリッド32側の面に設けられた図示しない端子や図示しない貫通電極等を介して、集積回路41と電気的に接続されている。
【0016】
集積回路41は、容器30の収容空間S2に収容され、振動素子43を発振させるための発振回路61と、振動素子43の温度を制御する温度制御回路62と、収容空間S2内の温度を検出する温度センサー63と、収容空間S2内を加熱するヒーター64と、を有する。温度制御回路62は、温度センサー63が検出する温度に伴って、収容空間S2内が所定の温度となるようにヒーター64を制御するので、振動素子43が所定の温度に維持される。そのため、発振器40は、所定の発振周波数を常に出力することができる。
【0017】
振動素子43は、容器30の収容空間S2に収容され、平板状の基板44と、基板44の表裏の関係にある2つの面に設けられている励振電極45及びパッド電極46と、を有する。振動素子43は、X方向の一方の端部を接合部材47で容器30に固定された片持ち梁構造である。励振電極45は、2つの面に設けられた図示しないリード電極を介してパッド電極46と電気的に接続されている。従って、励振電極45は、パッド電極46や導通性の接合部材47を介して、集積回路41と電気的に接続されている。振動素子43は、励振電極45を含む基板44の質量に応じた周波数で発振する。尚、振動素子43としては、例えば、水晶振動子、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子、その他の圧電振動子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 振動子等を用いることができる。基板44の材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶や、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス等の圧電材料、又はシリコン半導体材料等を用いることができる。
【0018】
外側容器5は、セラミック等からなるベース10と、金属、セラミック、ガラス等からなるリッド27と、で構成され、シールリングや低融点ガラス等の接合部材28を介してベース10とリッド27とが接合されている。
【0019】
ベース10は、
図2に示すように、平板状のベース基板11と、中央部が除去された環状の第2基板12と、環状の開口部が第2基板12の開口部より大きい第3基板13と、を積層して形成されている。また、平面視で、第2基板12の第3基板13と重ならない部分の面に、
図1に示すように、複数の内部端子19が設けられている。更に、ベース基板11の第2面15に複数の外部端子20が設けられている。尚、内部端子19と外部端子20とは、図示しない貫通電極等を介して電気的に接続されている。環状の第2基板12と第3基板13とによって、ベース10の内部に発振器40を収容する収容空間S1が形成される。収容空間S1は、気密空間であり、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されている。なお、収容空間S1の雰囲気は、特に限定されず、例えば、減圧状態であってもよいし、加圧状態であってもよい。
【0020】
ベース基板11は、X方向及びY方向に広がる第1面14及び第1面14と表裏関係にある第2面15を有し、Z方向を厚さとする。ベース基板11の第1面14に振動素子43が収容された容器30が搭載されている。また、第1面14には、平面視で、容器30と重なる位置、つまり、容器30の外周より内側の位置に、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等の絶縁性のバンプ23が複数設けられている。
【0021】
バンプ23は、
図2及び
図3に示すように、容器30とベース基板11との間に設けられ、第1面14の接合部21に接合されている。また、第1面14とバンプ23との間にコーティング部材22が設けられており、コーティング部材22は、接合部21の表面の表面エネルギーを低減させる表面処理であるフッ素コーティング処理により形成されている。バンプ23上には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等の絶縁性の接着剤24を介して容器30が接着されている。従って、容器30は、第1面14の接合部21上にコーティング部材22、バンプ23、接着剤24の順で積層された上に搭載されている。
【0022】
尚、コーティング部材22の構成材料としては、フッ素樹脂であり、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカンポリマー、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー等である。
【0023】
また、バンプ23は、フッ素コーティング処理で形成されたコーティング部材22上に配置されている。そのため、コーティング部材22上にバンプ材料を塗布してバンプ23を形成する際、コーティング部材22により接合部21の表面エネルギーが低減しているので、バンプ材料のコーティング部材22と接触する側の表面張力が大きくなり、バンプ23は、完全な球体に近い球状となるので、バンプ23と第1面14とがなす接触角θ1が鈍角となる。尚、「接触角」とは、断面図において、バンプ23の外縁が第1面14に接する点におけるバンプ23外縁の接線と、第1面14と、がなすバンプ23側の角度である。
【0024】
従って、従来のコーティング部材22が設けられていない接合部21上にバンプ材料を塗布しバンプ23を形成する方法では、
図4に示すように、バンプ23aは、接合部21の表面エネルギーが大きいので、接合部21上に広がり半球状となるので、バンプ23aと第1面14とがなす接触角θ2が鋭角となる。そのため、
図4に示すバンプ23aの高さH2に比べ、本実施形態の
図3に示すバンプ23の高さH1を高くすることができ、容器30とベース基板11との間を広くすることができる。よって、容器30の熱がベース基板11を介して外部に伝達するのを抑制し、容器30の断熱性を高めることができ、出力される発振周波数の周波数安定性を図ることができる。
【0025】
接着剤24を介してバンプ23に接着された容器30は、ベース31に設けられた端子37がベース10に設けられた内部端子19とボンディングワイヤー52を介して電気的に接続されている。従って、ベース31に設けられた端子37とベース基板11に設けられた外部端子20とは、ボンディングワイヤー52、内部端子19、及び図示しない貫通電極等を介して電気的に接続されているので、発振器40から出力される発振周波数を外部端子20から出力することができる。
【0026】
本実施形態の振動デバイス1は、ベース基板11の第1面14とバンプ23との間に接合部21の表面の表面エネルギーを低減させるコーティング部材22が設けられている。そのため、バンプ23と第1面14とがなす接触角θ1が鈍角となり、バンプ23を高くすることができる。従って、容器30とベース基板11との間を広くすることができるので、容器30の熱がベース基板11を介して外部に伝達するのを抑制することができる。また、断熱性能が向上したことで、消費電力の低減化も図ることができる。よって、容器30の断熱性を高めることができ、低消費電力で、出力される発振周波数の周波数安定性に優れた振動デバイス1を得ることができる。
【0027】
1.2.振動デバイスの製造方法
次に、振動デバイス1の製造方法について、
図5~
図11を参照して説明する。
尚、
図6~
図11は、
図3に相当する位置の断面図である。
本実施形態の振動デバイス1の製造方法は、
図5に示すように、表面処理工程、バンプ形成工程、容器搭載工程、及び封止工程を含む。
【0028】
1.2.1.表面処理工程
ステップS1において、ベース基板11の第1面14の接合部21の表面エネルギーを低減する表面処理であるフッ素コーティング処理を施し、フッ素樹脂で構成されるコーティング部材22を形成する。具体的には、
図6に示すように、スプレー塗布装置等のスプレーノズル71先端からコーティング部材22を接合部21に噴霧し、その後、焼成することで、
図7に示すように、接合部21上にコーティング部材22が形成される。
【0029】
1.2.2.バンプ形成工程
ステップS2において、
図8に示すように、接合部21上に形成されたコーティング部材22上に、ディスペンサー72でエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等の絶縁性のバンプ部材23bを塗布する。その後、加熱してバンプ部材23bを硬化することで、
図9に示すように、コーティング部材22上に球状のバンプ23が形成される。
【0030】
1.2.3.容器搭載工程
ステップS3において、
図10に示すように、バンプ23上に、ディスペンサー72でエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等の絶縁性の接着剤24を塗布する。その後、平面視で、バンプ23及び接着剤24と重なる位置に、振動素子43が収容された容器30を配置し、加熱して接着剤24を硬化することで、
図11に示すように、バンプ23上に接着剤24を介して、容器30が接着される。
【0031】
1.2.4.封止工程
ステップS4において、ベース10の容器30が収容された収容空間S1を塞ぐように、ベース10に設けられた接合部材28上にリッド27を配置する。その後、接合部材28を溶融又は加熱し、ベース10とリッド27とを接合する。
【0032】
本実施形態の振動デバイス1の製造方法は、第1面14の接合部21に接合部21の表面の表面エネルギーを低減させるコーティング部材22を形成する表面処理工程を含んでいる。そのため、接合部21上に形成されたコーティング部材22によって、バンプ23をバンプ23と第1面14とがなす接触角θ1が鈍角となる球状とすることができ、バンプ23を高くすることができる。従って、容器30とベース基板11との間を広くすることができ、容器30の熱がベース基板11を介して外部に伝達するのを抑制することができる。よって、容器30の断熱性を高めることができ、出力される発振周波数の周波数安定性に優れた振動デバイス1を製造することができる。
【0033】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る振動デバイス1aについて、
図12及び
図13を参照して説明する。尚、
図12及び
図13は、
図3に相当する位置の断面図である。
【0034】
本実施形態の振動デバイス1aは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、コーティング部材22aを形成する表面処理工程が異なること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0035】
振動デバイス1aは、
図12に示すように、第1面14とバンプ23との間に設けられたコーティング部材22aが塗布材として塗布されることによって作成されている。従って、容器30は、第1面14の接合部21上にコーティング部材22a、バンプ23、接着剤24の順で積層された上に搭載されている。
【0036】
本実施形態の振動デバイス1aの製造方法は、表面処理工程において、
図13に示すように、接合部21上に、ディスペンサー72でエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等の絶縁性のコーティング部材22aを塗布材として塗布する。その後、塗布されたコーティング部材22aは、自重によって接合部21上に薄く広がり、その後、焼成することで、接合部21上にコーティング部材22aが形成される。コーティング部材22aの塗布量を調整することでコーティング部材22aの面積を調整することができる。
【0037】
本実施形態の振動デバイス1aは、表面処理工程において、コーティング部材22aを塗布材として塗布することで、接合部21上にコーティング部材22aを形成している。そのため、コーティング部材22aの塗布量を調整することで、コーティング部材22aの面積を調整することができる。また、第1面14とバンプ23との間にコーティング部材22aが設けられているので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
【0039】
本実施形態の振動デバイス1bは、第1実施形態の振動デバイス1に比べ、接合部21の表面処理工程が異なること以外は、第1実施形態の振動デバイス1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0040】
振動デバイス1bは、
図14に示すように、バンプ23と接する第1面14の接合部21の表面に凹凸が設けられている。接合部21の表面を荒らすことで、接合部21の表面の表面エネルギーを低減させることができる。そのため、バンプ23をバンプ23と第1面14とがなす接触角θ1が鈍角となる球状とすることができ、バンプ23を高くすることができる。
【0041】
本実施形態の振動デバイス1bの製造方法は、表面処理工程において、
図15に示すように、プラズマエッチング、ケミカルエッチング、サンドブラスト等により接合部21の表面に凹凸を設ける荒らす処理を施す。次に、バンプ形成工程において、
図16に示すように、凹凸が設けられた接合部21上に、ディスペンサー72でエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等の絶縁性のバンプ部材23bを塗布する。その後、加熱してバンプ部材23bを硬化することで、接合部21上に球状のバンプ23が形成される。
【0042】
本実施形態の振動デバイス1bは、表面処理工程において、接合部21の表面を荒らす処理を行い、接合部21の表面の表面エネルギーを低減させているので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1,1a,1b…振動デバイス、5…外側容器、10…ベース、11…ベース基板、12…第2基板、13…第3基板、14…第1面、15…第2面、19…内部端子、20…外部端子、21…接合部、22,22a…コーティング部材、23,23a…バンプ、23b…バンプ部材、24…接着剤、27…リッド、28…接合部材、30…容器、31…ベース、32…リッド、33…第1基板、34…第2基板、35…第3基板、36…接合部材、37…端子、40…発振器、41…集積回路、42…接合部材、43…振動素子、44…基板、45…励振電極、46…パッド電極、47…接合部材、52…ボンディングワイヤー、61…発振回路、62…温度制御回路、63…温度センサー、64…ヒーター、H1,H2…高さ、S1,S2…収容空間、θ1,θ2…接触角。