(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157792
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】外力吸収体、電子機器およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20241031BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241031BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241031BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241031BHJP
F16F 1/36 20060101ALI20241031BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F16F15/08 K
H05K7/20 H
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
F16F1/36 K
F16F15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072370
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大月 伸行
【テーマコード(参考)】
2K203
3J048
3J059
5E322
【Fターム(参考)】
2K203KA10
2K203KA25
2K203LA22
2K203MA19
3J048AA01
3J048AC01
3J048BA06
3J048BD01
3J048DA04
3J048EA07
3J059BA59
3J059BC06
3J059BD01
3J059CA14
3J059CB14
3J059CB18
3J059GA21
5E322BB03
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】効率良く振動を吸収できる外力吸収体、電子機器およびプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明の外力吸収体は、弾性を有し貫通孔が設けられた筒状の本体部と、本体部の外周面に配置され被接触部となる第1突起部と、本体部の内周面のうち、貫通孔の中心軸に直交する面内における、貫通孔を中心とした鈍角よりも小さい範囲において、第1突起部を間に挟む位置に配置され、被接触部となる少なくとも2つの第2突起部と、本体部における貫通孔の中心軸に沿う方向で互いに反対を向く一対の端面の少なくとも一方に配置され、被接触部となる第3突起部と、第3突起部が配置された端面に接続される外周面の端部に設けられた溝部と、を備え、貫通孔の中心軸に直交する方向において、溝部における外周面の周方向に沿う底面から貫通孔の中心軸までの第1距離は、第3突起部の最大高さとなる頂部から貫通孔の中心軸までの第2距離よりも小さい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有し、貫通孔が設けられた筒状の本体部と、
前記本体部の外周面に配置され、被接触部となる第1突起部と、
前記本体部の内周面のうち、前記貫通孔の中心軸に直交する面内における、前記貫通孔を中心とした180度よりも小さい範囲において、前記第1突起部を間に挟む位置に配置され、被接触部となる少なくとも2つの第2突起部と、
前記本体部における前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向で互いに反対を向く一対の端面のうちの少なくとも一方に配置され、被接触部となる第3突起部と、
前記第3突起部が配置された前記一対の端面のうちの少なくとも一方に接続される前記外周面の端部に設けられた溝部と、を備え、
前記貫通孔の前記中心軸に直交する方向において、前記溝部における前記外周面の周方向に沿う底面から前記貫通孔の前記中心軸までの第1距離は、前記第3突起部の最大高さとなる頂部から前記貫通孔の前記中心軸までの第2距離よりも小さい、
ことを特徴とする外力吸収体。
【請求項2】
前記本体部の周方向に間隔を置いて配置された複数の前記第1突起部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外力吸収体。
【請求項3】
前記本体部の外周面に設けられ、前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向に間隔を置いて位置し被係合部をなす一対のフランジ部をさらに備え、
前記中心軸に沿う方向において、前記第1突起部は、前記一対のフランジ部の間に位置する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外力吸収体。
【請求項4】
前記第3突起部は、環状の突起で構成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外力吸収体。
【請求項5】
前記第3突起部は、前記貫通孔の前記中心軸から等しい距離に配置された複数の突起で構成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外力吸収体。
【請求項6】
ベース部材および前記ベース部材から突出した突状体を含む筐体部と、
前記ベース部材に対向して配置された振動体と、
前記振動体を前記筐体部に取り付けるとともに、前記振動体の振動を吸収する外力吸収体と、を備え、
前記外力吸収体は、
弾性を有し、前記筐体部の前記突状体を挿入する貫通孔が設けられた筒状の本体部と、
前記本体部の外周面の周方向に間隔を置いて配置され、前記振動体に接触する第1突起部と、
前記本体部の内周面のうち、前記貫通孔の中心軸に直交する面内における、前記貫通孔を中心とした180度よりも小さい範囲において、前記第1突起部を間に挟む位置に配置され、前記突状体に接触する少なくとも2つの第2突起部と、
前記本体部における前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向で互いに反対を向く一対の端面のうちの少なくとも一方に配置され、前記筐体部の被接触部となる第3突起部と、
前記第3突起部が配置された前記端面に接続される前記外周面の周方向に沿う底面を有し、前記貫通孔の前記中心軸に直交する方向において、前記底面から前記貫通孔の前記中心軸までの第1距離が前記第3突起部の最大高さとなる頂部から前記貫通孔の前記中心軸までの第2距離よりも小さい溝部と、を有する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記振動体は、前記外力吸収体を保持する保持片を有し、
前記外力吸収体は、前記本体部の前記外周面に設けられ、前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向に間隔を置いて位置し、前記振動体の前記保持片に係合する一対のフランジ部をさらに有し、
前記第1突起部は、前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向において、前記一対のフランジ部の間に位置する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記一対のフランジ部の各々は、前記保持片と対向する面に配置され、前記保持片に接触する第4突起部を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記外力吸収体を介して前記振動体および前記筐体部が接続された状態で、
前記振動体および前記筐体部は、互いに非接触である、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記振動体は、スピーカーを含む、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記筐体部に配置された熱源をさらに備え、
前記振動体は、前記熱源を冷却するファンを含む、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子機器。
【請求項12】
請求項6または請求項7に記載の電子機器で構成された、
ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力吸収体、電子機器およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外筒の内面と内筒の外面との間に、十字状の本体部の根元部分に複数のくびれ部を形成した防振ゴムを外力吸収体として設けた防振ブッシュがある(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記防振ブッシュの防振ゴムは、くびれ部によって外筒からの振動を効率良く吸収できるが、外筒および内筒の軸方向に沿う振動を十分に吸収することが難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の1つの態様によれば、弾性を有し、貫通孔が設けられた筒状の本体部と、前記本体部の外周面に配置され、被接触部となる第1突起部と、前記本体部の内周面のうち、前記貫通孔の中心軸に直交する面内における、前記貫通孔を中心とした180度よりも小さい範囲において、前記第1突起部を間に挟む位置に配置され、被接触部となる少なくとも2つの第2突起部と、前記本体部における前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向で互いに反対を向く一対の端面のうちの少なくとも一方に配置され、被接触部となる第3突起部と、前記第3突起部が配置された前記一対の端面のうちの少なくとも一方に接続される前記外周面の端部に設けられた溝部と、を備え、前記貫通孔の前記中心軸に直交する方向において、前記溝部における前記外周面の周方向に沿う底面から前記貫通孔の前記中心軸までの第1距離は、前記第3突起部の最大高さとなる頂部から前記貫通孔の前記中心軸までの第2距離よりも小さい、外力吸収体が提供される。
【0006】
本発明の別の態様によれば、ベース部材および前記ベース部材から突出した突状体を含む筐体部と、前記ベース部材に対向して配置された振動体と、前記振動体を前記筐体部に取り付けるとともに、前記振動体の振動を吸収する外力吸収体と、を備え、前記外力吸収体は、性を有し、前記筐体部の前記突状体を挿入する貫通孔が設けられた筒状の本体部と、前記本体部の外周面の周方向に間隔を置いて配置され、前記振動体に接触する第1突起部と、前記本体部の内周面のうち、前記貫通孔の中心軸に直交する面内における、前記貫通孔を中心とした180度よりも小さい範囲において、前記第1突起部を間に挟む位置に配置され、前記突状体に接触する少なくとも2つの第2突起部と、前記本体部における前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向で互いに反対を向く一対の端面のうちの少なくとも一方に配置され、前記筐体部の被接触部となる第3突起部と、前記第3突起部が配置された前記端面に接続される前記外周面に設けられた溝部と、一対の端面のうち少なくとも一方に配置され、前記筐体部に接触する第3突起と、前記第3突起部が配置された前記端面に接続される前記外周面の周方向に沿う底面を有し、前記貫通孔の中心軸に直交する方向において、前記底面から前記貫通孔の前記中心軸までの第1距離が前記第3突起部の最大高さとなる頂部から前記貫通孔の前記中心軸までの第2距離よりも小さい溝部と、を有する、電子機器が提供される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、上記態様の電子機器で構成された、ことを特徴とするプロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図2】画像形成ユニットの概略構成を示す図である。
【
図4】
図3のIV-IV線矢視によるブッシュ部材の断面図である。
【
図5】
図3のV-V線矢視によるブッシュ部材の断面図である。
【
図6】ブッシュ部材によるスピーカーユニットの保持構造を示す断面図である。
【
図7】第1変形例に係る第3突起部の構成を示す平面図である。
【
図8】第2変形例に係る電子機器の要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
本実施形態の電子機器は、被投射面であるスクリーン上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置、すなわち、プロジェクターに関するものである。
図1はプロジェクターの概略構成を示す分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の電子機器であるプロジェクター100は、ケース本体101と、筐体部110と、振動体であるスピーカーユニット105と、画像形成ユニット104と、複数の外力吸収体であるブッシュ部材10と、を備える。
【0012】
以下、図面中に示すXYZ座標系を用いて各部材の配置関係を説明する場合がある。各図面において、Y軸はプロジェクター100が画像を投射する方向に沿う軸である。Z軸はY軸に直交し、ブッシュ部材10に対して筐体部110から突出する突状体を挿入する方向に沿う軸である。Y軸はX軸およびZ軸に直交する軸であり、画像を投射する被投射面であるスクリーンの幅方向に沿う軸である。
【0013】
本実施形態では、例えば、Z軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「上下方向Z」、+Z方向に向かう方向を「上側」、-Z方向に向かう方向を「下側」と称す。また、X軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「左右方向X」、+X方向に向かう方向を「右側」、-X方向に向かう方向を「左側」と称する。また、Y軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター100における「前後方向Y」、+Y方向に向かう方向を「前側」、-Y方向に向かう方向を「後側」と称す場合がある。
なお、上下方向Z、前後方向Yおよび左右方向Xとは、単にプロジェクター100の各構成部材の配置関係を説明するための名称であって、プロジェクター100における実際の設置姿勢や向きを規定するものではない。
【0014】
ケース本体101はプロジェクター100の外装の一部をなす。筐体部110は、プロジェクター100の構成部材を保持するベース部材102と、ベース部材102から下側に向けて突出する複数の突状体12と、ケース本体101とともにプロジェクター100の外装の一部をなす底板部103と、底板部103からベース部材102に向けて突出する複数の台座部13と、を含む。突状体12および台座部13は、後述のようにブッシュ部材10を介してスピーカーユニット105を保持する保持部材として機能する。このため、ベース部材102における突状体12の数および底板部103における台座部13の数はそれぞれブッシュ部材10と等しい。
【0015】
画像形成ユニット104は画像光を形成するユニットである。画像形成ユニット104はベース部材102の上側に保持される。
図2は画像形成ユニット104の概略構成を示す図である。
【0016】
図2に示すように、画像形成ユニット104は、照明装置112と、色分離光学系113と、光変調装置114Rと、光変調装置114Gと、光変調装置114Bと、合成光学系115と、投射光学装置116と、不図示の筐体と、を備える。
【0017】
照明装置112は、色分離光学系113に向けて白色の照明光WLを射出する。
色分離光学系113は、照明装置112から射出された照明光WLを、赤色光LRと、緑色光LGと、青色光LBとに分離する。色分離光学系113は、第1ダイクロイックミラー117aと、第2ダイクロイックミラー117bと、第1反射ミラー118aと、第2反射ミラー118bと、第3反射ミラー118cと、第1リレーレンズ119aと、第2リレーレンズ119bと、を備えている。
【0018】
第1ダイクロイックミラー117aは、照明装置112からの照明光WLを、赤色光LRと、緑色光LGおよび青色光LBを含む光と、に分離する。第1ダイクロイックミラー117aは、赤色光LRを透過するとともに、緑色光LGおよび青色光LBを含む光を反射する。一方、第2ダイクロイックミラー117bは、緑色光LGを反射するとともに、青色光LBを透過する。これにより、第2ダイクロイックミラー117bは、緑色光LGと青色光LBとを含む光を緑色光LGと青色光LBとに分離する。
【0019】
第1反射ミラー118aは、赤色光LRの光路中に配置され、第1ダイクロイックミラー117aを透過した赤色光LRを光変調装置114Rに向けて反射する。一方、第2反射ミラー118bおよび第3反射ミラー118cは、青色光LBの光路中に配置され、第2ダイクロイックミラー117bを透過した青色光LBを光変調装置114Bに導く。緑色光LGは、第2ダイクロイックミラー117bから光変調装置114Gに向けて反射される。
【0020】
第1リレーレンズ119aは、青色光LBの光路中における第2ダイクロイックミラー117bおよび第2反射ミラー118bの間に配置されている。第2リレーレンズ119bは、青色光LBの光路中における第2反射ミラー118bおよび第3反射ミラー118cの間に配置されている。第1リレーレンズ119aおよび第2リレーレンズ119bは、青色光LBの光路長が赤色光LRや緑色光LGの光路長よりも長くなることに起因した青色光LBの光損失を補償する。
【0021】
光変調装置114Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置114Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置114Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0022】
光変調装置114R、光変調装置114G、および光変調装置114Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側および射出側のそれぞれには、図示しない偏光板が配置されている。
【0023】
光変調装置114Rの入射側には、フィールドレンズ110Rが配置されている。フィールドレンズ110Rは、光変調装置114Rに入射する赤色光LRを平行化する。光変調装置114Gの入射側には、フィールドレンズ110Gが配置されている。フィールドレンズ110Gは、光変調装置114Gに入射する緑色光LGを平行化する。光変調装置114Bの入射側には、フィールドレンズ110Bが配置されている。フィールドレンズ110Bは、光変調装置114Bに入射する青色光LBを平行化する。
【0024】
合成光学系115には、光変調装置114R、光変調装置114G、および光変調装置114Bから射出される画像光が入射する。合成光学系115は、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBのそれぞれに対応する画像光を合成し、合成された画像光を投射光学装置116に向けて射出する。合成光学系115には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
【0025】
投射光学装置116は、複数の投射レンズを有する。投射光学装置116は、合成光学系115により合成された画像光をスクリーンに向けて拡大投射する。これにより、スクリーン上には、拡大された映像が表示される。
【0026】
図1に戻り、スピーカーユニット105は、上下方向Zにおいて、ベース部材102と底板部103との間に配置される。具体的にスピーカーユニット105は、ベース部材102の下側の面および底板部103の上側の面に対向して配置される。
【0027】
スピーカーユニット105は、複数のスピーカー106と、スピーカー筐体107と、を含む。複数のスピーカー106は、低音域に対応する低音スピーカーや、中高音域に対応する中高音スピーカーで構成される。なお、スピーカーユニット105におけるスピーカー106の数はこれに限られない。
【0028】
スピーカーユニット105は、スピーカー106から音波を発生する際に振動する。複数のブッシュ部材10は、スピーカーユニット105を筐体部110に取り付けるとともに、スピーカーユニット105の振動を吸収する外力吸収体として機能する。ブッシュ部材10は、例えば、ゴムや樹脂などの弾性を有する材料で構成される。
【0029】
本実施形態の場合、スピーカーユニット105に4個のブッシュ部材10が取り付けられる。なお、スピーカーユニット105に取り付けるブッシュ部材10の数はこれに限られない。
【0030】
スピーカー筐体107は、各スピーカー106の背面を覆うことで音質を向上させるエンクロージャーとして機能する。なお、スピーカー筐体107は内部空間を密閉状態とする構成でも良いし、筐体部110を介して内部空間と外部とを連通させる構成を採用してもよい。あるいは、内部空間と筐体部110の開口部とでバスレフを構成してもよい。
【0031】
スピーカー筐体107は、複数のブッシュ部材10をそれぞれ保持するブッシュ保持部108を複数有する。各ブッシュ保持部108は、上下方向Zから平面視した状態で、スピーカー筐体107の外周面に対して内側に窪む凹部で構成される。
【0032】
ブッシュ保持部108は、ブッシュ部材10を収容する収容凹部108aと、ブッシュ部材10を保持するブッシュ保持片108bと、を有する。収容凹部108aは、スピーカー筐体107を上下方向Zに貫通する貫通孔で構成される。収容凹部108aは、スピーカー筐体107の外周面の一部を開口させることで、スピーカー筐体107の外側からブッシュ部材10を挿入可能とする。
【0033】
ブッシュ保持片108bは、ブッシュ部材10を保持する保持片であり、収容凹部108aの内面から法線方向に突出した板状体で構成される。ブッシュ保持片108bは上下方向Zから平面視した状態で、略C字状の平面形状を有する。ブッシュ保持部108は、スピーカー筐体107の外側から内側に向かって挿入されたブッシュ部材10を保持する。このような構成に基づいて、本実施形態のスピーカーユニット105は、スピーカー筐体107に対してブッシュ部材10を容易に取り付け可能である。ブッシュ部材10には貫通孔9Hが設けられている。
【0034】
図1に示すように、スピーカーユニット105は、スピーカー筐体107の複数のブッシュ保持部108の各々に配置したブッシュ部材10を介して、ベース部材102および底板部103に接続される。
【0035】
続いて、複数のブッシュ部材10の構成について図面を参照しつつ説明する。なお、複数のブッシュ部材10はいずれも等しいため、1つのブッシュ部材10の構成を例に挙げて説明する。
【0036】
図3から
図5はブッシュ部材10の構成を示す図である。
図3はブッシュ部材10の構成を示す斜視図であり、
図4は
図3のIV-IV線矢視によるブッシュ部材10の断面図であり、
図5は
図3のV-V線矢視によるブッシュ部材10の断面図である。なお、
図5では、ブッシュ部材10の各部位の説明を分かり易くするため、ブッシュ部材10が接触するスピーカーユニット105のブッシュ保持片108bおよびベース部材102の突状体12も二点鎖線で示した。
【0037】
以下、
図3から
図5において、ブッシュ部材10の構造を説明するに際し、ブッシュ部材10の中心軸10C周りの方向を「周方向」、中心軸10Cに直交する方向を「径方向」、径方向のうち中心軸10Cから遠ざかる方向を「径方向外側」、径方向のうち中心軸10Cに近づく方向を「径方向内側」と称す。
図3から
図5において、ブッシュ部材10の中心軸10Cは上下方向Zに一致している。
【0038】
図3に示すように、ブッシュ部材10は、弾性を有する本体部9と、第1突起部1と、第2突起部2と、第3突起部3と、一対の溝部4と、一対のフランジ部5と、を備える。
本体部9は、中心軸10Cに沿って延びる貫通孔9Hが設けられた筒状体である。貫通孔9Hの中心を通る軸は中心軸10Cに一致する。以下、貫通孔9Hの中心を通る軸を中心軸10Cと称す。
【0039】
本体部9は、上下方向Zの両端に位置する上端面9aおよび下端面9bと、上端面9aおよび下端面9bの径方向外側を接続する外周面9cと、上端面9aおよび下端面9bの径方向内側を接続する内周面9dと、を有する。本明細書において、本体部9の外周面9cとは後述する溝部4やフランジ部5によって生じた凹凸を含む面全体を意味する。
【0040】
第1突起部1は、本体部9の外周面9cの周方向に間隔を置いて配置され、被接触体であるスピーカー筐体107、具体的にはブッシュ保持片108bに接触する。本実施形態の場合、
図5に示すように、第1突起部1は、外周面9cの周方向に等間隔で6つ配置される。複数の第1突起部1は本体部9と一体に形成されるため、複数の第1突起部1は弾性を有する。
【0041】
第2突起部2は、本体部9の内周面9dのうち、貫通孔9Hの中心軸10Cに直交する面内に配置され、被接触部である突状体12に接触する。本実施形態の場合、
図5に示すように、第2突起部2は、本体部9の内周面9dの周方向に等間隔で6つ配置される。複数の第2突起部2は本体部9と一体に形成されるため、複数の第2突起部2は弾性を有する。なお、複数の第2突起部2の先端を結んだ仮想的な円の内径は突状体12の外径と同等あるいは僅かに小さい。
【0042】
第1突起部1の各々と第2突起部2の各々とは、周方向において、互いの位置が異なる。ここで、6つの第2突起部2のうち周方向において隣り合う2つの第2突起部2に着目する。本実施形態において、2つの第2突起部2は、貫通孔9Hを中心とした60度より小さい範囲において、1つの第1突起部1を間に挟む位置に配置される。
【0043】
ここで、仮に第1突起部1および第2突起部2が本体部9の径方向に並んで配置されていたとする。この場合において、例えば、スピーカーユニット105の振動がブッシュ保持片108bを介して径方向に伝わることで、第1突起部1に対して径方向内側の負荷が加わった際、本体部9が径方向内側に向かう変位が突状体12に当接する第2突起部2により阻害されてしまう。このため、第1突起部1に対して径方向に加わった負荷は、第1突起部1および第2突起部2の弾性変形による変位によって吸収される。しかしながら、第1突起部1および第2突起部2の弾性変形による変位のみではスピーカーユニット105から径方向に伝わった振動を十分に吸収することは難しい。
【0044】
これに対して、本実施形態のブッシュ部材10の構成によれば、スピーカーユニット105の振動によって第1突起部1に対して径方向に負荷が加わった場合に、第1突起部1および第2突起部2が弾性変形するとともに、第1突起部1および第2突起部2が本体部9の径方向に並ばないことで、
図5中の二点鎖線で示すように本体部9のうち周方向において第1突起部1を挟む2つの第2突起部2の間に位置する部位を径方向に大きく変位させることができる。よって、本実施形態のブッシュ部材10は、スピーカーユニット105から径方向に伝わった振動を効率良く吸収することができる。
【0045】
本実施形態の場合、第1突起部1および第2突起部2がそれぞれ6つずつ配置されるが、第1突起部1および第2突起部2の数はこれに限られない。例えば、本体部9の外周面9cに第1突起部1を1つだけ配置する場合、第2突起部2は本体部9の内周面9dに第2突起部2を少なくとも2つだけ配置されていればよい。この場合において、少なくとも2つの第2突起部2は、第2突起部2は本体部9の内周面9dのうち、貫通孔9Hを中心とした180度よりも小さい範囲に1つの第1突起部1を挟む位置に配置すればよい。
【0046】
このように2つの第2突起部2が貫通孔9Hを中心とした180度よりも大きい範囲に1つの第1突起部1を挟む位置に配置した場合、第1突起部1に径方向に振動の負荷が生じると、第2突起部2で負荷応力に対して反発できず、第1突起部1は変形して支持部15に当接することになる。そのため、負荷応力を吸収することができず、振動を支持部15に伝搬させてしまう。
【0047】
図3に示すように、本実施形態の第3突起部3は環状の突起で構成される。環状の第3突起部3は貫通孔9Hの中心軸10Cに沿う方向からの外力を広い範囲で受け止めることで後述のように振動による負荷を効率良く吸収することができる。
【0048】
第3突起部3は、本体部9における貫通孔9Hの軸方向、つまり中心軸10Cに沿う上下方向Zで、互いに反対を向く一対の端面のうちの少なくとも一方に配置される。本実施形態の場合、
図4に示すように、第3突起部3が本体部9の上端面9aおよび下端面9bにそれぞれ配置され、被接触部である筐体部110に接触する。本実施形態のブッシュ部材10は第3突起部3を2つ備える。2つの第3突起部3は本体部9と一体に形成されるため、2つの第3突起部3は弾性を有する。
【0049】
一対の溝部4は本体部9の外周面9cの周方向に沿って形成される。一対の溝部4は、本体部9の外周面9cの上下方向Zにおける両端部にそれぞれ位置する。一方の溝部4は第3突起部3が配置された上端面9aに接続された外周面9cの上端部9c1に配置される。他方の溝部4は第3突起部3が配置された下端面9bに接続された外周面9cの下端部9c2に配置される。
【0050】
図4において、外周面9cの上端部9c1に配置された溝部4における外周面9cの周方向に沿う底面4aから貫通孔9Hの中心軸10Cまでの距離を第1距離L1とする。本実施形態の場合、第1距離L1は、凹面状の底面4aのうちの最も深い面から中心軸10Cまでの距離、つまり中心軸10Cとの最短距離を意味する。
【0051】
また、第3突起部3の最大高さとなる頂部3aから貫通孔9Hの中心軸10Cまでの距離を第2距離L2とする。本実施形態のブッシュ部材10において、第1距離L1は第2距離L2よりも小さい。なお、外周面9cの下端部9c2に配置された第3突起部3と溝部4の底面4aとの間における上記距離についても同様の関係が成り立つ。
【0052】
この構成によって、溝部4の底面4aは、第3突起部3の上下方向Zにおける直下よりも径方向内側に位置する。本体部9の上端面9aおよび下端面9bのうち第3突起部3の周辺部分の剛性が溝部4によって相対的に低くなっている。このため、例えば、スピーカーユニット105の振動がブッシュ保持片108bを介して上下方向Zに伝わると、第3突起部3に上下方向Zの負荷が加わる。このとき、ブッシュ部材10は、第3突起部3が弾性変形するとともに上端面9aおよび下端面9bが上下方向Zに撓むように変位する。つまり、ブッシュ部材10は、溝部4の隙間を埋めるように変形し、振動を吸収する。よって、実施形態のブッシュ部材10は、スピーカーユニット105から上下方向Z、つまり中心軸10Cに沿う方向に伝わった振動を効率良く吸収することができる。
【0053】
本実施形態のブッシュ部材10によれば、スピーカーユニット105から径方向あるいは中心軸10Cに沿う方向のいずれの方向から伝わる振動も効率良く吸収することが可能である。
【0054】
一対のフランジ部5は本体部9の外周面9cに設けられる。一対のフランジ部5は貫通孔9Hの中心軸10Cに沿う上下方向Zに間隔を置いて位置し被係合部として機能する。具体的に一対のフランジ部5はスピーカーユニット105のブッシュ保持片108bに係合する(
図1参照)。
【0055】
中心軸10Cに沿う上下方向Zにおいて、一対のフランジ部5は一対の溝部4の間に位置する。また、上下方向Zにおいて、複数の第1突起部1は、
図3に示すように、一対のフランジ部5の間に位置する。この構成によれば、
図5に示すように、複数の第1突起部1の各々は、一対のフランジ部5の間に挟まれたスピーカーユニット105のブッシュ保持片108bの内周面108b1に当接することができる。よって、ブッシュ部材10は、ブッシュ保持片108bに対する径方向のガタツキを抑制した状態で、スピーカーユニット105のブッシュ保持部108に安定した状態で保持される。
【0056】
本実施形態において、一対のフランジ部5の各々は、
図3、
図4および
図5に示すように、ブッシュ保持片108bと対向する面に、ブッシュ保持片108bに接触する第4突起部である接触突起部109を有する。
図3に示すように、一対のフランジ部5の各々に設けられた接触突起部109は、上下方向Zにおいて、互いに対向するように配置されている。本実施形態の場合、上下方向Zにおいて互いに対向する接触突起部109の間の隙間は、ブッシュ保持片108bの厚さと同等あるいは僅かに狭い。
図5に示すように、各接触突起部109は、周方向において、第1突起部1と同じ位置に配置されている。本実施形態の場合、接触突起部109は第1突起部1と一体に形成されている。
【0057】
図6はブッシュ部材10を介してベース部材102および底板部103がスピーカーユニット105を保持する構造を示す断面図である。
【0058】
図6に示すように、スピーカーユニット105は、ブッシュ保持片108bに装着したブッシュ部材10の貫通孔9Hの上側からベース部材102の突状体12を挿入し、貫通孔9Hの下側に突出する突状体12とブッシュ部材10の本体部9の下端面9bに設けられた第3突起部3とを底板部103の台座部13で受け、突状体12および台座部13をねじ部材14で固定する。このようにして、スピーカーユニット105は筐体部110を構成するベース部材102および底板部103にブッシュ部材10を介して接続される。なお、突状体12にはねじ部材14に螺合する雌ねじ12aが設けられ、台座部13にはねじ部材14を挿通させるねじ穴13aが設けられている。
【0059】
ブッシュ部材10を介してスピーカーユニット105および筐体部110が接続された状態で、ブッシュ部材10は、本体部9の上端面9aに設けられた第3突起部3が筐体部110に接触する。具体的に上端面9aに設けられた第3突起部3は、筐体部110のベース部材102において突状体12を支持する支持部15に当接する。
また、ブッシュ部材10は、本体部9の下端面9bに設けられた第3突起部3が筐体部110における底板部103の台座部13に当接する。
【0060】
ブッシュ部材10は、本体部9の上端面9aおよび下端面9bに設けられた第3突起部3がベース部材102の支持部15と底板部103の台座部13にそれぞれ当接する。これにより、ブッシュ部材10は、上下方向Zのガタツキを抑制した状態で、ベース部材102および底板部103間に安定して保持される。
【0061】
また、ブッシュ部材10は、
図5に示したように、本体部9の貫通孔9Hに挿入された突状体12に対して、内周面9dに設けられた複数の第2突起部2が当接する。本実施形態の場合、上述のように複数の第2突起部2の先端を結んだ仮想的な円の内径が突状体12の外径と同等あるいは僅かに小さい。よって、ブッシュ部材10は、貫通孔9Hに挿入された突状体12に対する径方向のガタツキを抑制できる。
【0062】
また、ブッシュ部材10は、一対のフランジ部5の内面に上下方向Zにおいて対をなすように配置された接触突起部109がスピーカーユニット105のブッシュ保持片108bを挟む。これにより、ブッシュ部材10は、ブッシュ保持片108bに対する上下方向Zのガタツキを抑制した状態で、スピーカーユニット105のブッシュ保持部108に安定して保持される。
【0063】
また、ブッシュ部材10は、本体部9の周方向において第1突起部1および接触突起部109を同じ位置に配置している。この構成によれば、
図3に示すように、中心軸10Cに沿う同一の面内において、ブッシュ部材10は、上下方向Zで一対の接触突起部109によりブッシュ保持片108bを保持するとともに、第1突起部1によりブッシュ保持片108bを径方向に保持することができる。よって、ブッシュ部材10は、中心軸10Cに沿う同一の面内において、ブッシュ保持片108bに3面で接触するため、スピーカーユニット105に安定した状態で保持される。
【0064】
このように本実施形態のスピーカーユニット105によれば、ガタツキのない状態で保持したブッシュ部材10を介して、筐体部110、具体的にはベース部材102の突状体12および底板部103の台座部13に接続される。
【0065】
本実施形態のプロジェクター100において、スピーカーユニット105で生じた振動がブッシュ部材10へと伝わると、ブッシュ部材10が変形する。スピーカーユニット105による振動はブッシュ部材10に対して色々な方向から伝わるが、本実施形態のブッシュ部材10はスピーカーユニット105から径方向あるいは中心軸10Cに沿う方向のいずれの方向から伝わる振動も効率良く吸収することができる。
【0066】
本実施形態のスピーカーユニット105は、筐体部110に接続された状態で、ベース部材102および底板部103の両方と非接触である。つまり、ブッシュ部材10を介してスピーカーユニット105および筐体部110が接続された状態で、スピーカーユニット105および筐体部110は、互いに非接触である。このように本実施形態のスピーカーユニット105によれば、ブッシュ部材10を介して、ベース部材102および底板部103から離間した状態、すなわち浮いた状態に保持される。よって、本実施形態のスピーカーユニット105の振動は、上述のようにブッシュ部材10の軸方向および径方向の変形によって効率良く吸収されるため、スピーカーユニット105で発生した振動がベース部材102および底板部103に直接伝わることを抑制できる。よって、ブッシュ部材10の振動吸収性能をより高めることができる。
【0067】
以上のように本実施形態のブッシュ部材10は、弾性を有し、貫通孔9Hが設けられた筒状の本体部9と、本体部9の外周面9cに配置され、スピーカーユニット105の被接触部となる第1突起部1と、本体部9の内周面9dのうち、貫通孔9Hの中心軸10Cに直交する面内における、貫通孔9Hを中心とした180度よりも小さい範囲において、第1突起部1を間に挟む位置に配置され、突状体12の被接触部となる少なくとも2つの第2突起部2と、本体部9における貫通孔9Hの中心軸10Cに沿う方向で互いに反対を向く上端面9aおよび下端面9bに配置され、ベース部材102および底板部103の被接触部となる第3突起部3と、第3突起部3が配置された上端面9aおよび下端面9bに接続される外周面9cの上端部9c1および下端部9c2に設けられた溝部4と、を備える。貫通孔9Hの中心軸10Cに直交する方向において、溝部4における外周面9cの周方向に沿う底面4aから貫通孔9Hの中心軸10Cまでの第1距離L1は、第3突起部3の最大高さとなる頂部3aから貫通孔9Hの中心軸10Cまでの第2距離L2よりも小さい。
【0068】
本実施形態のブッシュ部材10によれば、スピーカーユニット105の振動によって第1突起部1に対して径方向に負荷が加わった場合に、本体部9のうち周方向において第1突起部1を挟む2つの第2突起部2の間に位置する部位を径方向に大きく変位させることができる。これにより、スピーカーユニット105から径方向に伝わった振動を効率良く吸収できる。
また、本実施形態のブッシュ部材10によれば、スピーカーユニット105の振動によって第3突起部3に対して中心軸10Cに沿う方向に負荷が加わった場合に、第3突起部3とともに上端面9aおよび下端面9bが中心軸10Cに沿う方向に変位し、溝部4の隙間を埋めるように変形させることができる。これにより、スピーカーユニット105から中心軸10Cに沿う方向に伝わった振動を効率良く吸収できる。
したがって、本実施形態のブッシュ部材10によれば、スピーカーユニット105から径方向あるいは中心軸10Cに沿う方向を含むいずれの方向から伝わる振動も効率良く吸収することができる。
【0069】
また、本実施形態のプロジェクター100は、ベース部材102およびベース部材102から突出した突状体12を含む筐体部110と、ベース部材102に対向して配置されたスピーカーユニット105と、スピーカーユニット105を筐体部110に取り付けるとともに、スピーカーユニット105の振動を吸収するブッシュ部材10と、を備える。
ブッシュ部材10は、弾性を有し、貫通孔9Hが設けられた筒状の本体部9と、本体部9の外周面9cに配置され、スピーカーユニット105の被接触部となる第1突起部1と、本体部9の内周面9dのうち、貫通孔9Hの中心軸10Cに直交する面内における、貫通孔9Hを中心とした180度よりも小さい範囲において、第1突起部1を間に挟む位置に配置され、突状体12の被接触部となる少なくとも2つの第2突起部2と、本体部9における貫通孔9Hの中心軸10Cに沿う方向で互いに反対を向く上端面9aおよび下端面9bに配置され、ベース部材102および底板部103の被接触部となる第3突起部3と、第3突起部3が配置された上端面9aおよび下端面9bに接続される外周面9cの周方向に沿う底面4aを有し、貫通孔9Hの中心軸10Cに直交する方向において、底面4aから貫通孔9Hの中心軸10Cまでの第1距離L1が第3突起部3の最大高さとなる頂部3aから貫通孔9Hの中心軸10Cまでの第2距離L2よりも小さい溝部4と、を有する。
【0070】
本実施形態のプロジェクター100によれば、ブッシュ部材10を備えることで、径方向あるいは中心軸10Cに沿う方向を含むいずれの方向へとスピーカーユニット105から伝わる振動を効率良く吸収することができる。よって、本実施形態のプロジェクター100は、スピーカーユニット105による振動による騒音等を抑制した静音性に優れた付加価値の高いプロジェクターを提供できる。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、プロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0072】
上記実施形態では、ブッシュ部材10の本体部9の上端面9aおよび下端面9bの両方に第3突起部3を配置する場合を例に挙げたが、第3突起部3は上端面9aおよび下端面9bのいずれか一方のみに配置してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、第3突起部3は環状の突起で構成される場合を例に挙げたが、第3突起部3は周方向の全体で連続している必要はない。例えば、第3突起部3は周方向において間隔を空けて複数のスリットが形成されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ブッシュ部材10の貫通孔9Hに挿入したベース部材102の突状体12に対して底板部103の台座部13側からねじ部材14で固定する場合を例に挙げたが、ブッシュ部材10の保持構造はこれに限られない。例えば、底板部103から突出する突状体をブッシュ部材10の貫通孔9Hの下側から挿入し、ベース部材102側に設けた台座部側からねじ部材で固定する構造を採用してもよい。
【0075】
(第1変形例)
以下、第1変形例として第3突起の別の構成について説明する。
図7は第1変形例に係る第3突起部の構成を示す平面図である。
図7に示すように、第3突起部30は、貫通孔9Hの中心軸10Cから等しい距離に配置された複数の突起30aで構成されていてもよい。この構成によれば、複数の突起30aの各々が独立して変形することで、中心軸10Cに沿う上下方向Zの振動吸収効果をより高めることができる。また、複数の突起30aの数は
図7に示す形態に限られず、少なくとも周方向において3つ配置されていればよい。
【0076】
上記実施形態では、振動体としてのスピーカーおよびスピーカーの振動を吸収する振動吸収体を備えるプロジェクターを例に挙げたが、本発明はスピーカー以外の振動を発生させる振動体および振動体の振動を吸収する外力吸収体を備える電子機器であればいずれにも適用可能である。
【0077】
(第2変形例)
以下、第2変形例として電子機器の別の構成について説明する。
図8は第2変形例に係る電子機器の要部構成を示す図である。
図8に示すように、本変形例の電子機器200は、筐体部210と、熱源である電源220と、振動体であるファン230と、複数のブッシュ部材10と、を備えている。本実施形態の電子機器200は、例えば、電源220とファン230とを内蔵したディスプレイ等の表示装置である。
【0078】
筐体部210は、ベース部材211と、ベース部材211から突出する突状体212と、底板部213と、を含む。電源220は、電子機器200を構成する各装置に対して電力を供給する。電源220は、駆動時に熱を発生するため、電子機器200内で熱を発生する熱源である。電源220は、ベース部材211に保持される。ベース部材211には、電源220の一部を露出させる開口211aが設けられている。
【0079】
ファン230は、熱源である電源220を冷却する冷却ファンである。ファン230は、電源220に対してベース部材211と反対側に配置される。ファン230は、ベース部材211の開口211aを介して電源220に冷却風を送る。
【0080】
ファン230は、ファン本体231と、ファン本体231を収容するケース232とを有する。ケース232は、複数のブッシュ部材10をそれぞれ保持するブッシュ保持部233を複数有する。各ブッシュ保持部233は、上下方向Zから平面視した状態で、矩形状のケース232の角部に位置する凹部で構成される。
【0081】
ブッシュ保持部233は、ブッシュ部材10を収容する収容凹部233aと、ブッシュ部材10を保持する保持片であるブッシュ保持片233bと、を有する。
ブッシュ保持片233bは上下方向Zから平面視した状態で、略C字状の平面形状を有する。ブッシュ保持部233は、ファン230のケース232の外側から内側に向かって挿入されたブッシュ部材10を保持する。このような構成に基づいて、ファン230は、ケース232に対してブッシュ部材10を容易に取り付け可能である。
【0082】
ファン230は、ブッシュ保持片233bに装着したブッシュ部材10の貫通孔9Hの上側からベース部材211の突状体212を挿入し、貫通孔9Hの下側に突出する突状体212とブッシュ部材10の下側の第3突起部3とを底板部213の台座部214で受け、突状体212および台座部214をねじ部材14で固定する。このようにして、ファン230は筐体部210を構成するベース部材211および底板部213にブッシュ部材10を介して接続される。
【0083】
ブッシュ部材10を介してファン230および筐体部210が接続された状態で、ブッシュ部材10は、上下一対の第3突起部3がベース部材211および底板部213に当接する。これにより、ブッシュ部材10は、上下方向Zのガタツキを抑制した状態で、ベース部材211および底板部213間に安定して保持される。
【0084】
本変形例の電子機器200によれば、ブッシュ部材10を備えることで、径方向あるいは中心軸10Cに沿う方向を含む様々な方向へとファン230から伝わる振動を効率良く吸収することができる。よって、本変形例の電子機器200は、ファン230による振動による騒音等を抑制した静音性に優れた電子機器を提供できる。
【0085】
本変形例の電子機器200において、ファン230は、ブッシュ部材10を介して、筐体部210、具体的にはベース部材211の突状体212および底板部213の台座部214に接続される。ファン230は、筐体部210に接続された状態で、ベース部材211および底板部213の両方と非接触である。よって、ファン230の振動は、上述のようにブッシュ部材10の軸方向および径方向の変形によって効率良く吸収されるため、ファン230で発生した振動がベース部材211および底板部213に直接伝わることを抑制できる。よって、ブッシュ部材10の振動吸収性能をより高めることができる。
【0086】
なお、本発明の電子機器は、例えば、熱源となる光源や電源を冷却する振動体としてファンをブッシュ部材10により筐体部内に取り付ける構成を有するプロジェクターにも適用可能である。
【0087】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
弾性を有し、貫通孔が設けられた筒状の本体部と、
前記本体部の外周面に配置され、被接触部となる第1突起部と、
前記本体部の内周面のうち、前記貫通孔の中心軸に直交する面内における、前記貫通孔を中心とした180度よりも小さい範囲において、前記第1突起部を間に挟む位置に配置され、被接触部となる少なくとも2つの第2突起部と、
前記本体部における前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向で互いに反対を向く一対の端面のうちの少なくとも一方に配置され、被接触部となる第3突起部と、
前記第3突起部が配置された前記一対の端面のうちの少なくとも一方に接続される前記外周面の端部に設けられた溝部と、を備え、
前記貫通孔の前記中心軸に直交する方向において、前記溝部における前記外周面の周方向に沿う底面から前記貫通孔の前記中心軸までの第1距離は、前記第3突起部の最大高さとなる頂部から前記貫通孔の前記中心軸までの第2距離よりも小さい、
ことを特徴とする外力吸収体。
【0088】
付記1の外力吸収体によれば、振動体からの振動によって第1突起部に対して径方向に負荷が加わった場合に、第1突起部および第2突起部が弾性変形するとともに、本体部のうち周方向において第1突起部を挟む2つの第2突起部の間に位置する部位を径方向に大きく変位させることができる。これにより、振動体から径方向に伝わった振動を効率良く吸収できる。
また、付記1の外力吸収体によれば、振動体からの振動によって第3突起部に対して中心軸に沿う方向に負荷が加わった場合に、第3突起部が弾性変形するとともに、第3突起部とともに本体部の端面が中心軸に沿う方向に変位し、溝部の隙間を埋めるように変形させることができる。これにより、振動体から中心軸に沿う方向に伝わった振動を効率良く吸収できる。
したがって、付記1の外力吸収体によれば、振動体から径方向あるいは中心軸に沿う方向を含むいずれの方向から伝わる振動も効率良く吸収することができる。
【0089】
(付記2)
前記本体部の周方向に間隔を置いて配置された複数の前記第1突起部を備える、
ことを特徴とする付記1に記載の外力吸収体。
【0090】
付記2の構成によれば、本体部の周方向に間隔を置いて配置された複数の第1突起部に振動体から振動が伝わるので、振動をより効率良く吸収できる。
【0091】
(付記3)
前記本体部の外周面に設けられ、前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向に間隔を置いて位置し被係合部をなす一対のフランジ部をさらに備え、
前記中心軸に沿う方向において、前記第1突起部は、前記一対のフランジ部の間に位置する、
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の外力吸収体。
【0092】
付記3の構成によれば、一対のフランジ部の間に挟まれた振動体と第1突起部とを接触させることができる。これにより、外力吸収体は、径方向のガタツキを抑制した状態で、振動体に安定した状態で保持される。
【0093】
(付記4)
前記第3突起部は、環状の突起で構成される、
ことを特徴とする付記1から付記3のいずれか一つに記載の外力吸収体。
【0094】
付記4の構成によれば、貫通孔の中心軸に沿う方向からの外力を広い範囲で受け止め、溝部により振動による負荷を吸収することができる。
【0095】
(付記5)
前記第3突起部は、前記貫通孔の前記中心軸から等しい距離に配置された複数の突起で構成される、
ことを特徴とする付記1から付記3のいずれか一つに記載の外力吸収体。
【0096】
付記5の構成によれば、複数の突起の各々が独立して変形することで、中心軸に沿う方向の振動吸収効果をより高めることができる。
【0097】
(付記6)
ベース部材および前記ベース部材から突出した突状体を含む筐体部と、
前記ベース部材に対向して配置された振動体と、
前記振動体を前記筐体部に取り付けるとともに、前記振動体の振動を吸収する外力吸収体と、を備え、
前記外力吸収体は、
弾性を有し、前記筐体部の前記突状体を挿入する貫通孔が設けられた筒状の本体部と、
前記本体部の外周面の周方向に間隔を置いて配置され、前記振動体に接触する第1突起部と、
前記本体部の内周面のうち、前記貫通孔の中心軸に直交する面内における、前記貫通孔を中心とした180度よりも小さい範囲において、前記第1突起部を間に挟む位置に配置され、前記突状体に接触する少なくとも2つの第2突起部と、
前記本体部における前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向で互いに反対を向く一対の端面のうちの少なくとも一方に配置され、前記筐体部の被接触部となる第3突起部と、
前記第3突起部が配置された前記端面に接続される前記外周面の周方向に沿う底面を有し、前記貫通孔の前記中心軸に直交する方向において、前記底面から前記貫通孔の前記中心軸までの第1距離が前記第3突起部の最大高さとなる頂部から前記貫通孔の前記中心軸までの第2距離よりも小さい溝部と、を有する、
ことを特徴とする電子機器。
【0098】
付記6の電子機器によれば、振動体からの振動によって第1突起部に対して径方向に負荷が加わった場合に、第1突起部および第2突起部が弾性変形するとともに、本体部のうち周方向において第1突起部を挟む2つの第2突起部の間に位置する部位を径方向に大きく変位させることができる。これにより、振動体から径方向に伝わった振動を効率良く吸収できる。また、振動体からの振動によって第3突起部に対して中心軸に沿う方向に負荷が加わった場合に、第3突起部が弾性変形するとともに、第3突起部とともに本体部の端面が中心軸に沿う方向に変位し、溝部の隙間を埋めるように変形させることができる。これにより、振動体から中心軸に沿う方向に伝わった振動を効率良く吸収できる。
したがって、付記6の電子機器によれば、振動体から径方向あるいは中心軸に沿う方向を含むいずれの方向から伝わる振動も効率良く吸収できる。
【0099】
(付記7)
前記振動体は、前記外力吸収体を保持する保持片を有し、
前記外力吸収体は、前記本体部の前記外周面に設けられ、前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向に間隔を置いて位置し、前記振動体の前記保持片に係合する一対のフランジ部をさらに有し、
前記第1突起部は、前記貫通孔の前記中心軸に沿う方向において、前記一対のフランジ部の間に位置する、
ことを特徴とする付記6に記載の電子機器。
【0100】
付記7の構成によれば、振動体は保持片を介して一対のフランジ部に係合し、一対のフランジ部間に位置する第1突起部に接触する。これにより、振動体による振動を第1突起で受け止めることで、振動体から径方向に伝わる振動を効率良く吸収することができる。
【0101】
(付記8)
前記一対のフランジ部の各々は、前記保持片と対向する面に配置され、前記保持片に接触する第4突起部を有する、
ことを特徴とする付記7に記載の電子機器。
【0102】
付記8の構成によれば、一対のフランジ部に配置された第4突起部が振動体の保持片を挟むことで、保持片の中心軸に沿う方向のガタツキを抑制した状態で、振動体を安定して保持することができる。
【0103】
(付記9)
前記外力吸収体を介して前記振動体および前記筐体部が接続された状態で、
前記振動体および前記筐体部は、互いに非接触である、
ことを特徴とする付記6から付記8のいずれか一つに記載の電子機器。
【0104】
付記9の構成によれば、振動体で発生した振動が筐体部に直接伝わることを抑制できる。よって、外力吸収体の振動吸収性能をより高めることができる。
【0105】
(付記10)
前記振動体は、スピーカーを含む、
ことを特徴とする付記6から付記9のいずれか一つに記載の電子機器。
【0106】
付記10の構成によれば、スピーカーで発生する振動を効率良く吸収する電子機器を提供できる。
【0107】
(付記11)
前記筐体部に配置された熱源をさらに備え、
前記振動体は、前記熱源を冷却するファンを含む、
ことを特徴とする付記6から付記9のいずれか一つに記載の電子機器。
【0108】
付記11の構成によれば、熱源を冷却するファンで発生する振動を効率良く吸収する電子機器を提供できる。
【0109】
(付記12)
付記6から付記11のいずれか一つに記載の電子機器で構成された、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0110】
付記12のプロジェクターによれば、振動体で発生する振動を効率良く吸収するプロジェクターを提供できる。
【符号の説明】
【0111】
1…第1突起部、2…第2突起部、3,30…第3突起部、3a…頂部、4…溝部、4a…底面、5…フランジ部、9…本体部、9c…外周面、9d,108b1…内周面、9H…貫通孔、10…ブッシュ部材(外力吸収体)、10C…中心軸、12…突状体、30a…突起、100…プロジェクター(電子機器)、102…ベース部材、105…スピーカーユニット(振動体)、106…スピーカー、108b…ブッシュ保持片(保持片)、109…接触突起部(第4突起部)、110…筐体部、L1…第1距離、L2…第2距離。