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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157795
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コネクタ製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/20 20060101AFI20241031BHJP
   H01R 31/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R43/20 Z
H01R31/08 P
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072378
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 真輝
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063HA02
5E063HA05
5E063HB14
5E063HB16
5E063XA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、タブ端子が変形することの抑制を図ったコネクタ製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】コネクタ製造装置10は、バスバ4と、ハウジング7と、を備えたコネクタ1を製造するための装置であって、圧入治具8を備え、バスバは、一対の連設体2、3と、該一対の連設体同士を連結する一対の連結部6、6と、を有し、一対の連結部は、一対の連設体の両端部に設けられているとともに、一対の連設体それぞれの基部と同一面上に延在する一対の延在部61、62と、該一対の延在部の間において両者に連続する連続部60と、を備え、連続部は、各延在部との境界位置で折れ曲がって構成されており、圧入治具は、第1面8Aと、第2面8Bと、第3面8Cと、を備え、圧入治具は、一対の延在部の間に進入した状態で、第1面が連続部に接触し、第2面が一対の延在部のうち一方61に接触し、第3面が一対の延在部のうち他方62に接触している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタブ端子を有するバスバと、
前記複数のタブ端子それぞれが収容される複数の端子収容部を有するハウジングと、を備えたコネクタを製造するためのコネクタ製造装置であって、
前記バスバを前記ハウジングに圧入して、前記タブ端子を前記端子収容部に収容するための圧入治具を備え、
前記バスバは、互いに対向する一対の連設体と、該一対の連設体同士を連結する一対の連結部と、を有し、
前記一対の連設体は、それぞれ、前記複数のタブ端子と、該複数のタブ端子に連設されるとともに前記複数のタブ端子が並ぶ方向に延在する基部と、を備え、
前記一対の連結部は、前記一対の連設体における前記並ぶ方向の両端部に設けられているとともに、前記一対の連設体それぞれの前記基部と同一面上に延在する一対の延在部と、該一対の延在部の間において両者に連続する連続部と、を備え、
前記連続部は、前記各延在部との境界位置で折れ曲がって構成されており、
前記圧入治具は、前記一対の延在部の間に進入可能な板状に設けられているとともに、前記連続部に接触可能な第1面と、該第1面の一端に連続する第2面と、該第1面の他端に連続する第3面と、を備え、
前記圧入治具は、前記一対の延在部の間に進入した状態で、前記第1面が前記連続部に接触し、前記第2面が前記一対の延在部のうち一方に接触し、前記第3面が前記一対の延在部のうち他方に接触していることを特徴とするコネクタ製造装置。
【請求項2】
前記一対の連設体の一方は、前記タブ端子と前記基部とを有して片持ち状に設けられ、
前記一対の連設体の他方は、前記基部に連続するとともに、前記タブ端子から離れる方向に延在して車体パネルに固定される車体固定部を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載され、電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備え、このコネクタを電子機器のコネクタや他のワイヤハーネスのコネクタに嵌合させることで、電子機器や他のワイヤハーネスに接続されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、ジョイントコネクタが開示されている。特許文献1に開示されたジョイントコネクタは、自動車等の例えば運転席側に装備された各電気系統から引き出された複数本の電線をジョイントコネクタにより一括して、エンジンルーム側から引き出したアース用電線に電気接続させるものであり、コネクタハウジングと、該コネクタハウジングに収容されるブスバーと、を備える。
【0004】
コネクタハウジングは、運転席側に装備された各種電気系統から引き出された電線に圧着接続された接続端子を収容・保持する端子収容部を複数個備える。またコネクタハウジングには、接続端子に接続されるタブ端子を各端子収容部に挿入するための挿入口が設けられている。
【0005】
ブスバーは、コネクタハウジングにおける挿入口の配列に対応して連設された複数個のタブ端子と、車体等の構造対象への固定部となる固定用板部と、を備える。
【0006】
このようなジョイントコネクタにおいて、各タブ端子は各端子収容部の挿入口に近付けられた状態で、ブスバーが圧入されることにより、各タブ端子は各端子収容部に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-161419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来のジョイントコネクタは、ブスバーが圧入されることにより、各タブ端子は各端子収容部に収容されているが、圧入時の荷重によっては、各タブ端子が撓んで変形してしまう懸念があった。
【0009】
本発明は、タブ端子が変形することの抑制を図ったコネクタ製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、複数のタブ端子を有するバスバと、前記複数のタブ端子それぞれが収容される複数の端子収容部を有するハウジングと、を備えたコネクタを製造するためのコネクタ製造装置であって、前記バスバを前記ハウジングに圧入して、前記タブ端子を前記端子収容部に収容するための圧入治具を備え、前記バスバは、互いに対向する一対の連設体と、該一対の連設体同士を連結する一対の連結部と、を有し、前記一対の連設体は、それぞれ、前記複数のタブ端子と、該複数のタブ端子に連設されるとともに前記複数のタブ端子が並ぶ方向に延在する基部と、を備え、前記一対の連結部は、前記一対の連設体における前記並ぶ方向の両端部に設けられているとともに、前記一対の連設体それぞれの前記基部と同一面上に延在する一対の延在部と、該一対の延在部の間において両者に連続する連続部と、を備え、前記連続部は、前記各延在部との境界位置で折れ曲がって構成されており、前記圧入治具は、前記一対の延在部の間に進入可能な板状に設けられているとともに、前記連続部に接触可能な第1面と、該第1面の一端に連続する第2面と、該第1面の他端に連続する第3面と、を備え、前記圧入治具は、前記一対の延在部の間に進入した状態で、前記第1面が前記連続部に接触し、前記第2面が前記一対の延在部のうち一方の前記延在部に接触し、前記第3面が前記一対の延在部のうち他方の前記延在部に接触していることを特徴とするコネクタ製造装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、タブ端子が変形することの抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ製造装置を構成するコネクタを示す斜視図である。
図2】前記コネクタを示す分解斜視図である。
図3】前記コネクタ製造装置を構成する圧入治具を用いて前記コネクタを組み立てる様子を説明するための平面図である。
図4図3中のI-I線に沿う断面図である。
図5図4に示すコネクタであって、前記圧入治具が引き抜かれた組立て状態のコネクタを示す断面図である。
図6】本実施形態の比較例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図1~6に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ製造装置10を構成するコネクタ1を示す斜視図である。図2は、コネクタ1を示す分解斜視図である。図3は、コネクタ製造装置10を構成する圧入治具8を用いてコネクタ1を組み立てる様子を説明するための平面図である。図4は、図3中のI-I線に沿う断面図である。
【0014】
本発明の一実施形態に係るコネクタ製造装置10は、図1、2、4に示すように、コネクタ1を製造するためのものであって、複数のタブ端子21、31(図2に示す)を有するバスバ4をハウジング7に圧入して、各タブ端子21、31を各端子収容部70(図4に示す)に収容するための一対の圧入治具8、8(図4に示す)を備える。
【0015】
コネクタ1は、後述する圧入治具8によって製造されるものであり、図1~4に示すように、複数のタブ端子21、31(図2に示す)を有するバスバ4と、複数のタブ端子21、31それぞれが収容される複数の端子収容部70(図4に示す)を有するハウジング7と、を備える。このコネクタ1は、図2に示すように、複数のタブ端子21、31それぞれに端子付き電線11が接続されるとともに、不図示の車体パネルに固定されて、各端子付き電線11を伝わった電流がアースされるようになっている。各端子付き電線11は、各タブ端子21、31に接続される雌型の端子金具(以下、雌端子11Aと記す場合がある)と、雌端子11Aに接続される電線11Bと、を備えて構成されている。
【0016】
バスバ4は、図1、2に示すように、上側連設体2および下側連設体3と、下側連設体3に連続して設けられて車体パネルに固定される車体固定部5と、該上側連設体2および下側連設体3の間に設けられて両者に連続する一対の連結部6、6(図2に示す)と、を備える。
【0017】
本実施形態では、X方向(前後方向)、Y方向(幅方向、タブ端子21、31が並ぶ方向)、Z方向(上下方向)は互いに直交する方向とする。タブ端子21、31が延出する方向を「前方(X1方向)」と記し、これとは反対方向を「後方(X2方向)」と記す場合がある。上側連設体2と下側連設体3が対向する方向を「上下方向(Z方向)」と記し、Z方向のうち一方(上側連設体2の側)を「上方(Z1方向)」と記し、Z方向のうち他方(下側連設体3の側)を「下方(Z2方向)」と記す場合がある。
【0018】
上側連設体2は、図2に示すように、幅方向Yに延在する矩形状の上側基部20(基部)と、上側基部20から前方X1に延びる上側タブ端子21(タブ端子)と、を備える。
【0019】
下側連設体3は、図2に示すように、幅方向Yに延在する矩形状の下側基部30(基部)と、下側基部30から前方X1に延びる下側タブ端子31(タブ端子)と、と、を備える。
【0020】
車体固定部5は、図1、2に示すように、下側連設体3の後方X2に連続する車体固定部本体51と、車体パネルから突出する不図示のスタッドボルトを挿通させるボルト挿通孔52と、車体固定部本体51に設けられた複数(4個)の打出し部53と、を備える。
【0021】
車体固定部本体51は、図2に示すように、下側連設体3の後方X2に連続する第1板状部51Aと、該第1板状部51Aの後方X2に連続するとともに折れ曲がって下方Z2に延びる第2板状部51Bと、該第2板状部51Bの下端に連続するとともに折れ曲がって後方X2に延びる第3板状部51Cと、該第3板状部51Cから折れ曲がって下方Z2に延びる第4板状部51Dと、を備える。
【0022】
第1板状部51Aは、図2に示すように、矩形の板状に設けられているとともに、下側連設体3における下側基部30の幅方向Yの中央部に設けられている。また、第1板状部51Aは、下側連設体3における下側基部30と同一面上に設けられている。
【0023】
第3板状部51Cは、図2に示すように、第1板状部51Aと対向して設けられているとともに、車体パネルに対向して設けられている。
【0024】
第4板状部51Dは、図2に示すように、第3板状部51Cの幅方向Yの端縁に連続して設けられているとともに、第3板状部51Cから折れ曲がって下方Z2に延びて設けられている。この第4板状部51Dは、車体パネルに設けられた不図示のスリットに挿入されるように構成されている。
【0025】
ボルト挿通孔52は、第3板状部51Cの中央部に、当該第3板状部51Cを貫通して設けられて、車体パネルから突出する不図示のスタッドボルトを挿通させるように構成されている。
【0026】
複数(4個)の打出し部53は、図1、2に示すように、一対の第1打出し部53A、54Bと、一対の第2打出し部53C、54Dと、を備える。
【0027】
一対の第1打出し部53A、54Bは、車体固定部本体51の幅方向Yに並んで設けられている。各第1打出し部53A、54Bは、上方Z1から見て、長方形状に設けられているとともに、第1板状部51Aから第2板状部51Bまで連続して設けられている。
【0028】
一対の第2打出し部53C、54Dは、幅方向Yに並んで設けられているとともに、一対の第1打出し部53A、54Bの後方X2かつ幅方向Yの一方側にずれた位置に設けられている。各第2打出し部53C、54Dは、第2板状部51Bから第3板状部51Cまで連続して設けられている。
【0029】
一対の連結部6、6は、図2に示すように、上側連設体2および下側連設体3における幅方向Yの両端部に設けられている。各連結部6は、上下方向Zに延在する連結部本体60(連続部)と、該連結部本体60に連続するとともに折れ曲がって後方X2に延びる上側連続板61(一対の延在部の一方)と、連結部本体60に連続するとともに折れ曲がって後方X2に延びる下側連続板62(一対の延在部の他方)と、を有して略コ字型に形成されている。上側連続板61は、上側連設体2の上側基部20の同一面上に連続して設けられ、下側連続板62は、下側連設体3の下側基部30の同一面上に連続して設けられている。
【0030】
このようなバスバ4を製造する場合には、図2に示すように、金属板に打出し加工および打抜き加工が施されて打抜き部材(不図示)が形成された後、上側連設体2と下側連設体3とが対向するように、連結部6における連結部本体60と上側連続板61との境界位置を折り曲げて、連結部6における連結部本体60と下側連続板62との境界位置を折り曲げる。また、第1板状部51Aと第3板状部51Cが対向するように、第1板状部51Aと第2板状部51Bとの境界位置を折り曲げて、第2板状部51Bと第3板状部51Cとの境界位置を折り曲げる。このようにしてバスバ4を製造する。即ちバスバ4は、金属板に打出し加工および打抜き加工が施されることにより形成されている。このようなバスバ4を上方Z1から見た際に、上側連設体2の上側タブ端子21と下側連設体3の下側タブ端子31は、交互に幅方向Yに並んで設けられている。
【0031】
ハウジング7は、例えば絶縁性の樹脂から構成されている。このハウジング7は、図1、2に示すように、前後方向Xを軸とする四角筒状に形成されたハウジング本体71と、ハウジング本体71に設けられて上側連設体2を支持する一対の上側支持片72、72と、ハウジング本体71に設けられて下側連設体3を支持する一対の下側支持片73、73と、該ハウジング本体71の幅方向Yの両側にコ字型に突出して設けられて、バスバ4の一対の連結部6、6を収容する一対のコ字型収容部74、74と、を備える。
【0032】
ハウジング本体71は、図1、2に示すように、上壁71A、下壁71B、一対の側壁71C、71Cを有して四角筒状に構成されている。またハウジング本体71の内部空間には、上下仕切り壁71Dによって仕切られて形成されて、上側連設体2を収容するための上側連設体収容部7Aと、下側連設体3を収容するための下側連設体収容部7Bと、が設けられている。
【0033】
上側連設体収容部7Aおよび下側連設体収容部7Bは、それぞれ、図4に示すように、各タブ端子21、31を収容するための複数の端子収容部70を有している。各端子収容部70は、各連設体収容部7A、7Bを幅方向Yに仕の前方X1側に設けられた幅方向仕切り壁71Eによって仕切られて形成されている。
【0034】
各端子収容部70は、前方X1および後方X2が開放されており、後方側開口部(不図示)から各タブ端子21、31が挿入され、前方開口部7f(図4に示す)から各タブ端子21、31に嵌合する相手側の雌端子11Aが収容されることにより、各タブ端子21、31と雌端子11Aとが電気的に接続されるように構成されている。また、各端子収容部70は、図4に示すように、上下方向Zに対向する上面70Aおよび底面70Bを有している。また、各端子収容部70には、雌端子11Aを係止するランス70Cが設けられている。ランス70Cは、各端子収容部70の上面70Aに連続して後方X2に延びて形成されている。
【0035】
さらにハウジング本体71は、図2に示すように、各側壁71Cの前端縁を矩形状に切り欠いて形成された切欠き部71aと、上下仕切り壁71Dの幅方向Yの両端から下方Z2に延出する一対の隔壁71F、71Fと、を有している。この隔壁71Fによって、下側連設体収容部7Bと後述する各コ字型収容部74とが仕切られている。
【0036】
下壁71Bは、図2に示すように、上壁71Aに対向する下壁本体710と、該下壁本体710から後方X2に延出された後方延出壁711と、該後方延出壁711に連続するとともに下方Z2に向けて延びて形成された下方延出壁712と、を備える。バスバ4がハウジング7に収容された状態で、後方延出壁711はバスバ4の第1板状部51Aと対向して設けられ、下方延出壁712はバスバ4の第2板状部51Bと対向して設けられている。
【0037】
一対の上側支持片72、72は、幅方向Yに間隔をあけて設けられている。各上側支持片72は、上壁71Aから下方Z2に突出して設けられて、バスバ4がハウジング7に収容された状態で、上側連設体2の上側基部20に当接して、上側連設体2を上下仕切り壁71Dに押し付けるように構成されている。
【0038】
一対の下側支持片73、73は、幅方向Yにおいて、一対の上側支持片72、72と同じ位置に設けられている。各下側支持片73は、上下仕切り壁71Dから下方Z2かつ後方X2に突出して設けられて、バスバ4がハウジング7に収容された状態で、下側連設体3の下側基部30および第1板状部51Aに当接して、下側連設体3を下壁71Bに押し付けるように構成されている。
【0039】
一対のコ字型収容部74、74は、ハウジング本体71の幅方向Yの両側に設けられているとともに、ハウジング本体71から幅方向Yに突出して設けられている。各コ字型収容部74は、上下方向Zに対向する第1壁74Aおよび第2壁74Bと、第1壁74Aおよび第2壁74Bに連続する第3壁74Cと、を有してコ字型に構成されている。第1壁74Aおよび第2壁74Bは、ハウジング本体71の各側壁71Cにおいて、切欠き部71aを含む位置(切欠き部71aより上方Z1の位置、及び切欠き部71aより下方Z2の位置)から突出して設けられている。
【0040】
各圧入治具8は、図3、4に示すように、角柱状に形成されているとともに、各コ字型収容部74の内部に進入可能に構成されている。この圧入治具8には、図4、5に示すように、各連結部6の連結部本体60の内面6a(図4に示す)に当接可能な治具端面8Aと、上側連続板61の内面6b(図4に示す)に当接可能な治具上面8Bと、下側連続板62の内面6c(図4に示す)に当接可能な治具下面8Cと、が設けられている。治具端面8Aは、上下方向Zおよび幅方向Yを含む平坦な面から構成され、治具上面8Bおよび治具下面8Cは、前後方向Xおよび幅方向Yを含む平坦な面から構成されている。
【0041】
次に、一対の圧入治具8、8を用いて、コネクタ1を製造する手順について、図3~5を参照して説明する。
【0042】
まず、図3に示すように、ハウジング7の各端子収容部70の後方開口部に、バスバ4の各タブ端子21、31の先端を近付けて挿入する。また、ハウジング7の一対のコ字型収容部74、74に、バスバ4の各連結部6を近付けて挿入する。この後、一対の圧入治具8のそれぞれを、各連結部6の上側連続板61と下側連続板62との間に近付けて、同時に移動させる。図4に示すように、各圧入治具8における治具端面8Aが、バスバ4の各連結部6の連結部本体60の内面6aに接触(当接)し、治具上面8Bが、各連結部6の上側連続板61の内面6bに接触し、治具下面8Cが、各連結部6の下側連続板62の内面6cに接触する。各圧入治具8の治具端面8A、治具上面8B、治具下面8Cと、各連結部6の各内面6a、6b、6cと、が接触した状態のまま、さらに各圧入治具8の移動が進んで、各タブ端子21、31は各端子収容部70の所定位置に到達して各端子収容部70に収容される(図5に示す)。また、上側連設体2が上側連設体収容部7Aに収容され、下側連設体3が下側連設体収容部7Bに収容される。この後、各圧入治具8を各連結部6の上側連続板61と下側連続板62との間から引き抜く。このようにしてコネクタ1を組み立てる。
【0043】
この後、端子付き電線11の雌端子11Aが、ハウジング7の前方開口部7fから端子収容部70に挿入されて、各端子収容部70の内部において、各タブ端子21、31と、各雌端子11Aとが電気的に接続される。
【0044】
この後、バスバ4の車体固定部5を車体パネルの所定位置に対向させる。車体パネルから突出するスタッドボルトがバスバ4のボルト挿通孔52に挿通され、車体固定部5の第4板状部51Dが車体パネルに設けられたスリットに挿入される、この後、スタッドボルトにナットが螺合されることにより、車体固定部5が車体パネルに固定される。このようにしてコネクタ1が車体パネルに固定される。コネクタ1が車体パネルに固定された状態で、各端子付き電線11を伝わった電流がバスバ4を介して車体パネルへアースされる。
【0045】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。図6は、本実施形態の比較例を説明するための図である。図6に示すように、圧入治具8を用いずに、バスバ4をハウジング7に圧入した場合には、特に各上側タブ端子121の先端が斜め上方を向くように変形し易いが、本実施形態では、圧入治具8が、各連結部6の上側連続板61および下側連続板62の間に進入し、各連結部6の上側連続板61および下側連続板62は、一定の離間寸法が保たれたまま、各タブ端子21、31は各端子収容部70に収容されることにより、図5に示すように、特に各上側タブ端子21の先端が真っ直ぐに延びた状態で、各端子収容部70に収容されることとなる。
【0046】
上述した実施形態によれば、圧入治具8は、上側連続板61および下側連続板62(一対の延在部)の間に進入可能な板状に設けられているとともに、連結部6に接触可能な治具端面8A(第1面)と、該治具端面8Aの一端に連続する治具上面8B(第2面)と、該治具端面8Aの他端に連続する治具下面8C(第3面)と、を備え、圧入治具8は、上側連続板61および下側連続板62の間に進入した状態で、治具端面8Aが連結部本体60(連続部)に接触し、治具上面8Bが上側連続板61(一対の延在部のうち一方)に接触し、治具下面8Cが下側連続板62(一対の延在部のうち他方)に接触している。これによれば、圧入治具8が、各連結部6の上側連続板61および下側連続板62の間に進入し、各連結部6の上側連続板61および下側連続板62は、一定の離間寸法が保たれたまま、各タブ端子21、31は各端子収容部70に収容されることとなり、特に上側タブ端子21を変形させずに圧入することができる。即ち、タブ端子21、31が変形することの抑制を図ることができる。
【0047】
また、下側連設体3(一対の連設体の他方)は、基部30に連続するとともに、後方X2(タブ端子から離れる方向)に延在して車体パネルに固定される車体固定部5を有している。即ち、下側連設体3に対して上側連設体2は、車体固定部5が設けられておらず、片持ち状となっているために、上側基部20が傾いて各上側タブ端子21の先端が斜め上方を向くように変形し易いが、圧入治具8を用いて圧入されることにより、特に上側タブ端子21を変形させずに圧入する構成を実現できる。
【0048】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1 コネクタ
10 コネクタ製造装置
2 上側連設体(一対の連設体の一方)
20 上側基部(基部)
21 上側タブ端子(タブ端子)
3 下側連設体(一対の連設体の他方)
30 下側基部(基部)
31 下側タブ端子(タブ端子)
4 バスバ
5 車体固定部
7 ハウジング
70 端子収容部
6、6 一対の連結部
60 連結部本体(連続部)
61 上側連続板(一対の延在部のうち一方)
62 下側連続板(一対の延在部のうち他方)
8 圧入治具
8A 治具端面(第1面)
8B 治具上面(第2面)
8C 治具下面(第3面)
Y 幅方向(タブ端子が並ぶ方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6