(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157806
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】金庫装置、金庫システム、及び金庫装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
E05G 1/10 20060101AFI20241031BHJP
E05G 5/00 20060101ALI20241031BHJP
G08B 13/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E05G1/10
E05G5/00 Z
G08B13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072393
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 慶次
(72)【発明者】
【氏名】中塚 啓太
(72)【発明者】
【氏名】小野 公嗣
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠貴
【テーマコード(参考)】
5C084
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084AA10
5C084AA13
5C084BB31
5C084CC01
5C084EE08
5C084HH10
(57)【要約】
【課題】第1の扉が設けられると共にその反対側に第2の扉が設けられた金庫装置において、第1の扉及び第2の扉の何れかが開放されている場合に、第1の扉及び第2の扉の何れが開放されているかに応じた柔軟な対応を可能とする。
【解決手段】第1の側に設けられた第1の扉と、第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第2の扉と、第1の扉が開放されている場合に、その旨を報知する第1の報知処理を行うように制御し、第2の扉が開放されている場合に、その旨を報知する報知処理であって第1の報知処理とは報知先又は報知態様が異なる報知処理である第2の報知処理を行うように制御する制御部とを備える、金庫装置。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側に設けられた第1の扉と、
前記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第2の扉と、
前記第1の扉が開放されている場合に、その旨を報知する第1の報知処理を行うように制御し、前記第2の扉が開放されている場合に、その旨を報知する報知処理であって当該第1の報知処理とは報知先又は報知態様が異なる報知処理である第2の報知処理を行うように制御する制御部と
を備える、金庫装置。
【請求項2】
前記第1の報知処理は、前記第1の扉が開放されている旨を前記第1の側に報知する処理であり、
前記第2の報知処理は、前記第2の扉が開放されている旨を前記第2の側に報知する処理である、請求項1に記載の金庫装置。
【請求項3】
前記第1の側に報知する処理は、当該第1の側に設けられた第1の表示装置に表示する処理であり、
前記第2の側に報知する処理は、当該第2の側に設けられた第2の表示装置に表示する処理である、請求項2に記載の金庫装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の扉が閉鎖されている場合に、当該第1の扉が所定時間以上開放されていたことがあれば、その旨を報知する第3の報知処理を行うように制御する、請求項1に記載の金庫装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の報知処理を行ってから所定時間以内に前記第1の扉が閉鎖されない場合に、前記第2の報知処理を行うように制御する、請求項1に記載の金庫装置。
【請求項6】
前記第1の側は、金融機関のATMコーナー側であり、
前記第2の側は、前記金融機関のバックヤード側であり、
前記第1の報知処理は、前記第1の扉が開放されている旨を、前記金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置に報知する処理であり、
前記第2の報知処理は、前記第2の扉が開放されている旨を、前記金融機関に関連する金融機関装置に報知する処理である、請求項1に記載の金庫装置。
【請求項7】
前記第1の報知処理は、前記金融機関の前記金庫装置が設置された店舗に当該金融機関の職員が滞在していれば、前記第1の扉が開放されている旨を、前記金融機関装置に報知する処理である、請求項6に記載の金庫装置。
【請求項8】
前記授受業者装置は、前記授受業者の職員が視認可能な第1の表示装置、前記授受業者の職員が所持する第1の携帯端末装置、及び、前記授受業者を管理する第1の管理装置の少なくとも1つであり、
前記金融機関装置は、前記金融機関の職員が視認可能な第2の表示装置、前記金融機関の職員が所持する第2の携帯端末装置、前記金融機関の前記金庫装置が設置された店舗を管理する第2の管理装置、及び、前記金融機関の複数の店舗を管理する第3の管理装置の少なくとも1つである、請求項6に記載の金庫装置。
【請求項9】
前記第1の報知処理は、前記第1の扉が開放されている旨を、当該第1の扉が開放されてから所定時間経過前であれば、前記第1の表示装置及び前記第1の携帯端末装置の少なくとも1つに報知し、当該第1の扉が開放されてから所定時間経過後であれば、前記第1の管理装置に報知する処理である、請求項8に記載の金庫装置。
【請求項10】
前記第2の報知処理は、前記第2の扉が開放されている旨を、当該第2の扉が開放されてから所定時間経過前であれば、前記第2の表示装置、前記第2の携帯端末装置、及び前記第2の管理装置の少なくとも1つに報知し、当該第2の扉が開放されてから所定時間経過後であれば、前記第3の管理装置に報知する処理である、請求項8に記載の金庫装置。
【請求項11】
金庫装置と、
前記金庫装置の外部にある第1の外部装置と、
前記金庫装置の外部にある前記第1の外部装置とは異なる第2の外部装置と
を備え、
前記金庫装置は、
第1の側に設けられた第1の扉と、
前記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第2の扉と、
前記第1の扉が開放されている場合に、その旨を前記第1の外部装置に報知する第1の報知処理を行うように制御し、前記第2の扉が開放されている場合に、その旨を前記第2の外部装置に報知する第2の報知処理を行うように制御する制御部と
を備える、金庫システム。
【請求項12】
前記第1の側は、金融機関のATMコーナー側であり、
前記第2の側は、前記金融機関のバックヤード側であり、
前記第1の外部装置は、前記金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置であり、
前記第2の外部装置は、前記金融機関に関連する金融機関装置である、請求項11に記載の金庫システム。
【請求項13】
前記授受業者装置は、前記授受業者の職員が視認可能な第1の表示装置、前記授受業者の職員が所持する第1の携帯端末装置、及び、前記授受業者を管理する第1の管理装置の少なくとも1つであり、
前記金融機関装置は、前記金融機関の職員が視認可能な第2の表示装置、前記金融機関の職員が所持する第2の携帯端末装置、前記金融機関の前記金庫装置が設置された店舗を管理する第2の管理装置、及び、前記金融機関の複数の店舗を管理する第3の管理装置の少なくとも1つである、請求項12に記載の金庫システム。
【請求項14】
複数の条件毎に当該複数の条件の各条件が満たされた場合の報知先を設定した設定情報を記憶する記憶装置を更に備え、
前記制御部は、前記記憶装置に記憶された前記設定情報に基づいて、前記第1の報知処理及び前記第2の報知処理における報知先を決定する、請求項11に記載の金庫システム。
【請求項15】
第1の側に設けられた第1の扉と、当該第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第2の扉とを備える金庫装置の制御方法であって、
前記第1の扉が開放されている場合に、その旨を報知する第1の報知処理を行うように制御するステップと、
前記第2の扉が開放されている場合に、その旨を報知する報知処理であって当該第1の報知処理とは報知先又は報知態様が異なる報知処理である第2の報知処理を行うように制御するステップと
を含む、金庫装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金庫装置、金庫システム、及び金庫装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内函用の収納スペースを複列多段に形成してなり、各収納スペースは、天井材、床材、左右の側壁材を上下左右に配設するとともに、前面側に錠前付きの開閉扉を付設して前面側から手動による内函の搬出入を可能とし、後面側を全面開放して後面側から搬出入装置による内函の自動搬出入を可能とする貸金庫装置における内函用の収納棚が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の扉が設けられると共にその反対側に第2の扉が設けられた金庫装置において、第1の扉及び第2の扉の何れかが開放されている場合に、その旨を報知する報知処理を行うことがある。ところが、そのような報知処理において、第1の扉及び第2の扉の何れが開放されている場合であっても報知先及び報知態様を同じにしたのでは、第1の扉及び第2の扉の何れが開放されているかに応じた柔軟な対応を行うことができない。
【0005】
本発明の目的は、第1の扉が設けられると共にその反対側に第2の扉が設けられた金庫装置において、第1の扉及び第2の扉の何れかが開放されている場合に、第1の扉及び第2の扉の何れが開放されているかに応じた柔軟な対応を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、第1の側に設けられた第1の扉と、第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第2の扉と、第1の扉が開放されている場合に、その旨を報知する第1の報知処理を行うように制御し、第2の扉が開放されている場合に、その旨を報知する報知処理であって第1の報知処理とは報知先又は報知態様が異なる報知処理である第2の報知処理を行うように制御する制御部とを備える、金庫装置を提供する。
第1の報知処理は、第1の扉が開放されている旨を第1の側に報知する処理であってよく、第2の報知処理は、第2の扉が開放されている旨を第2の側に報知する処理であってよい。その場合、第1の側に報知する処理は、第1の側に設けられた第1の表示装置に表示する処理であってよく、第2の側に報知する処理は、第2の側に設けられた第2の表示装置に表示する処理であってよい。
制御部は、第1の扉が閉鎖されている場合に、第1の扉が所定時間以上開放されていたことがあれば、その旨を報知する第3の報知処理を行うように制御する、ものであってよい。
制御部は、第1の報知処理を行ってから所定時間以内に第1の扉が閉鎖されない場合に、第2の報知処理を行うように制御する、ものであってよい。
第1の側は、金融機関のATMコーナー側であってよく、第2の側は、金融機関のバックヤード側であってよく、第1の報知処理は、第1の扉が開放されている旨を、金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置に報知する処理であってよく、第2の報知処理は、第2の扉が開放されている旨を、金融機関に関連する金融機関装置に報知する処理であってよい。
その場合、第1の報知処理は、金融機関の金庫装置が設置された店舗に金融機関の職員が滞在していれば、第1の扉が開放されている旨を、金融機関装置に報知する処理であってよい。
また、授受業者装置は、授受業者の職員が視認可能な第1の表示装置、授受業者の職員が所持する第1の携帯端末装置、及び、授受業者を管理する第1の管理装置の少なくとも1つであってよく、金融機関装置は、金融機関の職員が視認可能な第2の表示装置、金融機関の職員が所持する第2の携帯端末装置、金融機関の金庫装置が設置された店舗を管理する第2の管理装置、及び、金融機関の複数の店舗を管理する第3の管理装置の少なくとも1つであってよい。その場合、第1の報知処理は、第1の扉が開放されている旨を、第1の扉が開放されてから所定時間経過前であれば、第1の表示装置及び第1の携帯端末装置の少なくとも1つに報知し、第1の扉が開放されてから所定時間経過後であれば、第1の管理装置に報知する処理であってよい。また、第2の報知処理は、第2の扉が開放されている旨を、第2の扉が開放されてから所定時間経過前であれば、第2の表示装置、第2の携帯端末装置、及び第2の管理装置の少なくとも1つに報知し、第2の扉が開放されてから所定時間経過後であれば、第3の管理装置に報知する処理であってよい。
【0007】
また、本発明は、金庫装置と、金庫装置の外部にある第1の外部装置と、金庫装置の外部にある第1の外部装置とは異なる第2の外部装置とを備え、金庫装置は、第1の側に設けられた第1の扉と、第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第2の扉と、第1の扉が開放されている場合に、その旨を第1の外部装置に報知する第1の報知処理を行うように制御し、第2の扉が開放されている場合に、その旨を第2の外部装置に報知する第2の報知処理を行うように制御する制御部とを備える、金庫システムも提供する。
第1の側は、金融機関のATMコーナー側であってよく、第2の側は、金融機関のバックヤード側であってよく、第1の外部装置は、金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置であってよく、第2の外部装置は、金融機関に関連する金融機関装置であってよい。その場合、授受業者装置は、授受業者の職員が視認可能な第1の表示装置、授受業者の職員が所持する第1の携帯端末装置、及び、授受業者を管理する第1の管理装置の少なくとも1つであってよく、金融機関装置は、金融機関の職員が視認可能な第2の表示装置、金融機関の職員が所持する第2の携帯端末装置、金融機関の金庫装置が設置された店舗を管理する第2の管理装置、及び、金融機関の複数の店舗を管理する第3の管理装置の少なくとも1つであってよい。
金庫システムは、複数の条件毎に複数の条件の各条件が満たされた場合の報知先を設定した設定情報を記憶する記憶装置を更に備え、制御部は、記憶装置に記憶された設定情報に基づいて、第1の報知処理及び第2の報知処理における報知先を決定する、ものであってよい。
【0008】
更に、本発明は、第1の側に設けられた第1の扉と、第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第2の扉とを備える金庫装置の制御方法であって、第1の扉が開放されている場合に、その旨を報知する第1の報知処理を行うように制御するステップと、第2の扉が開放されている場合に、その旨を報知する報知処理であって第1の報知処理とは報知先又は報知態様が異なる報知処理である第2の報知処理を行うように制御するステップとを含む、金庫装置の制御方法も提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の扉が設けられると共にその反対側に第2の扉が設けられた金庫装置において、第1の扉及び第2の扉の何れかが開放されている場合に、第1の扉及び第2の扉の何れが開放されているかに応じた柔軟な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態における金庫装置の概要を示す図である。
【
図2】本実施の形態における金庫装置の外観構成例を示す斜視図である。
【
図3】本実施の形態における金庫装置の施解錠操作部の小扉を開いたときの外観構成例を示す図である。
【
図4】本実施の形態における金庫装置の外観構成例を示す斜視図である。
【
図5】本実施の形態における金庫システムの構成例を示す図である。
【
図6】本実施の形態における金庫装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図7】制御部の報知先を制御する機能について詳細に示す図である。
【
図8】本実施の形態の金庫装置における第1の報知処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】(a)はバックヤード側エラー画面の一例を示す図であり、(b)は金庫内確認指示画面の一例を示す図である。
【
図10】本実施の形態の金庫装置における第2の報知処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】変形例で記憶されるログデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
[実施の形態の背景及び概要]
金融機関では毎日重要物等の物品をメール便の形で警送会社に委託して、例えば店舗とセンターとの間で集配している。集配する物品には即日発送が必要な小切手が含まれるため、通常、メール便は1日最低2回の便が各店舗を巡回している。ところが、2022年下期から金融機関で小切手の電子化運用が開始されるため、メール便の当日着荷が不要になり、各金融機関はメール便の便数の削減及び工数の削減を検討している。現状、集配する物品は対面授受しているが、金庫装置によって非対面授受できれば、更なる効率化が期待できる。
【0013】
一方で、金融機関の中には、ATM(Automatic Teller Machine)の設置台数が年々減少しているため、設置されていたATMが撤去されてできた空きスペース(以下、「ATMの空きスペース」という)の活用方法を模索しているところもある。
こうしたことから、物品の授受に用いる金庫装置を、金融機関及び警送会社の双方が安全に操作できるATMの空きスペースに設置することが考えられる。
【0014】
以下、金融機関として銀行を想定し、その職員のことを「行員」として説明する。また、金融機関との間で物品を授受する業者は「授受業者」と捉えることができるが、以下では、授受業者として警送会社を例にとり、その職員のことを「警送員」として説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態における金庫装置1の概要を示す図である。
図示するように、本実施の形態における金庫装置1は、ATMコーナーS1とバックヤードS2とを隔てる壁Wと床Fとの間のATMの空きスペースに設置される。従って、金庫装置1は、ATMの空きスペースに収まる筐体サイズを有する(一例として、高さ1.2m×幅1m程度)。ここで、ATMコーナーS1とは、一般顧客がATMを前方から操作するために立ち入ることができる空間のことである。ATMコーナーS1は、自動取引装置コーナー、CD(Cash Dispenser)コーナーともいう。また、バックヤードS2とは、金融機関の行員がATMを後方から操作する空間であって一般顧客が立ち入ることができない空間のことである。
【0016】
このような状態で、金庫装置1は、警送会社が金融機関へ配達する物品の授受に用いられる。即ち、まず、警送会社の警送員は、配達する物品をATMコーナーS1側で金庫装置1に収納する。その後、金融機関の行員は、配達された物品をバックヤードS2側で金庫装置1から取り出す。
また、金庫装置1は、警送会社が金融機関から集荷する物品の授受にも用いられる。即ち、まず、金融機関の行員は、集荷される物品をバックヤードS2側で金庫装置1に収納する。その後、警送会社の警送員は、集荷する物品をATMコーナーS1側で金庫装置1から取り出す。
尚、場合によっては、金融機関の行員がATMコーナーS1側で金庫装置1を操作することもあるが、以下では、ATMコーナーS1で金庫装置1を操作するのは警送員のみであるものとして説明する。
【0017】
ここで、金庫装置1は、図示するように、ATMコーナーS1側にあるATMコーナー側筐体10と、バックヤードS2側にあるバックヤード側筐体20とを有する。但し、上述した物品の授受を可能とするために、金庫装置1の内部空間は、ATMコーナー側筐体10とバックヤード側筐体20との間で仕切られておらず、一体化している。そして、この内部空間は、耐火性及び防盗性を有している。
【0018】
ところで、金庫装置1への物品の収納時や金庫装置1からの物品の取り出し時に扉の閉め忘れが発生した際に、その旨を報知する報知処理を行う必要がある。しかしながら、報知先の近くに係員(行員、警送員、その他の担当者)がいない場合には、迅速に対応することはできない。
また、大型の扉付き収納庫を有する金庫装置1においては、ATMコーナーS1側の扉を閉め忘れた場合、周辺の一般利用者が、収納庫の中に入った後にはずみで又は人為的に扉が閉じられることにより、閉じ込められる可能性がある。そのため、扉が閉まっていたとしても、迅速な内部確認が求められる場合がある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、ATMの空きスペースに設置されて、物品の授受に利用される金庫装置を含む物品授受システムにおいて、扉の閉め忘れが発生した場合に、所定条件に基づいて、報知先を切り替えるようにする。
ここで、所定条件には、次のような条件がある。第1の条件は、ATMコーナーS1側及びバックヤードS2側の何れの側の扉が開閉されたか、という条件である。第2の条件は、行員及び警送員の何れの係員が操作していたか、という条件である。第3の条件は、時間帯が金融機関の営業時間であるかATMコーナーS1のみの営業時間であるか、という条件である。
【0020】
[金庫装置の外観構成]
図2は、本実施の形態における金庫装置1の外観構成例を示す斜視図である。特に、
図2は、金庫装置1をATMコーナー側から見たときの外観構成を示している。従って、
図2には、ATMコーナー側筐体10の構成要素が示されている。
図示するように、ATMコーナー側筐体10は、扉11と、施解錠機構12と、開閉検知機構122と、施解錠操作部13と、操作ターミナル14とを備える。ATMコーナー側は、第1の側の一例である。
【0021】
扉11は、警送員が物品を収納したり取り出したりする際に開閉される。扉11は、第1の側に設けられた第1の扉の一例である。
施解錠機構12は、扉11の施解及び解錠を行う。尚、施解錠機構12は、バックヤード側の扉21(後述)が解錠されている場合には、扉11を解錠しないように制御されるとよい。
開閉検知機構122は、扉11の開閉状態を検知する。開閉検知機構122としては、例えば、開閉検知スイッチ又は開閉センサを用いるとよい。
施解錠操作部13は、停電等が発生している非常時の物品の収納又は取り出し時に、施解錠機構12が扉11の施錠及び解錠を行うように警送員によって操作される。施解錠操作部13は、後述するように、鍵操作部131と、テンキー132と、小扉133とを備えるが、
図2では、小扉133のみが見えている。
【0022】
操作ターミナル14は、警送員が金庫装置1を操作する際に用いられるターミナルである。操作ターミナル14は、表示操作部141と、カメラ142と、発光部143と、読取部144と、プリンタ145とを備える。
【0023】
表示操作部141は、例えばタッチパネルディスプレイであり、ユーザが入力した情報を受け付けるとともにユーザに提示する情報を表示する。
【0024】
具体的には、表示操作部141は、停電等が発生していない通常時の物品収納時に、施解錠機構12が扉11の施錠及び解錠を行うように警送員によって操作される。
また、警送員が物品を収納する際に収納する物品に関する収納情報を入力すると、表示操作部141はこの収納情報を受け付ける。ここで、収納情報は、収納する物品に関する如何なる情報でもよいが、例えば、物品の物品名及び個数とすればよい。
一方、表示操作部141は、停電等が発生していない通常時の物品取り出し時に、施解錠機構12が扉11の施錠及び解錠を行うように警送員によって操作される。
また、警送員が物品を取り出す際に取り出す物品に関する取出情報を入力すると、表示操作部141はこの取出情報を受け付ける。ここで、取出情報は、取り出す物品に関する如何なる情報でもよいが、例えば、行員が収納した物品を警送員が実際に取り出してみて、行員が物品を収納する際に入力した収納情報が正しいか否かを判断した結果の情報とすればよい。
【0025】
また、表示操作部141は、扉11が所定時間(例えば1分。但し、設定可能とする。)以上開放されていることが開閉検知機構122により検知された場合に、その旨を表示する。
一方、表示操作部141は、バックヤード側の扉21(後述)が所定時間以上開放されていることがバックヤード側の開閉検知機構222(後述)により検知された場合に、その旨を表示してもよい。
表示操作部141は、第1の側に設けられた第1の表示装置の一例である。或いは、表示操作部141は、ATMコーナー側に金庫装置1とは別に設けられた装置であってもよい。その意味で、表示操作部141は、金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置、授受業者の職員が視認可能な第1の表示装置、金庫装置の外部にある第1の外部装置の一例である。
【0026】
カメラ142は、表示操作部141を操作中の警送員を撮像する。特に、カメラ142は、表示操作部141を操作中の警送員の顔が存在する位置に向けられており、警送員の顔を撮像する。そして、撮像された撮像画像は、後述するように、金庫装置1内に記録される。
【0027】
発光部143は、金庫装置1内に物品が収納されている場合に、その旨を発光によってATMコーナー側に知らせる。発光部143は、例えばランプによって実現すればよいが、発光するデバイスであれば如何なるデバイスによって実現してもよい。ちなみに発光部143によって知らせる情報は、表示操作部141にて知らせるよう構成されていてもよい。
【0028】
発光部143は、バックヤード側の表示操作部241(後述)が操作されている場合に、その旨を発光によってATMコーナー側に知らせてもよい。或いは、金庫装置1は、バックヤード側の表示操作部241が操作されている旨を、音等の発光以外の手段によって知らせてもよい。
【0029】
発光部143は、扉11が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構122により検知された場合に、その旨を発光によってATMコーナー側に知らせてもよい。或いは、金庫装置1は、扉11が所定時間以上開放されている旨を、音等の発光以外の手段によって知らせてもよい。
発光部143は、バックヤード側の扉21(後述)が所定時間以上開放されている場合に、その旨を発光によってATMコーナー側に知らせてもよい。或いは、金庫装置1は、バックヤード側の扉21が所定時間以上開放されている旨を、音等の発光以外の手段によって知らせてもよい。
【0030】
発光部143は、金庫装置1にエラーが発生した場合に、その旨を発光によってATMコーナー側に知らせてもよい。
発光部143は、プリンタ145の用紙切れが発生した場合に、その旨を発光によってATMコーナー側に知らせてもよい。
発光部143は、金庫装置1にその他の状態変化が発生した場合に、その旨を発光によってATMコーナー側に知らせてもよい。
【0031】
尚、ここでは、1つの発光部143が金庫装置1の複数の状態を知らせるようにした。これは、例えば、複数の状態の状態毎に発光パターンを対応付けておき、知らせたい状態に対応する発光パターンで1つの発光部143を発光させることにより、実現するとよい。しかしながら、これに限らず、複数の発光部143が金庫装置1の複数の状態を知らせるようにしてもよい。これは、例えば、複数の状態の状態毎に発光部143を対応付けておき、知らせたい状態に対応する発光部143を発光させることにより、実現するとよい。
【0032】
読取部144は、IC(Integrated Circuit)カードが翳された場合に、ICカードから情報を読み取る。或いは、読取部144は、FELICA(登録商標)機能を搭載したスマートフォン等が翳された場合に、スマートフォン等から情報を読み取ってもよい。尚、このようにして読み取られた情報は、警送員のログイン時の認証に用いられる。但し、ログイン時の認証は、生体情報読取部(図示せず)で読み取られた生体情報を用いて行ってもよいし、表示操作部141から入力されたID及びパスワードを用いて行ってもよい。
【0033】
プリンタ145は、金庫装置1の処理の控えをロール紙等の用紙に印字する。プリンタ145で印字された用紙は、例えば、金庫装置1の前面に排出される。
【0034】
図3は、本実施の形態における金庫装置1の施解錠操作部13の小扉133を開いたときの外観構成例を示す図である。
図示するように、施解錠操作部13は、鍵操作部131と、テンキー132と、小扉133とを備える。
【0035】
鍵操作部131は、停電等が発生している非常時に、物理鍵が挿入されて操作されることにより、施解錠機構12の施解錠を行う。
【0036】
テンキー132は、停電等が発生している非常時に、物理鍵を用いずに、施解錠機構12の施解錠を行うために設けられている。警送員はテンキー132からパスワードを入力することにより施解錠機構12を解錠することが可能になっている。テンキー132は、例えば、電池から電力が供給されることにより、停電等が発生している非常時であっても動作可能にするとよい。鍵操作部131しか設けなかった場合、警送員は、複数の店舗を巡回して物品の集配を行うので、非常時のために複数の金庫装置1の物理鍵を常に携帯しておく必要がある。そこで、本実施の形態では、複数の金庫装置1の物理鍵を常に携帯しておく必要がないように、テンキー132を設けている。尚、テンキー132に入力するパスワードは、ワンデイパスワード、ワンタイムパスワード等の一定期間しか使用できないパスワードであることが望ましい。
【0037】
小扉133は、ATMの空きスペースに設置された金庫装置1が一般顧客に興味を持たれないように、鍵操作部131及びテンキー132を隠す。
【0038】
図4は、本実施の形態における金庫装置1の外観構成例を示す斜視図である。特に、
図4は、金庫装置1をバックヤード側から見たときの外観構成を示している。従って、
図4には、バックヤード側筐体20の構成要素が示されている。
図示するように、バックヤード側筐体20は、扉21と、施解錠機構22と、開閉検知機構222と、施解錠操作部23と、操作ターミナル24とを備える。バックヤード側は、第1の側とは反対側の第2の側の一例である。
【0039】
扉21は、行員が物品を収納したり取り出したりする際に開閉される。扉21は、第2の側に設けられた第2の扉の一例である。
施解錠機構22は、扉21の施解及び解錠を行う。尚、施解錠機構22は、ATMコーナー側の扉11が解錠されている場合には、扉21を解錠しないように制御されるとよい。
開閉検知機構222は、扉21の開閉状態を検知する。開閉検知機構222としては、例えば、開閉検知スイッチ又は開閉センサを用いるとよい。
施解錠操作部23は、停電等が発生している非常時の物品の収納又は取り出し時に、施解錠機構22が扉21の施錠及び解錠を行うように行員によって操作される。施解錠操作部23は、鍵操作部231を備える。
【0040】
鍵操作部231は、停電等が発生している非常時に、物理鍵が挿入されて操作されることにより、施解錠機構22の施解錠を行う。
尚、バックヤード側には、テンキーは設けられていない。これは、行員が使用する物理鍵は自店舗の金庫装置1の物理鍵のみであり、非常時のために複数の金庫装置1の物理鍵を常に携帯しておかなければならないという事情がないからである。
また、バックヤード側には、小扉も設けられていない。これはバックヤード側には一般顧客が立ち入ることがなく、一般顧客に興味を持たせたくないという事情もないからである。但し、バックヤード側に小扉が設けられてもよい。
【0041】
操作ターミナル24は、行員が金庫装置1を操作する際に用いられるターミナルである。
操作ターミナル24は、表示操作部241と、カメラ242と、発光部243と、読取部244とを備える。
【0042】
表示操作部241は、例えばタッチパネルディスプレイであり、ユーザが入力した情報を受け付けるとともにユーザに提示する情報を表示する。
【0043】
具体的には、表示操作部241は、停電等が発生していない通常時の物品収納時に、施解錠機構22が扉21の施錠及び解錠を行うように行員によって操作される。
また、行員が物品を収納する際に収納する物品に関する収納情報を入力すると、表示操作部241はこの収納情報を受け付ける。ここで、収納情報は、収納する物品に関する如何なる情報でもよいが、例えば、物品の物品名及び個数とすればよい。
一方、表示操作部241は、停電等が発生していない通常時の物品取り出し時に、施解錠機構22が扉21の施錠及び解錠を行うように行員によって操作される。
また、行員が物品を取り出す際に取り出す物品に関する取出情報を入力すると、表示操作部241はこの取出情報を受け付ける。ここで、取出情報は、取り出す物品に関する如何なる情報でもよいが、例えば、警送員が収納した物品を行員が実際に取り出してみて、警送員が物品を収納する際に入力した収納情報が正しいか否かを判断した結果の情報とすればよい。
【0044】
また、表示操作部241は、扉21が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構222により検知された場合に、その旨を表示する。
一方、表示操作部241は、ATMコーナー側の扉11が所定時間以上開放されていることがATMコーナー側の開閉検知機構122により検知された場合に、その旨を表示してもよい。
表示操作部241は、第2の側に設けられた第2の表示装置の一例である。或いは、表示操作部241は、バックヤード側に金庫装置1とは別に設けられた装置であってもよい。その意味で、表示操作部241は、金融機関に関連する金融機関装置、金融機関の職員が視認可能な第2の表示装置、金庫装置の外部にある第1の外部装置とは異なる第2の外部装置の一例である。
【0045】
カメラ242は、表示操作部241を操作中の行員を撮像する。特に、カメラ242は、表示操作部241を操作中の行員の顔が存在する位置に向けられており、行員の顔を撮像する。そして、撮像された撮像画像は、後述するように、金庫装置1内に記録される。
【0046】
発光部243は、金庫装置1内に物品が収納されている場合に、その旨を発光によってバックヤード側に知らせる。発光部243は、例えばランプによって実現すればよいが、発光するデバイスであれば如何なるデバイスによって実現してもよい。ちなみに発光部243によって知らせる情報は、表示操作部241にて知らせるよう構成されていてもよい。
【0047】
発光部243は、ATMコーナー側の表示操作部141が操作されている場合に、その旨を発光によってバックヤード側に知らせてもよい。或いは、金庫装置1は、ATMコーナー側の表示操作部141が操作されている旨を、音等の発光以外の手段によって知らせてもよい。
【0048】
発光部243は、扉21が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構222により検知された場合に、その旨を発光によってバックヤード側に知らせてもよい。或いは、金庫装置1は、扉21が所定時間以上開放されている旨を、音等の発光以外の手段によって知らせてもよい。
発光部243は、ATMコーナー側の扉11が所定時間以上開放されている場合に、その旨を発光によってバックヤード側に知らせてもよい。或いは、金庫装置1は、ATMコーナー側の扉11が所定時間以上開放されている旨を、音等の発光以外の手段によって知らせてもよい。
【0049】
発光部243は、金庫装置1にエラーが発生した場合に、その旨を発光によってバックヤード側に知らせてもよい。
発光部243は、ATMコーナー側のプリンタ145の用紙切れが発生した場合に、その旨を発光によってバックヤード側に知らせてもよい。
発光部243は、金庫装置1にその他の状態変化が発生した場合に、その旨を発光によってバックヤード側に知らせてもよい。
【0050】
尚、ここでは、1つの発光部243が金庫装置1の複数の状態を知らせるようにした。これは、例えば、複数の状態の状態毎に発光パターンを対応付けておき、知らせたい状態に対応する発光パターンで1つの発光部243を発光させることにより、実現するとよい。しかしながら、これに限らず、複数の発光部243が金庫装置1の複数の状態を知らせるようにしてもよい。これは、例えば、複数の状態の状態毎に発光部243を対応付けておき、知らせたい状態に対応する発光部243を発光させることにより、実現するとよい。
【0051】
読取部244は、IC(Integrated Circuit)カードが翳された場合に、ICカードから情報を読み取る。或いは、読取部244は、FELICA(登録商標)機能を搭載したスマートフォン等が翳された場合に、スマートフォン等から情報を読み取ってもよい。尚、このようにして読み取られた情報は、行員のログイン時の認証に用いられる。但し、ログイン時の認証は、生体情報読取部(図示せず)で読み取られた生体情報を用いて行ってもよいし、表示操作部241から入力されたID及びパスワードを用いて行ってもよい。
【0052】
尚、バックヤード側には、プリンタは設けられていない。これは、金庫装置1に対する操作情報を用紙に印字して持ち帰りたいという要望が銀行側にはないからである。換言すれば、金庫装置1自体は銀行に設けられているため、銀行側が操作情報を確認したい場合は、金庫装置1に記憶されている操作情報を直接確認すればよいからである。
【0053】
[金庫システムの構成]
図5は、本実施の形態における金庫システム100の構成例を示す図である。
図示するように、金庫システム100は、金庫装置1と、携帯端末2,3と、警送会社サーバ4と、管理コンピュータ5と、管理センタサーバ6とを含む。また、金庫システム100は、LAN(Local Area Network)等の通信回線7と、インターネット等の通信回線81と、通信回線81に接続されたアクセスポイント82,83とを含む。
【0054】
金庫装置1は、
図1~
図4で説明した金庫装置1である。即ち、金庫装置1は、ATMコーナー側に扉11、施解錠機構12、施解錠操作部13、操作ターミナル14を有し、バックヤード側に扉21、施解錠機構22、施解錠操作部23、操作ターミナル24を有する。
【0055】
携帯端末2は、警送会社の警送員が使用する携帯端末である。携帯端末2は、アクセスポイント82、通信回線81、通信回線7を介して金庫装置1と接続される。これにより、携帯端末2は、金庫装置1から装置情報を収集したり、金庫装置1に指示情報を与えたりする。尚、アクセスポイント82はあくまで例示であり、携帯端末3と同じアクセスポイントを介して金庫装置1に接続されてもよいし、通信回線7に接続されたアクセスポイントを介して金庫装置1に接続されてもよい。携帯端末2としては、例えばスマートフォンやタブレット端末を用いるとよい。携帯端末2は、金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置、授受業者の職員が所持する第1の携帯端末装置、金庫装置の外部にある第1の外部装置の一例である。
【0056】
携帯端末3は、金融機関の行員が使用する携帯端末である。携帯端末3は、アクセスポイント83、通信回線81、通信回線7を介して金庫装置1と接続される。これにより、携帯端末3は、金庫装置1から装置情報を収集したり、金庫装置1に指示情報を与えたりする。尚、アクセスポイント83はあくまで例示であり、携帯端末2と同じアクセスポイントを介して金庫装置1に接続されてもよいし、通信回線7に接続されたアクセスポイントを介して金庫装置1に接続されてもよい。携帯端末3としては、例えばスマートフォンやタブレット端末を用いるとよい。携帯端末3は、金融機関に関連する金融機関装置、金融機関の職員が所持する第2の携帯端末装置、金庫装置の外部にある第1の外部装置とは異なる第2の外部装置の一例である。
【0057】
警送会社サーバ4は、警送会社に設置され、警送員又はその携帯端末2、配送車、金庫装置1等を管理するサーバコンピュータである。警送会社サーバ4は、通信回線81、通信回線7を介して金庫装置1と接続される。これにより、警送会社サーバ4は、金庫装置1から装置情報を収集したり、金庫装置1に指示情報を与えたりする。警送会社サーバ4としては、例えばPCを用いるとよい。警送会社サーバ4は、金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置、授受業者を管理する第1の管理装置、金庫装置の外部にある第1の外部装置の一例である。
【0058】
管理コンピュータ5は、金融機関の店舗内の装置を管理するコンピュータである。ここで、管理コンピュータ5が管理する装置には、金庫装置1以外に、貨幣処理装置(図示せず)等もある。管理コンピュータ5は、通信回線7を介して金庫装置1等と接続される。これにより、管理コンピュータ5は、金庫装置1等から装置情報を収集したり、金庫装置1等に指示情報を与えたりする。管理コンピュータ5としては、例えばPCを用いるとよい。管理コンピュータ5は、金融機関に関連する金融機関装置、金融機関の金庫装置が設置された店舗を管理する第2の管理装置、金庫装置の外部にある第1の外部装置とは異なる第2の外部装置の一例である。
【0059】
管理センタサーバ6は、金融機関の複数の店舗を管理するサーバコンピュータである。管理センタサーバ6は、通信回線81、各店舗の通信回線7を介して各店舗の金庫装置1と接続される。これにより、管理センタサーバ6は、各店舗の金庫装置1から装置情報を収集したり、各店舗の金庫装置1に指示情報を与えたりする。管理センタサーバ6としては、例えばPCを用いるとよい。管理センタサーバ6は、金融機関に関連する金融機関装置、金融機関の複数の店舗を管理する第3の管理装置、金庫装置の外部にある第1の外部装置とは異なる第2の外部装置の一例である。
【0060】
[金庫装置の機能構成]
図6は、本実施の形態における金庫装置1の機能構成例を示すブロック図である。図示するように、金庫装置1は、施解錠機構12と、開閉検知機構122と、表示操作部141と、カメラ142と、発光部143と、読取部144と、プリンタ145とを備える。また、金庫装置1は、施解錠機構22と、開閉検知機構222と、表示操作部241と、カメラ242と、発光部243と、読取部244とを備える。更に、金庫装置1は、制御部30と、記憶部40と、通信部50とを備える。
【0061】
施解錠機構12、開閉検知機構122、表示操作部141、カメラ142、発光部143、読取部144、プリンタ145、施解錠機構22、開閉検知機構222、表示操作部241、カメラ242、発光部243、読取部244については、既に
図2~
図4を用いて説明したため、ここでは説明を省略する。
【0062】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部40に記憶された動作プログラムに従って、金庫装置1の各部を制御する。
【0063】
特に、制御部30は、扉11が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構122により検知された場合に、その旨を表示する第1の報知処理を行うように、表示操作部141を制御する。また、制御部30は、扉11が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構122により検知された場合に、その旨を携帯端末2、警送会社サーバ4等に送信する第1の報知処理を行うように、通信部50を制御する。この場合、制御部30は、第1の扉が開放されている場合に、その旨を報知する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、制御部30は、第1の扉が開放されている場合に、その旨を第1の外部装置に報知する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。その後、制御部30は、扉11が閉められることにより、第1の報知処理を終了するとよい。
【0064】
また、制御部30は、扉21が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構222により検知された場合に、その旨を表示する第2の報知処理を行うように、表示操作部241を制御する。また、制御部30は、扉21が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構222により検知された場合に、その旨を携帯端末3、管理コンピュータ5、管理センタサーバ6等に送信する第2の報知処理を行うように、通信部50を制御する。つまり、制御部30は、第1の報知処理と第2の報知処理とで報知先を異ならせている。或いは、制御部30は、第1の報知処理と第2の報知処理とで報知態様を異ならせてもよい。この場合、制御部30は、第2の扉が開放されている場合に、その旨を報知する報知処理であって第1の報知処理とは報知先又は報知態様が異なる報知処理である第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、制御部30は、第2の扉が開放されている場合に、その旨を第2の外部装置に報知する第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。その後、制御部30は、扉21が閉められることにより、第2の報知処理を終了するとよい。
【0065】
更に、制御部30は、扉11が現在は閉鎖されているが過去に所定時間以上開放されていたことが開閉検知機構122により検知された場合に、その旨を報知する第3の報知処理を行うように、表示操作部141、表示操作部241、又は通信部50を制御する。扉11の開放中に人が入り込む可能性があるため、扉11を再び開放して内部を確認する必要があるからである。この場合、制御部30は、第1の扉が閉鎖されている場合に、第1の扉が所定時間以上開放されていたことがあれば、その旨を報知する第3の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。尚、制御部30は、第3の報知処理を行うだけでなく、内部確認のために扉11を開閉することを必須としてもよい。その後、制御部30は、扉11が一旦開放されて閉じられることにより、第3の報知処理を終了するとよい。或いは、制御部30は、表示操作部141又は表示操作部241上で内部の確認が完了した旨の入力操作を受け付けることにより、第3の報知処理を終了してもよい。
尚、制御部30の機能の詳細については、後述する。
【0066】
記憶部40は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、制御部30の動作プログラムを記憶し、また、制御部30の制御処理の際にワーク領域として利用される。動作プログラムには、制御部30が後述する処理を実行するためのプログラムが含まれる。
また、記憶部40は、金庫装置1に収納されている物品に関する収納情報を記憶する。
更に、記憶部40は、金庫装置1に対する警送員又は行員の操作に関する操作情報も記憶する。その際、記憶部40は、警送員又は行員の顔画像を、操作内容に紐付けて記憶するとよい。
【0067】
通信部50は、他の装置との間で通信回線を通じた情報通信を行う。
具体的には、通信部50は、行員が物品を収納する際に入力した収納情報が誤っている旨を、警送員が物品を取り出す際に表示操作部141から入力すると、その旨の情報を他の装置へ送信する。また、通信部50は、警送員が物品を収納する際に入力した収納情報が誤っている旨を、行員が物品を取り出す際に表示操作部241から入力すると、その旨の情報を他の装置へ送信する。
【0068】
また、通信部50は、扉11が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構122により検知された場合に、その旨を携帯端末2、警送会社サーバ4等に報知する。
一方、通信部50は、扉21が所定時間以上開放されていることが開閉検知機構222により検知された場合に、その旨を携帯端末3、管理コンピュータ5、管理センタサーバ6等に報知する。
【0069】
更に、通信部50は、1つの店舗に複数の金庫装置1が設置されている場合、これら複数の金庫装置1との間で機器状態や設定情報を送受信することにより、機器状態や設定情報を同期させるために用いられてもよい。
【0070】
図7は、制御部30の報知先を制御する機能について詳細に示す図である。図では、この報知先を制御する機能を、条件項目と条件内容との組み合わせに対して報知先を設定した報知先設定テーブルの形式で示している。
【0071】
まず、条件項目が扉の種類であり、条件内容がATMコーナー側の扉11である場合について説明する。この場合、扉11が開放されている旨を報知する第1の報知処理の報知先として、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2、警送会社サーバ4が設定されている。このうち、ATMコーナー側の表示操作部141は、ATMコーナー側の発光部143等、ATMコーナー側に報知する他の装置に変えてもよい。その意味で、制御部30は、第1の扉が開放されている旨を第1の側に報知する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、制御部30は、第1の扉が開放されている旨を、第1の表示装置に表示する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2、警送会社サーバ4は、警送会社に関連する装置と捉えることができる。その意味で、制御部30は、第1の扉が開放されている旨を、金融機関との間で物品を授受する授受業者に関連する授受業者装置に報知する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。
【0072】
加えて、この場合には、所定時間以内に扉11が閉められなければ、その旨を報知する報知処理の報知先として、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5が設定されている。ここで、これらの報知先は、後述する第2の報知処理の報知先に含まれる。その意味で、制御部30は、第1の報知処理を行ってから所定時間以内に第1の扉が閉鎖されない場合に、第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。
【0073】
また、条件項目が扉の種類であり、条件内容がバックヤード側の扉21である場合について説明する。この場合、扉21が開放されている旨を報知する第2の報知処理の報知先として、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5、管理センタサーバ6が設定されている。このうち、バックヤード側の表示操作部241は、バックヤード側の発光部243等、バックヤード側に報知する他の装置に変えてもよい。その意味で、制御部30は、第2の扉が開放されている旨を第2の側に報知する第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、制御部30は、第2の扉が開放されている旨を、第2の表示装置に表示する第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5、管理センタサーバ6は、金融機関に関連する装置と捉えることができる。その意味で、制御部30は、第2の扉が開放されている旨を、金融機関に関連する金融機関装置に報知する第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。
【0074】
次に、条件項目が日時であり、条件内容が行員が滞在している日時(例えば平日の9時から17時)である場合について説明する。この場合、扉11及び扉21が開放されている旨をそれぞれ報知する第1の報知処理及び第2の報知処理の報知先として、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5、管理センタサーバ6が設定されている。或いは、これは、扉11が開放されていることを報知したが所定時間以内に閉められなかった場合の報知先として、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5、管理センタサーバ6が設定されていると捉えることもできる。その意味で、制御部30は、金融機関の金庫装置が設置された店舗に金融機関の職員が滞在していれば、第1の扉が開放されている旨を、金融機関装置に報知する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。
【0075】
また、条件項目が日時であり、条件内容が行員が不在の日時(例えば平日の9時から17時以外及び休日)である場合について説明する。この場合、扉11及び扉21が開放されている旨をそれぞれ報知する第1の報知処理及び第2の報知処理の報知先として、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2、警送会社サーバ4が設定されている。或いは、これは、扉11が開放されていることを報知したが所定時間以内に閉められなかった場合の報知先として、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2、警送会社サーバ4が設定されていると捉えることもできる。つまり、この場合の報知先は、条件項目が扉の種類であり、条件内容がATMコーナー側の扉11である場合の最初の報知先と同じになる。
【0076】
次に、条件項目が扉11又は扉21の開放時間が所定時間に達したという事象の発生からの経過時間であり、条件内容がその事象の発生直後(例えば3分以内)又は取引の完了操作前である場合について説明する。この場合、警送員の操作後に扉11が開放されている旨を報知する第1の報知処理の報知先として、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2が設定されている。その意味で、制御部30は、第1の扉が開放されている旨を、第1の扉が開放されてから所定時間経過前であれば、第1の表示装置及び第1の携帯端末装置の少なくとも1つに報知する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、行員の操作後に扉21が開放されている旨を報知する第2の報知処理の報知先として、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5が設定されている。その意味で、制御部30は、第2の扉が開放されている旨を、第2の扉が開放されてから所定時間経過前であれば、第2の表示装置、第2の携帯端末装置、及び第2の管理装置の少なくとも1つに報知する第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。
【0077】
また、条件項目が扉11又は扉21の開放時間が所定時間に達したという事象の発生からの経過時間であり、条件内容がその事象の発生直後(例えば3分以内)以降又は取引の完了操作以降である場合について説明する。この場合、警送員の操作後に扉11が開放されている旨を報知する第1の報知処理の報知先として、警送会社サーバ4が設定されている。その意味で、制御部30は、第1の扉が開放されている旨を、第1の扉が開放されてから所定時間経過後であれば、第1の管理装置に報知する第1の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。また、行員の操作後に扉21が開放されている旨を報知する第2の報知処理の報知先として、管理センタサーバ6が設定されている。その意味で、制御部30は、第2の扉が開放されている旨を、第2の扉が開放されてから所定時間経過後であれば、第3の管理装置に報知する第2の報知処理を行うように制御する制御部の一例である。
【0078】
尚、
図7の報知先設定テーブルでは、条件項目と条件内容との組み合わせに対して報知先を設定したが、条件項目と条件内容との組み合わせに対して報知態様を設定してもよい。ここで、報知態様には、例えば、報知の強度がある。例えば、条件項目が日時であり、条件内容がATMの営業時間帯(例えば8時から24時)である場合に、報知の強度を高く設定することが考えられる。報知処理が表示操作部に表示する処理である場合、報知の強度は、表示する文字の大きさや色等である。報知処理が音出力する処理である場合、報知の強度は、音の大きさや警告ブザーを併用するか等である。報知処理が他の装置に送信する処理である場合、報知の強度は、緊急度が高い旨の情報を付加して送信するか等である。
【0079】
また、上記では、
図7の報知先設定テーブルを、制御部30の報知先を制御する機能をまとめたものと捉えたが、制御部30が動作する際に参照するデータと捉えてもよい。このデータは記憶部40に記憶されてもよいし、金庫装置1の外部にあるデータサーバ(図示せず)に記憶されてもよい。この場合、報知先設定テーブルは、複数の条件毎に各条件が満たされた場合の報知先を設定した設定情報の一例であり、記憶部40又はデータサーバは、設定情報を記憶する記憶装置の一例である。また、制御部30は、記憶装置に記憶された設定情報に基づいて、第1の報知処理及び第2の報知処理における報知先を決定する制御部の一例である。
【0080】
[金庫装置の動作]
図8は、本実施の形態の金庫装置1における第1の報知処理の動作例を示すフローチャートである。この第1の報知処理は、扉11が開けられたことが開閉検知機構122により検知された場合に、制御部30により実行が開始される。
【0081】
第1の報知処理の実行を開始すると、まず、制御部30は、扉11が閉められたか否かを判定する(ステップ301)。具体的には、制御部30は、扉11が閉められたことが開閉検知機構122により検知されたか否かに基づいて、この判定を行うとよい。
ステップ301で扉11が閉められていないと判定された場合、制御部30は、扉11の開時間が第1の閾値(例えば1分)以上となったか否かを判定する(ステップ302)。
【0082】
ステップ302で扉11の開時間が第1の閾値以上となっていないと判定された場合、制御部30は、処理をステップ301へ戻す。
ステップ302で扉11の開時間が第1の閾値以上となったと判定された場合、制御部30は、扉開フラグをONにする(ステップ303)。ここで、扉開フラグは、扉11の開時間が第1の閾値以上となったか否かを示すフラグである。扉開フラグは、扉11の開時間が第1の閾値以上となっていない場合にOFFとなり、扉11の開時間が第1の閾値以上となった場合にONとなる。
【0083】
次に、制御部30は、扉11の開時間が第1の閾値以上となった旨を報知する報知先を決定する(ステップ304)。具体的には、制御部30は、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2、警送会社サーバ4を、報知先に決定する。特に、制御部30は、扉11の開時間が第1の閾値以上となった直後又は物品の収納や取り出しの完了操作前であれば、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2を、報知先に決定するとよい。また、制御部30は、それ以降であれば、警送会社サーバ4を、報知先に決定するとよい。
次いで、制御部30は、扉11の開時間が第1の閾値以上となった旨を、ステップ304で決定した報知先に報知する(ステップ305)。
【0084】
このようにして第1の報知処理が実行されると、主として、警送員がATMコーナー側の扉11を閉めることが考えられるが、ATMコーナー側の扉11が閉められないこともあり得る。そこで、制御部30は、扉11の開時間が第1の閾値よりも大きい第2の閾値(例えば3分)以上となったか否かを判定する(ステップ306)。
【0085】
ステップ306で扉11の開時間が第2の閾値以上となっていないと判定された場合、制御部30は、処理をステップ301へ戻す。
ステップ306で扉11の開時間が第2の閾値以上となったと判定された場合、制御部30は、バックヤード側エラー画面を表示する(ステップ307)。その際、制御部30は、行員が滞在している日時である場合に限り、バックヤード側エラー画面を表示するようにしてもよい。
図9(a)に、バックヤード側エラー画面の一例である画面501を示す。画面501は、ATMコーナー側の扉11が開いている旨をバックヤード側に知らせる画面である。尚、制御部30は、行員が滞在していない日時であれば、バックヤード側エラー画面を表示せずに、ATMコーナー側の表示操作部141、警送員の携帯端末2、警送会社サーバ4に報知する処理を継続してもよい。
【0086】
その後、制御部30は、扉開フラグがONになっているか否かを判定する(ステップ308)。
一方、ステップ301で扉11が閉められたと判定された場合も、制御部30は、扉開フラグがONになっているか否かを判定する(ステップ308)。
【0087】
ステップ308で扉開フラグがONになっていると判定された場合、制御部30は、金庫内確認指示画面を表示し(ステップ309)、処理を終了する。
図9(b)に、金庫内確認指示画面の一例である画面502を示す。画面502は、ATMコーナー側の扉11が開いていた時間があり、金庫装置1内に子ども等が閉じ込められている可能性があるため、金庫装置1内を確認することを指示する画面である。
ステップ308で扉開フラグがONになっていないと判定された場合、制御部30は、金庫内確認指示画面を表示することなく、処理を終了する。
【0088】
図10は、本実施の形態の金庫装置1における第2の報知処理の動作例を示したフローチャートである。この第2の報知処理は、扉21が開けられたことが開閉検知機構222により検知された場合に、制御部30により実行が開始される。
【0089】
第2の報知処理の実行を開始すると、まず、制御部30は、扉21が閉められたか否かを判定する(ステップ401)。具体的には、制御部30は、扉21が閉められたことが開閉検知機構222により検知されたか否かに基づいて、この判定を行うとよい。
ステップ401で扉21が閉められていないと判定された場合、制御部30は、扉21の開時間が閾値(例えば1分)以上となったか否かを判定する(ステップ402)。
【0090】
ステップ402で扉21の開時間が閾値以上となっていないと判定された場合、制御部30は、処理をステップ401へ戻す。
ステップ402で扉21の開時間が閾値以上となったと判定された場合、制御部30は、扉21の開時間が閾値以上となった旨を報知する報知先を決定する(ステップ403)。具体的には、制御部30は、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5、管理センタサーバ6を、報知先に決定する。特に、制御部30は、扉21の開時間が閾値以上となった直後又は物品の収納や取り出しの完了操作前であれば、バックヤード側の表示操作部241、行員の携帯端末3、管理コンピュータ5を、報知先に決定するとよい。また、制御部30は、それ以降であれば、管理センタサーバ6を、報知先に決定するとよい。
次いで、制御部30は、扉21の開時間が閾値以上となった旨を、ステップ403で決定した報知先に報知し(ステップ404)、処理を終了する。
一方、ステップ401で扉21が閉められたと判定された場合も、制御部30は、処理を終了する。
【0091】
[第1の変形例]
金庫装置1は、停電中に物理鍵によって扉が開放されたことを、復電後に検知できる構成となっている。そこで、本変形例では、制御部30が、復電後に扉が閉鎖されていても停電中に扉が開放されたことが検知された場合は、扉の開放中に人が入り込んでいる可能性があるため、扉を開放して内部を確認することを促すように制御する。
【0092】
[第2の変形例]
本変形例では、制御部30が、警送員又は行員のログイン時に、壁W(
図1参照)を挟んだ両側をカメラ142,242に撮影させ、撮影された画像をログデータとして記憶する。ログデータは、例えば管理コンピュータ5に記憶され、必要時に確認(再生)される。これにより、警送員又は行員の操作時における反対側の周辺状況を追跡することが可能となる。
【0093】
図11は、本変形例で記憶されるログデータの一例を示す図である。図示するように、ログデータでは、ATMコーナー側画像として、カメラ142で撮影された画像が記憶され、バックヤード側画像として、カメラ242で撮影された画像が記憶されている。
【0094】
このようなログデータを記憶することにより、不正行為が抑制され、仮に不正行為が行われたとしてもその不正を解析するための情報が増える。
例えばバックヤード側で操作中であれば、ATMコーナー側の状況を履歴として残すことができ、ATMコーナー側で操作中であれば、バックヤード側の状況を履歴として残すことができる。
また、例えば、反対側が無人だと思って操作していたが、無人でなかったことも分かる。
更に、金庫装置1がATMコーナー側とバックヤード側とをつなぐ設置構成となるために懸念される悪用を抑止することができる。
尚、制御部30は、警送員又は行員の操作時に、反対側のカメラで撮影した画像を、自分側の表示操作部にリアルタイム表示してもよい。
或いは、制御部30は、待機中も定期的に撮影しつつ、人が写っている画像だけを残してもよい。
【0095】
[第3の変形例]
上記では、金庫装置1として、金融機関に設置されるものを想定したが、これ以外に、例えば宅配ボックスのように住居等に設置されるものも想定できる。この場合、ATMコーナーS1側、バックヤードS2側という捉え方がなくなるので、一方の側を第1の側、他方の側を第2の側と捉えればよい。
【0096】
[実施の形態の効果]
本実施の形態では、ATMの空きスペースに設置されて、物品の授受に利用される金庫装置1において、扉11,21の閉め忘れが発生した場合に、所定条件に基づいて、報知先を切り替えるようにした。これにより、適切な確認作業を行うことができ、トラブルを防止することが可能となった。
【符号の説明】
【0097】
1…金庫装置、2,3…携帯端末、4…警送会社サーバ、5…管理コンピュータ、6…管理センタサーバ、10…ATMコーナー側筐体、20…バックヤード側筐体、11,21…扉、12,22…施解錠機構、122,222…開閉検知機構、13,23…施解錠操作部、131,231…鍵操作部、132…テンキー、133…小扉、14,24…操作ターミナル、141,241…表示操作部、142,242…カメラ、143,243…発光部、144,244…読取部、145…プリンタ、30…制御部、40…記憶部、50…通信部