(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157825
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エレベータ吊り機、およびエレベータシャフト構造
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B66B7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072422
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】石井 健広
(72)【発明者】
【氏名】仲林 清文
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 紘光
(72)【発明者】
【氏名】山分 幸信
(72)【発明者】
【氏名】金子 哲也
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 敏康
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305DA13
(57)【要約】
【課題】エレベータ配置用の開口空間に容易に設置できるとともに、周囲の工事における施工の障害になり難く施工効率を向上することができるエレベータ吊り機、およびエレベータシャフト構造を提供する。
【解決手段】構造物内に形成されたエレベータ設置用の開口空間12に配置され、搬器を昇降駆動可能に吊下支持するエレベータ吊り機10であって、搬器に連結されたワイヤロープ14を巻上可能に支持する巻上機21と、巻上機を支持する架台部20と、を備え、架台部は、平面視において伸縮可能な伸縮脚部27を有し、架台部は、伸縮脚部を伸長させた状態で開口空間周囲の構造部11に架設可能であり、伸縮脚部を収縮させた状態で平面視における外形が開口空間より小さくなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物内に形成されたエレベータ設置用の開口空間に配置され、搬器を昇降駆動可能に吊下支持するエレベータ吊り機であって、
前記搬器に連結されたワイヤロープを巻上可能に支持する巻上機と、
前記巻上機を支持する架台部と、を備え、
前記架台部は、平面視において伸縮可能な伸縮脚部を有し、
前記架台部は、前記伸縮脚部を伸長させた状態で前記開口空間周囲の構造部に架設可能であり、前記伸縮脚部を収縮させた状態で平面視における外形が前記開口空間より小さくなるエレベータ吊り機。
【請求項2】
前記伸縮脚部は、前記架台部に固定された脚部本体と、前記脚部本体に対して水平方向に相対移動可能な脚体と、を備えている請求項1に記載のエレベータ吊り機。
【請求項3】
前記脚体の先端には、前記構造部に支持される支持部が設けられている請求項2に記載のエレベータ吊り機。
【請求項4】
前記開口空間には前記搬器の昇降を案内するレール部が設けられ、平面視において前記レール部と、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のエレベータ吊り機と、が互いに干渉しない位置に配置されているエレベータシャフト構造。
【請求項5】
前記開口空間は、本設エレベータ用のエレベータシャフトである請求項4に記載のエレベータシャフト構造。
【請求項6】
前記開口空間の周囲には、前記エレベータ吊り機と平面視において干渉しない位置に、上下に連続するシャフト区画壁が形成されている請求項4に記載のエレベータシャフト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ吊り機、およびエレベータシャフト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高層建築物を建設する際、仮設エレベータが構造物に複数階にわたり設けられた開口空間に設置されることがある。例えば、下記特許文献1に記載された揚重装置では、上下方向に複数階に延在する開口空間の中に、仮設リフトおよび仮設エレベータが上下に配設されている。仮設エレベータは、構造物の1階から躯体工事が完了した階までの間に設けられていて、エレベータマストの対応する位置に配置された蓮台に、トップシーブ及び駆動部などが装着されてエレベータ吊り機が構成されている。また、搬器及びウエイトを吊持するワイヤがエレベータ吊り機に巻上可能に支持されていた。建築工事が進行すると、エレベータマストを上方に伸延させ、エレベータ吊り機をエレベータマストの上部に移動させることで、仮設エレベータ領域を上方まで拡張する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、開口空間に設けられた従来の仮設エレベータの多くは、仮設エレベータ用の開口空間や本設エレベータ用の開口空間に固定して設けられていた。そのため、仮設エレベータが設置されている各フロアの開口部周辺の工事を、仮設エレベータが解体撤去されるまで施工できなかった。特に、仮設エレベータ用の開口空間を設けている場合や高層建築物の場合には、解体後の施工範囲が広範囲となり、施工工程に与える影響が大きいという問題があった。また、特許文献1の揚重装置では、開口空間に設けられたエレベータマストにエレベータ吊り機等を上方に移動させるための機構が必要であるため、開口空間に設置し難いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エレベータ配置用の開口空間に容易に設置できるとともに、周囲の工事における施工の障害になり難く施工効率を向上することができるエレベータ吊り機、およびエレベータシャフト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のエレベータ吊り機は、構造物内に形成されたエレベータ設置用の開口空間に配置され、搬器を昇降駆動可能に吊下支持するエレベータ吊り機であって、前記搬器に連結されたワイヤロープを巻上可能に支持する巻上機と、前記巻上機を支持する架台部と、を備え、前記架台部は、平面視において伸縮可能な伸縮脚部を有し、前記架台部は、前記伸縮脚部を伸長させた状態で前記開口空間周囲の構造部に架設可能であり、前記伸縮脚部を収縮させた状態で平面視における外形が前記開口空間より小さくなることを特徴とする。
【0007】
このようにすれば、巻上機を支持する架台部が、伸縮脚部を伸長させた状態で、構造物の開口空間周囲の構造部間に架設できるため、開口空間の内部にエレベータ吊り機を固定するための構造を別途設ける必要がなく、開口空間にエレベータ吊り機を容易に安定して設置できる。しかも、伸縮脚部を収縮させることで、架台部の外形を開口空間より小さくできるため、エレベータ吊り機を開口空間の内部で容易に上下方向に移動させることができ、エレベータ吊り機を移動させるための特別な構造も不要である。そのため、構造物のエレベータ配置用の開口空間にエレベータ吊り機を容易に設置することが可能であり、施工途中にエレベータ吊り機の設置位置を変更しつつ工事を進めることができる。つまり、エレベータ吊り機が開口空間の周囲の工事における施工の障害になり難く、施工効率を向上することができる。
【0008】
本発明のエレベータ吊り機は、前記伸縮脚部が、前記架台部に固定された脚部本体と、前記脚部本体に対して水平方向に相対移動可能な脚体と、を備えていてもよい。
このように構成することで、簡易な構造で伸縮脚部を構築でき、脚体の長さを容易に調節することができる。
【0009】
本発明のエレベータ吊り機は、前記脚体の先端には、前記構造部に支持される支持部が設けられていてもよい。
このように支持部が設けられることにより、開口空間周囲の構造部に確実にエレベータ吊り機を支持固定することができる。
【0010】
本発明のエレベータシャフト構造は、前記開口空間には前記搬器の昇降を案内するレール部が設けられ、平面視において前記レール部と、上記したいずれかのエレベータ吊り機と、が互いに干渉しない位置に配置されている。
このように構成することで、工事の進行に伴い、仮設エレベータを上方に伸延させる際、開口空間内にエレベータ吊り機が設置された状態のままで、既に設置されている下方のレールの上方に新たなレールを連結することができる。つまり、レール部の施工を短工期で行うことができる。
【0011】
本発明のエレベータシャフト構造は、前記開口空間が、本設エレベータ用のエレベータシャフトであってもよい。
このように構成することで、本設のエレベータシャフトを構築するための開口空間を利用して仮設エレベータを設置することができるため、仮設エレベータ用の開口空間を別途設ける必要がなく、工事が完了するまでの間に仮設エレベータ用の開口空間を閉塞して各種の工事を施工するようなことが無くなり、施工効率を向上できる。
【0012】
本発明のエレベータシャフト構造は、前記開口空間の周囲には、前記エレベータ吊り機と平面視において干渉しない位置に、上下に連続するシャフト区画壁が形成されていてもよい。
このように構成することで、開口空間内にエレベータ吊り機が設置された状態のままで、シャフト区画壁を施工することができるため、施工効率を向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエレベータ吊り機、およびエレベータシャフト構造によれば、エレベータ配置用の開口空間に容易に設置できるとともに、周囲の工事における施工の障害になり難く施工効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るエレベータ吊り機を構造物のエレベータ配置用の開口空間に設置した状態を示す概略正面図である。
【
図3】本実施形態に係るエレベータ吊り機を示す概略平面図である。
【
図4】本実施形態に係るエレベータ吊り機を示す側面図である。
【
図5】本実施形態に係るエレベータ吊り機を示す正面図である。
【
図6】本実施形態に係るエレベータ吊り機の架台部の伸縮脚部の平面図であり、(a)は伸縮脚部を伸長させた状態を示し、(b)は伸縮脚部を収縮させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。本実施形態では、建設途中の高層建築物に設けられている本設エレベータ設置用のエレベータシャフトにエレベータ吊り機を設置して工事用の仮設エレベータを設置した例を用いて説明する。
【0016】
図1は本実施形態のエレベータ吊り機を構造物のエレベータ配置用の開口空間に設置した状態を示す概略正面図であり、
図2及び
図3は本実施形態のエレベータ吊り機を示す概略正面図及び平面図である。
【0017】
図1~
図3に示すように、本実施形態のエレベータ吊り機10が装着される構造物1は、建設途中の高層建築物である。詳細には、工事の進行とともにフロア数が増加する途中の躯体であり、各フロアには床を構成する床構造部11が設けられている。
【0018】
各フロアの床構造部11には上下に貫通する開口部12aが形成され、各フロアの開口部12aが鉛直方向に略同一位置に配列することで開口空間12が形成されている。本実施形態では、開口空間12は、最終的には本設エレベータのエレベータシャフトとして用いられることになる。
【0019】
本実施形態のエレベータ吊り機10は、開口空間12の工事進行に沿った高さ位置に設置されている。開口空間12におけるエレベータ吊り機10の下方には、搬器13と図示しないウエイトとが昇降可能に配置されている。搬器13及びウエイトは、ワイヤロープ14により連結されていて、エレベータ吊り機10にワイヤロープ14が支持されることで昇降駆動可能に構成されている。
【0020】
エレベータ吊り機10より下方の開口空間12には、搬器13やウエイトの昇降を案内するためのレール部15が、鉛直方向に下端からエレベータ吊り機10の高さ位置まで連続して設置されている。レール部15はラックギヤであってもよく、搬器13とウエイトとに別々に設置されていてもよい。さらに、開口空間12の少なくとも一面、好ましくは全面には、シャフト区画壁16が上下に連続して設けられている。なお、構造物1の施工が進むと開口空間12も上方に延伸されるため、それに合わせてレール部15およびシャフト区画壁16も延設される(
図1参照)。
【0021】
エレベータ吊り機10は、開口空間12に配置されて、開口部12a周囲の床構造部11に固定される架台部20と、架台部20に載置されて、搬器13に連結されたワイヤロープ14を巻上可能に支持する巻上機21と、を備えている。
【0022】
巻上機21は、ワイヤロープ14を支持するトップシーブ22と、トップシーブ22を回転駆動する駆動装置23と、トップシーブ22とともにワイヤロープ14が巻き掛けられたそらせ車24と、を備えている。
【0023】
図4及び
図5は、本実施形態のエレベータ吊り機10を示す側面図及び正面図であり、
図6(a)、(b)は架台部の伸縮脚部の平面図である。
【0024】
図4、
図5に示すように、架台部20は、巻上機21が固定された架台本体26と、架台本体26の下側に連結された伸縮脚部27とを有する。
【0025】
伸縮脚部27は、架台本体26の下部に設けられていて、平面視において最大幅が拡大縮小するように伸縮可能に設けられている。伸縮脚部27は、アウトリガーからなり、架台本体26の下部に設けられた複数の脚部本体27aと、一端側が脚部本体27aに挿入されて他端側に床構造部11との支持部27cが設けられた複数の脚体27bと、を備えている。本実施形態では、伸縮脚部27は2本設けられている。各脚体27bは脚部本体27aに収容される一端側の長さを変化させることでそれぞれ略水平方向に直線的に伸縮可能であり、伸長状態或いは収縮状態で脚部本体27aに対して固定可能に構成されている。脚部本体27aに対する脚体27bの固定方法は任意であり、例えば、ボルトを用いて固定すればよい。
【0026】
図6(a)に示すように、架台部20は、伸縮脚部27を伸長させることで、平面視において最大幅を床構造部11の開口部12aよりも拡大できる。この状態で各支持部27cを床構造部11に固定することで、開口部12aの周囲の床構造部11間にエレベータ吊り機10を構造物1に設置することができる。
【0027】
本実施形態のエレベータ吊り機10では、架台部20により開口部12aに架設した状態で、平面視において搬器13及びウエイトのレール部15と、架台部20及び巻上機21と、が互いに干渉しない位置に配置されている。
【0028】
さらに、開口空間12に設置されるシャフト区画壁16が、伸縮脚部27以外の架台部20及び巻上機21と、平面視において干渉しない位置に配置されている。
【0029】
図6(b)に示すように、伸縮脚部27を収縮させると、平面視において最大幅が床構造部11の開口部12aよりも縮小できて外形形状を開口空間12より小さくすることができる。
【0030】
このような構造のエレベータ吊り機10を施工途中の高層建築物に装着して、工事用の仮設エレベータを設置すれば、本設エレベータ用のエレベータシャフトに仮設エレベータを設置して使用することができる。
【0031】
そして、構造物1の工事が進行してエレベータ吊り機10が設置された箇所よりも上方の施工を進める際に、開口空間12周辺のシャフト区画壁16の施工を行うことができる。また、シャフト区画壁16の施工が完了した後、エレベータ吊り機10が設置された箇所よりも上方のレール部15の設置工事を行うことができる。このレール部15の設置工事は、仮設エレベータを使用しながら並行して行うことができる。
【0032】
工事が進行してフロア数が増加したときには、仮設エレベータの使用範囲を上方に延伸することが必要になる。仮設エレベータの使用範囲を延伸するには、搬器13及びウエイトを一定位置に保持した状態で、伸縮脚部27の支持部27cを開口部12a周囲の床構造部11から取り外すとともに、脚体27bと脚部本体27aとの固定を解除して、脚部本体27aに脚体27bの一端側を収容する方向に移動させることで伸縮脚部27の全長を収縮させる(
図6(b)参照)。
【0033】
この状態で、エレベータ吊り機10をクレーン等により吊上げて開口空間12内で上昇させる。そして、エレベータ吊り機10を所定位置まで上昇させた後、再び伸縮脚部27を伸長させて、フロア数の増加に応じた適宜なフロアにおける開口部12a周囲の床構造部11に再び伸縮脚部27を固定することで、仮設エレベータの運転範囲を増加することができる。なお、図示しない余剰ドラムからワイヤロープ14を繰り出すことにより、搬器13の移動範囲を大きくすることができるようになっている。このようにして繰り返しエレベータ吊り機10を上昇させて仮設エレベータの運転範囲を増加することで、高層建築物(構造物1)の完成まで仮設エレベータを本設エレベータのエレベータシャフトを利用しながら使用することが可能である。
【0034】
本実施形態のエレベータ吊り機10によれば、巻上機21を支持する架台部20が、伸縮脚部27を伸長させた状態で、構造物の開口空間12の周囲の床構造部11間に架設できる。そのため建設途中の建築物における開口空間12の内部にエレベータ吊り機10を固定するための構造を設ける必要がなく、開口空間12にエレベータ吊り機10を容易に安定して設置できる。しかも伸縮脚部27を収縮させれば、架台部20の外形を開口空間12より小さくできるので、開口空間12を通してエレベータ吊り機10を容易に昇降させることができる。
【0035】
そのため、建設途中の建築物における開口空間12にエレベータ吊り機10を容易に設置することが可能で、開口空間12内でエレベータ吊り機10の設置位置を容易に変更して設置できる。これにより施工途中にエレベータ吊り機10の設置位置を変更しつつ工事を進めることができ、エレベータ吊り機10が開口空間12の周囲の工事における施工の障害になり難い。
【0036】
本実施形態のエレベータ吊り機10は、伸縮脚部27が、架台本体26に固定された脚部本体27aと、脚部本体27aに対して水平方向に相対移動可能な脚体27bと、を備えているため、簡易な構造で伸縮脚部27を構築でき、脚体27bの長さを容易に調節することができる。
【0037】
本実施形態のエレベータ吊り機10は、脚体27bの先端に、床構造部11に支持される支持部27cが設けられているため、開口空間12周囲の床構造部11に確実にエレベータ吊り機10を支持固定することができる。なお、支持部27cは床構造部11に支持するように説明をしたが、床構造部11以外の箇所に支持部27cを支持してもよい。
【0038】
また、本実施形態のエレベータ吊り機10では、開口空間12が搬器13の昇降を案内するレール部15を備え、平面視においてレール部15と架台部20及び巻上機21とが互いに干渉しない位置に配置されている。そのため、工事の進行に伴い、仮設エレベータを上方に延伸させる際、開口空間12内にエレベータ吊り機10が設置された状態のまま、既に設置されている下方のレール部15の上方に新たなレール部15を連結する工事を行うことができる。よって、レール部15を延伸させ易い。
【0039】
さらに、本実施形態のエレベータ吊り機10では、開口空間12が本設エレベータ用のエレベータシャフトであるので、エレベータシャフトを構築するための開口空間12を利用して仮設エレベータを設置することができる。そのため仮設エレベータ用の開口空間を設ける必要がなく、工事が完了するまでの間に仮設エレベータ用の開口空間を閉塞して各種の工事を施工するようなことが必要ない。
【0040】
しかも、本実施形態のエレベータ吊り機10では、開口空間12が平面視において伸縮脚部27を除く架台部20及び巻上機21とは干渉しない位置に、上下に連続するシャフト区画壁16を備えている。そのため、開口空間12内にエレベータ吊り機10が設置された状態のままで、シャフト区画壁16の取付工事を行うことができる。
【0041】
なお、上記実施形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、エレベータ吊り機10を建設途中の高層建築物のエレベータシャフトに装着した例を用いて説明したが、エレベータ吊り機10が設置される構造物は何ら限定されない。例えば、構造物は建設途中のダムや橋などであってもよく、更には完成後の各種の建築物等であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、伸縮脚部27が脚部本体27aと、脚部本体27aに直線的に伸縮可能に挿入された脚体27bとにより構成された例について説明したが、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記の伸縮脚部27は、一方の幅方向にのみ伸縮したものであったが、それぞれ異なる方向に伸縮するものであってもよい。また、互いに平行に隣り合って配置された脚体27b同士を連結することも可能である。さらに、架台本体26に回動可能に装着された脚体により構成することも可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、各フロアに設けられた開口部12a及び開口空間12は周囲が囲まれていたが、一部が外向きに開放された凹形状に形成されていてもよい。さらに開口部12a及び開口空間12における、伸縮脚部27やレール部15の配置なども何ら限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 エレベータ吊り機
11 床構造部(構造部)
12 開口空間
12a 開口部
13 搬器
14 ワイヤロープ
15 レール部
16 シャフト区画壁
20 架台部
21 巻上機
22 トップシーブ
23 駆動装置
24 そらせ車
26 架台本体
27 伸縮脚部
27a 脚部本体
27b 脚体
27c 支持部