(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157834
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】地中排水具及び地中排水構造
(51)【国際特許分類】
E02D 3/10 20060101AFI20241031BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E02D3/10 101
E02D17/20 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072440
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000446
【氏名又は名称】岡部株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】前田 和徳
【テーマコード(参考)】
2D043
2D044
【Fターム(参考)】
2D043DA04
2D043DD15
2D044EA03
(57)【要約】
【課題】土砂などの粒分によって目詰まりが生じることがなく、地下水を円滑に排出することが可能な地中排水具及び地中排水構造を提供する。
【解決手段】地中に斜め下向きに挿入されて地下水wを流通させる排水管2,3を直列接続するために、端部開口4a,4bから長さ方向に内奥へ向けて、排水管が挿入される中空筒状の接続管4を備え、接続管の内周には、端部開口4aから内奥へ向けて、螺旋状に凸条15が形成され、凸条と接続管の第1接続部10に挿入される第1排水管2とで区画して、接続管の端部開口から内奥へ向けて螺旋状の通水路16が形成され、接続管の内奥に位置する通水路の終端である排水部16aが接続管内方に連通されると共に、接続管の端部開口に位置する通水路の始端である流入部16bが地中と連通される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に浸透している地下水を排出する地中排水具であって、
地中に斜め下向きに挿入されて地下水を流通させる排水管を直列接続するために、端部開口から長さ方向に内奥へ向けて、該排水管が挿入される中空筒状の接続管を備え、
該接続管の内周には、上記端部開口から上記内奥へ向けて、螺旋状に凸条が形成され、
該凸条と上記接続管に挿入される上記排水管とで区画して、該接続管の上記端部開口から上記内奥へ向けて螺旋状の通水路が形成され、
上記接続管の上記内奥に位置する上記通水路の終端が該接続管内方に連通されると共に、該接続管の上記端部開口に位置する該通水路の始端が地中と連通されることを特徴とする地中排水具。
【請求項2】
前記排水管には、前記接続管と接続するための外周ねじ条が形成され、該外周ねじ条は、前記凸条に隙間を隔てて螺合され、前記通水路は、上記凸条と上記外周ねじ条の隙間で形成されることを特徴とする請求項1に記載の地中排水具。
【請求項3】
前記接続管に挿入される前記排水管は、外周が前記凸条に当接され、前記通水路は、上記凸条と上記排水管の外周で区画形成されることを特徴とする請求項1に記載の地中排水具。
【請求項4】
請求項1~3いずれかの項に記載の地中排水具を用い、該地中排水具は、前記排水管が斜め下向きとなる姿勢で地中に挿入され、上記排水管の斜め下向きの先端は、挿入終端として地中から地盤面に露出されることを特徴とする地中排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂などの粒分によって目詰まりが生じることがなく、地下水を円滑に排出することが可能な地中排水具及び地中排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に浸透している地下水を排出する技術として、例えば特許文献1及び2が知られている。特許文献1の「排水管」は、地中に埋設して、地中に浸透した水を排水する排水管であって、周面に軸方向に延びる多数のスリット状通水孔を開設して構成されている。
【0003】
特許文献2の「土中埋設用集水管」は、目詰まりが起こりにくく、かつ、製造コストが低くて製造が容易である集水管の提供を課題とし、開口率5~50%の有孔板からなる集水管としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4-37624号公報
【特許文献2】特開2003-232028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地中に浸透している地下水は、土や砂などの粒分が混ざり合って、混濁状態となっている。これら粒分は、水中で浮遊するものもあるが、比重が水よりも重くて沈殿する。
【0006】
背景技術では、孔の形状や個数、開口率によって、孔に目詰まりを生じさせずに、土中から排水することを企図している。
【0007】
しかしながら、地下水が排水管や集水管へ流入する際、地下水と共に流れ込もうとする土や砂などの粒分によって孔が塞がれて目詰まりが生じてしまうことは避けられず、また、排水管等の内部に流れ込んでしまった粒分がその重さによって当該排水管等の内部に沈殿し堆積して、これにより排水管等それ自体に目詰まりが生じてしまって、排水や集水の機能を継続して果たすことができないという課題があった。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、土砂などの粒分によって目詰まりが生じることがなく、地下水を円滑に排出することが可能な地中排水具及び地中排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる地中排水具は、地中に浸透している地下水を排出する地中排水具であって、地中に斜め下向きに挿入されて地下水を流通させる排水管を直列接続するために、端部開口から長さ方向に内奥へ向けて、該排水管が挿入される中空筒状の接続管を備え、該接続管の内周には、上記端部開口から上記内奥へ向けて、螺旋状に凸条が形成され、該凸条と上記接続管に挿入される上記排水管とで区画して、該接続管の上記端部開口から上記内奥へ向けて螺旋状の通水路が形成され、上記接続管の上記内奥に位置する上記通水路の終端が該接続管内方に連通されると共に、該接続管の上記端部開口に位置する該通水路の始端が地中と連通されることを特徴とする。
【0010】
前記排水管には、前記接続管と接続するための外周ねじ条が形成され、該外周ねじ条は、前記凸条に隙間を隔てて螺合され、前記通水路は、上記凸条と上記外周ねじ条の隙間で形成されることを特徴とする。
【0011】
前記接続管に挿入される前記排水管は、外周が前記凸条に当接され、前記通水路は、上記凸条と上記排水管の外周で区画形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる地中排水構造は、上記地中排水具を用い、地中排水具は、排水管が斜め下向きとなる姿勢で地中に挿入され、排水管の斜め下向きの先端は、挿入終端として地中から地盤面に露出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる地中排水具及び地中排水構造にあっては、土砂などの粒分によって目詰まりが生じることがなく、地下水を円滑に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る地中排水具及び地中排水構造の好適な一実施形態を説明する説明図である。
【
図2】
図1に示した地中排水具に用いられる接続管の側面図である。
【
図4】本発明に係る地中排水具及び地中排水構造の変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる地中排水具及び地中排水構造の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係る地中排水具1は基本的に、
図1に示すように、2本の排水管2,3を1つの接続管4で、排水管2,3の長さ方向(管軸方向とも言う)に直列接続することで構成され、地中Eに浸透している地下水wを排出するように構成される。
【0017】
地中排水具1の排水管2,3は、地中Eに斜め下向きに挿入され、地下水wを自然流下で流通させて排水するように構成される。
【0018】
地中排水具1は、地中Eに挿入して用いられる。地中排水具1の挿入先端となる排水管3の端部には自穿孔ビット5が設けられる。
【0019】
自穿孔ビット5がモータによって管軸C周りに回転駆動されることにより、排水管3の地中Eへの貫入が行われる。
【0020】
地中排水具1の挿入後端となる排水管2の端部は、地中Eから地盤面Gに露出される。以上によって、本実施形態に係る地中排水構造6が構成される。
【0021】
図示例では、2本の排水管2,3を1つの接続管4で直列接続した地中排水具1が示されているが、地中排水具1は、接続管4で排水管2,3を順次継ぎ足していくようにして、複数の接続管4で複数本の排水管2,3を、当該排水管2,3の長さ方向に連結接続した長尺な構成であってもよい。
【0022】
また、地中排水具1は、自穿孔ビット5を必須とするものではなく、地中Eに向けて形成されたプレボーリング穴に差し込んで挿入されるものであってもよい。
【0023】
本実施形態に係る地中排水具1を構成する排水管2,3は、同じ寸法(長さは異なっていてもよい)であって、長さ方向に一端から他端に亘って一連に、地下水wを流通させるための中空通路7(
図3参照)が形成されて、内部中空に形成される。
【0024】
排水管2,3は例えば、鋼製などの金属製のロックボルトや硬質樹脂製の塩ビ管等で構成される。
【0025】
図3に示したロックボルトの場合には、排水管2,3の外周には、外周ねじ条8が形成されている。
【0026】
接続管4は、排水管2,3と同様に、硬質樹脂製もしくは金属製であって、
図2及び
図3に示すように、長さ方向の両端に端部開口4a,4bを有し、これら端部開口4a,4bの間の長さ方向に内部中空な中空筒状に形成される。
【0027】
接続管4には、端部開口4a,4bから長さ方向に沿って内奥となる長さ方向中央部分に、接続管4の内周に沿って、環状の内部仕切り壁9が一体的に形成される。
【0028】
接続管4は、内部仕切り壁9よりも長さ方向の一端側に、2本の排水管2,3のうち、一方の第1排水管2が挿入されて接続される筒状の第1接続部10を有すると共に、長さ方向の他端側に、他方の第2排水管3が挿入されて接続される筒状の第2接続部11を有する。
【0029】
排水管2,3は、接続管4の端部開口4a,4bそれぞれから長さ方向に、内部仕切り壁9が形成された内奥へ向けて接続管4内に挿入される。
【0030】
内部仕切り壁9には、第1接続部10から第2接続部11へ貫通させて、これら第1及び第2接続部10,11に接続された2本の排水管2,3同士の中空通路7を連通し、地下水wを排水管2,3の間で流通させるための通孔12が形成される。
【0031】
接続管4は、第1接続部10と第2接続部11の内径寸法が同じ寸法で形成される一方、内部仕切り壁9を境界として、第1接続部10に対し、後述するらせん状に溝13を形成するために、当該第1接続部10の管厚が第2接続部11の管厚よりも厚く形成され、これにより、第1接続部10の外径寸法が第2接続部11の外径寸法よりも大きな寸法で形成される。
【0032】
第2接続部11の内周には、当該第2接続部11に挿入される排水管3の外周ねじ条8と螺合される内周ねじ条14が形成される。これにより、接続管4の第2接続部11に対して、第2排水管3が接続される。
【0033】
第2接続部11の内周ねじ条14は、第2排水管3が内部仕切り壁9に当接する長さ寸法で形成される。
【0034】
従って、第2排水管3については、内部仕切り壁9が、その挿入量を規制するストッパとして機能される。
【0035】
他方、第1接続部10の内周には、端部開口4aから接続管4の長さ方向に、内部仕切り壁9が位置する内奥へ向けて、第2接続部11の内周ねじ条14の寸法よりも大きな寸法で螺旋状に溝13が形成され、この溝13によって、第1接続部10の内部には、螺旋状に凸条15が形成される。
【0036】
詳細には、第2接続部11の内周ねじ条14と第1接続部10の螺旋状の溝13とは、ねじのピッチは同じである一方、第2接続部11の径方向における内周ねじ条14の谷部の寸法よりも、第1接続部10の径方向における螺旋状の溝13の寸法が大きく、かつ第2接続部11の長さ方向における内周ねじ条14のねじ溝の寸法よりも、第1接続部10の長さ方向における螺旋状の溝13の寸法が大きく形成される。
【0037】
従って、同一ピッチの雄ねじを螺合させると、第2接続部11では、ねじ結合が確立される一方、第1接続部10では、雄ねじ(第1接続部10に挿入される第1排水管2の外周ねじ条8)は螺旋状の凸条15に係合されると共に、外周ねじ条8と螺旋状の溝13との間に螺旋状の隙間が生じるように構成される。
【0038】
第2接続部11に挿入される第2排水管3と同一寸法の外周ねじ条8を有する第1排水管2を第1接続部10の端部開口4aから内奥の内部仕切り壁9に向けてねじ込んでいくと、上記隙間により螺旋状の凸条15と第1排水管2の外周とで区画して、螺旋状の溝13内には、第1接続部10の端部開口4aから内奥に向けて、螺旋状の通水路16が形成される。
【0039】
このように第1排水管2には、接続管4と接続するための外周ねじ条8が形成され、外周ねじ条8は、凸条12に対し隙間を隔てて螺合され、通水路16は、凸条15を形成する溝13と外周ねじ条8の隙間で形成されることになる。
【0040】
第1接続部10の螺旋状の溝13は、第1排水管2と内部仕切り壁9との間に間隙Sが得られるように、当該内部仕切り壁9から間隔を隔てた位置まで形成される。
【0041】
接続管4内奥の内部仕切り壁9側となる通水路16の終端が排水部16aとして、間隙Sを通じて、接続管4内方に連通され、地中Eに面する接続管4の端部開口4aに位置する通水路16の始端が地下水wの流入部16bとして、地中Eと連通されるように構成される。
【0042】
流入部16bと排水部16aとは、第1排水管2と環状の凸条15とによって、接続管4の管軸方向に見通すことができないように遮られ、これら流入部16bと排水部16aを備える通水路16は、接続管4の内周に沿って周回される形態で形成される。
【0043】
従って、地中Eに浸透している地下水wは、地中Eに面する通水路16の流入部16bから接続管4内に流入し、螺旋状の通水路16を流れ、接続管4の内奥に位置する排水部16aから間隙Sを経て、接続管4内方へ排水される。
【0044】
接続管4内方へ排水される地下水wは、第1接続部10に挿入された第1排水管2の管端部から第1排水管2内へ排水される。
【0045】
上述のように構成される接続管4は、金属製であれば鋳造などの金属加工により、また硬質樹脂製であれば射出成形などによって形成される。
【0046】
本実施形態に係る地中排水具1を用い、これを地中Eに挿入することによって、
図1に示すように、本実施形態に係る地中排水構造6が構成される。
【0047】
地中排水具1は、挿入先端となる排水管3の端部に設けた自穿孔ビット5で地中Eを穿孔しながら、地中Eに挿入されていく。
【0048】
その際、挿入箇所の地中Eにおける水平に対し、自穿孔ビット5により斜め上向きに穿孔が進められて、地中排水具1は、接続管4及び当該接続管4で接続された排水管2,3(それらの管軸方向)が斜め下向きとなる姿勢で挿入される(
図1中、「傾斜角」参照)。
【0049】
そして、地中Eにおいて斜め上方に位置される挿入先端とは反対側の斜め下方に位置される排水管2の斜め下向き(中空通路7が斜め下に向かって開放している)の先端は、挿入終端として、中空通路7を地盤面G外方と連通させるために、地中Eから地盤面Gに露出されるように配置される。
【0050】
図1に示すように、挿入終端となる排水管2の端部2aは、地盤面Gに突起物として現れないように、地盤面Gに沿う切断面で切除される。
【0051】
本実施形態に係る地中排水具1及び地中排水構造6の作用について説明する。
【0052】
まず、地中排水具1の設置施工について説明すると、地中排水具1を地中Eに埋設するときには、自穿孔ビット5を設けた先頭となる排水管3にモータを取り付け、地盤面Gから地中Eに向けて斜め上向きに穿孔作業を開始し、この排水管3が斜め下向きに地盤面Gに出ている状態で穿孔を一旦停止し、モータを排水管3から取り外した後、接続管4の第2接続部11を排水管3に接続し、さらに、接続管4の第1接続部10に新たに第1排水管2を継ぎ足して接続する。
【0053】
このとき、接続管4は、排水管2,3と共に、それらの管軸方向に沿って、斜めに下向きの姿勢で設けられ、通水路16が接続管4内で上下方向に周回するように配される。
【0054】
また、接続管4は、穿孔作業による土砂によって、端部開口4aで地中Eと連通する通水路16の流入部16bが土砂で塞がらないように、当該流入部16bが斜め下向きになるように、すなわち地中排水具1の挿入先端とは反対側に向くように、取り付けの向きを設定することが望ましい。流入部16bの向きは、接続管4の第1接続部10と第2接続部11を反対に配して、地中排水具1の挿入先端側に向けるようにしてもよい。
【0055】
新たに継ぎ足した排水管2にモータを取り付け、さらに穿孔作業を行う。複数の接続管4を用いて複数の排水管2,3を継ぎ足していく場合には、以上の作業を繰り返し行っていく。
【0056】
これにより、適宜必要な長さの地中排水具1は、接続管4の流入部16b及び排水管2,3が斜め下向きとなる姿勢で、地中Eに挿入される。
【0057】
最後に、地中排水具1の挿入終端となる排水管2の端部2aを地盤面Gに合わせて切除し、これにより、地中排水具1を、地盤面Gに露出されるようにして配置する。以上のようにして、地中排水具1を地中Eに挿入した地中排水構造6の施工が完了する。
【0058】
次に、地中排水具1による地下水wの排出について説明する。
【0059】
地中Eの水圧が高まっていくと、地中Eには、土砂などの粒分を随伴した地下水wが空所に向けて移動していく。
【0060】
本実施形態に係る地中排水具1では、流入部16bを有する通水路16は、土中の空所となり、
図3に示すように、土砂などの粒分と共に地下水wが、流入部16bから通水路16へと流入してくる。
【0061】
また、流入部16bの付近に土砂などの粒分があると、地下水wは毛細管現象で、流入部16bから通水路16へと導かれる。
【0062】
地中排水具1は、(イ)地中Eに挿入された状態で、接続管4の通水路16の流入部16bが、斜め下向きであること、そしてまた、(ロ)通水路16が、接続管4の内周に沿って上下方向に周回するように形成されていることから、流入部16bから通水路16に流入する地下水wが、地中Eに生じた水圧により重力の作用に逆らって押し上げられて、下方から上方へ向かって流れる箇所が存在することとなり、地下水wに含まれる土砂などの水よりも比重の重い粒分が分離されて接続管4外方の地中E側へ沈殿して残留される一方、粒分が取り除かれた地下水wは、浮遊物を含むものの、上澄みとして通水路16内を、上方へ向かって押し上げられつつ流れていく。
【0063】
そして、通水路16を流れて排水部16aに達した地下水wは、排水部16aから、間隙Sを介して、排水管2内へと流れ込んでいく。
【0064】
排水管2,3は、高所から低所に向けて地下水wが自然流下して地盤面Gに向かう斜め下向きに挿入されているので、流れ込んだ地下水wは、排水管2,3を通じて、地中排水具の挿入終端から地盤面Gへ向けて排出される。
【0065】
これにより、本実施形態に係る地中排水具1では、土砂などの粒分が接続管4に流入してきても、通水路16までで分離して接続管4外方へ向けて残留させることができ、排水部16aまで達することを抑制できて、粒分による目詰まりが生じることなく、地中Eの地下水wを円滑かつ効率よく排出することができる。
【0066】
複数の排水管2,3を複数の接続管4で接続している場合には、各接続管4において同様に地下水wが流れ込んで排水管2,3を流下し、順次下方に位置している接続部4それぞれにおいて
図3に示すように、合流しながら、排水管2,3を流れ下っていく。
【0067】
これにより、地中排水具1の挿入箇所及びその周辺の地下水wを、地中Eから排出することができる。
【0068】
図4には、上記実施形態の変形例が示されている。この変形例は、排水管2,3として、外周が円筒面2b,3bである単管パイプを用いる場合である。接続管4の第2接続部11の内周は、円筒面11aで形成される。
【0069】
単管パイプの第2排水管3は、円筒面3bが第2接続部11の円筒面11aに摺接しつつ、管端部が内部仕切り壁9に突き当たるようにして第2接続部11に挿入され、これにより両者の接続がなされる。
【0070】
他方、単管パイプの第1排水管2は、外周面2bが第1接続部10の凸条15に当接されつつ、管端部が上記間隙Sを隔てるように、第1接続部10の内奥へ挿入され、これにより両者の接続がなされる。通水路16は、凸条15と第1排水管2の外周面2bで区画形成される。
【0071】
このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【符号の説明】
【0072】
1 地中排水具
2 第1排水管
2b 第1排水管の外周面
3 第2排水管
4 接続管
4a,4b 端部開口
6 地中排水構造
8 外周ねじ条
15 凸条
16 通水路
16a 排水部
16b 流入部
E 地中
G 地盤面
w 地下水