(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157837
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】レベル計
(51)【国際特許分類】
G01F 23/00 20220101AFI20241031BHJP
G01F 23/284 20060101ALI20241031BHJP
G01D 7/00 20060101ALI20241031BHJP
H01Q 13/02 20060101ALI20241031BHJP
H01Q 19/08 20060101ALI20241031BHJP
G01S 13/34 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
G01F23/00 C
G01F23/284
G01D7/00 302A
H01Q13/02
H01Q19/08
G01S13/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072443
(22)【出願日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友師 悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝亮
【テーマコード(参考)】
2F014
2F041
5J020
5J045
5J070
【Fターム(参考)】
2F014FC02
2F014GA04
2F041JA02
2F041JA06
2F041JA07
2F041JA09
2F041JB04
2F041JC00
2F041JC07
5J020AA02
5J020BB01
5J020BC06
5J020CA04
5J045DA01
5J070AB18
5J070AC03
5J070AD20
5J070AE07
5J070AF01
5J070BG15
(57)【要約】
【課題】計測対象の対象物のレベルの状態を、ユーザが視覚的に把握し易いレベル計を提供する。
【解決手段】レベル計10は、センサ部16と、筐体15と、表示部20を備える。センサ部16は、計測軸に沿って一端側に配置され、計測軸に沿ったレベルを計測する。筐体15は、計測軸の一端側と異なる他端側に配置される。表示部20は、筐体15に設けられ、それぞれが異なるカラーで色分けされた複数のレベル範囲を有するカラーグラフとともに、カラーグラフに対してセンサ部16が計測したレベルを表示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物のレベルを計測するレベル計であって、
計測軸に沿って一端側に配置され、前記計測軸に沿った前記レベルを計測するセンサ部と、
前記一端側と異なる他端側に配置される筐体と、
前記筐体に設けられ、それぞれが異なるカラーで色分けされた複数のレベル範囲を有するカラーグラフとともに、前記カラーグラフに対して前記センサ部が計測した前記レベルを表示する表示部とを備えるレベル計。
【請求項2】
前記表示部は、前記カラーグラフとして、前記複数のレベル範囲の各レベル範囲に区切られた区画が、前記表示部における前記レベルの増減方向に沿って配置されるカラーゲージを表示する、請求項1に記載のレベル計。
【請求項3】
前記表示部は、前記センサ部が計測した前記レベルを、前記表示部における前記レベルの増減方向に沿って共通の座標系を有する前記カラーゲージと並んで前記レベルに応じて長さが伸縮するバーグラフで表示する、請求項2に記載のレベル計。
【請求項4】
前記バーグラフは、前記センサ部から離れた位置まで伸びるほど大きな値を示す、請求項3に記載のレベル計。
【請求項5】
前記表示部は、前記センサ部が計測した前記レベルを、前記バーグラフに加え数値で表示する、請求項3に記載のレベル計。
【請求項6】
前記レベル計は、前記センサ部が計測する前記レベルについて計測範囲の上限が設定されており、
前記表示部は、前記レベルを、計測範囲の上限に対する割合で表示する、請求項3に記載のレベル計。
【請求項7】
前記レベル計は、前記センサ部が計測する前記レベルについて1つ又は複数の各閾値が設定されており、
前記センサ部が計測したレベルと前記各閾値との比較結果に基づく制御信号を出力する出力部をさらに備え、
前記カラーゲージの各区画は前記各閾値により規定される、請求項2に記載のレベル計。
【請求項8】
前記レベル計は、前記センサ部が計測する前記レベルについて1つ又は複数の各閾値が設定されており、
前記センサ部が計測した前記レベルと前記各閾値との比較結果に基づく前記対象物のステータスを表示する状態灯をさらに備え、
前記カラーゲージの各区画は前記各閾値により規定される、請求項2に記載のレベル計。
【請求項9】
前記レベル計は、前記カラーゲージの各区画の色と、前記状態灯の点灯色とが対応して設定されており、
前記状態灯は、前記センサ部が計測した前記レベルが属するレベル範囲に相当する前記カラーゲージの区画の色に対応する色を発光して前記ステータスを表示する、請求項8に記載のレベル計。
【請求項10】
前記レベル計は、前記カラーゲージの各区画の色を変更するための操作部をさらに備え
、
前記状態灯は、前記センサ部が計測した前記レベルが属するレベル範囲に相当する前記カラーゲージの区画の前記操作部による変更後の色に対応する色を発光して前記ステータスを表示する、請求項9に記載のレベル計。
【請求項11】
前記筐体は、前記計測軸の方向と平行で平坦な部位を有し、
前記表示部は前記平坦な部位に配置されること
を特徴とする請求項1に記載のレベル計。
【請求項12】
前記筐体は、前記計測軸の方向と平行な回転軸を中心として前記表示部を回転させる回転機構を有すること
を特徴とする請求項11に記載のレベル計。
【請求項13】
前記筐体は、前記計測軸の方向の一端側に配置された台座部と、前記計測軸の方向の他端側に配置された端末部とを有し、
前記表示部は、前記端末部に設けられており、
前記端末部は、前記台座部から分離可能であり、前記端末部が前記台座部から分離した状態で、前記表示部は計測された前記レベルを表示可能であること
を特徴とする請求項1に記載のレベル計。
【請求項14】
前記筐体は、前記レベル範囲の設定を変更するための操作部を備えること
を特徴とする請求項1に記載のレベル計。
【請求項15】
前記センサ部は、送信波となる電波を前記対象物へ向けて送信する送信部を備え、
前記送信波を前記対象物に向けて導く誘電体レンズが設けられていること
を特徴とする請求項1に記載のレベル計。
【請求項16】
前記センサ部は、送信波となる電波を前記対象物へ向けて送信する送信部を備え、
前記送信波を前記対象物に向けて導くホーンアンテナが設けられていること
を特徴とする請求項1に記載のレベル計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物のレベルを計測するレベル計に関する。
【背景技術】
【0002】
液体、粉体、粒体などの、流動性を持つ物質を貯留する容器において、物質の界面の高さ、すなわちレベル(液面レベル、粉体上面レベルなど)を計測するレベル計が用いられることがある。こうしたレベル計は、計測されたレベルをユーザに対して表示する機能を備えている。例えば特許文献1に記載のレベル計は、計測された液面レベルを表示する表示部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレベル計においては、計測されたレベルは、数値で表示されていた。例えば特許文献1のレベル計においては、液面レベルの測定結果を数値で表示するための、5桁の7セグメントLED(発光ダイオード)が表示部に設けられている。
【0005】
しかしながら、レベルが数値で表示されていると、ユーザは、計測対象となる対象物の状態を、視覚的に把握し難い。例えばタンク内に収容された対象物のレベルがレベル計によって計測され、計測されたレベルが所定の満量値にどれだけ近づいているかを、ユーザが監視する場合がある。この場合、ユーザは、現在のレベルが満量値に対してどの程度の割合であるかについて、表示されている数値と満量値とに基づいて、計算して判断しなければならない。すなわち、ユーザは表示されているレベルの数値を見ただけでは、現在のレベルが満量値に対してどの程度の割合であるか、という対象物の状態について、視覚的に把握することができない。
【0006】
上記の問題に鑑み、本発明は、対象物のレベルの状態を、ユーザが視覚的に把握し易いレベル計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る実施形態の一例としてのレベル計は、対象物のレベルを計測するレベル計であって、計測軸に沿って一端側に配置され、計測軸に沿った前記レベルを計測するセンサ部と、一端側と異なる他端側に配置される筐体と、筐体に設けられ、それぞれが異なるカラーで色分けされた複数のレベル範囲を有するカラーグラフとともに、カラーグラフに対してセンサ部が計測したレベルを表示する表示部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示部によって、それぞれが異なるカラーで色分けされた複数のレベル範囲を有するカラーグラフとともに、カラーグラフに対してセンサ部が計測したレベルが表示される。これにより、ユーザは表示部を確認することで、対象物のレベルの状態について、視覚的に把握し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】対象物を収容するタンクにレベル計が取り付けられた状態を示す図。
【
図5】レベル計の構成要素間の関係の一例を概略的に示すブロック図。
【
図6】レーダー制御部および送受信部の構成の一例を示す図。
【
図15】レベル範囲が変更された場合の表示部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態の一例としてのレベル計10について説明する。
図1の斜視図には、本実施形態のレベル計10が示されている。レベル計10は、計測対象となる対象物(例えば液体、粉体、粒体など)のレベルを計測する装置である。計測されるレベルとは、対象物の界面の高さである。レベルの具体例としては、容器内に収容される液体の液面の高さが挙げられる。
【0011】
レベル計10は、長手方向Aを有する。
図1においてレベル計10は、長手方向Aに延びるおおむね円筒形の形状である。レベル計10は、筐体15と、センサ部16とを有し、これら筐体15と、センサ部16とは、長手方向Aに沿って並んでいる。レベル計10の長手方向Aの一端側(
図1において下側)にセンサ部16が配置されており、長手方向Aの他端側(
図1において上側)に筐体15が配置されている。また、センサ部16の長手方向Aの一端は、計測端部40となっている。
【0012】
以下においては、レベル計10の長手方向Aの一端側を下側、長手方向Aの他端側を上側と呼ぶことがある。センサ部16は、長手方向Aの下側が対象物に向けられた状態で対象物のレベルを計測する。
図1のセンサ部16は、計測端部40が対象物に向けられた状態で対象物のレベルを計測する。
図1のセンサ部16には計測軸が設定されている。センサ部16は、この計測軸に沿ったレベルを計測する。ここで、レベル計10が対象物のレベルを計測する際には、計測対象となる対象物(例えば水などの液体)のレベルの変化方向と、長手方向Aが同じ方向であることが好ましい。つまりセンサ部16の計測軸の方向(計測軸に沿った方向)と、長手方向Aが同じ方向であることが好ましい。例えばレベル計10が液体の液面の高さ(レベル)を計測する場合に、長手方向Aは、液体の液面の高さの変化方向、すなわち鉛直方向(高さ方向、重力方向)と同じ方向であるとよい。計測軸の方向と、長手方向Aが同じ方向である場合、センサ部16は計測軸に沿って一端側に配置され、筐体15はその一端側と異なる他端側に配置されることになる。
【0013】
図1のレベル計10においては、計測端部40から対象物に向けて送信波となる電波が送信され、対象物で反射した反射波が計測端部40で受信される。レベル計10は、送信波と反射波とに基づいて対象物のレベルを算出する。
【0014】
センサ部16のうち、計測端部40よりも上側に、円筒の表面にネジ筋が刻まれた取付ネジ部18が設けられている。さらに、取付ネジ部18よりも上側に、取付ネジ部18よ
りも径の大きい取付部17が設けられている。
図1の取付部17は、ナット状の形状となっている。なお取付部17はレベル計10を取付対象(液体が収容されるタンクなど)に取り付けることが可能な構造であればよく、ナット状の形状に限るものではない。例えば取付部17は、滑り止め突起が形成された円筒形状であってもよい。取付部17の滑り止め突起は、レベル計10が取付対象に対して長手方向A周りに回転しながら取り付けまたは取り外し(回転着脱)される際の滑り止めとなる。また、取付部17および取付ネジ部18に代えて、レベル計10を取付対象へ取り付けるための取付フランジが形成されていてもよい。また、取付フランジが形成されている場合にも、それに加えて取付部17および取付ネジ部18が設けられていてもよい。
【0015】
センサ部16よりも上側に配置された筐体15には、表示部20が設けられている。表示部20は筐体15において長手方向Aに沿って広がる外周面に配置されている。
図1においては、筐体15の外周面の一部に、長手方向Aに沿った平坦な部位が設けられており、この平坦な部位に表示部20が配置されている。具体的には、筐体15の下側の部分は長手方向に沿ってセンサ部16とオーバーラップする湾曲した外周面(断面が円形状)で囲われた円筒形の形状であり、筐体15の上側の部分は平坦な面と湾曲した面とを含む外周面(断面がD字状)で囲われた形状となっている。筐体15の円筒形の形状の部分が長手方向に沿ってセンサ部16とオーバーラップしていることにより、長手方向から見ると、円筒形の形状の部分と、センサ部16とが重なって見える。筐体15の平坦な面は、センサ部16の計測軸に向けてオフセットした位置に形成される。表示部20は、各種情報を表示可能なアクティブマトリックス方式の表示装置(アクティブマトリックスディスプレイ)を含むことが好ましい。例えば、表示部20はLCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)を含む。特に、表示部20はカラー表示(複数の色による表示)が可能なLCDを含むことが好ましい。表示部20は、長手方向Aに沿って長い矩形のアクティブマトリックスディスプレイを有していてもよい。すなわち、矩形のアクティブマトリックスディスプレイの持つ長辺が、長手方向Aに沿っているとよい。筐体15において表示部20が配置されている外周面(平坦な部位)は、長手方向Aと平行(計測軸の方向と平行)であることが好ましいが、外周面が長手方向Aに対してわずかに傾斜していてもよい。外周面が長手方向Aに対して傾斜している場合でも、外周面と長手方向Aとの間の角度が小さければ(例えば45度以下であれば)、外周面は長手方向Aに沿って広がっているといえる。
【0016】
表示部20は、センサ部16が計測した対象物のレベルを表示する。
図1においては、レベルの値に応じてゲージ方向Bに沿って長さが伸縮するバーグラフ22が表示部20に表示される。また表示部20には、複数の色で色分けされたカラーゲージ24も表示される。カラーゲージ24は、それぞれが異なるカラーで色分けされた複数のレベル範囲を有するカラーグラフの一例である。表示部20は、カラーグラフとともに、カラーグラフに対して、センサ部16が計測した対象物のレベルを表示する。カラーグラフとしてのカラーゲージ24は、計測されたレベルが、予め定められた複数のレベル範囲のうち、どのレベル範囲に属しているのかを示す。カラーゲージ24は、複数の区画を含んでいる。カラーゲージ24の複数の区画は、複数のレベル範囲の各レベル範囲に区切られている。そして、カラーゲージ24の、複数のレベル範囲の各レベル範囲に区切られた区画は、表示部20におけるレベルの増減方向に沿って配置される。バーグラフ22は、カラーゲージ24の隣に(カラーゲージ24と並んで)表示される。また表示部20には、バーグラフ22とカラーゲージ24以外の情報を示す補助表示部26も表示される。
【0017】
筐体15において表示部20が配置される外周面の部位には、操作部30も配置されている。
図1の操作部30は、長手方向Aに沿って長い矩形のアクティブマトリックスディスプレイに隣接して配置され、長手方向Aに沿って並んだ設定キー32と、方向キー33を含む。また方向キー33は、長手方向Aに沿って並んだアップキー34と、ダウンキー
35を有する。レベル計10のユーザは、操作部30を操作することで、レベル計10の動作パラメータを変更することができる。ユーザは特に、操作部30を操作することで、表示部20の表示内容およびレベル範囲の設定を変更できる。
【0018】
筐体15の上側には、接続部12が設けられている。
図1の接続部12は長手方向Aに延びる円筒形となっている。円筒形の接続部12の外周面は、ネジ筋が刻まれた接続ネジ部14となっている。
【0019】
また、接続部12と表示部20との間には、接続部12の下側(根本)を取り囲むようにして状態灯52が設けられている。状態灯52は、計測された対象物のレベルに応じて点灯状態が変化する。ユーザは、状態灯52の点灯状態を目視することで対象物の状態を大まかに知ることができる。
【0020】
図2を参照して、レベル計10の内部構造について説明する。
図2は、
図1のレベル計10について、表示部20と交差する面(かつ、長手方向Aと平行な面)での断面を示す断面図である。
【0021】
センサ部16の内部には、センサIC41(IC:Integrated Circuit、集積回路)と、センサIC41を支持するセンサ基板42が配置されている。センサIC41は、対象物のレベルを計測するための電波の送受信および信号処理を行う。センサIC41によって処理された信号は、筐体15の表示基板60へと送信される。
【0022】
センサIC41としては例えば、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit、モノリシックマイクロ波集積回路)が用いられる。MMICは、電波の送信、電波の受信、および送受信された電波に基づく信号処理などを行う複数の半導体部品が、単一の半導体装置(ワンチップ)にまとめられたICである。
図2のセンサICにおいては、アンテナ・イン・パッケージ(AiP: Antenna in Package)技術またはアンテナ・オン・パッケージ(AoP: Antenna on Package)技術を用いて、MMICにアンテナが一体化されている。すなわち
図2においてセンサIC41は、電波の送信を行う送信部と、電波の受信を行う受信部とが、単一の半導体装置に集積されたアンテナ一体型のパッケージ(アンテナオンパッケージ)である。センサIC41としてアンテナ一体型MMICが用いられることにより、電波の送受信のための構成によって占有される体積が小さくなり、レベル計10全体の寸法がコンパクトになる。なおセンサIC41はアンテナ一体型MMIC単体に限られず、複数のICを含んでいてもよい。センサIC41は例えば、MMICとマイコン(マイクロコンピュータ)とを含んでいてもよい。そして、アンテナ一体型MMICが、電波の送信アンテナと、電波の受信アンテナと、電波の送受信制御を実行する回路とを含み、マイコンが、アンテナ一体型MMICから受け付けた受信信号に基づく信号処理や演算処理を実行する回路を含んでいてもよい。
【0023】
センサIC41はセンサ基板42の下側表面に実装される。センサ基板42はガラスおよび樹脂などの絶縁体からなる板の上に各種の電子回路素子が配置された電子回路基板である。
図2においては、センサ基板42は長手方向Aと直交する向き(
図2において水平方向)となるように配置されている。
【0024】
計測端部40はセンサ基板42より下側に位置している。
図2の計測端部40は内部構造として、導波管45、ホーンアンテナ46、誘電体レンズ48を含んでいる。センサIC41がアンテナ一体型MMICである場合、センサIC41から送信波となる電波が送信される。センサIC41から送信された送信波は、導波管45、ホーンアンテナ46、誘電体レンズ48をこの順に通って対象物へ向けて導かれる。また、対象物で反射して計測端部40に入射した反射波は、誘電体レンズ48、ホーンアンテナ46、導波管45を
この順に通ってセンサIC41へ向けて導かれる。ここで、センサ部16の下側で取付ネジ部18が設けられる部位が円筒形である場合には、その断面は円形状となる。この場合、円形の誘電体レンズ48が円筒形の部位の下側(長手方向Aの一端側)に配置可能である。すなわち、センサ部16が下側に円筒形の部位を有していれば、その円筒状の部位は、レベル計10の設置対象(タンクなど)に対して取り付けられる部位と、誘電体レンズ48の配置場所を兼ねることができ、レベル計10全体の寸法がコンパクトになる。
【0025】
一方、センサ部16よりも上側に配置される筐体15の内部には、回転機構19が設けられている。
図2の回転機構19は、筐体15の下方端(長手方向Aの一端)、すなわち筐体15とセンサ部16との間に配置されている。回転機構19は、回転軸19Aを中心として、センサ部16に対して筐体15を相対的に回転させることが可能である。例えば回転機構19は、筐体15とセンサ基板42との間で回転軸19Aに沿って延びるシャフトを有する機構である。シャフトは軸周りに配置されたベアリングなどを介して筐体15と接続されており、回転軸19Aを中心とする筐体15の回転がセンサ部16に伝わらないように構成されている。また回転機構19は、筐体15とセンサ基板42との相対回転角度が所望の角度となる状態で保持可能であることが好ましい。例えば回転機構19は、特定の回転角度で保持可能となるように、回転抵抗となるダンパ素子、回転を阻止する回転ロックなどの部品を含んでいてもよい。上記構成のほか、回転機構19は、センサ部16に形成される係合突起と、筐体15に設けられる複数のフックとを含んでいてもよい。係合突起は、センサ部16の上部において円筒状となっている部分の外周に配置され、周方向に沿って長く形成される。センサ部16の係合突起は、周方向に一周するように連続した形状であってもよい。筐体15の複数のフックは、センサ部16の係合突起に対応して円環状に間隔を空けて配置される。各フックは係合突起の下方の面に係合する。各フックは、外力を受けると周方向に摺動しながら回転する。また回転機構19が係合突起とフックとを含む場合、筐体15に、センサ部16と筐体15との間を押し広げる押圧力を発生する弾性体が設けられていてもよい。弾性体が設けられていることにより、係合突起と各フックとの間の摺動抵抗が調整される。
図2の回転機構19は、回転軸19Aが長手方向A(および計測軸の方向)と平行な方向(
図2において鉛直方向)となるように配置されている。表示部20は、筐体15において回転軸19Aに向けてオフセットした位置に形成される平坦な面に配置される。すなわち、筐体15の平坦な面は、回転軸19Aを含む平面から離れた位置にある。回転機構19が設けられていることにより、ユーザは、筐体15を回転させることで、表示部20を計測軸の方向と平行な回転軸19Aを中心として回転させて、表示部20を目視し易い方向に向けることができる。特に、取付ネジ部18によってレベル計10が計測対象を含む容器(タンクなど)に取り付けられている場合、ユーザはレベル計10全体を移動させることなく、表示部20を目視し易い方向に向けることができる。
【0026】
筐体15の内部において、回転機構19より上側には、表示基板60が配置されている。表示基板60はガラスおよび樹脂などの絶縁体からなる板の上に各種の電子回路素子が配置された電子回路基板である。
図2においては、表示基板60は長手方向Aと平行な向き(
図2において鉛直方向)となるように配置されている。表示基板60には、表示部20を制御するための信号処理回路が実装されている。表示基板60は、センサIC41から信号を受信し、センサ部16が計測した対象物のレベルを表示部20へ表示するための信号に変換する。
図2の表示基板60は、表示部20の裏側(
図2において筐体15の内部)に配置されている。
【0027】
図2の表示部20は、表示装置28と、透明な表示窓29を含んでいる。表示装置28は例えばLCD、特にカラー表示が可能なLCDである。表示窓29は例えばガラス、アクリル、ポリアリレート、ポリカーボネートなどの光学的に透明な素材からなる板であり、表示装置28の表示内容を、筐体15の外部へと光学的に透過させる。表示装置28は
、長手方向Aと平行な表示面20Aの向き(鉛直方向)に向けられている。また、
図2において表示基板60は、表示面20Aと平行な向きに向けられている。
【0028】
表示装置28および表示基板60が長手方向Aと平行な向きに向けられていることにより、表示部20の表示装置28を動作させるための構成要素は、レベル計10の内部において長手方向A(高さ方向)に沿って配置されることになる。したがって、表示部20を動作させるための構成要素が長手方向Aと垂直な方向(径方向)にわたって占有する面積が小さくなり、レベル計10全体の寸法がコンパクトになる。
図1、
図2においては、円筒形の筐体15の径寸法が、センサ部16よりも小さくなっている。なお、必ずしも筐体15の径寸法がセンサ部16よりも小さい必要はなく、筐体15とセンサ部16の径寸法が同じであってもよいし、センサ部16の方が小さくてもよい。
【0029】
表示部20と接続部12との間に設けられている状態灯52は、複数の状態LED50(LED:Light Emitting Diode)と、透過窓53を含む。複数の状態LED50は、表示基板60および表示部20よりも上側に配置されている。状態LED50は、センサ部16によって計測された対象物のレベルに応じて点灯状態が変化する。また、状態LED50の上側に、光を拡散させる部材(光拡散フィルムなど)を含む透過窓53が配置されている。状態LED50から発せられる光は、透過窓53を通じて筐体15の外部へと導かれる。したがって、状態LED50の点灯状態が対象物のレベルに応じて変化することに伴い、状態灯52の点灯状態が変化することになる。また透過窓53に光を拡散させる部材が含まれていることにより、状態LED50から発せられる光は、接続部12周りの全方位で均一に拡散される。なお状態LED50は単色(例えば赤色、黄色、緑色など)で発光してもよいし、複数の色(例えば赤色、黄色、緑色など)を切り替えて発光してもよい。状態LED50が複数の色を切り替えて発光する場合、異なる色で発光する複数の発光素子が1つのLEDに含まれていてもよいし、異なる色で発光する複数のLEDを組み合わせたものが状態LED50として配置されていてもよい。そして状態LED50は、複数の色を混ぜ合わせて発光してもよい。また、状態LED50が複数の色を切り替えて発光する場合、計測されたレベルが属するレベル範囲に対応するカラーゲージ24の区画の色に応じた色で、状態LED50が発光してもよい。
【0030】
筐体15の上端(長手方向Aの他端)に設けられた接続部12の内部には、外部装置との接続端子となる外部入力端子12Cおよび外部出力端子12Dが含まれる。外部入力端子12Cは、外部からレベル計10に対して信号もしくは電力、またはその両方を入力するための端子である。外部出力端子12Dは、レベル計10から外部へと信号を出力するための端子である。外部出力端子12は、複数の信号ライン、または複数の出力端子を含んでいてもよい。例えば、計測されたレベルが属するレベル範囲に応じて、それぞれ異なる信号ライン、または異なる出力端子から外部へと信号が出力されてもよい。具体例としては、計測されたレベルが、後述の4つの閾値、上上限値HH、上限値H、下限値L、下下限値LLを上回る場合、または下回る場合に対応して、4つまたは5つの信号ライン(または出力端子)が外部出力端子12に含まれていてもよい。
【0031】
次に、
図3を参照して、レベル計10の使用状態の一例について説明する。
図3は、対象物72を収容するタンク70にレベル計10が取り付けられた状態を示す図である。対象物72は例えば水などの液体であり、対象物72のレベルYは、タンク70の底から対象物72の界面74(液面)までの高さである。
【0032】
タンク70は例えば水処理施設において対象物72となる水を収容する。例えばタンク70内の対象物72が水処理プロセスなどへ供給されることで、タンク70内の対象物72のレベルYは低下する。また、タンク70に対象物72が補充されることで、タンク70内の対象物72のレベルYは上昇する。例えばタンク70の外壁(
図3においては上壁
)には注水口75が設けられている。注水口75を介して注水パイプ76がタンク70と流体的に接続されている。そして、注水パイプ76はタンク70の外部に設けられた注水装置78(例えばポンプ、弁などを含む装置)と接続されている。注水装置78は、タンク70の外部から、タンク70内へ対象物72を供給(注水)する装置である。注水装置78は、タンク70内の対象物72のレベルYに応じて、タンク70に対する注水量を調節する。また注水装置78は、タンク70内の対象物72のレベルYによっては、注水を停止する。注水装置78は、例えば水処理プロセスによって対象物72が消費されるにつれて低下する、タンク70内の対象物72のレベルYが、予め定められた範囲内となるように、タンク70内の対象物72のレベルYに応じて、タンク70に対する対象物72の補充を制御する。
【0033】
図3のレベル計10はタンク70の上側に取り付けられる。タンク70の上側には取付穴71が設けられている。取付穴71はネジ穴になっており、取付穴71にレベル計10の取付ネジ部18がネジ留めされることで、レベル計10がタンク70に取り付けられる。例えば、レベル計10のユーザは、取付ネジ部18の先端を取付穴71に合わせた状態で、ナット状の取付部17を回転させることで、取付ネジ部18を取付穴71にネジ留めさせることができる。なお、レベル計10をタンク70に取り付けるための構造はこれに限るものではない。例えば、取付穴71にネジ筋が刻まれておらず、タンク70の内部に露出した取付ネジ部18に別途ナットがネジ留めされることで、レベル計10がタンク70に取り付けられてもよい。また、タンク70の上面が開放されていて、タンク70の上方に設けられる取付金具に対して、ナットと取付ネジ部18とを用いてレベル計10が取り付けられてもよい。また、レベル計10をタンク70に取り付ける方法は取付ネジ部18を用いたネジ留めに限られず、センサ部16の外周面にネジ筋は形成されていなくともよい。例えばレベル計10とタンク70のどちらか一方、または両方にフランジが設けられていて、フランジがレベル計10またはタンク70に対してボルトで固定されることによってレベル計10がタンク70に取り付けられてもよい。
【0034】
図3において、タンク70に取り付けられた状態のレベル計10の長手方向Aは、対象物72のレベルYの変化方向と同じ方向である。また、表示部20に表示されるバーグラフ22およびカラーゲージ24の長さ方向(ゲージ方向B)も、レベルYの変化方向と同じ方向である。
【0035】
レベル計10は、計測端部40から、送信波Txとなる電波を対象物72へ向けて送信する。そして、送信波Txが対象物72の界面74で反射したことによる反射波Rxが、計測端部40で受信される。レベル計10は、送信波Txと反射波Rxとに基づいて対象物72のレベルYを算出する。レベル計10は例えば、ToF(Time of Flight)方式を用いた計測を行う場合は、送信波Txと反射波Rxとの差異に基づいて、計測端部40から界面74までの距離YAを算出し、距離YAに基づいてレベルYを算出する。また、レベル計10は例えば、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave、周波数変調連続波)を用いたレーダー方式で計測を行う場合は、送信波Txと反射波Rxとを混合(ミキシング)した波形の周波数に基づいて、計測端部40から界面74までの距離YAを算出し、距離YAに基づいてレベルYを算出する。
【0036】
レベル計10の接続部12には接続ケーブル92が接続される。接続ケーブル92はタンク70の外部に設けられた制御装置90(プログラマブルコントローラーなど)とレベル計10とを接続する。レベル計10が計測した対象物72のレベルYを示すアナログ信号、またはレベル計10(センサ部16)が計測した対象物72のレベルYと各閾値との比較結果に基づく制御信号が、接続部12の外部出力端子12D(後述の出力部66の一部)、および接続ケーブル92を介して制御装置90へと送信される(出力される)。制御装置90は、計測されたレベルYに応じて、注水装置78の動作を制御する。
【0037】
図4Aは、送信波Txの進行経路を示す図である。
図4Bは、反射波Rxの進行経路を示す図である。
図4Aおよび
図4Bを参照して、ホーンアンテナ46および誘電体レンズ48を通じて送信波Txが対象物72へ導かれること、および、反射波Rxが受信部43Rへ導かれることについて説明する。
【0038】
センサ部16は、送信波Txを送信する送信部43Tと、反射波Rxを受信する受信部43Rとを有する。具体的には、センサ部16の内部に配置されたセンサIC41に、送信部43Tと、受信部43Rとが含まれている。送信部43Tおよび受信部43Rはそれぞれ、センサIC41のチップ上に実装された半導体電磁波発生装置、および半導体電磁波受信装置である。
【0039】
送信部43Tと、対象物72との間には、送信部43Tに近い順に、囲い壁47、導波管45、ホーンアンテナ46、誘電体レンズ48が設けられている。囲い壁47は、センサ基板42上の送信部43Tと受信部43Rとが臨む空間を囲うとともに、導波管45に連通している。囲い壁47は、導電性を有している。また囲い壁47の内壁面には、電波を吸収する電波吸収体が設けられていてもよい。導波管45は、導体で形成される中空のパイプである。ホーンアンテナ46は、導波管45に連通する空間を包囲するテーパー壁で囲まれている。ホーンアンテナ46のテーパー壁は、導電性を有しており、またその内壁面には電波を吸収する電波吸収体が設けられていてもよい。そして、これらは、導波管45およびホーンアンテナ46の有する指向性の方向と、誘電体レンズ48の光軸40Aとが一致するように配置されている。
図4Aおよび
図4Bにおいて計測端部40は、光軸40Aが長手方向A(レベル計10の長さ方向)と平行となるように配置されている。以下においては、導波管45およびホーンアンテナ46の指向性の方向についても、光軸40Aと呼ぶことがある。
【0040】
送信部43Tから送信される送信波Txは、囲い壁47内の空間と導波管45を通った後、ホーンアンテナ46を経て誘電体レンズ48に入射する。
図4Aおよび
図4B中の囲い壁47内と、ホーンアンテナ46内と、計測端部40より下側においては、電波の等位相面が破線で示されている。なお、導波管45内において、本来は等位相面が直線状に示されるべきであるが、電波の進行方向をわかり易くするため、進行方向側(
図4Aでは下側、
図4Bでは上側)に膨らんだ曲線状の破線が示されている。導波管45は、送信部43Tと導波管45との相対位置関係によらず、導波管45の出射端から光軸40Aに沿って球面状に進行する球面波となるよう送信波Txを変換する。これにより、導波管45の出射端は点状の送信源とみなすことができる。導波管45の出射端が理想的な点状の送信源となるように、導波管45の径は、基本モードの電波のみが導波管45を通過できるような径とされるとよい。一方、導波管45の径が電波の波長の半分よりも小さいと、電波が導波管45を通過しなくなる。例えば、電波の周波数が50GHz-70GHzの場合、波長は約4.3mm-約6.0mm、半波長は約2.15mm-約3.0mmである。この場合、導波管45の径として3mmより大きく、4.3mmよりも小さい径が選択されると、基本モードの電波のみが導波管45を通過できる。上記の条件を満たす導波管45の径は例えば4mmである。なお、光軸40Aに沿った方向の導波管45の寸法が短いと、導波管45の径が上記の条件を満たしていても、基本モード以外の電波も導波管45を通過することになる。例えば、光軸40Aに沿った方向の導波管45の寸法は、電波の波長の1波長分またはそれを超える長さにされるとよい。なお、光軸40Aに沿った方向の導波管45の寸法が長いほど、レベル計10の長手方向Aの寸法が長くなる。なお送信波Txは導波管45を通った後、ホーンアンテナ46内で球面波として進行し、誘電体レンズ48を介して平面波に変換される。
【0041】
図4Aに示されているように、送信波Txはホーンアンテナ46内を球面波として進行
し、その後、誘電体レンズ48に入射した送信波Txは、ホーンアンテナ46と誘電体レンズ48との間、および誘電体レンズ48と周囲空気(雰囲気)との間で屈折し、光軸40Aに平行な方向へ導かれる。光軸40Aは長手方向Aと平行であるため、送信波Txは、センサ部16の長手方向Aの一端(下側)が向けられている方向、すなわち対象物72の方向へ導かれる。送信波Txは、誘電体レンズ48の有効径に対応する平面波とその周辺の回折波として進行する。送信波Txは、指向性の高い電波ビームを形成する。したがって検出対象面の領域(対象物72の界面74のうち送信波Txが当たる領域)が絞られるため、周囲の障害物などによる不要反射が低減される。
【0042】
対象物72へと導かれた送信波Txは、対象物72の界面74で反射し、反射波Rxとなる。
図4Bに示されているように、平面波として進行する反射波Rxは計測端部40で受信される。計測端部40で受信された反射波Rxはまず、誘電体レンズ48に入射する。誘電体レンズ48に入射した反射波Rxは、周囲空気と誘電体レンズ48との間、および誘電体レンズ48とホーンアンテナ46との間で屈折し、光軸40Aに近づく球面波としてホーンアンテナ46内を進行する。これにより反射波Rxは、導波管45を経て、囲い壁47側の端部では点状の送信源から発せられる電波として受信部43Rへ導かれる。
【0043】
センサ部16の内部に配置されている導波管45と、ホーンアンテナ46と、誘電体レンズ48は、電波に対するそれぞれの指向性によって、電波の進行方向を光軸40Aの方向へ導くため、これらが組み合わされることにより、全体として電波に対して強い指向性を示す。したがって、センサ部16は、長さ方向寸法(長手方向Aに沿った長さ)が小さくとも、送信波Txおよび反射波Rxを適切に導くことができる。また、送信波Txおよび反射波Rxが適切に導かれることにより、センサIC41において送信部43Tの位置と受信部43Rの位置とが異なるにも関わらず、共通の計測端部40によって送信波Txの送信と反射波Rxの受信とを行うことができる。よって、レベル計10の設計者は、導波管45と、ホーンアンテナ46と、誘電体レンズ48を用いることにより、センサ部16を含むレベル計10の長さ方向寸法を小さくすることができ、レベル計10全体の寸法をコンパクトにできる。
【0044】
次に、
図5を参照して、レベル計10の構成要素間の関係について説明する。
図5は、レベル計10の構成要素間の関係の一例を概略的に示すブロック図である。
図5に示されているように、センサ部16のセンサIC41は、送受信部43、レーダー制御部44、記憶部63、演算部64を含んでいる。送受信部43は、送信波Txを送信する送信部43Tと、反射波Rxを受信する受信部43Rとを有する。センサIC41は、複数のICを含んでいてもよい。例えばセンサIC41は、アンテナ一体型MMICとマイコンとを含んでいてもよい。
【0045】
レーダー制御部44は、送信波Txの波形を決定する送信制御部80と、デジタル信号と電波との相互変換を行うレーダー送受信回路81と、送信波Txおよび反射波Rxに基づく信号処理を行う信号処理部89とを有する。なお、センサIC41がアンテナ一体型MMICとマイコンとを含む場合、アンテナ一体型MMICは、レーダー制御部44のうち信号処理部89を除く部分(送信制御部80およびレーダー送受信回路81)と、送受信部43とを有し、マイコンは、信号処理部89と、記憶部63と、演算部64とを有するように構成されてもよい。
【0046】
記憶部63は、レベル計10の動作に係わる各種の設定値(データ)を記憶する。演算部64は、記憶部63に記憶された設定値および信号処理部89の信号処理結果などに基づいて、レベル計10の動作に係わる各種の演算を行う。記憶部63はRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などの記憶装置を含む。演算部64はCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。なお、記憶部63および
演算部64は筐体15の表示基板60に設けられていてもよい。あるいは、センサ部16と筐体15とに、それぞれ別々の記憶部63および演算部64が設けられて、記憶されるデータおよび担当する演算処理がセンサ部16と筐体15とで分担されていてもよい。
【0047】
一方、筐体15の表示基板60は、入力部65および出力部66を有する。入力部65は、レベル計10の外部から与えられる入力を信号としてレベル計10へ入力するインターフェース回路である。レベル計10の外部から与えられる入力とは例えば、操作部30に対するユーザの操作、および、外部入力端子12Cを介して外部の装置(制御装置90など)から与えられる制御信号などである。入力部65は例えば、操作部30が操作されたというフラグ情報、および外部入力端子12Cを介して与えられる設定値などのデータを記憶部63に記憶させる。
【0048】
出力部66は、レベル計10の内部で生成された信号を外部へ出力するインターフェース回路である。出力部66は例えば、演算部64による演算結果(レベルYの値など)に応じて、表示部20の表示内容、および、状態灯52の点灯状態などを変化させる。また出力部66は、演算部64による演算結果を、外部出力端子12Dを介して外部の装置へ伝える。
【0049】
図6、
図7を参照して、レベル計10によるレベルYの計測についてより詳しく説明する。
図6は、センサIC41に含まれるレーダー送受信回路81および送受信部43の構成の一例を示す図である。
図7は、送信波Txと反射波Rxとの関係を示す図である。
【0050】
図6に示されているように、レーダー送受信回路81は、ランプ波発生器82と、パワーアンプ83と、ローノイズアンプ84と、ミキサ85と、ローパスフィルタ86と、アナログ・デジタル変換器87とを含む。
【0051】
本実施形態のレベル計10は、FMCWを用いたレーダー方式でレベルYを計測する。ランプ波発生器82は、送信制御部80と接続されている。ランプ波発生器82は、送信制御部80が決定した送信波Txの波形を示すデータを受け取ると、そのデータに応じて送信波Txの波形の送信信号を発生させる。ここでは送信波Txの波形として、周波数の増減を繰り返す波形が用いられる。
【0052】
図7には、時間に対する送信波Tx(および反射波Rx)の周波数の変化を示すグラフが示されている。
図7において送信波Txの周波数は最小値(Min)から時間経過につれて一次関数的に増加してゆき、最大値(Max)に達すると再び最小値に戻る。このようにして送信波Txの周波数は増減を繰り返す。なお周波数の増減パターンはこれに限るものではなく、例えば最大値から時間経過につれて一次関数的に減少してゆき、最小に達すると再び最大値に戻るパターンが用いられてもよい。また最大値と最小値との間で一次関数的な増減と減少を繰り返すパターンが用いられてもよい。本実施形態で用いられる送信波Txは60GHz帯の電波であり、周波数の最小値は例えば58GHz、最大値は例えば69GHzである。なお使用される周波数帯はこれに限るものではなく、例えば77GHz-81GHzの周波数が用いられてもよい。
【0053】
図6のランプ波発生器82で発生した送信信号は、パワーアンプ83で増幅されて送信部43Tへ送られる。送信部43Tは、送られてきた送信信号に応じた波形の電波を発生させて、その電波を送信波Txとして対象物72へと送信する。送信波Txは対象物72の界面74で反射して反射波Rxとなり、受信部43Rで受信信号として受信される。反射波Rxは、送信波Txに対して位相のずれた波となる。
【0054】
図7に破線で示されているように、反射波Rxは、送信波Txに対して時間差Δtだけ
ずれた波となる。この時間差Δtは、計測端部40から対象物72の界面74までの距離YA(
図3)に応じた値となる。反射波Rxは計測端部40と対象物72との間を往復しているため、光の速さをcとして、Δt=2×YA/cの関係がある。
【0055】
そして、送信波Txと反射波Rxとの間には、時間差Δtの大きさに応じた周波数差ΔFが生じる。周波数差ΔFと時間差Δtとの間には、送信波Txの波形に依存する一定の関係がある。送信波Txの波形は、時間の経過に応じて周波数が線形に変化する波形である。つまり、周波数差ΔFと時間差Δtとの間には、送信波Txの波形における単位時間当たりの周波数変化に応じた一定の関係がある。例えば、送信波Txの周波数は最小値(Min)から時間経過につれて一次関数的に増加してゆき、最大値(Max)に達する。この場合、周波数差ΔFと時間差Δtとの関係は、周波数変調の帯域幅である送信波Txの周波数の最大値と最小値との差分、および、時間経過に対する周波数変化の関係によって一意に決まる。したがって、送信波Txと反射波Rxとの差分となる周波数差ΔFに基づいて、レベル計10は、時間差Δtを算出できる。そしてレベル計10は、時間差Δtから距離YA(Δt×c/2)を算出できる。さらにレベル計10は、距離YAを基に、レベルYの値を算出できる。具体的には、タンク70の深さ(タンク70の底から計測端部40までの距離)と、距離YAとの差分がレベルYの値となる。なお、周波数差ΔFと時間差Δtとの間には、送信波Txの波形に依存する一定の関係があるので、周波数差ΔFと距離YAとの対応関係は、予め求めておくことが可能である。周波数差ΔFと距離YAとの対応関係は、記憶部63に予め記憶されてもよい。
【0056】
図6に示されているように、受信部43Rで受信された反射波Rxに対応する受信信号は、ローノイズアンプ84を経てミキサ85へ入力される。ミキサ85にはランプ波発生器82から出力される送信波Txの波形に対応する送信信号も入力されており、ミキサ85は送信波Txと反射波Rxの波形を混合した混合波Mxに対応する信号を生成する。具体的にはミキサ85は、送信信号と受信信号とを混合して、混合波Mxに対応するIF信号(IF:Intermediate Frequency、中間周波数)を生成する。
【0057】
混合波Mxに対応するIF信号は、送信波Txと反射波Rxの60GHz帯の周波数に由来する高い周波数成分と、送信波Txと反射波Rxとの間の周波数差ΔFに応じた低い周波数成分とを含む波形となる。混合波Mxに対応するIF信号はローパスフィルタ86に入力されて、周波数差ΔFに応じた低い周波数の波形が抽出される。抽出された低い周波数の波形はアナログ・デジタル変換器87へ入力される。アナログ・デジタル変換器87は低い周波数の波形をデジタル値に変換して信号処理部89へ出力する。
【0058】
信号処理部89は、アナログ・デジタル変換器87から出力された低い周波数の波形を、高速フーリエ変換処理などによって周波数信号Pxに変換する。周波数信号Pxは、周波数ごとの波の強さを示す信号であり、この周波数信号Pxの最大ピークPSに相当する周波数が、送信波Txと反射波Rxとの間の周波数差ΔFである。信号処理部89は周波数信号Pxを
図5の演算部64へ送信する。
【0059】
演算部64は周波数信号Pxに基づいて、距離YA、レベルYの値を算出する。演算部64は距離YA、レベルYの値を算出するにあたり、記憶部63に記憶されている設定値を参照する。例えば、記憶部63には、周波数差ΔFと距離YAの対応関係、距離YAからレベルYを算出するための値(タンク70の深さ)などが記憶されている。
【0060】
なお、計測環境によっては、対象物72の界面74以外の要素(例えばタンク70内に設けられた撹拌機などの機器)に由来して、周波数信号Px内に最大ピークPS以外にもピークが現れることがある。演算部64は、周波数信号Px内に複数のピークが存在していても、適切に演算を行うことにより、対象物72に由来する最大ピークPSのみを特定
することができる。例えば、事前に対象物72のない状態(タンク70が空の状態)で得られた周波数信号Pxのデータが記憶部63に記憶されているとよい。演算部64は、対象物72がない状態で得られた周波数信号Pxと、対象物72がある状態で得られた周波数信号Pxとの差分を調べることで、対象物72に由来する最大ピークPSを特定できる。
【0061】
演算部64は、周波数信号Pxの最大ピークPSに相当する周波数差ΔFを算出したら、その周波数差ΔFと、記憶部63に記憶されている設定値とに基づき、距離YA、レベルYの値を算出する。演算部64は、算出したレベルYの値を出力部66へ送信する。出力部66は、レベルYの値に応じて、表示部20の表示内容、および状態灯52の点灯状態を変更する。また、レベルYの値は外部出力端子12Dを通じて制御装置90(
図3)へ送られる。出力部66は、算出したレベルYの値と閾値との比較結果に基づく二値または多値の制御信号を、外部出力端子12Dを通じて制御装置に出力してもよい。また、レベルYの値そのものではなく、レベルYの状態に応じた特定の制御を実行するべきことを示す信号が制御装置90へ送られてもよい。例えばレベルYが特定の閾値を上回ったとき、または特定の閾値を下回った場合に、ポンプ、弁などの動作を変更するべきことを示す信号が制御装置90へ送られるとよい。
【0062】
次に、
図8を参照して、表示部20の表示内容について説明する。
図8は表示部20の第1表示モードを示す図である。表示部20は、計測されたレベルYが、予め定められた複数のレベル範囲のうち、どのレベル範囲に属しているのかを、複数の色によって示すカラーグラフを表示する。
図8に示されているように、第1表示モードにおいては、表示部20にカラーゲージ24を含むカラーグラフが表示される。表示部20にはカラーゲージ24の他に、バーグラフ22、および補助表示部26が表示される。バーグラフ22およびカラーゲージ24はゲージ方向Bに沿って伸びるバーとして表示されている。
【0063】
カラーゲージ24は、記憶部63(
図5)に記憶されている設定値に従って、予め定められた長さ(設定値で指定される長さ)で表示される。また、カラーゲージ24は、その長さ方向(ゲージ方向B)に沿って、複数の区画に区切られている。
図8においてカラーゲージ24は5つの区画に区切られている。これらの区画は、ユーザによって設定された1つ又は複数の各閾値に基づいて区切られる(規定される)。閾値は、記憶部63に記憶されている設定値の一部である。閾値は、対象物72のレベルYに関して定められた値であり、閾値同士の間の数値範囲が、予め定められた複数のレベル範囲である。
図8においては、4つの閾値(HH、H、L、LL)と、計測範囲の上限(YM)および下限(Y0)が設定されており、これらの値同士の間の数値範囲が、レベルYについて5つのレベル範囲として設定されている。そして、カラーゲージ24の各区画は、レベル範囲のそれぞれに対応している。なお、カラーゲージ24の区画の数は5つに限るものではない。例えばレベルYの上限または下限のどちらかのみが表示される場合、区画は2つとなる。またレベルYの上限と下限とが表示される場合、区画は3つとなる。このように、カラーゲージ24の区切りは表示される要素に応じて様々なパターンがあり得る。
【0064】
以下においては、
図8に示されている5つの区画のうち、中央の区画を標準区画24aと呼ぶ。そして、標準区画24aの上下に隣接する2つの区画を警告区画24b、標準区画24aに対して警告区画24bを挟んで上下に離れた区画(カラーゲージ24の上下端に位置する区画)を危険区画24cと呼ぶ。また、5つの区画をそれぞれ区別する場合には、カラーゲージ24の上から順に、上の危険区画24c、上の警告区画24b、標準区画24a、下の警告区画24b、下の危険区画24cと呼ぶ。また、これら5つの区画と対応している5つのレベル範囲をそれぞれ、上の危険範囲、上の警告範囲、標準範囲、下の警告範囲、下の危険範囲と呼ぶ。
【0065】
カラーゲージ24の区画はそれぞれ、レベル範囲のそれぞれに対応した色で色分けされている。例えば、標準区画24aが標準範囲に対応する緑色、警告区画24bが警告範囲に対応する黄色、危険区画24cが危険範囲に対応する赤色で表示されるとよい。なお、上の警告区画24bと下の警告区画24bとが異なる色であってもよい。同様に、上の危険区画24cと下の危険区画24cとが異なる色であってもよい。また、ユーザによる操作部30の操作により、各区画の色を変更できるようになっていてもよい。この場合、区画ごとに割り当てられる色の設定は、ユーザによる操作部30の操作によって、予め用意された複数の割り当てパターン(組み合わせ)の中から選択されてもよいし、区画ごとに割り当てられる色がそれぞれ個別に選択されてもよい。またユーザによる操作部30の操作によって、各区画の点灯状態が選択されてもよい。この場合、点灯状態として、点灯、消灯、点滅の中から選択されてもよい。
【0066】
バーグラフ22はカラーゲージ24の隣に表示されており、その長さは、計測されたレベルYの値に応じて、ゲージ方向Bに沿って伸縮する。なお、カラーゲージ24が色分け表示されている場合には、ユーザが遠距離からでもバーグラフ22とカラーゲージ24との見分けをつけ易いように、バーグラフ22はカラーゲージ24の各区画と異なる色(例えば青色)で表示されることが好ましい。
図8において、バーグラフ22はレベルYの値が大きいほど、下側から上側へと伸びる。ここで、
図1に示されているように、センサ部16より上側にある筐体15に表示部20が配置されている形態においては、表示部20において上側へ向かうほど、センサ部16から離れることになる。したがって、バーグラフ22は、センサ部16から離れた位置(
図8において上側)まで伸びるほど大きな値を示す。同様に、カラーゲージ24も、センサ部16から離れた位置ほど大きな値に対応している。
【0067】
計測範囲の上限と下限の設定の一例について説明する。計測範囲はレベル計10が計測するレベルYの範囲を示し、例えば計測範囲の下限は、タンク70に対象物72が存在しない(タンク70が空になっている)ことを示す値(ゼロ点Y0、例えば0mm)である。また計測範囲の上限は、タンク70に対象物72をそれ以上収容することができない(タンク70が満量になっている)ことを示す値(満量値YM、例えば1000mm)である。計測範囲の上限および下限はユーザによる操作部30の操作によって設定されてもよい。
【0068】
閾値の設定の一例について説明する。閾値は例えば、タンク70内の対象物72について、「レベルYがこの値を超えたら、あるいは下回ったら、対象物72の量を調節する必要がある」ことを示す値として設定される。閾値はユーザによる操作部30の操作により設定されてもよい。そして、計測範囲の上限である満量値YMから順に、上上限値HH(第1の閾値)、上限値H(第2の閾値)、下限値L(第3の閾値)、下下限値LL(第4の閾値)の4つの閾値がそれぞれ設定される。タンク70内の対象物72が例えば水処理プロセスへ供給されることで、タンク70内の対象物72のレベルYは低下する。一方、タンク70に対象物72が補充されることで、タンク70内の対象物72のレベルYは上昇する。この場合、注水装置78は、水処理プロセスに応じて低下するタンク70内の対象物72のレベルYが、予め定められた範囲内となるように、タンク70内の対象物72のレベルYに応じて、タンク70に対する対象物72の補充を制御する。具体的には、注水装置78は、タンク70内の対象物72のレベルYが上限値H(第2の閾値)と下限値L(第3の閾値)との間となるよう、タンク70に対する対象物72の補充を制御する。注水装置78が正常に動作すれば、タンク70内の対象物72のレベルYが上限値H(第2の閾値)と下限値L(第3の閾値)の範囲内となる。しかしながら、注水装置78がタンク70内の対象物72のレベルYを制御しているにもかかわらず、対象物72のレベルYが予め定めた範囲から一定以上乖離したときは、異常が発生したと判断され、注水装置78および水処理プロセス装置などを含む施設(例えば水処理施設)の動作全体が停止さ
れる。上上限値HHは、レベルYがこの値を超えたら直ちに水処理施設全体を停止させるべき値(例えば800mm)である。上限値Hは、レベルYがこの値を超えたらタンク70への注水を停止させるべき値(例えば600mm)である。下限値Lは、レベルYがこの値を下回ったらタンク70への注水を開始させるべき値(例えば400mm)である。下下限値LLは、レベルYがこの値を下回ったら直ちにタンク70への注水量を最大限にすべき値(例えば200mm)である。
【0069】
上の危険区画24cは、計測範囲の上限である満量値YMと上上限値HHとの間のレベル範囲(上の危険範囲)に対応する。上の警告区画24bは、上上限値HHと上限値Hとの間のレベル範囲(上の警告範囲)に対応する。標準区画24aは、上限値Hと下限値Lとの間のレベル範囲(標準範囲)に対応する。下の警告区画24bは、下限値Lと下下限値LLとの間のレベル範囲(下の警告範囲)に対応する。下の危険区画24cは、下下限値LLと計測範囲の下限であるゼロ点Y0との間のレベル範囲(下の危険範囲)に対応する。カラーゲージ24の各区画は対応する各閾値により範囲が規定される。各区画の表示範囲は各区画を規定する閾値に応じた長さを有するようにしてもよい。この場合、ユーザによる操作部30の操作により閾値が変更されると、各区画の表示範囲は、変更後の閾値によって規定される区画に応じた長さに変更される。
【0070】
図8においては、バーグラフ22の長さが、カラーゲージ24の区画のいずれに対応する位置に達しているかによって、レベルYの属するレベル範囲が示される。より詳しく説明すると、カラーゲージ24の隣に表示されるバーグラフ22は、レベルYの値に応じて長さが伸縮することにより、その先端部(上端)がゲージ方向Bに沿って移動する。ゲージ方向Bは表示部20内の表示においてバーグラフ22の長さが増減する方向を示している。バーグラフ22の長さが増減する方向は、計測対象のレベルYが増減する方向に沿った方向である。表示部20内の表示において、バーグラフ22とカラーゲージ24は、レベルYが増減する方向に沿って共通の座標系を有する。すなわちバーグラフ22とカラーゲージ24は、表示部20におけるレベルの増減方向に沿って共通の座標系を有する。そして、バーグラフ22の先端部が、カラーゲージ24のどの区画の隣に位置しているかによって、レベルYの属するレベル範囲が示される。なお、バーグラフ22の先端部がカラーゲージ24のどの区画に対応しているかが視覚的にわかり易くなるように、バーグラフ22の先端部に、カラーゲージ24に向けて伸びる矢印形状22a(
図8において二点鎖線で示される矢印)が表示されてもよい。
【0071】
ここで、レベルYの属するレベル範囲とは、具体的には、計測されたレベルYの値が、どの2つの閾値同士の間にあるか、という情報である。
図8においては、バーグラフ22の先端部がカラーゲージ24のどの区画の隣に位置しているかによって、レベルYがどのレベル範囲に属しているかが表示されている。
【0072】
例えば
図8では、バーグラフ22の先端部は標準区画24aの隣に位置している。この場合、レベルYは、上限値Hと下限値Lとの間のレベル範囲(標準範囲)に属している。したがってレベル計10のユーザは、表示部20のバーグラフ22とカラーゲージ24を目視することで、対象物72のレベルYが上限値Hと下限値Lとの間の状態にあるということを視覚的に把握し易い。このように、本実施形態のレベル計10によれば、計測対象となる対象物72のレベルYの状態を、タンク70が設置された現場においてユーザが視覚的に把握し易い。さらに、センサ部16が計測したレベルYと各閾値との比較結果に基づく対象物72の状態(ステータス)は、状態灯52の点灯状態によっても示されることが好ましい。例えば、レベルYが標準区画24aに対応するレベル範囲(標準範囲)に属する場合に、状態灯52が緑色で点灯するとよい。また、レベルYが警告区画24bに対応するレベル範囲(警告範囲)に属する場合に、状態灯52が黄色で点灯するとよい。また、レベルYが危険区画24cに対応するレベル範囲(危険範囲)に属する場合に、状態
灯52が赤色で点灯するとよい。このように、状態灯52の点灯状態が、レベルYの属するレベル範囲によって変化すると、ユーザは、対象物72のレベルYの状態を視覚的にさらに把握し易くなる。カラーゲージ24の各区画の色はユーザによる操作部30の操作によって変更されてもよい。すなわち、操作部30はカラーゲージ24の各区画の色を変更するためのものであってもよい。この場合、状態灯52の点灯状態もゲージ24の各区画の表示状態に対応して変更されてもよい。例えば、カラーゲージ24の区画が5つで、各区画に対して上から順に赤色点灯、黄色点灯、緑色点灯、黄色点灯、赤色点灯が割り当てられているとする。そして、ユーザの操作によって、各区画に対して上から順に赤色点灯、黄色点滅、緑色点灯、消灯、赤色点滅が割り当てられるように変更が行われたとする。この場合に、バーグラフ22の先端部がカラーゲージ24の上から2番目の区画の隣に位置しているとすると、状態灯52は、割り当ての変更前は黄色で点灯し、割り当ての変更後は黄色で点滅する。また状態灯52の点灯色もカラーゲージ24の各区画の色に対応して変更されてもよい。ここで、カラーゲージ24の各区画の色と、状態灯52の点灯色とが対応して設定されていることが好ましい。例えば、カラーゲージ24の区画が4つで、各区画に対して上から順に赤色、黄色、緑色、黄色が割り当てられているとする。そして、ユーザの操作によって、各区画に対して上から順に黄色、緑色、黄色、赤色が割り当てられるように変更が行われたとする。この場合に、バーグラフ22の先端部がカラーゲージ24の最も上の区画の隣に位置しているとすると、状態灯52は、割り当ての変更前は赤色で点灯し、割り当ての変更後は黄色で点灯する。このように、状態灯52は、センサ部16が計測したレベルYが属するレベル範囲に相当するカラーゲージ24の区画の色に対応する色を発光して対象物72の状態(ステータス)を表示するとよい。また、操作部30によってカラーゲージ24の各区画の色が変更された場合には、状態灯52は、センサ部16が計測したレベルYが属するレベル範囲に相当する、カラーゲージ24の区画の、操作部30による変更後の色に対応する色を発光して、ステータスを表示するとよい。なお、カラーゲージ24の各区画の色と、各区画に対応する状態灯52の色は必ずしも一致していなくともよい。例えばバーグラフ22の先端部が黄色で表示される区画に対応するときに、状態灯52が赤色で点滅してもよい。
【0073】
また、
図8においては、バーグラフ22およびカラーゲージ24の上側に、補助表示部26が表示される。補助表示部26は、バーグラフ22およびカラーゲージ24とは異なる情報を表示する。
図8では、レベル計10において信号を出力している出力ポートの番号(1、2、3、4、5)が補助表示部26に強調表示される。例えば、各番号は対応する出力ポートが信号を出力していなければ白色で表示され、信号を出力している出力ポートの番号は赤色で表示される。
【0074】
出力ポートとは、
図2の外部出力端子12Dからレベル計10の外部へ出力される個別の信号ラインであり、例えばレベルYの属するレベル範囲に応じた種類の信号が、それぞれの信号の種類に対応した出力ポートから出力される。例えば、レベルYが標準区画24aの範囲内に収まっているならば、1番の出力ポートから、「レベルYは標準範囲内である」ということを示す信号がレベル計10の外部(例えば制御装置90)へ出力される。このとき、補助表示部26においては、「1」の番号が赤色で表示される。
【0075】
レベルYが上の警告区画24bの範囲にあれば、2番の出力ポートから、「レベルYは上限値Hを超えている」(上の警告範囲にある)ということを示す信号が出力され、「2」の番号が赤色で表示される。レベルYが下の警告区画24bの範囲にあれば、3番の出力ポートから、「レベルYは下限値Lを下回っている」(下の警告範囲にある)ということを示す信号が出力され、「3」の番号が赤色で表示される。
【0076】
レベルYが上の危険区画24cの範囲にあれば、4番の出力ポートから、「レベルYは上上限値HHを超えている」(上の危険範囲にある)ということを示す信号が出力され、
「4」の番号が赤色で表示される。レベルYが下の危険区画24cの範囲にあれば、5番の出力ポートから、「レベルYは下下限値LLを下回っている」(下の危険範囲にある)ということを示す信号が出力され、「5」の番号が赤色で表示される。
【0077】
なお、各出力ポートは、上上限値HH(第1の閾値)、上限値H(第2の閾値)、下限値L(第3の閾値)、下下限値LL(第4の閾値)の4つの閾値のそれぞれと対応付けられてもよい。例えば、レベルYが標準区画24aの範囲内に収まっているならば、レベルYが下限値L(第3の閾値)と下下限値LL(第4の閾値)を超えることになるので、3番の出力ポートと4番の出力ポートから、閾値を超えたことを示す信号がレベル計10の外部(例えば制御装置90)へ出力される。このとき、補助表示部26においては、「3」の番号と「4」の番号が赤色で表示される。また、レベルYが上の警告区画24bの範囲にあれば、2番、3番、4番の各出力ポートから、閾値を超えたことを示す信号が出力され、「2」の番号、「3」の番号、「4」の番号が赤色で表示される。また、レベルYが下の危険区画24cの範囲にあれば、レベルYが上上限値HH(第1の閾値)、上限値H(第2の閾値)、下限値L(第3の閾値)、下下限値LL(第4の閾値)のいずれの閾値も下回るので、1番、2番、3番、4番の各出力ポートのいずれからも、閾値を超えたことを示す信号が出力されず、「1」の番号、「2」の番号、「3」の番号、「4」の番号のいずれも、赤色で表示されない。各出力ポートは例えば注水装置78(
図3)に接続されているとよい。これらの出力ポートから信号が出力されたら、注水装置78は、出力ポートの番号に応じてタンク70への注水量を調節する。例えば、上限値H(第2の閾値)に対応する2番の出力ポートから信号が出力された場合は、注水装置78は直ちに注水を停止する。
【0078】
次に、
図9、
図10、
図11、
図12を参照して、表示部20の表示モード遷移について説明する。
図9、
図10、
図11はそれぞれ、表示部20の第2表示モード、第3表示モード、第4表示モードを示している。
図12は、表示部20が備える各モード間の遷移関係を示している。
【0079】
表示部20は、複数の表示モードを備えており、表示部20は表示モードによって異なる形式でレベルYの属するレベル範囲を表示することができる。例えばユーザが操作部30の方向キー33(
図1)を操作すると、表示部20の表示モードが切り替わる。
【0080】
例えば表示部20に
図8の第1表示モードが表示された状態で、方向キー33のアップキー34が操作されると、表示部20の表示は
図9の第2表示モードに切り替わる。さらにアップキー34が操作されるたびに、表示部20の表示は
図10の第3表示モード、
図11の第4表示モードへと切り替わっていく。第4表示モードが表示された状態からさらにアップキー34が操作されると、表示部20の表示は第1表示モードに戻る。
【0081】
一方、ダウンキー35が操作されるたびに、アップキー34とは逆の順番で表示モードが切り替わっていく。すなわち、第1表示モードが表示された状態から、ダウンキー34が操作されるたびに、表示部20の表示は第4表示モード、第3表示モード、第2表示モード、第1表示モードと順番に切り替わっていく。
【0082】
また、各表示モードにおいて、設定キー32が操作されると、表示部20の表示は図示しない設定モードに切り替わる。設定モードにおいて、ユーザは方向キー33(アップキー34、ダウンキー35)を操作することで、レベル計10の動作に関わる設定値を変更することができる。特に、ユーザは設定モードにおいて、レベルYの閾値の設定を変更することができる。レベルYの閾値の設定が変更されることにより、レベル範囲の設定も変更される。すなわち、ユーザは設定キー32、方向キー33を含む操作部30を操作することによって、レベル範囲の設定を変更することができる。
【0083】
そして、設定モードにおいて設定キー32が再び操作されると、表示部20の表示は元の表示モードに戻る。したがって、
図12に示されているように、表示部20の表示は方向キー33の操作により、複数の表示モード(第1表示モード、第2表示モード、第3表示モード、第4表示モード)の間で循環的に切り替わる、また、表示部20の表示は設定キー32の操作により、各表示モードと設定モードとの間で相互に切り替わる。
【0084】
図9の第2表示モードについて説明する。
図9においては、
図8の第1表示モードに比べて、バーグラフ22とカラーゲージ24とが縮小されて、画面左下に表示されている。バーグラフ22とカラーゲージ24との上方の補助表示部26には、出力ポートの表示に加えて、計測されたレベルYが、数値で表示されている。ここでは、レベルYの数値が550mm、すなわちタンク70の底から界面74までの高さが550mmであるということが表示されている。このように、表示部20は、表示モードによっては、計測されたレベルYを、バーグラフ22だけでなく、数値でも表示することができる。
【0085】
さらに、バーグラフ22とカラーゲージ24との右側には第2補助表示部27が表示される。第2表示モードにおける第2補助表示部27には、レベルYについて定められた複数の閾値の一部が数値で表示される。ここでは、上上限値HHが800mm、上限値Hが600mm、下限値Lが400mm、下下限値LLが200mmであることが第2補助表示部27に表示されている。なお、ゼロ点Y0と満量値YMは基本的に、タンク70の寸法に依存する一定の値であるため、
図9の第2補助表示部27には表示されない。
【0086】
図10の第3表示モードについて説明する。
図10においては、バーグラフ22、カラーゲージ24、補助表示部26、第2補助表示部27の配置は
図9の第2表示モードと同じであるが、レベルYおよび各閾値が、数値ではなく満量値YM(計測範囲の上限)に対する割合で示されている。
【0087】
図10では、満量値YMが1000mmである場合が表示されている。補助表示部26には、満量値YM(1000mm)に対するレベルYの値(550mm)の割合として、「55%」が表示されている。このように、表示部20は、表示モードによっては、計測されたレベルYを、バーグラフ22だけでなく、計測範囲の上限である満量値YMに対する割合でも表示することができる。
【0088】
また第2補助表示部27には、上上限値HH(800mm)、上限値H(600mm)、下限値L(400mm)、下下限値LL(200mm)のそれぞれについて、満量値YM(1000mm)に対する割合として、「80%」、「60%」、「40%」、「20%」が示されている。
【0089】
図11の第4表示モードについて説明する。
図11においては、バーグラフ22とカラーゲージ24の大きさは
図8の第1表示モードと同等であるが、補助表示部26が上方ではなく、バーグラフ22とカラーゲージ24の下方に表示されている。また補助表示部26には、出力ポートの番号の代わりに、安定性(Stability)を示す4つのランプが表示されている。
【0090】
なお、
図11において補助表示部26に表示される安定性は、レベル計10によるレベルYの計測がどれだけ安定して行われているかを示している。例えばレベル計10がタンク70(
図3)に対して傾いて取り付けられている場合には、送信波Txがタンク70の内壁面で反射するなどして、界面74からの反射波Rx以外の電波が計測端部40で受信される。すると、レベルYの計測値は計測のたびに大きく変化し、安定した計測値が得られない。安定した計測値が得られない場合、補助表示部26には安定性が低いことを意味
する表示が行われる。例えば、ランプが4つとも消えた状態が表示される。一方、安定した計測値が得られた場合には、補助表示部26には安定性が高いことを意味する表示が行われる。例えば、ランプが4つとも点灯した状態が表示される。
【0091】
次に、
図13、
図14を参照して、レベル計10の別例について説明する。
図13は、レベル計10の別例を示す斜視図である。
図14は、レベル計10の別例の断面図である。
図13、
図14においては、
図1、
図2のレベル計10と同じ機能の構成要素には
図1、
図2と同じ符号を付し、必要な場合を除き説明を繰り返さない。
【0092】
図13、
図14においては、筐体15が、台座部15aと端末部21とを有する。台座部15aは、筐体15において長手方向A(計測軸の方向)の一端側(下側)に配置される。端末部21は、長手方向Aの他端側に配置される。
図13、
図14においては、表示部20は端末部21に設けられている。また、端末部21は、台座部15aから分離可能である。台座部15aが円筒形である一方で、端末部21は角柱形となっている。
【0093】
図13、
図14に示されているように、端末部21には分離用操作ノブ39が設けられている。ユーザは、この分離用操作ノブ39を操作することで、端末部21を台座部15aから分離させることができる。例えば、図示されていない爪部が端末部21に設けられており、爪部が台座部15aに引っ掛かることで、端末部21が台座部15aに取り付けられる。分離用操作ノブ39は爪部と連動しており、ユーザが分離用操作ノブ39を操作することで、爪部が台座部15aから離れ、端末部21が台座部15aから分離可能となる。端末部21は、表示部20に対する背面側で、締結ネジにより台座部15aへ固定されてもよい。また、台座部15aと端末部21との間で電気信号を伝える接続コネクタが設けられているとよい。例えば対を成す接続コネクタの一方が台座部15aに設けられ、対を成す接続コネクタの他方が端末部21に設けられているとよい。対を成す接続コネクタ同士が接続することで、台座部15aと端末部21との間で電気信号の送受信が可能となる。なお、端末部21が台座部15aから分離した際には、台座部15aと端末部21との間は電気信号を送受信するケーブルを介して接続コネクタ同士が接続される。これにより、端末部21が台座部15aから分離した状態でも、表示部20は計測されたレベルYに応じたバーグラフ22を表示することができる。このように、端末部21が台座部15aから分離できるようになっていると、ユーザは、表示部20の表示を、台座部15aから離れた位置で確認することが可能である。例えば、レベル計10がユーザの視点よりも高い位置に配置されている場合、ユーザは表示部20の表示を確認し難いことがある。ここで、端末部21が台座部15aから分離できるようになっていると、ユーザは、端末部21を自分の視点の高さまで引き寄せることで、タンク70が設置された現場において表示部20を容易に確認できるようになる。
【0094】
図13において、表示部20の表示面は長手方向Aに対して傾斜しているため、バーグラフ22とカラーゲージ24のゲージ方向Bも長手方向Aに対して傾斜している。
図13においては、長手方向Aとゲージ方向Bとの間の角度(表示部20の傾斜角度)は、鋭角となっている。表示部20の傾斜角度が鋭角であると、ゲージ方向Bの鉛直方向成分は、比較的大きな値となる。したがって、
図13においても、バーグラフ22は、センサ部16から離れた位置(
図13において上側)まで伸びるほど大きな値を示す。同様に、カラーゲージ24も、センサ部16から離れた位置ほど大きな値に対応している。
【0095】
図13、
図14においては、接続部12は、端末部21において、表示部20と反対側の部分に配置されている。
図13、
図14においても筐体15の内部には回転機構19が設けられているため、ユーザは、筐体15を回転させることで、接続部12を取り扱い易い方向に向けることができる。
【0096】
また
図13、
図14においては、状態灯52は、筐体15において、台座部15aの外周面に配置されている。したがって
図13、
図14における状態灯52は、表示部20に対して長手方向Aの一端側(下側)に設けられている。
図14に示されているように、状態LED50がセンサ基板42の上側、すなわちセンサIC41とは反対側の面に配置されている。状態灯52の透過窓53は、状態LED50よりも上側に配置されている。状態LED50から発せられる光は、光を拡散させる部材を含む透過窓53を通じて筐体15の外部へと導かれる。状態LED50がセンサIC41と同じセンサ基板42に配置されているため、レベル計10全体の長さ方向寸法が小さくなり、レベル計10がコンパクトになる。
【0097】
また
図13の方向キー33は、アップキー34およびダウンキー35に加えて、左キー右キー、中央キーを備えている。ユーザはこれらのキーを操作することで、表示部20の表示モードを容易に切り替えることができ、また、設定モードにおいて各種の設定値(特に、レベル範囲に影響する閾値)を容易に変更することができる。例えば、複数の表示モードのそれぞれに各キーが対応付けられており、いずれかのキーが操作されると、そのキーに対応する表示モードに表示部20の表示が直接切り替わるとよい。
【0098】
次に、
図15を参照して、操作部30(
図1)の操作によってレベル範囲の設定が変更されることについて説明する。
図15には、レベル範囲が変更された場合の表示部20が示されている。なお、数値の変化を示すために、表示モードとして第2表示モード(
図9)が選択されているものとする。
図9においては上上限値HHが800mm、上限値Hが600mm、下限値Lが400mm、下下限値LLが200mmである。ユーザは、操作部30を操作することで表示部20の表示モードを設定モードに切り替えて、閾値の値を変更することにより、レベル範囲の設定を変更する。例えばユーザは、上上限値HHを820mm、上限値Hを640mm、下限値Lを270mm、下下限値LLを180mmに変更するものとする。なお、ゼロ点Y0は0mm、満量値YMは1000mmのまま変化しないものとする。設定モードにおいて閾値が変更されると、レベル範囲も変更されるため、カラーゲージ24の表示は変更後のレベル範囲に応じて、
図15に示されているように変化する。このように、ユーザが操作部30でレベル範囲の設定を変更すると、表示部20に表示される内容が変化する。
【0099】
なお、上記においては、ゼロ点Y0の位置(レベル計10からゼロ点Y0までの距離)は固定され、満量値YMは1000mmのまま変化しないものとしたが、ゼロ点Y0の位置と満量値YMが変化することもある。例えばレベル計10が、
図3のタンク70から取り外されて、別のタンクに取り付けられることがある。
【0100】
レベル計10が別のタンクに取り付けられた場合は、ユーザは表示部20の設定モードにおいて、別のタンクに対応した設定値を設定する。例えば、レベル計10は、ユーザからゼロ点Y0の位置の指定を受け付ける。レベル計10は、指定された位置(レベル計10からゼロ点Y0までの距離)において別のタンクのレベルYが0mmを示すよう設定する。また、別のタンクの深さ(距離YAからレベルYを算出するための値)、満量値YMなどの、表示部20の表示に関わる設定値が適切に変更されるとよい。また、界面74がタンクの底に達していなくともタンクが空とみなされる場合(例えば、タンクの側面に排水口が設けられていて、その排水口よりも界面74が低くなればタンクが空とみなされる場合)においては、タンクが空とみなされる位置にゼロ点Y0が設定されてもよい。
【0101】
また、ユーザは設定モードにおいて、バーグラフ22およびカラーゲージ24の表示形式を変更することも可能である。例えば、
図15に示されているように、バーグラフ22の先端部に、カラーゲージ24に向けて伸びる矢印形状22aが表示されるよう、バーグラフ22の表示形式が変更されてもよい。また、
図15に示されているように、レベルY
の値を示す目盛り25がカラーゲージ24に重ねて表示されるよう、カラーゲージ24の表示形式が変更されてもよい。
【0102】
なお、上記においては、レベルYの属するレベル範囲を示すカラーグラフとして、バーグラフ22とカラーゲージ24の組み合わせが示されているが、表示部20の表示は、レベルYの属するレベル範囲が視覚的にわかり易いものであればよい。例えば、バーグラフ22とカラーゲージ24とが一体化されて、レベルYが、カラーゲージ24の中でレベルYの値に応じて上下に移動する点などの図形で表示されてもよい。
【0103】
また、上記においては、レベル計10は送信波Txと反射波Rxを用いたレーダー方式によってレベルYを計測するものとして説明したが、レベル計10はレベルYの値を計測することが可能なものであればよく、レーダー方式に限られない。レベル計10は例えば、対象物72へ超音波を発信し、対象物72で反射した超音波に基づいてレベルYを計測する、いわゆる超音波方式の計測装置であってもよい。またレベル計10は例えば、対象物72に浸漬するプローブを備え、そのプローブに入力される送信パルスと、対象物72の界面74で反射した反射パルスとに基づいてレベルYを計測する、いわゆるガイドパルス方式の計測装置であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 レベル計
15 筐体
16 センサ部
19 回転機構
20 表示部
22 バーグラフ
24 カラーゲージ
26 補助表示部
30 操作部
40 計測端部
43T 送信部
43R 受信部
46 ホーンアンテナ
48 誘電体レンズ
63 記憶部
64 演算部
65 入力部
66 出力部
70 タンク
72 対象物
74 界面